(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】鋼帯のセンタリング方法及び連続鋼帯の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21C 47/24 20060101AFI20230830BHJP
B21C 47/26 20060101ALI20230830BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20230830BHJP
B23K 37/04 20060101ALI20230830BHJP
B23K 9/025 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B21C47/24 G
B21C47/26 E
B21C51/00 R
B23K37/04 E
B23K9/025 A
(21)【出願番号】P 2019194245
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】平田 崇
(72)【発明者】
【氏名】竹内 努
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-096310(JP,A)
【文献】特開平10-263694(JP,A)
【文献】特開2017-177134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 47/00-47/34
B21B 1/00-1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼帯を鋼帯コイルから送り出すペイオフリールと、前記鋼帯をその板厚方向から挟む一対のピンチロールと、前記鋼帯をその幅方向の両端から接触する一対のサイドガイドと、前記鋼帯を他の鋼帯に溶接する溶接機とを備える鋼帯の連続処理ラインにおいて、
順に、前記ペイオフリールの駆動を停止し、
バックテンション及び自重による前記鋼帯の後退移動を阻止した状態とし、
前記ピンチロールから前記鋼帯を開放し、
前記サイドガイドにより前記鋼帯の幅方向の中心の位置を調整することを特徴とする鋼帯のセンタリング方法。
【請求項2】
前記鋼帯コイルの外側面を押圧する押圧ロールを備え、前記押圧ロールにより前記鋼帯を固定することで前記鋼帯の後退移動を阻止した状態とすることを特徴とする請求項1に記載の鋼帯のセンタリング方法。
【請求項3】
前記押圧ロールによる前記鋼帯の固定後、所定時間経過後に前記ピンチロールから前記鋼帯を開放することを特徴とする請求項2に記載の鋼帯のセンタリング方法。
【請求項4】
前記連続処理ラインは、張力センサを備え、
前記張力センサにより前記押圧ロール
と前記ピンチロール間における前記鋼帯の張力を測定し、前記鋼帯の張力が所定の張力以下の時に前記ピンチロールを開放することを特徴とする請求項2又は3に記載の鋼帯のセンタリング方法。
【請求項5】
前記連続処理ラインは、前記ピンチロールと前記サイドガイドとの間に、搬送される前記鋼帯の反りを矯正するレベラを備えることを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1項に記載の鋼帯のセンタリング方法。
【請求項6】
前記連続処理ラインは、前記溶接機の上流側に前記サイドガイドが1つ以上設けられていることを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の鋼帯のセンタリング方法。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載のセンタリング方法により、後行材である鋼帯をセンタリングした後、
前記後行材を前記ピンチロールで挟み搬送し、
前記後行材
を切断機で切断し、
他の鋼帯である先行材の後端と、前記後行材の切断面とを前記溶接機により溶接することを特徴とする連続鋼帯の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼帯のセンタリング方法と、そのセンタリング方法を利用した連続鋼帯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋼帯の製造ライン(以下、「連続処理ライン」という。)では、連続処理ラインの入側において先行材と後行材とを溶接する。溶接部のセンター合わせは、溶接機クランプに付帯されるクロスアジャストによって行うことができるが、既に鋼板がキャンバー等により傾斜して溶接機内にスレッディングされた場合、後行材と先行材とが鋼帯の上面視で略「く」の字状に溶接され、連続処理ライン通板中の蛇行や圧延時の板破断を誘発するという問題がある。
【0003】
連続処理ラインの入側におけるコイルスレッディングにおいて、鋼板センタリング目的に一般的にはサイドガイドが用いられている。サイドガイドを用いてラインに対して鋼板を強制的にセンタリングすると、鋼板がキャンバー等の影響による斜行傾向を有している場合、スレッディングのために鋼板を送るためのピンチロールで鋼板を拘束した状態では鋼板エッジをサイドガイドで折り曲げてしまう。
【0004】
上記のような蛇行を抑制するために、例えば、下記特許文献1には、溶接時における先行材と後行材の幅方向中心位置を合わせる方法及び装置が開示されている。下記特許文献1に開示された方法及び装置は、先行材および後行材の幅方向位置を検出する検出器を前記溶接機の直前または直後に設置し、入側に設けられた2台の払出しリールのうち少なくとも一方を幅方向に移動可能として、前記検出器の検出値を用いて、前記2台の払出しリールのうち少なくとも一方の幅方向位置を制御することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術は、先行材および後行材の幅方向位置を検出する検出器を配置する必要がある。また、入側に設けられた払出しリールを幅方向に移動可能にするシリンダ機構が必要となるので、既存の連続処理ラインに前記シリンダ機構を新たに導入するためのコスト及び負担が大きくなる。前述の略「く」の字状の程度及び溶接頻度は、センタリングのずれの程度(ズレ量)とバラツキによって高くなる。それゆえ、既存の連続処理ラインを最大限生かしつつ、センタリングのズレ量及びバラツキを低減するセンタリング方法及び連続鋼帯の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る鋼帯のセンタリング方法は、鋼帯を鋼帯コイルから送り出すペイオフリールと、前記鋼帯をその板厚方向から挟む一対のピンチロールと、前記鋼帯をその幅方向の両端から接触する一対サイドガイドと、前記鋼帯を他の鋼帯に溶接する溶接機とを備える鋼帯の連続処理ラインにおいて、順に、前記ペイオフリールの駆動を停止し、バックテンション及び自重による前記鋼帯の後退移動を阻止した状態とし、前記ピンチロールから前記鋼帯を開放し、前記サイドガイドにより前記鋼帯の幅方向の中心の位置を調整することを特徴とする。
【0008】
前記連続処理ラインは、前記鋼帯を固定することで前記鋼帯の後退移動を阻止した状態とするために、前記鋼帯コイルの外側面を押圧する押圧ロールが設けられていても良い。
【0009】
前記連続処理ラインは、前記押圧ロールによる前記鋼帯の固定後、所定時間経過後に前記ピンチロールから前記鋼帯を開放するように制御されていても良い。
【0010】
前記連続処理ラインは、張力センサを備え、前記押圧ロールと前記ピンチロール間における前記鋼帯の前記張力をセンサにより測定し、前記鋼帯の張力が所定の大きさ以下になった時に前記ピンチロールを開放するように制御されていても良い。
【0011】
前記連続処理ラインは、前記ピンチロールと前記サイドガイドとの間に、搬送される前記鋼帯の反りを矯正するレベラが設けられていても良い。
【0012】
前記連続処理ラインは、前記溶接機の上流側に前記サイドガイドが1つ以上設けられていても良い。
【0013】
前記連続処理ラインは、先行材である鋼帯の後端と、後行材である鋼帯の先端とを溶接する溶接機を備えるように構成しても良い。このように構成された連続処理ラインを用いて、本発明に係る鋼帯のセンタリング方法を用いて前記後行材をセンタリングし、前記後行材を前記ピンチロールで挟んで搬送し、前記先行材の後端と、前記後行材の切断面とを前記溶接機により溶接することによって、連続鋼帯を製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、後行材のサイドガイドによるエッジ曲がりを抑止しつつ、前記後行材と連続処理ラインとのセンター合わせを行い、センタリングのズレ量及びバラツキが低減されるように前記後行材の溶接機への進入を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法を用いた連続処理ラインを示す概略構成図である。
【
図2】
図1の連続処理ラインにおける制御系統図の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法をアルゴリズムとして示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法におけるサイドガイドの機能を説明する概略図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法を用いた連続処理ラインを示す概略構成図である。
【
図6】本発明のセンタリング方法を用いて製造された連続鋼帯の溶接センターズレ量を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては、同様の構成あるいは同様の機能を有するものについては、同じ符号を用いる場合がある。
【0017】
[第1実施形態]
[連続処理ライン]
図1は、本発明の第1実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法に用いられる連続処理ラインを示す概略構成図、
図2は
図1の連続処理ラインにおける制御系統図の一例を示すブロック図であり、
図3は本発明の第1実施形態又は第2実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法をアルゴリズムとして示すフローチャートである。
【0018】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法を行う連続処理ライン100は、鋼帯としての後行材1を鋼帯コイル10から送り出すパス110を備える。
【0019】
前記パス110は、その入側において、前記後行材1を前記鋼帯コイル10から送り出す第1のペイオフリール11と、前記後行材1を切断する切断機3と、前記第1のペイオフリール11と前記切断機3との間に、前記後行材1を前記切断機3に搬送するピンチロール13Aを備える。
【0020】
前記パス110は、第1のペイオフリール11の送り出し(「払い出し」ともいう。)により、前記鋼帯コイル10から前記後行材1が払い出される位置(以下、「巻き戻し位置」ともいう。)1aの近傍において、前記後行材1の上表面に接触するように押圧ロール12が設けられている。
【0021】
前記押圧ロール12は、第1のペイオフリール11の駆動を停止した際に、前記後行材1をその上表面から前記鋼帯コイル10上に固定する機能を有し、前記鋼帯コイル10側に前記後行材1がその自重によってバックテンションが生じることを防止するために用いられる。但し、前記後行材1に前記バックテンションが生じない場合、例えば、前記後行材1が前記鋼帯コイル10から離れる位置(巻き戻し位置1a)が、ピンチロール13Aを通過する高さ(
図1の点線位置)以上の高さに位置する場合、前記押圧ロール12を省略しても良い。
【0022】
前記ピンチロール13Aは、前記押圧ロール12から前記後行材1の搬送方向Aの下流側に配置されており、前記後行材1をその上側面及び下側面の両面から挟んだ状態で搬送するロールである。
【0023】
前記ピンチロール13Aの下流側には、前記後行材1の上面視左右両側にサイドガイド14Aが設けられており、前記後行材1は前記サイドガイド14Aを通過後に前記切断機3によって切断される。
図1の実施形態の連続処理ライン100では、切断機3の上流側と下流側、溶接機4の上流側と下流側のそれぞれにサイドガイド14A、14B、14C及び14Dが設けられているが、溶接機のなるべく直前の上流側で前記後行材1をセンタリングすることが好ましい。そのため、前記サイドガイド14A、14B及び14Cの少なくとも1つを省略しても良い。
【0024】
尚、本発明は、既存の連続処理ラインをそのまま利用できるため、従来公知の設備を備えていても良い。例えば、
図1の実施形態の連続処理ライン100の前記パス110では、入側のピンチロール13Aと前記切断機3との間にレベラ15を設けて前記後行材1の反り等の変形を矯正しても良い。
【0025】
[鋼帯のセンタリング方法]
次に、
図1に示す連続処理ライン100における、本発明の第1実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法の工程について説明する。
【0026】
まず、後行材1及び先行材2が切断機3によって切断され、前記先行材2の切断された端部(先行材2の後端)を溶接機4で停止させた後、ユーザ端末装置200により本発明の第1実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法が選択されると、中央制御装置300は、前記第1のペイオフリール11による前記後行材1の巻き戻しを停止する(
図3、S1)。ここで、前記中央制御装置300は、所定時間経過後に前記第1のペイオフリール11を停止するように制御しても良い。前記第1のペイオフリール11の停止の遅延時間は、本発明の鋼帯のセンタリング方法の適用対象となる既存の連続処理ラインの構造によって適宜設定することができる。
尚、前記中央制御装置300は、シーケンサ等により構成しても良い。
【0027】
前記第1のペイオフリール11の停止後、前記中央制御装置300は、前記押圧ロール12により、前記第1のペイオフリール11からの巻き戻し位置1aで前記後行材1をその上表面から押圧して前記後行材1を固定するように制御する(
図3、S2)。前記第1のペイオフリール11が停止した時点から前記押圧ロール12が前記後行材1の固定工程を開始する時間、前記第1のペイオフリール11の停止した時点から前記押圧ロール12による前記後行材1の固定工程が完了するまでの時間は、本発明の鋼帯のセンタリング方法の適用対象となる既存の連続処理ラインの構造によって適宜設定することができる。
【0028】
前記押圧ロール12により前記後行材1が固定された後、前記中央制御装置300は、入側の前記ピンチロール13A、前記切断機3の下流側のピンチロール13B、13Cから前記後行材1を開放する(
図3、S3)。前記押圧ロール12により前記後行材1を固定する前記工程S2の開始後、或いは完了後、前記ピンチロール13A、13B及び13Cのそれぞれに対して前記工程S3を実行するタイミング、及び/又は前記工程S3を開始から完了までの時間は、本発明の鋼帯のセンタリング方法の適用対象となる既存の連続処理ラインの構造によって適宜設定することができる。レベラが設けられている場合、前記中央制御装置300は、レベラがサイドガイドによる鋼帯のセンタリングを阻害しないように前記レベラの位置を調整するように制御することが好ましい。
【0029】
あるいは、前記押圧ロール12と前記入側ピンチロール13A間に張力センサを設け、前記押圧ロール12と前記入側ピンチロール13A間の張力を測定し、所定の張力以下で前記ピンチロール13Aを開放するように、前記中央制御装置300を構成しても良い。
【0030】
前記ピンチロール13Aから前記後行材1が解放された状態で、前記中央制御装置300は前記サイドガイド14A、14B及び14Cのそれぞれを用いて、前記後行材1の幅方向の中心の位置を調整する(
図3、S4)。但し、前述したように、溶接機のなるべく直前の上流側で前記後行材1をセンタリングすることが好ましいので、前記サイドガイド14A又は14Bの少なくとも1つに対する制御を省略しても良い。
【0031】
[連続鋼帯の製造方法]
本発明によれば、前述した本発明による鋼帯のセンタリング方法を用いて、連続鋼帯を製造することができる。
まず、前記中央制御装置300は、前記先行材1をその上側面及び下側面から挟むように、前記ピンチロール13A、13B及び13Cを制御する(
図3、S5)。次いで、前記後行材1をその上側面及び下側面から挟んだ状態で前記ピンチロール13A、13B及び13Cにより前記溶接機4に前記後行材1の切断により露出した端部(後行材1の前端)を、前記先行材2の後端との溶接位置まで搬送するように制御する(
図3、S6)。
【0032】
前記後行材1の前端が、前記先行材2の後端との溶接位置まで搬送されたことが確認された後、前記後行材1の前端と前記先行材2の後端とを溶接する(
図3、S7)。前記後行材1及び前記先行材2が所定の溶接位置に停止しているか否かの判断は、リミットスイッチ又は光学センサ、或いはCCDカメラによる検出等により行うことができる。
【0033】
工程S7後、前記ユーザ端末装置200から停止の指示がなく、また、次に溶接する鋼帯コイルが検出された場合、前記工程S1~S7の工程を繰り返すように前記中央制御装置300を構成しても良い。
【0034】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法を行う連続処理ライン100である。本発明の第1実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法を行う連続処理ライン100と同様に後行材1を鋼帯コイル10から送り出すパス110と、更に鋼帯としての先行材2を鋼帯コイル20から送り出す下パス120とから構成される。
【0035】
図5に示す連続処理ライン100において、前記パス110は前記後行材1を前記溶接機4に搬送するために利用され、前記下パス120は前記先行材2を予め前記溶接機4に搬送するために利用されているが、前記第1のペイオフリール11の鋼帯(前述の後行材1)を切断して、当該切断部を先行材の後端とする。次いで、前記下パス120から新たに鋼帯を後行材として送り出し、前記新たな鋼帯に対して前述した本発明の鋼帯のセンタリング方法と溶接を行っても良い。このように、
図5に示す連続処理ライン100において、前記パス110及び前記下パス120を用いて後行材の払い出し及び先行材の払い出しを交互に行うことによって、連続鋼帯を製造することができる。
【0036】
連続鋼帯を製造する場合、前記下パス120の各構成装置(ペイオフリール21、押圧ロール22、ピンチロール23A、サイドガイド24B、アンコイラレベラ25)は、前記パス110の各構成装置と同様に制御されるように構成しても良い。前記下パス120は、入側のピンチロール23Aと前記切断機3との間にレベラ25を設ける構成であっても良い。
【0037】
このように、前記下パス120は、本発明の第1実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法を行う連続処理ライン100の前記パス110と同様の構成にしても良いが、本発明に係る鋼帯のセンタリング方法を実施できる構成であれば特に制限されない。
【0038】
例えば、前記連続処理ライン100の下パス120は、前記先行材2を鋼帯コイル20から送り出す第2のペイオフリール21を備えるが、前記切断機3から下流側にのみサイドガイド24Bのみを設ける構成としても良い。下パス120がこのような構成であっても、サイドガイド24Bだけでなく、溶接機4に近接して設けられたサイドガイド14C及び14Dの少なくともいずれかを用いて前記先行材2をセンタリングすることができる。前記先行材2をセンタリングする際、ピンチロール13Dは開放される。
【0039】
第2実施形態に係る鋼帯のセンタリング方法は、前記先行材2を予めセンタリングすることができるので、連続鋼帯の蛇行量をより低減することができる。
【0040】
本発明は、溶接機への鋼板スレッディング時、押圧ロールにおいて鋼板を拘束した状態において、一時的に入側張力をダウンさせ、ピンチロールの拘束を開放させてバックテンション及び自重による鋼板の後退移動を阻止した状態とし、サイドガイドで強制的に鋼板をセンタリングし、当該動作完了後に溶接機への最終スレッディングを継続させることによって、後行材のサイドガイドによるエッジ曲がりを抑止しつつ、
図4に示すように前記後行材と連続処理ラインとのセンター合わせを行い、前記後行材の溶接機への進入を実現することができる。
【実施例】
【0041】
図6は、第1実施形態のセンタリング方法を用いて製造された連続鋼帯の溶接センターズレ量を示すヒストグラムである。この図によれば、後行材の溶接センターズレ量は、ラインセンター基準から50mm以内にできることが分かる。これに対して、本発明のセンタリング方法が用いられなかった連続鋼帯は、溶接センターズレ量が50mmを超過する場合がある。
【0042】
また、本発明の実施例はセンタリングバラツキの標準偏差が123mmであるのに対し、比較例では標準偏差が252mmと、バラツキが半分になっている。このように、本発明によれば、前記後行材と連続処理ラインとのセンター合わせを行う際、センタリングのズレ量及びバラツキを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、後行材のサイドガイドによるエッジ曲がりを抑止しつつ、前記後行材と連続処理ラインとのセンター合わせを行い、前記後行材の溶接機への進入を実現することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 後行材
1a 巻き戻し位置
2 先行材
3 切断機
4 溶接機
10 後行材の鋼帯コイル
11 第1のペイオフリール
12 押圧ロール
13A~13D ピンチロール
14A~14D サイドガイド
15 レベラ
20 先行材の鋼帯コイル
21 第2のペイオフリール
100 連続処理ライン
110 パス
120 下パス
200 ユーザ端末装置
300 中央制御装置