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特許7339340添加剤組成物およびそれを含む熱可塑性ポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】添加剤組成物およびそれを含む熱可塑性ポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20230829BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20230829BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20230829BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L23/00
C08L23/12
C08K5/00
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2021530998
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 US2019067529
(87)【国際公開番号】W WO2020132273
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】62/783,316
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599060788
【氏名又は名称】ミリケン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】イー、シンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】コチャノビッツ、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】メール、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ケラー、キース
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ブレント
(72)【発明者】
【氏名】バイナム、クリフォード
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-503679(JP,A)
【文献】特開2018-115261(JP,A)
【文献】特開2010-242046(JP,A)
【文献】特開2012-233149(JP,A)
【文献】国際公開第99/024496(WO,A1)
【文献】特開2015-063678(JP,A)
【文献】特表2004-525227(JP,A)
【文献】特開2004-137472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱可塑性ポリマー;
(b)少なくとも1種の透明化剤;および
(c)少なくとも1種の青色顔料と少なくとも1種の黒色顔料
を含む熱可塑性ポリマー組成物であって、前記熱可塑性ポリマー組成物中の透明化剤の量が、前記熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準として50ppm~5,000ppmであり、前記熱可塑性ポリマー組成物が、0.93~1.1の青色相係数(α)および64.0~69.6の正規化輝度値(Y’)を示す、熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィンである、請求項1に記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項4】
前記透明化剤が、トリスアミド、ビスフェノールホスフェート、カルボン酸塩、アセタール化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~3の何れか1項に記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項5】
前記透明化剤が、式(I):
【化1】
(式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルキルハライド基、およびそれらの誘導体からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である)
の構造に従うアセタール化合物である、請求項4に記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項6】
前記透明化剤が、(a)R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(b)R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、RおよびRがそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(c)R、R、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10がそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、ならびに(d)(a)、(b)、および(c)の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項7】
前記透明化剤が、R、R、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10がそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物である、請求項5に記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項8】
前記透明化剤が、Rがn-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、R12が-CH(OH)CHOHであり、RおよびRがそれぞれn-プロピル基である式(I)の化合物である、請求項5に記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項9】
前記透明化剤が、1,000ppm~2,500ppmの量で存在する、請求項1~8の何れか1項に記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項10】
熱可塑性ポリマー組成物を生成するための方法であって、
(a)熱可塑性ポリマーを用意する工程と;
(b)
(i)少なくとも1種の透明化剤;
(ii)少なくとも1種の青色顔料と少なくとも1種の黒色顔料
を含む添加剤組成物を用意する工程と;
(c)前記熱可塑性ポリマーおよび前記添加剤組成物を混合して、熱可塑性ポリマー組成物を生成する工程と
を含み、前記熱可塑性ポリマー組成物中の透明化剤の量が、前記熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準として50ppm~5,000ppmであり、前記熱可塑性ポリマー組成物が、0.93~1.1の青色相係数(α)および64.0~69.6の正規化輝度値(Y’)を示す、方法。
【請求項11】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記透明化剤が、トリスアミド、ビスフェノールホスフェート、カルボン酸塩、アセタール化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記透明化剤が、式(I):
【化2】
(式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルキルハライド基、およびそれらの誘導体からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である)
の構造に従うアセタール化合物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記透明化剤が、(a)R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(b)R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、RおよびRがそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(c)R、R、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10がそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、ならびに(d)(a)、(b)、および(c)の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記透明化剤が、R、R、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10がそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記透明化剤が、Rがn-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、R12が-CH(OH)CHOHであり、RおよびRがそれぞれn-プロピル基である式(I)の化合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記透明化剤が、1,000ppm~2,500ppmの量で存在する、請求項10~17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
熱可塑性ポリマー組成物を生成するための方法であって、
(a)熱可塑性ポリマーを用意する工程と;
(b)少なくとも1種の透明化剤を用意する工程と;
(c)少なくとも1種の青色顔料と少なくとも1種の黒色顔料を用意する工程と;
(d)前記熱可塑性ポリマー、前記透明化剤および着色剤を混合して、熱可塑性ポリマー組成物を生成する工程と
を含み、前記熱可塑性ポリマー組成物中に存在する透明化剤の量が、前記熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準として100ppm~5,000ppmであり、前記熱可塑性ポリマー組成物が、0.93~1.1の青色相係数(α)および64.0~69.6の正規化輝度値(Y’)を示す、方法。
【請求項20】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記透明化剤が、トリスアミド、ビスフェノールホスフェート、カルボン酸塩、アセタール化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項19~21の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記透明化剤が、式(I):
【化3】
(式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルキルハライド基、およびそれらの誘導体からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である)
の構造に従うアセタール化合物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記透明化剤が、(a)R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(b)R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、RおよびRがそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(c)R、R、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10がそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、ならびに(d)(a)、(b)、および(c)の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記透明化剤が、R、R、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10がそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記透明化剤が、Rがn-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、R12が-CH(OH)CHOHであり、RおよびRがそれぞれn-プロピル基である式(I)の化合物である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記透明化剤が、1,000ppm~2,500ppmの量で存在する、請求項19~26の何れか1項に記載の方法。
【請求項28】
(a)少なくとも1種の透明化剤;および
(b)少なくとも1種の青色顔料と少なくとも1種の黒色顔料
から本質的になる添加剤組成物であって、前記添加剤組成物中に存在する着色剤の量が、前記添加剤組成物を用いて作製された熱可塑性ポリマー組成物が0.93~1.1の青色相係数(α)および64.0~69.6の正規化輝度値(Y’)を示すような量であり、前記熱可塑性ポリマー組成物が、前記熱可塑性ポリマー組成物中において100ppm~5,000ppmの前記透明化剤を提供するのに十分な量で熱可塑性ポリマーおよび前記添加剤組成物を含む、添加剤組成物。
【請求項29】
前記透明化剤が、トリスアミド、ビスフェノールホスフェート、カルボン酸塩、アセタール化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項28に記載の添加剤組成物。
【請求項30】
前記透明化剤が、式(I):
【化4】
(式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルキルハライド基、およびそれらの誘導体からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である)
の構造に従うアセタール化合物である、請求項29に記載の添加剤組成物。
【請求項31】
前記透明化剤が、(a)R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(b)R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、RおよびRがそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(c)R、R、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10がそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、ならびに(d)(a)、(b)、および(c)の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、請求項30に記載の添加剤組成物。
【請求項32】
前記透明化剤が、R、R、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10がそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物である、請求項30に記載の添加剤組成物。
【請求項33】
前記透明化剤が、Rがn-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、R12が-CH(OH)CHOHであり、RおよびRがそれぞれn-プロピル基である式(I)の化合物である、請求項30に記載の添加剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願の主題およびここに記載される発明は、一般に、添加剤組成物およびそのような添加剤組成物を含む熱可塑性ポリマー組成物に関する。
背景
[0002]熱可塑性ポリマーは、現代世界において至る所に存在するようになった。熱可塑性ポリマーの多用途性、および比較的容易に無数の様々な形態に加工され得ることが、その普遍性の増加に寄与している。この多用途性は、熱可塑性ポリマー自体の性質にある程度起因しているが、この多用途性の少なくとも一部は、製造者が合理的な限度内でこれらのポリマーの物理的特性をその意図に合わせて変更することを可能にする添加剤の開発に起因する。
【0002】
[0003]たとえば、典型的にはごく僅かに透光性であるポリプロピレンホモポリマーおよびポリプロピレンコポリマーは、透明化剤として知られる添加剤のクラスを使用して、より透光性に、またはさらには実質的に透過性にすることができる。そのような透明化剤の開発および使用は、ポリプロピレンポリマーの全く新しい応用範囲を切り開いたが、これは以前には、自然に透光性もしくは透過性である、またはより容易に透光性もしくは透過性にされ得るポリマー(たとえばポリスチレン)に特定されていた応用範囲である。たとえば、透明化剤により、透過性の包装および容器にポリプロピレンポリマーを使用することが可能となった。
【0003】
[0004]ある特定の添加剤(たとえば透明化剤)の開発および使用は、熱可塑性ポリマーのある特定の物理的特性の改善を可能にしたが、依然として改善の余地がある。特に、本発明者らは、熱可塑性ポリマー、たとえば透明化ポリプロピレンポリマーの認識される透明度または見かけのヘーズをさらに改善する添加剤の組合せが必要とされていると考えている。本出願およびここに記載される発明は、この必要性に対処することを目的とする。
発明の概要
[0005]本発明は、一般に、熱可塑性ポリマーへの添加に好適な添加剤組成物、透明化剤および少なくとも1種の着色剤を含む熱可塑性ポリマー組成物、ならびにそのような熱可塑性ポリマー組成物を作製するための方法を提供する。一般に、添加剤組成物は、透明化剤および比較的低レベルの少なくとも1種の着色剤を含み、着色剤の種類および量は、添加剤組成物を含む熱可塑性ポリマー組成物が指定された範囲内に含まれる青色相係数(blue hue factor)および/または正規化輝度値を示すように選択される。同様に、本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、透明化剤および少なくとも1種の着色剤を含み、着色剤の種類および量は、熱可塑性ポリマー組成物が指定された範囲内に含まれる青色相係数および/または正規化輝度値を示すように選択される。指定された青色相係数および/または正規化輝度値を示す熱可塑性ポリマー組成物は、望ましい特性の組合せを有すると考えられる。第1に、そのような組成物は、前述の青色相係数および/または正規化輝度値を有さない組成物よりも低い見かけのヘーズを示すと考えられる。ここで使用される場合、「見かけのヘーズ」という用語は、熱可塑性ポリマー組成物の視覚的に認識される曇りまたは濁りを説明するために使用され、これは多くの場合、熱可塑性ポリマー組成物から作製された物品(たとえばプラックまたは容器)を透かして見た場合に観察される。第2に、指定された青色相係数および/または正規化輝度値を示す組成物は、感知可能な視覚的に認識され得る着色を全く示さない。
【0004】
[0006]第1の態様において、本発明は、(a)熱可塑性ポリマー;(b)少なくとも1種の透明化剤;および(c)少なくとも1種の着色剤を含む熱可塑性ポリマー組成物であって、熱可塑性ポリマー組成物中の透明化剤の量が、熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準として約50ppm~約5,000ppmであり、熱可塑性ポリマーが、0.93~1.1の青色相係数(α)および64.0~69.6の正規化輝度値(Y’)を示す、熱可塑性ポリマー組成物を提供する。
【0005】
[0007]第2の態様において、本発明は、熱可塑性ポリマー組成物を生成するための方法をであって、方法が、(a)熱可塑性ポリマーを用意する工程と;(b)(i)少なくとも1種の透明化剤;(ii)少なくとも1種の着色剤を含む添加剤組成物を用意する工程と;(c)熱可塑性ポリマーおよび添加剤組成物を混合して、熱可塑性ポリマー組成物を生成する工程とを含み、熱可塑性ポリマー組成物中の透明化剤の量が、熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準として約50ppm~約5,000ppmであり、熱可塑性ポリマーが、0.93~1.1の青色相係数(α)および64.0~69.6の正規化輝度値(Y’)を示す、方法を提供する。
【0006】
[0008]第3の態様において、本発明は、熱可塑性ポリマー組成物を生成するための方法をであって、方法が、(a)熱可塑性ポリマーを用意する工程と;(b)少なくとも1種の透明化剤を用意する工程と;(c)少なくとも1種の着色剤を用意する工程と;(d)熱可塑性ポリマー、透明化剤および着色剤を混合して、熱可塑性ポリマー組成物を生成する工程と含み、熱可塑性ポリマー組成物中に存在する透明化剤の量が、熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準として約100ppm~約5,000ppmであり、熱可塑性ポリマーが、0.93~1.1の青色相係数(α)および64.0~69.6の正規化輝度値(Y’)を示す、方法を提供する。
【0007】
[0009]第4の態様において、本発明は、(a)少なくとも1種の透明化剤;および(b)少なくとも1種の着色剤から本質的になる添加剤組成物であって、添加剤組成物中に存在する着色剤の量が、添加剤組成物を用いて作製された熱可塑性ポリマー組成物が0.93~1.1の青色相係数(α)および64.0~69.6の正規化輝度値(Y’)を示すような量であり、熱可塑性ポリマー組成物が、熱可塑性ポリマー組成物中において約100ppm~約5,000ppmの透明化剤を提供するのに十分な量で熱可塑性ポリマーおよび添加剤組成物を含む、添加剤組成物を提供する。
発明の詳細な説明
[0010]上述のように、本発明は、熱可塑性ポリマーへの添加に好適な添加剤組成物、少なくとも1種の透明化剤および少なくとも1種の着色剤を含む熱可塑性ポリマー組成物、ならびにそのような熱可塑性ポリマー組成物を作製するための方法を提供する。これらの態様の様々な側面を以下で説明する。
【0008】
[0011]本発明において使用される熱可塑性ポリマーは、任意の好適な熱可塑性ポリマーであってもよい。ここで使用される場合、「熱可塑性ポリマー」という用語は、流動性液体を形成するのに十分な熱に曝露されると溶融し、十分に冷却されると固化状態に戻るポリマー材料を指す。ある特定の好ましい態様において、熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィンである。熱可塑性ポリマーは、任意の好適なポリオレフィン、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、およびポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ならびにそれらの組合せまたは混合物であってもよい。ある特定の好ましい態様において、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー(たとえばアタクチックポリプロピレン、イソタクチックポリプロピレン、およびシンジオタクチックポリプロピレン)、ポリプロピレンコポリマー(たとえばポリプロピレンランダムコポリマー)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるポリオレフィンである。好適なポリプロピレンコポリマーは、エチレン、ブタ-1-エン(すなわち1-ブテン)、およびヘキサ-1-エン(すなわち1-ヘキセン)からなる群から選択されるコモノマーの存在下でのプロピレンの重合から作製されるランダムコポリマーを含むが、それに限定されない。そのようなポリプロピレンランダムコポリマーにおいて、コモノマーは、任意の好適な量で存在してもよいが、典型的には約10重量%以下(たとえば約1~約7重量%、または約1~約4.5重量%)の量で存在する。
【0009】
[0012]本発明の添加剤組成物および方法において使用される透明化剤は、任意の好適な透明化剤であってもよい。好適な透明化剤は、トリスアミド(trisamide)、ビスフェノールホスフェート、カルボン酸塩、およびアセタール化合物を含むが、それらに限定されない。たとえば、好適なトリスアミド透明化剤は、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸のアミド誘導体、N-(3,5-ビス-ホルミルアミノ-フェニル)-ホルムアミドの誘導体(たとえばN-[3,5-ビス-(2,2-ジメチル-プロピオニルアミノ)-フェニル]-2,2-ジメチル-プロピオンアミド)、2-カルバモイル-マロンアミドの誘導体(たとえばN,N’-ビス-(2-メチル-シクロヘキシル)-2-(2-メチル-シクロヘキシルカルバモイル)-マロンアミド)、およびそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。好適なビスフェノールホスフェート透明化剤は、2,2’-メチレンビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)リン酸塩、たとえばアルミニウム2,2’-メチレンビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、およびそれらの組合せを含む。好適なカルボン酸塩透明化剤は、安息香酸の塩(たとえば安息香酸ナトリウム)、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の塩(たとえばカルシウムシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)およびビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸の塩(たとえばジナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート)を含むが、それらに限定されない。
【0010】
[0013]好適なアセタール透明化剤は、多価アルコールおよび芳香族アルデヒドの縮合反応により生成されるアセタール化合物を含む。そのようなアセタール透明化剤を生成するのに好適な多価アルコールは、非環式ポリオール、たとえばキシリトールおよびソルビトールを含むが、それらに限定されない。好適な多価アルコールはまた、C-置換アルジトールを含む。ここで使用される場合、「C-置換アルジトール」という用語は、アルジトールの末端炭素(たとえば典型的には単一ヒドロキシ基で置換される末端炭素原子)が追加的な非水素基で置換されている化合物を指すように使用される。C-置換アルジトールは、任意の好適な基で置換され得る。ある特定の態様において、C-置換アルジトールは、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルキルハライド基、およびそれらの誘導体からなる群から選択される基で置換されてもよい。そのようなアセタール透明化剤の生成に好適な芳香族アルデヒドは、単一のアルデヒド基を含み、芳香族環上の残りの位置は無置換または置換のいずれかである芳香族アルデヒドを含むが、それに限定されない。したがって、好適な芳香族アルデヒドは、ベンズアルデヒドおよび置換ベンズアルデヒド(たとえば3,4-ジメチル-ベンズアルデヒド)を含む。ある特定の態様において、ベンズアルデヒドは、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン、およびアリール基(たとえばフェニル基)からなる群から選択される1つ以上の基で置換されてもよい。非環式ポリオールとベンズアルデヒド化合物との間の反応から得られる好適なアセタール化合物は、それぞれ参照することによりその全体がここに組み込まれる米国特許第5,135,975号、米国特許第7,157,510号および米国特許第7,262,236号に開示されているアセタール化合物を含むが、それらに限定されない。上述の反応により生成されるアセタール化合物は、モノ-アセタール、ジ-アセタール、またはトリ-アセタール化合物(すなわちそれぞれ1つ、2つまたは3つのアセタール基を含む化合物)であってもよく、ジ-アセタール化合物が好ましい。
【0011】
[0014]ある特定の態様において、アセタール透明化剤は、式(I):
【0012】
【化1】
【0013】
の構造に従うアセタール化合物であってもよい。式(I)の構造において、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルキルハライド基、およびそれらの誘導体からなる群から選択される。R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択される。R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である。
【0014】
[0015]本発明のある特定の態様において、Rはアルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11はそれぞれ水素であり、R12は-CH(OH)CHOHであり、RおよびRはそれぞれアルキル基である。より具体的な態様において、Rはn-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11はそれぞれ水素であり、R12は-CH(OH)CHOHであり、RおよびRはそれぞれn-プロピル基である。
【0015】
[0016]本発明の他の態様において、Rは水素であり、R、R、R、R、R、およびR11はそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10はそれぞれアルキル基であり、R12は-CH(OH)CHOHである。より具体的な態様において、Rは水素であり、R、R、R、R、R、およびR11はそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10はそれぞれメチル基であり、R12は-CH(OH)CHOHである。
【0016】
[0017]他の態様において、透明化剤は、(a)R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(b)R、R、R、R、R、R、R10、およびR11がそれぞれ水素であり、RおよびRがそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、(c)R、R、R、R、R、およびR11がそれぞれ水素であり、R、R、R、およびR10がそれぞれメチル基であり、R12が-CH(OH)CHOHである式(I)の化合物、ならびに(d)(a)、(b)、および(c)の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される。
【0017】
[0018]透明化剤は、本発明の組成物中に任意の好適な量で存在し得る。当業者に理解されるように、透明化剤の好適な量は、いくつかの因子、たとえば特定の透明化剤が何であるか、透明化剤を使用して透明化される特定のポリマー、ならびに最終的なポリマー組成物の透明度および/またはヘーズの所望のレベルに依存する。ある特定の可能な好ましい態様において、透明化剤は、熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準として約50ppm~約5,000ppmの量で熱可塑性ポリマー組成物中に存在する。ある特定の可能な好ましい態様において、たとえば透明化剤が式(I)の構造に従うアセタール化合物である場合、透明化剤は、熱可塑性ポリマー組成物の総重量を基準として約1,000ppm~約2,500ppmの量で熱可塑性ポリマー組成物中に存在する。
【0018】
[0019]透明化剤に加えて、本発明の組成物は、少なくとも1種の着色剤を含む。好適な着色剤は、顔料、染料、ポリマー着色剤、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。ここで使用される場合、「ポリマー着色剤」という用語は、発色団、および発色団に結合した少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマー構成物質を含む着色剤を指す。好適なポリマー着色剤は、Milliken&Companyにより販売されているポリマー着色剤を含むが、それに限定されない。染料は、任意の好適な染料、たとえば酸性染料、溶媒染料、建染染料またはそれらの混合物であってもよい。好適な染料は、アシッドブルー9、アシッドブルー74、ソルベントブルー97、バットブルー6、およびそれらの混合物または組合せを含むが、それらに限定されない。たとえば、ある特定の態様において、着色剤は、バットブルー6およびアシッドブルー74の混合物を含んでもよい。ある特定の可能な好ましい態様において、組成物は、着色剤として1種以上の顔料を含む。好適な顔料は、ピグメントブルー29、ピグメントブルー63、ピグメントバイオレット15、カーボンブラック、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。好ましい態様において、組成物は、青色着色剤および黒色着色剤の混合物、たとえば青色顔料および黒色顔料の混合物(たとえばピグメントブルー29およびカーボンブラックの混合物)を含む。
【0019】
[0020]組成物およびそれから作製された任意の物品に実質的な認識され得る色を付与するために着色剤が使用される組成物とは対照的に、本発明の組成物は、比較的少量の着色剤を含む。実際に、本発明の熱可塑性ポリマー組成物中に存在する着色剤の量は十分に低いため、ほとんどの観察者は、ポリマー組成物またはそれから作製された任意の物品を、無色である、またはせいぜい認識され得るほど色付いていないと評するであろう。事実、肉眼で観察された場合、ポリマー組成物またはそれから作製された物品に付与された色相は、ポリマー組成物または物品が着色剤を含まない同様の組成物または物品と比較されてはじめて認識可能であってもよい。この僅かな、またはほぼ認識不可能な着色にもかかわらず、本発明者らは、そのような組成物から生成された物品が、そのような物品のヘーズ測定によって如何なる統計的に有意な程度までヘーズ値が異ならないことが示されたとしても、着色剤を含まない組成物から生成された同様の物品より低いヘーズ、またはそれより高い透明度を有すると認識されることが多いことを発見した。
【0020】
[0021]本発明の組成物における着色剤のそのような低い投入量により、慣例的な単位、たとえば重量に基づく濃度またはパーセンテージを使用して本発明の組成物中に存在する着色剤の量を意味のあるように表現するのは困難である。これは、異なる着色剤が異なる着色強度を示すこと、すなわち、所与の重量の1種の着色剤(たとえばピグメントブルー29)が同じ重量の異なる着色剤(たとえばバットブルー6)とは異なる量の着色を組成物に付与することにある程度起因する。したがって、本発明の組成物が着色剤の重量パーセントを指定することにより単純に定義される場合、その定義は、所望の効果(たとえばより低い認識されるヘーズ)を示さない組成物を包含し得る。たとえば、重量に基づく範囲の上限で特に強い着色剤が使用される場合、組成物は、容易に認識され得る着色を示し得、着色剤を含まない比較対照より高いヘーズを有するものとして実際に認識され得る。したがって、本発明者らは、本発明の組成物中に存在する着色剤の量が、ポリマー組成物(すなわち、本発明のポリマー組成物、または本発明の添加剤組成物を使用して作製されたポリマー組成物)のある特定の光学特性を検査することによってより良く特徴付けられることを見出した。すると、組成物中の着色剤の量は、所望の光学特性を示す組成物を生成するのに十分な量として定義される。特に、組成物は、500nm~700nmの範囲内の組成物の吸光度(以下で「青色相係数(α)」として説明される)を評価するために、紫外-可視(UV-Vis)分光法を使用して分析される。本発明者らはさらに、着色剤の量が、指定条件下で組成物の正規化輝度値(Y’)を決定することにより特徴付けられ得ることを見出した。
【0021】
[0022]本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、好ましくは、0.93~1.1の青色相係数(α)を示す。青色相係数(α)は、以下の式を使用して計算される。
【0022】
【数1】
【0023】
式中、
【0024】
【数2】
【0025】
は、UV-Visスペクトルの500nm~700nmからの吸収の平均(算術平均)(1nm間隔で計算され、端点を含む)であり、
【0026】
【数3】
【0027】
は、UV-Visスペクトルの800nm~880nmからの吸収の平均(算術平均)(1nm間隔で計算され、端点を含む)であり、A500は、UV-Visスペクトルの500nmにおける吸収であり、A700は、UV-Visスペクトルの700nmにおける吸収である。熱可塑性ポリマー組成物のUV-Visスペクトルは、従来の紫外-可視分光光度計(たとえば積分球を備えた紫外-可視分光光度計)、たとえばLabsphere RSA-PE-20積分球アクセサリを備えた2nm光学スリットを有するPerkinElmer LAMBDA(商標)35分光光度計を使用して、単一の0.76mm(30mil)射出成形プラックから測定される。UV-Visスペクトルは、約480nm/分の走査速度で400nm~1,100nmから測定され、得られたデータは、分光光度計のインストール済みソフトウェアを使用して4nm毎に平滑化される。次いで、分光光度計からの未加工吸収データは、上記の式を使用して青色相係数を決定するために必要な値を計算するために、エクスポートされてスプレッドシートソフトウェア(たとえばMicrosoft Excel)を使用して分析され得る。
【0028】
[0023]本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、好ましくは、0.93~1.1(たとえば0.93~1.09、0.93~1.08、もしくは0.93~1.07)、0.94~1.1(たとえば0.94~1.09、0.94~1.08、もしくは0.94~1.07)、0.95~1.1(たとえば0.95~1.09、0.95~1.08、もしくは0.95~1.07)、0.96~1.1(たとえば0.96~1.09、0.96~1.08、もしくは0.96~1.07)、もしくは0.97~1.1(たとえば0.97~1.09、0.97~1.08、もしくは0.97~1.07)の青色相係数(α)を示す。
【0029】
[0024]本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、好ましくは、64.0~69.6の正規化輝度値(Y’)を示す。熱可塑性ポリマー組成物の正規化輝度値(Y’)は、以下の式を使用して計算される。
【0030】
【数4】
【0031】
式中、Yは、分光光度計で測定された熱可塑性ポリマー組成物のY値(CIE XYZ色空間からの)であり、Yは、分光光度計で測定された標準白色バックグラウンド(たとえば分光光度計の白色較正タイル)のY値であり、Hはヘーズである。Y値およびヘーズは、隣接するプラック間に0.51mm(20mil)の空隙を介してスタックされた5つの0.76mm(30mil)射出成形プラック(それぞれ同じ熱可塑性ポリマー組成物から作製される)に対して測定される。プラックのY値が測定されている場合、分光光度計の検出器に向けて光を反射させるために、標準白色バックグラウンド(たとえば分光光度計の白色較正タイル)が5つ目のプラックの後ろに(すなわち分光光度計の開口から最も離れたプラックの背面に)設置される。ヘーズが測定される場合には、標準白色バックグラウンドは使用されない。スタックされたプラックのヘーズは、ASTM D1003に従い、ヘーズメーター、たとえばBYK-Gardner haze-gard iヘーズメーターを使用して測定される。スタックされたプラックのY値および標準白色バックグラウンドのY値は、反射率モードの分光光度計、たとえばパルスキセノン光源(D65較正済)を有するX-rite Ci7800分光光度計を使用して測定される。分光光度計は、25mm開口およびD65較正済光源(光源からのUV光を除外するためにUVフィルタが使用される)を備え、測定には正反射率が含まれる。最後に、分光光度計からのデータは、10°観察者等色関数を使用してCIE白色蛍光発光体に基づいて分析される。Y値測定の精度を高めるために、プラックは好ましくは2回測定され、Y値は2回の測定値の平均として採用される。
【0032】
[0025]本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、好ましくは、64.0~69.6(たとえば64.0~69.5、64.0~69.4、64.0~69.3、64.0~69.2、64.0~69.1、64.0~69.0、64.0~68.9、64.0~68.8、もしくは64.0~68.7)、64.5~69.6(たとえば64.5~69.5、64.5~69.4、64.5~69.3、64.5~69.2、64.5~69.1、64.5~69.0、64.5~68.9、64.5~68.8、もしくは64.5~68.7)、65.0~69.6(たとえば65.0~69.5、65.0~69.4、65.0~69.3、65.0~69.2、65.0~69.1、65.0~69.0、65.0~68.9、65.0~68.8、もしくは65.0~68.7)、65.5~69.6(たとえば65.5~69.5、65.5~69.4、65.5~69.3、65.5~69.2、65.5~69.1、65.5~69.0、65.5~68.9、65.5~68.8、もしくは65.5~68.7)、66.0~69.6(たとえば66.0~69.5、66.0~69.4、66.0~69.3、66.0~69.2、66.0~69.1、66.0~69.0、66.0~68.9、66.0~68.8、もしくは66.0~68.7)、66.5~69.6(たとえば66.5~69.5、66.5~69.4、66.5~69.3、66.5~69.2、66.5~69.1、66.5~69.0、66.5~68.9、66.5~68.8、もしくは66.5~68.7)、67.0~69.6(たとえば67.0~69.5、67.0~69.4、67.0~69.3、67.0~69.2、67.0~69.1、67.0~69.0、67.0~68.9、67.0~68.8、もしくは67.0~68.7)、67.1~69.6(たとえば67.1~69.5、67.1~69.4、67.1~69.3、67.1~69.2、67.1~69.1、67.1~69.0、67.1~68.9、67.1~68.8、もしくは67.1~68.7)、67.2~69.6(たとえば67.2~69.5、67.2~69.4、67.2~69.3、67.2~69.2、67.2~69.1、67.2~69.0、67.2~68.9、67.2~68.8、もしくは67.2~68.7)、67.3~69.6(たとえば67.3~69.5、67.3~69.4、67.3~69.3、67.3~69.2、67.3~69.1、67.3~69.0、67.3~68.9、67.3~68.8、もしくは67.3~68.7)、67.4~69.6(たとえば67.4~69.5、67.4~69.4、67.4~69.3、67.4~69.2、67.4~69.1、67.4~69.0、67.4~68.9、67.4~68.8、もしくは67.4~68.7)、67.5~69.6(たとえば67.5~69.5、67.5~69.4、67.5~69.3、67.5~69.2、67.5~69.1、67.5~69.0、67.5~68.9、67.5~68.8、もしくは67.5~68.7)、67.5~69.6(たとえば67.5~69.5、67.5~69.4、67.5~69.3、67.5~69.2、67.5~69.1、67.5~69.0、67.5~68.9、67.5~68.8、もしくは67.5~68.7)、67.6~69.6(たとえば67.6~69.5、67.6~69.4、67.6~69.3、67.6~69.2、67.6~69.1、67.6~69.0、67.6~68.9、67.6~68.8、もしくは67.6~68.7)、もしくは67.7~69.6(たとえば67.7~69.5、67.7~69.4、67.7~69.3、67.7~69.2、67.7~69.1、67.7~69.0、67.7~68.9、67.7~68.8、もしくは67.7~68.7)の正規化輝度値(Y’)を示す。
【0033】
[0026]したがって、熱可塑性ポリマー組成物は、0.93~1.1、または上述の青色相係数に対する他の範囲の1つの青色相係数(α)を示すポリマー組成物を生成するのに十分な量の着色剤を含む。熱可塑性ポリマー組成物はまた、好ましくは、64.0~69.6、または上述の正規化輝度値に対する他の範囲の1つの正規化輝度値(Y’)を示すポリマー組成物を生成するのに十分な量の着色剤を含む。
【0034】
[0027]本発明者らは、青色相係数および/または正規化輝度値が、熱可塑性ポリマー組成物中に存在する着色剤の量を説明するのに十分であると考えているが、組成物は、ある特定の好ましい態様では、着色剤のある特定の重量範囲によりさらに特徴付けられ得る。たとえば、熱可塑性ポリマー組成物がカーボンブラックを含む場合、熱可塑性ポリマー組成物は、好ましくは、2ppm未満(たとえば1.75ppm未満)のカーボンブラック、たとえば0.25~1.75ppm(たとえば0.25~1.5ppm、0.25~1.25ppm、0.25~1ppm、または0.25~0.75ppm)のカーボンブラックを含む。熱可塑性ポリマー組成物が青色または紫色顔料(たとえばピグメントブルー29、ピグメントブルー63、またはピグメントバイオレット15)を含む場合、組成物は、好ましくは、約4~約50ppm(たとえば約10~約50ppmまたは約4~約40ppm)の顔料を含む。好ましい態様において、熱可塑性ポリマー組成物は、3.5~40ppmのピグメントブルー29、0~5ppmのピグメントバイオレット15、および0.25~2ppmのカーボンブラックを含む。別の好ましい態様において、熱可塑性ポリマー組成物は、3.5~40ppmのピグメントブルー29、0~4ppmのピグメントバイオレット15、および0.25~1.75ppmのカーボンブラックを含む。より具体的な好ましい態様において、熱可塑性ポリマー組成物は、カルシウムシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(好ましくは300~1,000ppmまたは480~500ppm)、10~30ppmのピグメントブルー29、0~5ppmのピグメントバイオレット15、および0.2~1ppmのカーボンブラックを含む。そのような好ましい態様において、組成物中に存在するピグメントブルー29、ピグメントバイオレット15、およびカーボンブラックの総量は、好ましくは、10~35ppm(たとえば10~31ppm)である。別の具体的な好ましい態様において、熱可塑性ポリマー組成物は、2,000ppm~4,000ppm(好ましくは3,000~4,000ppm)の式(I)(式中、Rはn-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11はそれぞれ水素であり、R12は-CH(OH)CHOHであり、RおよびRはそれぞれn-プロピル基である)の化合物、3.5~25ppmのピグメントブルー29、0~4ppmのピグメントバイオレット15、ならびに0.25~1.75ppmのカーボンブラックを含む。そのような好ましい態様において、組成物中に存在するピグメントブルー29、ピグメントバイオレット15、およびカーボンブラックの総量は、好ましくは4.75~25ppmである。
【0035】
[0028]上述のように、本発明は、少なくとも1種の透明化剤および少なくとも1種の着色剤から本質的になる添加剤組成物を提供する。本発明のこの態様に関連して使用される場合、「から本質的になる」という用語は、添加剤組成物が添加された熱可塑性ポリマーから添加剤組成物を区別するために使用される。換言すれば、この用語は、添加剤組成物が、最終物品の製作において単独で使用されるのではなく、熱可塑性ポリマーに添加されることが意図されるように調合されることを示すために使用される。したがって、これに関連して使用される場合、「から本質的になる」という用語は、熱可塑性ポリマーが添加剤組成物中に存在する場合、添加剤組成物中に存在する熱可塑性ポリマーの相対量が、物品を製造するための成形または他のプロセスに使用される「最終的な」ポリマー組成物中に存在する熱可塑性ポリマーの量より実質的に少ないことを示す。したがって、ある特定の可能な好ましい態様において、添加剤組成物は、添加剤組成物の総重量を基準として約90重量%以下(たとえば約85重量%以下または約80重量%以下)の熱可塑性ポリマーを含む。ある特定の他の態様において、添加剤組成物は、添加剤組成物の総重量を基準として約25重量%以下(たとえば約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、または約5重量%以下)の熱可塑性ポリマーを含む。添加剤組成物に関連して使用される場合、「から本質的になる」という用語は、熱可塑性ポリマーにおいて典型的に使用される他の添加剤、たとえば核形成剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、スリップ剤、帯電防止剤、およびポリマー加工助剤を除外することを意図しない。したがって、本発明の添加剤組成物は、透明化剤、着色剤、担体樹脂、および任意に他の添加剤を含むマスターバッチであってもよく、または、添加剤組成物は、透明化剤、着色剤、および任意に他の添加剤を含む無塵ブレンド(NDB:non-dusting blend)であってもよい。
【0036】
[0029]上述の添加剤組成物は、得られる熱可塑性ポリマー組成物中において約100ppm~約5,000ppm(たとえば約500ppm~約4,000ppm)の透明化剤を提供するのに十分な量で添加剤組成物が熱可塑性ポリマーに添加される場合、熱可塑性ポリマー組成物が0.93~1.1、または上述の青色相係数に対する他の範囲の1つの青色相係数(α)を示すような量の着色剤を含む。熱可塑性ポリマー組成物はまた、好ましくは、64.0~69.6、または上述の正規化輝度値に対する他の範囲の1つの正規化輝度値(Y’)を示す。そのような熱可塑性ポリマー組成物の作製に使用される熱可塑性ポリマーは、上述の熱可塑性ポリマーのいずれであってもよいが、好ましくは、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0037】
[0030]上述のように、本発明は、熱可塑性ポリマー組成物を生成するための方法を提供する。第1の方法態様において、方法は、熱可塑性ポリマーを用意する工程と、少なくとも1種の透明化剤および少なくとも1種の着色剤を含む添加剤組成物を用意する工程と、熱可塑性ポリマーおよび添加剤組成物を混合して、熱可塑性ポリマー組成物を生成する工程とを含む。この方法態様において、熱可塑性ポリマー、透明化剤、および着色剤は、上述のもののいずれであってもよい。また、この態様において、熱可塑性ポリマーおよび添加剤組成物は、別個に提供されてもよい。換言すれば、熱可塑性ポリマーおよび添加剤組成物は、別個の形態で、または言及された混合工程まで互いに混合されない組成物として提供される。この態様において、熱可塑性ポリマーは、ポリマー加工において典型的に使用される他の添加剤、たとえば酸化防止剤、酸捕捉剤、スリップ剤、およびポリマー加工助剤を含む組成物として提供され得る。添加剤組成物はまた、ポリマー加工において典型的に使用される他の添加剤、たとえば上述のものを含んでもよい。
【0038】
[0031]第2の方法態様において、方法は、熱可塑性ポリマーを用意する工程と、少なくとも1種の透明化剤を用意する工程と、少なくとも1種の着色剤を用意する工程と、熱可塑性ポリマー、透明化剤、および着色剤を混合して、熱可塑性ポリマー組成物を生成する工程とを含む。この方法態様において、熱可塑性ポリマー、透明化剤、および着色剤は、上述のもののいずれであってもよい。また、この態様において、熱可塑性ポリマー、透明化剤、よび着色剤は、別個に提供されてもよい。換言すれば、熱可塑性ポリマー、透明化剤、および着色剤は、別個の形態で、または言及された混合工程まで互いに混合されない組成物として提供される。他の方法態様と同様に、熱可塑性ポリマーは、ポリマー加工において典型的に使用される他の添加剤を含む組成物として提供されてもよい。同様に、透明化剤および着色剤は、ポリマー加工において典型的に使用される他の添加剤を含む別個の組成物として含まれてもよい。
【0039】
[0032]上述の方法態様はそれぞれ、混合工程を含む。各方法において、別個の成分は、任意の好適な技術または装置を使用して混合され得る。たとえば、成分は、パドルブレンダ、リボンブレンダ、ダブルコーンブレンダ、垂直型スクリューミキサ(たとえばNautaミキサ)、プラウミキサ、または高剪断ミキサ内で混合され得る。上で列挙された混合装置のいくつかは、バッチモードまたは連続モードのいずれかで操作され得、したがって、混合工程は、バッチ式または連続式のいずれかで行うことができる。成分は、任意の好適な期間混合され得るが、一般に、成分は、それらが実質的に均一にブレンドされるまで混合される。
【0040】
[0033]ここに記載される熱可塑性ポリマー組成物は、熱可塑性物品の製造に有用であると考えられる。熱可塑性ポリマー組成物は、任意の好適な技術、たとえば射出成形、射出回転成形、ブロー成形(たとえば射出ブロー成形または射出延伸ブロー成形)、押出(たとえばシート押出、フィルム押出、キャストフィルム押出または発泡押出)、押出ブロー成形、熱成形、回転成形、フィルムブロー(ブローフィルム)、フィルムキャスト(キャストフィルム)等により所望の熱可塑性物品に形成され得る。
【0041】
[0034]ここに記載される熱可塑性ポリマー組成物は、任意の好適な物品または製品を製造するために使用され得る。好適な製品は、医療デバイス(たとえばレトルト用途のプレフィルドシリンジ、静脈内サプライ容器(intravenous supply container)、および血液採取装置)、食品包装、流体容器(たとえば飲料、医薬、パーソナルケア組成物、シャンプー等の瓶、容器)、家庭用品(たとえば再利用可能な食品容器、保存運搬容器(storage tote)等)、衣装ケース、電子レンジで使用可能な物品、棚、キャビネットドア、機械部品、自動車部品、シート(たとえば熱成形プロセス用のシート)、ブロー成形用のプリフォーム、パイプ、チューブ、射出成形部品、回転成形部品、ブロー成形部品、フィルム、繊維等を含むが、それらに限定されない。
【0042】
[0035]以下の例は、上述の主題をさらに説明するが、当然ながら決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0043】
例1
[0036]この例は、本発明による熱可塑性ポリマー組成物の生成、およびそのようなポリマー組成物のある特定の特性を実証する。ポリプロピレンホモポリマー樹脂、具体的にはLyondellBasell Pro-fax 6301(HPP6301)ポリプロピレンホモポリマー樹脂を使用して、いくつかの異なるポリマー組成物を調製した。樹脂を以下の表1に列挙される成分と組み合わせ、Deltaplast一軸スクリュー押出機を通して混合物を押し出すことにより、各ポリマー組成物を作製した。次いで、押し出されたポリマー組成物のそれぞれを、40トンArburg射出成形機を使用していくつかの0.76mm(30mil)プラック(50.8mm×76.2mm×0.76mmまたは2.00インチ×3.00インチ×0.03インチの寸法)に射出成形した。次いで、これらのプラックを後述のように分析した。
【0044】
[0037]ごく少量の各着色剤をポリマー組成物に正確に添加し、確実に着色剤が組成物中に十分分散されるように、0.02重量%着色剤マスターバッチを使用して各着色剤を別個に樹脂に添加した。これらの0.02重量%着色剤マスターバッチは、まず着色剤の1重量%マスターバッチを作製し、次いで1重量%マスターバッチを樹脂中に滴下して0.02重量%着色剤マスターバッチを作製することにより生成した。各1重量%着色剤マスターバッチは、1重量%の着色剤、標準安定化パッケージ(すなわち500ppmのIrganox 1010、1000ppmのIrgafos 168、および800ppmのステアリン酸カルシウム)、ならびにHPP6301樹脂を合わせることにより生成した。次いで、得られた混合物をDeltaplast一軸スクリュー押出機(直径1インチ、L/D 30:1)で溶融配合した。次に、1重量部の1重量%着色剤マスターバッチを、49重量部のHPP6301樹脂ペレット(これは上述の標準安定化パッケージと事前に配合されている)と混合した。この混合物を、次いでDeltaplast一軸スクリュー押出機を通して押し出して、0.02重量%着色剤マスターバッチを生成した。以下の0.02重量%着色剤マスターバッチを生成し、ポリマー組成物の作製に使用した:0.02重量%ウルトラマリンブルー(ピグメントブルー29)マスターバッチ;0.02重量%ウルトラマリンバイオレット(ピグメントバイオレット15)マスターバッチ;および0.02重量%カーボンブラックマスターバッチ。カーボンブラックマスターバッチは、AROSPERSE(登録商標)F138カーボンブラック(Orion Engineered Carbons製)を用いて作製した。
【0045】
[0038]また、各透明化剤をポリマー組成物に添加するためにマスターバッチ組成物を使用した。Hyperform(登録商標)HPN 20E核形成剤(Milliken&Company製)、500ppmのIrganox 1010、1,000ppmのIrgafos 168、Mg-Alハイドロタルサイト酸捕捉剤(Kisuma Chemicals製DHT-4V)、およびHPP6301樹脂を混合することにより、4重量%Hyperform(登録商標)HPN 20E核形成剤マスターバッチを生成した。Hyperform(登録商標)HPN 20E核形成剤は、透明化剤カルシウムcis-シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレートを含む。Deltaplast押出機で混合物を押し出して、マスターバッチを生成した。1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]ノニトール、上述の標準安定化パッケージ、およびHPP6301樹脂を混合することにより、20重量%の1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]ノニトールマスターバッチを調製した。Deltaplast押出機で混合物を押し出して、マスターバッチを生成した。
【0046】
[0039]上述のように、表1は、各ポリマー組成物の作製に使用された透明化剤および着色剤を列挙している。表1に記載されている量は、ポリマー組成物中の透明化剤または着色剤の最終濃度を表す。したがって、樹脂に添加された該当するマスターバッチの量は、表1に列挙された量より多かった。表中、「UMB」はウルトラマリンブルーであり、「UMV」はウルトラマリンバイオレットであり、「CB」はカーボンブラックであり、「C.A.1」はHyperform(登録商標)HPN 20E核形成剤であり、「C.A.2」は1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]ノニトールである。
【0047】
【表1】
【0048】
[0040]次いで、上述の青色相係数(α)および正規化輝度値(Y’)を決定するために、各ポリマー組成物から作製されたプラック(試料1~7)を分析した。特に、ポリマー組成物から作製された単一プラックのUV-Visスペクトルから得られたデータを使用して、各ポリマー組成物の青色相係数(α)を上述の式から計算した。熱可塑性ポリマー組成物のUV-Visスペクトルは、Labsphere RSA-PE-20積分球アクセサリを備えた2nm光学スリットを有するPerkinElmer LAMBDA(商標)35分光光度計を使用して測定した。UV-Visスペクトルは、約480nm/分の走査速度で400nm~1,100nmから測定し、得られたデータは、分光光度計のインストール済みソフトウェアを使用して4nm毎に平滑化した。次いで、分光光度計からの未加工吸収データをエクスポートし、
【0049】
【数5】
【0050】
および
【0051】
【数6】
【0052】
値を計算するためにMicrosoft Excelを使用して分析した。各ポリマー組成物の得られた青色相係数(α)を、以下の表2に記載する。
【0053】
[0041]隣接するプラック間に0.51mm(20mil)の空隙を介して配置された5つのプラック(全て同じポリマー組成物から作製された)のスタックから得られたデータを使用して、正規化輝度値(Y’)を上述の式から計算した。スタックされたプラックのヘーズを、ASTM D1003に従い、BYK-Gardner haze-gard iヘーズメーターを使用して測定した。スタックされたプラックのY値を、パルスキセノン光源(D65較正済)を有するX-rite Ci7800分光光度計を使用して、反射率モードで測定した。上述のように、分光光度計の検出器に向けて光を反射させるために、分光光度計の白色較正タイルを5つ目のプラックの背面に設置した。分光光度計は、25mm開口およびD65較正済光源(光源からのUV光を除外するためにUVフィルタが使用される)を備え、測定には正反射率が含まれていた。最後に、分光光度計からのデータを、10°観察者等色関数を使用してCIE白色蛍光発光体に基づいて分析した。Y値測定の精度を高めるために、プラックを2回測定し、Y値を2回の測定値の平均として採用した。分光光度計の白色較正タイルのY値(Y)を、プラックのスタックの測定に使用したのと同じ設定を使用して分光光度計で測定した。各ポリマー組成物の得られた正規化輝度値(Y’)を、以下の表2に記載する。
【0054】
【表2】
【0055】
[0042]次いで、各ポリマー組成物から作製された薄壁の射出成形カップ(0.71mm(28mil)の壁厚および約470mL(16オンス)の容積を有する)をパネリストに提示して、どのポリマー組成物がより低い見かけのヘーズを示すかを決定した。射出成形カップを10個のカップのスタックとして配置し(その全てが同じポリマー組成物から作製された)、カップが典型的に小売店内の環境で見られる条件を模擬するために拡散蛍光照明下で観察した。試料2から作製されたカップを試料3から作製されたカップと並べて提示すると、50名のパネリストのうち43名は、試料3から作製されたカップがより透明に見える、またはより低い見かけのヘーズを示していると確信した。試料5から作製されたカップを試料7から作製されたカップと並べて提示すると、30名のパネリストのうち20名は、試料7から作製されたカップがより透明に見える、またはより低い見かけのヘーズを示していると確信した。本発明者らは、選好におけるこれらの差が統計的に有意であると考えている。さらに、これらの選好は、特許請求の範囲において言及され、上に記載された青色相係数(α)および正規化輝度値(Y’)を示すポリマー組成物が、これらの特性を示さない同様のポリマー組成物より低い見かけのヘーズを示すものとして認識されることを示していると、本発明者らは考えている。
【0056】
例2
[0043]この例は、本発明による熱可塑性ポリマー組成物の生成、およびそのようなポリマー組成物のある特定の特性を実証する。ポリプロピレンホモポリマー樹脂、具体的にはLyondellBasell Pro-fax 6301(HPP6301)ポリプロピレンホモポリマー樹脂を使用して、いくつかの異なるポリマー組成物を調製した。樹脂を以下の表3に列挙される成分と組み合わせることにより、各ポリマー組成物を作製した。上記の例1で概説された一般手順に従ってポリマー組成物を生成した。また、上記の例1に記載のようにポリマー組成物をプラックに成形し、分析した。これらの測定の結果を、以下の表4に記載する。
【0057】
【表3-1】
【0058】
【表3-2】
【0059】
【表3-3】
【0060】
【表4-1】
【0061】
【表4-2】
【0062】
【表4-3】
【0063】
[0044]上記の例1に記載のパネル調査の結果に基づいて、特許請求の範囲において言及され、上に記載された青色相係数(α)および正規化輝度値(Y’)を示す上記の試料が、これらの特性を示さない同様のポリマー組成物より低い見かけのヘーズを示すものとして認識されると、本発明者らは考えている。
【0064】
[0045]ここで引用される出版物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照することにより組み込まれることが個別におよび具体的に示され、その全体がここに記載されるのと同等に、参照によりここに組み込まれる。
【0065】
[0046]本出願の主題の説明の文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、用語「a」および「an」および「the」の使用ならびに同様の指示対象は、ここで別段の指定がない限り、または文脈により明確に矛盾しない限り、単数と複数の両方を対象とするものと解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」および「含む(containing)」という用語は、別段に指定されない限り、非制限的用語(すなわち「含むが限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。別段に指定されない限り、ここでの値の範囲の言及は、単に、その範囲内に含まれるそれぞれの別個の値を個別に示す簡単な方法として役立つことを意図し、それぞれの別個の値は、それが個別にここで言及されているのと同等に本明細書に組み込まれる。ここに記載の方法は全て、ここで別段に指定されない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。ここに記載のありとあらゆる例または例示的言語(「たとえば」等)の使用は、単に本出願の主題をより良く明確化することを意図し、別段に請求されない限り、主題の範囲を制限するものではない。本明細書における如何なる言語も、ここに記載の主題の実践に必須である如何なる請求されていない要素も示すものとして解釈されるべきではない。
【0066】
[0047]請求される主題を実行するための本発明者らに知られている最良のモードを含む本出願の主題の好ましい態様がここに記載される。それらの好ましい態様の変形例は、上記説明を読めば当業者には明らかとなり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形例を適宜使用すると推察し、また本発明者らは、ここに記載される主題がここに具体的に記載される様式とは異なるように実践されることを企図している。したがって、本開示は、適用法により許可されるように、ここに添付される特許請求の範囲において言及されている主題の全ての修正および均等物を含む。さらに、その全ての可能な変形例における上述の要素の如何なる組合せも、ここで別段に指定されない限り、または文脈により明確に矛盾しない限り、本開示により包含される。