(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】界面活性剤で安定化されたシクロヘキサンジオキシドオキシム製剤
(51)【国際特許分類】
A01N 35/10 20060101AFI20230829BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20230829BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20230829BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
A01N35/10
A01P13/00
A01N25/30
A01N25/02
(21)【出願番号】P 2021131612
(22)【出願日】2021-08-12
(62)【分割の表示】P 2017562580の分割
【原出願日】2016-05-25
【審査請求日】2021-09-09
(32)【優先日】2015-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509041371
【氏名又は名称】アリスタ ライフサイエンス ノース アメリカ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ホン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・アーレン・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・リチャード・ストリート
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・エブリン・ゴールドスミス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・マーティン・グルーム
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ベル
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-518933(JP,A)
【文献】特開昭63-126802(JP,A)
【文献】特開2006-008601(JP,A)
【文献】特開2006-290868(JP,A)
【文献】特開2006-241135(JP,A)
【文献】特開2006-225377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 35/10
A01P 13/00
A01N 25/30
A01N 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5重量%~50重量%のシクロヘキサンジオンオキシム系除草剤、又はその農業的に許容可能な塩と、
安定化シクロヘキサンジオンオキシム系除草剤を提供するのに有効な量の1以上の安定化界面活性剤と、
非極性溶媒である希釈剤と、を含み、
前記安定化界面活性剤が、
トリスチリルフェノールエトキシレート、14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネートとアルコールエトキシレートとの混合物、又は14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネートとトリスチリルフェノールエトキシレートとの混合物であり、
前記非極性溶媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びアルキルエステルからなる群から選択され、
エポキシ化油脂肪酸及び脂肪酸のエポキシ化エステルを少なくとも含まないことを特徴とする組成物。
【請求項2】
1以上の補助剤を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非極性溶媒が、芳香族炭化水素である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、キシレン、置換若しくは非置換ナフタレン、モノアルキル化芳香族、ポリアルキル化芳香族、又はこれらの混合物である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記非極性溶媒が、アルキルエステルである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルキルエステルが、メチルエステルである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルキルエステルが、植物油のメチルエステルである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記植物油が、キャノーラ、亜麻仁、ベニバナ、ダイズ、又はヒマワリ油である請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記1以上の補助剤が、作物油を含む請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
前記アルカンスルホネートが、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
10重量%~50重量%の前記シクロヘキサンジオンオキシム系除草剤、又はその農業的に許容可能な塩を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
100g/L~500g/Lの前記シクロヘキサンジオンオキシム系除草剤、又はその農業的に許容可能な塩を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
0.1重量%~30重量%の前記安定化界面活性剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
0.1重量%~15重量%の前記安定化界面活性剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
1重量%~99重量%の前記非極性溶媒を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
10重量%~80重量%の前記非極性溶媒を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記シクロヘキサンジオンオキシム系除草剤、又はその農業的に許容可能な塩が、メチル(E)-(RS)-3-[1-(アロキシイミノ)ブチル]-4-ヒドロキシ-6,6-ジメチル-2-オキソシクロヘキサ-3-エンカルボキシレート)、5-(3-ブチリル-2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(1-エトキシイミノプロピル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(2-{1-[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシイミノ]ブチル}-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-2-[(E)-1-[(E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル]-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-2-[1-(エトキシイミノ)ブチル]-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-(EZ)-2-(1-エトキシイミノブチル)-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(EZ)-(RS)-2-{1-[(2E)-3-クロロアリルオキシ-イミノ]プロピル}-3-ヒドロキシ-5-ペルヒドロピラン-4-イルシクロ-ヘキサ-2-エン-1-オン)、2-[1-(エトキシイミノ)プロピル]-3-ヒドロキシ-5-メシチルシクロヘキサ-2-エノン)、及び2-[1-[[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシ]イミノ]ブチル]-3-ヒドロキシ-5-(テトラヒドロ-2H-チオピラン-3-イル)-2-シクロヘキセン-1-オンからなる群から選択される請求項1から16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記シクロヘキサンジオンオキシム系除草剤、又はその農業的に許容可能な塩が、(±)-2-[(E)-1-[(E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル]-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩を含む請求項1から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
マイクロエマルションを含む乳化性濃縮物、水和剤(wettable powder)、顆粒、ペレット、粉塵、油噴霧物、エアゾール、懸濁液濃縮物、又はカプセルを含む請求項1から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
雑草を管理する方法であって、
0.5重量%~50重量%のシクロヘキサンジオンオキシム系除草剤、又はその農業的に許容可能な塩と、
トリスチリルフェノールエトキシレート、14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネートとアルコールエトキシレートとの混合物、又は14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネートとトリスチリルフェノールエトキシレートとの混合物である有効量の安定化界面活性剤と、
脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びアルキルエステルからなる群から選択される非極性溶媒である希釈剤と、を含み、
少なくともエポキシ化油脂肪酸及び脂肪酸のエポキシ化エステルを含まない組成物を、雑草、作物、又は生息地域に施用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記組成物が、1以上の補助剤を更に含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シクロヘキサンジオンオキシム系除草剤、又はその農業的に許容可能な塩が、メチル(E)-(RS)-3-[1-(アロキシイミノ)ブチル]-4-ヒドロキシ-6,6-ジメチル-2-オキソシクロヘキサ-3-エンカルボキシレート)、5-(3-ブチリル-2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(1-エトキシイミノプロピル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(2-{1-[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシイミノ]ブチル}-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-2-[(E)-1-[(E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル]-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-2-[1-(エトキシイミノ)ブチル]-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-(EZ)-2-(1-エトキシイミノブチル)-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(EZ)-(RS)-2-{1-[(2E)-3-クロロアリルオキシ-イミノ]プロピル}-3-ヒドロキシ-5-ペルヒドロピラン-4-イルシクロ-ヘキサ-2-エン-1-オン)、2-[1-(エトキシイミノ)プロピル]-3-ヒドロキシ-5-メシチルシクロヘキサ-2-エノン)、及び2-[1-[[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシ]イミノ]ブチル]-3-ヒドロキシ-5-(テトラヒドロ-2H-チオピラン-3-イル)-2-シクロヘキセン-1-オンからなる群から選択される請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記シクロヘキサンジオンオキシム系除草剤、又はその農業的に許容可能な塩が、(±)-2-[(E)-1-[(E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル]-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩を含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記雑草が、イネ科植物である請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記イネ科植物が、オオムギ、イヌビエ、ギョウギシバ、メリケンニクキビ、スズメノチャヒキ、トウモロコシ、メヒシバ、タツノツメガヤ、オオクサキビ、オニウシノケグサ、ホソノゲムギ、エノコログサ、ネコジャラシ、オヒシバ、モロコシ、ツノアイアシ、コヒメビエ、オニメヒシバ、スズメガヤ、エンバク、カモガヤ、多年草、シバムギ、ペルシアンライグラス、キビ、雑草イネ,セイバンモロコシ根茎、ライムギ、ドクムギ、セイバンモロコシ実生、モロコシ、キタメヒシバ、ホソナルコビエ、アゼガヤ、オヒジワ、自生オオムギ、自生エンバク、自生トウモロコシ、自生カナリーシード、自生コムギ、コムギ、カラスムギ、野生キビ、ハナクサキビ、ナルコビエ、キダチノネズミガヤ、及びキンエノコロからなる群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、出芽後処理として施用される請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、雑草管理の必要があるか又は望ましくない雑草のリスクがある作物に施用される請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記作物が、キャノーラ、アマ、エンドウ、レンズマメ、豆類、linola(登録商標)、カラシ、ヒヨコマメ、ヒマワリ、ジャガイモ、アルファルファ実生、タマネギ、及びダイズのいずれかである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
0.5重量%~50重量%のシクロヘキサンジオンオキシム系除草剤を1以上の安定化界面活性剤及び希釈剤と混合して、安定化組成物を作製することを含むことを特徴とする安定化除草剤組成物を作製する方法であって、
前記安定化界面活性剤が、
トリスチリルフェノールエトキシレート、14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネートとアルコールエトキシレートとの混合物、又は14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネートとトリスチリルフェノールエトキシレートとの混合物であり、
前記希釈剤が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びアルキルエステルからなる群から選択される非極性溶媒であり、
エポキシ化油脂肪酸及び脂肪酸のエポキシ化エステルを少なくとも含まない安定化除草剤組成物を作製する方法。
【請求項30】
a)1以上の安定化界面活性剤、
b)1以上の補助剤、及び
c)0.5重量%~50重量%のシクロヘキサンジオンオキシム系除草剤
を任意の順序で希釈剤に添加して、安定化組成物を作製することを含み、
前記安定化界面活性剤が、
トリスチリルフェノールエトキシレート、14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネートとアルコールエトキシレートとの混合物、又は14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネートとトリスチリルフェノールエトキシレートとの混合物であり、
前記希釈剤が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びアルキルエステルからなる群から選択される非極性溶媒であり、
エポキシ化油脂肪酸及び脂肪酸のエポキシ化エステルを少なくとも含まないことを特徴とする、安定化除草剤組成物を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、活性除草剤、特に、シクロヘキサンジオンオキシム除草剤と安定化界面活性剤との組合せを含む製剤に関する。前記製剤は、例えば、改善された安定性を有する。実施形態は、更に、雑草を管理する方法に関する。実施形態は、更に、界面活性剤で安定化された除草剤組成物を作製する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
実施形態は、改善された保存安定性を有し且つ活性化合物としてのシクロヘキサンジオンオキシムと安定化界面活性剤とを含む除草剤組成物に関する。エポキシ化油脂肪酸又は脂肪酸のエポキシ化エステルは、前記組成物中に存在しない。
【0003】
特定のシクロヘキサンジオンオキシムは、様々な出芽後イネ科雑草に対して除草剤活性を有する。シクロヘキサンジオンオキシムの例としては、クレトジム、セトキシジム、シクロキシジム、アロキシジム、トラルコキシジム、テプラロキシジム、クレホキシジム、クレホキシフィム、ブトロキシジム、及びプロホキシジムが挙げられる。
【0004】
クレトジムの化学構造を以下の式Iに示す。
【化1】
【0005】
クレトジムは、シクロヘキサンジオンオキシムの分類の重要な市販除草剤である。これは、ダイズ、ワタ、アマ、ラッカセイ、ヒマワリ、テンサイ、ジャガイモ、アルファルファ、及び大部分の野菜を含む多種多様な広葉作物において一年草及び多年草を管理するために用いられる選択的出芽後シクロヘキセノン除草剤である。しかし、土壌水分、高温、UV、及びプロトン性化合物等の環境因子が、クレトジムの分解の原因となる。水及びプロトン性化合物が、分解プロセスを加速させる。HOCALの分解産物であるクロロプロペノール、O-(3-クロロ-2-プロペニル)ヒドロキシルアミン(クレトジムの不純物)、及びクレトジム等のプロトン性化合物が、分解を加速させる。クレトジムは、大部分の土壌において持続性が低いので、寿命が短い。クレトジムの分解は、主に熱、即ち、日光、高温によって引き起こされる。土壌中の主な分解産物は、スルホキシド、スルホン、及びオキサゾールスルホンである。また、クレトジムは、葉表面において水の存在下で酸触媒反応及び光分解によって塩酸が形成されることに起因して、速やかに分解し得る。
【発明の概要】
【0006】
本明細書における実施形態は、特に、シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩と、有効量の安定化界面活性剤とを含む組成物であって、エポキシ化油脂肪酸又は脂肪酸のエポキシ化エステルを実質的に含まない組成物を提供する。1つの実施形態では、組成物は、希釈剤を更に含む。別の実施形態では、組成物は、1以上の補助剤を更に含む。補助剤は、作物油を含み得る。
【0007】
希釈剤は、非極性溶媒であってよい。1つの実施形態では、非極性溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又はアルキルエステルである。別の実施形態では、非極性溶媒は、芳香族炭化水素である。更なる実施形態では、芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、置換若しくは非置換ナフタレン、モノアルキル化芳香族、ポリアルキル化芳香族、又はこれらの混合物である。更に別の実施形態では、非極性溶媒は、アルキルエステルである。更なる実施形態では、アルキルエステルは、メチルエステルである。更なる実施形態では、アルキルエステルは、植物油のメチルエステルである。更なる実施形態では、植物油は、キャノーラ、亜麻仁、ベニバナ、ダイズ、又はヒマワリ油である。
【0008】
1つの実施形態では、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む。アニオン性界面活性剤は、14個~22個の炭素原子を有する長鎖アルコールのリン酸モノ-及びジ-エステル並びにこれらの塩、14個~22個の炭素原子を有する長鎖アルコールのアルキレンオキシド付加生成物のリン酸モノ-及びジ-エステル並びにこれらの塩、14個~22個の炭素原子を有するアルキルサルフェート、14個~22個の炭素原子を有するアルコールのポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネート、又は14個~22個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートを含む。ノニオン性界面活性剤は、例えば、エトキシ化脂肪酸、アルコールエトキシレート、トリスチリルフェノールエトキシレート、エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル、及びこれらの混合物を含む。更なる実施形態では、ノニオン性界面活性剤は、エトキシ化脂肪酸である。更なる実施形態では、エトキシ化脂肪酸は、ヒマシ油エトキシレートである。
【0009】
実施形態は、更に、0.1重量%~95重量%のシクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩若しくは金属錯体を含む組成物を提供する。幾つかの実施形態では、組成物は、0.1~約30重量%の界面活性剤を含む。
【0010】
特定の実施形態では、シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩は、メチル(E)-(RS)-3-[1-(アロキシイミノ)ブチル]-4-ヒドロキシ-6,6-ジメチル-2-オキソシクロヘキサ-3-エンカルボキシレート)、5-(3-ブチリル-2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(1-エトキシイミノプロピル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(2-{1-[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシイミノ]ブチル}-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-2-[(E)-1-[(E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル]-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-2-[1-(エトキシイミノ)ブチル]-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-(EZ)-2-(1-エトキシイミノブチル)-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(EZ)-(RS)-2-{1-[(2E)-3-クロロアリルオキシ-イミノ]プロピル}-3-ヒドロキシ-5-ペルヒドロピラン-4-イルシクロ-ヘキサ-2-エン-1-オン)、2-[1-(エトキシイミノ)プロピル]-3-ヒドロキシ-5-メシチルシクロヘキサ-2-エノン)、及び2-[1-[[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシ]イミノ]ブチル]-3-ヒドロキシ-5-(テトラヒドロ-2H-チオピラン-3-イル)-2-シクロヘキセン-1-オンから選択される。1つの実施形態では、シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩は、(±)-2-[(E)-1-[(E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル]-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩を含む。特定の実施形態では、組成物は、乳化性濃縮物、水和剤、顆粒、ペレット、粉塵、油、又はエアゾールを含む。
【0011】
実施形態は、雑草を管理する方法を提供する。1つの実施形態では、方法は、シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩と有効量の安定化界面活性剤とを含む組成物を、雑草、作物、又は生息地域に施用することを含む。この方法で施用可能な組成物は、更に、希釈剤及び1以上の補助剤等の追加成分を含み得る。
【0012】
特定の実施形態では、方法は、メチル(E)-(RS)-3-[1-(アロキシイミノ)ブチル]-4-ヒドロキシ-6,6-ジメチル-2-オキソシクロヘキサ-3-エンカルボキシレート)、5-(3-ブチリル-2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(1-エトキシイミノプロピル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(2-{1-[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシイミノ]ブチル}-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-2-[(E)-1-[(E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル]-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-2-[1-(エトキシイミノ)ブチル]-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)、(±)-(EZ)-2-(1-エトキシイミノブチル)-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)、(EZ)-(RS)-2-{1-[(2E)-3-クロロアリルオキシ-イミノ]プロピル}-3-ヒドロキシ-5-ペルヒドロピラン-4-イルシクロ-ヘキサ-2-エン-1-オン)、2-[1-(エトキシイミノ)プロピル]-3-ヒドロキシ-5-メシチルシクロヘキサ-2-エノン)、及び2-[1-[[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシ]イミノ]ブチル]-3-ヒドロキシ-5-(テトラヒドロ-2H-チオピラン-3-イル)-2-シクロヘキセン-1-オンから選択されるシクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩を含む組成物を施用することを含む。特定の実施形態では、方法は、(±)-2-[(E)-1-[(E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル]-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩を含む組成物を施用することを含む。
【0013】
方法は、イネ科植物等の雑草を管理することを含む。特定の実施形態では、イネ科植物は、オオムギ、イヌビエ、ギョウギシバ、メリケンニクキビ、スズメノチャヒキ、トウモロコシ、メヒシバ、タツノツメガヤ、オオクサキビ、オニウシノケグサ、ホソノゲムギ、エノコログサ、ネコジャラシ、オヒシバ、モロコシ、ツノアイアシ、コヒメビエ、オニメヒシバ、スズメガヤ、エンバク、カモガヤ、多年草、シバムギ、ペルシアンライグラス、キビ、雑草イネ,セイバンモロコシ根茎、ライムギ、ドクムギ、セイバンモロコシ実生、モロコシ、キタメヒシバ、ホソナルコビエ、アゼガヤ、オヒジワ、自生オオムギ、自生エンバク、自生トウモロコシ、自生カナリーシード、自生コムギ、コムギ、カラスムギ、野生キビ、ハナクサキビ、ナルコビエ、キダチノネズミガヤ、及びキンエノコロからなる群から選択される。
【0014】
組成物は、出芽後又は出芽前処理として施用することができる。1つの実施形態では、組成物は、雑草管理の必要があるか又は望ましくない雑草のリスクがある作物に施用される。かかる作物は、例えば、キャノーラ、アマ、エンドウ、レンズマメ、豆類、linola(登録商標)、カラシ、ヒヨコマメ、ヒマワリ、ジャガイモ、アルファルファ実生、タマネギ、及びダイズであってよい。
【0015】
また、実施形態は、安定化除草剤組成物を作製する方法も提供する。1つの実施形態では、方法は、シクロヘキサンジオンオキシムを1以上の安定剤と混合して、安定化除草剤組成物を作製することを含む。別の実施形態では、方法は、(a)1以上の安定剤を希釈剤と混合して第1の混合物を形成することと、(b)1以上の補助剤を前記第1の混合物に添加して第2の混合物を形成することと、(c)シクロヘキサンジオンオキシムを前記第2の混合物に添加して安定化除草剤組成物を作製することとを含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態は、特に、安定化除草剤組成物を提供する。1つの実施形態では、組成物は、除草剤シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩と、有効量の安定化界面活性剤とを含む。安定化界面活性剤は、シクロヘキサンジオンオキシムに対して安定化効果を付与する主な成分である。したがって、例えば、エポキシ化油脂肪酸又は脂肪酸のエポキシ化エステルを安定化剤として提供し得ることが示唆されている。かかる剤は、本明細書に開示する組成物から特異的に除外される。したがって、幾つかの実施形態では、除草剤シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩と、安定化界面活性剤から本質的になる有効量の安定剤とを含む組成物が提供される。幾つかの実施形態では、除草剤シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩と、安定化界面活性剤からなる有効量の安定剤とを含む組成物が提供される。幾つかの実施形態では、除草剤シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩と、安定化界面活性剤から本質的になる有効量の安定剤と、エポキシ化油脂肪酸でも脂肪酸のエポキシ化エステルでもない第2の安定剤とを含む組成物が提供される。幾つかの実施形態では、除草剤シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩と、有効量の安定化界面活性剤とを含む組成物であって、エポキシ化油脂肪酸又は脂肪酸のエポキシ化エステルを実質的に含まない組成物が提供される。
【0017】
本明細書で使用するとき、「実質的に含まない」とは、組成物が微量のエポキシ化油脂肪酸又は脂肪酸のエポキシ化エステルを含有し得る(例えば、1%未満、又は0.5%未満、又は0.25%未満)が、前記組成物中にかかる微量で存在するエポキシ化油脂肪酸又は脂肪酸のエポキシ化エステルの量が、前記組成物の性能及び安定性に対して重要な影響を有しないことを意味する。かかる実質的に含まない組成物は、エポキシ化油脂肪酸又は脂肪酸のエポキシ化エステルが含まれない、即ち、存在しなくてもよい。
【0018】
様々な態様では、除草剤シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩は、アロキシジム(メチル(E)-(RS)-3-[1-(アロキシイミノ)ブチル]-4-ヒドロキシ-6,6-ジメチル-2-オキソシクロヘキサ-3-エンカルボキシレート)又はその塩、ブトロキシジム(5-(3-ブチリル-2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(1-エトキシイミノプロピル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩、BAS625Hとしても知られているクレホキシジム(2-{1-[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシイミノ]ブチル}-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩、クレトジム((±)-2-[(E)-1-[(E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル]-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩、シクロキシジム((±)-2-[1-(エトキシイミノ)ブチル]-3-ヒドロキシ-5-チアン-3-イルシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩、プロホキシジム2-[1-[[2-(4-クロロフェノキシ)プロポキシ]イミノ]ブチル]-3-ヒドロキシ-5-(テトラヒドロ-2H-チオピラン-3-イル)-2-シクロヘキセン-1-オン又はその塩、セトキシジム((±)-(EZ)-2-(1-エトキシイミノブチル)-5-[2-(エチルチオ)プロピル]-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩、テプラロキシジム((EZ)-(RS)-2-{1-[(2E)-3-クロロアリルオキシ-イミノ]プロピル}-3-ヒドロキシ-5-ペルヒドロピラン-4-イルシクロ-ヘキサ-2-エン-1-オン)又はその塩、及びトラルコキシジム(2-[1-(エトキシイミノ)プロピル]-3-ヒドロキシ-5-メシチルシクロヘキサ-2-エノン)又はその塩からなる群から選択される。
【0019】
シクロヘキサンジオンオキシムは、市販されている。例えば、クレトジムは、Valent U.S.A.Corporation及びArysta LifeScience North Americaによって提供されており、セトキシジム及びアロキシジムは、日本曹達株式会社又はBASF Corporationによって製造されており、シクロキシジム及びプロホキシジムは、BASF Corporationによって製造されており、ブトロキシジムは、CropCare Australiaによって製造されている。
【0020】
製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムの濃度は、パーセント又はグラム/リットルの単位で表すことができる。製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムの重量パーセント(又は「重量%」)は、変動し得る。特定の実施形態では、製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムの重量パーセントは、0.1重量%~95重量%である。他の実施形態では、製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムの重量パーセントは、0.5重量%~90重量%である。更なる実施形態では、製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムの重量パーセントは、10重量%~70重量%である。更なる実施形態では、製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムの重量パーセントは、10重量%~60重量%である。更に他の実施形態では、製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムの重量パーセントは、10重量%~50重量%である。更なる実施形態では、製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムの重量パーセントは、20重量%~50重量%である。更なる実施形態では、製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムの重量パーセントは、30重量%~40重量%である。同様に、製剤中のシクロヘキサンジオンオキシムのグラム/リットルは、20g/L~800g/L又は100g/L~400g/Lの範囲であり得る。
【0021】
製剤中の安定化界面活性剤の重量パーセントは、約0.1重量%~約15重量%、約1重量%~約12重量%、又は約1重量%~約10重量%であり得る。典型的には、安定剤の量(例えば、重量による)は、除草剤活性成分の量よりも少なくなる。しかし、前記量は、任意で溶媒/希釈剤/及び補助剤等の他の成分と組み合わせた具体的な安定剤及び活性成分に基づいて決定してよい。典型的には、3%~8%の補助剤を有する製剤は、1%~5%の安定剤を含み得、8%~16%の補助剤を有する製剤は、1%~10%の安定剤を含み得、17%~30%の補助剤を有する製剤は、1%~15%の安定剤を含み得る。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「安定化」又は「安定化される」とは、安定化されていない除草剤組成物と比べて、化学的及び/又は物理的安定性が高いか又は分解が少ない除草剤組成物を指す。安定化の程度は、除草剤の活性又は活性(分解されていない)除草剤の量によって測定することができる。例えば、安定化除草剤は、熱、光、水分(水)又は除草剤を分解することにより活性を低下させる他の条件に曝露された、ある期間保存した後の安定化されていない除草剤よりも、1以上の雑草に対してより高い活性を示す。特定の実施形態では、製剤に含有されているシクロヘキサンジオンオキシムは、24ヶ月間以内に僅か約25%しか分解されない。他の実施形態では、製剤に含有されているシクロヘキサンジオンオキシムは、24ヶ月間以内に僅か約15%しか分解されない。更なる実施形態では、製剤に含有されているシクロヘキサンジオンオキシムは、24ヶ月間以内に僅か約10%しか分解されない。更に他の実施形態では、製剤に含有されているシクロヘキサンジオンオキシムは、24ヶ月間以内に僅か約5%しか分解されない。更なる実施形態では、製剤に含有されているシクロヘキサンジオンオキシムは、24ヶ月間以内に僅か約3%しか分解されない。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「有効量」とは、安定剤に関して使用される場合、1以上の外部環境効果、例えば、日光(UV)、水分(例えば、湿気、水)、及び熱への曝露に起因する組成物中の活性成分(例えば、除草剤)の分解を阻害、低減、又は阻止するのに必要な安定剤の量である。典型的には、有効量の安定剤は、長期間、例えば、2年間以内にUV、水分、又は熱の曝露に起因して活性成分が僅か25%しか分解されないようにする。他の実施形態では、有効量の安定剤は、2年間以内にUV、水分(例えば、湿気、水)、又は熱の曝露に起因して活性成分が僅か約15%、又は僅か約10%、又は僅か約5%しか分解されないようにする。
【0024】
製剤は、1以上の溶媒を含み得る。製剤中の溶媒の量は、1%~99%又は30%~80%の範囲であり得る。好適な溶媒としては、例えば、非極性水不混和性溶媒又は極性非プロトン性水混和性有機溶媒が挙げられる。非極性溶媒としては、例えば、置換又は非置換の脂肪族又は芳香族炭化水素、及び植物油のエステル、又はこれらの混合物が挙げられる。芳香族炭化水素の非限定的な例としては、ベンゼン又は非置換ベンゼン誘導体、例えば、トルエン、キシレン、1,2,4-トリメチルベンゼン、ナフタレン、又はこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態では、溶媒としては、ナフタレン及び1,2,4-トリメチルベンゼンの混合物が挙げられる。別の実施形態では、溶媒は、<10%のナフタレン及び<1.7%の1,2,4-トリメチルベンゼンを含有する高沸点芳香族ナフサ溶媒であるAromatic 150を含む。
【0025】
アルキルエステルは、非極性水不混和性溶媒として使用することもできる。植物油を様々なアルコールでエステル化して植物油のアルキルエステルを形成してもよい。これら植物油の脂肪酸は、5個~20個又は6個~15個の炭素原子を有する。植物油のアルキルエステルとしては、限定するものではないが、キャノーラ(B.napus)、亜麻仁、ベニバナ(Carthamus tinctorius L.)、ダイズ、及びヒマワリ油のメチル、エチル、及びブチルエステルが挙げられる。1つの実施形態では、溶媒は、メチルエステルの混合物である。メチルエステルの非限定的な具体例は、Stepan Company(22 W.Frontage Road,Northfield,Illinois)によって製造されているAgent2416-21である。
【0026】
水混和性極性非プロトン性溶媒としては、例えば、乳酸アルキル、乳酸イソプロピル、炭酸アルキル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール、及びポリプロピレングリコールアルキルエーテル、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
組成物は、1以上の補助剤を含み得る。補助剤は、例えば、除草剤性能を増強又は改善し得る。補助剤は、製剤時に組成物に添加してもよく、処理前にアプリケータによって混合物に添加してもよい。補助剤としては、例えば、界面活性剤(乳化剤)、作物油、肥料、分散剤、相溶化剤、発泡促進剤、抑泡剤、調整剤、及びスプレー着色剤(染料)が挙げられる。補助剤は、任意の所望の量で存在し得る。例えば、製剤は、0.1%~3%の補助剤、3%~8%の補助剤、8%~16%の補助剤、17%~30%の補助剤、又は30%以上(例えば、40%以上)の補助剤を含有し得る。
【0028】
界面活性剤は、活性成分の溶液への溶解度を増大させ得る。界面活性剤は、噴霧液の保持、液滴の広がり、及び乾燥速度にも影響を与え得る。界面活性剤は、アニオン性であってもノニオン性であってもよい。アニオン性界面活性剤の例としては、14個~22個の炭素原子を有する長鎖アルコールのリン酸モノ-及びジ-エステル並びにこれらの塩、14個~22個の炭素原子を有する長鎖アルコールのアルキレンオキシド付加生成物のリン酸モノ-及びジ-エステル並びにこれらの塩、14個~22個の炭素原子を有するアルキルサルフェート、14個~22個の炭素原子を有するアルコールのポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、14個~22個の炭素原子を有するアルカンスルホネート、並びに14個~22個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。
【0029】
好適なノニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル末端封止界面活性剤、エトキシ化脂肪酸、アルコールエトキシレート、トリスチリルフェノールエトキシレート、エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル、又はこれらの混合物が挙げられる。エトキシ化脂肪酸としては、少なくとも25個、好ましくは27個~37個のエトキシ単位を有するヒマシ油又はキャノーラ油エトキシレート、例えば、Uniqema(旧ICI Surfactants)のSunaptol.RTM.CA350(35個のエトキシ単位を有するヒマシ油エトキシレート)、Henkel KGaAのMergital.RTM.EL33(33個のエトキシ単位を有するヒマシ油エトキシレート)、Henkel KGaAのEumulgin.RTM.C03373(30個のエトキシ単位を有するキャノーラ油エトキシレート)、及びUniqemaのUkanil.RTM.2507(ヒマシ油エトキシレート)が挙げられる。
【0030】
界面活性剤は、任意の所望の量で存在し得る。例えば、界面活性剤は、製剤中に約0.1~約30重量%の量で存在し得る。特定の実施形態では、界面活性剤は、製剤中に約1~約20重量%の量で存在する。別の実施形態では、界面活性剤は、製剤中に約5~約15重量%の量で存在する。
【0031】
乳化剤は、エマルションを十分分散している状態に保つために典型的に用いられる界面活性剤の種類である。乳化剤の非限定的な例としては、Aerosol OT-100、Genapol XM 060、Synperonic A20、Soprophor BSU、Dehypon G2084、Rhodacal 70/B、Atlox 4817B、Nansa EVM 70/2E、Phenyl Sulphonate CAL、Agent 2201-76E、Agent 2201-76、Agent 2416-20、Emulpon CO-360、T-Det C-40(登録商標)、及びAgnique(商標) SBO-10が挙げられる。Agent 2201-76は、Stepan Company(22W.Frontage Road,Northfield,Illinois)によって製造されており、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤(82%)とのブレンドである。Agent 2201-76中の成分は、アルキルベンゼンスルホネート及び脂肪酸エトキシレート、芳香族石油系炭化水素、1-ヘキサノール、及びナフタレンである。また、Agent 2416-20もStepan Company(22W.Frontage Road,Northfield,Illinois)によって製造されており、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤(35%~37%)とのブレンドである。また、Agent 2416-20は、芳香族石油系炭化水素(57%~58%)及びナフタレン(6%~7%)を含む。Emulpon CO-360は、Akzo Nobel Chemicals Ltd.(525 West Van Buren,Chicago,Illinois)によって製造されており、エトキシ化ヒマシ油(100重量%)及びオキシラン(<0.001重量%)を含有している。T-Det C-40(登録商標)は、Harcros Organics(5200 Speaker Road.,P.O. Box 2930,Kansas City,Kansas)又はAkzo Nobel Chemicals Ltd.(525 West Van Buren,Chicago,Illinois)から購入することができ、ノニオン性乳化剤であり、エトキシ化(ポリエトキシ化)ヒマシ油のブランドである。Agnique(商標)SBO-10は、Monheim(Germany)に本社があるCognix GmbHによって製造されており、エトキシ化ダイズ油としてアルコキシ化トリグリセリドを含有している。
【0032】
作物油又は作物油濃縮物を用いて、除草剤製剤の有効性を増大させることができる。特定の理論に束縛されるものではないが、作物油は、水よりも長く葉表面の水分を保持するので、除草剤の浸透する時間が長くなり、植物(例えば、雑草)に侵入する除草剤の量が増加すると考えられる。作物油は、植物(例えば、雑草)による除草剤の取り込みを改善することができる。したがって、作物油は、除草剤の有効性又は活性を改善、増強、増大、又は促進することができる。作物油は、製剤中に1重量%~40重量%又は1重量%~20重量%含有され得る。作物油は、石油系油分又は野菜油のいずれに由来していてもよい。作物油の非限定的な例としては、ダイズ油及び石油系油が挙げられる。
【0033】
除草剤組成物は、通常の製剤中に存在し得る。非限定的な例としては、溶液、エマルション、懸濁液、水和剤、粉末、粉塵、ペースト、可溶性粉末、顆粒、ペレット、乳化性濃縮物、油噴霧物、エアゾール、活性化合物が含浸した天然及び合成の材料、並びに非常に微細なカプセル(例えば、高分子物質中)が挙げられる。特定の実施形態では、組成物は、乳化性濃縮物、水和剤、顆粒、粉塵、油噴霧物、又はエアゾールの形態である。
【0034】
製剤は、任意で、付着性コーティングを含んでいてもよい。かかるコーティングは、活性成分の意図する環境、例えば、雑草への付着を促進するものを含む。付着性コーティングとしては、カルボキシメチルセルロース、様々な形態(例えば、粉末、顆粒、又はラテックス)の天然及び合成ポリマーが挙げられる。他の付着性コーティングとしては、アラビアガム、ポリビニルアルコール、及びポリ酢酸ビニルが挙げられる。リン脂質、例えば、セファリン及びレシチン、並びに合成リン脂質も付着性コーティングの例である。更なる添加剤は、鉱油及び野菜油であり得る。
【0035】
製剤中に着色剤が含まれていてもよい。非限定的な例は、無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン、及びプルシアンブルー、並びに有機染料、例えば、アリザリン染料、アゾ染料、及び金属フタロシアニン染料、並びに微量栄養素、例えば、鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン、及び亜鉛の塩である。
【0036】
除草剤組成物は、レディーミックスの形態で施用してよい。また、除草剤組成物は、個々に製剤化し、使用時に混合してもよい、即ち、タンクミックスの形態で施用してもよい。
【0037】
除草剤組成物は、そのまま又はその製剤の形態で使用してよく、更に、他の除草剤との混合物、レディーミックス、又はタンクミックスとして使用してもよい。また、除草剤組成物は、他の活性化合物、例えば、殺真菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、鳥忌避剤、成長物質、植物養分、及び土壌構造を改良する剤と混合してもよい。特定の施用目的については、特に、出芽後に施用されるとき、植物が許容できる鉱油又は野菜油等の出芽後製剤(例えば、市販品「Oleo DuPont 11E」)又はアンモニウム塩、例えば、硫酸アンモニウム又はチオシアン酸アンモニウムを更なる添加剤として含んでいてもよい。
【0038】
また、除草剤組成物は、上述のいずれかを除外してもよい。例えば、他の除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、鳥忌避剤、成長物質、植物養分、及び土壌構造を改良する剤を組成物から除外するか又は省略してよい。
【0039】
除草剤組成物は、そのまま、その製剤の形態で、又は濃縮形態を希釈することによって前記濃縮形態から調製される形態、例えば、使用準備済み液又は濃縮液、溶液、懸濁液、エマルション、又は固体(例えば、粉末、ペースト、顆粒、及びペレット)で用いることができる。これらは、例えば、散水、噴霧、霧化、散粉、又は散布によって、従来通り分散させる。
【0040】
製剤は、1以上の安定剤、活性成分、及び任意で補助剤、希釈剤、又は溶媒を混合又は懸濁させることによって作製することができる。特定の実施形態では、製剤は、例えば、先ず1以上の安定剤を希釈剤又は溶媒と混合するか又は懸濁させることによって作製することができる。次に、安定剤を含有する得られた混合物を、適切な量の補助剤と合わせる。活性成分であるシクロヘキサンジオンオキシムは、最後に添加し、製剤が殆ど又は完全に均質になるまでブレンドしてよい。
【0041】
1つの実施形態では、安定化除草剤組成物を作製する方法は、シクロヘキサンジオンオキシムを1以上の安定剤と混合して、安定化組成物を作製することを含む。別の実施形態では、方法は、a)1以上の安定剤を希釈剤と混合して第1の混合物を形成することと、b)1以上の補助剤を第1の混合物に添加して第2の混合物を形成することと、c)シクロヘキサンジオンオキシムを第2の混合物に添加し安定化組成物を作製することとを含む。
【0042】
望ましい植物を、本明細書では一般的に「作物」と称する。用語「作物」とは、本明細書で使用するとき、商業的に使用するために植えられ、栽培される商業的価値を有する装飾用植物種を含む、任意の可食性又は非可食性植物を含む。したがって、作物としては、花卉及び非花卉、木本、野菜植物、芝、及び地被植物が挙げられる。作物の非限定的な具体例としては、キャノーラ、アマ、エンドウ、レンズマメ、豆類、linola(登録商標)、カラシ、ヒヨコマメ、ヒマワリ、ジャガイモ、アルファルファ実生、タマネギ、ダイズ、及び芝草が挙げられる。用語「植物」とは、根及び地上部(例えば、葉、葉柄、花、果実、小枝、大枝、根等)を含む、発芽した種子、出芽した種子、及び定着した植生を含むことを意味する。
【0043】
本明細書で使用する用語「芝」とは、望ましい領域又は意図的に計画され維持される領域において成長するイネ科草本、例えば、芝生を指す。また、芝は、地面の表層がイネ科草本及びイネ科草本の根からなる芝土も指す。
【0044】
組成物は、1種以上の雑草に対する活性除草剤を含む。最も広い意味において、用語「雑草」とは、望ましくない場所で成長する植物を指す。言い換えれば、雑草は、水、栄養素、日光、土壌等について競合するため、作物からみれば望ましくない植物である。イネ科植物は、雑草の一例である。
【0045】
雑草は、前記組成物を用いて管理することができる。実施形態は、雑草を管理する方法を提供する。1つの実施形態では、方法は、シクロヘキサンジオンオキシム又はその農業的に許容可能な塩と安定化界面活性剤とを含む組成物を雑草、作物、又は植物の生息地域若しくは領域に施用する(接触させる)ことを含む。かかる方法は、本明細書に記載する1以上の雑草が挙げられるがこれらに限定されない植物に施用可能である。
【0046】
除草剤組成物は、雑草が出芽する前(出芽前)又は雑草が出芽した後(出芽後)に施用してよい。除草剤組成物は、雑草、作物又は生息地域の全て又は一部に施用してよい。
【0047】
雑草は、緑色植物又はイネ科雑草であってよい。管理されるイネ科植物は、除草剤組成物の施用(接触)時に出芽前又は出芽後の成長段階にある。
【0048】
方法では、「管理」及び「管理する」は、自然な植物の生存、成長、又は増殖からの任意の逸脱を含む、任意の不都合な変化又は有害効果を含む。非限定的な具体例としては、雑草の全て又は任意の部分(根、茎、葉柄、葉、花、枝等)の成長、雑草の発芽、雑草の登熟、雑草の拡散の阻害、低減、又は阻止、或いは雑草の殺傷を含む。
【0049】
方法は、1以上のイネ科植物を管理するために用いることができる。前記組成物及び方法を用いることができるイネ科植物種の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:オオムギ(Hordeum vulgare)、イヌビエ(Echinochloa crusgalli)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)、メリケンニクキビ(Brachiaria platphylla)、スズメノチャヒキ属の種(Bromus species)、トウモロコシ(Zea mays)、メヒシバ属の種(Digitaria species)、タツノツメガヤ(Dactyloctenium aegyptium)、オオクサキビ(Panicum dichotomiflorum)、オニオニウシノケグサ(Festuca arundinacea)、ホソノゲムギ(Hordeum jubatum)、エノコログサ属の種(Setaria species)、ネコジャラシ、オヒシバ(Eleusine indica)、モロコシ(Sorghum bicolor)、ツノアイアシ(Rottboellia exaltata)、コヒメビエ(Echinochloa colona)、オニメヒシバ、スズメガヤ(Eragrostis cilanensis)、エンバク(Avena sativa)、カモガヤ(Dactylis glomerata)、多年草、シバムギ(Agropyron repens)、ペルシアンライグラス、キビ、雑草イネ(Oryza sativa)、セイバンモロコシ根茎(Sorghum halepense)、ライムギ(Secale cereale)、ドクムギ属の種(Lolium species)、セイバンモロコシ実生(Sorghum halepense)、モロコシ(Sorghum bicolor)、キタメヒシバ、ホソナルコビエ(Eriochlola gracillis)、アゼガヤ属の種(Leptochloa species)、オヒジワ(Panicum texanum)、自生オオムギ、自生エンバク、自生トウモロコシ、自生カナリーシード、自生コムギ、コムギ(Triticum aestivum)、カラスムギ(Avena fatua)、野生キビ(Panicum miliaceum)、ハナクサキビ(Panicum capillare)、ナルコビエ(Eriochloa villosa)、キダチノネズミガヤ(Muhlenbergia frondisa)、及びキンエノコロ。
【0050】
施用量は、例えば、作物又は標的雑草に応じて変動する。一般的に、施用量は、0.01kg/ha~5.00kg/ha又は0.03kg/ha~3.00kg/haの活性成分である。幾つかの実施形態では、施用量は、1ヘクタール当たりの活性成分のグラム(g a.i./ha)として表すことができ、例えば、約30g a.i./ha~約300g a.i./haである。
【0051】
用語「組成物」及び「製剤」は、本明細書で使用するとき、互換的である。
【0052】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同様又は等価な方法及び材料を実施又は試験で使用することができるが、好適な方法及び材料を本明細書に記載する。
【0053】
本明細書に引用する全ての出願、刊行物、特許、及び他の参照文献、引用文献は、その全体が参照によって援用される。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0054】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「and」、及び「the」は、特に明示的に指定しない限り、複数の指示対象を含む。
【0055】
本明細書で使用するとき、用語「約」は、パラメータ、量、期間等の測定可能な値を指し、具体的に列挙される値から+/-15%以下のばらつき、好ましくは+/-10%以下のばらつき、より好ましくは+/-5%以下のばらつき、更により好ましくは+/-1%以下のばらつき、更により好ましくは+/-0.1%以下のばらつきを含むことを意味するが、但し、かかるばらつきは本明細書に記載する本発明において実施するのに適切である。更に、修飾語「約」が指す値は、それ自体本明細書に具体的に開示されることも理解すべきである。
【0056】
本明細書で使用するとき、全ての数値又は数値範囲は、特に明示的に指定しない限り、かかる範囲内の整数、及び前記値又は前記範囲内の整数の分数を含む。したがって、例えば、90%~100%の範囲に対する言及は、91%、92%、93%、94%、95%、95%、97%等に加えて、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%等、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%等も含む。90%~100%の範囲に対する言及は、92.2%~97.5%、91.5~94.5等を含む。一連の範囲、例えば、0.1%~15%及び1%~10%等の重複している範囲に対する言及は、0.1%~1%、0.1%~10%、1%~15%、及び10%~15%の範囲を含む。
【0057】
実施形態は、一般的に、肯定的な言語を用いて本明細書に開示される。また、本明細書における実施形態は、具体的には、物質又は材料、方法の工程及び条件、プロトコール、手順、アッセイ、又は分析等の特定の発明主題が全て又は一部除外される実施形態も含む。したがって、実施形態が一般的に本明細書に表されていないとしても、その実施形態が、明示的に含まれていない態様を含まないという観点から、本明細書に開示されている。
【0058】
多数の実施形態について説明してきたが、開示される実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなしに様々な変更を行い得ることが理解される。したがって、以下の実施例は、特許請求の範囲に記載される実施形態の範囲を例示することを意図するが、限定するものではない。
【0059】
本明細書における実施形態を例示するために、具体例を以下に記載する。これら実施例は、単なる例示であり、如何なる方法であっても範囲及び根底にある原理を限定すると理解すべきではない。本明細書に示し、記載したものに加えて、以下の実施例及び上述の記載から様々な変形例が当業者に明らかになるであろう。かかる変形例も添付の特許請求の範囲の範囲内であることを意図する。
【実施例】
【0060】
以下の実施例では、例示的な除草剤製剤及び他のコントロール除草剤製剤をその保存安定性について試験する。多くの場合、活性成分としてクレトジムを含有する類似の市販除草剤製剤との比較を行う。
【0061】
以下の本発明の例示的な除草剤製剤では、活性成分としてクレトジムを含有する類似の市販除草剤製剤を作製し、高温条件でその保存安定性について試験する。
製剤A-1
クレトジム70%汎用製品(MUP) 51.4%
Aerosol OT-100(乳化剤) 10.0%
Solvesso150 ND(溶媒) 38.6%
製剤A-2
クレトジム70%汎用製品(MUP) 51.4%
Genapol XM 060(乳化剤) 10.0%
Solvesso150 ND(溶媒) 38.6%
以下の表中の概要に従って界面活性剤を変更した以外は同様に他の製剤を調製した。
試験方法
安定化クレトジム製剤の安定性の評価
【0062】
上記全ての製剤を25℃で2年間安定性試験に付した。製剤を54℃±2℃で保存し、7日間目及び14日間目に評価した。また、コントロールとして-10℃±2℃で保存し、7日間目及び14日間目に評価した。高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)分析によって各時間間隔でクレトジムの重量パーセントを測定した。HPLC分析は、以下の条件下で実施した。
実施例1
【0063】
製剤を表1に要約する。水分レベル、クレトジム率(%AI)、及びクレトジムの残留率も表1に示す。0日目分析による存在するクレトジムの初期量と比較したときの-10℃における残留率を計算する。0日目分析における初期量又は同じ時間間隔の-10℃における分析のいずれかと比較したときの、54℃における残留率を計算する。Aシリーズは、安定化界面活性剤を選択することによってクレトジム製剤の化学的安定性が改善されたことを示したが、Bシリーズは、同じ保存条件で安定化界面活性剤がなく著しいクレトジム分解を示した。
実施例2
【0064】
標準プロトコールCIPAC MT 18.1.4に従ってエマルション安定性を試験した。
表2は、様々な比のノニオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤を含有する製剤、並びに水道水水性媒体中で1時間目及び4時間目におけるエマルション安定性を示す。結果は、ノニオン性界面活性剤のイオン性界面活性剤に対する比が7:3であるとき最良のエマルション性能が得られたことを示す。
実施例3
【0065】
表3では、様々な比のSoprophor BSU対Aerosol OT-100を用いることによって製剤を調製し、1時間目及び4時間目にそのエマルション安定性を試験した。7:3の比で最良のエマルション性能が得られることが確認された。
実施例4
【0066】
表4は、Soprophor BSU及び様々な個々のイオン性界面活性剤を含有する製剤を調製することによって、エマルション安定性に対するイオン性界面活性剤の影響を示す。
実施例5
【0067】
表5は、ノニオン性界面活性剤Synperonic A20の存在下で様々なイオン性界面活性剤を比較することによるエマルションの試験結果を列挙する。一方、表6は、コントロールについてのエマルション安定性結果を示す。
実施例6
【0068】
表7では、クレトジムEC製剤の化学的安定性に対して負の影響を示した界面活性剤を使用することによって製剤を作製した。54℃で2週間保存したサンプルのクレトジム保持は、同じ期間-10℃で保存したものと比較して77%未満であった。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】