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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-28
(45)【発行日】2023-09-05
(54)【発明の名称】加圧装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/02 20060101AFI20230829BHJP
   B21D 22/10 20060101ALI20230829BHJP
   B30B 15/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B30B15/02 C
B30B15/02 E
B21D22/10 A
B30B15/00 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023017779
(22)【出願日】2023-02-08
【審査請求日】2023-02-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】澤田 智世
(72)【発明者】
【氏名】森 隆博
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-011791(JP,A)
【文献】特開2004-296746(JP,A)
【文献】特開2002-11599(JP,A)
【文献】特開2000-140950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/00 - 15/02
B30B 15/34
B21D 22/10
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向において、被加圧物を挟み込み、加圧する加圧装置であって、
鉛直方向において対向するように配置されて、前記被加圧物を挟み込み、加圧する一対の加圧ユニット、を有してなり、
一対の前記加圧ユニットのうち、一方の前記加圧ユニットは、
前記被加圧物が加圧されるとき、前記被加圧物の表面の形状に追従して変形する柔軟体を備える加圧パッドと、
前記加圧パッドを保持する枠部材と、
を備え、
前記枠部材は、
水平方向において、前記柔軟体の全周を囲むように配置されて、前記柔軟体を保持する第1枠部材と、
前記第1枠部材が着脱可能に取り付けられる第2枠部材と、
水平方向において、前記第1枠部材の全周を囲むように配置されて、前記第2枠部材に着脱可能に取り付けられて、前記第1枠部材を前記第2枠部材に固定する第3枠部材と、
を備え、
水平方向において、前記第3枠部材は、前記第1枠部材と前記第2枠部材とに当接する、
加圧装置。
【請求項2】
水平方向において、前記第1枠部材に対して前記柔軟体が配置されている方向は、第1方向であり、前記第1方向の反対側の方向は、第2方向であり、
鉛直方向において、前記加圧パッドに対して前記被加圧物が配置される方向は、第3方向であり、前記第3方向の反対側の方向は、第4方向であり、
前記第2枠部材は、
前記第2枠部材の前記第3方向側の端部のうち、前記第1方向側の端部に配置されて、前記第1枠部材と前記第3枠部材とが配置される凹部と、
水平方向において、前記凹部よりも前記第2方向側に配置されて、前記第3枠部材の全周を囲むように配置される凸部と、
を備え、
水平方向において、前記第3枠部材は、前記第1枠部材と前記凸部とに当接する、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項3】
前記第1枠部材は、前記第2方向に向けられる第1外周面、を備え、
水平方向において、前記凸部は、前記第3枠部材の全周を囲むように配置されて、前記第1方向に向けられる第2内周面、を備え、
前記第3枠部材は、
水平方向において、前記第1枠部材の全周を囲むように配置されて、
前記第1外周面に対向して、前記第1外周面に当接する第3内周面と、
前記第2内周面に対向して、前記第2内周面に当接する第3外周面と、
を備える、
請求項2に記載の加圧装置。
【請求項4】
前記第3内周面は、前記第4方向から前記第3方向に向かうにつれて、前記第1方向側に突出するように傾斜する傾斜面であり、
前記第1外周面は、前記第3方向から前記第4方向に向かうにつれて、前記第2方向側に突出するように傾斜する傾斜面であり、
前記第3枠部材は、前記第4方向に向けて押圧された状態で、前記第2枠部材に取り付けられる、
請求項3に記載の加圧装置。
【請求項5】
前記第3外周面は、前記第4方向から前記第3方向に向かうにつれて、前記第2方向側に突出するように傾斜する傾斜面であり、
前記第2内周面は、前記第3方向から前記第4方向に向かうにつれて、前記第1方向側に突出するように傾斜する傾斜面である、
請求項4に記載の加圧装置。
【請求項6】
前記凹部は、前記第3方向に向けられて、前記第1枠部材と前記第3枠部材とが取り付けられる取付面、を備え、
前記取付面は、前記第2内周面の前記第1方向側に配置される、
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の加圧装置。
【請求項7】
前記被加圧物が加圧されるとき、前記枠部材と前記加圧パッドとに対向するように配置されて、前記加圧パッドと共に前記被加圧物を挟み込む対向部材に、前記被加圧物が載置されて、
前記対向部材は、前記枠部材と前記加圧パッドとに対向して、水平方向に平行な対向面、を備え、
鉛直方向において、前記第1枠部材の厚みは、前記凹部の深さ以上であり、
鉛直方向において、前記第3枠部材の厚みは、前記凹部の深さよりも小さく、
鉛直方向において、前記第1枠部材は、前記取付面に当接して、
鉛直方向において、前記第3枠部材と前記取付面との間には、前記第1枠部材の厚みと前記第3枠部材の厚みとの差分よりも小さい隙間が形成される、
請求項6に記載の加圧装置。
【請求項8】
前記柔軟体から前記第2方向へ向けられる仮想直線上において、前記第3枠部材の幅は、前記第1枠部材と前記凸部それぞれの幅よりも小さい、
請求項7に記載の加圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電子部品(基板、回路素子)などにより構成される被加圧物を加圧するための加圧装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。同装置は、上加圧ユニットと下加圧ユニットとを有してなる。被加圧物は、上加圧ユニットと下加圧ユニットとの間に配置される。上加圧ユニットは、ベース部材、上型、加圧パッド、枠部材、およびバネ部材を備える。ベース部材は、上型およびバネ部材を保持している。上型は、ベース部材と共に下方向に移動して、加圧パッドを介して被加圧物を加圧する。枠部材は、上型に対して上下方向に相対移動可能にバネ部材に保持されている。枠部材は、柔軟性を備える加圧パッドを保持している。被加圧物が上型により加圧されるとき、加圧パッドは、被加圧物の形状に追従して変形して、被加圧物を均等に加圧する。下加圧ユニットは、下型を備えている。被加圧物は、下型の表面に載置されている。被加圧物が上型により加圧されるとき、被加圧物は加圧パッドおよび下型により挟み込まれて、加圧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被加圧物が上型により加圧されているとき、加圧パッドでは全方向に向けて略均等な圧力が作用している。そのため、被加圧物が高圧力により加圧されているとき、加圧パッドを保持する枠部材にも高圧力が作用している。そのため、水平方向における枠部材の長さは、高圧力に耐え得る長さに設計されている。すなわち、水平方向における枠部材の長さは、枠部材に作用する圧力の増加に応じて、大きくなる。その結果、枠部材の大きさは大きくなり、枠部材の重量も増加する。加圧パッドは使用回数に応じて定期的に取り換えられるので、枠部材の重量が増加すれば、加圧パッドの取り換えに伴う枠部材の着脱の際に、作業者の作業負担が大きくなる。
【0005】
また、水平方向における枠部材の長さが大きくなると、反りが発生する、および加工精度の確保が難しくなるなどの加工リスクにより、枠部材における平坦面の平坦性の確保が難しくなる。特に、載置台に当接する平坦面の平坦性が確保されなければ、加圧処理において、加圧パッドによる被加圧物への圧力の均等性が確保できなくなる。その結果、被加圧物が配置される位置にずれが生じ得て、被加圧物の品質が保たれなくなり得る。このように、枠部材の製作時において、枠部材の反りが発生する、および枠部材の加工精度の確保が難しくなるなどの加工リスクが大きくなる技術的課題が生じ得る。
【0006】
本発明は、枠部材の交換時における作業者の作業負担を軽減すると共に、枠部材の製作時における枠部材の反りが発生する、および枠部材の加工精度の確保が難しくなるなどの加工リスクを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様における加圧装置は、鉛直方向において、被加圧物を挟み込み、加圧する加圧装置であって、鉛直方向において対向するように配置されて、前記被加圧物を挟み込み、加圧する一対の加圧ユニット、を有してなり、一対の前記加圧ユニットのうち、一方の前記加圧ユニットは、前記被加圧物が加圧されるとき、前記被加圧物の表面の形状に追従して変形する柔軟体を備える加圧パッドと、前記加圧パッドを保持する枠部材と、を備え、前記枠部材は、水平方向において、前記柔軟体の全周を囲むように配置されて、前記柔軟体を保持する第1枠部材と、前記第1枠部材が着脱可能に取り付けられる第2枠部材と、水平方向において、前記第1枠部材の全周を囲むように配置されて、前記第2枠部材に着脱可能に取り付けられて、前記第1枠部材を前記第2枠部材に固定する第3枠部材と、を備え、水平方向において、前記第3枠部材は、前記第1枠部材と前記第2枠部材とに当接する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、枠部材の交換時における作業者の作業負担が軽減されると共に、枠部材の製作時における枠部材の反りが発生する、および枠部材の加工精度の確保が難しくなるなどの加工リスクが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る加圧装置における被加圧物の圧着工程を示す概念図である。(a)は、載置台に配置されている被加圧物の状態を示している。(b)は、加圧パッドが被加圧物に当接している状態を示している。(c)は、加圧パッドが被加圧物の形状に追従して変形している状態を示している。
図2】本発明に係る加圧装置の実施の形態を示す模式断面図である。
図3図2の加圧装置が備える枠部材を示す模式部分拡大断面図である。
図4図2の加圧装置が備える枠部材を下方向から見た状態を示す底面図である。
図5図3の枠部材を構成する第1枠部材、第2枠部材、および第3枠部材が分離された状態を示す模式拡大断面図である。
図6図4の枠部材を構成する第1枠部材を下方向から見た状態を示す底面図である。
図7図4の枠部材を構成する第2枠部材を下方向から見た状態を示す底面図である。
図8図4の枠部材を構成する第3枠部材を下方向から見た状態を示す底面図である。
図9図2の加圧装置が備える上加圧ユニットを下降させて、上加圧ユニットのサイド部材が下加圧ユニットの載置台に当接された状態を示す模式断面図である。
図10図9に示されている状態から上加圧ユニットを下降させて、加圧パッドを介して、上加圧ユニットの上型により被加圧物が加圧された状態を示す模式断面図である。
図11図10の状態において、圧力が作用している状態を示す模式拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る加圧装置(以下「本装置」という。)の実施の形態が、以下に説明される。以下の説明において、図面は適宜参照される。以下の説明において、同一の構造または機能を有する要素については同一の符号が付されて、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、各図面に図示されている比率に限定されない。
【0011】
以下の説明および図面において、特に断りがない限り、本装置は水平な床面に設置されている。本装置において、水平方向は床面の水平面に対して平行な方向であり、鉛直方向は水平面に対して垂直な方向である。鉛直方向において、下方向は本装置に対して床面が位置する方向であり、上方向は下方向とは反対方向である。下方向は本発明における第3方向の一例であり、上方向は本発明における第4方向の一例である。
【0012】
●加圧装置●
●被加圧物の圧着工程
先ず、本装置における被加圧物の圧着工程が、本装置による加圧の一例として以下に説明される。
【0013】
図1は、本装置1(図2参照。以下同じ。)における被加圧物Wの圧着工程を示す概念図である。(a)は、載置台31(図2参照、以下同じ。)に配置されている被加圧物Wの状態を示している。(b)は、加圧パッド25が被加圧物Wに当接している状態を示している。(c)は、加圧パッド25が被加圧物Wの形状に追従して変形している状態を示している。
【0014】
被加圧物Wは、本装置1に加圧される対象である。被加圧物Wは、複数の電子部品が組み合わされて構成されている。被加圧物Wは、例えば、基板w1、回路素子w2、および接着剤w3を備える。
【0015】
なお、本発明において、被加圧物Wは、複数の電子部品が組み合わされた構成に限定されない。
【0016】
図1に示される例において、基板w1は載置台31に載置されていて、回路素子w2は基板w1の上方向に配置されていて、接着剤w3が基板w1と回路素子w2との間に配置されている。このとき、基板w1の配線w11は、回路素子w2の対応するバンプw21の下方向に配置されていて、バンプw21に対向している。
【0017】
本装置1により被加圧物Wが加圧されるとき、先ず、被加圧物Wの上方向に配置されていた加圧パッド25は、下降して、回路素子w2に当接する(図1(b)参照)。次いで、加圧パッド25は、被加圧物Wの形状に追従して基板w1、回路素子w2、および接着剤w3の側方向を囲むように変形しながら、被加圧物Wを加圧する。このとき、被加圧物Wは、側方向を加圧パッド25に囲まれながら、上方向側および側方向側から加圧される。また、接着剤w3が圧縮されて、回路素子w2は基板w1に近接する。その結果、配線w11がバンプw21に近接して、両者間において圧縮された接着剤w3が導通する。次いで、加圧されている被加圧物Wが加熱されて、接着剤w3が熱硬化する。このように、本装置1により、回路素子w2は基板w1に圧着される。
【0018】
●加圧装置の構成
次に、本装置1の構成が、以下に説明される。
【0019】
図2は、本装置1の実施の形態を示す模式断面図である。
図3は、本装置1が備える枠部材26を示す模式部分拡大断面図である。
図4は、枠部材26を下方向から見た状態を示す底面図である。
【0020】
本装置1は、被加圧物Wを加圧する。本装置1は、上加圧ユニット2、下加圧ユニット3、昇降機構(不図示。以下同じ。)、真空ポンプP、および制御部(不図示。以下同じ。)を有してなる。上加圧ユニット2および下加圧ユニット3は、本発明における一対の加圧ユニットの一例である。
【0021】
鉛直方向において、上加圧ユニット2は、下加圧ユニット3と共に被加圧物Wを挟み込み、被加圧物Wを加圧する。上加圧ユニット2は、下加圧ユニット3の上方向に配置されている。すなわち、鉛直方向において、上加圧ユニット2は、下加圧ユニット3に対向するように、下加圧ユニット3の上方向に配置されている。上加圧ユニット2は、昇降機構により鉛直方向に移動可能である。上加圧ユニット2は、ベース部材21、上型22、サイド部材23、シリンダ24、加圧パッド25、枠部材26、バネ部材27、および取付ボルト28を備える。上加圧ユニット2は、本発明における一方の加圧ユニットの一例である。
【0022】
ベース部材21は、上型22、シリンダ24、およびバネ部材27を保持している。ベース部材21は、昇降機構により鉛直方向に移動可能に、昇降機構に保持されている。
【0023】
上型22は、加圧パッド25を介して上方向から被加圧物Wを加圧する。上型22は、ベース部材21の下面に配置されていて、ベース部材21に保持されている。上型22は、ベース部材21と一体となって移動する。水平方向において、上型22の断面形状は、矩形状である。上型22の下面の形状は、平面状である。上型22は、上型22の内部に加熱機構(不図示。以下同じ。)を備える。加熱機構は、被加圧物Wに熱を加える。加熱機構の具体的な説明は、後述される。
【0024】
なお、本発明において、上型22は、上型22の内部に加熱機構を備えなくてもよい。
【0025】
サイド部材23は、上加圧ユニット2と下加圧ユニット3との間の被加圧物Wが載置される空間を密閉させる。水平方向においてサイド部材23は、密閉された空間(以下「密閉空間」という。)の全周を囲むように配置されている。下面視において、サイド部材23の形状は、矩形枠状である。すなわち、下面視において、サイド部材23の中央には、矩形状の内部空間が形成されている。サイド部材23は、サイド部材23の内側から外側へ貫通している排気孔23aを備える。サイド部材23の内側の内部空間には、上型22、加圧パッド25、枠部材26、およびバネ部材27が配置されている。水平方向において、サイド部材23は、上型22、加圧パッド25、枠部材26、およびバネ部材27を囲むように配置されている。サイド部材23は、シリンダ24を介してベース部材21に保持されている。サイド部材23が後述される載置台31に当接することで、被加圧物Wが載置されている空間が密閉されて、密閉空間が形成される。
【0026】
「密閉空間」は、サイド部材23が載置台31に当接したとき、上型22、サイド部材23、枠部材26、および載置台31により区画される空間である。相互に隣接する部材の間には、シール(不図示。以下同じ。)が配置されていて、密閉空間の密閉性が保たれている。
【0027】
シリンダ24は、ベース部材21に保持されていて、サイド部材23を昇降可能に保持している。シリンダ24は、サイド部材23を下降させて、サイド部材23を載置台31に当接させる。シリンダ24は、例えば、公知のエアシリンダである。
【0028】
加圧パッド25は、被加圧物Wが加圧されるとき、被加圧物Wの表面の形状に追従して変形して、被加圧物Wを均等に加圧する。加圧パッド25は、上型22と載置台31との間に配置されている。加圧パッド25は、柔軟体251、および2枚の膜252,253を備える。
【0029】
柔軟体251は、被加圧物Wが加圧されるとき、被加圧物Wに均等な圧力を作用させる。柔軟体251は、上下の膜252,253の間に配置されている。柔軟体251は、例えば、公知の高い流動性および低い反発弾性率を有する弾性体材料製である。
【0030】
膜252,253は、柔軟体251を保持すると共に、柔軟体251の水平方向の流動により生じる被加圧物Wのずれを防止する。膜252,253は、例えば、公知のシリコンゴム膜である。水平方向において、2枚の膜252,253それぞれの端部は、全周に亘り、枠部材26に保持されている。
【0031】
このように構成されている加圧パッド25は、水平方向において、全周に亘り、枠部材26に保持されている。
【0032】
枠部材26は、加圧パッド25を保持する。下面視において、枠部材26の形状は、矩形枠状である。すなわち、下面視において、枠部材26の中央には、矩形状の内部空間が形成されている。枠部材26は、ボルトなどが挿入される複数の孔を備える。水平方向において、枠部材26は、上型22を囲むように配置されている。枠部材26は、バネ部材27を介して、上型22に対して鉛直方向に相対移動可能に、ベース部材21に保持されている。枠部材26は、例えば、公知の鋼合金製である。枠部材26は、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cを備える。枠部材26は、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが組み合わされることで、1つの枠部材26として水平方向の圧力に耐えられる構造を有する。枠部材26の具体的な構造は、後述される。
【0033】
水平方向において、第1枠部材26aは、加圧パッド25の全周を囲むように配置されていて、加圧パッド25を保持している。第1枠部材26aは、3つの保持部材およびボルトを備える。積層された3つの保持部材がボルトにより固定されていて、1つの第1枠部材26aが構成されている。各保持部材間には、加圧パッド25の膜252,253の端部が挟持されている。その結果、加圧パッド25は、第1枠部材26aに保持されている。加圧パッド25を保持している第1枠部材26aは、加圧パッドユニットを構成している。
【0034】
ここで、水平方向において、第1枠部材26aに対して、加圧パッド25が配置されている方向は第1方向であり、第1方向の反対側の方向は第2方向であるものとする。
【0035】
第1枠部材26aは、第1内周面a1、第1外周面a2、第1上面a3、および第1下面a4を備える。
【0036】
第1内周面a1は、第1方向に向けられていて、柔軟体251に当接している。
【0037】
第1外周面a2は、第2方向に向けられていて、後述される第3内周面c1に当接している。第1外周面a2は、下方向から上方向に向かうにつれて、第2方向側に突出するように傾斜する傾斜面である。
【0038】
第1上面a3は、上方向に向けられていて、後述される取付面b3に当接している。第1上面a3は、水平方向に平行な面である。
【0039】
第1下面a4は、下方向に向けられていて、載置台31に対向している。第1下面a4は、水平方向に平行な面である。本実施の形態において、第1外周面a2と第1下面a4との間で形成される角度θ1は、鈍角(本実施の形態では、例えば120度)である。
【0040】
第2枠部材26bは、枠部材26におけるベースとなる部材である。第2枠部材26bには、第1枠部材26aが着脱可能に取り付けられる。第1方向から第2方向に向けて第2枠部材26bが切断されたときの第2枠部材26bの断面形状は、略L字形状である。水平方向において、第2枠部材26bは、上型22の全周、および第3枠部材26cの全周を囲むように配置されている。第2枠部材26bは、上型22に対して鉛直方向に相対移動可能に、バネ部材27を介してベース部材21に保持されている。第2枠部材26bは、凹部b1(図5参照)、凸部b2(図5参照)、取付面b3,第2内周面b4、第2下面b5、および第2上面b6を備える。
【0041】
第2枠部材26bの下部の第1方向側の部分は、全周に亘り上方向に凹むように形成されていて、凹部b1を構成している。凹部b1には、第1枠部材26aおよび第3枠部材26cが配置されている。凹部b1は、取付面b3を備える。
【0042】
第2枠部材26bの下部の第2方向側の部分は、凹部b1よりも下方向に突出していて、凸部b2を構成している。すなわち、凸部b2は、凹部b1の第2方向側に配置されている。水平方向において、凸部b2は、第3枠部材26cの全周を囲むように配置されている。凸部b2は、第2内周面b4および第2下面b5を備える。
【0043】
取付面b3は、下方向に向けられていて、第1上面a3に当接している。取付面b3は、水平方向に平行な面である。
【0044】
第2内周面b4は、第1方向に向けられていて、後述される第3外周面c2に当接している。第2内周面b4は、下方向から上方向に向かうにつれて、第1方向側に突出するように傾斜する傾斜面である。第2内周面b4は、取付面b3の第2方向側に配置されている。すなわち、取付面b3は、第2内周面b4の第1方向側に配置されている。
【0045】
第2下面b5は、下方向に向けられていて、載置台31に対向している。第2下面b5は、水平方向に平行な面である。本実施の形態において、第2内周面b4と第2下面b5との間で形成される角度θ2は、鈍角(本実施の形態では、例えば、120度)である。
【0046】
第2上面b6は、上方向に向けられていて、バネ部材27が取り付けられている。第2上面b6は、水平方向に平行な面である。
【0047】
第3枠部材26cは、第1枠部材26aを第2枠部材26bに固定する。第1方向から第2方向に向けて第2枠部材26bが切断されたときの鉛直方向における第3枠部材26cの断面形状は、台形状である。水平方向において、第3枠部材26cは、第1枠部材26aの全周を囲むように配置されていて、第2枠部材26bに着脱可能に取り付けられている。第3枠部材26cは、第3内周面c1、第3外周面c2、第3下面c3、および第3上面c4を備える。
【0048】
第3内周面c1は、第1方向に向けられていて、第1外周面a2に当接している。第3内周面c1は、上方向から下方向に向かうにつれて、第1方向側に突出するように傾斜する傾斜面である。
【0049】
第3外周面c2は、第2方向に向けられていて、第2内周面b4に当接している。第3外周面c2は、上方向から下方向に向かうにつれて、第2方向側に突出するように傾斜する傾斜面である。
【0050】
第3下面c3は、下方向に向けられていて、水平方向に平行な面である。第3上面c4は、上方向に向けられていて、水平方向に平行な面である。水平方向において、第3下面c3の長さは、第3上面c4の長さよりも大きい。すなわち、第3枠部材26cの断面形状は、上部が先細る台形状である。本実施の形態において、第3内周面c1と第3下面c3との間で形成される角度θ3、および、第3外周面c2と第3下面c3との間で形成される角度θ4は、鋭角(本実施の形態では、例えば、60度)である。
【0051】
第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが組み合わされて、枠部材26が構成されている。第1枠部材26aは、第3枠部材26cおよび第1取付ボルト28aにより、第2枠部材26bに取り付けられている。第3枠部材26cは、第2取付ボルト28bにより、第2枠部材26bに取り付けられている。第3枠部材26cの第3内周面c1は、第1枠部材26aの第1外周面a2に対向して配置されている。第3内周面c1の全面は、第1外周面a2に当接している。第3枠部材26cの第3外周面c2は、第2内周面b4に対向して配置されている。第3外周面c2の全面は、第2内周面b4に当接している。すなわち、水平方向において、第3枠部材26cは、第1枠部材26a、および第2枠部材26bの凸部b2に当接している。換言すれば、水平方向において、第3枠部材26cは、第1枠部材26aおよび第2枠部材26bに当接している。
【0052】
前述のとおり、第3枠部材26cの断面形状は、上部が先細る台形状である。そのため、第3内周面c1が第1外周面a2に当接したとき、第3内周面c1は斜め下方向から第1外周面a2を保持している。このとき、第3内周面c1が、第1外周面a2に面接触している。その結果、水平方向において、第1枠部材26aは、全周に亘り第3枠部材26cに保持されている。加えて、第1枠部材26aは、第3枠部材26cにより取付面b3に押し付けられている。
【0053】
鉛直方向において、第1枠部材26aの長さ(厚み)は第2枠部材26bの凹部b1の長さ(深さ)より大きく、第3枠部材26cの長さ(厚み)は第2枠部材26bの凹部b1の長さ(深さ)よりも小さい。第1枠部材26aの第1上面a3は、第2枠部材26bの取付面b3に当接している。柔軟体251から第2方向へ延出される仮想直線V上において、第3枠部材26cの長さ(幅)は、第2枠部材26bの凸部b2、および第1枠部材26aそれぞれの長さ(幅)よりも小さい。
【0054】
鉛直方向において、第2枠部材26bの取付面b3と、第3枠部材26cの第3上面c4との間には、第1枠部材26aの厚みと、第3枠部材26cの厚みと、の差分よりも小さい隙間sが形成されている。前述のとおり、第3枠部材26cの断面形状は、上部が先細る台形状である。そのため、第3枠部材26cが第2取付ボルト28bにより上方向に押されると、第3内周面c1は第1外周面a2に密着して、第3外周面c2は第2内周面b4に密着する。このとき、第1枠部材26aおよび凸部b2は、第3枠部材26cにより斜め上方向へ向かう力を受ける。その結果、第1枠部材26aは、第3枠部材26cにより第1方向および上方向に押し付けられて、第2枠部材26bに取り付けられる(固定される)。このとき、第1取付ボルト28aが緩められていると、第1枠部材26aが第3枠部材26cにより水平方向(第1方向または第2方向)に押されて、水平方向において、第2枠部材26bに対する第1枠部材26aの位置が決められる。
【0055】
第1枠部材26aが第3枠部材26cから受ける力は、第2取付ボルト28bが第3枠部材26cを上方向に押し付ける力(すなわち、第2取付ボルト28bの締結力)が増加するにつれて増加する。ここで、仮に、隙間sが形成されていない場合(第3上面c4が取付面b3に当接している場合)、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cそれぞれが高精度に作製されなければ、同力は殆ど生じ得ず、その結果、第3内周面c1と第1外周面a2との密着、および、第3外周面c2と第2内周面b4との密着が阻害され得る(すなわち、各面間に隙間が生じ得る)。本実施の形態では、隙間sが形成されているので、第2取付ボルト28bは、常に所定の値以上の締結力で第3枠部材26cを上方向に押し付けることができる。したがって、第3内周面c1と第1外周面a2との密着、および、第3外周面c2と第2内周面b4との密着が、常に保たれている。その結果、3つの第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが組み合わされて枠部材26が構成されていても、枠部材26は水平方向における高圧力に耐えられる構造を有する。
【0056】
バネ部材27は、枠部材26を上型22に対して鉛直方向に相対移動可能に保持する。バネ部材27は、ベース部材21の下面と、第2枠部材26bの第2上面b6と、に取り付けられている。バネ部材27は、例えば、公知のバネである。
【0057】
取付ボルト28は、第2枠部材26bに、第1枠部材26aおよび第3枠部材26cを取り付ける。取付ボルト28は、第1取付ボルト28aおよび第2取付ボルト28bを備える。第1取付ボルト28aは第1枠部材26aを第2枠部材26bに取り付けていて、第2取付ボルト28bは第3枠部材26cを第2枠部材26bに取り付けている。その結果、第1枠部材26aおよび第3枠部材26cは、第2枠部材26bに固定されている。
【0058】
鉛直方向において、下加圧ユニット3は、上加圧ユニット2と共に被加圧物Wを挟み込み、被加圧物Wを加圧する。下加圧ユニット3は、上加圧ユニット2に対向するように、上加圧ユニット2の下方向に配置されている。下加圧ユニット3は、載置台31および下型32を備える。下加圧ユニット3は、本発明における他方の加圧ユニットの一例である。
【0059】
載置台31には、被加圧物Wが載置される。載置台31は、対向面311および下面312を備える。対向面311は、サイド部材23、加圧パッド25、および枠部材26に対向していて、水平方向に平行な面である。載置台31は、被加圧物Wが加圧されるとき、枠部材26および加圧パッド25に対向するように、これらの下方向に配置されていて、加圧パッド25と共に被加圧物Wを挟み込む。載置台31は、本発明における対向部材の一例である。
【0060】
下型32は、載置台31を介して、被加圧物Wを加圧する。下型32は、載置台31の下面312に配置されていて、床面に載置されている。水平方向において、下型32の断面形状は、矩形状である。下型32の上面の形状は、平面状である。
【0061】
なお、本発明において、下型32は、下型32の内部に加熱機構、および/または、冷却機構を備えてもよい。
【0062】
昇降機構は、上加圧ユニット2を保持して、上加圧ユニット2を昇降させて、被加圧物Wを加圧する。昇降機構は、例えば、公知の油圧シリンダを備える。
【0063】
なお、本発明において、昇降機構は、加圧動作が可能な機構であれば、どのような機構を備えてもよい。すなわち、例えば、昇降機構は、公知のエアシリンダを備えてもよい。
【0064】
真空ポンプPは、被加圧物Wが載置されている密閉空間を真空状態にする。真空ポンプPは、真空ポンプ用配管を介して、排気孔23aに接続されている。真空ポンプPは、真空ポンプ用配管および排気孔23aを介して、密閉空間内の空気を吸引する。真空ポンプPは、例えば、公知の真空ポンプ装置である。
【0065】
制御部は、本装置1全体の動作を制御する。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、および、本装置1を制御するプログラムや他の制御プログラムなどの各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリ、により構成されている。
【0066】
●枠部材の着脱工程
次に、枠部材26の着脱工程が、以下に説明される。以下の説明において、図2図4は、適宜参照される。
【0067】
図5は、枠部材26を構成している第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが分離された状態を示す模式部分拡大断面図である。
図6は、枠部材26を構成している第1枠部材26aを下方向から見た状態を示す底面図である。
図7は、枠部材26を構成している第2枠部材26bを下方向から見た状態を示す底面図である。
図8は、枠部材26を構成している第3枠部材26cを下方向から見た状態を示す底面図である。
【0068】
枠部材26の第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cの着脱工程は、例えば、本装置1の保守の際に、主に、加圧パッド25を交換することを目的として実行される。加圧パッド25が数千回~数万回使用されると、加圧パッド25の機能が十分に発揮されなくなるので、加圧パッド25の定期的な交換が必要になる。加圧パッド25が交換されるとき、第1枠部材26aを保持している第3枠部材26c、および、加圧パッド25を保持している第1枠部材26a(加圧パッドユニット)が、第2枠部材26bから取り外される。このとき、第2枠部材26bはバネ部材27を介してベース部材21に保持されているので、第2枠部材26bは、本装置1から取り外されない。
【0069】
次に、枠部材26の着脱工程のうち、枠部材26における取外工程が、以下に説明される。
【0070】
「取外工程」は、加圧パッドユニットを、第2枠部材26bから取り外す工程である。取外工程では、第3枠部材26cが第2枠部材26bから取り外された後に、第1枠部材26aが第2枠部材26bから取り外される。
【0071】
先ず、第3枠部材26cと載置台31との間には、例えば、複数のジャッキ(不図示。以下同じ。)が配置される。複数のジャッキは、第3枠部材26cの形状に合わせて、第3枠部材26cの下方向に配置されていて、第3枠部材26cを下方向から支持している。
【0072】
次いで、第2取付ボルト28bが、取り外される。このとき、第3枠部材26cは、ジャッキ上に載置されていて、第2枠部材26bから分離される。
【0073】
次いで、第3枠部材26cは、本装置1から外部に取り出される。このとき、第3枠部材26cに偏在して力がかからないように、第3枠部材26cは、水平が保たれた状態で取り出される。
【0074】
次に、加圧パッドユニットを第2枠部材26bから取り外す作業が行われる。つまり、第1枠部材26aを第2枠部材26bから取り外す作業が行われる。同作業の具体的な内容は、以下に説明される。
【0075】
先ず、第1枠部材26aと載置台31との間には、例えば、複数のジャッキが配置される。複数のジャッキは、第1枠部材26aの形状に合わせて、第1枠部材26aの下方向に配置されていて、第1枠部材26aを下方向から支持している。
【0076】
次いで、第1取付ボルト28aが、取り外される。このとき、第1枠部材26aは、シャッキ上に載置されていて、第2枠部材26bから分離される。
【0077】
次いで、第1枠部材26aは、本装置1から外部に取り出される。このとき、第1枠部材26aに偏在して力がかからないように、第1枠部材26aは、水平が保たれた状態で取り出される。
【0078】
次に、枠部材26の着脱工程のうち、枠部材26における取付工程が、以下に説明される。
【0079】
「取付工程」は、加圧パッドユニットを、第2枠部材26bに取り付ける工程である。取付工程では、第1枠部材26aが第2枠部材26bに取り付けられた後、第3枠部材26cが第2枠部材26bに取り付けられる。その後、第1取付ボルト28aが作業者によりさらに締め付けられて、第1枠部材26aは、第2枠部材26bに固定される。
【0080】
先ず、加圧パッドユニットを第2枠部材26bに取り付ける作業が行われる。つまり、第1枠部材26aを第2枠部材26bに取り付ける作業が行われる。このとき、複数のジャッキが、取外工程と同様に配置される。
【0081】
次いで、第1枠部材26aは、本装置1の外部から水平方向に移動させられて、ジャッキに載置される。第1枠部材26aは、第2枠部材26bの取付面b3に対向する下方位置(図5を参照)に配置されている。
【0082】
次いで、第1枠部材26aは、第2枠部材26bの取付面b3に当接される。そして、第1枠部材26aは、第1取付ボルト28aで、第2枠部材26bに仮固定される。
【0083】
「仮固定」は、本固定の前に行われる予備的な固定である。仮固定の固定力は、本固定の固定力より小さい。本実施の形態では、第1枠部材26aが第2枠部材26bに仮固定されたとき、第1枠部材26aの第1上面a3が第2枠部材26bの取付面b3に当接している。このとき、第1枠部材26aは、第1取付ボルト28aと孔との間における隙間に応じて水平方向に移動可能である。
【0084】
「本固定」は、仮固定の後に行われる固定である。本固定の固定力は、仮固定の固定力より大きい。本実施の形態では、第1枠部材26aが第2枠部材26bに本固定されたとき、第1枠部材26aの第1上面a3が第2枠部材26bの取付面b3に当接している。このとき、第1枠部材26aは、水平方向に移動不可能である。
【0085】
次いで、第3枠部材26cを第2枠部材26bに取り付ける作業が行われる。このとき、複数のジャッキが、取外工程と同様に配置されている。
【0086】
次いで、第3枠部材26cは、本装置1の外部から水平方向に移動させられて、ジャッキに載置される。第3枠部材26cは、第1枠部材26aと第2枠部材26bとの間であって、取付面b3に対向する下方位置(図5を参照)に配置されている。
【0087】
次いで、第3枠部材26cが、第1枠部材26aと第2枠部材26bとの間に挿入される。第3枠部材26cは、第2枠部材26bの取付面b3に近接する。
【0088】
次いで、第3枠部材26cは、第2取付ボルト28bにより上方向に押し付けられて、第2枠部材26bに固定される。このとき、傾斜面である第3枠部材26cの第3内周面c1が傾斜面である第1枠部材26aの第1外周面a2に当接しているので、第1枠部材26aは、第3枠部材26cにより第1方向および上方向に押し付けられる。その結果、第1枠部材26aが第3枠部材26cにより水平方向に押されて、水平方向において、第2枠部材26bに対する第1枠部材26aの位置が決められる。すなわち、第3枠部材26cが固定されたとき、第3内周面c1は第1外周面a2に密着していて、第1枠部材26aは、第2枠部材26bに対して適切な位置に配置される。加えて、第3枠部材26cが第2取付ボルト28bにより固定されたとき、第1枠部材26aが上方向に押し付けられて、第1枠部材26aは第2枠部材26bに固定される。
【0089】
次いで、第1取付ボルト28aが作業者によりさらに締め付けられて、第1枠部材26aが第2枠部材26bに本固定される。このとき、第1上面a3は、取付面b3に密着している。水平方向において、第1枠部材26a、第2枠部材26b(凸部b2)、および第3枠部材26cは、相互に密着していて、一体となっている。
【0090】
●加圧装置の動作
次に、本装置1の動作が、以下に説明される。以下の説明において、図1および図2は、適宜参照される。
【0091】
図9は、上加圧ユニット2が下降することにより、サイド部材23が下加圧ユニット3の載置台31に当接した状態を示す模式断面図である。
図10は、図9に示されている状態から上加圧ユニット2が下降して、加圧パッド25を介して、上型22により被加圧物Wが加圧された状態を示す模式断面図である。
【0092】
先ず、載置台31の所定の位置に被加圧物Wが載置される。次いで、制御部は、所定の位置に被加圧物Wが載置されたことを確認すると、昇降機構により上加圧ユニット2を下降させる。制御部は、上加圧ユニット2が載置台31に対して所定の位置まで下降すると、下降を一時停止させる。
【0093】
次いで、制御部は、シリンダ24を伸ばして、サイド部材23のみを載置台31の対向面311に当接するまで下降させる。このとき、密閉空間が形成される。
【0094】
次いで、制御部は、真空ポンプPを動作させて、密閉空間を真空状態にさせる。密閉空間が真空状態となることにより、被加圧物W周辺の空気が除去されて、例えば、接着剤w3の軟化時などに空気が入り込むエア噛みなどの不具合が未然に防止される。
【0095】
次いで、制御部は、サイド部材23を載置台31に当接させた状態で、上加圧ユニット2を下降させて、加圧パッド25を被加圧物Wに当接させる(図1(b)を参照)。次いで、制御部は、上加圧ユニット2をさらに下降させて、第1枠部材26aの第1下面a4を載置台31の対向面311に当接させる。前述のとおり、鉛直方向において、第1枠部材26aの厚みは第2枠部材26bの凹部b1の深さより大きいので、枠部材26のうち、第1下面a4のみが、載置台31の対向面311に当接している。
【0096】
次いで、制御部は、上型22を下降させて、被加圧物Wに対して仮加圧を行う(図10を参照)。前述のとおり、枠部材26は、上型22に対して鉛直方向に相対移動可能である。そのため、第1下面a4が対向面311に当接していても、上型22のみが下降して、上型22は上方向から加圧パッド25を加圧できる。加圧された加圧パッド25は、流動性のある柔軟体251を備えるので、被加圧物Wの表面の形状に追従して変形する(図1(c)を参照)。その結果、加圧パッド25は、被加圧物Wの上方向側、および側方向側を囲む。
【0097】
「仮加圧」は、本加圧の前に実行される予備的な加圧である。仮加圧の加圧力は、本加圧の加圧力より小さい。本実施の形態における仮加圧では、加圧パッド25が被加圧物Wの表面の形状に追従して変形する程度の圧力が被加圧物Wに作用する。
【0098】
「本加圧」は、仮加圧の後に実行される加圧である。本加圧の加圧力は、仮加圧の加圧力より大きい。本実施の形態における本加圧では、被加圧物Wにおいて、基板w1および回路素子w2が圧着される程度の圧力が被加圧物Wに作用する。
【0099】
次いで、制御部は、さらに上型22を下降させて、本加圧を行う。このとき、柔軟体251は、上型22から受けた加圧力に応じて変形しながら、全方向に向けて略均等な圧力を作用させる。その結果、加圧パッド25は、被加圧物Wを均等に加圧する。
【0100】
ここで、柔軟体251からの圧力が枠部材26に及ぼす影響が、以下に説明される。
【0101】
図11は、図10の状態において、圧力が作用している状態を示す模式部分拡大断面図である。
同図の白抜き矢印は、圧力の方向を示している。
【0102】
前述のとおり、加圧パッド25は、被加圧物Wが加圧されるとき、流動性が高い柔軟体251により、全方向に向けて略均等な圧力を作用させる。被加圧物Wが加圧されるとき、水平方向において、加圧パッド25を保持している枠部材26にも同じ圧力が作用する。
【0103】
ここで、従来の加圧装置では、加圧パッド25は、積層された3つの保持部材のみにより構成された枠部材(以下「従来枠部材」という。)で保持されている。水平方向における従来枠部材の長さは、従来枠部材が加圧パッド25(柔軟体251)から作用される高圧力に耐えられる長さに設計されている。そのため、加圧パッド25から従来枠部材に高圧力が作用されても、従来枠部材は歪まず、加圧パッド25による被加圧物Wに対する圧力の均等性は確保されていた。一方、加圧装置に求められる加圧力が増加するにつれて、従来枠部材の大きさは大きくなり、従来枠部材の重量は増加していた。
【0104】
本装置1では、枠部材26は3つの第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが組み合わされて枠部材26が構成されている。また、水平方向における第1枠部材26aの長さは、従来枠部材の長さよりも小さく設計されている。そのため、第1枠部材26aは従来枠部材よりも小さく、かつ、軽いが、水平方向における第1枠部材26aの耐圧性は従来枠部材よりも劣る。本発明では、水平方向において、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cは面接触により密着しているので、第1枠部材26aの耐圧性が第2枠部材26b(凸部b2)および第3枠部材26cで補われている。その結果、枠部材26全体で、従来枠部材と同等の耐圧性が得られている。すなわち、3つの第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが組み合わされて枠部材26が構成されていても、枠部材26は高圧力に耐えられる。
【0105】
また、加圧パッド25(加圧パッドユニット)の交換時に、従来の加圧装置では、従来枠部材の全てが取り外されていた。一方、本装置1では、第3枠部材26cが取り外された後に、第1枠部材26a(加圧パッドユニット)が取り外される。前述のとおり、第1枠部材26aは従来枠部材よりも小さく、かつ、軽く、第3枠部材26cは第1枠部材26aよりも軽い。そのため、加圧パッド25の交換時の作業者の作業負担は、従来の加圧装置における作業負担よりも軽減される。
【0106】
加えて、第1枠部材26aは従来枠部材よりも小型化されているので、対向面311に当接する面(本実施の形態では、第1下面a4)の面積も小さくなる。したがって、第1下面a4の精密加工が、従来枠部材に対する同加工よりも容易になる。すなわち、第1枠部材26aの製作時において、第1下面a4の反りが発生する、および第1下面a4の加工精度の確保が難しくなるなどの加工リスクが低減される。
【0107】
図10に戻る。
次いで、制御部は、被加圧物Wが本加圧された状態において、被加圧物Wに、例えば、加熱処理を行う。被加圧物Wに熱が加えられることで、接着剤w3が硬化して、被加圧物Wが圧着される。
【0108】
なお、本発明において、被加圧物Wに加熱処理が行われた後に、例えば、冷却処理が行われてもよい。加熱処理および冷却処理は、被加圧物Wの特性に応じて適宜選択され得る。
【0109】
次いで、制御部は、各処理の終了後、本装置1の加圧動作を終了する。加圧動作が終了した後、被加圧物Wは、本装置1から取り出される。
【0110】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、水平方向において、本装置1の加圧パッド25を保持する枠部材26は、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが組み合わされて構成されている。第1枠部材26aは、柔軟体251の全周を囲むように配置されていて、柔軟体251を保持している。第2枠部材26bには、第1枠部材26aが着脱可能に取り付けられている。水平方向において、第3枠部材26cは、第1枠部材26aの全周を囲むように配置されていて、第2枠部材26bに着脱可能に取り付けられていて、第1枠部材26aを第2枠部材26bに固定している。この構成によれば、枠部材26が分割可能になるので、従来枠部材と比較して、加圧パッド25が保持される部材(本発明における第1枠部材26a)の小型化が可能となる。そのため、加圧パッド25が交換されるとき、取り外される第1枠部材26aの重量は、従来枠部材の重量よりも軽くなる。その結果、本装置1からの第1枠部材26aの着脱が容易になる。したがって、加圧パッド25の交換などの保守において、第1枠部材26aの着脱の際の作業者の作業負担は軽減される。また、第1枠部材26aが小型化されるので、載置台31に当接する面(第1下面a4)の面積も小さくなり、当接する面の精密加工が、従来枠部材に対する同加工よりも容易になる。すなわち、第1枠部材26aの製作時において、当接する面の反りが発生する、および当接する面の加工精度の確保が難しくなるなどの加工リスクが低減される。
【0111】
また、以上説明した実施の形態によれば、第2枠部材26bは、凹部b1および凸部b2を備える。凹部b1は、第2枠部材26bの下方向側の端部のうち、第1方向側の端部に配置されていて、第1枠部材26aおよび第3枠部材26cが凹部b1に配置されている。水平方向において、凸部b2は、凹部b1の第2方向側に配置されていて、第3枠部材26cの全周を囲むように配置されている。水平方向において、第3枠部材26cは、第1枠部材26aおよび凸部b2に当接している。この構成によれば、水平方向において、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが相互に密着しているので、第1枠部材26aの耐圧性が第2枠部材26bおよび第3枠部材26cで補われている。その結果、水平方向において、3つの第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが組み合わされて構成されている枠部材26では、枠部材26と同じ長さを備えた従来枠部材と同等の耐圧性が得られている。
【0112】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、水平方向において、第3枠部材26cは、第1枠部材26aの全周を囲むように配置されていて、第3内周面c1および第3外周面c2を備える。第3内周面c1は、第1枠部材26aの第1外周面a2に当接している。第3外周面c2は、第2枠部材26bの第2内周面b4に当接している。この構成によれば、水平方向において、第3枠部材26cは、第1枠部材26aおよび第2枠部材26bに面接触しているので、第1枠部材26aの耐圧性が第2枠部材26b(凸部b2)および第3枠部材26cで補われている。その結果、枠部材26全体で、従来枠部材と同等の耐圧性が得られている。
【0113】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第3枠部材26cの第3内周面c1は、上方向から下方向に向かうにつれて、第1方向側に突出するように傾斜する傾斜面である。一方、第1枠部材26aの第1外周面a2は、下方向から上方向に向かうにつれて、第2方向側に突出するように傾斜する傾斜面である。第3枠部材26cは、上方向に向けて押圧された状態で、第2枠部材26bに取り付けられる。この構成によれば、第3枠部材26cが第2枠部材26bに固定されたとき、第1外周面a2が第3内周面c1に密着している。第1外周面a2と第3内周面c1とは相互に傾斜面で当接しているので、第1外周面a2と第3内周面c1とが確実に面接触できる。その結果、水平方向において、第1枠部材26aおよび第3枠部材26cが一体となる構造を有しているので、柔軟体251から受ける圧力に対する耐圧性が得られる。この構成によれば、第1枠部材26aは、第3枠部材26cにより第1方向および上方向に押し付けられる。そのため、第1枠部材26aは、第1枠部材26aが第3枠部材26cにより水平方向に押されて、水平方向において、第2枠部材26bに対する適切な位置に配置される。加えて、第3枠部材26cが固定されたとき、第1枠部材26aが上方向に押し付けられて、第1枠部材26aは第2枠部材26bに固定される。
【0114】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第3枠部材26cの第3外周面c2は、上方向から下方向に向かうにつれて、第2方向側に突出するように傾斜する傾斜面である。一方、第2枠部材26bの第2内周面b4は、下方向から上方向に向かうにつれて、第1方向側に突出するように傾斜する傾斜面である。この構成によれば、第3枠部材26cが第2枠部材26bに固定されたとき、第2内周面b4が第3外周面c2に面接触して、密着できる。
【0115】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2枠部材26bの凹部b1は、取付面b3を備える。取付面b3は、下方向に向けられていて、第1枠部材26aおよび第3枠部材26cが第2枠部材26bに取り付けられている。取付面b3は、第2内周面b4よりも第1方向側に配置されている。この構成によれば、第1枠部材26aが取付面b3に当接することで、第1枠部材26aでは、上方向へも水平方向の柔軟体251から受ける圧力が分散される。
【0116】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、載置台31は、枠部材26および加圧パッド25に対向して、水平方向に平行な対向面311を備える。鉛直方向において、第1枠部材26aの厚みが第2枠部材26bの凹部b1の深さより大きく、第3枠部材26cの厚みは、凹部b1の深さよりも小さい。第1枠部材26aは、第2枠部材26bの取付面b3に当接しており、第3枠部材26cと取付面b3との間には、第1枠部材26aの厚みと第3枠部材26cの厚みとの差分よりも小さい隙間sが形成されている。この構成によれば、被加圧物Wが加圧されるとき、対向面311は、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cのうち第1枠部材26aのみに当接している。そのため、従来枠部材と比較して、対向面311に当接する面(第1下面a4)の面積も小さくできる。その結果、当接する面の精密加工が、従来枠部材に対する同加工よりも容易になる。すなわち、従来枠部材と比較して、当接する面の面積が小さくなるので、第1枠部材26aの製作時において、第1下面a4の反りが発生する、および第1下面a4の加工精度の確保が難しくなるなどの加工リスクが低減される。加えて、この構成によれば、隙間sがあることにより、第2取付ボルト28bは、常に所定の値以上の締結力で第3枠部材26cを上方向に押し付けることができる。そのため、第3内周面c1と第1外周面a2との密着、および、第3外周面c2と第2内周面b4との密着が、常に保たれている。このとき、第1枠部材26aは、第3枠部材26cにより第1方向および上方向に押し付ける。その結果、第1枠部材26aは、第3枠部材26cにより水平方向(第1方向)に押されて、水平方向において、第2枠部材26bに対する適切な位置に配置される。第3枠部材26cが固定されたとき、第1枠部材26aが上方向に押し付けられて、第1枠部材26aは第2枠部材26bに固定される。
【0117】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、柔軟体251から第2方向へ向けられる仮想直線V上において、第3枠部材26cの幅は、第1枠部材26aおよび凸部b2それぞれの幅よりも小さい。この構成によれば、第1枠部材26aおよび第2枠部材26bよりも第3枠部材26cが小さいので、第1枠部材26aの着脱工程において、第3枠部材26cを着脱させる作業効率が向上する。
【0118】
●その他の実施形態●
なお、本発明において、下面視における枠部材26の形状は、被加圧物Wの形状に応じて適宜設計されていればよく、矩形枠状に限定されない。すなわち、例えば、下面視における枠部材26の形状は、円環状でもよい。
【0119】
また、本発明において、枠部材26の材質は、加圧パッド25を保持できて、圧力に対して形状を保てる強度を有していればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cそれぞれの材質は、それぞれが異なる材質でもよい。
【0120】
さらに、本発明において、第1枠部材26aにおける第1外周面a2および第1下面a4により形成される角度θ1は、120度に限定されない。すなわち、例えば、同角度は、90度以上135度以下でもよい。
【0121】
さらにまた、本発明において、第2枠部材26bにおける第2内周面b4および第2下面b5により形成される角度θ2は、120度に限定されない。すなわち、例えば、同角度は、90度以上135度以下でもよい。
【0122】
さらにまた、本発明において、第3内周面c1および第3下面c3により形成される角度θ3、および、第3外周面c2および第3下面c3により形成される角度θ4は、60度に限定されない。すなわち、例えば、それぞれの同角度は、45度以上90度以下でもよい。また、例えば、第3内周面c1および第3下面c3により形成される角度θ3は、第3外周面c2および第3下面c3により形成される角度θ4とは異なる角度でもよい。
【0123】
さらにまた、本発明において、第1枠部材26aの構造は、第1枠部材26aが膜252,253を保持可能な構造であればよく、本実施の形態に限定されない。
【0124】
さらにまた、本発明において、水平方向における、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cそれぞれの幅の長さは、被加圧物Wに作用する圧力の大きさに応じて適宜設定され得る。
【0125】
さらにまた、本発明において、鉛直方向において、第1枠部材26aの厚みは、第2枠部材26bの凹部b1の深さと同じでもよい。
【0126】
さらにまた、本発明において、第1枠部材26aの第1下面a4が載置台31の対向面311に当接していればよく、第2枠部材26bの第2下面b5、および/または、第3枠部材26cの第3下面c3は、対向面311に当接していてもよい。
【0127】
さらにまた、本発明において、第3枠部材26cは、第1枠部材26aの水平方向の全周を囲むことができれば、複数の部材が組み合わされて構成されてもよい。すなわち、例えば、第3枠部材26cは、4本の棒状部材が矩形枠状に組み合わされて構成されていてもよい。
【0128】
さらにまた、本発明において、上型22および下型32は、上型22および下型32それぞれの内部に冷却機構のみを備えてもよいし、加熱機構と共に冷却機構を備えてもよい。
【0129】
さらにまた、本発明において、下型32は、上型22とは異なる昇降機構に保持されていてもよい。この構成では、昇降機構に下型32が保持されるとき、上下の昇降機構で被加圧物Wを加圧できるので、本装置1は、より大きな加圧力で被加圧物Wを加圧できる。
【0130】
さらにまた、本発明において、載置台31は、被加圧物Wが載置可能であり、上加圧ユニット2と下加圧ユニット3との間で加圧可能であればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、載置台31は、被加圧物Wを搬送する搬送台でもよい。つまり、本装置1自体が載置台31を備えなくてもよい。
【0131】
さらにまた、本発明において、第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cが備える取付ボルト28およびボルトの位置や数は、枠部材26の寸法および被加圧物Wへの圧力の大きさによって適宜選択され得る。
【0132】
さらにまた、本発明において、第3枠部材26cと、第1枠部材26aおよび第2枠部材26bとの密着性が確保されていれば、取付面b3と第3上面c4との間には、隙間sが形成されなくてもよい。
【0133】
さらにまた、本発明において、柔軟体251から第2方向へ向けられる仮想直線V上において、第3枠部材26cの幅は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、同幅は、第1枠部材26aおよび凸部b2それぞれの幅以上でもよい。
【0134】
さらにまた、本発明において、枠部材26は、少なくとも3つの第1枠部材26a、第2枠部材26b、および第3枠部材26cに分離可能に構成されていればよく、さらに分離可能に構成されていてもよい。すなわち、例えば、凸部b2は、第2枠部材26bから分離可能に構成されてもよい。
【0135】
さらにまた、本発明において、上加圧ユニット2が本発明における他方の加圧ユニットとして機能していて、下加圧ユニット3が本発明における一方の加圧ユニットとして機能していてもよい。この場合、加圧パッド25は、下加圧ユニット3に備えられていて、被加圧物Wは加圧パッド25に載置されてもよい。
【0136】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様について、各実施形態において記載された用語および符号を援用しつつ、以下に記載する。
【0137】
本発明の第1の実施態様は、鉛直方向において、被加圧物(例えば、被加圧物W)を挟み込み、加圧する加圧装置(例えば、本装置1)であって、鉛直方向において対向するように配置されて、前記被加圧物を挟み込み、加圧する一対の加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット2および下加圧ユニット3)、を有してなり、一対の前記加圧ユニットのうち、一方の前記加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット2)は、前記被加圧物が加圧されるとき、前記被加圧物の表面の形状に追従して変形する柔軟体(例えば、柔軟体251)を備える加圧パッド(例えば、加圧パッド25)と、前記加圧パッドを保持する枠部材(例えば、枠部材26)と、を備え、前記枠部材は、水平方向において、前記柔軟体の全周を囲むように配置されて、前記柔軟体を保持する第1枠部材(例えば、第1枠部材26a)と、前記第1枠部材が着脱可能に取り付けられる第2枠部材(例えば、第2枠部材26b)と、水平方向において、前記第1枠部材の全周を囲むように配置されて、前記第2枠部材に着脱可能に取り付けられて、前記第1枠部材を前記第2枠部材に固定する第3枠部材(たとえば、第3枠部材26c)と、を備え、水平方向において、前記第3枠部材は、前記第1枠部材と前記第2枠部材とに当接する。
この構成によれば、枠部材の交換時における作業者の作業負担が軽減されると共に、枠部材の製作時における枠部材の反りが発生する、および枠部材の加工精度の確保が難しくなるなどの加工リスクが低減される。
【0138】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、水平方向において、前記第1枠部材に対して前記柔軟体が配置されている方向は、第1方向であり、前記第1方向の反対側の方向は、第2方向であり、鉛直方向において、前記加圧パッドに対して前記被加圧物が配置される方向は、第3方向(例えば、下方向)であり、前記第3方向の反対側の方向は、第4方向(例えば、上方向)であり、前記第2枠部材は、前記第2枠部材の前記第3方向側の端部のうち、前記第1方向側の端部に配置されて、前記第1枠部材と前記第3枠部材とが配置される凹部(例えば、凹部b1)と、水平方向において、前記凹部よりも前記第2方向側に配置されて、前記第3枠部材の全周を囲むように配置される凸部(例えば、凸部b2)と、を備え、水平方向において、前記第3枠部材は、前記第1枠部材と前記凸部とに当接する。
この構成によれば、水平方向において、第1枠部材、第2枠部材、および第3枠部材が組み合わされて構成されている枠部材では、枠部材と同じ長さを備えた従来枠部材と同等の耐圧性が得られている。
【0139】
本発明の第3の実施態様は、第2の実施態様において、前記第1枠部材は、前記第2方向に向けられる第1外周面(例えば、第1外周面a2)、を備え、水平方向において、前記凸部は、前記第3枠部材の全周を囲むように配置されて、前記第1方向に向けられる第2内周面(例えば、第2内周面b4)、を備え、前記第3枠部材は、水平方向において、前記第1枠部材の全周を囲むように配置されて、前記第1外周面に対向して、前記第1外周面に当接する第3内周面(例えば、第3内周面c1)と、前記第2内周面に対向して、前記第2内周面に当接する第3外周面(例えば、第3外周面c2)と、を備える。
この構成によれば、水平方向において、第3枠部材は、第1枠部材および第2枠部材に面で当接するので、枠部材全体で、従来枠部材と同等の耐圧性が得られている。
【0140】
本発明の第4の実施態様は、第3の実施態様において、前記第3内周面は、前記第4方向から前記第3方向に向かうにつれて、前記第1方向側に突出するように傾斜する傾斜面であり、前記第1外周面は、前記第3方向から前記第4方向に向かうにつれて、前記第2方向側に突出するように傾斜する傾斜面であり、前記第3枠部材は、前記第4方向に向けて押圧された状態で、前記第2枠部材に取り付けられる。
この構成によれば、水平方向において、第1枠部材および第3枠部材が一体となる構造を有するので、柔軟体から受ける圧力に対する耐圧性が得られる。第1枠部材は、第2枠部材に対する適切な位置に配置される。第3枠部材が固定されたとき、第1枠部材が上方向に押し付けられて、第1枠部材は第2枠部材に固定される。
【0141】
本発明の第5の実施態様は、第3または第4の実施態様において、前記第3外周面は、前記第4方向から前記第3方向に向かうにつれて、前記第2方向側に突出するように傾斜する傾斜面であり、前記第2内周面は、前記第3方向から前記第4方向に向かうにつれて、前記第1方向側に突出するように傾斜する傾斜面である。
この構成によれば、第3枠部材が第2枠部材に固定されたとき、第2内周面が第3外周面に密着する。
【0142】
本発明の第6の実施態様は、第3乃至第5のいずれか1の実施態様において、前記凹部は、前記第3方向に向けられて、前記第1枠部材と前記第3枠部材とが取り付けられる取付面(例えば、取付面b3)、を備え、前記取付面は、前記第2内周面の前記第1方向側に配置される。
この構成によれば、第1枠部材が取付面に当接することで、第1枠部材では、上方向へも水平方向の柔軟体から受ける圧力が分散される。
【0143】
本発明の第7の実施態様は、第6の実施態様において、前記被加圧物が加圧されるとき、前記枠部材と前記加圧パッドとに対向するように配置されて、前記加圧パッドと共に前記被加圧物を挟み込む対向部材(例えば、載置台31)に、前記被加圧物が載置されて、前記対向部材は、前記枠部材と前記加圧パッドとに対向して、水平方向に平行な対向面(例えば、対向面311)、を備え、鉛直方向において、前記第1枠部材の厚みは、前記凹部の深さ以上であり、鉛直方向において、前記第3枠部材の厚みは、前記凹部の深さよりも小さく、鉛直方向において、前記第1枠部材は、前記取付面に当接して、鉛直方向において、前記第3枠部材と前記取付面との間には、前記第1枠部材の厚みと前記第3枠部材の厚みとの差分よりも小さい隙間(例えば、隙間s)が形成される。
この構成によれば、従来枠部材と比較して、対向面に当接する面の面積が小さくなる。また、第3枠部材により、第2枠部材に対する第1枠部材の位置が決められると共に、第1枠部材は第2枠部材に固定される。
【0144】
本発明の第8の実施態様は、第2乃至第7のいずれか1の実施態様において、前記柔軟体から前記第2方向へ向けられる仮想直線(例えば、仮想直線V)上において、前記第3枠部材の幅は、前記第1枠部材および前記凸部それぞれの幅よりも小さい。
この構成によれば、第3枠部材を小さくできるので、第1枠部材の着脱工程において、第3枠部材を着脱させる作業効率が向上する。
【符号の説明】
【0145】
1 加圧装置
2 上加圧ユニット(一方の加圧ユニット)
3 下加圧ユニット(他方の加圧ユニット)
25 加圧パッド
251 柔軟体
26 枠部材
26a 第1枠部材
a2 第1外周面
26b 第2枠部材
b1 凹部
b2 凸部
b3 取付面
b4 第2内周面
26c 第3枠部材
c1 第3内周面
c2 第3外周面
31 載置台(対向部材)
311 対向面
s 隙間
V 仮想直線
【要約】
【課題】枠部材の交換時における作業者の作業負担が軽減されると共に、枠部材の製作時における枠部材の加工リスクが低減される加圧装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る加圧装置1は、被加圧物Wを挟み込み、加圧する一対の加圧ユニット2,3を有してなる。一方の加圧ユニット2は、被加圧物が加圧されるとき、被加圧物の表面の形状に追従して変形する柔軟体251を備える加圧パッド25と、加圧パッドを保持する枠部材26と、を備える。枠部材は、柔軟体の全周を囲むように配置されて、柔軟体を保持する第1枠部材26aと、第1枠部材が着脱可能に取り付けられる第2枠部材26bと、第1枠部材の全周を囲むように配置されて、第2枠部材に着脱可能に取り付けられて、第1枠部材を第2枠部材に固定する第3枠部材26cと、を備える。水平方向において、第3枠部材は、第1枠部材と第2枠部材とに当接する。
【選択図】図2
図1
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図3
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図5
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図9
図10
図11