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特許7339305企業活動評価装置、企業活動評価システム、プログラムおよび企業活動評価方法
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  • 特許-企業活動評価装置、企業活動評価システム、プログラムおよび企業活動評価方法 図1
  • 特許-企業活動評価装置、企業活動評価システム、プログラムおよび企業活動評価方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】企業活動評価装置、企業活動評価システム、プログラムおよび企業活動評価方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20230829BHJP
【FI】
G06Q10/0639
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021152962
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023044868
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】521139140
【氏名又は名称】株式会社サステナブルスケール
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】藤善 匡
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-251938(JP,A)
【文献】特開2019-113904(JP,A)
【文献】特開2002-341931(JP,A)
【文献】特開2002-109081(JP,A)
【文献】特開2018-109936(JP,A)
【文献】特開2021-033365(JP,A)
【文献】特開2002-015108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを実行することにより受付手段、スコアリング手段、重み付け手段および出力手段として機能する制御部と、
SDGsおよびESGの各々に関する質問項目毎の基準スコアと、産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルと、を記憶するとともに、過去に算出された複数の企業のSDGsおよびESGの各々の評価項目毎のスコアを記憶する記憶部と、
を備え、
ESGに関する各評価項目についての複数の質問事項がSDGsの企業活動の評価でも用いられるようになっており、
前記受付手段は、外部の端末装置からSDGsおよびESGに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を受け付け、
前記スコアリング手段は、質問事項およびそれに対する前記回答についてSDGsおよびESGのそれぞれの評価項目が対応していることに基づき、前記記憶部に記憶されている質問項目毎の基準スコアに基づいて、前記受付手段が受け付けた前記回答に基づいてSDGsの評価項目毎のスコアおよびESGの評価項目毎のスコアをそれぞれ算出し、
前記重み付け手段は、前記記憶部に記憶されている、同じ産業の業種の他の各企業のSDGsの評価項目毎のスコアに基づく同じ産業の業種の複数の企業内での順位に基づいて、前記スコアリング手段により算出されたSDGsの評価項目毎のスコアを補正し、前記記憶部に記憶されている前記テーブルに基づいて、補正されたスコアに対して前記受付手段により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることによりSDGsの評価項目毎の修正スコアを算出するとともに、前記記憶部に記憶されている、同じ産業の業種の他の各企業のESGの評価項目毎のスコアに基づく同じ産業の業種の複数の企業内での順位に基づいて、前記スコアリング手段により算出されたESGの評価項目毎のスコアを補正し、前記記憶部に記憶されている前記テーブルに基づいて、補正されたスコアに対して前記受付手段により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることによりESGの評価項目毎の修正スコアを算出し、
前記出力手段は、前記重み付け手段により算出されたSDGsおよびESGの各々についての評価項目毎の修正スコアおよびSDGsおよびESGの各々についての全ての評価項目の修正スコアを合計した合計スコアのうち少なくとも何れかを出力する、企業活動評価装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記プログラムを実行することにより質問項目表示指示手段として更に機能し、
外部の前記端末装置から評価開始指示を前記受付手段が受け付けると、前記質問項目表示指示手段は、外部の前記端末装置に対して質問項目を表示させる指示信号を送信する、請求項1記載の企業活動評価装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記プログラムを実行することにより送信手段として更に機能し、
前記送信手段は、前記出力手段により出力された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかを、前記回答および産業の業種に関する情報を受け付けた外部の前記端末装置または別の外部の端末装置に送信する、請求項1または2記載の企業活動評価装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記出力手段により出力された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかを、前記受付手段により受け付けた産業の業種に紐付けて記憶し、
前記制御部は、前記プログラムを実行することにより相対評価手段として更に機能し、
前記相対評価手段は、前記記憶部に記憶されている各企業の評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかに基づいて、前記出力手段により出力された評価項目毎の修正スコアまたは全ての評価項目の合計スコアについて全ての企業内または前記受付手段により受け付けた産業の業種に関する複数の企業内での相対評価を行う、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の企業活動評価装置。
【請求項5】
前記スコアリング手段は、ESGについては1つの前記回答について1つの評価項目に対応させ、SDGsについては1つの前記回答について複数の評価項目に対応可能となるよう、SDGsおよびESGの評価項目毎のスコアを算出する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の企業活動評価装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記プログラムを実行することにより重み修正手段として更に機能し、
前記受付手段が、産業の業種毎の各評価項目の重みの修正に関する情報を受け付けると、前記重み修正手段は、前記記憶部に記憶されている、産業の業種毎の各評価項目の重みを修正する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の企業活動評価装置。
【請求項7】
プログラムを実行することにより受付手段、スコアリング手段、重み付け手段および出力手段として機能する制御部と、
SDGsおよびESGの各々に関する質問項目毎の基準スコアと、産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルと、を記憶するとともに、過去に算出された複数の企業のSDGsおよびESGの各々の評価項目毎のスコアを記憶する記憶部と、
SDGsおよびESGに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を入力するための端末装置と、
を備え、
ESGに関する各評価項目についての複数の質問事項がSDGsの企業活動の評価でも用いられるようになっており、
前記受付手段は、前記端末装置からSDGsおよびESGに関する質問項目に対する前記回答および産業の業種に関する情報を受け付け、
前記スコアリング手段は、質問事項およびそれに対する前記回答についてSDGsおよびESGのそれぞれの評価項目が対応していることに基づき、前記記憶部に記憶されている質問項目毎の基準スコアに基づいて、前記受付手段が受け付けた前記回答に基づいてSDGsの評価項目毎のスコアおよびESGの評価項目毎のスコアをそれぞれ算出し、
前記重み付け手段は、前記記憶部に記憶されている、同じ産業の業種の他の各企業のSDGsの評価項目毎のスコアに基づく同じ産業の業種の複数の企業内での順位に基づいて、前記スコアリング手段により算出されたSDGsの評価項目毎のスコアを補正し、前記記憶部に記憶されている前記テーブルに基づいて、補正されたスコアに対して前記受付手段により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることによりSDGsの評価項目毎の修正スコアを算出するとともに、前記記憶部に記憶されている、同じ産業の業種の他の各企業のESGの評価項目毎のスコアに基づく同じ産業の業種の複数の企業内での順位に基づいて、前記スコアリング手段により算出されたESGの評価項目毎のスコアを補正し、前記記憶部に記憶されている前記テーブルに基づいて、補正されたスコアに対して前記受付手段により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることによりESGの評価項目毎の修正スコアを算出し、
前記出力手段は、前記重み付け手段により算出されたSDGsおよびESGの各々についての評価項目毎の修正スコアおよびSDGsおよびESGの各々についての全ての評価項目の修正スコアを合計した合計スコアのうち少なくとも何れかを出力する、企業活動評価システム。
【請求項8】
コンピュータを、受付手段、スコアリング手段、重み付け手段および出力手段として機能させるプログラムであって、
SDGsおよびESGの各々に関する質問項目毎の基準スコアと、産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルと、を記憶部に記憶させるとともに、過去に算出された複数の企業のSDGsおよびESGの各々の評価項目毎のスコアを前記記憶部に記憶させ、
ESGに関する各評価項目についての複数の質問事項がSDGsの企業活動の評価でも用いられるようになっており、
前記受付手段は、SDGsおよびESGに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を受け付け、
前記スコアリング手段は、質問事項およびそれに対する前記回答についてSDGsおよびESGのそれぞれの評価項目が対応していることに基づき、SDGsおよびESGに関する質問項目毎の基準スコアに基づいて、前記受付手段が受け付けた前記回答に基づいてSDGsの評価項目毎のスコアおよびESGの評価項目毎のスコアをそれぞれ算出し、
前記重み付け手段は、過去に算出された同じ産業の業種の他の各企業のSDGsの評価項目毎のスコアに基づく同じ産業の業種の複数の企業内での順位に基づいて、前記スコアリング手段により算出されたSDGsの評価項目毎のスコアを補正し、補正されたスコアに対して前記受付手段により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることによりSDGsの評価項目毎の修正スコアを算出するとともに、過去に算出された同じ産業の業種の他の各企業のESGの評価項目毎のスコアに基づく同じ産業の業種の複数の企業内での順位に基づいて、前記スコアリング手段により算出されたESGの評価項目毎のスコアを補正し、補正されたスコアに対して前記受付手段により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることによりESGの評価項目毎の修正スコアを算出し、
前記出力手段は、前記重み付け手段により算出されたSDGsおよびESGの各々についての評価項目毎の修正スコアおよびSDGsおよびESGの各々についての全ての評価項目の修正スコアを合計した合計スコアのうち少なくとも何れかを出力する、プログラム。
【請求項9】
コンピュータにより行われる企業活動評価方法であって、
ESGに関する各評価項目についての複数の質問事項がSDGsの企業活動の評価でも用いられるようになっており、
SDGsおよびESGの各々に関する質問項目毎の基準スコアと、産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルと、を記憶部に記憶させるとともに、過去に算出された複数の企業のSDGsおよびESGの各々の評価項目毎のスコアを前記記憶部に記憶させる工程と、
SDGsおよびESGに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を受け付ける工程と、
質問事項およびそれに対する前記回答についてSDGsおよびESGのそれぞれの評価項目が対応していることに基づき、SDGsおよびESGに関する質問項目毎の基準スコアに基づいて、受け付けた前記回答に基づいてSDGsの評価項目毎のスコアおよびESGの評価項目毎のスコアをそれぞれ算出する工程と、
過去に算出された同じ産業の業種の他の各企業のSDGsの評価項目毎のスコアに基づく同じ産業の業種の複数の企業内での順位に基づいて、算出されたSDGsの評価項目毎のスコアを補正し、補正されたスコアに対して受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることによりSDGsの評価項目毎の修正スコアを算出するとともに、過去に算出された同じ産業の業種の他の各企業のESGの評価項目毎のスコアに基づく同じ産業の業種の複数の企業内での順位に基づいて、算出されたESGの評価項目毎のスコアを補正し、補正されたスコアに対して受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることによりESGの評価項目毎の修正スコアを算出する工程と、
算出されたSDGsおよびESGの各々についての評価項目毎の修正スコアおよびSDGsおよびESGの各々についての全ての評価項目の修正スコアを合計した合計スコアのうち少なくとも何れかを出力する工程と、
を備えた、企業活動評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業活動評価装置、企業活動評価システム、プログラムおよび企業活動評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な開発のために必要不可欠である新たな行動計画として「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が2015年9月25日の国連総会で採択された。この中で、持続可能な開発目標(SDGs)として17の世界的目標と169の達成基準が示された。また、持続可能な世界の実現のために、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉であるESGに配慮した取り組みが各企業で求められている。
【0003】
SDGsやESGに関する企業活動の取り組みを評価するシステムとして例えば特許文献1乃至3に開示されるものが従来から知られている。特許文献1には、SDGsのいずれかの目標のターゲットが記述されたテキストデータに関する特徴量を計算することにより、企業のサービスがSDGsの目標に寄与する程度を評価する評価装置が開示されている。また、特許文献2には、環境経営に取り組むための企業活動評価を効率よく、簡単に実現することができる企業活動評価システムが開示されている。また、特許文献3には、一つ以上の企業の各々について貢献スコアを算出することを含むスコア算出を行い、貢献スコアの提供であるスコア提供を行うことにより、経済的な豊かさと精神的な豊かさの両立を支援するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-135726号公報
【文献】特許第6896315号
【文献】特開2020-170433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SDGsやESGに関する従来の企業活動評価システムでは、企業に対する具体的な質問等のヒアリングが行われていなかったため、企業活動の評価を精度良く行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、企業活動の評価を精度良く行うことができる企業活動評価装置、企業活動評価システム、プログラムおよび企業活動評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の企業活動評価装置は、
プログラムを実行することにより受付手段、スコアリング手段、重み付け手段および出力手段として機能する制御部と、
SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目毎の基準スコアと、産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルと、を記憶する記憶部と、
を備え、
前記受付手段は、外部の端末装置からSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を受け付け、
前記スコアリング手段は、前記記憶部に記憶されている質問項目毎の基準スコアに基づいて、前記受付手段が受け付けた前記回答に基づいてSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかの評価項目毎のスコアを算出し、
前記重み付け手段は、前記記憶部に記憶されている前記テーブルに基づいて、前記スコアリング手段により算出された評価項目毎のスコアに、前記受付手段により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることにより評価項目毎の修正スコアを算出し、
前記出力手段は、前記重み付け手段により算出された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかを出力することを特徴とする。
【0008】
本発明の企業活動評価システムは、
プログラムを実行することにより受付手段、スコアリング手段、重み付け手段および出力手段として機能する制御部と、
SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目毎の基準スコアと、産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルと、を記憶する記憶部と、
SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を入力するための端末装置と、
を備え、
前記受付手段は、前記端末装置からSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を受け付け、
前記スコアリング手段は、前記記憶部に記憶されている質問項目毎の基準スコアに基づいて、前記受付手段が受け付けた前記回答に基づいてSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかの評価項目毎のスコアを算出し、
前記重み付け手段は、前記記憶部に記憶されている前記テーブルに基づいて、前記スコアリング手段により算出された評価項目毎のスコアに、前記受付手段により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることにより評価項目毎の修正スコアを算出し、
前記出力手段は、前記重み付け手段により算出された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかを出力することを特徴とする。
【0009】
本発明のプログラムは、コンピュータを、受付手段、スコアリング手段、重み付け手段および出力手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を受け付け、
前記スコアリング手段は、SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目毎の基準スコアに基づいて、前記受付手段が受け付けた前記回答に基づいてSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかの評価項目毎のスコアを算出し、
前記重み付け手段は、産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルに基づいて、前記スコアリング手段により算出された評価項目毎のスコアに、前記受付手段により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることにより評価項目毎の修正スコアを算出し、
前記出力手段は、前記重み付け手段により算出された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかを出力することを特徴とする。
【0010】
本発明の企業活動評価方法は、コンピュータにより行われる企業活動評価方法であって、
SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を受け付ける工程と、
SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目毎の基準スコアに基づいて、受け付けた前記回答に基づいてSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかの評価項目毎のスコアを算出する工程と、
産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルに基づいて、算出された評価項目毎のスコアに、受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることにより評価項目毎の修正スコアを算出する工程と、
算出された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかを出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の企業活動評価方法は、コンピュータにより行われる企業活動評価方法であって、
SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を受け付ける工程と、
受け付けた前記回答に基づいて、受け付けた産業の業種も参照して、SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかの評価項目毎のスコアを算出する工程と、
算出された評価項目毎のスコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかを出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の企業活動評価装置、企業活動評価システム、プログラムおよび企業活動評価方法によれば、企業活動の評価を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態による企業活動評価システムの構成を示すブロック図である。
図2図1に示す企業活動評価システムにより行われる企業活動評価方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<企業活動評価システム1の概要>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態による企業活動評価システム1の構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示す企業活動評価システム1により行われる企業活動評価方法の流れを示すフローチャートである。
【0015】
本実施の形態による企業活動評価システム1は、企業活動評価装置2、利用者端末装置3および銀行側端末装置4から構成されている。これらの企業活動評価装置2、利用者端末装置3および銀行側端末装置4は、インターネット回線等の通信ネットワーク5を介して互いに通信可能に接続されている。企業活動評価装置2、利用者端末装置3および銀行側端末装置4は、例えばコンピュータ等である。企業活動評価装置2は、例えばシステム会社の管理室等に設置されている。また、利用者端末装置3は、企業活動の評価が行われる企業のオフィス等に設置されており、銀行側端末装置4は、企業活動の評価を行う銀行のオフィス等に設置されている。利用者端末装置3および銀行側端末装置4の構成の詳細については説明を省略する。なお、銀行側端末装置4の代わりに、企業活動の評価を行う会社の端末等が通信ネットワーク5を介して企業活動評価装置2に通信可能に接続されていてもよい。この場合は後述する企業活動の評価は銀行側端末装置4の代わりに企業活動の評価を行う会社の端末により行われる。
【0016】
図1に示すように、企業活動評価装置2は、制御部22、記憶部24およびネットワークインターフェース26を有している。記憶部24およびネットワークインターフェース26は、バス28等を介して制御部22と電気的に接続されている。
【0017】
制御部22は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、企業活動評価装置2の動作を制御する。具体的には、制御部22は、後述する記憶部24に記憶されている各種プログラムを実行することにより、受付手段221、スコアリング手段222、重み付け手段223、出力手段224、質問項目表示指示手段225、送信手段226、相対評価手段227および重み修正手段228として機能する。受付手段221は、外部の端末装置(例えば、利用者端末装置3や銀行側端末装置4)から様々な情報を受け付ける。スコアリング手段222は、後述する記憶部24に記憶されている質問項目毎の基準スコアに基づいて、受付手段221が受け付けた回答に基づいてSDGsおよびESGの評価項目毎のスコアを算出する。重み付け手段223は、後述する記憶部24に記憶されているテーブルに基づいて、スコアリング手段222により算出された評価項目毎のスコアに、受付手段221により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることにより評価項目毎の修正スコアを算出する。出力手段224は、重み付け手段223により算出された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアを出力する。
【0018】
質問項目表示指示手段225は、外部の端末装置から評価開始指示を受付手段221が受け付けると、外部の端末装置に対して質問項目を表示させる指示信号を送信する。送信手段226は、外部の端末装置に対して様々な情報を送信する。相対評価手段227は、記憶部24に記憶されている各企業の評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアに基づいて、出力手段224により出力された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアについて受付手段221により受け付けた産業の業種の複数企業内での相対評価を行う。重み修正手段228は、受付手段221が産業の業種毎の各評価項目の重みの修正に関する情報を受け付けると、記憶部24に記憶されている、産業の業種毎の各評価項目の重みを修正する。これらの各手段の機能の詳細については後述する。
【0019】
なお、制御部22により実行されるプログラムは記憶部24に記憶されているものに限定されない。企業活動評価装置2に取り付けられたUSBメモリ等の記録媒体に記憶されているプログラムや、外部装置から企業活動評価装置2に送信されたプログラム等を制御部22が実行することによって当該制御部22が受付手段221、スコアリング手段222、重み付け手段223、出力手段224、質問項目表示指示手段225、送信手段226、相対評価手段227および重み修正手段228として機能するようになっていてもよい。
【0020】
記憶部24は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)またはSSD(Solid State Drive)等から構成されている。記憶部24には、制御部22により実行される各種プログラムが記憶されている。
【0021】
また、記憶部24には、SDGsおよびESGの各々に関する質問項目毎の基準スコアが記憶されている。具体的には、ESGに関する評価項目としては、環境(Environment)に関する評価項目として3つ、社会(Social)に関する評価項目として4つ、ガバナンス(Governance)に関する評価項目として3つからなる合計10つの評価項目がある。また、ESGに関する各評価項目について複数の質問事項がある。また、SDGsに関する評価項目としては、1.貧困をなくそう、2.飢餓をゼロに、・・・、17.パートナーシップで目標を達成しよう、等の17つの評価項目があり、上述したESGに関する各評価項目についての複数の質問事項がSDGsの企業活動の評価でも用いられるようになっている。ここで、ESGについては1つの質問事項およびそれに対する回答について1つの評価項目が対応している。一方、SDGsについては、1つの質問事項およびそれに対する回答が複数のSDGsの評価項目に対応している。記憶部24には、SDGsおよびESGの各々に関する質問項目毎の基準スコアが記憶されている。SDGsについては、ある質問事項に対して「はい」と回答した場合に1または複数の評価項目について基準スコアに基づいてスコアの加算が行われる。なお、SDGsについてはどの評価項目についてもスコアの加算が行われない質問項目がある。
【0022】
また、記憶部24には、SDGsおよびESGの各々に関する産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルが記憶されている。産業の種別として運輸・物流、エネルギー資源、・・・、不動産、等の複数の種別が予め設定されており、各産業の種別についてESGに関する各評価項目の重みが設定されている。SDGsについても同様に産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルが決められており、このテーブルが記憶部24に記憶されている。
【0023】
また、記憶部24には、過去に算出された複数の企業の評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアが、各企業の産業の業種に紐付けられて記憶されている。
【0024】
<企業活動評価方法について>
次に、本実施の形態の企業活動評価システム1による企業活動評価方法について図2に示すフローチャートを用いて説明する。本実施の形態の企業活動評価システム1による企業活動評価方法は、企業活動の評価が行われる企業の担当者が利用者端末装置3を操作することにより、または企業活動の評価が行われる企業に対してヒアリング調査を行った銀行の担当者が銀行側端末装置4を操作することにより行われる。
【0025】
まず、企業活動の評価が行われる企業の担当者またはヒアリング調査を行った銀行の担当者が利用者端末装置3または銀行側端末装置4により評価開始の指示を入力すると、利用者端末装置3や銀行側端末装置4から企業活動評価装置2に評価開始指示が送信される。企業活動評価装置2の受付手段221が評価開始指示を受け付けると(STEP1の「YES」)、質問項目表示指示手段225は、評価開始指示の送信元の利用者端末装置3や銀行側端末装置4に対して質問項目を表示させる指示信号を送信する(STEP2)。このことにより、利用者端末装置3や銀行側端末装置4のモニタには、複数の質問項目が表示されるとともに、各質問項目に対して「はい」「いいえ」の回答が可能になる。そして、企業活動の評価が行われる企業の担当者またはヒアリング調査を行った銀行の担当者が利用者端末装置3または銀行側端末装置4により各質問項目に対する回答を入力するとともに産業の業種を入力すると、入力された各質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報が利用者端末装置3や銀行側端末装置4から企業活動評価装置2に送信される。
【0026】
企業活動評価装置2の受付手段221が利用者端末装置3や銀行側端末装置4から各質問項目に対する回答および産業の業種に関する情報を受け付けると(STEP3の「YES」)、スコアリング手段222は、SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかの評価項目毎のスコアを算出する(STEP4)。本実施の形態では、SDGsおよびESGの両方の評価項目毎のスコアを算出する。例えば、ESGについては、「はい」の回答があった質問項目について記憶部24に記憶されている基準スコアを加算することにより、スコアリング手段222は評価項目毎の合計スコアを算出する。同様に、スコアリング手段222は、SDGsについても評価項目毎のスコアを算出する。なお、SDGsに関しては、ある質問事項に対して「はい」と回答した場合に1または複数の評価項目について基準スコアに基づいてスコアの加算が行われる。また、上述したように、SDGsについてはどの評価項目についてもスコアの加算が行われない質問項目がある。
【0027】
次に、重み付け手段223が、記憶部24に記憶されているテーブルに基づいて、スコアリング手段222により算出された評価項目毎のスコアに、受付手段221により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることにより評価項目毎の修正スコアを算出する(STEP5)。具体的には、まず、記憶部24に記憶されている、同じ産業の業種の他の各企業の評価項目毎のスコアに基づいて(具体的には、同じ産業の業種の複数の企業内での順位に基づいて)、スコアリング手段222により算出された評価項目毎のスコアが補正される。そして、補正されたスコアに対して産業の種別毎の各評価項目の重みを掛けることにより修正スコアが算出される。このようにして、ESGの各評価項目の修正スコアが算出される。同様に、SDGsについても各評価項目の修正スコアが重み付け手段223により算出される。そして、出力手段224は、重み付け手段223により算出された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかを出力する(STEP6)。本実施の形態では、評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアの両方を出力手段224が出力する。
【0028】
また、相対評価手段227は、記憶部24に記憶されている各企業の評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかに基づいて、出力手段224により出力された評価項目毎の修正スコアまたは全ての評価項目の合計スコアについて全ての企業内または受付手段221により受け付けた産業の業種に関する複数の企業内での相対評価を行う(STEP7)。具体的には、相対評価手段227は、同じ業種内での複数の企業内での順位や偏差値等を算出する。相対評価手段227により算出された情報も出力手段224により出力される。同様に、SDGsについても相対評価手段227により全ての企業内または受付手段221により受け付けた産業の業種に関する複数の企業内での相対評価が行われる。
【0029】
送信手段226は、出力手段224により出力された情報を外部の端末装置(例えば、利用者端末装置3や銀行側端末装置4)に送信する。ここで、送信手段226は、評価開始指示が送られた端末装置に対して出力手段224により出力された情報を送信してもよい。あるいは、利用者端末装置3から企業活動評価装置2に対して評価開始指示が送信され、この利用者端末装置3に入力された回答や産業の業種に関する情報が企業活動評価装置2に送信された場合に、出力手段224により出力された情報が企業活動評価装置2から銀行側端末装置4に送信されてもよい。出力手段224により出力された情報を受け付けた利用者端末装置3または銀行側端末装置4では、この情報をプリンター等で印刷したり、利用者端末装置3または銀行側端末装置4のモニタに表示させたりすることにより、企業活動の評価が行われる企業の担当者や、ヒアリング調査を行った銀行の担当者はESGやSDGsに関する企業活動の評価を知ることができるようになる。なお、企業活動評価装置2において出力手段224により出力された情報がこの企業活動評価装置2に接続されているプリンター等で印刷され、印刷された資料が企業の担当者に手渡されてもよい。また、出力手段224により出力された、評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアは記憶部24に記憶される。このことにより、次に別の企業の企業活動の評価を行うときに、この企業の評価項目毎の修正スコアや合計スコアも参照して相対評価を行うことができるようになる。
【0030】
また、企業活動評価装置2の管理者は、記憶部24に記憶されているテーブルにおける産業の業種毎の各評価項目の重みを変更することができるようになっている。受付手段221が、産業の業種毎の各評価項目の重みの修正に関する情報を受け付けると、重み修正手段228は、記憶部24に記憶されているテーブルにおける産業の業種毎の各評価項目の重みを修正する。このようにして、企業活動の評価をより的確に行うことができるようになる。
【0031】
以上のような構成からなる本実施の形態の企業活動評価装置2、企業活動評価システム1および企業活動評価方法によれば、記憶部24に記憶されている質問項目毎の基準スコアに基づいて、受付手段221が受け付けた各質問項目に対する回答に基づいてSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかの評価項目毎のスコアを算出し、重み付け手段223は、記憶部24に記憶されているテーブルに基づいて、スコアリング手段222により算出された評価項目毎のスコアに、受付手段221により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることにより評価項目毎の修正スコアを算出し、出力手段224は、重み付け手段223により算出された評価項目毎の修正スコアおよび全ての評価項目の合計スコアのうち少なくとも何れかを出力する。この場合には、企業に対して複数の質問を行い、各質問項目に対する回答に基づいてこの企業が属する産業の業種も参照して評価項目毎のスコアや合計スコアを算出することにより、企業活動の評価を精度良く行うことができる。具体的には、同じ質問項目であっても、様々な産業の業種について、各評価項目で重視する業種と重視しない業種がある。このように産業の業種を無視して単に各質問項目に対する回答に基づいて企業活動の評価を行っても社会の実情に合わない場合がある。一方で、産業の業種毎に質問項目を変える場合は評価側にとって非常に手間がかかるという問題がある。本実施の形態では、各質問項目に対する回答に基づいてこの企業が属する産業の業種も参照して評価項目毎のスコアや合計スコアを算出するため、このような問題が生じることを防止することができる。
【0032】
なお、本実施の形態による企業活動評価装置2や企業活動評価方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0033】
例えば、企業活動評価装置2が評価項目毎のスコアや合計スコアを算出するにあたり、上記の説明では、記憶部24に記憶されている質問項目毎の基準スコアに基づいて、受付手段221が受け付けた回答に基づいてSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかの評価項目毎のスコアを算出し、その後、記憶部24に記憶されているテーブルに基づいて、算出された評価項目毎のスコアに、受付手段221により受け付けた産業の業種に対応する重みを掛けることにより評価項目毎の修正スコアを算出する例について述べたが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。企業に対して複数の質問を行い、ヒアリングを行ったり企業から証憑の提出をさせたりすることで回答の確からしさを担保し、各質問項目に対する回答に基づいてこの企業が属する産業の業種も参照して評価項目毎のスコアや合計スコアを算出する方法であれば、上述した本実施の形態の方法以外の方法により企業活動の評価を行ってもよい。具体的には、記憶部24にはSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目毎の基準スコアが産業の業種毎に記憶されており、スコアリング手段222は、記憶部24に記憶されている同じ産業の質問項目毎の基準スコアに基づいて、受付手段221が受け付けた回答に基づいてSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかの評価項目毎のスコアを算出してもよい。このように、企業に対して複数の質問を行い、各質問項目に対する回答に基づいてこの企業が属する産業の業種も参照して評価項目毎のスコアや合計スコアを算出する方法として様々な方法が考えられる。
【0034】
また、図1に示す例ではSDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目毎の基準スコアと、産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルとを記憶する記憶部24が企業活動評価装置2に設けられている態様について述べたが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。SDGsおよびESGのうち少なくとも何れかに関する質問項目毎の基準スコアや、産業の業種毎の各評価項目の重みのテーブルが企業活動評価装置2とは別の外部装置の記憶部に記憶されていたり、これらの基準スコアやテーブルがクラウドサービスに記憶されていたりしてもよい。この場合は、制御部22は、スコアリング手段222により評価項目毎のスコアを算出したり重み付け手段223により評価項目毎のスコアを修正したりする際に、外部装置やクラウドサービスに記憶されている基準スコアやテーブルの読み込みを行うことにより、これらの基準スコアやテーブルを参照する。
【符号の説明】
【0035】
1 企業活動評価システム
2 企業活動評価装置
3 利用者端末装置
4 銀行側端末装置
5 通信ネットワーク
22 制御部
24 記憶部
26 ネットワークインターフェース
28 バス
221 受付手段
222 スコアリング手段
223 重み付け手段
224 出力手段
225 質問項目表示指示手段
226 送信手段
227 相対評価手段
228 重み修正手段
図1
図2