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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】乗員拘束装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2338 20110101AFI20230829BHJP
   B60R 21/207 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B60R21/2338
B60R21/207
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021562475
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2020037761
(87)【国際公開番号】W WO2021111723
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2019219920
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】松下 徹也
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/107398(WO,A1)
【文献】特開2019-137319(JP,A)
【文献】特許第4428845(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートの背もたれ部の側部に設けられたエアバッグと、
膨張展開する前記エアバッグを前記車両用シートに着席する乗員に向けて寄せ付ける張力布とを備え、
前記張力布の一端部が、前記背もたれ部の上部の係止位置に保持され、他端部が前記車両用シートの所定箇所に保持され、
前記張力布は、前記背もたれ部から前記車両用シートの着座部にわたって前記背もたれ部及び前記着座部の側部の内側に収容され、前記エアバッグの表面において少なくとも一ヶ所の結合部で結合されており、
折り畳まれた前記エアバッグが前記車両用シートに収納されたとき、前記張力布の前記結合部が前記背もたれ部を回動可能に保持するシャフトよりも上側で前記背もたれ部の側面の内側に配置されるように、前記係止位置と、当該係止位置から最も遠い前記結合部との間の前記背もたれ部の外形に沿った第1距離は、前記係止位置から前記シャフトの回転中心まで間の前記背もたれ部の外形に沿った第2距離よりも短いことを特徴とする乗員拘束装置。
【請求項2】
前記係止位置は、前記エアバッグの膨張展開時に、前記車両用シートの左右方向の中央に向けて移動可能であり、当該係止位置の移動後の第1距離が、前記第2距離よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の乗員拘束装置。
【請求項3】
前記背もたれ部の上側には乗員の頭部を支えるヘッドレスト部が設けられ、
前記係止位置は、前記背もたれ部の上面における前記ヘッドレスト部の近傍であり、
前記張力布は、少なくとも前記上面に連続する側面に沿って前記背もたれ部に収納されることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員拘束装置。
【請求項4】
前記張力布は、一つのエアバッグに対して複数設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の乗員拘束装置。
【請求項5】
前記複数の張力布は前記第1距離が同じ長さになるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の乗員拘束装置。
【請求項6】
前記張力布は一つのエアバッグに対して2本設けられており、
前記2本の張力布は前記係止位置から前記結合部までの間に、当該2本の張力布を一体化した一体化部を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の乗員拘束装置。
【請求項7】
前記エアバッグ及び前記張力布は前記背もたれ部の左右両側部に夫々設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の乗員拘束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグを有する乗員拘束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアバッグ装置が広く普及している。エアバッグ装置は、車両衝突などの緊急時に作動する安全装置であって、ガス圧で膨張展開して乗員を受け止めて保護する。エアバッグ装置には、設置箇所又は用途に応じて様々な種類がある。
【0003】
特許文献1には、車両座席の両側の側部に設けられ、乗員の脇へ膨張展開するサイドエアバッグについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-034356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
更に、張力布を用いて、膨張展開するエアバッグの位置を調整する技術も知られている。斯かる技術においては、エアバッグが膨張展開する際、張力布がエアバッグの外側を囲んで保持して乗員側に配置させる。また、この際、エアバッグが張力布と接触する箇所には予め張力布をエアバッグに結合させておき、膨張展開するエアバッグの位置調整の安定化を図っている。張力布はエアバッグと共に、車両座席の側部の内側に予め収納される。
【0006】
このように、張力布が結合された状態でエアバッグが車両座席の側部に収納されることから、収納態様によっては、エアバッグの膨張展開に不具合が生じ、着座している乗員に対して同じ位置へ膨張展開しない等の問題が生じるおそれがある。
しかしながら、上述したような特許文献1に係る技術では、このような問題を解決できない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エアバッグが膨張展開する際、斯かるエアバッグと共に収納される、エアバッグ調整用の張力布が、絡んだり又は引っかかったりすることなく速やかに飛び出ることができる乗員拘束装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る乗員拘束装置は、車両用シートの背もたれ部の側部に設けられたエアバッグと、膨張展開する前記エアバッグを前記車両用シートに着席する乗員に向けて寄せ付ける張力布とを備え、前記張力布の一端部が、前記背もたれ部の上部の係止位置に保持され、他端部が前記車両用シートの所定箇所に保持され、前記張力布は、前記エアバッグの表面において少なくとも一ヶ所の結合部で結合されており、折り畳まれた前記エアバッグが前記車両用シートに収納されたとき、前記係止位置と、当該係止位置から最も遠い前記結合部との間の前記背もたれ部の外形に沿った第1距離は、前記係止位置から前記背もたれ部を回動可能に保持するシャフトの回転中心まで間の前記背もたれ部の外形に沿った第2距離よりも短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、張力布を用いて膨張展開するエアバッグの位置を調整する際、張力布が絡んだり又は引っかかったりすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る乗員拘束装置が車両のシートに取り付けられた状態を示す図である。
図2】実施の形態1に係る乗員拘束装置においてエアバッグが膨張展開した状態を示す模式図である。
図3】実施の形態1に係る乗員拘束装置において、シートの側部における張力布の収納形態を示す説明図である。
図4】実施の形態2に係る乗員拘束装置においてエアバッグが膨張展開した状態を示す模式図である。
図5】実施の形態3に係る乗員拘束装置においてエアバッグが膨張展開した状態を示す模式図である。
図6】実施の形態4に係る乗員拘束装置におけるエアバッグの膨張展開を示す説明図である。
図7】実施の形態5に係る乗員拘束装置におけるエアバッグの膨張展開を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態に係る乗員拘束装置について、図面に基づいて詳述する。本発明の実施の形態に係る乗員拘束装置は、車両のシートに装着される。
【0012】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る乗員拘束装置100が車両のシート5に取り付けられた状態を示す図である。図1においては、エアバッグが膨張展開する前の状態が示されている。
以下においては、便宜上、図にて定義する前後、左右、上下の各方向を用いて説明を行う。
【0013】
シート5は、背もたれ部4と、着座部8とを有する。背もたれ部4は下側の縁部が、左右方向に延びるシャフト6によって、回動可能に着座部8の縁部に支持されている。即ち、シャフト6は背もたれ部4を回動可能に保持しており、背もたれ部4はシャフト6を軸として前後方向に回動できる。
【0014】
以下においては、シート5に乗員が座った場合において、乗員の右腕付近をシート5の右側、乗員の左腕付近をシート5の左側と言い、乗員は背もたれ部4の前側の着座部8上に着座するとする。なお、背もたれ部4の上部には左右方向の中央部に、乗員の頭部を支えるヘッドレスト部7が設けられている。
【0015】
乗員拘束装置100は、エアバッグモジュール1及び張力布2を含む。エアバッグモジュール1は、背もたれ部4の左右両側部に設けられている。詳しくは、背もたれ部4の内部のフレーム(図示せず)と該フレームを覆うカバーとの間にエアバッグモジュール1が収納されている。
【0016】
図1においては、背もたれ部4の右側部にエアバッグモジュール1bが設けられ、背もたれ部4の左側部にエアバッグモジュール1aが設けられている場合を図示しているが、これに限定されるものではなく、何れか一方の側部にのみエアバッグモジュール1が設けられても良い。
【0017】
各エアバッグモジュール1には、後述するエアバッグ3、センサーからの出力信号を受信してガスを噴出するインフレータ(図示せず)等が収納されている。
【0018】
エアバッグ3は、例えば2枚の基布の周囲を縫製して袋状に形成した構成であり、例えばエアバッグモジュール1の内部に前記インフレータを配置している。乗員拘束装置100は車両が衝突した時、前方向にエアバッグ3を展開させて乗員を保護する。
【0019】
図1においては、便宜上、張力布2を一点鎖線にて示している。
張力布2は所定の幅を有する帯状であり、一つのエアバッグ3に対して少なくとも一つの張力布2が設けられている。背もたれ部4の左側の側部には張力布2aが設けられ、背もたれ部4の右側には張力布2bが設けられている(以下、張力布2a,2bを張力布2とも称する)。張力布2は、背もたれ部4の側部の内側及び着座部8の側部の内側に予め収納されている。
【0020】
張力布2において、上側の一端部21は背もたれ部4の上部に取り付けられる。背もたれ部4の上面41は略長方形であり、ヘッドレスト部7が上面41から立ち上がるように設けられている。背もたれ部4の上面41であって、ヘッドレスト部7の左右両側に張力布2の一端部21が保持されている。詳しくは、張力布2aの一端部21aは、ヘッドレスト部7の左側にて、背もたれ部4の内部の前記フレームの係止位置F1に保持され、張力布2bの一端部21bは、ヘッドレスト部7の右側にて、背もたれ部4の内部の前記フレームの係止位置F2に保持される。
【0021】
係止位置F1,F2は、背もたれ部4の上面41におけるヘッドレスト部7近傍の位置である。即ち、係止位置F1は、背もたれ部4の上面41内の位置であって、上面41に連続する左側の側面42とのエッジよりも中央側(ヘッドレスト部側)に所定距離隔てた位置である。また、係止位置F2は、背もたれ部4の上面41内の位置であって、上面41に連続する右側の側面43とのエッジよりも中央側(ヘッドレスト部側)に所定距離隔てた位置である。
なお、本実施の形態において係止位置F1,F2は固定された位置であるが、これに限定されるものではなく、係止位置F1,F2の位置が可変であるように構成しても良い。
【0022】
一方、各張力布2の下側の他端部22は着座部8の下側固定部81に保持されている。即ち、左側の張力布2aの他端部22a及び右側の張力布2bの他端部22bが下側固定部81に保持されている。下側固定部81は、例えば、二枚の金属プレートを含み、各張力布2の他端部22は斯かる金属プレートの間に挟まれる。
【0023】
各張力布2は、背もたれ部4から着座部8に亘ってこれらの側部の内側に収納されている。張力布2aは背もたれ部4の左側の側部から着座部8の左側の側部に亘って収納され、張力布2bは背もたれ部4の右側の側部から着座部8の右側の側部に亘って収納されている。
【0024】
詳しくは、張力布2aは、係止位置F1から上面41の左側の端縁まで、また、上面41に連続する左側の側面42から着座部8の左側の側面82に沿って収納されている。張力布2bは、係止位置F2から上面41の右側の端縁まで、また、上面41に連続する右側の側面43から着座部8の右側の側面83に沿って収納されている。
【0025】
各張力布2a、2bは、その中間部分がエアバッグモジュール1内を通り、エアバッグモジュール1内のエアバッグ3に結合されている。即ち、エアバッグ3は膨張展開した場合における上下方向の中間地点の所定箇所が張力布2と縫い合わされ、張力布2と結合されている。
【0026】
本発明に係る乗員拘束装置100においては、車両が衝突した場合、又は大きな衝撃を受けた場合、瞬時にエアバッグ3がシート5のカバーを破ってシート5の前側に膨張展開する。また、エアバッグ3の膨張展開と同時に、張力布2がエアバッグ3と共にシート5の両側部から飛び出て膨張展開するエアバッグ3を保持し、エアバッグ3を背もたれ部4の中心側、即ち、乗員側に配置させることができる。
【0027】
図2は、実施の形態1に係る乗員拘束装置100においてエアバッグ3が膨張展開した状態を示す模式図である。図2では、乗員Pの左側におけるエアバッグ3の膨張展開の様子のみを示している。しかし、実質、乗員Pの左右両側において同様にエアバッグ3が膨張展開する。故に、以下においては、図2を用いて張力布2aの場合を説明し、張力布2bについては説明を省略する。
【0028】
図2に示すように、車両が衝突した場合、エアバッグ3はシート5の側面42の内側からカバーを破ってシート5の前側に向かって膨張展開する。また、エアバッグ3の膨張展開と同時に、張力布2aも飛び出て、膨張展開するエアバッグ3の外側を囲んで背もたれ部4の中央側、即ち、シート5に座っている乗員P側に配置させ、乗員Pを受け止めて保護する。
【0029】
この際、必然として、張力布2aはエアバッグ3の外側面と部分的に接触することになる。実施の形態1に係る乗員拘束装置100においては、エアバッグ3と張力布2aとの接触部のうち、所定の個所を縫い合わせて、張力布2aをエアバッグ3に局所的に結合させている。図2の例においては、張力布2aは、「X」印で示す2箇所の結合部23a,24aでエアバッグ3に縫い付けてある。結合部23a及び結合部24aのうち、結合部23aが結合部24aより下方に位置する。また、これに限定されるものではない。張力布2aにおいて斯かる結合部は、一ヶ所であっても良く、3つ以上の箇所であっても良い。
【0030】
更に、張力布2aにおいて、結合部23a及び結合部24aが所定間隔隔てて設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、結合部23aから結合部24aまでの間を連続的に縫い合わせても良い。
【0031】
なお、実施の形態1に係る乗員拘束装置100においては、張力布2aの結合部23a,24aにて張力布2a及びエアバッグ3が縫製によって結合されているが、これに限定されるものではない。例えば、接着剤にて固定されても良く、適宜の掛止機構にて固定されても良い。
【0032】
乗員拘束装置100においては、このように、エアバッグ3及び張力布2aを予め結合しておくことによって、膨張展開するエアバッグ3の位置をより安定的に調整することができる。
【0033】
一方、張力布2は、その長さから、上述したように、シート5の背もたれ部4の側部から着座部8の側部に亘って収納される。そのため、張力布2をシート5の内側に収納する際には、シャフト6付近にて曲げざるを得ない(図1参照)。
【0034】
更に、従来は、張力布2の一端部21a,21bの係止位置F1,F2から張力布2とエアバッグ3との結合部までの長さが長いことから、斯かる結合部を含むエアバッグ3がシャフト6を回って着座部8の側部に配置されていた。
【0035】
しかし、着座部8の側部には背もたれ部4の角度及び着座部8の高さの調整機構が配置されている場合が多い。故に、着座部8においては、張力布2及びエアバッグ3の収納空間の確保が難しいうえ、エアバッグ3が膨張展開する際、内側で絡んだり、引っかかったりする虞があり、エアバッグ3の膨張展開の妨げになり得る。
【0036】
更に、車両の前後方向における背もたれ部4の傾斜角度によって張力布2が結合されたエアバッグ3の折れ曲がり具合が異なるので、膨張展開時に着座している乗員Pに対して同じ位置へエアバッグ3が膨張展開するとは担保できず、エアバッグ3の膨張展開におけるロバスト性を確保できない。
【0037】
これに対して、実施の形態1に係る乗員拘束装置100はこのような問題を解決できるように構成されている。
実施の形態1に係る乗員拘束装置100では、係止位置F1,F2と、張力布2aの結合部23a,24aとの位置関係を適正化する構成により上述の不具合を解消している。
【0038】
このような乗員拘束装置100の構成について、以下に、図2及び図3に基づいて詳しく説明する。図3は、実施の形態1に係る乗員拘束装置100において、シート5の側部における張力布2aの収納形態を示す説明図である。図3は、背もたれ部4の左部分のみを拡大して示している。実際は、シート5(背もたれ部4)の左右両側において張力布2a及び張力布2bは同様に収納されている。従って、以下では、説明の便宜上、張力布2aの場合を例にして説明し、張力布2bについての説明は省略する。
【0039】
図2及び図3から分かるように、張力布2aにおいて、結合部23a,24aのうち係止位置F1から最も遠い最遠部までの距離は、結合部23aが結合部24aよりも係止位置F1から遠いので、係止位置F1から結合部23aまでのL1(第1距離)である。また、係止位置F1からシャフト6までの距離はL2(第2距離)である。
実施の形態1に係る乗員拘束装置100においては、距離L1が距離L2より短くなるように構成されている。
【0040】
即ち、折り畳まれたエアバッグ3がシート5に収納されたとき、係止位置F1,F2から前記最遠部までの背もたれ部4の外形に沿った距離L1は、係止位置F1,F2からシャフト6の回転中心までの背もたれ部4の外形に沿った距離L2よりも短い。
【0041】
張力布2aがシート5の内側に収納されている場合、図3に示すように、係止位置F1から上面41の左側の端縁を経て、斯かる端縁から上面41に連続する側面42に沿って収納されている。そして、実施の形態1に係る乗員拘束装置100においては、距離L1が距離L2より短いので、張力布2a及びエアバッグ3において結合部23a,24aに係る部分がシャフト6よりも上側にて背もたれ部4の側面42の内側に容易に配置できる。また、このような構成によって、結合部23a,24aを含むエアバッグ3の部分がシャフト6を回るように曲げられることがなくなり、張力布2a及びエアバッグ3において結合部23a,24aに係る部分が曲がった状態で収納されることを防止できる。
【0042】
従って、エアバッグ3が膨張展開するとき、エアバッグ3と結合された、結合部23a,24aに係る部分が絡んだり、引っかかったりすることを極力抑制でき、エアバッグ3の膨張展開に支障が生じることを事前に防止することができ、エアバッグ3の膨張展開におけるロバスト性を確保できる。
【0043】
以上においては、張力布2aが2つの結合部23a,24aを有し、係止位置F1から最も遠い結合部23aを最遠部とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、エアバッグ3との結合部が結合部23aのみである場合、最遠部は結合部23aとなる。また、結合部23aから結合部24aまで連続にて縫製された場合も、最遠部は結合部23aとなる。
【0044】
なお、張力布2はこれに限定されるものではなく、その幅が広い布であっても良く、面積の広い布であっても良い。また、張力布2は帯状に限定されるものではない。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、各エアバッグ3に対して張力布2が一本ずつ設けられた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。実施の形態2に係る乗員拘束装置100では、各エアバッグ3に対して2つの張力布2が設けられている。
【0046】
図4は、実施の形態2に係る乗員拘束装置100においてエアバッグ3が膨張展開した状態を示す模式図である。図4では、乗員Pの左側におけるエアバッグ3の膨張展開の様子のみを示している。実際は、乗員Pの左右両側において同様にエアバッグ3が膨張展開するので、以下においては、図4を用いて乗員Pの左側におけるエアバッグ3の膨張展開の例のみを説明する。
【0047】
実施の形態2に係る乗員拘束装置100においては、左側の一つのエアバッグ3に対して張力布2a及び張力布2cが設けられている。張力布2aの上側の一端部21a及び張力布2cの上側の一端部21cは係止位置F1に保持されている。また、張力布2aの下側の他端部22a及び張力布2cの下側の他端部22cは下側固定部81に保持されている。張力布2a,2cは、シート5の左側の側部に共に収納される。
【0048】
実施の形態2に係る乗員拘束装置100においては、張力布2aが2つの結合部23a,24aを有し、張力布2cが2つの結合部23c,24cを有する。結合部23a及び結合部24aのうち、結合部23aが結合部24aより下方に位置し、結合部23c及び結合部24cのうち、結合部23cが結合部24cより下方に位置する。
【0049】
実施の形態2に係る乗員拘束装置100においても、張力布2aにおける結合部23a及び結合部24aのうち係止位置F1から最も遠い結合部23aと係止位置F1との間の距離、及び、張力布2cにおける結合部23c及び結合部24cのうち係止位置F1から最も遠い結合部23cと係止位置F1との間の距離が、係止位置F1からシャフト6までの距離より短くなるように構成されている。
【0050】
即ち、張力布2aにおいては、結合部23aが結合部24aよりも係止位置F1から遠いので、結合部23aが最遠部となり、張力布2cにおいては、結合部23cが結合部24cよりも係止位置F1から遠いので、結合部23cが最遠部となる。
【0051】
張力布2aにおいて係止位置F1から結合部の最遠部までの距離は、係止位置F1から結合部23aまでのL3(第1距離)であり、張力布2cにおいて係止位置F1から結合部の最遠部までの距離は、係止位置F1から結合部23cまでのL4(第1距離)である。また、係止位置F1からシャフト6までの距離はL2である。
【0052】
実施の形態2に係る乗員拘束装置100においては、距離L3及び距離L4が距離L2より短くなるように構成されている。
このように、距離L3及び距離L4が距離L2より短いので、張力布2a及びエアバッグ3の結合部23a,24aに係る部分と、張力布2c及びエアバッグ3の結合部23c,24cに係る部分とは、背もたれ部4の内側に収納の際、何れもシャフト6よりも上側に位置している。このような構成によって、張力布2aとエアバッグ3との結合部23a,24aに係る部分、及び、張力布2cとエアバッグ3との結合部23c,24cに係る部分がシャフト6を回るように曲げられることはなくなり、結合部23a,24a及び結合部23c,24cに係る部分が曲がった状態で収納されることはない。
【0053】
従って、エアバッグ3及び張力布2a,2cのシート5への収納が容易である。且つ、エアバッグ3が膨張展開するとき、張力布2a及びエアバッグ3の結合部23a,24aに係る部分、並びに、張力布2c及びエアバッグ3の結合部23c,24cに係る部分がシート5内で絡んだり、引っかかったりすることを極力抑制でき、エアバッグ3の膨張展開の妨げになることを事前に防止することができ、エアバッグ3の膨張展開におけるロバスト性を確保できる。
【0054】
また、実施の形態2に係る乗員拘束装置100においては、張力布2aにおける係止位置F1から結合部23aまでの距離L3と、張力布2cにおける係止位置F1から結合部23cまでの距離L4とが同じである。
【0055】
従って、張力布2aの結合部23aと、張力布2cの結合部23cとが背もたれ部4の側部に収納される際、同じ位置に収容されることとなる。これによって、エアバッグ3が膨張展開する際は、距離L3と距離L4とが異なる場合に比べて、張力布2a、張力布2c及びエアバッグ3において結合部23a及び結合部23cに係る部分が早期にかつ共に飛び出ることができる。従って、より確実にエアバッグ3の位置を調整することができる。
【0056】
以上においては、1つのエアバッグ3に対して張力布2が2本ずつ設けられた場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、張力布2が3つ以上であっても良い。
【0057】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
(実施の形態3)
図5は、実施の形態3に係る乗員拘束装置100においてエアバッグ3が膨張展開した状態を示す模式図である。図5では、乗員Pの左側におけるエアバッグ3の膨張展開の様子のみを示している。実際は、乗員Pの左右両側において同様にエアバッグ3が膨張展開するので、以下においては、図5を用いて乗員Pの左側におけるエアバッグ3の膨張展開の例のみを説明する。
【0059】
実施の形態3に係る乗員拘束装置100においては、左側の一つのエアバッグ3に対して張力布2a及び張力布2cが設けられている。張力布2aの上側の一端部21a及び張力布2cの上側の一端部21cは係止位置F1に保持されている。また、張力布2aの下側の他端部22a及び張力布2cの下側の他端部22cは下側固定部81に保持されている。張力布2a,2cは、シート5の左側の側部に共に収納される。
【0060】
実施の形態3に係る乗員拘束装置100は、張力布2aが2つの結合部23a,24aを有し、結合部23aが結合部24aより下方に位置する。また、張力布2cが2つの結合部23c,24cを有し、結合部23c及び結合部24cのうち、結合部23cが結合部24cより下方に位置する。
【0061】
実施の形態3に係る乗員拘束装置100において、張力布2a及び張力布2cは上側の部分が一体化されている。即ち、張力布2aの上側の一端部21aと、張力布2cの上側の一端部21cが所定範囲に亘って縫い合わされ、一体化部2dが形成されている。一体化部2dは、張力布2aの結合部24a及び張力布2cの結合部24cと、上側の係止位置F1との間に形成されている。また、一体化部2dは接着剤を用いて形成されても良い。
【0062】
実施の形態3に係る乗員拘束装置100においても、張力布2a,2cにおける、エアバッグ3との結合部のうち係止位置F1から最も遠い最遠部と、係止位置F1との間の距離が、係止位置F1からシャフト6までの距離より短くなるように構成されている。
【0063】
即ち、張力布2aにおいて係止位置F1から結合部の最遠部(結合部23a)までの距離はL3であり、張力布2cにおいて係止位置F1から結合部の最遠部(結合部23c)までの距離はL4である。また、係止位置F1からシャフト6までの距離はL2である。実施の形態3に係る乗員拘束装置100においても、実施の形態2と同様に、距離L3及び距離L4が距離L2より短くなるように構成されている。
【0064】
従って、張力布2aの結合部23a,24aに係る部分、及び、張力布2cの結合部23c,24cに係る部分がシャフト6を回るように曲げられることはなくなり、結合部23a,24a及び結合部23c,24cに係る部分が曲がった状態で収納されることはない。
【0065】
よって、エアバッグ3及び張力布2a,2cのシート5への収納が容易である。且つ、エアバッグ3が膨張展開するとき、張力布2aの結合部23a,24aに係る部分、及び、張力布2cの結合部23c,24cに係る部分がシート5内で絡んだり、引っかかったりすることを極力抑制でき、エアバッグ3の膨張展開の妨げになることを事前に防止することができ、エアバッグ3の膨張展開におけるロバスト性を確保できる。
【0066】
更に、実施の形態3に係る乗員拘束装置100においては、上述したように、張力布2aの結合部24a及び張力布2cの結合部24cと、上側の係止位置F1との間に一体化部2dが形成されている。
【0067】
従って、張力布2a及び張力布2cをシート5の側部に収納する作業が容易になる。また、エアバッグ3が膨張展開する際、張力布2a及び張力布2cが共に飛び出るので、張力布2a及び張力布2cが別々に分離されている場合に比べて、より早期にエアバッグ3の位置を調整することができる。
且つ、一体化部2dによって、エアバッグ3が膨張展開する際に、張力布2aの上側の結合部24a及び張力布2cの上側の結合部24cの位置決めがより確実にできるので、適確にエアバッグ3の位置を調整することができる。
【0068】
実施の形態1又は2と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る乗員拘束装置100では、各エアバッグ3に対して2つの張力布2が設けられており、これら張力布2の係止位置が可変である。
【0070】
図6は、実施の形態4に係る乗員拘束装置100におけるエアバッグ3の膨張展開を示す説明図である。図6Aはエアバッグ3の膨張展開の途中を示しており、図6Bはエアバッグ3の膨張展開が完了した状態を示している。
なお、図6では、乗員Pの左側におけるエアバッグ3の膨張展開の様子のみを示している。実際は、乗員Pの左右両側において同様にエアバッグ3が膨張展開する。以下においては、図6を用いて乗員Pの左側におけるエアバッグ3の膨張展開の例のみを説明する。
【0071】
実施の形態4に係る乗員拘束装置100においては、左側の一つのエアバッグ3に対して張力布2a及び張力布2cが設けられている。張力布2aの上側の一端部21a及び張力布2cの上側の一端部21cは係止位置F1に保持されている。また、張力布2aの下側の他端部22a及び張力布2cの下側の他端部22cは下側固定部81に保持されている(図1参照)。膨張展開前、張力布2a,2cは、シート5の左側の側部に共に収納される。
【0072】
実施の形態4に係る乗員拘束装置100において、張力布2aは2つの結合部23a,24aを有し、張力布2cも2つの結合部23c,24cを有する。結合部23a及び結合部24aのうち、結合部23aが結合部24aよりも係止位置F1から遠く、結合部23c及び結合部24cのうち、結合部23cが結合部24cよりも係止位置F1から遠い。
即ち、張力布2aにおいては結合部23aが係止位置F1から最遠部となり、張力布2cにおいては結合部23cが係止位置F1から最遠部となる。
【0073】
更に、実施の形態4に係る乗員拘束装置100においては、係止位置F1が移動可能に構成されている。以下、詳しく説明する。
実施の形態4に係る乗員拘束装置100は、張力布2a,2cが係止位置F1に保持されており、係止位置F1を移動させるプリテンショナ機構9を備えている。
【0074】
プリテンショナ機構9は、背もたれ部4の上側において左右方向の中央部に設けられている。プリテンショナ機構9は、衝撃に応じてシートベルトのバックルを引き込むために用いられるバックルプリテンショナと同様な構成を有している。プリテンショナ機構9は、エアバッグ3の膨張展開時に、係止位置F1を背もたれ部4の上面41の中央側に移動させる。
【0075】
エアバッグ3の膨張展開前、係止位置F1は背もたれ部4の上面41における左側端部に位置している。膨張展開の開始直後に、エアバッグ3は乗員Pからやや離れた位置に展開する(図6A参照)。しかし、これと同時的に、プリテンショナ機構9が係止位置F1を上面41の左側端部から左右方向の中央に向けて移動させる。これによって、係止位置F1にその一端部21a,21cが保持された張力布2a,2cが乗員P側に引っ張られる(図6B参照)。
このようにして、張力布2a,2cによりエアバッグ3が乗員P側に付勢され、乗員Pがエアバッグ3によって確実に拘束される。
【0076】
張力布2aにおいて係止位置F1から結合部の最遠部までの距離は、係止位置F1から結合部23aまでのL3(第1距離)であり、張力布2cにおいて係止位置F1から結合部の最遠部までの距離は、係止位置F1から結合部23cまでのL4(第1距離)である。また、係止位置F1からシャフト6までの距離はL2である(図3参照)。
実施の形態4に係る乗員拘束装置100においても、距離L3及び距離L4が距離L2より短くなるように構成されている。
【0077】
このように、係止位置F1が移動する場合においても、距離L3及び距離L4が距離L2より短いことには変わりない。従って、張力布2a及びエアバッグ3の結合部23a,24aに係る部分と、張力布2c及びエアバッグ3の結合部23c,24cに係る部分とは、背もたれ部4の内側に収納の際、何れもシャフト6よりも上側に位置する。よって、張力布2aとエアバッグ3との結合部23a,24aに係る部分、及び、張力布2cとエアバッグ3との結合部23c,24cに係る部分がシャフト6を回った状態で収納されることはない。
【0078】
従って、エアバッグ3及び張力布2a,2cのシート5への収納が容易である。且つ、エアバッグ3が膨張展開するとき、張力布2a及びエアバッグ3の結合部23a,24aに係る部分、並びに、張力布2c及びエアバッグ3の結合部23c,24cに係る部分がシート5内で絡んだり、引っかかったりすることを極力抑制でき、エアバッグ3の膨張展開の妨げになることを事前に防止でき、エアバッグ3の膨張展開におけるロバスト性を確保できる。
【0079】
実施の形態1~3と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0080】
(実施の形態5)
実施の形態5に係る乗員拘束装置100も、実施の形態4と同様、各エアバッグ3に対して2つの張力布2が設けられており、これら張力布2の係止位置が可変である。
【0081】
図7は、実施の形態5に係る乗員拘束装置100におけるエアバッグ3の膨張展開を示す説明図である。図7Aはエアバッグ3の膨張展開の途中を示しており、図7Bはエアバッグ3の膨張展開が完了した状態を示している。
なお、図7では、乗員Pの左側におけるエアバッグ3の膨張展開の様子のみを示している。実際は、乗員Pの左右両側において同様にエアバッグ3が膨張展開するので、以下においては、図7を用いて乗員Pの左側におけるエアバッグ3の膨張展開の例のみを説明する。
【0082】
実施の形態5に係る乗員拘束装置100においては、左側の一つのエアバッグ3に対して張力布2a及び張力布2cが設けられている。張力布2aの上側の一端部21a及び張力布2cの上側の一端部21cは固定位置F3に保持されている。固定位置F3は、背もたれ部4の上面41における左側端部に設けられている。
また、張力布2aの下側の他端部22a及び張力布2cの下側の他端部22cは下側固定部81に保持されている(図1参照)。膨張展開前、張力布2a,2cは、シート5の左側の側部に共に収納される。
【0083】
更に、実施の形態5に係る乗員拘束装置100においては、張力布2aの一端部21aと、張力布2cの一端部21cとが係止位置F1に係止されている。係止位置F1は例えば上下に延びるシャフトであり、張力布2a,2cは係止位置F1を経由して固定位置F3に保持される。係止位置F1は背もたれ部4の上面41の左側端部から左右方向の中央に向けて移動可能に構成されている。張力布2a,2c(一端部21a,21c)は、係止位置F1の移動方向側の外周面と当接している。なお、エアバッグ3の膨張展開前、係止位置F1は背もたれ部4の上面41にて固定位置F3の近傍に位置している。即ち、係止位置F1は背もたれ部4の上面41における左側端部が初期位置である。
【0084】
また、実施の形態5に係る乗員拘束装置100は、前記シャフトを移動させるプリテンショナ機構9を備えている。即ち、プリテンショナ機構9は係止位置F1を移動させる。
プリテンショナ機構9は、背もたれ部4の上側において左右方向の中央部に設けられている。エアバッグ3の膨張展開の際、プリテンショナ機構9は係止位置F1(シャフト)を背もたれ部4の上面41の中央側に移動させる。プリテンショナ機構9については実施の形態4にて既に説明しており、説明を省略する。
【0085】
エアバッグ3の膨張展開が開始した直後は、エアバッグ3が乗員Pからやや離れた位置に展開する(図7A参照)。しかし、これと同時的に、プリテンショナ機構9が係止位置F1を前記初期位置から左右方向の中央に向けて移動させる。
一方、上述の如く、張力布2a,2c(一端部21a,21c)は係止位置F1の移動方向側の外周面と当接している。従って、係止位置F1は、移動する際においても張力布2a,2cとの係止状態を維持する。即ち、係止位置F1は張力布2a,2cを押しながら上面41の中央側に移動する。
【0086】
従って、係止位置F1の移動が完了したときは、張力布2a,2cが乗員P側に引っ張られ(図7B参照)、張力布2a,2cによりエアバッグ3が乗員P側に付勢され、乗員Pがエアバッグ3によって確実に拘束される。
【0087】
実施の形態5に係る乗員拘束装置100において、張力布2aは2つの結合部23a,24aを有し、張力布2cも2つの結合部23c,24cを有する。張力布2aにおいては結合部23aが係止位置F1から最遠部となり、張力布2cにおいては結合部23cが係止位置F1から最遠部となる。
【0088】
即ち、張力布2aにおいて係止位置F1から結合部の最遠部までの距離は、係止位置F1から結合部23aまでのL3(第1距離)であり、張力布2cにおいて係止位置F1から結合部の最遠部までの距離は、係止位置F1から結合部23cまでのL4(第1距離)である。また、係止位置F1からシャフト6までの距離はL2である(図3参照)。
実施の形態5に係る乗員拘束装置100においても、距離L3及び距離L4が距離L2より短くなるように構成されている。
【0089】
このように、係止位置F1が移動する場合においても、距離L3及び距離L4が距離L2より短いことには変わりない。従って、張力布2a及びエアバッグ3の結合部23a,24aに係る部分と、張力布2c及びエアバッグ3の結合部23c,24cに係る部分とは、背もたれ部4の内側に収納の際、何れもシャフト6よりも上側に位置する。よって、張力布2aとエアバッグ3との結合部23a,24aに係る部分、及び、張力布2cとエアバッグ3との結合部23c,24cに係る部分がシャフト6を回った状態で収納されることはない。
【0090】
従って、エアバッグ3及び張力布2a,2cのシート5への収納が容易である。且つ、エアバッグ3が膨張展開するとき、張力布2a及びエアバッグ3の結合部23a,24aに係る部分、並びに、張力布2c及びエアバッグ3の結合部23c,24cに係る部分がシート5内で絡んだり、引っかかったりすることを極力抑制でき、エアバッグ3の膨張展開の妨げになることを事前に防止でき、エアバッグ3の膨張展開におけるロバスト性を確保できる。
【0091】
実施の形態1~4と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0092】
1 エアバッグモジュール
2,2a,2b,2c 張力布
2d 一体化部
3 エアバッグ
4 背もたれ部
5 シート
6 シャフト
7 ヘッドレスト部
8 着座部
21a,21b,21c 一端部
22a,22b,22c 他端部
23a,24a,23c,24c 結合部
23a,23c 最遠部
41 上面
42,43 側面
100 乗員拘束装置
F1,F2 係止位置
L1,L3,L4 距離(第1距離)
L2 距離(第2距離)
P 乗員
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7