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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】測定プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/403 20060101AFI20230830BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G01N27/403 371A
G01N27/416 353Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019065122
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020165738
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】田中 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】菅原 修司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 わかな
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-527927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0273165(US,A1)
【文献】特開昭52-154696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0125484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - 27/10
G01N 27/14 - 27/49
G01K 1/00 - 19/00
G01F 1/00 - 1/30
G01F 1/34 - 1/54
G01F 3/00 - 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向における一方の端部である先端部と他方の端部である基端部とを有する測定プローブであって、
前記軸線方向における前記先端部側の端部に開口部を備えた凹部、及び前記軸線方向に沿って前記開口部から前記基端部側に連続して延びた溝部、が形成された第1ボディと、前記凹部内に臨んで配置された第1コネクタと、を備えた第1ユニットと、
測定対象を測定するための測定部と、前記軸線方向と交差する方向に突出した突起部が設けられた第2ボディと、前記第2ボディの外側面に嵌合されて配置された環状のシール部材と、前記第1コネクタと接続される第2コネクタと、を備え、前記シール部材が前記軸線方向において前記第2コネクタよりも前記先端部側かつ前記突起部よりも前記基端部側に配置された第2ユニットと、
前記軸線方向において前記突起部よりも前記先端部側から前記突起部に隣接させられ、前記第2ボディの外側面に嵌合されて配置される弾性材料で形成された筒状のスペーサと、
前記第1ボディの前記軸線方向における前記先端部側の端部に結合される固定部材と、
を有し、
前記第2ボディは、内部に液体を収容する液収容部を有し、前記突起部は前記液収容部の内部と前記第2ユニットの外部とを連通させる貫通孔を有し、
前記シール部材が前記第1ボディの内側面に密着し、前記突起部が前記溝部内に配置され、前記スペーサが前記第1ボディの前記開口部を閉塞し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが接続されるように、前記軸線方向に沿って前記第2ボディがスライド移動させられて前記第1ボディの前記凹部に前記第2ボディの前記基端部側の一部が挿入され、前記固定部材が前記第1ボディに結合されることで、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが一体化されることを特徴とする測定プローブ。
【請求項2】
前記第2ユニットは、測定電極及び比較電極を備えた複合電極で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の測定プローブ。
【請求項3】
前記第1ユニットには、前記貫通孔の開口部を開閉可能に閉塞する栓を備えた栓部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の測定プローブ。
【請求項4】
前記固定部材は袋ナットで構成され、前記第1ボディに螺合により結合されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の測定プローブ。
【請求項5】
前記スペーサは、前記軸線方向に沿って前記基端部側の前記スペーサの開口部から前記先端部側に連続して延びた溝であるスペーサ溝部と、前記軸線方向において前記スペーサ溝部よりも前記先端部側で前記スペーサ溝部に隣接して設けられ前記軸線方向と交差する方向に突出した段部と、が形成されており、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが一体化された状態で、前記突起部が前記スペーサ溝部内に配置されると共に、前記段部が前記第1ボディの前記溝部内に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の測定プローブ。
【請求項6】
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタはそれぞれ、前記軸線方向と交差する方向に沿って配置された複数の接点部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の測定プローブ。
【請求項7】
軸線方向における一方の端部である先端部と他方の端部である基端部とを有する測定プローブであって、
前記軸線方向における前記先端部側の端部に開口部を備えた凹部、及び前記軸線方向に沿って前記開口部から前記基端部側に連続して延びた溝部、が形成された第1ボディと、前記凹部内に臨んで配置された第1コネクタと、を備えた第1ユニットと、
測定対象を測定するための測定部と、前記軸線方向と交差する方向に突出した突起部が設けられた第2ボディと、前記第2ボディの外側面に嵌合されて配置された環状のシール部材と、前記第1コネクタと接続される第2コネクタと、を備え、前記シール部材が前記軸線方向において前記第2コネクタよりも前記先端部側かつ前記突起部よりも前記基端部側に配置された第2ユニットと、
前記軸線方向において前記突起部よりも前記先端部側から前記突起部に隣接させられ、前記第2ボディの外側面に嵌合されて配置される弾性材料で形成された筒状のスペーサと、
前記第1ボディの前記軸線方向における前記先端部側の端部に結合される固定部材と、
を有し、
前記シール部材が前記第1ボディの内側面に密着し、前記突起部が前記溝部内に配置され、前記スペーサが前記第1ボディの前記開口部を閉塞し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが接続されるように、前記軸線方向に沿って前記第2ボディがスライド移動させられて前記第1ボディの前記凹部に前記第2ボディの前記基端部側の一部が挿入され、前記固定部材が前記第1ボディに結合されることで、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが一体化されるようになっており、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタはそれぞれ、前記軸線方向と交差する方向に沿って配置された複数の接点部を有し、
前記突起部は、前記第1ボディの前記凹部に前記第2ボディの前記基端部側の一部が挿入される際に、前記溝部に案内されて、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが接続されるように前記測定プローブの軸線周り方向における前記第1ユニットに対する前記第2ユニットの位置を決めることを特徴とする測定プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学式の複合電極(pH電極、ORP電極、イオン電極などの測定電極と比較電極とを有する。)などを備えた測定プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、河川水などの環境水、飲料水、産業などで使用される水溶液などの液体の所定の測定対象(測定項目)の測定を行うための測定プローブとして、例えばpH電極などの測定対象に応じた測定部を備えた測定プローブが用いられている。pH電極を備えたpH測定用の測定プローブを例として更に説明する。
【0003】
pH測定用の測定プローブとしては、測定電極と比較電極とを備えたpH複合電極を有するものがある。pH複合電極は、一般に、内管と外管とを有する二重管構造を有する。そして、内管の先端部にガラス感応膜を備えたpH感応部が設けられ、内管の内部に測定電極内部液が収容され、この測定電極内部液に測定電極内極が浸漬される。また、内管と外管とで形成される空間の内部に比較電極内部液が収容され、この比較電極内部液に比較電極内極が浸漬される。測定電極内極、比較電極内極は、それぞれリード線に接続され、このリード線は上記二重管から引き出されて、測定プローブのボディに設けられた回路やコネクタに接続される。
【0004】
pH測定用の測定プローブは、上記環境水などの被検液に浸漬されて用いられるため、例えば上記回路やコネクタが設けられたボディ内に水などの被検液が侵入しないように液密状態を保つことが重要である。そのため、例えば、図9に示すように、ボディ201とキャップ202との間にOリング203を配置し、ボディ201のネジ部201aとキャップ202のネジ部202aとを螺合により結合することが行われる。このように、螺合により結合される部材(あるいはユニット)間では、Oリングを配置することで比較的容易にボディ内の液密状態を安定して保持することができる(特許文献1:「外筒」と「プラグネジ」との間にOリングが配置されている。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-142365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、測定プローブにおける互いに着脱可能なユニット間の接合がスライド移動によって行われる構成の場合、これらユニット間にOリングを配置したとしても、これらユニット間を螺合により締め付ける場合と比較して、液密性が低くなりやすい。つまり、螺合により結合されるユニット間にOリングを配置する場合には、Oリングに加えて螺合部によってもある程度の液密性が得られると共に、螺合による締め付けによってOリングによる液密性の保持が安定して得られるのに対して、スライド移動による接合の場合は、これらの作用が得られないからである。
【0007】
上記ユニット間の接合がスライド移動によって行われる場合としては、ユニット間で接続されるコネクタが、測定プローブの軸線方向と交差する方向に沿って配列された複数の接点部を備えたものである場合などが典型例として挙げられる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ユニット間の接合がスライド移動により行われる構成において、ユニット間の接合部の液密状態を安定して保持することのできる測定プローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は本発明に係る測定プローブにて達成される。要約すれば、本発明は、軸線方向における一方の端部である先端部と他方の端部である基端部とを有する測定プローブであって、前記軸線方向における前記先端部側の端部に開口部を備えた凹部、及び前記軸線方向に沿って前記開口部から前記基端部側に連続して延びた溝部、が形成された第1ボディと、前記凹部内に臨んで配置された第1コネクタと、を備えた第1ユニットと、測定対象を測定するための測定部と、前記軸線方向と交差する方向に突出した突起部が設けられた第2ボディと、前記第2ボディの外側面に嵌合されて配置された環状のシール部材と、前記第1コネクタと接続される第2コネクタと、を備え、前記シール部材が前記軸線方向において前記第2コネクタよりも前記先端部側かつ前記突起部よりも前記基端部側に配置された第2ユニットと、前記軸線方向において前記突起部よりも前記先端部側から前記突起部に隣接させられ、前記第2ボディの外側面に嵌合されて配置される弾性材料で形成された筒状のスペーサと、前記第1ボディの前記軸線方向における前記先端部側の端部に結合される固定部材と、を有し、前記第2ボディは、内部に液体を収容する液収容部を有し、前記突起部は前記液収容部の内部と前記第2ユニットの外部とを連通させる貫通孔を有し、前記シール部材が前記第1ボディの内側面に密着し、前記突起部が前記溝部内に配置され、前記スペーサが前記第1ボディの前記開口部を閉塞し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが接続されるように、前記軸線方向に沿って前記第2ボディがスライド移動させられて前記第1ボディの前記凹部に前記第2ボディの前記基端部側の一部が挿入され、前記固定部材が前記第1ボディに結合されることで、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが一体化されることを特徴とする測定プローブである。
本発明の他の態様によると、軸線方向における一方の端部である先端部と他方の端部である基端部とを有する測定プローブであって、前記軸線方向における前記先端部側の端部に開口部を備えた凹部、及び前記軸線方向に沿って前記開口部から前記基端部側に連続して延びた溝部、が形成された第1ボディと、前記凹部内に臨んで配置された第1コネクタと、を備えた第1ユニットと、測定対象を測定するための測定部と、前記軸線方向と交差する方向に突出した突起部が設けられた第2ボディと、前記第2ボディの外側面に嵌合されて配置された環状のシール部材と、前記第1コネクタと接続される第2コネクタと、を備え、前記シール部材が前記軸線方向において前記第2コネクタよりも前記先端部側かつ前記突起部よりも前記基端部側に配置された第2ユニットと、前記軸線方向において前記突起部よりも前記先端部側から前記突起部に隣接させられ、前記第2ボディの外側面に嵌合されて配置される弾性材料で形成された筒状のスペーサと、前記第1ボディの前記軸線方向における前記先端部側の端部に結合される固定部材と、を有し、前記シール部材が前記第1ボディの内側面に密着し、前記突起部が前記溝部内に配置され、前記スペーサが前記第1ボディの前記開口部を閉塞し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが接続されるように、前記軸線方向に沿って前記第2ボディがスライド移動させられて前記第1ボディの前記凹部に前記第2ボディの前記基端部側の一部が挿入され、前記固定部材が前記第1ボディに結合されることで、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが一体化されるようになっており、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタはそれぞれ、前記軸線方向と交差する方向に沿って配置された複数の接点部を有し、前記突起部は、前記第1ボディの前記凹部に前記第2ボディの前記基端部側の一部が挿入される際に、前記溝部に案内されて、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが接続されるように前記測定プローブの軸線周り方向における前記第1ユニットに対する前記第2ユニットの位置を決めることを特徴とする測定プローブが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユニット間の接合がスライド移動により行われる構成において、ユニット間の接合部の液密状態を安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の測定プローブの断面図である。
図2図1中の一部の拡大断面図である。
図3】測定プローブの側面図及びセンサユニットの側面図である。
図4】測定ユニットとセンサユニットとの接合部近傍の分解側面図である。
図5】測定ユニットとセンサユニットとの接合部の概略斜視図である。
図6】測定ユニットとセンサユニットとの接合方法及び取り外し方法を説明するための模式図である。
図7】測定ユニットとセンサユニットとの接合(又は取り外し)過程における溝部及び突起部の近傍を示す側面図である。
図8】センサユニットの他の実施例を示す側面図である。
図9】従来の液密構造を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る測定プローブを図面に則して更に詳しく説明する。
【0013】
[実施例1]
1.測定プローブの構成
図1は、本実施例の測定プローブ100の断面図である。図2は、図1中の一部の拡大断面図である。図3(a)は、測定プローブ100の側面図であり、図3(b)は、後述するセンサユニットの側面図である。なお、図1は、図(a)中のA-A線断面を示している。図4は、後述する測定ユニット1とセンサユニット2との接合部の近傍の分解側面図である。また、図5(a)は、測定ユニット1におけるセンサユニット2との接合部を示す概略斜視図であり、図5(b)は、センサユニット2における測定ユニット1との接合部を示す概略斜視図である。ここでは、上下は重力方向の上下であり、測定プローブ100は、通常、後述する先端部T側を下方、基端部B側を上方に向けて用いられるものとする。
【0014】
図1図3に示すように、測定プローブ100は、軸線方向Sにおける一方の端部である先端部Tと他方の端部である基端部Bとを有し、先端部Tと基端部Bとの間に延びた外観略円柱形状とされている。以下、先端部T側、基端部B側とは、特に言及しない場合も軸線方向Sにおける先端部T側、基端部B側を意味するものとする。測定プローブ100は、第1ユニットとしての測定ユニット1と、第2ユニットとしてのセンサユニット2と、を有する。測定ユニット1は、センサユニット2から取得したアナログ信号をセンサユニット2の測定結果を示すデジタル信号に変換するための測定回路を有する。一方、センサユニット2は、本実施例ではpH複合電極で構成されており、測定電極(pH電極)と比較電極とを備えた測定部9を有する。本実施例では、測定ユニット1は、ケーブル150を介して計測装置本体(図示せず)に接続され、測定ユニット1の測定回路で変換したデジタル信号を計測装置本体に送信する。計測装置本体は、測定ユニット1から取得したデジタル信号を処理して測定結果の表示などを行う。また、本実施例では、計測装置本体に対して測定プローブ100が着脱可能であると共に、測定ユニット1に対してセンサユニット2が着脱可能とされている。測定プローブ100と計測装置本体とによって計測装置が構成される。本実施例では、センサユニット2が消耗又は破損などして交換する必要がある場合には、測定ユニット1に対してセンサユニット2を同じ種類の新たなセンサユニット2に交換することができ、測定ユニット1については継続して使用することができる。
【0015】
更に説明すると、図1図3に示すように、測定ユニット1は、略円筒形状の第1ボディ(測定ユニットボディ)5を有する。第1ボディ5は、典型的には樹脂材料で形成され、本実施例ではABS樹脂で形成されているが、これに限定されるものではない。第1ボディ5内には、第1、第2カラー11、12が軸線方向Sに沿って重ねられて配置され、第1ボディ5に固定されている。第1カラー11は、底板11aが設けられた外観略円筒形状の部材であり、第2カラー12は、第1カラー11の基端部B側の端部に嵌合された略円筒形状の部材である。これら第1、第2カラー11、12の内側に、第1回路部(回路基板)70などを収容する第1収容部13が形成されている。また、第1ボディ5の第1カラー11よりも先端部T側は、センサユニット2の基端部B側の一部が挿入される凹部14とされ、この凹部14の先端部T側の端部は開口している。つまり、第1ボディ5は、先端部T側の端部に開口部15を備えた凹部14を有する。第1回路部70には、後述するセンサユニット2の第2コネクタ81と着脱可能に接続される第1コネクタ71と、測定回路72と、が設けられている。測定回路72は、A/D変換器、増幅器、CPU(中央演算処理装置)、メモリなどの電子部品を有する。第1コネクタ71は、凹部14内に臨むように、少なくとも一部が第1カラー11の底板11aから凹部14内に露出して配置されている。図5(a)に示すように、本実施例では、第1コネクタ71は、軸線方向Sと交差(本実施例では略直交)する方向に沿って一列に配置された複数(本実施例では6個)の接点部71aを有する。本実施例では、この複数の接点部71aは、配列方向の中央に対して左右非対称に配置されている。本実施例では、第1コネクタ71の各接点部71aは、後述するコネクタピンで構成された第2コネクタ81の各接点部81aが挿入されるコネクタ穴を備えたピン受け部材で構成されている。第1コネクタ71は、この各接点部71aのコネクタ穴に凹部14側からアクセス可能なように、各接点部71aが凹部14内に露出している。
【0016】
そして、図4及び図5(a)に示すように、第1ボディ5には、軸線方向Sに沿って開口部15から基端部B側に連続して延びた溝(切り欠き、スリット)である溝部20が形成されている。この溝部20は、測定ユニット1にセンサユニット2を接合する際に、後述するセンサユニット2の突起部7を案内するガイド部として機能すると共に、その突起部7が兼ねる比較電極内部液E2の補充口を測定ユニット1の外部へ露出させるための開口として機能する。
【0017】
図1図3に示すように、センサユニット2は、外観略円柱形状の第2ボディ(センサユニットボディ)6を有する。第2ボディ6は、典型的には樹脂材料で形成され、本実施例ではPSF(ポリサルフォン)で形成されているが、これに限定されるものではない。第2ボディ6には、測定対象を測定するための測定部9が設けられている。本実施例では、センサユニット2はpH複合電極で構成されており、第2ボディ6には測定部9として測定電極(pH電極)9aと比較電極9bとが設けられている。本実施例では、測定部9は、概略、内管と外管とを有する二重管構造を有し、外管が第2ボディ6で構成されている。つまり、センサユニット2は、略円筒形状の第2ボディ6の内側に略円筒形状の内管21を有し、この内管21の先端部T側の端部に、ガラス感応膜を備えたpH感応部22が設けられている。内管21の内部には測定電極内部液E1が収容され、この測定電極内部液E1に測定電極内極23が浸漬されている。また、内管21、第2ボディ6及び後述する第1、第2パッキン26、27で形成される空間である液収容部24の内部には比較電極内部液E2が収容され、この比較電極内部液E2に比較電極内極25が浸漬されている。第2ボディ6の先端部T側の端部は、第1パッキン26によって封止されている。内管21の先端部T側の一部は第1パッキン26を貫通しており、pH感応部22は液収容部24の外部に配置されている。また、第1パッキン26を貫通して液絡部28が配置されており、この液絡部28を通した液収容部24の内外での電気的導通がとられている。また、液収容部24の内部には、温度補償用の温度センサ29が配置されている。第2ボディ6の基端部B側の端部は、第2パッキン27によって封止されている。内管21の基端部B側の一部は第2パッキン27を貫通している。そして、内管21の基端部B側の端部近傍が内管21の内側に配置された内管栓21aで封止されると共に、測定電極内極23に接続されたリード線がこの内管栓21aを通して引き出されている。また、比較電極内極25、温度センサ29に接続されたリード線は、第2パッキン27を通して引き出されている。内管21、測定電極内極23、測定電極内部液E1などによって測定電極(pH電極)9aが構成される。また、第2ボディ6、比較電極内極25、比較電極内部液E2、液絡部28などによって比較電極9bが構成される。また、第2ボディ6の先端部T側の端部には、pH感応部22の保護などのためのガード10が螺合により取り付けられている。
【0018】
また、第2ボディ6の基端部B側の端部には、電極キャップ30が固定されている。電極キャップ30は、頂板30aが設けられた外観略円柱形状の部材である。この電極キャップ30の内側に、第2回路部(回路基板)80などを収容する第2収容部31が形成されている。第2回路部80には、測定ユニット1の第1コネクタ71と着脱可能に接続される第2コネクタ81が設けられている。また、第2回路部80には、測定電極内極23、比較電極内極25、温度センサ29から引き出されたリード線が接続されて、これらを第2コネクタ81の所定の接点部81aに接続するための配線などが設けられている。また、第2回路部80には、センサユニット2に関する所定の情報を記憶するためのメモリなどの電子部品が設けられていてもよい。第2コネクタ81は、センサユニット2の外部に臨むように、少なくとも一部が電極キャップ30の頂板30aからセンサユニット2の外部に露出して配置されている。図5(b)に示すように、本実施例では、第2コネクタ81は、軸線方向Sと交差(本実施例では略直交)する方向に沿って一列に配置された複数(本実施例では6個)の接点部81aを有する。本実施例では、この複数の接点部81aは、配列方向の中央に対して左右非対称に配置されている。本実施例では、第2コネクタ81の各接点部81aは、上述のピン受け部材で構成された第1コネクタ71の各接点部71aに挿入されるコネクタピンで構成されている。第2コネクタ81は、このコネクタピンに基端部B側からアクセス可能なように、各接点部81aが電極キャップ30の外部(すなわち、センサユニット2の外部)に露出している。
【0019】
そして、図1図3に示すように、第2ボディ6には、軸線方向Sと交差(本実施例では略直交)する方向(すなわち、第2ボディ6の半径方向)に突出した突起部7が形成されている。この突起部7は、測定ユニット1にセンサユニット2を接合する際に、測定ユニット1の溝部20によって案内される被ガイド部として機能する。本実施例では、この突起部7は、液収容部24の内部とセンサユニット2の外部とを連通させる貫通孔7aを有する。つまり、本実施例では、この突起部7は、比較電極内部液E2を交換又は補充するための補充口を兼ねている。また、第2ボディ6の基端部B側の端部近傍には、第2ボディ6の外側面(外周面)に嵌合されて配置された環状のシール部材としてのOリング8が取り付けられている。Oリング8は、軸線方向Sにおいて、第2コネクタ81(より詳細にはそのセンサユニット2の外部に露出した部分)よりも先端部T側、かつ、突起部7よりも基端部B側に配置される。つまり、Oリング8は、軸線方向Sにおいて、第1コネクタ71と第2コネクタ81との接続部よりも先端部T側、かつ、突起部7よりも基端部B側に配置される。特に、本実施例では、Oリング8は、軸線方向Sにおいて、第2回路部80(第2収容部31)よりも先端部T側、かつ、突起部7よりも基端部B側に配置されている。本実施例では、第2ボディ6の基端部B側の端部近傍の外周面に、第2ボディ6の周方向に連続する環状のシール配置凹部6aが軸線方向Sに沿って2個形成されており、この2個のシール配置凹部6aにそれぞれOリング8が嵌合されて配置されている。Oリング8は、典型的には弾性材料としてのゴム材料で形成され、本実施例ではクロロプレンゴムで形成されているが、これに限定されるものではない。このOリング8は、測定ユニット1の第1ボディ5の内側面(内周面)5cに密着して、測定プローブ100の外部の被検液などに対する第1ボディ5及び第2ボディ6内の液密(水密)状態を保持する。
【0020】
また、図1図3に示すように、測定プローブ100は、軸線方向Sにおいて突起部7よりも先端部T側から突起部7に隣接させられ、第2ボディ6の外側面(外周面)に嵌合されて配置される、弾性材料で形成された略円筒形状(筒状)のスペーサ3を有する。図3(b)及び図4に示すように、スペーサ3は、軸線方向Sに沿って基端部B側の開口部3aから先端部T側に連続して延びた溝(切り欠き、スリット)であるスペーサ溝部3bが形成されている。また、スペーサ3は、軸線方向Sにおいてスペーサ溝部3bよりも先端部T側でスペーサ溝部3bに隣接して設けられ、軸線方向Sと交差(本実施例では略直交)する方向(すなわち、スペーサ3の半径方向)に突出した段部3cが形成されている。また、スペーサ3は、先端部T側の開口部3dに隣接して、軸線方向Sと交差(本実施例では略直交)する方向(すなわち、スペーサ3の半径方向)に突出した、スペーサ3の周方向に連続する環状のつば部3eが形成されている。スペーサ3は、典型的には弾性材料としてのゴム材料で形成され、本実施例ではクロロプレンゴムで形成されているが、これに限定されるものではない。このスペーサ3は、測定ユニット1の第1ボディ5の開口部15に圧入嵌合され、この開口部15を封止する。また、スペーサ3の段部3cは、測定ユニット1の第1ボディ5の溝部20を封止する。また、スペーサ3のつば部3eは、第1ボディ5の端面5a(開口部15の縁部)に密着して開口部15を封止する。
【0021】
また、図1図3に示すように、測定プローブ100は、第1ボディ5の軸線方向Sにおける先端部T側の端部に着脱可能に結合される固定部材4を有する。本実施例では、この固定部材4は袋ナットで構成され、第1ボディ5に螺合により結合される。つまり、固定部材4の内側面(内周面)に形成されたネジ部4aと、第1ボディ5の先端部T側の端部の外側面(外周面)に形成されたネジ部5bとが螺合されることで、固定部材4は第1ボディ5に着脱可能に固定される。この固定部材4は、スペーサ3のつば部3eを第1ボディ5の端面5aとの間で挟持するようにして、スペーサ3が取り付けられたセンサユニット2を測定ユニット1に対して保持する。また、固定部材4は、スペーサ3のつば部3eを第1ボディ5の端面5aに向けて押圧すると共に、第1ボディ5の開口部15の近傍を締め付けて、スペーサ3による開口部15及び溝部20の封止を補助する。なお、第1ボディ5の開口部15の近傍を締め付ける効果が得やすいことから、固定部材4は螺合により第1ボディ5に結合されることが好ましいが、スナップフィットによる結合、圧入嵌合による結合など、他の方法により着脱可能に結合されてもよい。
【0022】
更に、図1及び図4に示すように、測定ユニット1には、センサユニット2の突起部7の貫通孔7aの開口部を開閉可能に閉塞する栓91を備えた栓部材90が取り付けられている。栓部材90は、軸線方向Sに延びた基部92の基端部B側が測定ユニット1の第1ボディ5に固定され、先端部T側の端部に第1ボディ5の内側に向けて突出した突起状の栓91が設けられている。栓部材90は、栓91が設けられた先端部T側を捲ることが可能なように可撓性を有しており、栓91が突起部7の貫通孔7aの開口部に圧入嵌合されて、この貫通孔7aの開口部を封止する。栓部材90は、典型的には弾性材料としてのゴム材料で形成され、本実施例ではクロロプレンゴムで形成されているが、これに限定されるものではない。
【0023】
なお、第1ボディ5の基端部B側の端部の開口部は、略円筒形状のキャップ16、Oリング17、略円筒形状のケーブルブッシュ18、略円板状のキャップカバー19、及びケーブル150によって液密的に封止されている。つまり、キャップ16は第1ボディ5の基端部B側の開口部内に螺合により固定される。キャップ16の外側面(外周面)と第1ボディ5の基端部B側の端部の内側面(内周面)との間には、環状のシール部材としてのOリング17が軸線方向Sに沿って2個配置されている。そして、キャップ16が第1ボディ5に螺合されて固定されることで、Oリング17によってキャップ16と第1ボディ5との間が液密的に封止される。また、キャップ16のケーブル穴と、キャップ16のケーブル穴に隣接して配置されたパッキンであるケーブルブッシュ18のケーブル穴と、ケーブルブッシュ18を間に挟み込むようにしてキャップ16に螺合されて固定される略円板状のキャップカバー19のケーブル穴と、にケーブル150が通されることで、ケーブル150と上記各ケーブル穴との間が液密的に封止される。また、測定ユニット1の第1回路部70から引き出された配線は、ケーブル150としてまとめられて計測装置本体に接続される。本実施例では、測定ユニット1は、上記ケーブル150の端部に設けられたプローブ側コネクタ(図示せず)と、計測装置本体に設けられた本体側コネクタ(図示せず)と、によって、計測装置本体に対して着脱可能に接続される。
【0024】
2.測定ユニットとセンサユニットとの接合方法
次に、図1図5に加えて図6及び図7も参照して、測定ユニット1とセンサユニット2との接合方法について更に説明する。図6は、測定ユニット1にセンサユニット2を接合する過程、及び測定ユニット1からセンサユニット2を取り外す過程を示す模式図である。また、図7は、上記接合(又は取り外し)過程における溝部20及び突起部7の近傍をより詳しく示す側面図である。
【0025】
図6(a)の左図に示すように、測定ユニット1にセンサユニット2を接合する際には、センサユニット2の基端部B側の端部を測定ユニット1の開口部15を通して測定ユニット1の凹部14内に差し込む。そして、測定ユニット1の周方向に関しセンサユニット2の突起部7を測定ユニット1の溝部20の位置に合わせて、センサユニット2を軸線方向Sに沿って基端部B方向にスライド移動させて測定ユニット1に更に挿入していく。これにより、図6(a)の右図、並びに、図7(a)及び図7(b)に示すように、突起部7が溝部20に案内されながら、センサユニット2のOリング8が測定ユニット1の凹部14の内周面上を摺動し、スペーサ3が測定ユニット1の開口部15に圧入嵌合される。この際に、測定ユニット1の第1コネクタ71の各接点部71aとセンサユニット2の第2コネクタ81の各接点部81aとが接続される。図7(a)に示すように、本実施例では突起部7は略円筒形状を有し、溝部20の軸線方向Sと略直交する方向の幅Wは、突起部7の外径Dと略同一か又は若干大きい。また、図7(b)に示すように、つば部3eが第1ボディ5の端面5aに接触するまでスペーサ3が開口部15に圧入嵌合された状態で、突起部7は溝部20の基端部B側の端部に配置され、スペーサ3の段部3cが溝部20の先端部T側の残りのほぼ全域に配置される。この状態で、突起部7の貫通孔7aの開口部を、栓部材90の栓91で封止することができる。
【0026】
なお、本実施例では、測定ユニット1とセンサユニット2との間の位置決めをより容易とするために、図5(a)に示すように、測定ユニット1の第1カラー11には、第1ボディ5の周方向の2箇所に係合凹部11bが形成されている。また、図5(b)に示すように、センサユニット2の電極キャップ30には、上記係合凹部11bに嵌合される係合凸部30bが第2ボディ6の周方向の2箇所に形成されている。第1コネクタ71、第2コネクタ81は、溝部20により突起部7がガイドされ、更に本実施例では係合凹部11bに係合凸部30bが嵌合される場合に適切に接続されるように配置されている。
【0027】
その後、図6(a)の右図、並びに、図7(c)及び図7(d)に示すように、固定部材4を測定ユニット1の先端部T側の端部に螺合して固定する。これにより、スペーサ3のつば部3eが第1ボディ5の端面5aと固定部材4とに挟持されるようにして、スペーサ3が取り付けられたセンサユニット2が測定ユニット1に対して保持される。また、固定部材4によって、スペーサ3のつば部3eが第1ボディ5の端面5aに向けて押圧されると共に、第1ボディ5の開口部15の近傍が締め付けられ、スペーサ3による開口部15及び溝部20の封止が補助される。図7(d)に示すように、固定部材4が第1ボディ5に固定された際に固定部材4が突起部7を覆わないように、固定部材4の軸線方向Sの幅Lや第1ボディ5の外周面のネジ部5bの形成範囲が設定されている。
【0028】
このように、Oリング8が第1ボディ5の内側面5cに密着し、突起部7が溝部20内に配置され、スペーサ3が第1ボディ5の開口部15を閉塞し、第1コネクタ71と第2コネクタ81とが接続されるように、軸線方向Sに沿って第2ボディ6がスライド移動させられて第1ボディ5の凹部14に第2ボディ6の基端部B側の一部が挿入され、固定部材4が軸線方向Sにおける第1ボディ5の先端部T側の端部に結合されることで、第1ユニット1と第2ユニット2とが一体化される。また、第1ユニット1と第2ユニット2とが一体化された状態で、突起部7がスペーサ溝部3b内に配置されると共に、段部3cが第1ボディ5の溝部20内に配置される。
【0029】
一方、図6(b)に示すように、上記接合する際とは反対の手順で、測定ユニット1からセンサユニット2を取り外すことができる。つまり、栓部材90の栓91を突起部7の貫通孔7aの開口部から抜き取り、固定部材4を緩めて第1ボディ5から取り外して、センサユニット2を軸線方向Sに沿って先端部T方向にスライド移動させて測定ユニット1から抜き取る。
【0030】
3.効果
本実施例では、測定ユニット1とセンサユニット2とを電気的に接続するコネクタは、同軸コネクタではなく、複数の接点部(端子)が軸線方向Sと交差する方向に配列され、特に同方向の中央に対して左右非対称に配置されている。これは、本実施例では測定プローブ100はpH測定用のものであったが、その他の測定対象(測定項目)用の測定プローブ(後述)についてもコネクタなどの部品を共通化するなどのためである。そのため、ユニット間の接合は、螺合によって行うことはできず、スライド移動によって行うことになる。前述のように、スライド移動によってユニット間の接合を行う構成の場合、螺合によってユニット間の接合を行う構成と比較して、ユニット間の液密状態を保持することが難しくなる。また、ユニット間のコネクタの複数の接点部が軸線方向Sと交差する方向に配列され、更に同方向の中央に対して左右非対称に配置されている場合には、ユニット間のコネクタ同士を適切に接続するためには、ユニット同士を接合する際にユニット間の位置決めが必要となる。
【0031】
本実施例では、測定ユニット1にセンサユニット2を接合する際に、測定ユニット1の溝部20によってセンサユニット2の突起部7を案内する。これにより、両ユニット間の位置決めを容易に行うことができ、測定ユニット1の第1コネクタ71とセンサユニット2の第2コネクタ81とを適切に接続することができる。また、本実施例では、突起部7として比較電極内部液E2の補充口を兼用しているため、別途特別に突起部を設ける必要が無く、測定プローブ100の構成の簡易化を図ることができる。なお、同軸コネクタを使用する場合であってもユニット間の接合をスライド移動によって行うことは可能であり、その場合も本発明を適用することができる。
【0032】
また、本実施例では、突起部7の周囲にスペーサ3を装着する。そして、測定ユニット1にセンサユニット2を接合する際に、スペーサ3を測定ユニット1の開口部15に嵌合させ、固定部材4で測定ユニット1の開口部15の周囲を締め付けることで、センサユニット2を測定ユニット1に固定する。これにより、スペーサ3が測定ユニット1とセンサユニット2との中心軸線を合わせる位置決め機能を果たし、Oリング8による液密性の確保を安定して得ることが可能になる。また、このようにスペーサ3が位置決め機能を果たすことによって、測定ユニット1にセンサユニット2を接合する際に、測定ユニット1に対してセンサユニット2を正しい位置に嵌合させやすくなり、測定ユニット1の第1コネクタ71とセンサユニット2の第2コネクタ81とを適切に接続することが更に容易となる。また、スペーサ3は、測定ユニット1とセンサユニット2とが嵌合した状態でセンサユニット2のぐらつきを抑制することができ、測定プローブ100を安定した構造とすることができる。また、スペーサ3は、本実施例では突起部7を兼ねる比較電極内部液E2の補充口の周囲を封止することで、その補充口の周囲に空間ができて被検液などの液体が貯留することを抑制することができる。そのように液体が貯留すると、例えば複数の被検液の測定を順次行うような場合に、貯留した液体の混入によって測定結果に影響が出る可能性がある。また、そのように液体が貯留すると、貯留した液体が垂れてくることがあるため、それを拭き取るための手間がかかり、測定プローブ100の取扱いが不便になる可能性がある。本実施例によれば、これらの不具合を防止することができる。更に、本実施例では、突起部7をスペーサ3により溝部20内に保持し、更に固定部材4によってスペーサ3を測定ユニット1に対して押圧するようにしているので、例えばセンサユニット2が測定ユニット1から強い力で引っ張られた場合でも、突起部7がスペーサ3に引っかかることでセンサユニット2が測定ユニット1から脱落することを防止することができる。
【0033】
また、本実施例では、測定ユニット1内の電子部品や、測定ユニット1及びセンサユニット2に設けられたコネクタ71、81が配置された部分に被検液や比較電極内部液E2などの液体が侵入しないように、コネクタ71、81よりも先端部T側かつ突起部7よりも基端部B側にOリング8を配置して液密性を保持している。なお、本実施例の測定プローブ100は、IP68を達成しており、測定プローブ100を水没あるいは浸漬(例えば水深10m)させても問題なく使用することができる。本実施例では突起部7を兼ねる比較電極内部液E2の補充口に対して液密性を保持することで、例えば水圧や温度上昇などによって比較電極内部液E2が補充口から漏れ出た場合でも、上記電子部品やコネクタを守ることができる。
【0034】
また、本実施例では、固定部材(袋ナット)4は、突起部7を兼ねる比較電極内部液E2の補充口を覆わない幅とされており、測定ユニット1の溝部20を通してその補充口の開口部にアクセスすることができる。これにより、センサユニット2を測定ユニット1に組み込んだままで、比較電極内部液E2の補充、交換などを容易に行うことができる。
【0035】
また、本実施例では、突起部7を兼ねる比較電極内部液E2の補充口の栓91は、栓部材90として測定ユニット1に固定されている。そのため、センサユニット2を交換する度にその補充口の栓91を廃棄する必要がなく経済的であり、またその補充口の栓91が紛失する可能性も低減することができる。
【0036】
[その他の実施例]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0037】
上述の実施例では、測定プローブはpH測定用のものであるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電位差測定用の測定プローブであれば、センサユニット2は、上述の実施例におけるpH電極の他に、酸化還元電位差測定電極(ORP電極)、イオン電極(イオン選択性電極)などであってよい。pH電極以外のイオン電極としては、例えば、ナトリウムイオン電極、塩化物イオン電極、臭化物イオン電極、よう化物イオン電極、シアン化物イオン電極、カドミウムイオン電極、銅イオン電極、銀イオン電極、硫化物イオン電極、フッ化物イオン電極、カリウムイオン電極、カルシウムイオン電極、硝酸イオン電極、アンモニア電極、炭酸ガス電極などが挙げられる。その他の利用可能なイオン電極であってもよい。センサユニット2は、測定電極がORP電極やイオン電極である場合も、その測定電極と比較電極とを備えた複合電極とすることができる。その場合、上述の実施例と同様に、突起部として比較電極内部液の補充口を兼用することができる。なお、測定電極がORP電極やイオン電極である場合のセンサユニット2や測定ユニット1の構成は、上述の実施例における測定電極がpH電極である場合と実質的に同一とすることができる。
【0038】
また、センサユニット2は、溶存酸素電極、残留塩素電極、溶存オゾン電極、二酸化塩素電極、亜塩素酸イオン電極、過酸化水素電極、溶存水素電極などの酸化還元電流測定電極であってもよい。酸化還元電流測定電極としては、例えば、隔膜型又は露出型のポーラログラフ式酸化還元電流測定電極がある。その他の利用可能な酸化還元電流測定電極であってもよい。これらの電極において内部液を補充又は交換する必要がある場合は、上述の実施例と同様に、突起部としてその内部液の補充口を兼用することができる。
【0039】
また、センサユニット2は、光学センサ、圧力センサ、あるいは電気伝導率セルであってもよい。光学センサとしては、例えば、濁度センサ、光学式溶存酸素センサ、吸光度センサ、蛍光センサが挙げられる。その他の利用可能な光学センサであってもよい。また、圧力センサとしては、例えば、ダイアフラム式の圧力センサ、半導体圧力センサなどが挙げられる。その他の利用可能な圧力センサであってもよい。これらの測定部を備えたセンサユニット2は、通常、内部液を利用するものではなく、内部液の補充口も必要ない。したがって、これらのセンサユニット2には、例えば上述の実施例における突起部と実質的に同一のダミーの補充口とされる突起部を設ければよい。図8は、一例として、電気伝導率セルで構成されたセンサユニット2の側面図である。図8において上述の実施例におけるものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素には同一の符号を付している。このセンサユニット2は、第2ボディ6内に測定部としての電気伝導率測定用の電極(図示せず)などを備えている。そして、このセンサユニット2には、上述の実施例における突起部7と実質的に同一の構成の突起部7がダミーの補充口として設けられている。このように、例えばpH複合電極で構成されるセンサユニット2と、電気伝導率セルなどの他の種類の測定部を備えたセンサユニット2と、の要部の形状を揃えることで、例えば測定ユニット1の第1ボディ5、第1回路部70(第1コネクタ71など)、センサユニット2の第2回路部80(第2コネクタ81など)などの部品を共通化することができ、生産コストを低減することができる。
【0040】
なお、上述の実施例の測定プローブは、センサユニット2が消耗又は破損などして交換する必要がある場合には、センサユニット2のみを同じ種類の新たなセンサユニット2に交換することができ、測定ユニット1については継続して使用することができ、経済性や環境負荷低減の観点から優れている。加えて、例えば電位差測定電極であるpH電極とORP電極(又はイオン電極)、あるいは、酸化還元電流測定電極である溶存酸素電極と残留塩素電極、というように、測定原理が共通しており、測定回路を共用することができる異なる種類のセンサユニット2については、1つの測定ユニット1に対して異なる種類のセンサユニット2を取り替えて接続して用いることができるようにしてもよい。これにより、共用できる測定ユニット1については、新たな測定ユニット1を用意する必要性を低減することができ、経済性や環境負荷低減の観点から優れている。
【0041】
また、上述の実施例では、第1ボディ5、第2ボディ6は、それぞれ1つの部材で構成されていたが、これらは1つの部材で構成されている必要はなく、例えば接着などの任意の固定手段により固定された複数の部材で構成されていてもよい。例えば、第1ボディ5が複数の部材を固定して形成されていたり、第2ボディ6の主部とは別部材として形成された突起部が第2ボディ6の主部に固定されていたりしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 測定ユニット(第1ユニット)
2 センサユニット(第2ユニット)
3 スペーサ
4 固定部材(袋ナット)
5 第1ボディ
6 第2ボディ
7 突起部(比較電極内部液の補充口)
8 Oリング(シール部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9