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特許7339423センサユニットおよびこのようなセンサユニットを接合する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】センサユニットおよびこのようなセンサユニットを接合する方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/171 20060101AFI20230829BHJP
   B60T 8/1755 20060101ALI20230829BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B60T8/171 Z
B60T8/1755 A
B60T13/138 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022501018
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2020061698
(87)【国際公開番号】W WO2021004669
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】102019210065.1
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルティン イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ディートマー ホーフマン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ビグル
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-542756(JP,A)
【文献】特開2019-077436(JP,A)
【文献】特開2013-071491(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074549(WO,A1)
【文献】特表2018-506957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0140523(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0269751(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011089667(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/171
B60T 8/1755
B60T 13/138
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケーシング(3)内に可動に支持されたボディ(26)の動きを非接触式に検出するセンサユニット(1)であって、前記ボディ(26)に相対回動不能に結合されかつ該ボディ(26)と連動する測定値送信器(20)と、測定値受信器(16.2)を有する、定置に配置された測定装置(10)とを備えたセンサユニット(1)において、
前記測定値送信器(20)は、前記ボディ(26)の動きに応じて、前記測定値受信器(16.2)により検出される少なくとも1つの物理量に影響を及ぼし、前記測定装置(10)は、結合アダプタ(18)を介して前記第1のケーシング(3)に結合されており、前記結合アダプタ(18)は、前記第1のケーシング(3)に面した側に環状の収容輪郭(18.3)を有しており、該収容輪郭(18.3)内にシリコーンビード(19,19A)が入れ込まれており、前記シリコーンビード(19,19A)は、前記収容輪郭(18.3)と前記第1のケーシング(3)との間で加圧成形されており、加圧成形された前記シリコーンビード(19A)は、前記結合アダプタ(18)を前記第1のケーシング(3)に対して位置固定すると共にシールしている、センサユニット(1)。
【請求項2】
前記結合アダプタ(18)は、前記第1のケーシング(3)に面した側に筒部(18.1)を有しており、該筒部(18.1)は、前記第1のケーシング(3)の適合する開口(5)内に挿入されており、該開口(5)内に、可動の前記ボディ(26)に結合された前記測定値送信器(20)が配置されている、請求項1記載のセンサユニット(1)。
【請求項3】
前記環状の収容輪郭(18.3)は、円弧状の横断面を備えて回転対称に、前記第1のケーシング(3)の上面により画定された前記筒部(18.1)の外縁に形成されており、前記収容輪郭(18.3)内で加圧成形された前記シリコーンビード(19A)は、前記結合アダプタ(18)と、前記第1のケーシング(3)の前記開口(5)とをシールしている、請求項2記載のセンサユニット(1)。
【請求項4】
前記筒部(18.1)の外壁に、軸線方向に延びる少なくとも1つの圧入リブ(18.2)が形成されており、該圧入リブ(18.2)を介して、前記筒部(18.1)は前記開口(5)内に圧入されかつ位置固定されている、請求項2または3記載のセンサユニット(1)。
【請求項5】
複数の前記圧入リブ(18.2)が前記筒部(18.1)の外壁に配分されて配置されており、該筒部(18.1)を前記第1のケーシング(3)の前記開口(5)内でセンタリングしている、請求項4記載のセンサユニット(1)。
【請求項6】
前記第1のケーシング(3)は、環状のリング溝(3.1)を有しており、該リング溝(3.1)は、前記結合アダプタ(18)に設けられた前記収容輪郭(18.3)と少なくとも部分的にオーバラップしている、請求項1から5までのいずれか1項記載のセンサユニット(1)。
【請求項7】
前記収容輪郭(18.3)は、前記シリコーンビード(19)を収容するために、第1のアール(R1)を備えた収容室(A)を有し、
前記収容輪郭(18.3)は、加圧成形された前記シリコーンビード(19A)の一部を収容するために、前記収容室(A)の前記第1のアール(R1)よりも小さな第2のアール(R2)を備えた排出室(B)を有している、請求項6記載のセンサユニット(1)。
【請求項8】
前記収容輪郭(18.3)は、前記収容室(A)の前記第1のアール(R1)と前記排出室(B)の前記第2のアール(R2)との間に、前記第1のアール(R1)および前記第2のアール(R2)に対して逆向きに湾曲する第3のアール(R3)とを備える延在部(A1)を有している、請求項7記載のセンサユニット(1)。
【請求項9】
前記収容輪郭(18.3)は、前記排出室(B)の、前記収容室(A)とは反対の側の縁部に流出部(A2)を有している、請求項7または8記載のセンサユニット(1)。
【請求項10】
前記第1のケーシング(3)に設けられた前記環状のリング溝(3.1)は、前記結合アダプタ(18)に設けられた前記収容輪郭(18.3)と少なくとも前記排出室(B)の領域においてオーバラップしている、請求項7から9までのいずれか1項記載のセンサユニット(1)。
【請求項11】
前記測定値送信器(20)は、永久磁石(22)を有しており、前記測定値受信器(16.2)は、前記ボディ(26)の動きにより影響を及ぼされる前記永久磁石(22)の磁界の少なくとも1つの磁気量を検出する、請求項1から10までのいずれか1項記載のセンサユニット(1)。
【請求項12】
前記結合アダプタ(18)は外周面に、位置決め工具および/または把持工具を当てるための少なくとも1つの湾入部(18.7)を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載のセンサユニット(1)。
【請求項13】
前記結合アダプタ(18)は、前記測定装置(10)に面した端面に、圧入工具を当てるための複数の支持面(18.8)を有しており、かつ前記第1のケーシング(3)に面した端面に、前記結合アダプタ(18)が前記第1のケーシング(3)に支持される複数の支持領域(18.6)を有しており、前記支持面(18.8)と前記支持領域(18.6)とは互いに反対の側に位置するように配置されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のセンサユニット(1)。
【請求項14】
遮蔽板(14)が、前記測定装置(10)の第2のケーシング(12)に押し当てられており、該第2のケーシング(12)を包囲している、請求項1から13までのいずれか1項記載のセンサユニット(1)。
【請求項15】
前記測定値受信器(16.2)は、プリント基板(16.1)上に位置決めされて固定されている、請求項14記載のセンサユニット(1)。
【請求項16】
前記結合アダプタ(18)は、前記測定装置(10)に面した側に、前記プリント基板(16.1)の適合する開口内に圧入された少なくとも1つのプレスピン(18.4)を有している、請求項15記載のセンサユニット(1)。
【請求項17】
複数の前記プレスピン(18.4)が配分されて前記結合アダプタ(18)に形成されており、前記プレスピン(18.4)は、前記測定値受信器(16.2)を備えた前記プリント基板(16.1)を、前記第1のケーシング(3)の前記開口(5)に対して位置決めしかつセンタリングしている、請求項16記載のセンサユニット(1)。
【請求項18】
前記遮蔽板(14)と、前記第2のケーシング(12)と、前記プリント基板(16.1)と、前記結合アダプタ(18)の少なくとも1つの前記プレスピン(18.4)とは、少なくとも1つの接着結合手段(16.4)を介して互いに結合されている、請求項17記載のセンサユニット(1)。
【請求項19】
車両用ESPシステムであって、少なくとも1つの圧力発生器とセンサユニット(1)とを駆動する電動モータを備えており、前記センサユニット(1)は、請求項1から18までのいずれか1項に基づき構成されており、前記電動モータの軸(26A)の目下の回転位置および/または回転速度を検出する、車両用ESPシステム。
【請求項20】
請求項1から18までのいずれか1項記載のセンサユニット(1)を接合する方法(100)であって、
測定値送信器(20)を備えたボディ(26)が内部に可動に支持されている開口(5)を備えた第1のケーシング(3)を準備するステップと、
結合アダプタ(18)に結合された測定装置(10)を準備するステップと、
シリコーンビード(19)を前記結合アダプタ(18)の環状の収容輪郭(18.3)内にもたらすステップと、
前記結合アダプタ(18)の筒部(18.1)を、前記第1のケーシング(3)の前記開口(5)内へ挿入し、挿入過程中に、前記環状の収容輪郭(18.3)内の前記シリコーンビード(19A)を押し退けて、前記結合アダプタ(18)を前記第1のケーシング(3)に位置固定すると共に、前記第1のケーシング(3)の前記開口(5)をシールするステップと
を有する方法(100)。
【請求項21】
前記結合アダプタ(18)の前記筒部(18.1)を、その外壁に配置された複数の圧入リブ(18.2)を介して前記開口(5)内に圧入すると共にセンタリングし、加圧成形された前記シリコーンビード(19A)の硬化中に予め位置固定する、請求項20記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のケーシング内に可動に支持されたボディの動きを検出するセンサユニットならびにこのようなセンサユニットを接合する方法に関する。このようなセンサユニットを備えた車両用ESPシステム(ESP:Elektronisches Stabilitaetsprogramm)も本発明の対象である。
【0002】
改良されたESPシステムでは、簡単な直流モータに代えて、ブラシレスECモータ(Electronically Commutated Motor)とも呼ばれるブラシレス直流モータを使用することが望ましい。これは、正しく作動制御された場合にはより高い回転数を達成するため、車両においてブレーキ圧をより迅速に上昇させることができ、このことは最終的に、制動距離の短縮効果につながる。モータを正しい時点で作動制御するためには、モータの目下の回転位置を検出し、この位置を制御装置に送るセンサユニットが使用される。このためには、例えばモータ軸の一方の自由端部に、永久磁石として形成された測定値送信器が高精度に位置決めされて永続的に固定され、その磁力線が、ポンプケーシングに取り付けられた測定装置の測定値受信器を通過する。測定装置は、プラスチックケーシングと、例えばTMR効果(トンネル磁気抵抗効果)に基づき磁力線の角度を検出するセンサ素子とを有している。これらの磁力線を可能な限り正確に検出することができるようにするために、測定値受信器もしくは測定装置全体は、モータ軸に設けられた測定値送信器もしくはポンプケーシングのモータ孔に対して極めて正確に位置決めされることが望ましい。さらに、システムを運転することによりブレーキ液の漏れが生じることがあるモータ孔は、この漏れに対して永続的に閉鎖されかつシールされることが望ましい。
【0003】
独国特許出願公開第102015201411号明細書から公知の、電動モータを備えたブレーキシステム用のモータ・ポンプユニットは、モータ軸を有している。モータ軸は、ポンプケーシング内に配置された少なくとも1つの流体ポンプを駆動する。この場合、ポンプケーシングには制御装置が配置されていて、電動モータの目下の回転数および/または目下のトルクを調節しており、制御装置は、磁気的な測定値送信器と測定値受信器とを有するセンサユニットを介して、モータ軸の目下の回転角度を非接触式に検出しかつ評価して、電動モータを作動制御する。測定値送信器は、ポンプケーシング内でモータ軸の一方の自由端部に配置されており、モータ軸の回転運動に応じて、制御装置もしくはセンサ内に定置に配置された磁気的な測定値受信器により検出される磁界の少なくとも1つの磁気量に影響を及ぼす。
【0004】
独国特許出願公開第102016207659号明細書から、車両用、特に自動車のブレーキシステム用のアクチュエータ装置であって、回転可能に支持された軸に相対回動不能に配置されたロータを有する、少なくとも1つの電子的に整流された電動モータと、ロータの回転位置を検出する少なくとも1つの回転角度センサとを備えたアクチュエータ装置が公知である。この場合、回転角度センサは、軸の端面に対向して位置するように配置されている。さらに、軸の端部もしくは端面は、少なくとも1つの回転角度送信器を有している。回転角度送信器は、例えば軸に固く結合されておりひいては軸と共に回転する永久磁石であってもよい。この場合、回転角度センサは、回転角度送信器の磁界を検出し、検出した磁界に応じて、軸の回転角度位置ひいてはロータの回転角度位置が検出もしくは特定される。
【0005】
発明の開示
独立特許請求項1記載の特徴を備えたセンサユニットもしくは独立特許請求項18記載の特徴を備えた車両用ESPシステムはそれぞれ、結合アダプタが、測定装置と、動きを検出しかつ評価しようとするボディが内部に可動に支持された第1のケーシングとの間のインタフェースを形成している、という利点を有している。廉価な個別構成部材として製造されたこの結合アダプタと、廉価な既知のシリコーンとを介して簡単に、測定装置を第1のケーシングに位置固定すると共に、第1のケーシングの開口をシールすることができる。
【0006】
本発明の実施形態は、第1のケーシング3内に可動に支持されたボディの動きを非接触式に検出するセンサユニットであって、ボディに相対回動不能に結合されかつボディと連動する測定値送信器と、測定値受信器を有する、定置に配置された測定装置とを備えたセンサユニットを提供する。この場合、測定値送信器は、ボディの動きに応じて、測定値受信器により検出される少なくとも1つの物理量に影響を及ぼす。測定装置は、結合アダプタを介して第1のケーシングに結合されている。結合アダプタは、第1のケーシングに面した側に環状の収容輪郭を有しており、収容輪郭内にシリコーンビードが入れ込まれており、収容輪郭と第1のケーシングとの間で加圧成形されており、この場合、加圧成形されたシリコーンビードは、結合アダプタを第1のケーシングに対して位置固定すると共にシールしている。
【0007】
好適には、結合アダプタはプラスチック射出成形部材として形成され得る。このことは、結合アダプタの特に廉価な実現を可能にする。さらにこのような結合アダプタにより、有利には、可動のボディに設けられた永久磁石と測定値受信器との間に磁気的な短絡のリスクが生じることは一切ない。
【0008】
さらに、車両用ESPシステムであって、少なくとも1つの圧力発生器と、電動モータの軸の目下の回転位置および/または回転速度を検出するセンサユニットとを駆動する電動モータを備えた車両用ESPシステムを提案する。
【0009】
さらに、センサユニットを接合する方法であって、以下のステップ、すなわち:測定値送信器を備えたボディが内部に可動に支持されている開口を備えた第1のケーシングを準備するステップ、結合アダプタに結合された測定装置を準備するステップ、シリコーンビードを結合アダプタの環状の収容輪郭内にもたらすステップ、結合アダプタの筒部を、第1のケーシングの開口内へ挿入し、挿入過程中に、環状の収容輪郭内のシリコーンビードを押し退けて、結合アダプタを第1のケーシングに位置固定すると共に、第1のケーシングの開口をシールするステップを有する方法を提案する。
【0010】
以下において測定装置とは、好適にはTMR効果(トンネル磁気抵抗効果)に基づく測定値受信器を備えた構成群を意味する。もちろん、他の磁気抵抗効果、例えばAMR効果(異方向性磁気抵抗効果)、GMR効果(巨大磁気抵抗効果)、CMR効果(超巨大磁気抵抗効果)等に基づく測定値受信器も使用され得る。さらに、ボディの動きを検出するためには磁気抵抗効果だけでなく、例えばホール効果を使用してもよい。ホール効果を実現するためには、例えば永久磁石に代えて鋼板を測定値送信器として使用することができ、鋼板の動きが、ホール素子により検出される少なくとも1つの物理量に影響を及ぼす。
【0011】
従属請求項に記載の手段および改良により、独立特許請求項1に記載のセンサユニットおよび独立特許請求項19に記載の前記センサユニットを接合する方法の有利な改良が可能である。
【0012】
特に有利には、結合アダプタは、第1のケーシングに面した側に筒部を有していてもよく、筒部は、第1のケーシングの適合する開口に挿入可能であり、開口内に、可動のボディに結合された測定値送信器が配置されている。筒部を介して、結合アダプタを簡単かつ迅速に第1のケーシングに接合することができる。
【0013】
センサユニットの別の有利な構成では、環状の収容輪郭は、弓形に開いた横断面を備えて回転対称に、第1のケーシングの上面により画定された筒部の外縁に形成され得る。この場合、収容輪郭内で加圧成形されたシリコーンビードが、結合アダプタと、第1のケーシングの開口とをシールしている。収容輪郭は、第1のケーシングに面した側もしくは結合アダプタの下面に対するシリコーンの塗布のために、好適にはシリコーンの被着と、引き続く、第1のケーシングに対する測定装置の取付け中のシリコーンの排出とに最適な形状に相応する幾何学形状を有している。収容輪郭の回転対称的な形状は、シリコーンビードの簡単かつ廉価な塗布を可能にする。それというのも、シリコーンビードを供給するシリコーンディスペンサは静止しており、ディスペンサの下で、結合アダプタを備えた測定装置が回転するからである。さらに、弓形に開いた収容輪郭は、例えば扁平な輪郭よりも大きな濡れ面積を提供する。収容輪郭の開いた形状は、シリコーンの容易、廉価であると同時に正確な塗布を可能にする。さらに、入れ込まれるシリコーンビードを、例えば量、形状、不足箇所等に関して全自動で目視管理することが可能になる。第1のケーシングの対応する上面が、開いた収容輪郭の下側を画定するため、構成部材同士の接合に際して、有利には第1のケーシングの上面にわたり、シリコーンの水平方向での排出が生じることになる。これにより、第1のケーシングの開口およびその中に配置されたモータ軸受の、シリコーンによる汚染が回避され得る。シリコーンを第1のケーシングではなく測定装置もしくは結合アダプタにもたらすことにより、シリコーンが誤って被着された場合の不良品コストが下がる。シリコーンを第1のケーシングではなく結合アダプタに塗布することにより、結合アダプタの筒部による、シリコーンの開口内への「こすり取りもしくはずれ込み」は不可能である。
【0014】
センサユニットの別の有利な構成では、第1のケーシングは、環状のリング溝を有していてもよく、リング溝は、結合アダプタに設けられた収容輪郭と少なくとも部分的にオーバラップしている。環状のリング溝により、第1のケーシングの濡らされる表面積が拡大されることになる。
【0015】
さらに、シリコーンの流出が、結合アダプタの外側幾何学形状により阻止され得る。この場合、第1のケーシングの平らな上面に対するリング溝の移行部における鋭い縁部が、凹状のもしくは丸み付けられた移行部により回避される。これにより、シリコーンの排出に際するシリコーンの「内部打寄せ」が回避され得、その結果、凹状のもしくは丸み付けられた移行部により、空気の閉じ込め無しにシリコーンの排出が達成され得る。リング溝の大きさは、まず先に、外側に向かって押し退けられたシリコーン体積をリング溝内に確実に収容することができるように選択され得る。これにより、周囲の構成部材がシリコーンにより濡らされることが回避され得る。
【0016】
センサユニットの別の有利な構成では、収容輪郭は、結合アダプタ内にシリコーンビードを収容するために、例えばシリコーンビードの横断面より大きな第1のアールを備えた収容室を有していてもよい。このことは、空気の閉じ込め無しで収容室内にシリコーンビードを収容することを可能にする。さらに収容輪郭は、加圧成形されたシリコーンビードの一部を収容するために、収容室の第1のアールよりも小さな第2のアールを備えた排出室を有していてもよい。収容輪郭は、収容室と排出室との間に、収容室と排出室とに対して逆向きの湾曲部と第3のアールとを備えて接線方向に常に下降する延在部を有していてもよい。好適には、第3のアールは第1のアールに対応していてもよい。さらに収容輪郭は、排出室の、収容室とは反対の側の縁部に流出部を有していてもよい。この場合、第1のケーシングに設けられた環状のリング溝は、押し退けられたシリコーンの一部を収容するために、結合アダプタに設けられた収容輪郭と少なくとも排出室の領域においてオーバラップしていてもよい。プラスチック射出成形法でのこのような収容輪郭の造形は、スライダ無しの簡単な開閉式の型で可能である。この場合、収容輪郭の排出室の、小さい方の第2のアールは、第1のアールの約1/2に相応し得る。このことは、被着されるシリコーン量の許容差補償を可能にする。収容室と排出室との間で接線方向に常に下降する延在部に基づき、収容輪郭の均一で連続的な濡れが、空気の閉じ込め無しに生じる。これに対して、上昇する延在部は、例えば空気の閉じ込めを促進すると考えられる。流出部は、例えば第1のケーシングに相対する結合アダプタの支持領域により形成されたギャップにより形成され得、取付け過程中の追加的な許容誤差補償と空気抜きとを可能にする。さらに、空気抜きにより最小限の処理時間が生じる。それというのも、減圧するための「待機時間」が不要だからである。さらに、空気の閉じ込めを回避するために、全ての移行部がアンダカットもしくは上昇領域無しで形成され得る。
【0017】
センサユニットの別の有利な構成では、測定値送信器は永久磁石を有していてもよく、測定値受信器は、ボディの動きにより影響を及ぼされる永久磁石の磁界の少なくとも1つの磁気量を検出することができる。この場合、永久磁石は、例えばプラスチック結合された永久磁石材料の形態で、延長部としてボディに一体に射出成形されてもよいため、ボディの自由端部が永久磁石を形成している。択一的に、永久磁石は、熱硬化性の接着剤により保持カップ内に接着されてもよく、保持カップは、少なくとも1つのプレスピンを介して、ボディの適合する孔に圧入されて永続的に固定され得る。可動のボディは、例えば回転運動可能に支持された軸または並進運動可能に支持されたロッドとして形成され得る。この場合、軸として形成されたボディにおいて、測定値受信器により検出された磁界の影響が評価可能であり、これにより、軸の目下の回転角度および/または目下の回転速度を計算することができる。ロッドとして形成されたボディでは、測定値受信器により検出された磁界の影響が評価可能であり、これにより、ロッドの目下の進行距離および/または目下の移動速度を計算することができる。
【0018】
センサユニットの別の有利な構成では、軸線方向に延びる少なくとも1つの圧入リブが筒部の外壁に形成され得、圧入リブを介して、筒部は開口内に圧入されかつ予め位置固定され得る。開口内への筒部の挿入を容易にするために、少なくとも1つの圧入リブの端部には挿入斜面が形成されていてもよい。追加的に、開口の縁部にも挿入斜面が形成されてもよい。好適には、複数の圧入リブが筒部の外壁に配分されて配置され、筒部を第1のケーシングの開口内でセンタリングしてもよい。これにより、測定装置もしくは測定値受信器は、第1のケーシングの開口の方向に位置調整されて最適に位置決めされ得る。圧入リブにより、測定装置もしくは測定値受信器は、シリコーンビードが完全に硬化するまで位置固定されて位置決めされる。後の運転において、過剰加圧部が高温下で弛緩した場合には、加圧成形されて硬化させられたシリコーンビードが、単独での測定装置の位置固定と、液体に対する第1のケーシングの開口の全体的なシールとを引き受けることができる。さらに圧入リブにより、空気抜き用の相応するギャップが生じ、ギャップは、測定装置もしくは結合アダプタを第1のケーシングの開口内に圧入する際に役立つ。空気抜きにより、最小限の処理時間が生じる。それというのも、減圧するための「待機時間」が生じないからである。圧入リブは、結合アダプタにかつ/または第1のケーシングの開口内に設けられるアンダカット無しで、測定装置のセンタリングおよび一時的な固定を可能にする。よって、結合アダプタをスライダ無しの簡単な開閉式の型により、プラスチック射出成形部材として製造することが可能である。
【0019】
センサユニットの別の有利な構成では、結合アダプタは外周面に、位置決め工具および/または把持工具を当てるための少なくとも1つの湾入部を有していてもよい。好適には、結合アダプタは、互いに対向して位置するように外周面に形成された2つのV字形の湾入部を有している。このことは、異なる製造ステップの最中に繰り返される結合アダプタの正確な把持および最終組立における第1のケーシングの開口内での測定装置の高精度の回転位置決めを可能にする。
【0020】
センサユニットの別の有利な構成では、結合アダプタは、測定装置に面した端面に、圧入工具を当てるための複数の支持面を有していてもよく、かつ第1のケーシングに面した端面に、結合アダプタが第1のケーシングに支持され得る複数の支持領域を有していてもよい。この場合、支持面と支持領域とは互いに反対の側に位置するように配置され得る。
【0021】
センサユニットの別の有利な構成では、遮蔽板が、測定装置の第2のケーシングに押し当てられ、第2のケーシングを包囲していてもよい。これによりセンサ電子装置を、測定装置の周囲の電磁干渉フィールドに対して遮蔽することができる。これにより、検出された磁気量の歪曲が、少なくとも阻止または回避され得る。
【0022】
センサユニットの別の有利な構成では、測定値受信器は、プリント基板上に位置決めされて固定され得る。この場合、結合アダプタは、例えば測定装置に面した側に、プリント基板の適合する開口内に圧入可能な少なくとも1つのプレスピンを有していてもよい。好適には、複数のプレスピンが配分されて結合アダプタに形成され得、これらのプレスピンは、測定値受信器を備えたプリント基板を、第1のケーシングの開口に対して位置決めしかつセンタリングする。これにより、プリント基板は測定値受信器と共に、軸線方向および半径方向において高精度に測定装置内に収容され得、測定値受信は、第1のケーシングの方向に最適に位置決めされ得る。
【0023】
センサユニットの別の有利な構成では、遮蔽板と、第2のケーシングと、プリント基板と、結合アダプタの少なくとも1つのプレスピンとは、少なくとも1つの接着結合手段を介して互いに結合され得る。
【0024】
前記方法の別の有利な構成では、結合アダプタの筒部を、その外壁に配置された複数の圧入リブを介して開口内に圧入すると共にセンタリングし、加圧成形されたシリコーンビードの硬化中に予め位置固定することができる。これにより測定装置は、シリコーンビードが完全に硬化するまで位置固定されて位置決めされ得る。
【0025】
本発明の実施例を図示すると共に、以下の説明でより詳しく説明する。図面における同一符号は、同一のもしくは同様の機能を果たすコンポーネントもしくは部材を表す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1のケーシングに接合される前の、第1のケーシング内に可動に支持されたボディの動きを検出する本発明によるセンサユニットの測定装置の1つの実施例を示す概略断面図である。
図2図1に示した測定装置を下から見た概略斜視図である。
図3図1および図2に示した測定装置を上から見た概略図である。
図4】第1のケーシング内に可動に支持されたボディの動きを検出する本発明によるセンサユニットの1つの実施例を示す概略断面図である。
図5図4に示した測定装置の細部Vを示す図である。
図6図4および図5に示したセンサユニットを接合する本発明による方法の1つの実施例の概略的なフローチャートを示す図である。
【0027】
発明の実施形態
図1図5から看取されるように、第1のケーシング3内に可動に支持されたボディ26の動きを非接触式に検出する本発明によるセンサユニット1の図示の実施例には、ボディ26に相対回動不能に結合されかつボディ26と連動する測定値送信器20と、測定値受信器16.2を有する、定置に配置された測定装置10とが含まれている。測定値送信器20は、ボディ26の動きに応じて、測定値受信器16.2により検出される少なくとも1つの物理量に影響を及ぼす。この場合、測定装置10は、図示の実施例ではプラスチック射出成形部材18Aとして形成された結合アダプタ18を介して、第1のケーシング3に結合されている。結合アダプタ18は、第1のケーシング3に面した側に環状の収容輪郭18.3を有しており、収容輪郭18.3内にシリコーンビード19が入れ込まれており、収容輪郭18.3と第1のケーシング3との間で加圧成形されており、この場合、加圧成形されたシリコーンビード19Aは、結合アダプタ18を第1のケーシング3に対して位置固定すると共にシールしている。
【0028】
図1図5からさらに看取されるように、結合アダプタ18は、図示の実施例では第1のケーシング3に面した側に筒部18.1を有しており、筒部18.1は、第1のケーシング3の適合する開口5に挿入可能であり、開口5内に、可動のボディ26に結合された測定値送信器20が配置されている。環状の収容輪郭18.3は、弓形に開いた横断面を備えて回転対称に、筒部18.1の外縁に形成されている。図4および図5からさらに看取されるように、収容輪郭の開いた横断面は、第1のケーシング3の上面により画定されており、この場合、収容輪郭18.3において加圧成形されたシリコーンビード19Aは、結合アダプタ18と第1のケーシング3の開口5とをシールしている。
【0029】
図4からさらに看取されるように、本発明によるセンサユニット1は、図示の実施例では少なくとも1つの圧力発生器の駆動に用いられる電動モータの軸26Aの目下の回転位置および/または回転速度を検出するために、ESPシステムにおいて使用される。この場合、第1のケーシング3は、図示の実施例ではESPシステムのポンプケーシング3Aにより形成され、ポンプケーシング3Aには、例えば回転数制御式のブラシレスECモータ(Eelctronically Commutated Motor)として形成された電動モータの他に、複数の流体ポンプ、ばね圧力蓄え器および流体通路ならびに電磁弁および圧力センサ(詳しくは図示せず)が含まれている。したがって、可動のボディ26は、図示の実施例では回転運動可能に支持された軸26Aとして形成されており、軸26Aの自由端部には永久磁石22が配置されている。図4からさらに看取されるように、電動モータの軸26Aは、モータ軸受7を介して回転運動可能に、モータ孔5Aとしてポンプケーシング3Aに形成された開口5内に支持されている。この場合、測定値受信器16.2は、図示の実施例ではボディ26の動きにより影響を及ぼされる永久磁石22の磁界の少なくとも1つの磁気量を検出する。軸26Aとして形成されたボディ26において、測定値受信器16.2により検出された磁界の影響が評価可能であり、これにより、軸26Aの目下の回転角度および/または目下の回転速度を計算することができる。1つの択一的な実施例(図示せず)では、可動のボディ26は、並進的に支持されたロッドとして形成されている。この場合、ロッドとして形成されたボディ26において、測定値受信器16.2により検出された磁界の影響が評価可能であり、これにより、ロッドの目下の進行距離および/または目下の移動速度を計算することができる。
【0030】
図4からさらに看取されるように、永久磁石22は、軸26への取付けのために、図示の実施例では非磁性材料から成る保持カップ24内に貼り付けられている。この場合、永久磁石22は軸26Aに高精度に位置決めされ、永続的に固定される。このために軸26Aは、保持カップ24のプレスピンを受容する端面孔を有しており、これにより保持カップ24を、プレス座を介して永続的に軸26Aに固定することができる。カップの底は、永久磁石22と軟磁性の軸26Aとの間の磁気的な絶縁区間として働く。これにより、軸26A内への有効磁界の流出が減少する。1つの択一的な実施例(図示せず)では、永久磁石は、プラスチック結合された永久磁石材料の形態で、延長部としてボディ26に一体に射出成形されているため、ボディ26の自由端部が永久磁石22を形成している。
【0031】
図1図5からさらに看取されるように、軸線方向に延びる複数の圧入リブ18.2が、筒部18.1の外壁に配分されて配置されており、第1のケーシング3の開口5内で筒部18.1をセンタリングする。
【0032】
さらに、筒部18.1は複数の圧入リブ18.2を介して開口5もしくはモータ孔5A内に圧入され、予め位置固定される。開口5内への筒部18.1の挿入を容易にするために、図示の実施例では複数の圧入リブ18.2の端部にそれぞれ挿入斜面18.9が形成されている。追加的に、開口5の縁部には挿入斜面3.2が形成されている。
【0033】
特に図2および図3から看取されるように、結合アダプタ18は、図示の実施例では外周面に、位置決め工具および/または把持工具を当てるための2つのV字形の湾入部18.7を有している。2つのV字形の湾入部18.7は、互いに対向して位置するように結合アダプタ18の外周面に形成されている。湾入部18.7は、異なる製造ステップの最中に繰り返される結合アダプタ18の正確な把持および最終組立における第1のケーシング3の開口5内での測定装置10の高精度の回転位置決めを可能にする。
【0034】
図1図5からさらに看取されるように、結合アダプタ18は測定装置10に面した端面に、圧入工具を当てるための3つの支持面18.8を有している。結合アダプタ18は、第1のケーシング3に面した端面に3つの支持領域18.6を有しており、支持領域18.6において結合アダプタ18は第1のケーシング3に支持されている。この場合、支持面18.8と支持領域18.6とは互いに反対の側に位置するように配置されている。もちろん、3つよりも多くの支持面18.8もしくは支持領域18.6が設けられてもよい。
【0035】
さらに、環状の収容輪郭18.3は、図示の実施例ではシリコーンビード19の収容用に、シリコーンビード19の横断面よりも大きな第1のアールR1を備えた収容室Aを有している。さらに収容輪郭18.3は、加圧成形されたシリコーンビード19Aの一部を収容するために、収容室Aの第1のアールR1よりも小さな第2のアールR2を備えた排出室Bを有している。図示の実施例では、第2のアールR2は第1のアールR1の約1/2である。特に図2図4および図5からさらに看取されるように、収容輪郭18.3は収容室Aと排出室Bとの間に、収容室Aと排出室Bとに対して逆向きの湾曲部を備えて接線方向に常に下降する延在部A1を有している。さらに、延在部A1は、第1のアールR1に等しい第3のアールR3を有している。図2図4および図5からさらに看取されるように、収容輪郭18.3は、排出室Bの、収容室Aとは反対の側の縁部に流出部A2を有している。流出部A2は、図示の実施例では結合アダプタ18の支持領域18.6により結合アダプタ18と第1のケーシング3との間に生ぜしめられるギャップにより形成される。このことは、追加的な許容差補償と、組立過程中の空気抜きとを可能にする。
【0036】
とりわけ複数のアールR1,R2,R3にわたる収容輪郭18.3の幾何学形状が、第1のケーシング3の上面と、結合アダプタ18の収容輪郭18.3とに対して加圧成形されたシリコーンビード19Aの、よりきれいな当接を可能にする。これにより、第1のケーシング3および収容輪郭18.3の表面を全体的に均一に濡らす目的で、例えば不足箇所や、シリコーンシール内の空気の閉じ込めを減らすことができる。さらにこの形状に基づき、入れ込まれるシリコーン量の体積の増大ひいては有利な許容差補償が生じることになる。この場合、シリコーンビード19は収容輪郭18.3のより深い収容室A内に入れ込まれておりる。第1のケーシング3の開口5内に筒部18.1を圧入すると、入れ込まれたシリコーンビード19は、収容輪郭18.3の延在部A1を経て、よりなだらかな排出室Bと流出部A2とへ押し退けられ、このようにして収容輪郭18.3と第1のケーシング3の上面との間で加圧成形される。
【0037】
図4および図5からさらに看取されるように、第1のケーシング3は、センサユニット1の図示の実施例では環状のリング溝3.1を有しており、リング溝3.1は、結合アダプタ18に設けられた収容輪郭18.3と少なくとも部分的にオーバラップしている。図示の実施例では、第1のケーシング3に設けられた環状のリング溝3.1は、排出室Bおよび流出部A2の領域において、結合アダプタ18に設けられた収容輪郭18.3にオーバラップしており、これにより、押し退けられたシリコーン19Aの一部を収容している。環状のリング溝3.1により、第1のケーシング3の濡らされる表面積が拡大されることになる。特に図5からさらに看取されるように、リング溝3.1は、第1のケーシング3の平らな上面に対する凹状のもしくは丸み付けられた移行部を有している。
【0038】
図1図4からさらに看取されるように、測定装置10の図示の実施例には、第2のケーシング12と、第2のケーシング12を包囲する遮蔽板14とが含まれている。この場合、遮蔽板14は閉じられて形成されていて、第2のケーシング12に押し当てられている。第2のケーシング12は、図示の実施例ではプラスチックケーシングとして形成されている。測定値受信器16.2は、図示の実施例ではTMR効果(トンネル磁気抵抗効果)に基づいておりかつ軸26Aの目下の回転位置を検出するためにブラシレスECモータの軸26Aの端部に配置された永久磁石22と協働するTMRモジュール16.2Aとして形成されている。もちろん、軸の目下の回転位置を検出するために適した別の測定値受信器16.2を使用してもよい。測定装置10の図示の実施例では、センサ電子装置16は測定値受信器16.2の他に、測定値受信器16.2が位置決めされて取り付けられたプリント基板16.1と、プリント基板16.1に圧入されかつ第2のケーシング12により所定の位置に保たれる複数のバスバー16.3とを有している。これにより、測定値受信器16.2により検出された回転位置信号が、プリント基板16.1とバスバー16.3とを介して制御装置(図示せず)に伝達される。
【0039】
図1図3および図4からさらに看取されるように、結合アダプタ18は複数のプレスピン18.4を有している。この場合、プリント基板16.1は結合アダプタ18に嵌め込められており、これにより、プレスピン18.4がプリント基板16.1の適合する開口内に圧入されており、プリント基板16.1を測定値受信器16.2と共に、第1のケーシング3の開口5に対して位置決めしかつセンタリングしている。図4からさらに看取されるように、筒部18.1は、永久磁石22を備えた軸26Aの端部が内部に突入する中空室を形成している。図示の実施例では、測定値受信器16.2は、プリント基板16.1の、軸26Aもしくは永久磁石22に面した側において、プリント基板16.1により覆われた結合アダプタ18の凹部内に配置されている。制御装置(図示せず)は、例えばばねコンタクトを介して測定装置10のバスバー16.3に接触接続され得る。
【0040】
図1図4からさらに看取されるように、遮蔽板14の薄板ブランクは、第2のケーシング12の幾何学形状に適合して曲げられており、この場合、電磁遮蔽効果を改良するために、遮蔽板14は周方向において閉じられている。さらに、遮蔽板14の互いに向かい合う2つの側にはそれぞれ、予荷重力を第2のケーシング12に加える曲げ舌片がスタンピングにより形成されている。遮蔽板14を測定値受信器16.2に対して正確に位置決めするために、第2のケーシング12は互いに向かい合う2つの台座(詳しくは図示せず)を、遮蔽板14用のストッパとして有している。これにより、遮蔽板14とプリント基板16.1との直接的な接触ひいてはプリント基板16.1に対する遮蔽板14の「擦れ」を防ぐことができる。これにより、短絡または導体路中断のリスクも低下する。
【0041】
図1図3および図4からさらに看取されるように、遮蔽板14と、第2のケーシング12と、プリント基板16.1と、結合アダプタ18のプレスピン18.4とは、複数の接着結合手段16.4を介して互いに結合されている。
【0042】
図6からさらに看取されるように、センサユニット1を接合する本発明による方法100は、ステップS100において、内部に測定値送信器20を備えたボディ26もしくは軸26Aが可動に支持されている開口5もしくはモータ孔5Aを備えた第1のケーシング3を準備する。ステップS110において、結合アダプタ18に結合された測定装置10を準備する。この場合、ステップS100とS110とは、図示の順序で実施され得ると同時に逆の順序でも実施され得る。ステップS120において、シリコーンビード19を結合アダプタ18の環状の収容輪郭18.3内にもたらす。ステップS130において、結合アダプタ18の筒部18.1を、第1のケーシング3の開口5内へ挿入し、挿入過程中に、環状の収容輪郭18.3内のシリコーンビード19Aを押し退けて、結合アダプタ18を第1のケーシング3に位置固定する。
【0043】
加圧成形されたシリコーンビード19Aの硬化過程もしくは活性化過程の後には、測定装置10が第1のケーシング3もしくはポンプケーシング3Aに位置固定された状態になり、開口5もしくはモータ孔5Aはシールされている。このようにして、加圧成形されたシリコーンビード19Aは、例えば空気中または炉内で硬化させられてもよい。
【0044】
収容輪郭18.3の回転対称的な形状は、シリコーンビード19の簡単かつ廉価な塗布を可能にする。それというのも、シリコーンビード19を供給するシリコーンディスペンサ(図示せず)は静止しており、ディスペンサの下で、結合アダプタ18と収容輪郭18.3とを備えた測定装置10が回転するからである。収容輪郭18.3の開いた形状は、シリコーンの容易、廉価であると同時に正確な塗布を可能にする。さらに、入れ込まれるシリコーンビードを、例えば量、形状、不足箇所等に関して全自動で目視管理することが可能になる。第1のケーシング3の対応する上面が、開いた収容輪郭18.3の下側を画定するため、構成部材同士の接合に際して、有利には第1のケーシング3の上面にわたり、シリコーンの水平方向での排出が生じることになる。これにより、第1のケーシング3の開口5およびその中に配置されたモータ軸受7の、シリコーンによる汚染が回避され得る。シリコーンを第1のケーシング3ではなく測定装置10もしくは結合アダプタ18にもたらすことにより、シリコーンが誤って被着された場合の不良品コストが下がる。さらに、結合アダプタ18に設けられた筒部18.1による、シリコーンの開口5内への「こすり取りもしくはずれ込み」は不可能である。
【0045】
加圧成形されたシリコーンビード19Aの硬化中もしくは活性化中に結合アダプタ18の筒部18.1を予め位置固定するために、筒部18.1は図示の実施例では、その外壁に配置された複数の圧入リブ18.2を介して開口5内に圧入されかつセンタリングされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6