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特許7339436立体カラーアイイメージングのための方法と装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】立体カラーアイイメージングのための方法と装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20230829BHJP
   A61B 3/12 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
A61B3/10 ZDM
A61B3/12
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2022515754
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 JP2020034225
(87)【国際公開番号】W WO2021049558
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】62/898,812
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヨンシク
(72)【発明者】
【氏名】リー・ダウェイ
(72)【発明者】
【氏名】三野 聡大
(72)【発明者】
【氏名】ワング・ゼングォ
(72)【発明者】
【氏名】チャン・キンプイ
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平03-500135(JP,A)
【文献】特開2006-187312(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02878259(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を出力するように構成された照明光源を含む照明光学系と、
前記照明光学系からの照明光を受け、前記照明光を画像化の対象物の一部分に向けて偏向するように構成されたスキャナと、
前記対象物により前記照明光から散乱された後方散乱光を受け、前記後方散乱光の第1及び第2の画像をキャプチャするように構成されたカメラを含む光学撮像装置と、
前記スキャナと前記光学撮像装置との間に配置され、開口の形状が変更可能なアパーチャーと、
前記スキャナ及び前記光学撮像装置を制御して、異なる時間に前記カメラによってキャプチャされ前記後方散乱光の異なる部分から抽出された前記対象物の前記第1及び第2の画像を前記光学撮像装置にキャプチャさせるように構成された制御プロセッサと、
前記対象物の前記第1及び第2の画像から立体画像を生成するように構成された画像プロセッサと、
を含み、
前記アパーチャーにより前記開口の形状を変更することにより視野角の差を変更する第1モードと、前記対象物における前記照明光の投影位置と前記カメラの撮像面における前記後方散乱光の投影位置との相対的な距離を変更することにより前記視野角の差を変更する第2モードとを変更可能である、眼科撮影装置。
【請求項2】
前記スキャナは、ガルボスキャナ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、及びポリゴンスキャナのいずれかを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スキャナは、ガルボスキャナを含み、
前記制御プロセッサは、更に、行番号キャプチャ信号のタイミング及びガルボスキャナ電圧制御信号を制御して、前記第1及び第2の画像をキャプチャさせるように構成され
前記行番号キャプチャ信号は、前記カメラ内のセンサアレイの複数の画素行のうち、指定された1つ以上の画素行によるキャプチャのタイミングを示す
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記ガルボスキャナ電圧制御信号は、前記ガルボスキャナミラーによって偏向された光の偏向角度を制御し、前記ガルボスキャナ電圧制御信号の電圧は、負の電圧から正の電圧へと変化するように制御される
ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御プロセッサは、前記スキャナ及び前記光学撮像装置を制御して、前記光学撮像装置に、前記後方散乱光の第1の部分を含むように前記第1の画像をキャプチャさせ、かつ、前記後方散乱光の第2の部分を含むように前記第2の画像をキャプチャさせるように構成され、
前記後方散乱光の前記第1の部分は、第1の後方散乱角に沿って前記光学撮像装置によって受光され、前記後方散乱光の前記第2の部分は、前記第1の後方散乱角と視野角の差だけ異なる第2の後方散乱角に沿って前記光学撮像装置によって受光され、
前記光学撮像装置は、更に、キャプチャされた画像の光学倍率を変化させるように制御可能であり、
前記制御プロセッサは、前記光学撮像装置の前記光学倍率と前記行番号キャプチャ信号のタイミングを制御することにより視野角差を変化させ、前記第1及び第2の画像をキャプチャさせる
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御プロセッサは、前記スキャナ及び前記光学撮像装置を制御して、前記光学撮像装置に前記対象物の第3及び第4の画像をキャプチャさせ、
前記制御プロセッサは、前記光学撮像装置の前記光学倍率を制御することにより、前記第3の画像と前記第4の画像との間の視野角を変化させ、
前記制御プロセッサは、前記第1及び2の画像の間の視野角の差を、前記第3及び第4の画像の間の視野角の差と同じにするように制御する
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記光学撮像装置は、光学拡大レンズの位置を制御して前記キャプチャされた画像の前記光学倍率を変化させるアクチュエータを含む
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記対象物が、眼底である
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記制御プロセッサは、前記スキャナ及び前記光学撮像装置を制御して、前記光学撮像装置に第1の視野角を有するように前記第1の画像をキャプチャさせるように構成され、
前記制御プロセッサは、前記光学撮像装置に対する制御信号と前記スキャナに対する制御信号との間の時間遅延に基づいて、前記第1の視野角を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記後方散乱光の前記第1の部分は、前記対象物からの第1の散乱角で受光され、前記後方散乱光の前記第2の部分は、前記第1の散乱角から180度離れた、前記対象物からの第2の散乱角から受光される
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記制御プロセッサは、更に、前記第1及び第2の画像のキャプチャ順序を変更するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記制御プロセッサは、更に、前記スキャナ及び前記光学撮像装置を制御して、前記光学撮像装置に、前記対象物の前記第1の画像を第1の視野角でキャプチャさせ、前記対象物の前記第2の画像を前記第1の視野角とは異なる第2の視野角でキャプチャさせるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記制御プロセッサは、更に、前記照明光学系、前記スキャナ、及び前記光学撮像装置のうちの少なくとも1つを制御して、前記第1の画像における視野角が前記第2の画像における視野角と同じになるように、前記対象物の前記第1及び第2の画像をキャプチャさせるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記制御プロセッサは、更に、前記照明光学系、前記スキャナ、及び前記光学撮像装置の少なくとも1つを制御して、互いに異なる視野角、互いに同じ視野角、又は前記第1及び第2の画像の視野角とは異なる視野角を有する第3及び第4の画像をキャプチャさせるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記画像プロセッサは、更に、3D可視化、深度プロファイル、ボリューム定量化、疾患の進行、及び診断のためのノーマティブデータベースのための情報を生成するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記制御プロセッサは、前記スキャナ及び前記光学撮像装置を制御して、前記第1及び第2の画像のそれぞれの間で異なるように構成された前記アパーチャーを用いることによって、前記後方散乱光の異なる部分から抽出される前記対象物の前記第1及び第2の画像をキャプチャさせるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記アパーチャーは、前記後方散乱光の光路上に設けられた水平アパーチャーを含み、
前記制御プロセッサは、前記対象物の前記第1及び第2の画像の一方をキャプチャするときに前記対象物の上方の部分を照明することと、前記対象物の前記第1及び第2の画像の他方をキャプチャするときに前記対象物の下方の部分を照明することとの間で前記水平アパーチャーを動的に切り替えるように構成されている
ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記アパーチャーは、前記後方散乱光の光路上に設けられた垂直アパーチャーを含み、
前記制御プロセッサは、前記対象物の前記第1及び第2の画像の一方をキャプチャするときに前記対象物の左方の部分を照明することと、前記対象物の前記第1及び第2の画像の他方をキャプチャするときに前記対象物の右方の部分を照明することとの間で前記垂直アパーチャーを動的に切り替えるよう構成されている
ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
照明光を出力し、
前記照明光を受け、
画像化の対象物の一部分に向けて前記照明光の光軸を偏向し、
前記対象物によって前記照明光から散乱された後方散乱光を受光し、
同一の撮像装置を用いて、異なる時間に、前記後方散乱光の異なる部分から抽出された第1及び第2の画像をキャプチャし、
前記対象物の前記第1及び第2の画像から立体画像を生成し、
前記光軸が偏向された前記照明光の光路に配置され開口の形状が変更可能なアパーチャーを用いて前記開口の形状を変更することにより視野角の差を変更する第1モードと、前記対象物における前記照明光の投影位置と前記撮像装置の撮像面における前記後方散乱光の投影位置との相対的な距離を変更することにより前記視野角の差を変更する第2モードとを変更可能である
ことを含む眼科撮影装置を動作させる方法。
【請求項20】
更に、ガルボスキャナ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、及びポリゴンスキャナのいずれかで前記照明光の光軸を偏向する
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
更に、ガルボスキャナで前記照明光の光軸を偏向し、行番号キャプチャ信号のタイミング及びガルボスキャナ電圧制御信号を制御して、前記第1及び第2の画像をキャプチャさせ
前記行番号キャプチャ信号は、前記撮像装置内のセンサアレイの複数の画素行のうち、指定された1つ以上の画素行による取り込みタイミングを示す
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
更に、前記ガルボスキャナ電圧制御信号を制御して、前記ガルボスキャナ電圧制御信号の電圧を負の電圧から正の電圧に変化させて前記ガルボスキャナミラーで偏向された光の偏向角度を変化させる
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
更に、前記後方散乱光の第1の部分を含むように前記第1の画像をキャプチャし、
前記後方散乱光の第2の部分を含むように前記第2の画像をキャプチャし、
第1の後方散乱角に沿って、前記撮像装置により前記後方散乱光の前記第1の部分を受光し、
前記第1の後方散乱角と視野角の差だけ異なる第2の後方散乱角に沿って、前記撮像装置により前記後方散乱光の前記第2の部分を受光し、
キャプチャされた画像の光学倍率を制御し、
記撮像装置の光学倍率と前記行番号キャプチャ信号のタイミングとを制御して前記第1及び第2の画像をキャプチャさせることによって、前記視野角の差を変化させる
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
更に、
前記対象物の第3の画像をキャプチャし、
前記対象物の第4の画像をキャプチャし、
記撮像装置の前記光学倍率を制御することにより前記第3の画像と前記第4の画像との間の視野角を変化させ、
前記第1及び第2の画像の間の視野角の差が、前記第3及び第4の画像の間の視野角の差と同じになるように制御する
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
更に、アクチュエータを制御して、前記キャプチャされた画像の光学倍率を変化させるように光学拡大レンズの位置を変更する
ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記対象物が眼底である
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項27】
更に、
第1の視野角を持つように前記第1の画像をキャプチャし、
光学撮像装置に対する制御信号とスキャナに対する制御信号との間の時間遅延に基づいて前記第1の視野角を制御する
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記後方散乱光の前記第1の部分は、前記対象物からの第1の散乱角で受光され、前記後方散乱光の前記第2の部分は、前記第1の散乱角から180度離れた、前記対象物からの第2の散乱角から受光される
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項29】
更に、前記第1及び第2の画像のキャプチャ順序を変更する
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項30】
更に、第1の視野角で前記対象物の前記第1の画像をキャプチャし、前記第1の視野角と異なる第2の視野角で前記対象物の前記第2の画像をキャプチャする
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項31】
更に、前記第1の画像の視野角が前記第2の画像の視野角と同じになるように前記第1及び第2の画像をキャプチャする
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項32】
更に、互いに異なる視野角、互いに同じ視野角、又は前記第1及び第2の画像の視野角とは異なる視野角を有する第3及び第4の画像キャプチャする
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項33】
更に、3D可視化、深度プロファイル、ボリューム定量化、疾患の進行、及び重要な診断のためのノーマティブデータベースの情報を生成する
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項34】
更に、前記第1及び第2の画像のそれぞれの間で異なるように構成された前記アパーチャーを用いることによって、前記後方散乱光の異なる部分から抽出される前記対象物の前記第1及び第2の画像をキャプチャする
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項35】
更に、
前記アパーチャーとして前記後方散乱光の光路上に水平アパーチャーを配置し、
前記対象物の前記第1及び第2の画像の一方をキャプチャするときに前記対象物の上方の部分を照明することと、前記対象物の前記第1及び第2の画像の他方をキャプチャするときに前記対象物の下方の部分を照明することとの間で前記水平アパーチャーを動的に切り替える
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項36】
更に、
前記アパーチャーとして前記後方散乱光の光路上に垂直アパーチャーを配置し、
前記対象物の前記第1及び第2の画像の一方をキャプチャするときに前記対象物の左方の部分を照明することと、前記対象物の前記第1及び第2の画像の他方をキャプチャするときに前記対象物の右方の部分を照明することとの間で前記垂直アパーチャーを動的に切り替える
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項37】
照明光を出力し、
前記照明光を受け、
画像化の対象物の一部分に向けて前記照明光の光軸を偏向し、
前記対象物によって前記照明光から散乱された後方散乱光を受光し、
同一の撮像装置を用いて、異なる時間に、前記後方散乱光の異なる部分から抽出された第1及び第2の画像をキャプチャし、
前記対象物の前記第1及び第2の画像からから立体画像を生成し、
前記光軸が偏向された前記照明光の光路に配置され開口の形状が変更可能なアパーチャーを用いて前記開口の形状を変更することにより視野角の差を変更する第1モードと、前記対象物における前記照明光の投影位置と前記撮像装置の撮像面における前記後方散乱光の投影位置との相対的な距離を変更することにより前記視野角の差を変更する第2モードとを変更可能である眼科撮影装置を動作させるステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを格納した非有形のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/898,812号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般的に、眼科イメージング(例えば、立体カラーアイイメージング)のための方法、眼科イメージングのための装置、及び眼科イメージングのためのコンピュータ読み取り可能な媒体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載されている「背景」の説明は、本開示の文脈を一般的に示すことを目的としている。出願時に先行技術として認められない記載の態様と同様に、この背景セクションに記載されている範囲で、現在の発明者らの研究は、本発明に対する先行技術として明示的にも暗黙的にも認められない。
【0004】
ステレオディスク撮影(Stereo disc photography)は、眼科における構造的な異常や経時的な変化を記録するために用いられてきた。例えば、立体的なカラーの眼の写真は、解析や診断のための視神経乳頭(ONH)のイメージングに用いられてきた。立体的なカラーの眼の撮影では、写真のように2つの画像が作成され、それを見たときに、2つの画像が観察者の脳内で奥行き感を感じさせるように融合させる。すなわち、観察者が2つの画像を見るとき、観察者の左眼は左の画像を、観察者の右眼は右の画像を見て、観察者の脳は撮影時の奥行き関係(又は視差)を再現する。
【0005】
網膜のトポロジー情報を提供するイメージング技術には、従来のステレオベースのトポグラフィ、共焦点走査型レーザー検眼鏡(cSLO)、光干渉断層計がある。例えば、ステレオベースのトポグラフィでは、従来の立体撮像装置から取得された一対の画像を用いて、計算で網膜の奥行きを再構成する。この従来の手法によれば、3Dの深度プロファイルを、観察者の脳によってのみ再構成することができる。つまり、定性的にしか評価することができない。cSLOは、一般的な眼のカメラや眼底カメラで使用される明るい白色フラッシュの代わりに、レーザー光を用いて網膜をラスタースキャンするイメージング技術であり、患者の快適性を向上させる。反射光は、散乱光を遮る小さなアパーチャー(共焦点ピンホール)を介してキャプチャされ、シャープでより高画質、かつより高コントラストな画像が得られる。徐々に深度を上げてキャプチャされた連続的なcSLOスキャンは、網膜や視神経乳頭(optic disc)の3次元トポグラフィ画像の作成と組み合わせることができる。画像スタックの位置を調整して最終的な合成画像を作成することで、黄斑部の網膜厚測定や視神経乳頭(optic nerve head)のトポグラフィを行うことができる。ただ、撮影時間が比較的長いため、眼球運動によってcSLO画像の質が低下する可能性がある。その結果、3Dの深度プロファイルの測定誤差が大きくなる。光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、低コヒーレンス光を用いて、光散乱媒体(生体組織など)の内部からマイクロメートル分解能の2次元及び3次元の画像をキャプチャするイメージング技術である。OCTは、典型的には、近赤外光を用いた低コヒーレンス干渉分光法に基づく。OCTのAラインプロファイル(各深度での後方散乱光信号)から、各OCTのBフレーム(スキャン軸に沿った複数のAライン)において網膜層をセグメント化することで、深度情報(又はトポロジー解析)を計算的に抽出することができる。この方法は、臨床において広く用いられる。
【0006】
デジタル光検眼鏡(DLO)は、米国特許第8,237,835号(2012年)に記載されているような共焦点イメージング技術を用いる。デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いたデジタル光プロジェクタ(DLP)は、視野を横切る一連の隣接する照明ラインを迅速に投影するように構成されている。ターゲットからの後方散乱光は、DLOコントラストを向上させるためだけにデスキャン(すなわち、多重散乱イメージング)され、ローリングシャッター方式の検出方法でモノクロの相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ上で直接的に撮像される。この構成では、ローリングシャッターがフレキシブルな電子アパーチャーとして動作し、ソフトウェアによって位置や幅をリアルタイムに微調整することができる。
【0007】
DMDは、例えば米国特許第5,061,049号に記載されているように、MOEMS(micro-optoelectro-mechanical system)である。DMDチップは、表示(又は投影)される画像の画素に対応して、数十万個の微小なラーが長方形のアレイ状に配置された表面を有する。ミラーは、個別に±10-12°回転させて、オン状態又はオフ状態にすることができる。オン状態では、プロジェクタの電球からの光がレンズに反射し、スクリーン上の画素は明るく見える。オフ状態では、その光は別の場所(通常はヒートシンク又は黒体)に導かれるため、画素は暗く見える。DMD上の各マイクロミラーの活性化をリアルタイムに制御することで、光走査ビームを所定の試料に照射し、同じ撮像試料からの後方散乱光を収集することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第5,061,049号
【文献】米国特許第8,237,835号(2012年)
【文献】米国特許第6,758,564号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Marshall E. Tyler, CRA, FOPS. Stereo Fundus Photography: Principles and Technique. Journal of Ophthalmic Photography, 1996;18(2):68-81
【文献】Muller MS, Elsner AE. Confocal Retinal Imaging Using a Digital Light Projector with a Near Infrared VCSEL Source. Proc SPIE Int Soc Opt Eng. 2018;10546:105460G. doi:10.1117/12.2290286
【文献】Elsner, AE., Petrig, BL. Laser Scanning Digital Camera with Simplified Optics and Potential for Multiply Scattered Light Imaging. US Patent No. 7,831,106. 2007.
【文献】Espina MP, Arcinue CA, Ma F, Camacho N, Bartsch DU, Freeman WR. ANALYSIS OF A CONFOCAL SCANNING LASER OPHTHALMOSCOPE NONCONTACT ULTRA-WIDE FIELD LENS SYSTEM IN RETINAL AND CHOROIDAL DISEASE. Retina. 2015;35(12):2664-2668. doi:10.1097/IAE.0000000000000899.
【文献】Huang, D; Swanson, EA; Lin, CP; Schuman, JS; Stinson, WG; Chang, W; Hee, MR; Flotte, T; et al. (1991). "Optical coherence tomography". Science. 254 (5035): 1178-81.
【文献】Hansung Kim, Shinwoo Choi, Kwanghoon Sohn, "Real-time depth reconstruction from stereo sequences," Proc. SPIE 6016, Three-Dimensional TV, Video, and Display IV, 60160E (15 November 2005).
【文献】J. Gu, Y. Hitomi, T. Mitsunaga and S.K. Nayar. Coded Rolling Shutter Photography: Flexible Space-Time Sampling. IEEE International Conference on Computational Photography (ICCP), Mar. 2010.
【文献】Kafieh R, Rabbani H, Kermani S. A review of algorithms for segmentation of optical coherence tomography from retina. J Med Signals Sens. 2013;3(1):45-60.
【文献】Chen TC. Spectral domain optical coherence tomography in glaucoma: qualitative and quantitative analysis of the optic nerve head and retinal nerve fiber layer (an AOS thesis). Trans Am Ophthalmol Soc. 2009;107:254-281.
【発明の概要】
【0010】
この概要は、以下の詳細な説明で更に説明される簡略化された形式で概念の選択を導入するために提供される。この概要は、請求項に記載された主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また請求項に記載された主題の範囲を限定することを意図したものではない。更に、請求される主題は、本開示のいずれかの部分で指摘された任意の又はすべての欠点を解決する限定事項に限定されるものではない。
【0011】
本開示の一態様によれば、眼科撮像装置は、照明光を出力するように構成された照明光源を含む照明光学系と、照明光学系から照明光を受け、画像化の対象物の一部分に向けて照明光を偏向するように構成されたスキャナと、対象物によって照明光から散乱される後方散乱光を受光し、後方散乱光の第1及び第2の画像をキャプチャするように構成されたカメラを含む光学撮像装置と、スキャナ及び光学撮像装置を制御して、異なる時間にカメラによってキャプチャされ後方散乱光の異なる部分から抽出された対象物の第1及び第2の画像を光学撮像装置にキャプチャさせるように構成された制御プロセッサと、対象物の第1及び第2の画像から立体画像を生成するように構成された画像プロセッサと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明のより完全な理解とそれに付随する利点の多くは、添付の図面に関連して考慮される場合、以下の詳細な説明を参照することで、同じことがより深く理解することが容易になる。
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る立体カラーアイイメージング装置(stereoscopic color eye imaging apparatus)のブロック図を模式的に示す図である。
図2A図2Aは、本発明の一実施形態に係る上方及び下方の視野の取得方式による取得角度変化の例を示す図である。
図2B図2Bは、本発明の一実施形態に係る左方及び右方の視野の取得方式による取得角度変化の例を示す図である。
図2C図2Cは、本発明の一実施形態に係る照明・検出方式の動作例を表したものである。
図2D図2Dは、視野角と立体視野角がどのように異なる関係にあるかを更に説明するために、本発明の一実施形態に係る光学トレースの一例を示したものである。
図2E図2Eは、瞳孔面でダイナミックアパーチャーを用いた本発明の一実施形態の動作の一例を示したものである。
図2F図2Fは、ダイナミックアパーチャーを変更したときの(分割アパーチャーの場合)本発明の一実施形態の動作例を示したものである。
図2G図2Gは、ダイナミックアパーチャーを用いた本発明の一実施形態の例を示したものである。
図2H図2Hは、開口絞り設定を用いた本発明の一実施形態の例を示したものである。
図2I図2Iは、分割アパーチャーを用いた本発明の一実施形態の例を示したものである。
図2J図2Jは、本発明の一実施形態に係る分割アパーチャーを設定したときの狭視野角の一例を示したものである。
図2K図2Kは、本発明の一実施形態に係る分割アパーチャーを設定したときの広視野角の一例を示したものである。
図3A図3Aは、本発明の一実施形態に係る開口絞りを設定したときの狭視野角による視野角変化の一例を示す図である。
図3B図3Bは、本発明の一実施形態に係る広視野角での視野角変化の一例を示す図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施形態に係る開口絞りを設定したときの広視野角(FOV)を有する光学FOVの変化の一例を示す図である。
図4B図4Bは、本発明の一実施形態に係る開口絞りを設定したときの狭FOVのFOV変化の一例を示す図である。
図4C図4Cは、一連の画像を取得してモザイク処理することによる撮像視野の拡大の一例を示す図である。
図4D図4Dは、スキャン方向の変化の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るローリングシャッター機構付きの2Dカメラとガルボスキャナとを含む立体カラーアイイメージング装置の一例を示す図である。
図6A図6Aは、本発明の一実施形態に係るガルボと検出器の上方視野制御信号の一例を示す図である。
図6B図6Bは、本発明の一実施形態に係るガルボと検出器の下方視野制御信号の一例を示す図である。
図6C図6Cは、ガルボスキャナ制御電圧の変化が走査角度(又は照明角度)にどのように影響するかを更に説明するための本発明の一実施形態の動作例を示したものである。
図7A図7Aは、本発明の一実施形態に係るガルボスキャナを用いた撮像装置における狭視野角を動的に視野角を変更したときの上方視野制御信号の一例を示す図である。
図7B図7Bは、本発明の一実施形態に係るガルボスキャナを用いた撮像装置における狭視野角を動的に視野角を変更したときの下方視野制御信号の一例を示す図である。
図7C図7Cは、本発明の一実施形態に係るガルボスキャナを用いた撮像装置における広視野角を動的に視野角を変更したときの上方視野制御信号の一例を示す図である。
図7D図7Dは、本発明の一実施形態に係るガルボスキャナを用いた撮像装置における広視野角を動的に視野角を変更したときの下方視野制御信号の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係るローリングシャッター機構付き2DカメラとDMDとを含む立体カラーアイイメージング装置の一例を示す図である。
図9A図9Aは、DMDと検出器の上方視野制御信号の一例を示す図である。
図9B図9Bは、DMDと検出器の下方視野制御信号の一例を示す図である。
図10A図10Aは、本発明の一実施形態に係るDMDを用いた撮影において、狭視野角を動的に視野角を変更したときの上方視野制御信号の一例を示す図である。
図10B図10Bは、本発明の一実施形態に係るDMDを用いた撮影において、狭視野角を動的に視野角を変更したときの下方視野制御信号の一例を示す図である。
図10C図10Cは、本発明の一実施形態に係るDMDを用いた撮影において、広視野角を動的に視野角を変更したときの上方視野制御信号の一例を示す図である。
図10D図10Dは、本発明の一実施形態に係るDMDを用いた撮影において、広視野角を動的に視野角を変更したときの下方視野制御信号の一例を示す図である。
図11A図11Aは、本発明の一実施形態に係るマルチプルスキャンカメラとガルボスキャナとを含む立体カラーアイイメージング装置の一例を示す図である。
図11B図11Bは、開口絞り設定時の図11Aの実施形態の動作例を示す図である。
図12A図12Aは、本発明の一実施形態に係る平行ステレオ取得を用いた立体撮像の方法の一例を示す図である。
図12B図12Bは、本発明の一実施形態に係る収束ステレオ取得を用いた立体撮像の方法の一例を示す図である。
図12C図12Cは、本発明の一実施形態に係る立体撮像の動作例を示す図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係る処理ユニットを用いて実行される3D可視化と解析処理を伴う立体撮影の方法の一例を示す図である。
図14A図14Aは、本発明の一実施形態に係る立体的なカラーの眼の画像の一例例を示す図である。
図14B図14Bは、本発明の一実施形態に係る図14Aの立体的なカラーの眼の画像から抽出された情報の3次元プロットを示す図である。
図15A図15Aは、本発明の一実施形態に従って実行されたカップの深さの推定を含む情報の3次元プロットを示す図である。
図15B図15Bは、本発明の一実施形態に従って実行されたカップ/ディスク比の推定を含む情報の3次元プロットを示す図である。
図16図16は、本発明の一実施形態に係る本発明の一部を実施するために使用することができるコンピュータ構造の一例を示す図である。 本開示の更なる適用分野は、以下に示す詳細な説明から明らかになるだろう。例示的な実施形態の詳細な説明は、説明を目的としたものであり、従って、本開示の範囲を必ずしも限定することを意図したものではないことを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、単数形で記載され、「a」又は「an」という単語に続く要素又はステップは、そのような除外が明示的に記載されていない限り、複数の要素又はステップを除外しないと理解すべきである。更に、本発明の「一実施形態」への言及は、記載された特徴を組み込んだ追加の実施形態の存在を排除すると解釈されることを意図したものではない。
【0015】
本明細書に記載の制御方法及びシステムは、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせ若しくはサブセットを含むコンピュータプログラミング又はエンジニアリング技術を用いて実装されてもよ
【0016】
加齢黄斑変性症(AMD)と緑内障は、眼科における失明の主な原因となっている。このような疾患を評価するために、臨床細隙灯検査や画像診断など多くの眼科検査が開発されている。最近では、OCT装置が、これらの眼疾患をほぼリアルタイムで画像化して、可視化するのに用いられている。ただ、OCT装置は比較的高価であり、OCT装置の操作には訓練を受けたオペレーターや専門家が必要である。このように、OCT装置を用いた検査は高価であり、これが後進国や地方でOCT装置を用いた検査が一般的でない理由の一部である考えられる。
【0017】
本開示は、結果として得られる立体的なカラーの眼の画像から3Dの深度プロファイルを再構成することを含み、既存の制限を克服し得る立体カラーアイイメージング装置、方法、及びコンピュータ読み取り可能な媒体に関するものである。眼底を含む、眼の任意の部分を撮影してもよい。本発明は、人体の他の部分のイメージングにも適用可能である。本発明の実施形態を説明するために用いられる「立体カラーアイイメージング装置」及び「立体カラー眼底撮影装置」という用語は、同等のものと考えるべきである。本発明の一実施形態に係る立体カラー眼底像撮影装置は、光源ユニット、検出器/センサユニット、スキャナユニット、撮影光学系、及び制御ユニットを含んでもよく、これらは、立体画像及び情報を提供するように動作し、眼科における眼疾患のスクリーニングに有用であると考えられる。更に、本明細書に記載されている立体カラー眼底撮影装置及び方法は、従来のDLO、cSLO、又はラインスキャンSLO(例えば、米国特許第6,758,564号に記載されているような)によって生成されるものと同等の画像、光学分解能、及び特徴を提供することができる一方で、それらの先行技術のアプローチにおける欠点を回避又は最小化することができる。
【0018】
本発明の一実施形態は、OCTベースのデバイスと比較して、比較的低コストのシステムをもたらす可能性がある。このような実施形態は、部分的に又は完全に自動化されていてもよく(例えば、自撮りするように簡単に操作できる)、又はイメージングのための最小限のトレーニングしか必要としないかもしれない。遠隔地や後進国に住む人々は、この発明を最大限に活用することができるであろう。
【0019】
本発明に係る立体カラー眼底撮影装置及び方法の実施形態は、網膜を立体的に解析することができ、従来のカラー眼底撮影装置と同等の撮像機能を、より低コストで、より簡単な操作で提供することができる。本発明の一実施形態によれば、多重散乱信号(上方部分と下方部分への後方散乱光)を用いて、第1及び第2画像の間の視差を計算で動的に計算することにより、3Dの深度プロファイルを再構築する(すなわち、立体撮像を行う)ことができる。
【0020】
図1は、眼116の眼底の立体カラー画像を得ることができる立体カラー眼底撮影装置の模式的な一例を示す図である。本実施形態の装置は、撮影光学系102、光スキャナユニット110、制御ユニット104、検出器/センサユニット112、処理ユニット106、表示ユニット108、及び記憶ユニット114を含む。更に、別の実施形態に係る装置は、眼116の眼底のカラーの立体画像の代わりに、眼116の眼底のグレースケールの立体画像をキャプチャしてもよい。
【0021】
撮影光学系102は、光源、光学レンズ、ホルダー及び光学的な位置合わせツール、光学シャッターなどの光学部品を含んでいてもよい。光源として、1つ以上のハロゲンランプ及び/又はLED光源を用いてもよい。光スキャナユニット110は、撮影光学系からの可視光線の照明光を画像化対象の試料又は対象物(例えば、眼)に向けて偏向し、同時に画像化対象の試料又は対象物から散乱された後方散乱光を受ける。制御ユニット104は、後述する機能をプログラムした汎用コンピュータを用いて実装することができ、システム内のすべての電気的・機械的な部品やユニットの動作を制御する。立体視を実現するためには、少なくとも2つ以上の画像が、2つ以上の画像の間で十分な視野角差を持って取得される。本発明の一実施形態によれば、画像取得角度は任意に設定することができるが、そのスキャン方向は、例えば、図2A図2B図2C、及び図2Dについて後述するような一例に係るローリングシャッターカメラ機構を最適に利用するために、有利には検出器のシャッター方向に直交してもよい。更に、制御ユニットからの固視標を、光学的なピント合わせ/アライメントを補助し、眼球運動を抑制するために設けることができる。
【0022】
光走査位置と検出位置の間の相対的な距離は、図3A及び図3Bについて後述するように、立体視野角差を導入及び/又は変化させるために動的に変更することができる。立体撮影を完了させるために、少なくとも2つの画像(例えば、図2Aのスキャン#1 208aとスキャン#2 208b、又は図2Bのスキャン#1 208cとスキャン#2208d、又は図3Aのスキャン#1 308aとスキャン#2 308b、又は図3Bのスキャン#1 308cとスキャン#2 308d)を異なる視野角で取得する必要がある。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、1)分割アパーチャー動作、2)開口絞り動作、を用いて立体撮像を行うことができる。本発明の一実施形態によれば、撮影光学系の光学的な開口を、分割アパーチャーモードと開口絞りモードとの間で動的に変更することができる。図2Eには、眼276の撮影中のこのような分割アパーチャー動作と開口絞り動作との間の動的な変化の例が示されている。図2Eの例では、照明は眼の中央部分を通して行われ、検出は環状に行われる。開口絞りモードでは、照明は眼の環状部分で行われ、検出は眼の中央部分を通して行われる。図2Eの例では、分割アパーチャーの場合、水平アパーチャーを用いて、照明270は、~φ2.0mmであり、d272は、~0.5mmであり、検出幅274である。垂直アパーチャーを用いた眼276の照明は、分割アパーチャーの場合も示されている。図2Eは、検出280が、~φ2.0mmであり、d278が、~0.5mmであり、照明幅282が、~0.5mmである開口絞りの場合も示している。眼276の照明は、垂直アパーチャー/開口絞りの場合についても示されている。このように、制御ユニット104によって動的に制御されるパラメータには、開口(aperture)、光学倍率、視野角がある。
【0024】
図2Fは、分割アパーチャーモード時の動作を更に詳しく示す。分割アパーチャーの場合において本発明の一実施形態によれば、水平アパーチャー(すなわち、図2Fの上方の部分)を使用して、眼284の上方視野スキャン(すなわち、図2Fの左上で、第1の光学画像286を生成する)から眼284の下方視野スキャン(すなわち、図2Fの右上で、第2の光学画像288を生成する)に切り替えることによって、視野角を導入するようにアパーチャーの切り替えを行うことができる。或いは、垂直アパーチャーを使用する場合、第1の光学画像290と第2の光学画像292との間の視野角差は、左方視野スキャン(すなわち、図2Fの左下)と右方視野スキャン(すなわち、図2Fの右下)との間を切り替えることによって作成される。分割アパーチャーモードでは、照明と検出位置を同一にすることができる。視野角の差は、瞳孔面における上方のアパーチャーから下方のアパーチャーへの切り替えや、瞳孔面における左方のアパーチャーから右方のアパーチャーへの切り替えによって導入することができる。従って、分割アパーチャーモードの立体撮像では、アパーチャーの形状の切り替え(上方視野アパーチャー←→下方視野アパーチャー)によって視野角差が生じるため、(開口絞りモードと異なり)照明と検出の間に時間遅延が必要ない。アパーチャーの設定が開口絞りのとき、光走査位置(例えば、図2A及び図2Bの照明/走査位置204a及び202b、204c及び202d、図3A及び図3Bの304a及び302b、304c及び302d)と検出位置(例えば、図2A及び図2Bの202a、204b、202c、及び204d、図3A及び図3Bの302a、304b、302c及び304d)との間の相対的な距離を変更することにより、走査画像間の視野角差を拡大または縮小することができる。光走査位置は、光走査ビーム(すなわち、装置によって眼底に投影される照明光のライン)が投影される眼底上の位置であり、検出位置は、光学的な後方散乱光が投影される撮像面(例えば、カメラのセンサ面)上で対応する位置である。光学倍率が1倍に等しい場合、撮像面と眼底面との間の物理的なスケールは同一である必要がある。視野角差の変化は、本発明の一実施形態によれば、画像をキャプチャするために眼底のラインを選択する光学スキャナ制御信号と画像取得制御信号との間の相対的な時間間隔(すなわち、リーディングタイム(leading time)又は遅れ時間(lagging time))を変化させることによって達成される(ライン・バイ・ライン取得)。
【0025】
ガルボスキャナ(例えば、ガルボスキャナ510)によって光走査ビームが眼底に投影されるとき、ガルボ制御信号が制御ユニット104から生成され、ガルボスキャナが制御される。ガルボ制御信号は、光学倍率、カメラのフレームレート、必要な深度分解能、FOVなどのパラメータに基づいて、制御ユニット104によって制御される。パラメータは、あらかじめ決められてメモリ(例えば、記憶ユニット114)に格納されていてもよいし、制御ユニット104又は処理ユニット106に搭載されたユーザーインターフェースによって動的に設定されてもよいし、制御ユニット104又は処理ユニット106に接続された別のコンピュータを用いる遠隔操作者によって制御されてもよい。ガルボ制御信号は、特に、撮像試料に対する光走査ビームの投影角度を制御するように設計されている。一般的に、投影角度の変化量はガルボ制御信号のアナログ電圧(信号のDC電圧オフセットを除く)に直線的に比例する。例えば、広いFOVでの撮像が必要な場合、狭いFOVでの撮影に比べてガルボ制御信号の電圧を比例して大きくする必要がある。これと並行して、撮像試料からの後方散乱光は、ガルボスキャナの鏡面で反射された後、検出器(すなわち、カメラセンサ)によってデジタル化される。デジタル化は、2Dカメラ上の検出器アレイの各行(row)が、制御ユニット104によって生成されたカメラトリガー制御信号によって順次にトリガーされ、カメラセンサ上の画素の対応するラインによって受光された入射光信号をデジタル化するように、ローリングシャッター機構を備えた2Dカメラを用いて行われる。従来のSLOイメージングでは、信号対雑音比を最適化するために、検出位置を走査ビームの位置と同じにする必要がある。しかしながら、本発明の一実施形態に係る立体撮像では、走査ビーム位置に対する検出位置は、立体視のためにオフセンターにする必要がある。撮像面(又はカメラ)でのオフセンタリング量は、2Dカメラのライン・バイ・ライン取得とガルボ制御信号の電圧変化の増分が制御ユニット104によって一定のレート(周波数)で制御されるため、時間スケールで表現することができる。従って、処理ユニット106によって生成される動的な立体画像における視野角は、2Dカメラのトリガー制御信号とガルボ制御信号との間に相対的な位相シフトを導入する制御ユニット104によって簡単に制御することができる。その結果、2つの連続する画像(ステレオ画像)の間の立体視野角によって、画像を解析して得られる最小解像可能な深度分解能が決まる。従って、制御ユニット104は、理想的な深度分解能を実現するために、光スキャナユニット110と検出/センサユニット112の動作を同期させてもよい。ガルボスキャナの代わりにポリゴンスキャナを用いることも可能である。
【0026】
本発明の一実施形態によって生成される立体画像の光学倍率は、光学的視野だけでなく、解像可能な立体的な深度の分解能にも影響を与えることができる。光学倍率が高いほど、解像可能な立体的な深度の分解能が高くなる。
【0027】
検出器/センサユニット112は、後方散乱光を電気信号に変換するデジタイザ/センサを含む。デジタイザは、ローリングシャッター付きのCCDカメラ、マルチプルラインスキャンカメラ、又はその他の容易に入手可能な2次元画像検出デバイスを含む。制御ユニット104は、光学倍率制御、ユーザー制御コマンドの実行、オートアライメント/フォーカス、ガルボ/DMD制御、及び安全機構、リアルタイムの光学パワー/スペクトル監視、リアルタイムのアイトラッキングを含むすべてのシステムコンポーネントを制御する。処理ユニット106は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアによって構成された処理回路を含み、キャプチャされた画像から立体情報を計算、処理、及び抽出する。処理ユニット106は、画像再構成解析、クラウドベースのサービス、患者情報、臨床記録などのユーザーアプリケーションを処理する。処理ユニット106及び制御ユニット104の一方又は双方は、更に、ユーザーインターフェースを含み、ユーザーが装置及び/又は方法のパラメータ及び動作を制御することができる。ユーザーインターフェースは、装置及び/又は方法の適切な使用をユーザーに指示する指示及び/又は制御のフィードバック(視覚的、及び/又は聴覚的な指示(cue)を含む)を提供するように構成されている。処理ユニット106及び制御ユニット104の一方又は双方は、通信インターフェースを含み、画像を他の撮像源から入力することを可能にし、処理結果を電子的に出力することを可能にし(例えば、患者又は医療専門家と共有するために)、本明細書に記載された制御及び処理機能の一部又は全体を、遠隔地、ネットワークに接続された、及び/又はクラウドベースのコンピュータに実行させることが可能である。表示ユニット108は、処理ユニット106によって生成された情報を視覚化するためにユーザーが使用することができるプロジェクタ、モニタ、ディスプレイ、又はプリンタを含む。記憶ユニット114は、キャプチャされた画像、3D再構成データ、臨床記録、処理ユニット106、制御ユニット104の動作プログラム、装置又は方法の構成データなどの情報を格納するように構成されたデジタル記憶メモリである。
【0028】
図2Aは、本発明の一実施形態に係る開口絞りモードにおける上方及び下方の視野の取得方式による取得角度変化の一例を示す図である。この例では、「上方」と「下方」は、視野角が変化する異なる方向を指す。しかしながら、これは単なる例示的な一対の方向であり、第1及び第2の画像が対象物からの異なる散乱角で受光されるように、10時の位置と4時の位置、又は11時の位置と5時の位置、7時の位置と1時の位置など・・・、散乱角が互いに180度離れているような、他の方向も本発明の範囲内である。センサ(CCDイメージセンサなど)は、照明ライン204aが眼208aの眼底の別の部分を照明している間に、センサによって焦点が合わせられた眼208aの眼底上の検出ライン202a(すなわち、センサからのピクセルのライン)をキャプチャし、検出ライン202a及び照明ライン204aが眼208aの眼底に沿った(後述するスキャナによる)スキャン方向206aに移動して第1の(上方視野の)カラー眼底画像210aをキャプチャするように構成される。照明ライン204aの位置(すなわち、装置によって照明される部分)は、検出ライン202aの位置(すなわち、装置によって画像にキャプチャされた領域の位置)から、以下に詳述する処理に基づいて制御ユニットによってあらかじめ定められた、又は制御可能な距離だけ離れている。眼208b(208aと同じ眼)の眼底を横切って移動するように制御された検出ライン204bと照明ライン202bによって下方の視野がキャプチャされ、第2の(下方視野の)カラー眼底画像210bがキャプチャされる。
【0029】
図2Bは、本発明の一実施形態に係る開口絞りモードでの左方及び右方の視野の取得方式による取得角度変化の例を示す図である。この例は、図2Aの例と同様に動作するが、図2Bでは、視野角の差が、図2Aの上方/下方の方向ではなく、左方/右方の方向でキャプチャされる。従って、図2Bの例によれば、眼208cの眼底を横切ってスキャン方向206cに移動する検出ライン202c及び照明ライン204cによって左方のビューが実行され、第1の(左方視野の)カラー眼底画像210cが生成される。この例によれば、眼208dの眼底を横切ってスキャン方向206dに移動する検出ライン204dと照明ライン202dによって右方のビューが実行され、第2の(右方視野の)カラー眼底画像210dがキャプチャされる。
【0030】
図2Cは、本発明の一実施形態に係る照明・検出方式の動作例を表したものである。図2Cに示すように、照明光236は、瞳孔面の中心通って眼220の眼底を照明する。照明された眼220からの後方散乱光230は、後方散乱角238で広がって、合焦レンズ232及びビームスプリッタ234(撮影光学系102に含まれる)によって受光される。ガルボスキャナ224は、後方散乱光230をローリングシャッターカメラ222に向けて偏向する。ダイナミックアパーチャーの構成要素(例えば、異なる固定サイズのアパーチャーを選択するための回転可能なアパーチャーホイール、又は可変のアパーチャー開口サイズを有する制御可能なアパーチャー)は、分割アパーチャーモード、開口絞りモードなどの異なるアパーチャーの間を切り替えるために用いることができる。第1の方向226に散乱する後方散乱光230の一部は、第1の視野角(例えば、図2Aのカラー眼底画像210aをキャプチャするための上方の視野角、又は図2Bのカラー眼底画像210cをキャプチャするための左方の視野角)から第1のカラー眼底画像をキャプチャするために用いられる。第2の方向228(ここで、第1の方向226と第2の方向228は180度離れている)に散乱する後方散乱光230の別の部分は、第2の視野角(例えば、図2Aのカラー眼底画像210bをキャプチャするための下方の視野角、又は図2Bのカラー眼底画像210dをキャプチャするための右方の視野角)から第2の画像をキャプチャするために用いられる。従って、この例の後方散乱光230は、検出器アレイによってデジタル化され、一対の視野角分離画像(すなわち、上方/下方画像又は左方/右方画像)が生成される。同じセンサが、異なるタイミング(例えば、第1のカラー眼底画像のキャプチャタイミングの前か後か)で第1及び第2の画像をキャプチャしてもよく、例えば、スキャン方向206bに移動した照明ライン202bと検出ライン204bとを用いて、眼208bの眼底の第2のカラー眼底画像210bをキャプチャしてもよい。
【0031】
図2Dは、FOVと立体視野角がどのように関係するかを説明するために、本発明の一実施形態に係る光学トレースの一例を示したものである。図2Dの例では、照明光236が眼220を照明する。眼220は、第1及び第2(例えば、上方及び下方)のキャプチャ画像間の視野角差に対応する後方散乱角238で後方散乱光230を散乱させる。後方散乱光230は、合焦レンズ232、スキャナDMD240、開口絞りモードのダイナミックアパーチャー、及びローリングシャッターカメラ244によって受光され、後方散乱部分226からの上方の視野と後方散乱部分228からの下方の視野が生成される。上方視野部分226は、上方視野スキャン(すなわち、第1のキャプチャ画像)を生成するために、眼248の眼底を横切ってスキャン方向262にスキャンしたときの検出位置258及び関連する照明ライン260に対応する。下方視野部分228は、第2の画像をキャプチャするために眼250の眼底を横切ってスキャン方向268に移動する際の検出位置266及び関連する照明ライン264に対応する。検出ライン258と検出ライン266との間の距離は、基線距離と、時間遅延(例えば、後述する時間遅延608a)とに対応する。キャプチャされる眼250の眼底上の領域は、水平方向のFOV252と垂直方向のFOV256とに対応する。第1(上方)スキャンと第2(下方スキャン、経過時間246によって示されるように、40ms離れて撮影されてよい。後述の例で更に説明する狭視野角/広視野角は、イメージングのFOV(Field of View)に関連している。FOVは最大撮像窓サイズであり、視野角は立体視野角を意味する。例えば、図3A及び図3Bの例では、視野角を狭角から広角に変化させながら立体撮像対(すなわち、第1及び第2のキャプチャ画像)がキャプチャされる。撮像光学系102、光スキャナ110、又は検出器/センサユニット112に含まれるアクチュエータ/モータを用いて広視野角/狭視野角を変化させながら、制御ユニット104の制御の下で、広視野角/狭視野角を変化させる。
【0032】
図2Gは、図2Cに示す実施形態と共通する多くの要素を含む本発明の一実施形態の例を示すが、ダイナミックアパーチャーの切り替えモードに従って動作するように構成されたダイナミックアパーチャーコンポーネント294(例えば、アパーチャーホイール又は制御可能なアパーチャー)が追加されている。
【0033】
図2H及び図2Iは、本発明の一実施形態に係る開口絞りモード(図2H)と分割アパーチャーモード(図2I)でのキャプチャ画像間の視野角変化を得る例を示す。これらの例では、眼2102が照明光2110によって照明され、視野角2106で広がった後方散乱光2104は、合焦レンズ2108、及びガルボ/DMD2118によって受光される。後方散乱光は、更に、開口絞り2112(図2Hの例)、又は分割アパーチャー2114(図2Iの例)、光学拡大レンズ2116、及び検出面2126を有するローリングシャッターカメラ2120によって受光される。図2Hの例では、開口絞りモードで開口絞り2112を用いて、カメラ2120の検出面2126における点像分布関数(PSF)は、強度プロット2128を重ねて示すように、上方の視野2132及び下方の視野2130を含む。図2Iの例では、分割アパーチャーモードで分割アパーチャー2114を用いて、カメラ2120の検出面2126におけるPSFは、強度プロット2138を重ねて示すように、上方/下方視野2134/2136を含む。分割アパーチャーモードでは、照明と検出位置を同一にする必要がある。分割アパーチャーモードでの視野角の差は、図2Fに示すように、瞳面で上方のアパーチャーから下方のアパーチャー、或いは瞳面で左方のアパーチャーから右方のアパーチャーへと切り替えることで得られる。
【0034】
図2Jは、分割アパーチャー設定における狭視野角キャプチャの例を示す。この例では、水平アパーチャーを用いて、眼2204に対する上方視野スキャンが第1の光学画像2206をキャプチャするように実行され、アパーチャーの切り替え後に、眼2204に対する下方視野スキャンが第2の光学画像2208を取得するように実行される。オフセットd2202は、~0.2mmである。
【0035】
図2Kは、分割アパーチャー設定での広視野角キャプチャの例を示す。この例では、水平アパーチャーを用いて、眼2204の上方視野スキャンが第1の光学画像2210をキャプチャするように実行され、アパーチャーの切り替え後に、眼2204に対する下方視野スキャンが第2の光学画像2212を取得するように実行される。オフセットd2214は~0.6mmである。図2J及び図2Kの例において、垂直アパーチャーを使用することも可能である。
【0036】
図3Aは、本発明の一実施形態に係る開口絞りを設定したときの狭視野角による視野角変化の一例を示す図である。この例では、カメラセンサは、眼308aの眼底に沿ったスキャン方向306aに移動するように制御される検出ライン302a及び照明ライン304aを用いて、狭視野で上方視野をキャプチャし、第1の(上方視野/狭視野の)カラー眼底画像310aをキャプチャするように構成されている。同じセンサが、上記のキャプチャの前又は後のいずれかの異なる時間に、眼308bの眼底を横切って移動するように制御される検出ライン304b及び照明ライン302bを用いて、狭いFOVで下方視野をキャプチャし、第2の(下方視野/狭視野の)カラー眼底画像310bをキャプチャする。立体撮像では、3次元を再構成するために、視野角の異なる少なくとも2つの画像が必要である。これらの画像間では、一般的にユーザーによって決定される撮像視野が同一である必要がある。
【0037】
図3Bは、本発明の一実施形態に係る開口絞りを設定したときの広視野角による視野角変化の一例を示す図である。この例では、カメラセンサは、眼308cの眼底に沿ったスキャン方向306cに移動するように制御される検出ライン302c及び照明ライン304cを用いて、広視野で上方視野をキャプチャし、第1の(上方視野/広視野の)カラー眼底画像310cをキャプチャするように構成されている。同じセンサは、眼308dの眼底に沿ったスキャン方向306dに移動するように制御される検出ライン304d及び照明ライン302dを用いて、広視野で同じ眼の下方視野をキャプチャし、第2の(下方視野/広視野の)カラー眼底画像310dをキャプチャするように構成されている。異なる視野角から一定の狭視野又は広視野で第1及び第2の画像をキャプチャすることで、分解能を制御及び/又は関心領域を拡大又は縮小し、及び異なる照明角度で、眼底の様々な領域を3次元的に見ることができるようになる。
【0038】
図4Aは、本発明の一実施形態に係る開口絞りモードでの広いFOVで光学的なFOVの変化の一例を示す図である。図4Bは、本発明の一実施形態に係る狭いFOVでFOVの変化の一例を示す図である。図4A及び図4Bの例は、図3A及び図4Bが第1のペアのキャプチャ画像から第2のペアのキャプチャ画像への視野角の変化を示す点を除いて、それぞれ図3A及び図3Bの例と同様である。アパーチャーの設定が分割アパーチャーモードのとき、図2Fで説明したように取得方式の違いを除けば、FOVの変化は同じである。図4A及び図4Bは、第1のペアのキャプチャ画像から第2のペアのキャプチャ画像への視野角の変化とスキャン方向の変化とを示す。このように、図4A及び図4Bの例では、広視野と狭視野で立体撮像のペアがキャプチャされる。撮影光学系102、光スキャナ110、及び検出器/センサユニット112のうち1つ以上に含まれるアクチュエータ/モータを用いながら、制御ユニット104の制御の下で広角/狭角のFOGを変化させる。従って、図4Aの例によれば、眼408aの眼底を横切ってスキャン方向406aに移動するように制御される検出ライン402a及び照明ライン404aを用いて、広いFOV角を有する上方視野の第1のスキャンがキャプチャされ、第1の(上方視野/広いFOV角の)カラー眼底画像410aがキャプチャされる。同じセンサが、眼408bの眼底を横切ってスキャン方向406bに移動するように制御された検出ライン404b及び照明ライン402bを用いて、広いFOV角で下方視野のスキャンをキャプチャして、第2の(下方視野角/広いFOV角の)カラー眼底画像410bをキャプチャしてもよい。
【0039】
図4Bの例によれば、眼408cの眼底を横切ってスキャン方向406cに移動するように制御される検出ライン402及び照明ライン404cを用いて、狭いFOV角を有する左方視野の第1のスキャンを行い、第1の(左方視野/狭いFOV角の)カラー眼底画像410cがキャプチャされる。同じセンサが、眼408dの眼底を横切ってスキャン方向406dに移動するように制御された検出ライン404d及び照明ライン402dを用いて、狭いFOV角を有する右方視野のスキャンをキャプチャして、第2の(右方視野/狭いFOV角の)カラー眼底画像410dをキャプチャしてもよい。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の画像の間の時間は、有利には100ms以下、好ましくは40msであり、それによって第1及び第2の画像の間の眼球運動の可能性を低減し、その結果、第1及び第2の画像に基づいて作成される3次元画像の精度を向上させることができる。第1及び第2の画像の間の時間は、検出器の取得速度が速くなるにつれて短くしてもよい。
【0041】
図4Cの例に示すように、撮像視野は、各画像の撮像視野(又は関心領域)の中心位置をシフトすることによって一連の画像412、414、416、418を取得してモザイク処理し、個別の画像を組み合わせて、個々の画像のいずれよりも大きな視野を有するモザイク処理された画像を形成することによっても増加させることができる。関心領域の動的な変更は、ユーザーインターフェース又は制御ユニットによって行うことができる。
【0042】
その上、図4Dの例に示すように、ユーザーの好みに応じてスキャン方向を変更することができる。図4Dの例では、眼底428は、図4Dの左上に示すように、第1のスキャン(例えば、下方視野カラー眼底画像)をキャプチャするために、照明ライン422及び検出ライン424を用いてスキャン方向426に撮像されてもよい。眼底428は、図4Dの左下に示すように、第2のスキャン(例えば、上方視野カラー眼底画像)をキャプチャするために、照明ライン432及び検出ライン430を用いてスキャン方向434(スキャン方向426と同じ方向である)に撮像されてもよい。或いは、スキャン方向を逆にして、眼底428は、図4Dの右上に示すように、第1のスキャン(例えば、上方視野カラー眼底画像)をキャプチャするために、照明ライン438及び検出ライン436を用いてスキャン方向440(スキャン方向426及び436とは逆の方向)に撮像されてもよい。眼底428は、図4Dの右下に示すように、第2のスキャン(例えば、下方視野カラー眼底画像)をキャプチャするために、照明ライン442及び検出ライン444を用いてスキャン方向446(スキャン方向440と同じ方向)に撮像されてもよい。分割アパーチャーモードでは、例えば図2E図2F図2H、及び図2Iに示すように、開口部(aperture)の形状(上方視野アパーチャー←→下方視野アパーチャー)を切り替えることでスキャン方向を変更することができる。
【0043】
図5は、ローリングシャッター機構を備えた2Dカメラとして実装された検出器/センサユニットを含む一実施形態に係る立体カラー眼底像撮影装置の模式図の一例を示す。本実施形態は、撮影アセンブリ502、検出器/センサユニット504、投影光学系508、スキャナ510、及び照明光学系512を含む。撮影光学系102の一部である撮影アセンブリ502は、レンズ(例えば、リレーレンズ)502a、ダイナミックアパーチャーミラー502b、及び対物レンズ502cを含む。検出器/センサユニット504は、ローリングシャッター機構を備えた2Dカメラ504aを含む。撮影光学系102の追加部分である投影光学系508は、レンズ508c、黒点マスク508a、及びミラー508bを含む。照明光学系512は、レンズ512a(例えば、リレーレンズ)、スリット512b、虹彩絞り512c、円柱レンズ512d、及び照明光源512eを含む。また、本実施形態には、制御ユニット104、処理ユニット106、表示ユニット108、及び記憶ユニット114が含まれる。照明光源512eは、LED、ハロゲンランプ、又は公知の光源を含んでいてもよい。
【0044】
本実施形態によれば、照明光学系512は、照明光源512eにより生成された照明光を出力する。スキャナ510は、照明光学系512からの照明光を受け、照明光の光軸を偏向し、偏向された照明光を出力する。投影光学系508は、デジタルライトプロジェクタ(DLP)を用いて実装され得るミラー508bを含み、投影光学系508は、スキャナ510からの偏向された照明光を受け、投影光を出力するように構成されている。スキャナはガルボメカニカルスキャナを用いて実装されていてもよい。ガルボスキャナは、ミラーで光ビームを偏向させることで電流を感知したことを示す電流計である。一般的に、ガルボスキャナは、走査ビーム(すなわち、照明ライン)を所定の試料/眼の領域に投影するために用いられる。撮影光学系502は、対物レンズ502cを介して投影光を受け、眼506に向けて偏向するダイナミックアパーチャーミラー502bを含む。眼506からの後方散乱光及び反射光は、撮影光学系502によって受光され、検出器/センサユニット504に提供され、ローリングシャッター機構を備えた2Dカメラ504aによってキャプチャされる。
【0045】
制御ユニット104は、装置内の各要素の開口サイズ/パターン、露光タイミング、センサのゲイン/感度、撮影光学系のフォーカス、照明光学系のフォーカス、投影光学系のフォーカス、スキャナの方向とタイミング、カメラ/センサのキャプチャタイミング、DLP/ミラー508bの向き、照明光の強度とタイミング、及び光学倍率を含む装置内の様々なパラメータのそれぞれの動作及びタイミングを制御する。処理ユニット106は、ローリングシャッター機構を備えた2Dカメラ504aでキャプチャされた画像を受け取り、更に後述するような処理を行って、立体カラー眼底画像を生成する。
【0046】
立体画像を得るために、本実施形態では機械式ガルボスキャナを用いて、視野角を制御して変化させる光学スキャンが実現される。図5の実施形態は、図2A図2B図3A図3B図4A、及び図4Cに示す各例に従って動作するように構成されている。動作は、記憶ユニット114に格納された所定のコマンドに従って、制御ユニット104又は処理ユニット106に搭載されたユーザーインターフェースによって提供されるコマンドに従って、又は、制御ユニット104又は処理ユニット106によって遠隔地から受信されるコマンドに従って制御される。
【0047】
図6Aは、本発明の一実施形態に係るガルボスキャナと検出器の上方視野制御信号の一例を示す図である。この例では、ガルボスキャナミラーに印加される電圧に対応するガルボスキャナ制御信号604aが、x軸の時間606a(例えば、0~50ms)に対して、y軸の印加スキャナ電圧602a(例えば、0~5ボルト)としてプロットされている。ガルボスキャナ制御信号の電圧は、眼底における走査ビーム(すなわち、照明ライン)の位置を決定する。ダイナミックアパーチャーの設定が分割アパーチャーモードのとき、上方と下方の視野アパーチャーを切り替えることで視野角差が導入及び制御されるため、照明と検出との間の一定の時間遅延(608a、608c、638、708a、708b、708c、及び708d)がゼロである。従って、照明と検出との間の時間遅延がゼロよりも大きい開口絞りモードをベースとする立体撮像モードより、立体画像の取得速度が相対的に速くなる。ダイナミックアパーチャーの設定が開口絞りモードのとき、時間に対して視野角を導入する必要がある。例えば、一定の時間遅延(視野角に対応)を矢印608aで示す。また、センサキャプチャをオン/オフするために使用され対応する検出器/センサ制御信号も、x軸606a上で同じ時間スケールで、y軸に検出器/センサ制御信号電圧602bでプロットされる。検出器/センサ制御信号610b、612b、及び614bの各「オン」タイミングは、時間遅延608aによって遅延され、連続する検出器の行による一行の画像のキャプチャに対応する(すなわち、検出器/センサ制御信号610bによってキャプチャされる行(row)1、検出器/センサ制御信号612bによってキャプチャされる行2、及び検出器/センサ制御信号614bによってキャプチャされる行3)。この例によって示されるように、ガルボスキャナの角度の変化に対応して、ガルボスキャナ制御信号の電圧が電圧602aにおいて増加している間に、連続する行(row)がキャプチャされる。
【0048】
図6Bは、本発明の一実施形態に係るガルボと検出器の下方視野制御信号の一例を示す図である。図6Bの例は、図6Aの上方視野制御信号のタイミングとは対照的に、図6Bは下方視野制御信号のタイミングを示している点を除いて、図6Aの例と同様である。図6Bでは、ガルボスキャナ制御信号は、上方視野と下方視野との間の所望の視野角差に対応する一定の時間遅延608cの後に、時間606cにわたって増加する電圧602cを有するように制御される。所望の視野角は、あらかじめ設定されて記憶ユニット114に記憶されていてもよいし、ユーザーインターフェースの指示に従って設定されてもよいし、リモートから設定されてもよい。画像のキャプチャは、制御ユニット104が、時間遅延608cを待たずに、時間606cで変化する制御信号電圧602dを出力して、センサ行番号1~6(すなわち、610d、612d、614d、616d、618d、及び618d)によりキャプチャを制御する。このように、この例では、時間遅延は、図6Aの上方視野スキャンと図6Bの下方視野スキャンとの間の視野角の差に対応する。
【0049】
図6Cは、ガルボスキャナ制御電圧の変化が走査角度(又は照明角度)にどのように影響するかをさらに説明するための本発明の一実施形態の動作例を示したものである。この例によれば、ガルボスキャナ制御信号の電圧変化は、照明光の走査角度(すなわち照明角度)に対応し、眼底上の照明ラインの位置に対応する。例えば、ガルボスキャナの電圧が1.0ボルトで、走査角度は20度であってよい。図6Cの例によれば、ガルボスキャナ制御信号630は、時間遅延638を待つことなく、時間636にわたって増加する電圧632を有するように、制御ユニット104によって制御される。ガルボスキャナ制御信号630の変化する電圧は、時間636にわたる走査角度634(別名、照明角度)の変化に直接的に対応し、これは照明ライン(例えば、照明ライン204a)の位置を決定する時間遅延638の後に開始される検出器/センサ制御信号642、644、及び646は、時間636の間に走査角度が変化する間に、カメラセンサの連続する行(例えば、それぞれ行1、2、及び3)をキャプチャするように動作する。ガルボスキャナ制御信号630の最大値648(例えば、1ボルト)は、走査角度634の最大値(例えば、20度)に対応し、ガルボスキャナ制御信号630のゼロ電圧値650は、0度の走査角度に対応する。
【0050】
図7Aは、本発明の一実施形態に係るガルボスキャナを用いた撮像装置における狭視野角を動的に視野角を変更したときの上方視野制御信号の一例を示す図である。図7Bは、本発明の一実施形態に係るガルボスキャナを用いた撮像装置における狭視野角を動的に視野角を変更したときの下方視野制御信号の一例を示す図である。図7A及び図7Bの例は、図7A及び図7Bにおいて画像が狭視野角でキャプチャされることを除いて、それぞれ図6A及び図6Bの例と同様である。従って、図7Aの例では、ガルボスキャナ制御信号704aは、時間遅延708aを待たずに、時間706aにわたって電圧702aを増加させる。その間に、検出器行(ロウ)番号制御信号710b、712b、及び714bは、上方視野/狭視野角の画像をキャプチャするために、一定の時間遅延708aの後、カメラ内の連続する行(例えば、それぞれ行1、2、及び3)をキャプチャするように動作する。図7Bの例では、ガルボスキャナ制御信号704cは、時間遅延708cの後から、時間706cにわたって電圧702cを増加させる。その間に、検出器行番号制御信号710c、712c、714c、716c、718c、及び720cは、時間遅延708cを待たずに、下方視野/狭視野角の画像をキャプチャするように動作する。この例の時間遅延708a及び708cの継続時間は同じである。
【0051】
図7Cは、本発明の一実施形態に係るガルボスキャナを用いた撮像装置における広視野角を動的に視野角を変更したときの上方視野制御信号の一例を示す図である。図7Dは、本発明の一実施形態に係るガルボスキャナを用いた撮像装置における広視野角を動的に視野角を変更したときの下方視野制御信号の一例を示す図である。図7C及び図7Dの例は、図7A及び図7Bでは狭視野角の画像であることと対照的に、図7C及び図7Dにおいて広視野角の画像がキャプチャされることを除いて、それぞれ図7A及び図7Bの例と同様である。図7Cの例によれば、ガルボスキャナ制御信号704dは、時間706dにわたって電圧702eを増加させるように、制御ユニット104によって制御され、検出器/センサ制御信号710d、712d、及び714dは、遅延時間708bの後、上方視野/広視野角の画像を得るために、画像の連続する行(例えば、それぞれ行1、2、及び3)をキャプチャするように制御される。図7Dの例によれば、ガルボスキャナ制御信号704eは時間遅延708dの後に電圧702が増加し、検出器/センサ制御信号710e、712e、714e、716e、71e、及び720eが出力されて、連続する画像の行(例えば、それぞれ行1~6)をキャプチャし、下方視野/広視野角の画像を得る。
【0052】
制御ユニット104は、図7A及び図7Bの狭視野角に応じた画像のキャプチャと、図7C及び図7Dの広視野角に応じた画像のキャプチャとを動的に切り替えるように構成されている。例示的な実施形態によれば、制御ユニット104は、各ペアのキャプチャ画像の後に、狭視野角画像と広視野角画像とを交互にキャプチャすることができる。
【0053】
図2Cの例に示すように、照明光を瞳孔平面の中心を通して投射し、後方散乱光を中心から外れた検出器アレイ(上方/下方又は左方/右方)でデジタル化しているが、狭い(narrow)/広い(wide)はシステムの視野(FOV)に関連しており、撮像領域をどの程度広くするかを決定する。しかしながら、視野角は、立体撮像の深度分解能に関連する立体視野角を決定する。
【0054】
図6A図6B図7A図7B図7C、及び図7Dの例は、現在の照明位置からの時間間隔(又は、2D検出器上の距離)を短くしたり長くしたりすることで、どのように立体撮像の視野角を動的に調整することができるかを示す。動的な視野角の変化は、次の式で表すことができる。
【数1】
ここで、θviewは立体撮像における視野角であり、Tは連続する2つの画像(例えば、上方及び下方の視野画像)の間の相対的な時間遅延(図2Dでは基線距離)であり、Mは光学倍率である。制御ユニット104は、時間遅延Tと、光学倍率Mとを調整する。例えば、ガルボ制御信号と検出器制御信号との間の一定の時間遅延が増加すると、結果として立体撮像における視野角も、所定の光学倍率で増加する。また、視野角の変化も、立体画像の深度分解能を増減する。視野角が狭ければ狭いほど、立体画像の深度分解能は高くなる。或いは、光学倍率を増減させるだけで(例えば、1倍←→10倍)、結果的に視野角を増減することができる。以下で更に説明するように、視野角値は、本発明の一実施形態に係る処理ユニット106によって実行される3D深度再構成処理に用いられる。M、T、θviewを管理することで、動的な立体撮像(すなわち、視野角の変化、立体撮像、3D再構成/解析/可視化、光学倍率、記録、ノーマティブデータベースとの比較や疾患の進行検知などの臨床的解析/診断をほぼリアルタイムに処理すること)を実現する。ライブの眼の撮像では、眼球の動きが立体画像の質を低下させる。眼球運動によるアーチファクトのない動的な立体撮像と解析は、臨床における疾患評価を向上させる。立体撮像時には、制御ユニットによって眼のトラッキングを実行することが可能である。また、光学倍率だけでなく、ガルボ制御信号と検出制御信号との間のタイミング(又は位相シフト)によっても視野角を変更することができる。
【0055】
図8は、本発明の一実施形態に係るローリングシャッター機構付き2DカメラとDMDとを含む立体カラー眼底撮影装置の一例を示す図である。図8の実施形態によれば、照明光学系814(撮影光学系102の一部であり、光スキャナユニット110も実装している)からの照明光は、投影光学系808(撮影光学系102の別の部分)に出力され、投影光学系808から眼806に向けて撮影光学系802(撮影光学系102の一部)に出力される。眼806からの後方散乱光は、撮影光学系802の対物レンズ802c、ダイナミックアパーチャーミラー802b、及びリレーレンズ802aによって受光される。眼からの後方散乱光は、撮影光学系802によって、カメラ804(すなわち、検出器/センサユニット112)内のセンサアレイ804aに向けて偏向される。照明光学系804は、レンズ814a、DMD814b、制御可能な(制御ユニット104によって)虹彩絞り814c、及び照明光源814dを含む。また、本実施形態には、制御ユニット104、処理ユニット106、表示ユニット108、及び記憶ユニット114が含まれる。上記のように、DMD814bは、制御ユニット104からの制御を受け、デジタル的にON/OFF(すなわち、光学的なスイッチング)することができる。本実施形態では、先に説明した実施形態で使用された機械的なガルボスキャナの代わりに、DMD814dは、所定の時間に照明される眼の一部分を制御するのに用いられる。上記のように、DMDはガルボスキャナと比較して、1)応答が速い、2)ガルボスキャナと比較して機械的に安定している、3)フレキシブルな照明パターン、などの利点がある。図8の実施形態は、図2A図2B図3A図3B図4A、及び図4Cに示す各例に従って動作するように構成されている。動作は、記憶ユニット114に格納された所定のコマンドに従って、制御ユニット104又は処理ユニット106に搭載されたユーザーインターフェースによって提供されるコマンドに従って、又は、制御ユニット104又は処理ユニット106によって遠隔地から受信されるコマンドに従って制御される。
【0056】
図9Aは、DMDと検出器の上方視野制御信号一例を示す図であり、図9Bは、DMDと検出器の下方視野制御信号の一例を示す図である。ダイナミックアパーチャー設定が分割アパーチャーモードのとき、上方及び下方の視野アパーチャーを切り替えることで視野角差が導入及び制御されるため、照明と検出の間の一定の時間遅延(例えば、時間遅延910a、910b、1010a、101b、1010c、及び101d)はゼロである。従って、時間遅延がゼロよりも大きい開口絞りベースの立体撮像モードと比較して、立体画像の取得速度が相対的に速くなる。図9Aに示すように、時間904aの時間遅延910aを待った後、検出器/センサ制御信号924a、926a、928a、930a、及び932aが電圧906aを変化させる間に、一定の時間遅延(すなわち、視野角)910aを待たずに、時間904aにわたって電圧902aを変化させるDMD制御信号912a、914a、916a、918a、920a、及び922aを用いて上方視野がキャプチャされる。図9Bに示すように、時間904bにわたって時間遅延910bを待たずに検出器/センサ制御信号922b、924b、926b、928b、930b、及び932bが電圧906bを変化させる間に、時間904bにわたって一定の時間遅延910bを待った後に電圧902bを変化させるDMD制御信号912b、914b、916b、918b、及び920bを用いて下方視野がキャプチャされる。
【0057】
図10A図10Dは、本発明の一実施形態が、狭視野角のキャプチャ(図10A及び10B)と広視野角のキャプチャ(図10C及び図10D)とをどのように動的に切り替えるかの一例を表している。図10Aは、時間遅延1010aを待たずに時間1004aにわたって電圧1002aを変化させるDMD制御信号1012a、1014a、1016a、1018a、1020a、及び1022aと、時間遅延(視野角)1010aを待って時間1004aにわたって電圧1006aを変化させる検出器/センサ制御信号1024a、1026a、1028a、1030a、及び1032aとを用いて、本発明の一実施形態に係るDMDを用いたイメージングにおける狭視野角を動的に視野角を変更したときの上方視野制御信号の一例を示す図である。図10Bは、時間遅延1010bを待ってから時間1004bにわたって電圧1002bを変化させるDMD制御信号1012b、1014b、1016b、1018b、及び1020bを用いて、本発明の一実施形態に係るDMDを用いたイメージングにおける狭視野角を動的に視野角を変更したときの下方視野制御信号の一例を示す図である。検出器/センサ制御信号1022b、1024b、1026b、1028b、1030b、及び1032bは、時間遅延1010bを待たずに時間1004bにわたって電圧1006bを変化させる。
【0058】
図10Cは、時間遅延1010cを待たずに時間1004cにわたって電圧1002cを変化させるDMD制御信号1012c、1014c、1016c、1018c、1020c、及び1022cを用いて、本発明の一実施形態に係るDMDを用いたイメージングにおける広狭視野角を動的に視野角を変更したときの上方視野制御信号の一例を示す図である。検出器/センサ制御信号1024c、1026c、及び1028cは、時間遅延1010c(時間遅延1010a及び1010bよりも長い。それにより視野角を広くすることができる)を待って時間1004cにわたって電圧1006cを変化させる。図10Dは、時間遅延1010dを待ってから時間1004dにわたって電圧1002dを変化させるDMD制御信号1012d、1014d、及び1016dを用いて、本発明の一実施形態に係るDMDを用いたイメージングにおける広視野角を動的に視野角を変更したときの下方視野制御信号の一例を示す図である。検出器/センサ制御信号1018d、1020d、1022d、1024d、1026d、及び1028dは、時間遅延1010dを待たずに時間1004dにわたって電圧1006dを変化させる。これらの図は、現在の照明位置からの時間間隔(又は、2D検出器上の距離)を短くしたり長くしたりすることで、どのように立体撮像の視野角を動的に調整することができるかを示す。図10A及び図10Bでは、時間遅延1010aと時間遅延1010bとは互いに同じである。図10C及び図10Dでは、時間遅延1010cと時間遅延1010dとは互いに同じである。時間遅延1010c及び1010dは、時間遅延1010a及び1010bよりも長い。それにより、図10A及び図10Bのキャプチャ画像よりも、図10C及び図10Dのキャプチャ画像の方が視野角が広くなっている。取得と3D再構成の速度は、リアルタイムに近いものになる。
【0059】
図11Aは、本発明の一実施形態に係るマルチプルスキャンカメラとガルボスキャナとを含む立体カラー眼底撮影装置の一例を示す図であり、図11Bは、図11Aの実施形態の動作の一例を示す図である。図11Aの実施形態によれば、照明光学系1112は、ダイナミックアパーチャーミラー1116によって更に眼1106に向けて偏向される照明光を出力する。眼1106からの後方散乱光は、対物レンズ1112によって受け取られ、ミラー1110によって投影光学系1108に向けられ、この投影光学系1108は、後方散乱光をスキャナ1118(光スキャナユニット110の一部)、ミラー1120、レンズ1104、ダイナミックアパーチャーミラー1116、リレーレンズ1114に向けて偏向し、最終的には、1つ以上のマルチプルラインセンサアレイ1102aを含むマルチプルラインセンサカメラ1102に向けて偏向する。マルチプルラインセンサカメラ1102は、検出器/センサユニット112の一部である。この例によれば、撮影光学系102の一部を構成する投影光学系1108は、レンズ1108c、ミラー又はDLP1108b、及び黒点マスク1108aを含む。また、本実施形態には、制御ユニット104、処理ユニット106、表示ユニット108、及び記憶ユニット114が含まれる。
【0060】
図11Bの例で示されるように、図11Aの実施形態は、検出ライン1120及び照明ライン1122を用いて第1のスキャン(上方視野)を行い、第1の(上方視野角の)カラー眼底画像1136をキャプチャしてもよい。上方視野のスキャンと同時に、同じカメラが検出ライン1134及び照明ライン1122を用いて第2のスキャン(下方視野)を行い、第2の(下方視野角の)カラー眼底画像1138をキャプチャしてもよい。
【0061】
マルチプルラインスキャンカメラは、1つのカメラに2以上のラインスキャン検出器アレイを並列に配置したものである。例えば、3行の検出器アレイを含むマルチプルラインスキャンカメラは、各カメラトリガーで(すなわち、図6A-B、図7A-D、図9A-B、及び図10A-Cの各「オン/オフ」で)入射後方散乱光230をデジタル化することができる。従って、全体的な取得速度は、図5及び図8の最初の2つの実施形態より、はるかに速くなる可能性がある。しかしながら、本実施形態では、カメラの設計上、視野角が固定されている。マルチプルラインスキャンカメラを用いると、基線距離(又は視野角差)を作成できるため、立体撮像(又は上方及び下方の視野、左方及び右方)が可能になる。このアプローチでは、マルチプルスキャンカメラの少なくとも2つのラインスキャナから取得された画像を2つの画像に分割する必要がある(図11B)。本実施形態に係る視野角は、マルチプルスキャンカメラの設計により固定される。全体の取得速度は、前述の2つの実施形態(図5及び図8)よりもはるかに高速である。その制御機構と同期性は、前述の実施形態と同様に重要である。
【0062】
図12A図12B、及び図12Cは、立体撮像の方法の例を示す。立体画像は、ある異なる視野角で取得された2つ以上の画像を用いて得られる。図12Aの平行ステレオ取得と、図12Bの収束ステレオ取得の2つの異なるアプローチを説明する。どちらのアプローチも、人間の奥行き知覚において同等の性能を発揮する。2つのカメラの軸が平行な両眼ステレオのとき、視差(画像間の対応する点の位置のずれ)から深度を算出することができる。両方のカメラの焦点距離をfと表し、基線をbと表し、視差をdと表すと、深度zは、z=(f×b)/dで与えられる。マルチ基線ステレオのとき、2つ以上のカメラ又はカメラの位置が用いられる。図12Cは、瞳孔平面1216を介して眼1214の網膜1212の画像から深度方向1210の深度情報をキャプチャする収束ステレオ取得アプローチの一例を示す。この例では、角度1218は、~+1.9度であり、角度1220は、~-1.9度である。そのため、カメラ1222によってキャプチャされた2つの画像の間の視野角の差は、~3.8度になる。ステレオデータ1224を生成するために使用される2つの画像間で視差1226における10μmの差が観察される場合、照明窓1228が~1.15mm、下方検出幅1232が~0.36mm、幅1230が~0.31mm、上方検出幅1234が~0.36mmで、最小300μmの深度分解能(光学倍率が1倍と仮定)を解像することができる。最小の深度分解能は、所定の光学倍率に比例する。光学倍率が高いほど、分解可能な深度分解能が高くなる。
【0063】
図13は、本発明の一実施形態に係る処理ユニットを用いて実行される3D可視化と解析処理を伴う立体撮像方法の一例を示す図である。この例によれば、この方法はステップS1302において開始され、ステップS1304において、検出器/センサユニット112によって得られた画像のペア(例えば、上方視野と下方視野、又は左方視野と右方視野)が処理ユニット106に提供される。ステップS1306において、2つの画像の間の視差は、ポイントツーポイントでレジストレーションしてピクセルレベルで差分に注目することによって推定される。ステップS1310において、画素の視差が、物体距離(例えば、眼底上の実際の距離をmm単位で)に変換される。ステップS1308では、制御ユニット又はユーザーインターフェース制御によって、所望/現在の視野角が設定される。撮像前又は撮像中の任意の時間に任意の視野角を設定してもよく、制御ユニットは、深度分解能の要件を満たすように視野角を調整することが可能である。そして、ステップS1312では、平行法を使用する場合は式(1)を用い、収束法を用いる場合は式(2)を用いて、実際の深さ(すなわち、検出器/センサユニット112によって直接的にキャプチャされた2次元とは異なる3次元での深さ)が算出される。
【数2】

ここで、ΔZparallelは平行法における深度を表し、fは焦点距離を表し、bは2つの仮想平行カメラ(すなわち、視野角を変化させる本発明の一実施形態から得られるカメラ)間の基線距離を表し、dはポイントツーポイントツのレジストレーションによって測定された視差を表し、平行法による視野距離、ΔZconvergingは収束法によって算出された深度を表し、θは2つの別個の画像間の視野角差を表す。ステップS1314において、臨床的に関連するパラメータ又は特徴が、算出された深度プロファイルから抽出され、その中で強調表示することができる。例えば、緑内障や加齢黄斑変性症は、失明の原因としてよく知られている。視神経乳頭のカップボリュームなどの体積分析は、緑内障の障害に直結する。また、経時的な体積の変化は、臨床治療の有効性と関連付けるために使用することができる。これらのタイプの解析は、処理ユニットに実装されてもよい。次に、ステップS1322において停止する前に、算出された深度情報を、ステップS1316で直接視覚化したり、他の場所に送信したり、ステップS1320によって記憶ユニット114によって保存したりすることができる3Dマップ、プロット、又は画像に変換することができる。ステップS1318で終了しない場合は、動作を繰り返すことができる。
【0064】
図14Aは、本発明の一実施形態に従ってキャプチャされた立体カラー眼底画像1402及び1404の一例を示す図である。図14Bは、本発明の一実施形態に従って図14Aの立体カラー眼底画像から抽出された、例えば約3mmの視野で3次元1406、1408、及び1410にプロットされた情報の3次元プロットを示す図である。
【0065】
図15Aは、本発明の一実施形態に従って実行されたカップ深さ推定から得られるカブ深さ1510の推定値を描出する3軸1502、1504、及び1506の情報の3次元プロットを示す図である。図15Bは、本発明の一実施形態に従って実行されたカップ/ディスク比推定から、カップ境界1512、及びディスク境界1514を描出する3次元1518、1520、及び1522の情報のプロットを示す図である。本発明の一実施形態に係るカップ深さ推定及びカップ/ディスク比推定を行うために、まず、本明細書で述べた方法を用いて一対の立体画像が取得される(例えば、上方視野画像及び下方視野画像)。次に、点から点への画像のレジストレーションが行われ、2点間の視差(又は視野角)が算出される。そして、その視差(又は角度)を使って、各ポイントでの深さ(深度)が推定される。結果として得られた深度プロファイル(Z軸)と2Dカラー眼底画像(X軸、Y軸)をレンダリングすることで、視神経乳頭の深度情報が可視化される。
【0066】
一般的に、立体撮像には、1)画像取得中の眼球運動、2)撮影角度の変化に起因したアーチファクト、3)異なる視野からの2つ以上の画像間の類似性の欠如(例えば、眼球内の浮遊物の移動による)、4)2つ以上の連続した取得の間の長い撮影時間間隔(例えば、撮影の間に光学的な位置合わせと再フォーカスが必要)などのような、いくつかの難点がある。本発明における立体収集は、単一のカメラを用いてほぼリアルタイムで取得されるため、これらの問題は、本明細書で開示する実施形態によって最小限に抑えることができる。それにより、本明細書に記載されている立体カラー眼底画像のモーションアーチファクトを少なくすることができる。更に、本明細書で説明する立体カラー眼底撮像方法は、取得速度がより光束であるため、より信頼性の高い深度情報を提供することができる。
【0067】
以上を考慮すると、本明細書に記載されている方法及びシステムは、既存の立体カラー眼底撮像技術を、少なくとも下記の点で向上させる。1)立体画像の取得速度、2)眼球運動によるアーチファクトが少ないことによる任意のサンプルの深度プロファイルの質の向上、3)カップの深さ、カップとディスクの比率、疑わしい病変の体積など、眼疾患のための予測情報の提供。
【0068】
図16は、本明細書に記載された実施形態に係る制御ユニット104及び/又は処理ユニット106を実装することができるコンピュータのブロック図を示す。
【0069】
本開示の制御態様は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品として具現化することができる。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のプロセッサに実施形態の態様を実行させることができるコンピュータ読み取り可能なプログラム命令が記録されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含んでもよい。
【0070】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、命令実行装置(プロセッサ)が使用する命令を格納することができる有形の装置であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、又はこれらの装置の任意の適切な組み合わせであってもよいが、これに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例を非網羅的に挙げると、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、イレーサブルプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はFlash)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスク(CD又はCD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、メモリカード又はスティックのそれぞれ(及び適切な組み合わせ)が含まれる。本開示で使用されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、それ自体が一過性の信号であると解釈されるものではなく、例えば、電波やその他の自由に伝播する電磁波、導波管やその他の伝送媒体を伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、又は電線を介して伝送される電気信号などが挙げられる。
【0071】
本開示に記載されているコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、グローバルネットワーク(すなわち、インターネット)、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク及び/又はワイヤレスネットワークを介して、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体から適切な計算装置又は処理装置に、又は外部コンピュータ又は外部記憶装置にダウンロードすることができる。ネットワークには、銅線、光通信ファイバ、無線通信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバなどが含まれる。各計算装置又は処理装置のネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を受け取り、計算装置又は処理装置内のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納するためにコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を転送することができる。
【0072】
本開示の動作を実行するためのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、機械語命令及び/又はマイクロコードを含むことができ、これらは、アセンブリ言語、Basic、Fortran、Java、Python、R、C、C++、C#又は同様のプログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードからコンパイル又は解釈されてもよい。コンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、ユーザーのパーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレット、又はスマートフォン上で完全に実行されたり、リモートコンピュータ又はコンピュータサーバ上で完全に実行されたり、又はこれらのコンピューティングデバイスの任意の組み合わせで実行されてよい。リモートコンピュータ又はコンピュータサーバは、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、又はグローバルネットワーク(すなわち、インターネット)を含むコンピュータネットワークを介して、ユーザーのデバイス又は複数のデバイスに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本開示の態様を実行するために、電子回路を構成又はカスタマイズするために、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令からの情報を用いて、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令を実行することができる。
【0073】
本開示の態様は、本開示の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフロー図及びブロック図を参照して本明細書で説明される。フロー図やブロック図の各ブロック、及びフロー図やブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令によって実装できることは、当業者であれば理解できるだろう。
【0074】
本開示に記載されたシステム及び方法を実施し得るコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブル装置の1つ以上のプロセッサ(及び/又はプロセッサ内の1つ以上のコア)に提供されて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置のプロセッサを介して実行される命令が、本開示のフロー図及びブロック図で指定された機能を実装するためのシステムを作成するようにマシン(machine)を生成してもよい。また、これらのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、コンピュータ、プログラマブル装置、及び/又は他の装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納することができ、格納された命令を有するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本開示のフロー図及びブロック図で指定された機能の態様を実装する命令を含む製造品であるようになっている。
【0075】
また、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他の装置上にロードされ、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他の装置上で実行される一連の動作ステップに、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他の装置上で実行される命令が本開示のフロー図及びブロック図で指定された機能を実装するようにコンピュータ実装プロセスを生成させることができる。
【0076】
図16は、更に、1つ以上のネットワーク化されたコンピュータとサーバのネットワーク化されたシステムの図である。一実施形態において、図16に図示されたハードウェア及びソフトウェア環境は、本開示に係るソフトウェア及び/又は方法を実装するための例示的なプラットフォームを提供することができる。
【0077】
図16を参照すると、ネットワーク化されたシステムは、コンピュータ1605、ネットワーク1610、リモートコンピュータ1615、ウェブサーバ1620、クラウドストレージサーバ1625、及びコンピュータサーバ1630を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、図16に図示された機能ブロックのうち1つ以上の複数のインスタンスが採用されてもよい。
【0078】
コンピュータ1605の追加的な詳細は、図16に示されている。コンピュータ1605内に図示されている機能ブロックは、例示的な機能を確立するためにのみ提供されており、包括的であることを意図していない。また、リモートコンピュータ1615、ウェブサーバ1620、クラウドストレージサーバ1625、及びコンピュータサーバ1630については詳細が示されていないが、これらの他のコンピュータ及びデバイスは、コンピュータ1605について示されたものと同様の機能を含んでいてもよい。
【0079】
コンピュータ1605は、パーソナルコンピュータ(PC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、又はネットワーク16610上の他のデバイスと通信可能な他のプログラム可能な電子デバイスであってもよい。
【0080】
コンピュータ1605は、プロセッサ1635、バス1637、メモリ1640、不揮発性ストレージ1645、ネットワークインターフェース1650、周辺機器インターフェース1655、及びディスプレイインターフェース1665を含んでもよい。これらの機能の各々は、いくつかの実施形態では、個々の電子サブシステム(集積回路チップ、又はチップと関連するデバイスとの組み合わせ)として実装されてもよいし、他の実施形態では、機能のいくつかの組み合わせが単一のチップ(システムオンチップ又はSoCと呼ばれることがある)に実装されてもよい。
【0081】
プロセッサ1635は、インテル・コーポレーション、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ社(AMD)、アーム・ホールディングス(Arm)、アップル・コンピュータ社などによって設計及び/又は製造されたものなど、1つ以上のシングルチップ又はマルチチップのマイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサの例として、インテル社のCeleron、Pentium、Core i3、Core i5、及びCore i7、AMD社のOpteron、Phenom、Athlon、Turion、及びRyzen、及びArm社のCortex-A、Cortex-R、及びCortex-Mなどがある。
【0082】
バス1637は、ISA、PCI、PCI Express(PCI-e)、AGPなどの独自又は業界標準の高速パラレル又はシリアル周辺機器相互接続バスであってもよい。
【0083】
メモリ1640及び不揮発性ストレージ1645は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。メモリ1640は、ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)、及びスタティック・ランダムアクセス・メモリ(SRAM)などの任意の適切な揮発性ストレージデバイスを含んでもよい。不揮発性ストレージ1645は、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、リードオンリーメモリ(ROM)、イレーサブルプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はFlash)、コンパクトディスク(CD又はCD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、及びメモリカード又はスティックのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0084】
プログラム1648は、不揮発性ストレージ1645に格納され、本開示の他に詳細に説明され、図面に示されている特定のソフトウェア機能を作成、管理、及び制御するために使用される、機械読取可能な命令及び/又はデータの集合体であってもよい。いくつかの実施形態では、メモリ1640は、不揮発性ストレージ1645よりもかなり高速であってもよい。そのような実施形態では、プログラム1648は、プロセッサ1635による実行の前に、不揮発性ストレージ1645からメモリ1640に転送されてもよい。
【0085】
コンピュータ1605は、ネットワークインターフェース1650を介して、ネットワーク1610を経由して他のコンピュータと通信し、相互に作用することが可能であってもよい。ネットワーク1610は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)、又はこれら2つの組み合わせであってもよく、有線、無線、又は光ファイバの接続を含んでいてもよい。一般的に、ネットワーク1610は、2つ以上のコンピュータと関連するデバイスとの間の通信をサポートする接続及びプロトコルの任意の組み合わせとすることができる。
【0086】
周辺機器インターフェース1655は、コンピュータ1605とローカルに接続される可能性のある他のデバイスとのデータの入出力を可能にするものであってもよい。例えば、周辺機器インターフェース1655は、外部デバイス1660への接続を提供してもよい。外部デバイス1660は、キーボード、マウス、キーパッド、タッチスクリーン、及び/又は他の適切な入力デバイスのようなデバイスを含んでもよい。外部デバイス1660は、例えば、サムドライブ、ポータブル光ディスク又は磁気ディスク、及びメモリカードなどのポータブルなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も含んでもよい。本開示の実施形態を実践するために使用されるソフトウェア及びデータ、例えば、プログラム1648は、このようなポータブルなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよい。このような実施形態では、ソフトウェアは、不揮発性ストレージ1645にロードされてもよいし、代わりに、周辺機器インターフェース1655介してメモリ1640に直接的にロードされてもよい。周辺機器インターフェース1655は、外部デバイス1660と接続するために、RS-232又はユニバーサル・シリアル・バス(USB)などの業界標準の接続を用いてもよい。
【0087】
ディスプレイインターフェース1665は、コンピュータ1605をディスプレイ1670に接続してもよい。ディスプレイ1670は、いくつかの実施形態では、コンピュータ1605のユーザーにコマンドライン又はグラフィカルユーザーインターフェースを提示するために用いられてもよい。ディスプレイインターフェース1665は、VGA、DVI、DisplayPort、HDMIなどの1つ以上の独自又は業界標準の接続を用いて、ディスプレイ1670に接続してもよい。
【0088】
上述したように、ネットワークインターフェース1650は、コンピュータ1605の外部にある他のコンピューティング及びストレージシステム又はデバイスとの通信を提供する。本明細書で説明するソフトウェアプログラム及びデータは、例えば、リモートコンピュータ1615、ウェブサーバ1620、クラウドストレージサーバ1625、及びコンピュータサーバ1630から、ネットワークインターフェース1650及びネットワーク1610を介して不揮発性ストレージ1645にダウンロードされてもよい。更に、本開示で説明するシステム及び方法は、ネットワークインターフェース1650及びネットワーク1610を介してコンピュータ1605に接続された1つ以上のコンピュータによって実行されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本開示に記載されているシステム及び方法は、リモートコンピュータ1615、コンピュータサーバ1630、又はネットワーク1610上の相互接続されたコンピュータの組み合わせによって実行されてもよい。
【0089】
本開示に記載されたシステム及び方法の実施形態で採用されるデータ、データセット及び/又はデータベースは、リモートコンピュータ1615、ウェブサーバ1620、クラウドストレージサーバ1625、及びコンピュータサーバ1630に保存され、及び/又は、リモートコンピュータ1615、ウェブサーバ1620、クラウドストレージサーバ1625、及びコンピュータサーバ1630からダウンロードされてもよい。
【0090】
明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多数の修正及び変形が可能である。従って、添付の請求項の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施することができることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16