IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中外炉工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-粉体熱処理バーナ 図1
  • 特許-粉体熱処理バーナ 図2
  • 特許-粉体熱処理バーナ 図3
  • 特許-粉体熱処理バーナ 図4
  • 特許-粉体熱処理バーナ 図5
  • 特許-粉体熱処理バーナ 図6
  • 特許-粉体熱処理バーナ 図7
  • 特許-粉体熱処理バーナ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】粉体熱処理バーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/58 20060101AFI20230829BHJP
   F23D 14/22 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
F23D14/58 A
F23D14/22 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021157800
(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公開番号】P2023048471
(43)【公開日】2023-04-07
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】丁 驍騰
(72)【発明者】
【氏名】谷山 公勇
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-107828(JP,A)
【文献】特開2004-344797(JP,A)
【文献】特開2006-076826(JP,A)
【文献】特開2009-092254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/00-14/84
B01J 2/00-2/30,19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体がキャリアガスで圧送される粉体圧送流路を形成する粉体圧送管と、
該粉体圧送管の外回りを包囲して設けられ、該粉体圧送管との間に、粉体分散用の分散ガスが圧送される分散ガス流路を形成する内管と、
該内管の外回りを包囲して設けられ、該内管との間に、燃料ガス流路を形成する中管と、
該中管の外回りを包囲して設けられ、該中管との間に、支燃ガス流路を形成する外管と、
上記粉体圧送管の管端部に位置され、粉体を、上記粉体圧送管から上記内管を介して噴出させるための粉体噴出孔を有し、かつ、上記分散ガス流路の終端を画定するノズルパーツと、
上記分散ガス流路を上記粉体圧送流路に連通させ、分散ガスを該粉体圧送流路内に向けて噴射させるガス噴射孔とを備えたことを特徴とする粉体熱処理バーナ。
【請求項2】
前記ノズルパーツには、粉体分散体が前記粉体圧送管内方へ突設されることを特徴とする請求項1記載の粉体熱処理バーナ。
【請求項3】
前記内管内には、該内管の断面積を狭めて粉体の流速を増速するための粉体増速部材が設けられることを特徴とする請求項1または2記載の粉体熱処理バーナ。
【請求項4】
前記ノズルパーツには、前記粉体圧送管の前記管端部との間に前記ガス噴射孔を区画形成する筒状部が設けられることを特徴とする請求項1~3いずれかの項に記載の粉体熱処理バーナ。
【請求項5】
前記ノズルパーツは、前記内管の内周に着脱自在に螺合されることを特徴とする請求項1~4いずれかの項に記載の粉体熱処理バーナ。
【請求項6】
前記中管は、前記燃料ガス流路に代えて、前記支燃ガス流路を形成し、前記外管は、前記支燃ガス流路に代えて、前記燃料ガス流路を形成することを特徴とする請求項1~5いずれかの項に記載の粉体熱処理バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体の凝集を抑制し、分散状態で粉体を熱処理することが可能な粉体熱処理バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼火炎中に無機質の粉体を通過させ、微細な機能性材料を形成する粉体熱処理バーナとして、例えば特許文献1~4が知られている。
【0003】
特許文献1の「無機質球状化粒子製造用バーナおよびそのバーナ装置」は、先端に内面が末広がり形状の開口を有する原料粉体供給管の外周部に所定間隔をもって先端に内面が末広がり形状の開口を有する第1供給管を配設して前記原料粉体供給管との間に燃料ガス流路を形成するとともに、前記第1供給管の外周部に所定間隔をもって先端に直進部を有し、かつ、冷却水循環流路を備えた第2供給管を配設して前記第1供給管と第2供給管との間に酸素あるいは酸素富化空気からなる燃焼用気体流路を形成し、前記原料粉体供給管、燃料ガス流路および燃焼用気体流路を、前記第2供給管の先端部で、かつ、前記燃焼用気体流路より前方に開口するように設けた凹部からなる保炎部の底部に開口させて構成されている。
【0004】
特許文献2の「無機質球状化粒子製造用バーナ、無機質球状化粒子製造装置、及び無機質球状化粒子の製造方法」は、ノズル部の先端の中央に設けられ、かつキャリアガスに輸送された無機質原料粉体を輸送する原料粉体輸送孔と、原料粉体輸送孔に配置された溝幅変更部材と、原料粉体輸送孔に露出されたノズル部の先端の面と溝幅変更部材の先端部との間に設けられた環状の溝であり、かつ燃焼室にキャリアガスにより輸送された無機質原料粉体を噴出する原料粉体噴出用溝と、を有し、ノズル部の先端面に露出された原料粉体噴出用溝の幅を変更可能な構成としている。
【0005】
特許文献3の「無機質球状化粒子製造用バーナ」は、無機質球状化粒子製造用バーナであって、キャリアガスに同伴された原料粉体を供給する第一原料供給路と、この第一原料供給路の外周に設けられて燃料ガスを供給する燃料供給路と、この燃料供給路の外周に設けられて酸素含有ガスを供給する第一酸素供給路と、この第一酸素供給路の外周に設けられてキャリアガスに同伴された原料粉体を供給する第二原料供給路と、この第二原料供給路の外周に設けられて酸素含有ガスを供給する第二酸素供給路と、前記第一原料供給路の先端に多数の小孔が形成された粉体分散板を介して接続された原料分散室と、この原料分散室に接続され出口側が拡径した燃焼室とを備え、前記燃焼室の円錐状壁面に、燃料供給路、第一酸素供給路、第二原料供給路、第二酸素供給路の先端がそれぞれ開口しており、前記燃料供給路の開口部が、燃焼室の壁面からバーナ中心軸に対して並行に燃料を噴出する噴出孔であり、前記第一酸素供給路の開口部が、燃焼室の壁面から燃焼室内に旋回流を形成する方向に酸素含有ガスを噴出する第一酸素噴出孔であり、前記第二原料供給路の開口部が、第一酸素供給孔よりバーナ先端側に開口する噴出孔であり、前記第二酸素供給路の開口部が、第二原料噴出孔よりバーナ先端側に開口する噴出孔であるように構成されている。
【0006】
特許文献4の「無機質球状化粒子製造用バーナ装置」は、筒状部材の端部で環状に形成されて環状の燃焼ガスを噴射する環状バーナと、環状バーナの内周に配置されて、筒状部材の端部近傍で開口する筒状の原料供給管は、環状バーナの内周で同軸的に配置された円筒状の部材で形成され、原料供給管が開口する端部には、内部を通過する無機質粉体原料の上流から下流に向けて流路断面積を徐々に縮小する円錐状のコーンが配置されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3001561号公報
【文献】特開2012-193918号公報
【文献】特開2010-36097号公報
【文献】特開2006-76826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
細かな粉体は、凝集しやすく、特許文献1~3のバーナでは、得られる粒径が大きくなってしまって、目的とする製品が得られないことがある。
【0009】
特許文献4では、円錐状のコーンを備え、これに凝集した粉体を衝突させて分散させるようにしている。
【0010】
しかしながら、衝突させるだけでは、凝集した粉体を十分に分散させることが難しいという課題があった。
【0011】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、粉体の凝集を抑制し、分散状態で粉体を熱処理することが可能な粉体熱処理バーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる粉体熱処理バーナは、粉体がキャリアガスで圧送される粉体圧送流路を形成する粉体圧送管と、該粉体圧送管の外回りを包囲して設けられ、該粉体圧送管との間に、粉体分散用の分散ガスが圧送される分散ガス流路を形成する内管と、該内管の外回りを包囲して設けられ、該内管との間に、燃料ガス流路を形成する中管と、該中管の外回りを包囲して設けられ、該中管との間に、支燃ガス流路を形成する外管と、上記粉体圧送管の管端部に位置され、粉体を、上記粉体圧送管から上記内管を介して噴出させるための粉体噴出孔を有し、かつ、上記分散ガス流路の終端を画定するノズルパーツと、上記分散ガス流路を上記粉体圧送流路に連通させ、分散ガスを該粉体圧送流路内に向けて噴射させるガス噴射孔とを備えたことを特徴とする。
【0013】
前記ノズルパーツには、粉体分散体が前記粉体圧送管内方へ突設されることを特徴とする。
【0014】
前記内管内には、該内管の断面積を狭めて粉体の流速を増速するための粉体増速部材が設けられることを特徴とする。
【0015】
前記ノズルパーツには、前記粉体圧送管の前記管端部との間に前記ガス噴射孔を区画形成する筒状部が設けられることを特徴とする。
【0016】
前記ノズルパーツは、前記内管の内周に着脱自在に螺合されることを特徴とする。
【0017】
前記中管は、前記燃料ガス流路に代えて、前記支燃ガス流路を形成し、前記外管は、前記支燃ガス流路に代えて、前記燃料ガス流路を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる粉体熱処理バーナにあっては、粉体の凝集を抑制し、分散状態で粉体を熱処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る粉体熱処理バーナの第1実施形態を示す側断面図である。
図2図1中、A-A線矢視断面図である。
図3】本発明に係る粉体熱処理バーナの第2実施形態を示す側断面図である。
図4図1中、B-B線矢視断面図である。
図5】本発明に係る粉体熱処理バーナの第3実施形態を示す側断面図である。
図6図5に示した粉体熱処理バーナに備えられる粉体増速部材の他の例を示す側断面図である。
図7】本発明に係る粉体熱処理バーナの第4実施形態を示す側断面図である。
図8】本発明に係る粉体熱処理バーナの第5実施形態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る粉体熱処理バーナの好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態に係る粉体熱処理バーナは、例えばシリカなどの無機質の粉体(以下、粉体という)を燃焼火炎中に供給して、機能性材料となる球状シリカなどの焼成体を製造するものである。
【0021】
第1実施形態にかかる粉体熱処理バーナ1は図1及び図2に示すように、粉体圧送管2と、粉体圧送管2の外回りを包囲して設けられる内管3と、内管3の外回りを包囲して設けられる中管4と、中管4の外回りを包囲して設けられる外管5とから多重管構造で構成されたバーナノズル1aを備える。
【0022】
バーナノズル1aの中央に配置される粉体圧送管2は、粉体が、例えば空気などのキャリアガスで圧送される粉体圧送流路2aを形成する。
【0023】
粉体圧送管2の外側には、内管3、中管4、並びに外管5が、粉体圧送管2の管軸と同軸で配置され、粉体圧送管2と内管3、内管3と中管4、中管4と外管5とは、それらの外周面と内周面とが互いに間隔を空けて設けられる。
【0024】
内管3と粉体圧送管2との間には、粉体を分散させるための分散ガスが圧送される分散ガス流路3aが形成される。中管4と内管3との間には、燃料ガスが供給される燃料ガス流路4aが形成される。外管5と中管4との間には、燃料ガスを燃焼させるための空気または酸素などの支燃ガスが供給される支燃ガス流路5aが形成される。
【0025】
中管4と内管3との間を、支燃ガス流路5aとし、外管5と中管4との間を、燃料ガス流路4aとしてもよい。
【0026】
以下の説明では、各流路2a~5aに流れるガスの流れ方向に依拠して、上流側や下流側の語を用いる。
【0027】
バーナノズル1aに配置される内管3、中管4及び外管5の管端部位置は、ほぼ揃えて配置される。
【0028】
粉体圧送管2は内管3内方に納まるように、当該粉体圧送管2の管端部2b位置が、内管3、中管4及び外管5の管端部位置よりも上流側に配置される。
【0029】
粉体圧送管2先端の管端部2bには、当該管端部2bに当接させて、円盤状のノズルパーツ6が配置される。
【0030】
ノズルパーツ6は、外周面に雄ネジ6aが形成される。ノズルパーツ6の雄ネジ6aは、内管3の管端部の内周面に形成された雌ネジ3bに、着脱自在に螺合される。
【0031】
ノズルパーツ6の中央には、粉体を、当該粉体圧送管2から内管3を介して、バーナノズル1a外方へ噴出させるための粉体噴出孔6bが形成される。
【0032】
ノズルパーツ6を内管3に螺合し、粉体圧送管2の管端部2bに当接させると、内管3と粉体圧送管2との間の分散ガス流路3aは、ノズルパーツ6により閉塞される。すなわち、ノズルパーツ6は、分散ガス流路3aの下流側における終端を画定する。
【0033】
粉体圧送管2には、当該粉体圧送管2の外側の分散ガス流路3aを、粉体圧送管2の内側の粉体圧送流路2aに連通させ、分散ガスを粉体圧送流路2a内に向けて噴射させるガス噴射孔2cが設けられる。ガス噴射孔2cは、粉体圧送管2の管壁を貫通して形成される。ガス噴射孔2cは図示例では、粉体圧送管2の周方向に等間隔で8か所設けられている。
【0034】
ガス噴射孔2cは、粉体圧送管2の管軸(中心)に向けて、かつ、上流側から下流側の粉体噴出孔6bに向けて、斜め向きに形成されている。
【0035】
ガス噴射孔2cは、必ずしも傾斜させて形成しなくてもよい。ガス噴射孔2cは、粉体圧送管2内の粉体圧送流路2a中を圧送される粉体を効率よく分散させるために、例えば、粉体圧送管2の管軸方向と直交する傾斜角0°の向きから、下流側へ向けて傾斜角85°の範囲内で形成することが望ましい。
【0036】
第1実施形態に係る粉体熱処理バーナ1の作用について説明すると、燃料ガス流路4a及び支燃ガス流路5aを通じて供給される燃料ガスと支燃ガスとにより、バーナノズル1aで燃焼火炎が生成されると共に、粉体がキャリアガスにより、粉体圧送流路2aを通じて圧送されて粉体噴出孔6bからバーナノズル1a内へ噴出され、これにより、粉体を燃焼火炎内に供給し熱処理して、球状シリカなどの焼成体が製造される。
【0037】
この際、分散ガス流路3aを通じて圧送される分散ガスが、ガス噴射孔2cから粉体圧送流路2a内に向けて噴射される。
【0038】
ガス噴射孔2cから噴射される分散ガスは、粉体圧送流路2a内の、粉体を含むキャリアガスに、粉体噴出孔6bに到達するよりも前に衝突する。
【0039】
分散ガスのキャリアガスへの衝突により、もしくは分散ガスの噴射気流により、キャリアガス中の粉体は、その凝集が抑制され、また、凝集している粉体が、分散ガスの衝突や気流によって解砕され、これにより、粉体を、細かい分散状態で粉体噴出孔6bから噴出させて燃焼火炎に供給することができる。
【0040】
このように第1実施形態にかかる粉体熱処理バーナ1では、分散ガス流路3aからガス噴射孔2cを経て粉体圧送流路2a内へ噴射するようにした分散ガスによる解砕作用によって、粉体の細かな分散状態を確保することができ、当該粉体を適切に熱処理することができる。
【0041】
ガス噴射孔2cは、粉体噴出孔6bに向けて傾斜しているので、噴射される分散ガスのガス流により、粉体の圧送が妨げられることなく、粉体の分散化を効率よく促進することができる。
【0042】
図3及び図4には、本発明にかかる粉体熱処理バーナの第2実施形態が示されている。第2実施形態に係る粉体熱処理バーナ1では、ノズルパーツ6の構成が第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と同一の構成については、その説明を省略する。
【0043】
ノズルパーツ6には、粉体圧送管2内方へ向けて突出させて、粉体分散体7が設けられる。図示例では、粉体分散体7は、ノズルパーツ6に一体に形成されているが、ネジ結合などにより着脱自在としてもよい。
【0044】
粉体分散体7は、円盤状のノズルパーツ6の中央から上流側に向かって先細りに突出する円錐体状に形成される。
【0045】
粉体分散体7を設けたノズルパーツ6では、粉体噴出孔6bは、粉体分散体7と粉体圧送管2との間のスペースに、粉体圧送管2の周方向に間隔を隔てて複数形成される。
【0046】
粉体圧送流路2aを圧送されるキャリアガス中の粉体は、第1実施形態で説明した分散ガスによる解砕に加え、キャリアガスと共に粉体分散体7に衝突し、これにより、粉体の凝集をさらに抑制でき、また、凝集している粉体を、粉体分散体7による追加の機械的衝突によって解砕することができて、粉体を、細かい分散状態で粉体噴出孔6bから噴出させて燃焼火炎に供給することができる。
【0047】
図示例では、粉体分散体7は、円錐体状に形成されているが、粉体を衝突させて機械的に解砕できる限り、その形態はどのようなものであってもよい。
【0048】
円錐体状の粉体分散体7の場合は、上流側から下流側に向かって次第に断面積が大きくなり、粉体噴出孔6bに向かって粉体圧送流路2aが狭められるため、粉体が粉体分散体7に衝突しても、粉体をスムーズに粉体噴出孔6bから噴出させることができる。
【0049】
このような第2実施形態にあっても、第1実施形態が奏する作用効果を発揮することはもちろんである。
【0050】
図5には、本発明にかかる粉体熱処理バーナの第3実施形態が示されている。第3実施形態の粉体熱処理バーナ1では、内管3内に、内管3の断面積を狭めて粉体の流速を増速するための粉体増速部材8が設けられる。以下、第1実施形態と同一の構成については、その説明を省略する。
【0051】
粉体増速部材8は、内管3内に位置するようにして、ノズルパーツ6に設けられる。粉体増速部材8は、図示例では、ノズルパーツ6にネジ結合9により着脱自在に設けるようにしているが、一体に形成してもよい。
【0052】
粉体増速部材8は、粉体噴出孔6bを有するノズルパーツ6よりも下流側で、内管3の断面積を狭め、内管3内のガス流速を高めることができる形態であれば、どのような形態であってもよい。
【0053】
粉体増速部材8は、図示例では、円盤状のノズルパーツ6の中央から下流側に向かって突出する円柱体状に形成されている。
【0054】
粉体増速部材8を設けたノズルパーツ6では、粉体噴出孔6bは、粉体増速部材8と粉体圧送管2との間のスペースに、粉体圧送管2の周方向に間隔を隔てて複数形成される。
【0055】
第3実施形態では、ガス噴射孔2cからの分散ガスにより、細かい分散状態で粉体噴出孔6bから噴出される粉体を、内管3内に配置した粉体増速部材8によって、バーナノズル1aから高速で噴出させることができる。
【0056】
粉体増速部材8として、図5では、ノズルパーツ6の中央に取り付けられる円柱体状のものを例示したが、これとは異なり、図6に示すように、内管3の内径よりも小さな内径で形成され、内管3の内周面に取り付けられる環体状の粉体増速部材8を用いてもよい。
【0057】
この場合の粉体噴出孔6bは、粉体増速部材8に包囲される、当該粉体増速部材8の内方に位置される。
【0058】
図では、粉体増速部材8の内径は、粉体噴出孔6bの内径よりも大きく示されているが、粉体噴出孔6bの内径より小さくてもよい。
【0059】
環体状の粉体増速部材8は、ノズルパーツ6が螺合される内管3の雌ネジ3bに螺合される雄ネジ8aを有し、ノズルパーツ6よりも下流側から螺合されて内管3に着脱自在に設けられる。
【0060】
このような環体状の粉体増速部材8であっても、内管3の断面積を狭めて粉体の流速を増速することができる。
【0061】
粉体増速部材8は、図5に示した円柱体状であっても、図6に示した環体状であっても、ノズルパーツ6や内管3にネジ結合で着脱自在に設けられるので、寸法の異なる複数種類の粉体増速部材8を予め準備しておき、ノズルパーツ6や内管3に付け替えて交換することにより、バーナノズル1aからの粉体の噴出速度を容易かつ自在に調整することができる。
【0062】
このような第3実施形態にあっても、第1実施形態が奏する作用効果を発揮することはもちろんである。
【0063】
図7には、本発明にかかる粉体熱処理バーナの第4実施形態が示されている。第4実施形態にかかる粉体熱処理バーナ1は、いずれもノズルパーツ6に着脱自在に設けられる第2実施形態の粉体分散体7と第3実施形態の粉体増速部材8を組み合わせたものである。
【0064】
このような第4実施形態では、第1実施形態が奏する作用効果はもちろんのこと、第2実施形態及び第3実施形態によって奏される作用効果も発揮することができる。
【0065】
図8には、本発明にかかる第5実施形態が示されている。図示するように、第5実施形態の粉体熱処理バーナ1では、粉体圧送管2の管端部に、当該粉体圧送管2の外径が下流側に向かって窄められるように、斜め傾斜の第1テーパ部2dが粉体圧送管2の全周に亘って形成され、その部分が管端部2bとなる。
【0066】
他方、ノズルパーツ6には、粉体圧送管2の管軸と同軸で、かつ粉体圧送管2の内径及び外径と同一寸法の筒状部6cが一体で形成され、粉体圧送管2の第1テーパ部2dと向かい合う筒状部6cの上流側端部には、当該筒状部6cの全周に亘って、第1テーパ部2dと平行に第2テーパ部6dが形成される。
【0067】
ノズルパーツ6を内管3に螺合すると、ノズルパーツ6の筒状部6cの第2テーパ部6dと粉体圧送管2の第1テーパ部2dとの間に、これらテーパ部2d,6dで区画して、粉体圧送管2の全周に亘るスリット状のガス噴射孔2eが形成される。
【0068】
このスリット状のガス噴射孔2eも、上記実施形態と同様に、粉体圧送管2の管軸(中心)に向けて、かつ、上流側から下流側の粉体噴出孔6bに向けて斜めに形成され、スリット状のガス噴射孔2eからは、粉体圧送管2の全周から粉体圧送流路2aに向けて分散ガスが噴射される。
【0069】
スリット状のガス噴射孔2eを備える第5実施形態では、上記実施形態の粉体圧送管2の孔状のガス噴射孔2cは省略される。
【0070】
第5実施形態にあっても、分散ガス流路3aを通じて圧送される分散ガスが、スリット状のガス噴射孔2eから粉体圧送流路2a内に向けて噴射され、噴射された分散ガスは、粉体を含むキャリアガスに、粉体噴出孔6bへ到達するよりも前に衝突し、これにより、細かな粉体を粉体噴出孔6bから噴出させて燃焼火炎に向けて供給することができる。
【0071】
第5実施形態では、粉体圧送流路2aの周囲全体から分散ガスが噴射されるので、キャリアガス中の粉体を均一に分散させることができる。
【0072】
また、ノズルパーツ6の内管3への螺合位置を調節することにより、第1テーパ部2dと第2テーパ部6dの間隙を増減変更して、スリット状のガス噴射孔2eの大きさを調整することができて、分散ガスの噴射速度を調節することができる。
【0073】
また、図示例では、円柱体状及び環体状の粉体増速部材8が設けられているので、これら両者で粉体の噴出速度を調整することができる。
【0074】
このような第5実施形態では、第1実施形態が奏する作用効果はもちろんのこと、第2~第4実施形態によって奏される作用効果も発揮することができる。
【0075】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0076】
1 粉体熱処理バーナ
1a バーナノズル
2 粉体圧送管
2a 粉体圧送流路
2b 粉体圧送管の管端部
2c ガス噴射孔
2d 第1テーパ部
2e スリット状のガス噴射孔
3 内管
3a 分散ガス流路
3b 雌ネジ
4 中管
4a 燃料ガス流路
5 外管
5a 支燃ガス流路
6 ノズルパーツ
6a 雄ネジ
6b 粉体噴出孔
6c 筒状部
6d 第2テーパ部
7 粉体分散体
8 粉体増速部材
8a 雌ネジ
9 ネジ結合
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8