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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】タイヤの形状測定装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/20 20060101AFI20230830BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G01B21/20 101
G01B11/24 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022545442
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2021020473
(87)【国際公開番号】W WO2022249466
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】秋山 直輝
(72)【発明者】
【氏名】西尾 悟
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-240800(JP,A)
【文献】特開2008-203258(JP,A)
【文献】特開2007-078649(JP,A)
【文献】特開平04-050601(JP,A)
【文献】特開2009-014613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0246921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00-21/32
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤが装着される保持部と、前記保持部に装着された前記タイヤの内部に空気を注入して前記タイヤをインフレートさせる注気部と、インフレートされている前記タイヤの内部から空気を外部に排出させて前記タイヤをデフレートさせる排気部と、インフレートされている前記タイヤの形状を検知する非接触型のセンサと、前記保持部に保持された前記タイヤと前記センサとをタイヤ周方向に相対移動させる周方向移動機構と、前記センサによる検知データが入力される演算部とを備えたタイヤの形状測定装置において、
前記センサの検知部を覆うことが可能なカバー部と、前記検知部が前記カバー部により覆われた状態にされる待機モードと前記検知部が前記カバー部により覆われた状態が解除されて前記センサにより前記タイヤの形状が検知される測定モードとに切換える切換機構と、前記切換機構を制御する制御部とを備えて、前記タイヤをデフレートさせる時には前記待機モードに設定にされることを特徴とするタイヤの形状測定装置。
【請求項2】
前記切換機構が、前記センサを所定位置に固定した状態で前記カバー部を移動させることにより、前記待機モードと前記測定モードとに切換える請求項1に記載のタイヤの形状測定装置。
【請求項3】
前記切換機構が、前記センサを移動させることにより、前記待機モードと前記測定モードとに切換える請求項1に記載のタイヤの形状測定装置。
【請求項4】
前記待機モードにおいて前記センサにより検知される検定部材を有し、前記検定部材を検知した前記センサによる検知データに基づいて前記演算部により前記センサの異常有無を判断する検定工程が行われる請求項1~3のいずれかに記載のタイヤの形状測定装置。
【請求項5】
それぞれの前記測定モードの直前のそれぞれの前記待機モードにおいて前記検定工程が行われる請求項4に記載のタイヤの形状測定装置。
【請求項6】
前記演算部により前記センサに異常があると判断された場合に、前記検定部材を検知した前記センサによる検知データが、予め設定された正常範囲内になるように前記センサを校正する請求項4または5に記載のタイヤの形状測定装置。
【請求項7】
前記検知部から出力された検知光を反射させて前記タイヤの測定範囲に照射させ、かつ、前記測定範囲で反射した前記検知光を反射させて前記検知部に入力させるミラーが前記カバーに備わる請求項1~6のいずれかに記載のタイヤの形状測定装置。
【請求項8】
保持部に装着されたタイヤの内部に空気を注入して前記タイヤをインフレートさせた状態にして、この状態の前記タイヤと非接触型のセンサとをタイヤ周方向に相対移動させながら前記センサにより前記タイヤの所定部位の形状をタイヤ周方向全周に渡って検知し、この検知後にインフレートさせた状態の前記タイヤの内部から空気を外部に排出させてデフレートさせた前記タイヤを前記保持部から取り外すタイヤの形状測定方法において、
前記センサの検知部を覆うことが可能なカバー部を設けて、切換機構によって、前記検知部が前記カバー部により覆われた状態にされる待機モードと前記検知部が前記カバー部により覆われた状態が解除されて前記センサにより前記タイヤの形状が検知される測定モードとに切換え可能にして、前記タイヤをデフレートさせる時には前記待機モードに設定することを特徴とするタイヤの形状測定方法。
【請求項9】
前記待機モードにおいて前記センサにより検定部材を検知して、前記検定部材を検知した前記センサによる検知データに基づいて演算部により前記センサの異常有無を判断する検定工程を行う請求項8に記載のタイヤの形状測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの形状測定装置および方法に関し、さらに詳しくは、タイヤの形状測定に用いるセンサの汚れを抑制してメンテナンス作業を軽減させるとともに、測定作業効率を向上させることができるタイヤの形状測定装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤの生産現場では、タイヤの形状が目標とする基準形状であるか否かを確認する工程がある。例えば、加硫後のタイヤを検査する際には、タイヤ支持部により支持されたタイヤを規定内圧でインフレートさせた状態で、レーザセンサなどの非接触型のセンサを用いてトレッド形状を測定している(例えば、特許文献1参照)。この測定が完了した後は、タイヤの内部に充填されている空気を排出してタイヤ支持部からタイヤを取り外し、順次別のタイヤのトレッド形状の測定が行われる。
【0003】
タイヤの生産現場には様々な部材や材料が存在している。そのため、タイヤの内部に注入されている空気を排出する際の排気流によって、周辺の粉状体などが舞い上がることがある。舞い上がった粉状体などは非接触型のセンサに付着して経時的に堆積する。特に加硫済タイヤの内面には、タルクなどの離型効果を有する粉状体が付着しているので、非接触型のセンサには粉状体が付着、堆積し易い。粉状体などが付着、堆積して汚れた状態の非接触型のセンサを用いて測定を行うと測定精度が低下するため、センサを洗浄してこれら粉状体などを除去するメンテナンス作業を定期的にまたは適時行う必要がある。このメンテナンス作業を行っている間は、測定を行うことができないため、測定作業効率を向上させるには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2017-9483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、タイヤの形状測定に用いるセンサの汚れを抑制してメンテナンス作業を軽減させるとともに、測定作業効率を向上させることができるタイヤの形状測定装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明のタイヤの形状測定装置は、タイヤが装着される保持部と、前記保持部に装着された前記タイヤの内部に空気を注入して前記タイヤをインフレートさせる注気部と、インフレートされている前記タイヤの内部から空気を外部に排出させて前記タイヤをデフレートさせる排気部と、インフレートされている前記タイヤの形状を検知する非接触型のセンサと、前記保持部に保持された前記タイヤと前記センサとをタイヤ周方向に相対移動させる周方向移動機構と、前記センサによる検知データが入力される演算部とを備えたタイヤの形状測定装置において、前記センサの検知部を覆うことが可能なカバー部と、前記検知部が前記カバー部により覆われた状態にされる待機モードと前記検知部が前記カバー部により覆われた状態が解除されて前記センサにより前記タイヤの形状が検知される測定モードとに切換える切換機構と、前記切換機構を制御する制御部とを備えて、前記タイヤをデフレートさせる時には前記待機モードに設定にされることを特徴とする。
【0007】
本発明のタイヤの形状測定方法は、保持部に装着されたタイヤの内部に空気を注入して前記タイヤをインフレートさせた状態にして、この状態の前記タイヤと非接触型のセンサとをタイヤ周方向に相対移動させながら前記センサにより前記タイヤの所定部位の形状をタイヤ周方向全周に渡って検知し、この検知後にインフレートさせた状態の前記タイヤの内部から空気を外部に排出させてデフレートさせた前記タイヤを前記保持部から取り外すタイヤの形状測定方法において、前記センサの検知部を覆うことが可能なカバー部を設けて、切換機構によって、前記検知部が前記カバー部により覆われた状態にされる待機モードと前記検知部が前記カバー部により覆われた状態が解除されて前記センサにより前記タイヤの形状が検知される測定モードとに切換え可能にして、前記タイヤをデフレートさせる時には前記待機モードに設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前記保持部に保持されてインフレートされた状態の前記タイヤをデフレートさせる時には前記待機モードに設定する。したがって、デフレートされる前記タイヤの内部から外部に排出される空気の排気流によって、そのタイヤ周辺に存在する粉状体などが舞い上がっても、前記センサの前記検知部は前記カバー部により覆われた状態になっている。そのため、舞い上がった粉状体などが前記検知部に付着、堆積して汚れることが抑制される。それ故、前記センサによる測定精度を確保するために、頻繁に前記検知部を洗浄するメンテナンス作業を行う必要がなくなる。これに伴い、メンテナンス作業を軽減できるとともに前記タイヤの形状測定が行えない期間が減るので、測定作業効率を向上させるには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1はタイヤの形状測定装置を縦断面視で例示する説明図である。
図2図2図1の形状測定装置を平面視で例示する説明図である。
図3図3図1のタイヤをデフレートさせている状態を例示する説明図である。
図4図4図3の形状測定装置を平面視で例示する説明図である。
図5図5図3のカバー部の中で実施されている検定工程を例示する説明図である。
図6図6図3の保持部に装着した新たなタイヤをインフレートしている状態を例示する説明図である。
図7図7図6のカバー部を開口状態にしてセンサを測定位置に移動させた状態を例示する説明図である。
図8図8図7のタイヤのショルダ部の形状を測定している状態を例示する説明図ある。
図9図9図8の形状測定装置を平面視で例示する説明図である。
図10図10は形状測定装置の別の実施形態を縦断面視で例示する説明図である。
図11図11図10の形状測定装置を、一部を省略して平面視で例示する説明図である。
図12図12図10のカバー部の中で実施されている検定工程を例示する説明図である。
図13図13図10のカバー部を開口状態にしてセンサを測定位置に移動させた状態を例示する説明図である。
図14図14図13のタイヤのサイド部およびショルダ部の形状を測定している状態を例示する説明図である。
図15図15は形状測定装置の別の実施形態を縦断面視で例示する説明図である。
図16図16図15の形状測定装置を、一部を省略して平面視で例示する説明図である。
図17図17図15のカバー部を開口状態にしてタイヤのトレッド部の形状を測定している状態を例示する説明図である。
図18図18は形状測定装置の別の実施形態を縦断面視で例示する説明図である。
図19図19図18の形状測定装置を、一部を省略して平面視で例示する説明図である。
図20図20図18のタイヤのトレッド部の形状を測定している状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のタイヤの形状測定装置および方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1図2に例示する本発明のタイヤの形状測定装置1の実施形態は、加硫された空気入りタイヤTの形状を測定する。タイヤTの種類、サイズは特に限定されない。形状測定装置1によって形状を測定する部位は、任意に設定することが可能なっていて、トレッド部Tr、ショルダ部Td、サイド部Tsの少なくとも1つが選択される。これら部位の内の選択された1つの部位、2つの部位または3つの部位に対してタイヤ周方向全周に渡って表面形状が形状測定装置1によって測定される。この実施形態の形状測定装置1は、ショルダ部Tdの表面形状を測定する。
【0012】
形状測定装置1は、タイヤTが装着される保持部2と、タイヤTの内部に空気Aを注入する注気部3と、タイヤTの内部から空気Aを外部に排出させる排気部4と、非接触型のセンサ6と、保持部2に保持されたタイヤTとセンサ6とをタイヤ周方向に相対移動させる周方向移動機構となる回転軸2aおよび駆動モータ2bと、センサ6による検知データが入力される演算部12と、センサ6の検知部6aを覆うことが可能なカバー部7と、切換機構8と、切換機構8を制御する制御部13とを備えている。この実施形態では形状測定装置1はさらに、検定部材10を有している。検定部材10は任意で設けることができる。
【0013】
保持部2は、デフレート状態のタイヤTが装着され、その後、タイヤTがインフレートされることでビード部が強く圧着されてタイヤTを保持する。保持部2は、インフレートされたタイヤTを保持できればよく、タイヤリム(ホイール)に類似した形態になっている。
【0014】
保持部2は、上下に延在する回転軸2aに着脱可能に取り付けられている。回転軸2aは保持部2の平面視中心部に配置されている。回転軸2aは駆動モータ2bなどの駆動源によってその軸心を中心にして回転する。駆動モータ2bによって回転駆動される回転軸2aを中心にして保持部2は回転する。この実施形態では、センサ6が所定位置に固定された状態でタイヤTが回転軸2aを中心にして回転することで、タイヤTとセンサ6とがタイヤ周方向に相対移動する。したがって、回転軸2aおよび駆動モータ2bは周方向移動機構として機能する。尚、保持部2に保持されたタイヤTを回転させずに固定して、このタイヤTに対してセンサ6をタイヤ周方向に移動させる周方向移動機構を採用することもできる。回転軸2aを水平に延在させた形態にすることもできる。
【0015】
保持部2および回転軸2aの内部には注気路が延在していて、この注気路の一端が注気部3に連結され、他端がエアコンプレッサ5に連結されている。注気部3は、円筒状の保持部2の外周面に露出して設置されている。エアコンプレッサ5から供給された空気Aは注気部3に送られる。注気部3は、この空気Aを保持部2に装着されたタイヤTの内部に注入してインフレートさせて規定内圧にする。規定内圧は例えばタイヤTの仕様毎に設定されていて乗用車用タイヤでは200kPa~450kPa程度であり、トラック・バス用タイヤでは450kPa~600kPa程度である。
【0016】
保持部2の内部には排気路が延在していて、この排気路の一端が排気部4に連結され、他端が保持部2の外周面に開口している。この実施形態では、排気部4は保持部2の下面に露出して設置されているが、保持部2の上面、或いは、回転軸2aに設置することもできる。排気部4には開閉弁が設けられていて排気部4を開弁状態にすると、保持部2に保持されているタイヤTの内部と外部とが連通して内部の空気Aは大気に排出される。したがって排気部4は、インフレートされているタイヤTの内部の空気Aを外部に排出させてタイヤTをデフレートさせることができる。排気部4を閉弁状態にすると、保持部2に保持されているタイヤTの内部の空気Aはそのまま内部に保持される。
【0017】
センサ6は、保持部2にインフレートされた状態で保持されているタイヤTの測定部位(この実施形態ではショルダ部Td)の表面形状を検知する。センサ6としては公知のレーザセンサを用いることができる。センサ6の検知部6aから出力された検知光L(レーザ光L)が測定部位の測定範囲に照射され、測定範囲で反射した検知光Lが検知部6aに入力される。検知部6aから出力された検知光Lが検知部6aに入力されるまでの時間に基づいて、検知部6aから測定範囲の表面までの距離が把握され、その結果、測定部位の表面形状が把握される。
【0018】
この実施形態では、2個のセンサ6が上下に離間して備わっているが、センサ6の数は単数でも3個以上でもよく、測定部位の広さなどに基づいて適切な数のセンサ6を設けることができる。センサ6は、アーム8cに固定されている。制御部13は、後述する切換機構8だけでなく、駆動モータ2b(回転軸2a)およびエアコンプレッサ5の動き、排気部4の開弁および閉弁操作も制御する。
【0019】
カバー部7は、カバー部7の内部を外部に対して遮断するモード(待機モードM1)と、この遮断した状態を解除するモード(測定モードM2)に切り替え可能になっている。待機モードM1ではカバー部7は検知部6aを覆うことで、粉状体Pなどが検知部6aに付着、堆積することを防止する。カバー部7は粉状体Pなどの検知部6aへの付着、堆積を完全に防止できなくてもよいが、カバー部7を設けない場合に比してこれら粉状体Pの付着、堆積量を50%以上、より好ましくは80%以上低減できる仕様にする。したがって、検知部6aをより気密に覆うカバー部7にすることで、粉状体Pの付着、堆積量を低減するには有利になる。尚、この実施形態のようにカバー部7により検知部6aだけを覆うことが可能な構成に限らず、センサ6全体をカバー部7によって覆うことが可能な構成にしてもよい。
【0020】
この実施形態では、それぞれのセンサ6の検知部6aに対して専用のカバー部7が配置されているので、2つのカバー部7を有している。それぞれのカバー部7は基本的に同じ構造なので一方について説明する。
【0021】
カバー部7は、アーム8cの先端部に取り付けられていて固定カバー7aと可動カバー7bとを有している。固定カバー7aは、アーム8cの先端部に固定されて前方に(保持部2に向かって)突出している。可動カバー7bは、アーム8cの先端部に固定された支軸7cに旋回可能に取付けられている。
【0022】
可動カバー7bが固定カバー7aに対して近接するように支軸7cを中心にして旋回することで固定カバー7aと可動カバー7bとで閉空間が形成される(待機モードM1になる)。固定カバー7aと可動カバー7bとで形成された閉空間は、可動カバー7bが固定カバー7aに対して離反するように旋回することで開口して開空間になる(測定モードM2に移行する)。
【0023】
固定カバー7aの内側にはミラー7eが取り付けられている。ミラー7eは任意で設けることができる。また、可動カバー7bの内側には棒状の検定部材10が横切るように延在している。
【0024】
検知部6aから出力された検知光Lはミラー7eで反射して測定部位に照射され、測定部位で反射した検知光Lはミラー7eで反射して検知部6aに入力される。ミラー7eを設けない場合は、検知部6aから出力された検知光Lは測定部位に直接照射され、測定部位で反射した検知光Lは検知部6aに直接入力される。
【0025】
切換機構8は、待機モードM1と測定モードM2とに切換える。測定モードM2とは、インフレートされて保持部2に保持されているタイヤTの形状をセンサ6により測定する段階(測定している段階)である。待機モードM1とは、測定モードM2に移行する前後の段階である。したがって、待機モードM1から測定モードM2に移行し、測定モードM2から待機モードM1に移行する工程が繰り返し行われる。
【0026】
この実施形態では切換機構8は、アーム8cをタイヤT(保持部2)に対して近接および離反移動させる近接離反駆動部8aと、支軸7cを中心にして可動カバー7bを旋回させる旋回駆動部8bとを有している。アーム8cは近接離反駆動部8aに固定されている。近接離反駆動部8aは、回転軸2aに向かって水平に延在するガイドレール8dに沿って移動する。ガイドレール8dは地盤に立設された支持ポスト9に固定されている。近接離反駆動部8aとしては例えばサーボモータが使用されて、ガイドレール8dに沿って任意の位置に移動可能である。近接離反駆動部8aとして流体シリンダ等を用いることもできる。近接離反駆動部8aとともに、アーム8c、カバー部7およびセンサ6もガイドレール8dに沿って移動する。したがって、センサ6はタイヤTに対して近接および離反移動する。
【0027】
旋回駆動部8bとしては例えばサーボモータが使用されて、支軸7cを中心にして可動カバー7bを任意の角度に旋回移動可能にする。検定部材10は可動カバー7bに固定されているので、可動カバー7bとともに旋回移動する。尚、この実施形態では可動カバー7bには、旋回した際にセンサ6やアーム8cに干渉しないように切欠きが形成されている。可動カバー7bの切欠きはできるだけ小さくすることが好ましく、切欠きがない可動カバー7bにすることもできる。
【0028】
検定部材10は、予め設定された形状をしていて、検知部6aとは離間して所定の位置に配置される。検定部材10は、センサ6の異常有無を判断する検定工程に用いられる。検定部材10は所望の形状、配置にすることができる。
【0029】
検定部材10の形状および検定部材10の検知部6aに対する配置(離間距離および離間方向)は演算部12に記憶されている。検知部6aから出力された検知光Lが検定部材10に照射され、検定部材10で反射した検知光Lが検知部6aに入力される。また、周方向移動機構2a、2bによるタイヤTとセンサ6とのタイヤ周方向の相対移動データ、近接離反駆動部8aの移動データ、可動カバー7bの旋回移動データも演算部12に入力される。
【0030】
演算部12は、タイヤTに対するセンサ6による検知データ、周方向移動機構による相対移動データ、近接離反駆動部8aの移動データに基づいて、検知光Lが照射されたタイヤTの測定部位の形状を算出する。また、演算部12は、検定部材10に対するセンサ6による検知データに基づいて、検定部材10の形状を算出する。
【0031】
演算部12および制御部13としてはコンピュータを用いることができる。演算部12として機能するコンピュータと、制御部13として機能するコンピュータとを別々にしてもよいが、1台のコンピュータを演算部12および制御部13として用いることもできる。
【0032】
次に、形状測定装置1を用いて、本発明のタイヤの形状測定方法を行う手順の一例を説明する。
【0033】
図3図4では、形状測定が終了したタイヤTの内部から空気Aを外部に排出してタイヤTをデフレートさせている。この時は、形状測定装置1は待機モードM1である。制御部13は排気部4を開弁状態にすることで、インフレート状態のタイヤTの空気Aを排気部4から外部に排出させる。デフレートされたタイヤTは保持部2から外される。タイヤTがデフレートされている時に排気部4から排出される空気Aの排気流によって、形状測定装置1の近傍に存在している粉状体Pなどが舞い上がる。例えば、タルクや埃などの粉状体PがタイヤTの周辺領域に舞い上がる。
【0034】
近接離反駆動部8aはタイヤTに対してより離間した後退位置にある。したがって、センサ6およびカバー部7もタイヤTに対して後退した位置にある。カバー部7は、固定カバー7aに対して可動カバー7bが近接するように旋回した位置に移動していて、固定カバー7aと可動カバー7bにより閉空間が形成されている。この形成された閉空間に検知部6aが配置されている。この閉空間に検定部材10も配置されている。
【0035】
図3図4に例示する待機モードM1では、カバー部7によって検知部6aが覆われた状態にされている。そのため、カバー部7の外部で粉状体Pなどが舞い上がっていても、粉状体Pなどと検知部6aとの間にはカバー部7が介在するので、舞い上がった粉状体Pなどがカバー部7に遮断されて検知部6aに付着、堆積することが抑制される。同様に検定部材10に粉状体Pなどが付着、堆積することも抑制される。
【0036】
図5に例示するように、この実施形態では待機モードM1において、センサ6の検定工程が行われる。カバー部7により形成された閉空間では、検知部6aから出力された検知光Lがミラー7eで反射して検定部材10に照射され、検定部材10で反射した検知光Lがミラー7eで反射して検知部6aに入力される。演算部12は、このセンサ6(検知部6a)による検知データに基づいて、検定部材10の形状を算出する。
【0037】
次いで、演算部12は算出した検定部材10の形状と予め記憶されている検定部材10の形状を比較することにより、センサ6の異常有無を判断する。両者の形状の差異が予め設定されている許容範囲よりも大きい場合はセンサ6に異常があると判断され、許容範囲以下の場合はセンサ6が正常に機能していると判断される。
【0038】
センサ6の検知に異常があると判断された場合は、演算部12は、検定部材10を検知したセンサ6による検知データが、予め設定された正常範囲内になるようにセンサ6を校正する。センサ6に異常があると判断された場合に、その異常を知らせる警告を発する(警報の発生や警告灯の点灯など)構成や、測定モードM2に移行させない構成にすることもできる。
【0039】
図6に例示するように、デフレートされたタイヤTが外された保持部2には次に測定される別のタイヤTが装着される。装着されたタイヤTの内部には、エアコンプレッサ5から送られた空気Aが注気部3から注入される。これによりタイヤTをインフレートさせて規定内圧にして保持部2に強固に保持させる。これにより、別のタイヤTのセッティングが完了する。
【0040】
待機モードM1はカバー部7の外部で粉状体Pなどが舞い上がる状態が沈静化するまで継続される。例えば、別のタイヤTが保持部2にセッティングされるまで待機モードM1が維持される。検定工程は、数秒程度で完了するので待機モードM1の間で完結させることができる。
【0041】
次いで、図7に例示するように、待機モードM1から測定モードM2に移行する。旋回駆動部8bによって支軸7cを中心にして可動カバー7bを固定カバー7aから離反する方向に旋回させる。これに伴い、閉空間を形成していたカバー部7が開口して開空間になり、検知部6aがカバー部7により覆われた状態が解除される。
【0042】
また、近接離反駆動部8aがガイドレール8dに沿って移動してタイヤTに近接した位置に配置される。これに伴って、センサ6もタイヤTに向かって近接移動して所定の測定位置に位置決めされる。以上の近接離反駆動部8aおよび旋回駆動部8bの動作によって待機モードM1から測定モードM2への移行が完了する。この時に、固定カバー7aの内側に設置されたミラー7eはタイヤTの幅方向に離間した所定位置に配置された状態になっている。このミラー7eの配置は、検知光LがタイヤTの所望の部位に照射されるように予め設定されている。
【0043】
次いで、図8図9に例示する測定モードM2では、検知部6aから出力された検知光Lはミラー7eで反射してタイヤTの測定部位(ショルダ部Td)に照射され、測定部位で反射した検知光Lはミラー7eで反射して検知部6aに入力される。この際に回転軸2aを中心にしてタイヤTを回転させる。演算部12は、このセンサ6(検知部6a)による検知データに基づいて、ショルダ部Tdの表面形状を周方向全周に渡って算出する。このようにして、ショルダ部Tdの全周の表面形状が検知され、算出された表面形状のデータは演算部12に記憶される。
【0044】
本発明では上述したように、待機モードM1ではカバー部7により検知部6aが覆われた状態にされる。測定モードM2ではカバー部7により検知部6aが覆われた状態が解除されて、センサ6によりタイヤTの所定部位の形状が検知される。タイヤTをデフレートさせる時には必ず待機モードM1に設定にされる。そのため、デフレートされるタイヤTから外部に排出される空気Aの排気流によって粉状体Pなどが舞い上がっても、その粉状体Pなどが検知部6aに付着、堆積して汚れることを抑制するには有利になる。それ故、センサ6による測定精度を確保するために、検知部6aの汚れを洗浄するメンテナンス作業の頻度を低減することができ、これに伴いメンテナンス作業を軽減できる。
【0045】
このメンテナンス作業中は形状測定装置1を使用できないが、メンテナンス作業の頻度が低減するので、タイヤTの形状測定が行えない期間が減る。したがって、本発明を適用することで、タイヤTの形状測定の作業効率を向上させるには有利になる。タイヤTを製造する際の一連の工程としてタイヤTの形状測定を行うことが多いので、本発明によればタイヤTの生産性向上に大きく寄与する。
【0046】
この実施形態では、連続的に順次複数本のタイヤTの形状測定を行う場合に、待機モードT1の時間内で検定工程を行っている。即ち、検定工程のために特別な時間を要することがないので、タイヤTの形状測定の作業効率を低下させることがない。即ち、タイヤTの生産性を低下させることなく、タイヤTの形状測定を行うことができる。
【0047】
検定工程は、所定本数(例えば2本~5本)のタイヤTを形状測定する毎に行うことができる。或いは、1本のタイヤTを形状測定する毎、即ち、それぞれの測定モードM2の直前のそれぞれの待機モードM1において検定工程を行うこともできる。表面形状をより正確に把握する必要がある特別な仕様のタイヤTに対しては、1本のタイヤTを形状測定する毎に検定工程を行うことが好ましい。
【0048】
ミラー7eの配置を変えることで、検知部6aの向きに拘わらず、検知部6aから出力される検知光Lを所望の向きに設定することができる。したがって、設置スペースの制約によってセンサ6を所望の向きに配置できない場合などは、ミラー7eを用いるとよい。しかも、この実施形態のようにカバー部7の内側にミラー7eを設置するとミラー7eのために特別なスペースを用意する必要がない。また、ミラー7eに粉状体Pなどが付着、堆積することを抑制するにも有利になる。
【0049】
図10図14に例示する形状測定装置1の実施形態は、先の実施形態とは主にカバー部7および切換機構8が異なっている。保持部2などその他の部品(部材)は、先の実施形態と同様である。この実施形態では、形状測定装置1はタイヤTのサイド部Tsおよびショルダ部Tdの表面形状を検知する。
【0050】
カバー部7は、支持ポスト9に固定された固定カバー7aと、水平移動して固定カバー7aに対して近接離反する可動カバー7bとを有している。固定カバー7aは先端側(図10では右側)が開口した箱状体であり、可動カバー7bは固定カバー7aの開口を開閉する蓋状体になっている。アーム8cの先端部に固定されたセンサ6が可動カバー7bの内側に固定されている。固定カバー7aの内側には棒状の検定部材10が横断して固定されている。アーム8cは近接離反駆動部8aによって水平移動し、これに伴いセンサ6および可動カバー7bも一緒に水平移動する。
【0051】
図10図11に例示する待機モードM1では、アーム8cはタイヤTに対してより離間した後退位置にある。したがって、センサ6および可動カバー7bもタイヤTに対して後退した位置にある。この可動カバー7bは、固定カバー7aに対して近接した位置にあって固定カバー7aと可動カバー7bにより閉空間が形成されている。この形成された閉空間に検知部6a(センサ6)が配置されている。この閉空間に検定部材10も配置されている。
【0052】
図13に例示するように、アーム8cがタイヤTに向かって近接移動することで、センサ6および可動カバー7bも一緒にタイヤTに向かって近接移動する。これに伴い、閉空間を形成していたカバー部7が開口して開空間になり、検知部6aがカバー部7により覆われた状態が解除されて待機モードM1から測定モードM2に移行する。したがって、近接離反駆動部8aが切換機構8として機能する。
【0053】
図10図11に例示する待機モードM1では、先の実施形態と同様、カバー部7によって検知部6aおよび検定部材10が覆われた状態にされているので、カバー部7の外部で粉状体Pなどが舞い上がっていても、粉状体Pなどがカバー部7に遮断されて検知部6aに付着、堆積することが抑制される。同様に検定部材10に粉状体Pなどが付着、堆積することも抑制される。
【0054】
図12に例示するように、待機モードM1では先の実施形態と同様、センサ6の検定工程が行われる。演算部12は、このセンサ6(検知部6a)による検知データに基づいて、検定部材10の形状を算出して、算出した検定部材10の形状と予め記憶されている検定部材10の形状を比較することにより、センサ6の異常有無を判断する。
【0055】
図13に例示するように測定モードM2に移行した時には、可動カバー7bの内側に設置されたミラー7eはタイヤTの幅方向に離間した所定位置に配置された状態になっている。このミラー7eの配置は、検知光LがタイヤTの所望の部位に照射されるように予め設定されている。
【0056】
次いで、図14に例示する測定モードM2では、先の実施形態と同様、タイヤTの測定部位の表面形状を検知する。検知部6aから出力された検知光Lはミラー7eで反射してタイヤTの測定部位に照射され、測定部位で反射した検知光Lはミラー7eで反射して検知部6aに入力される。この際に回転軸2aを中心にしてタイヤTを回転させる。演算部12は、このセンサ6(検知部6a)による検知データに基づいて、サイド部Tsおよびショルダ部Tdの表面形状を周方向全周に渡って算出する。このようにして、サイド部Tsおよびショルダ部Tdの全周の表面形状が検知され、算出された表面形状のデータは演算部12に記憶される。
【0057】
この実施形態では、切換機構8が、センサ6を移動させることにより、待機モードM1と測定モードM2とに切換えている。切換機構8が、センサ6を所定位置に固定した状態でカバー部7を移動させることにより、待機モードM1と測定モードM2とに切換える構成にすることもできる。例えば、この実施形態を改良するならば、センサ6および可動カバー7bを支持ポスト9を介して固定、固定カバー7aを近接離反駆動部8aによって水平移動させる構成にする。
【0058】
図15図17に例示する形状測定装置1の実施形態は、先のそれぞれの実施形態とは主にカバー部7および切換機構8が異なっている。保持部2などその他の部品(部材)は、先のそれぞれの実施形態と同様である。この実施形態では、タイヤTのトレッド部Trの表面形状を検知する。
【0059】
カバー部7は、支持ポスト9に固定された固定カバー7aと、固定カバー7aの先端部に設置された支軸7cを中心にして旋回して固定カバー7aに対して近接離反する可動カバー7bとを有している。固定カバー7aは先端側(図15では右側)が開口した箱状体であり、可動カバー7bは固定カバー7aの開口を開閉する蓋状体になっている。センサ6が固定カバー7aの内側に固定されている。可動カバー7bの内側には棒状の検定部材10が横断して固定されている。可動カバー7bは旋回駆動部8bによって支軸7cを中心に旋回し、これに伴い検定部材10も一緒に旋回移動する。
【0060】
図15図16に例示する待機モードM1では、可動カバー7bは、固定カバー7aの先端側の開口を塞ぐ位置にあって、固定カバー7aと可動カバー7bにより閉空間が形成されている。この形成された閉空間に検知部6a(センサ6)が配置されている。この閉空間に検定部材10も配置されている。
【0061】
図17に例示するように、可動カバー7bが固定カバー7aから離反するように旋回することに伴い、閉空間を形成していたカバー部7が開口して開空間になり、検知部6aがカバー部7により覆われた状態が解除されて待機モードM1から測定モードM2に移行する。したがって、旋回駆動部8bが切換機構8として機能する。
【0062】
図15図16に例示する待機モードM1では、先のそれぞれの実施形態と同様、カバー部7によって検知部6aおよび検定部材10が覆われた状態にされているので、カバー部7の外部で粉状体Pなどが舞い上がっていても、粉状体Pなどがカバー部7に遮断されて検知部6aに付着、堆積することが抑制される。同様に検定部材10に粉状体Pなどが付着、堆積することも抑制される。
【0063】
待機モードM1では、先のそれぞれの実施形態と同様、センサ6の検定工程が行われる。演算部12は、このセンサ6(検知部6a)による検知データに基づいて、検定部材10の形状を算出して、算出した検定部材10の形状と予め記憶されている検定部材10の形状を比較することにより、センサ6の異常有無を判断する。
【0064】
図17に例示するように測定モードM2に移行した時には、検知部6aから出力された検知光Lは、タイヤTの所望の部位に照射される。即ち、このセンサ6の配置は、検知光LがタイヤTの所望の部位に照射されるように予め設定されている。
【0065】
図17に例示する測定モードM2では、先のそれぞれの実施形態と同様、タイヤTの測定部位の表面形状を検知する。検知部6aから出力された検知光LはタイヤTの測定部位に照射され、測定部位で反射した検知光Lは検知部6aに入力される。この際に回転軸2aを中心にしてタイヤTを回転させる。演算部12は、このセンサ6(検知部6a)による検知データに基づいて、トレッド部Trの表面形状を周方向全周に渡って算出する。このようにして、トレッド部Trの全周の表面形状が検知され、算出された表面形状のデータは演算部12に記憶される。
【0066】
図18図20に例示する形状測定装置1の実施形態は、先のそれぞれの実施形態とは主にカバー部7および切換機構8が異なっている。保持部2などその他の部品(部材)は、先のそれぞれの実施形態と同様である。この実施形態では、タイヤTのトレッド部Trの表面形状を検知する。
【0067】
カバー部7は、支持ポスト9に固定された固定カバー7aと、固定カバー7aの先端部に設置されたエアノズル7dとを有している。固定カバー7aは先端側(図18では右側)が開口した箱状体であり、エアノズル7dは空気Aの供給源から供給された空気Aを固定カバー7aの開口を横切って覆うように噴射する。この空気Aの供給源としてタイヤTのインフレートに使用されるエアコンプレッサ5を用いることもできる。エアノズル7dによる空気Aの噴射は制御部13により制御される。センサ6が固定カバー7aの内側に固定されている。
【0068】
固定カバー7aの内側には棒状の検定部材10が突出している。検定部材10は検定部材移動機構11によって、固定カバー7aの内部に対する突出長さが変化するように移動する。検定部材移動機構11としては、サーボモータや流体シリンダなどを用いることができる。検定部材移動機構11は制御部13により制御される。
【0069】
図18図19に例示する待機モードM1では、エアノズル7dから空気Aが噴射されて、この噴射された空気Aが固定カバー7aの内部と外部とを区画する壁として機能する。したがって、固定カバー7aとエアノズル7dから噴射される空気Aとにより閉空間が形成されている。エアノズル7dから空気Aが噴射されている時は、この噴射さされている空気Aと固定カバー7aとがカバー部7を構成する。この形成された閉空間に検知部6a(センサ6)が配置されている。この閉空間に検定部材10も配置されている。
【0070】
図20に例示するように、エアノズル7dからの空気Aの噴射が停止されることに伴い、閉空間を形成していたカバー部7が開口して開空間になり、検知部6aがカバー部7により覆われた状態が解除されて待機モードM1から測定モードM2に移行する。したがって、エアノズル7dが切換機構8として機能する。
【0071】
図18図19に例示する待機モードM1では、先のそれぞれの実施形態と同様、カバー部7によって検知部6aおよび検定部材10が覆われた状態にされているので、カバー部7の外部で粉状体Pなどが舞い上がっていても、粉状体Pなどがカバー部7に遮断されて検知部6aに付着、堆積することが抑制される。同様に検定部材10に粉状体Pなどが付着、堆積することも抑制される。
【0072】
エアノズル7dから噴射される空気Aによって粉状体Pなどが検知部6a、検定部材10に付着、堆積することを抑制できればよい。したがって、例えば、固定カバー7aの内側から固定カバー7aの先端部の開口に向けて空気Aを噴射する構成にすることもできる。このエアノズル7dを先のそれぞれの実施形態のカバー部7に設けて、エアノズル7dから噴射される空気Aをカバー部7の内部から外部への流出させるようにして、粉状体Pなどが検知部6a、検定部材10に付着、堆積することを一段と抑制することもできる。
【0073】
待機モードM1では、先のそれぞれの実施形態と同様、センサ6の検定工程が行われる。演算部12は、このセンサ6(検知部6a)による検知データに基づいて、検定部材10の形状を算出して、算出した検定部材10の形状と予め記憶されている検定部材10の形状を比較することにより、センサ6の異常有無を判断する。
【0074】
図20に例示するように測定モードM2に移行した時には、検知部6aから出力された検知光Lは、タイヤTの所望の部位に照射される。即ち、このセンサ6の配置は、検知光LがタイヤTの所望の部位に照射されるように予め設定されている。
【0075】
図20に例示する測定モードM2では、先のそれぞれの実施形態と同様、タイヤTの測定部位の表面形状を検知する。検知部6aから出力された検知光LはタイヤTの測定部位に照射され、測定部位で反射した検知光Lは検知部6aに入力される。この際に回転軸2aを中心にしてタイヤTを回転させる。演算部12は、このセンサ6(検知部6a)による検知データに基づいて、トレッド部Trの表面形状を周方向全周に渡って算出する。このようにして、トレッド部Trの全周の表面形状が検知され、算出された表面形状のデータは演算部12に記憶される。
【0076】
切換機構8が、センサ6を所定位置に固定した状態でカバー部7を移動させることにより、待機モードM1と測定モードM2とに切換える構成にすることも、切換機構8が、センサ6を移動させることにより、待機モードM1と測定モードMとに切換える構成にすることもできる。形状測定装置1を設置するスペースの制約条件などを考慮して、いずれかの構成にうちより適切な構成を採用すればよい。図15図18に例示した実施形態のように、待機モードM1と測定モードM2との切換を行ってもセンサ6が所定位置に固定された状態に維持される構成にすると、センサ6による測定精度のばらつきを抑制するには有利になる。
【0077】
上述の個々の実施形態で説明した構成は、可能な範囲でそれぞれの実施形態に適用することができる。また、それぞれの先の実施形態では、形状を測定する対象を加硫済みのタイヤTにしているが、加硫前のグリーンタイヤを測定対象にすることもできる。この場合、グリーンタイヤが外嵌されている成型ドラムなどが保持部2になる。
【符号の説明】
【0078】
1 タイヤの形状測定装置
2 保持部
2a 回転軸(周方向移動機構)
2b 駆動モータ(周方向移動機構)
3 注気部
4 排気部
5 エアコンプレッサ
6 非接触型のセンサ
6a 検知部
7 カバー部
7a 固定カバー
7b 可動カバー
7c 支軸
7d エアノズル
7e ミラー
8 切換機構
8a 近接離反駆動部
8b 旋回駆動部
8c アーム
8d ガイドレール
9 支持ポスト
10 検定部材
11 検定部材移動機構
12 演算部
13 制御部
T タイヤ
Tr トレッド部
Td ショルダ部
Ts サイド部
A 空気
P 粉状体
L 検知光(レーザ光)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図17
図18
図19
図20