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特許7339624遠隔医療予約システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】遠隔医療予約システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20230830BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021065222
(22)【出願日】2021-04-07
(65)【公開番号】P2022160795
(43)【公開日】2022-10-20
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】518193777
【氏名又は名称】株式会社Linc’well
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】230121016
【弁護士】
【氏名又は名称】小笠原 匡隆
(72)【発明者】
【氏名】金子 和真
(72)【発明者】
【氏名】山本 遼佑
(72)【発明者】
【氏名】戸本 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】氷熊 大輝
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146914(JP,A)
【文献】特開2002-024406(JP,A)
【文献】特許第6781491(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを含み、
前記少なくとも一つのプロセッサが、
遠隔医療行為を提供しうる複数の医療従事者それぞれが複数の医療機関それぞれに在勤するか否かを予約枠ごとに示すスケジュールと、複数の前記医療従事者それぞれの属性とに基づいて、前記医療機関で行われる医療行為の予約枠において前記医療行為を提供できる予約取得者の上限人数を算出し、
予約者による複数の前記医療機関に対する前記予約枠の指定と、前記予約取得者の上限人数と、既に前記医療機関に受け入れられた医療行為の予約の情報とに基づいて、複数の前記医療機関に在勤しうる複数の前記医療従事者のいずれかと、前記遠隔医療行為の提供ための前記予約枠とを、前記予約者に割り当てて予約を取得させ、前記予約者を予約取得者とする
ための処理をするように構成された、遠隔医療予約システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記予約取得者を示す予約取得者情報を作成する、
請求項1に記載の遠隔医療予約システム。
【請求項3】
前記スケジュールは、複数の医療機関それぞれに在勤しうる複数の前記医療従事者それぞれが、前記遠隔医療行為以外の医療行為を提供しうるか否かをさらに示す、
請求項1または2に記載の遠隔医療予約システム。
【請求項4】
前記遠隔医療行為以外の医療行為は、対面医療行為である、
請求項3に記載の遠隔医療予約システム。
【請求項5】
複数の前記医療従事者は、複数の医師を含み、
前記プロセッサは、複数の前記医師それぞれの属性と、前記予約の情報とにさらに基づいて、複数の前記医師のいずれかと、前記予約枠とを、前記予約者に割り当てて前記予約取得者とする、
請求項4に記載の遠隔医療予約システム。
【請求項6】
複数の前記医師それぞれの属性は、当該医師が専門とする診療科を含み、
前記予約の情報は、前記予約者が希望する前記遠隔医療行為の診療科を含み、
前記プロセッサは、前記予約者が希望する診療科を専門とする複数の前記医師のいずれかと、前記予約枠とを、前記予約者に割り当てて前記予約取得者とする、
請求項5に記載の遠隔医療予約システム。
【請求項7】
複数の前記医師それぞれの属性は、当該医師が前記予約取得者1人あたりの対面医療行為の提供に要する時間と、当該医師が前記予約取得者1人あたりの前記遠隔医療行為に要する時間とを含み、
前記プロセッサは、当該医師が前記対面医療行為の提供に要する時間と前記予約取得者1人あたりの前記遠隔医療行為に要する時間との合計が、前記予約枠の時間長以下となる範囲で、当該医師と前記予約枠とを、前記予約者に割り当てる、
請求項5または6に記載の遠隔医療予約システム。
【請求項8】
当該医師が前記予約取得者1人あたりの前記遠隔医療行為に要する時間は、当該医師が前記予約取得者1人あたりの対面医療行為の提供に要する時間に重み付け係数を乗算することにより求められる、
請求項7に記載の遠隔医療予約システム。
【請求項9】
前記医療従事者は、看護師、薬剤師、管理栄養士および検査技師またはこれらの1つ以上を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の遠隔医療予約システム。
【請求項10】
遠隔医療行為を提供しうる複数の医療従事者それぞれが複数の医療機関それぞれに在勤するか否かを予約枠ごとに示すスケジュールと、複数の前記医療従事者それぞれの属性とに基づいて、前記医療機関で行われる医療行為の予約枠において前記医療行為を提供できる予約取得者の上限人数を算出するステップと、
予約者による複数の前記医療機関に対する前記予約枠の指定と、前記予約取得者の上限人数と、既に前記医療機関に受け入れられた医療行為の予約の情報とに基づいて、複数の前記医療機関に在勤しうる複数の前記医療従事者のいずれかと、前記遠隔医療行為の提供ための前記予約枠とを、前記予約者に割り当てて予約を取得させ、前記予約者を予約取得者とするステップと、
を備える、コンピュータが行う遠隔医療予約方法。
【請求項11】
遠隔医療行為を提供しうる複数の医療従事者それぞれが複数の医療機関それぞれに在勤するか否かを予約枠ごとに示すスケジュールと、複数の前記医療従事者それぞれの属性とに基づいて、前記医療機関で行われる医療行為の予約枠において前記医療行為を提供できる予約取得者の上限人数を算出するステップと、
記憶された前記スケジュールと、予約者による複数の前記医療機関に対する前記予約枠の指定と、前記予約取得者の上限人数と、既に前記医療機関に受け入れられた医療行為の予約の情報とに基づいて、複数の前記医療機関に在勤しうる複数の前記医療従事者のいずれかと、前記遠隔医療行為の提供ための前記予約枠とを、前記予約者に割り当てて予約を取得させ、前記予約者を予約取得者とするステップと、
をコンピュータに実行させる遠隔医療予約プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔医療予約システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して患者に遠隔医療行為を提供する遠隔医療が知られている。特許文献1は、このような遠隔医療を予約するシステムを開示する。
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムにおいては、医療行為を提供する医師の人的リソースが予約枠に固定的に設定される。従って、このようなシステムにおいては、遠隔医療行為に割り当てられる医師の人的リソースが、予約枠ごとに過大になったり過小になったりすることがある。また、このようなシステムは、1つ以上の医療機関に所属する医師の人的リソースを、遠隔医療行為の提供に適切に割り当てられない。
【0004】
さらに、医療機関が系列化されて複数あり、1人の医師が2つ以上の医療機関に属しうるとき、このようなシステムは、複数の医療機関に所属する医師の人的リソースを、遠隔医療行為の提供に適切に割り当てられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6796898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施の形態は上述した背景からなされ、1つ以上の医療機関に所属する医療従事者の人的リソースを、遠隔医療行為に適切に割り当てて予約できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、実施の形態にかかる遠隔医療予約システムは、スケジュールデータベースと、予約装置とを備える。スケジュールデータベースは、遠隔医療行為を提供しうる複数の医療従事者それぞれが複数の医療機関それぞれに在勤するか否かを予約枠ごとに示すスケジュールを記憶する。予約装置は、記憶されたスケジュールと、予約者による複数の医療機関に対する予約枠の指定とに基づいて、複数の医療機関に在勤しうる複数の医療従事者のいずれかと、遠隔医療行為の提供ための予約枠とを、予約者に割り当てて予約を取得させ、予約者を予約取得者とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態にかかる遠隔医療予約システムの構成を例示する図である。
図2図1に示した遠隔医療予約システムの端末装置および管理システムのコンピュータとしてのハードウェアの構成を例示する図である。
図3図1に示した管理システムの構成を示す図である。
図4図3に示したスケジュールDBに記憶されるスケジュール情報を例示する図表である。
図5図3に示した属性DBに記憶される医師属性情報を例示する図表である。
図6図3に示した上限人数DBに記憶される予約取得者の上限人数の予約枠ごとの変化を例示する図である。
図7図3に示した上限人数DBに記憶される上限人数情報を例示する図表である。
図8図3に示した余り人数DBに記憶される余り人数情報を例示する図表である。
図9図3に示した予約DBに記憶される予約取得者情報を示す図である。
図10図1図3に示した管理システムの動作を示すフローチャートである。
図11】第2の実施の形態にかかる遠隔医療システムの構成を示す図である。
図12図11に示したコンピュータそれぞれの構成を示す図である。
図13図11図12に示した医療システムのコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
以下、第1の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下、実質的に同じ構成要素、処理、情報およびデータには同じ符号および名称が付される。また、複数ありうる構成要素のいずれかを特定せずに示すときには、構成要素の符号の添え字を省略することがある。また、情報通信および情報処理の主体となり得る構成要素はノードと総称されることがある。
【0010】
また、構成要素などの数および種類は例示的に示され、適宜、増減されたり変更されたりしうる。また、時間長および時刻は例示的に示され、適宜、増減されたり変更されたりしうる。また、数値は例示的に示され、正確性は保証されない。
【0011】
また、図示の都合上、図面において、「装置」および「システム」など、構成要素の名称の一部が適宜、省略されることがある。また、図面において、発明の本質的な説明に関係しない構成要素は、適宜、省略されることがある。また、m,n,p,qは2以上の整数であり、iは1~nの整数であり、jは1~qの整数であり、kは1~qの整数であり、1つのi,j,kそれぞれは複数の数値を示すことがある。また、pは常に同じ数であるとは限らず、qはp以上である。
【0012】
図1は、第1の実施の形態にかかる遠隔医療予約システム1の構成を例示する図である。図1に示すように、遠隔医療予約システム1は、病院、診療所および検査施設などの医療機関に診察などの予約を取ろうとする人が用いる端末装置14-1~14-mおよびその電話機18と、医療機関#1~#nにおいて予約の管理などを行うコンピュータ16-1~16-nおよびその電話機18と、遠隔管理システム1の全体の予約を管理する管理システム2とが、インターネットなどの通信ネットワーク100を介して通信可能に接続された構成を採る。
【0013】
なお、以下、病院、医院および診療所など、医師による診察、治療および手術などの医療行為が提供される施設全般は、医療機関と総称される。また、医療機関に勤務し、対面または遠隔で、診察および治療などを行いうる歯科を含む各診療科の医師、生活指導などを行いうる看護師、投薬および医薬に関する相談および指導などを行いうる薬剤師、食事指導などを行いうる管理栄養士、検査前の食事の指示などを行いうる検査技師などは、常勤か非常勤か、無期雇用か有期雇用かなどを問わず医療従事者と総称される。また、医療従事者による診察、治療および指導などは医療行為と総称される。
【0014】
対面医療行為は、医療従事者が、医療機関および病気の患者などの医療行為の提供を受ける人の自宅などにおいて、医療行為の提供を受ける人と直接に会って行う医療行為である。遠隔医療行為は、医療従事者が、患者などの医療行為の提供を受ける人とは別の距離を隔てた場所にいて直接には会わず、電話機18などを用いて提供する医療行為である。
【0015】
なお、遠隔治療を提供する医療従事者は、医療機関にいてもいなくてもよく、例えば、自宅から遠隔医療を提供してよい。また、病気の患者およびその家族など、医療行為を受ける人は、患者と総称される。また、端末装置14から通信ネットワーク100を介して管理システム2にアクセスし、対面医療行為または遠隔医療行為の予約をしようとしているが、予約を受け入れられるに至っていない患者は予約者と記載され、対面医療行為または遠隔医療行為の予約が受け入れられた患者は予約取得者と記載される。
【0016】
図2は、図1に示した遠隔医療予約システム1の端末装置14、コンピュータ16、電話機18および管理システム2のコンピュータとしてのハードウェア12の構成を例示する図である。図2に示すように、これらのノードは、バス120を介して相互にデータを入出力可能に接続されたCPU(Central Processing Unit)122と、ROM(Read Only Memory)124と、RAM(Random Access Memory)126と、通信ネットワーク100に接続されるネットワークインターフェース(IF)128と、ディスプレイ、キーボード、スピーカおよびマイクなどのユーザインターフェース(UI;User Interface)装置が接続される入出力装置(I/O)130と、フラッシュメモリおよびDVDなどの記録媒体に対して、データの書き込みおよび読み出しを行う記録装置132と、プリンタ102などが接続される外部装置IF134とを備える。
【0017】
遠隔医療システム1における各ノードの構成要素は、専門のハードウェアにより実現されても、図2に示したROM124などに記憶されたソフトウェアをCPU122が実行することにより実現されても、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。また、通信ネットワーク100と、端末装置14、コンピュータ16、電話機18および管理システム2との間の通信は、有線通信回線または無線通信回線およびこれらの組み合わせを介して行われうる。
【0018】
図1に示した端末装置14およびコンピュータ16それぞれに対応して設けられる1台以上の電話機18は、音声通話機能を提供する電話機、音声および画像による通信が可能なスマートフォン、および、音声および画像の他に医療行為に関係する情報の通信も可能な情報端末でありうる。この情報端末は、パーソナルコンピュータと遠隔医療行為用のアプリケーションソフトウェアとの組み合わせなどで構成されうる。
【0019】
患者により用いられる電話機18は、その自宅などに設置されたり、患者自身により携帯されたりしうる。また、医療従事者により用いられる電話機18は、コンピュータ16を用いる医療機関およびこれに関係する施設に設置されたり、医療従事者の自宅に設置されたり、医療従事者により携帯されたりしうる。
【0020】
以下、説明を具体的にして理解が容易になるように、医療機関#1~#nは系列化されており、医療従事者が、これらの医療機関の1つ以上に勤務する複数の医師であり、コンピュータ16-1~16-nおよび電話機18がこれらの医療機関それぞれにおいて用いられ、診療科が内科、外科および皮膚科である場合が具体例として示される。なお、複数の医師それぞれは、勤務時間を調整することにより、複数の医療機関において勤務しうる。
【0021】
図3は、図1に示した管理システム2の構成を示す図である。図3に示すように、管理システム2は、人数管理装置20と、予約装置22とを備える。
【0022】
人数管理装置20は、スケジュール作成装置200と、スケジュールデータベース(DB;Data Base)202と、属性管理装置204と、属性DB206と、上限人数算出装置210と、上限人数DB212とを備える。
【0023】
予約装置22は、GUI(Graphical User Interface)装置220と、予約処理装置222と、予約管理装置224と、余り人数DB226と、予約DB228と、予約提示装置230と、分散処理装置232とを備える。
【0024】
管理システム2は、これらの構成要素により、系列化された複数の医療機関#1~#n全体にわたって患者からの遠隔医療行為の予約を受け入れ、予約が受け入れられた予約枠において医師の人的リソースが足りる限りにおいて、患者が医師から遠隔医療行為の提供を受けられるようにする。
【0025】
人数管理装置20のスケジュール作成装置200は、コンピュータ16それぞれから入力される情報を処理してスケジュールを作成し、管理する。
【0026】
スケジュールにおいては、医療機関#1~#nに勤務しうる医師それぞれが、医療機関#1~#nのいずれかにおいて医療行為を行う在勤の状態であるか否か(不在の状態であるか)と、日付および予約枠とが対応付けられる。スケジュール作成装置200は、作成したスケジュールを示すスケジュール情報を、スケジュールDB202に記憶する。スケジュールDB202は、スケジュール情報を記憶する。
【0027】
スケジュール作成装置200は、医療機関#1~#nのコンピュータ16それぞれから、スケジュール情報を作成するための情報を得て、医療機関#1~#nのn種類のスケジュール情報#1~#nを作成する。
【0028】
図4は、図3に示したスケジュールDB202に記憶される医療機関#iのスケジュール情報を例示する図表である。医療機関#iのスケジュール情報#iは、複数のエントリを含み、これらエントリそれぞれは、図4に示すように、医療機関#iが医療行為を提供する日付と、スケジュールの管理の単位となる複数の予約枠(9:00~10:00,10:00~11:00,・・・,17:00~18:00)それぞれと、複数の医師D#1~D#pそれぞれが、医療機関#iに在勤の状態であるか否かとを対応づけて示すデータを含む。
【0029】
属性管理装置204は、医療機関#1~#nのコンピュータ16-1~16-nそれぞれから通信ネットワーク100を介して入力され、医療機関#1~#nに在勤しうる医師それぞれの属性を作成する。属性管理装置204は、これらの医師それぞれの属性を示す医師属性情報を属性管理装置204に記憶する。
【0030】
図5は、図3に示した属性DB206に記憶される医師属性情報を例示する図表である。図5に示すように、医師の属性を示す医師属性情報は、医療機関#1~#nに勤務しうる医師D#1~D#qそれぞれと、専門科と、直接医療人数/時間と、経験年数と、直接医療重み付け係数と、遠隔医療重み付け係数と、特記事項とを示すデータを対応付けて含む。
【0031】
なお、医師D#1~D#qの集合は医師#1~D#pの集合を包含し、図4に示したスケジュール情報#iにおける医師#jは、図5に示した医師属性情報における医師#jと必ずしも同じではなく、医師属性情報における医師#1~#qの1人以上である。
【0032】
専門科は、医師D#kが専門とする診療科、つまり、内科であるか、外科であるか、皮膚科であるかを示し、1人の医師に複数の専門科が対応付けられ得る。
【0033】
直接医療人数/時間は、医師D#kが、図4に示した予約枠の時間長において、専門科の範囲で直接医療行為を提供できる予約取得者の上限の人数を示す専門業務人数、または、専門科の範囲で直接医療行為を1人の予約取得者に提供するために要する時間を示す専門業務時間、あるいは、これらの両方を示す。以下、上限の人数は、上限人数と記載される。
【0034】
なお、医師D#kが複数の専門科を有するときには、医師D#kに複数の直接医療人数または時間が対応付けられ得る。また、直接医療人数と直接医療時間とは互いに逆数の関係にあり、これらは誤差を除けば等価である。
【0035】
また、以下の記載において、上限人数などの人数に小数点以下の数値が生じたときには、医療機関の方針に応じて、小数点以下の人数は、切り捨てられたり、切り上げられたり、四捨五入されたりする。以下、小数点以下の人数が切り捨てられる場合を説明する。
【0036】
経験年数は、医師D#kの専門科の範囲の医療行為の経験年数を示し、例えば、経験年数が10年以上の時には「長」とされ、5~10年の時には「平均的」とされ、5年以下の時には「短」とされる。なお、1人の医師が複数の専門科に対応付けられたときには、その医師に複数の経験年数が対応付けられ得る。
【0037】
直接医療重み付け係数は、医師D#kが、図4に示した予約枠において複数の予約取得者に医療行為を行うときに見込むべき余裕を与える1以上の実数である。医師D#kが実際に専門科における医療行為を提供しうる予約取得者の実際の上限人数は、直接医療人数を、直接医療重み付け係数で除算した人数である。また、医師D#kが1人の予約取得者に専門科における医療行為を提供するために要する時間の実際の値は、直接医療時間に直接医療重み付け係数を乗算した値である。
【0038】
遠隔医療重み付け係数は、医師D#1~D#qそれぞれが、遠隔医療行為を行うための業務時間を与える正の実数である。つまり、医師D#kが遠隔医療行為を提供できる予約取得者の上限人数は、直接医療時間を遠隔医療重み付け係数で除算した人数である。また、医師D#kが1人の予約取得者に遠隔医療行為を提供するために要する時間の値は、直接医療時間に遠隔医療重み付け係数を乗算した値である。
【0039】
医師属性情報における直接医療人数または時間、直接医療重み付け係数および遠隔医療重み付け係数は、医師自身の申告または医療機関の管理職による評価に基づいて作成されても、経験年数および特記事項の内容から自動的に作成されてもよい。
【0040】
特記事項は、医師D#kが得意とする事項、例えば遠隔医療の的確性などの特記されるべき事項を示す。
【0041】
上限人数算出装置210は、図4に示した医療機関#1~#nのスケジュール情報#1~#nの全てをスケジュールDB202から読み出し、図5に示した医師属性情報を属性DB206から読み出す。
【0042】
上限人数算出装置210は、読み出したこれらの情報を処理し、医療機関#1~#nそれぞれにおいて、予約枠ごとに診療科による直接医療行為の提供を受ける予約取得者の上限人数を算出して上限人数情報#1~#nを作成する。上限人数算出装置210は、作成した上限人数情報#1~#nを、上限人数DB212に記憶する。
【0043】
図6を参照して上限人数算出装置210の処理をさらに説明する。図6は、図3に示した上限人数DB212に記憶され、ある診療科により直接医療行為の提供を受ける予約取得者の上限人数の予約枠ごとの変化を例示する図である。上限人数算出装置210は、以下に説明するように限定され、各予約枠において各診療科の医療行為および定型的な各医療行為を提供できる予約取得者の上限人数を、医師それぞれのスケジュールおよび属性に基づいて算出する。
【0044】
まず、予約取得者の上限人数の変動を説明する。図4図5に示したように、各予約枠において、医療機関の各診療科において在勤の状態の医師の数と、在勤の状態の医師それぞれの直接医療人数または時間とは変化する。まず、3人の内科の医師識別子(ID;IDentifier)#1’~ID#3’が、ある予約枠において在勤状態にあり、それぞれの直接医療時間と直接医療重み付け係数との乗算値が0.2時間,0.25時間,0.3時間である場合を、図5とは異なる第1の例とする。
【0045】
この第1の例において、医師ID#1’は、その予約枠において5人の予約取得者に医療行為を提供することができ、医師ID#2’は、その予約枠において4人の予約取得者に医療行為を提供することができ、医師ID#3’は、その予約枠において3人の予約取得者に医療行為を提供することができる。従って、この予約枠における内科の予約取得者の上限は12人である。
【0046】
また、2人の内科の医師ID#4’,ID#5’が他の予約枠において在勤状態にあり、それぞれの直接医療時間と直接医療重み付け係数との乗算値が0.3時間,0.25時間である場合を、図5とは異なる第2の例とする。この第2の例において、医師ID#4’は、その予約枠において3人の予約取得者に医療行為を提供することができ、医師ID#5’は、その予約枠において4人の予約取得者に医療行為を提供することができる。従って、この予約枠における内科の予約提供者の上限は7人である。
【0047】
このように、ある予約枠において医療機関#iに在勤の状態にある医師D#jは、医師D#jの直接医療時間と直接医療重み付け係数と予約取得者とを乗算してられる時間長が、その予約枠の時間長を超えない範囲で、予約取得者に専門科の医療行為を提供できる。
【0048】
つまり、医療機関#iに在勤の状態にある医師D#jが、その専門科の医療行為を提供できる予約取得者の上限人数は、医師D#jの直接医療時間と、直接医療重み付け係数と、予約枠の時間長により限定される。これらの間には、「直接医療時間×直接医療重み付け係数×上限人数<予約枠の時間長」の関係が成り立つ。
【0049】
医療機関#iのある診療科が、ある予約枠において医療行為を提供できる予約取得者の上限人数は、在勤の状態にあるその診療科の医師D#jが、その予約枠において、その診療科の医療行為を提供できる予約取得者の上限人数の合計により限定される。また、各予約枠において在勤状態にある各診療科の医師D#jと、各診療科の医師D#jそれぞれの直接医療時間と直接医療重み付け係数とに応じて、各診療科の予約取得者の上限人数は、図6に示すように、予約枠ごとに変化しうる。
【0050】
さらに、上限人数算出装置210は、以下に説明するように限定される遠隔医療行為の予約取得者の上限人数を算出する。まず、各診療科による直接医療行為の提供の予約取得者の上限人数と、実際に予約が受け入れられた各診療科による直接医療行為の提供の予約取得者の人数との差と、遠隔医療行為の予約取得者の上限人数の関係を説明する。以下、この人数の差は、余り人数とも記載される。
【0051】
上限人数算出装置210は、図4に示したスケジュール情報#1~#nの全てをスケジュールDB202から読み出し、また、図5に示した医師属性情報を属性DB206から読み出す。上限人数算出装置210は、読み出したこれらの情報を処理し、医療機関#1~#nの各診療科により直接医療行為および遠隔医療行為を提供可能な予約取得者の各予約枠における上限人数を算出して上限人数情報を作成する。上限人数算出装置210は、作成した上限人数情報を、上限人数DB212に記憶する。
【0052】
図7は、図3に示した上限人数DB212に記憶される上限人数情報を例示する図表である。上限人数情報は、複数のエントリを含む。これら複数のエントリそれぞれは、図7に示すように、医療機関#1~#nの1つ以上が医療行為を行う日付と、複数の予約枠と、対面医療行為および遠隔医療行為と、医療機関#1~#nの1つ以上の各診療科の各予約枠における予約取得者の上限人数とを示すデータを対応づけて含む。
【0053】
なお、図7は、対面医療行為が遠隔医療行為より優先され、対面医療行為の人的リソースが、予約者による予約があったときにのみ、対面医療行為への医師の人的リソースから割り当てられ、予約がないときには割り当てられない例を示す。従って、図7に示すように、初期の上限人数情報においては、遠隔医療行為に医師の人的リソースおよび時間枠は割り当てられず、これらの上限人数は0人とされる。
【0054】
なお、医療機関#1~#nに在勤の医師#jの人的リソースは、勤務状態にある医師#jそれぞれの属性と、医師#jそれぞれが対面医療行為および遠隔医療行為を予約取得者に提供できる予約枠の組み合わせとして定義されうる。また、予約者が、対面医療行為または遠隔医療行為の予約をするときには、端末装置14から管理システム2に、予約を希望する日時の時間枠および診療科と、予約者の氏名および連絡先など、予約者を特定する情報とを送信する必要がある。なお、予約者を特定する情報は、予約取得者を示す予約取得者情報の作成に利用されうる。
【0055】
ただし、対面医療行為と遠隔医療行為とのいずれに優先順位をつけるか、あるいは、これらのいずれにも優先順位をつけないかは管理システム2を運営する医療機関の方針による。従って、これらそれぞれに割り当てられる医師の人的リソースの割合は、医療機関の管理職により予め定められえ、また、対面医療行為および遠隔医療行為への予約取得者の人数に応じて経時的に変更されうる。
【0056】
図3に示した予約装置22の予約管理装置224は、図7に示した上限人数情報を上限人数DB212から読み出し、図5に示した医師属性情報を属性管理装置204から読み出す。また、予約管理装置224は、読み出したこれらの情報と予約処理装置222から入力される予約情報とを処理して、図8に示ように、医療機関#1~#nそれぞれのnの余り人数情報#1~#nを作成し、余り人数DB226に記憶する。
【0057】
図8は、図3に示した余り人数DB226に記憶される医療機関#iの余り人数情報#iを例示する図表である。余り人数情報#iは、複数のエントリを含む。複数のエントリそれぞれは、図8に示すように、医療機関が医療行為を行う日付と、複数の予約枠それぞれと、医療機関の複数の診療科それぞれと、対面医療行為の上限人数と余り人数と、遠隔医療行為の上限人数と余り人数とを対応づけて示すデータを含む。
【0058】
予約管理装置224の処理をさらに説明する。スケジュール作成装置200が、医療機関#iのある日付のスケジュール情報#iを確定させ、図4に示したようにスケジュールDB202に記憶すると、上限人数算出装置210は、その日付の上限人数情報#iを確定させ、図7に示したように上限人数DB212に記憶する。
【0059】
予約管理装置224は、ある日付の上限人数情報#iが確定すると、この上限人数情報#iを上限人数DB212から読み出す。予約管理装置224は、読み出した上限人数情報#iに含まれる上限人数を、その日付の医療機関#iの余り人数情報#iに含まれる各予約枠の最初の上限人数とする初期化を行う。
【0060】
ある予約枠において遠隔医療行為の提供を受ける予約取得者が生じたことを示す予約情報が予約処理装置222から最初に入力されると、予約管理装置224は、この予約枠における対面医療行為の提供のための医師#kの人的リソースを、遠隔医療行為の提供に割り当てる。また、予約管理装置224は、遠隔医療行為の提供に割り当てた医師#kの人的リソースに対応する対面医療行為の上限人数を減らす。
【0061】
また、予約管理装置224は、遠隔医療行為の提供に割り当てた医師#kの人的リソースに対応する予約取得者の上限人数を算出し、この上限人数から1人を減らした人数を、この予約枠における最初の予約取得者の余り人数とする。
【0062】
また、予約管理装置224は、医師#kの人的リソースが割り当てられた予約枠において、遠隔医療行為の提供を受ける予約取得者が1人、生じたことを示す予約情報が予約処理装置222から入力されるたびに、遠隔医療行為の提供を受ける予約取得者の余り人数を1人、減らす。
【0063】
なお、ある予約枠において遠隔医療行為の提供を受ける予約取得者の余り人数が0人となったときに、さらに、予約取得者が1人生じたことを示す予約情報が、予約処理装置222から予約管理装置224に入力されることがある。
【0064】
このときには、予約管理装置224は、この予約枠における対面医療行為の提供のための医師#kの人的リソースを、この予約枠における遠隔医療行為の提供にさらに割り当てる処理を行う。なお、予約管理装置224は、このような処理を、この予約枠において対面医療行為の提供のための医師#kの人的リソースに余裕がある場合に限って行う。
【0065】
ある予約枠において、対面医療行為の提供を受ける予約取得者が1人、生じたことを示す予約情報が予約処理装置222から入力されるたびに、予約管理装置224は、この予約枠の対面医療行為の余り人数を1人減らす。
【0066】
1人の予約取得者が、ある予約枠において対面医療行為または遠隔医療行為の提供を受ける予約のキャンセルしたことを示す予約情報が予約処理装置222から入力されたときには、予約管理装置224は、この予約のキャンセルを、医療機関#iの余り人数情報#iに反映させる処理を行う。つまり、予約管理装置224は、この予約枠における医療機関#iの対面医療行為または遠隔医療行為の余り人数を1人、増やす。
【0067】
また、予約のキャンセルにより、ある予約枠において遠隔医療行為の提供を受ける予約取得者の人数が0人になったときには、予約管理装置224は、この遠隔医療行為の提供に割り当てられた医師#kの人的リソースを、対面医療行為の提供のための割り当てに戻す。
【0068】
さらに、予約管理装置224は、この医師#kの人的リソースを、医療機関#iの余り人数情報#iに反映させる。つまり、予約管理装置224は、この人的リソースに対応する予約枠の余り人数情報#iの対面医療行為の上限人数および余り人数を増やす。以上説明したように、余り人数情報#iに含まれる上限人数および余り人数の値は、予約取得者および予約のキャンセルに伴い、経時的に変化しうる。このように、予約管理装置224は、医療機関#iにおいて予約取得者および予約のキャンセルに変化が生じるたびに、余り人数情報#iを更新して、余り人数DB226に記憶する。
【0069】
GUI装置220は、図8に示した余り人数情報を余り人数DB226から読み出し、読み出した医療機関#iの余り人数情報#iを示し、予約者の操作の受け入れに用いられるGUI画像を端末装置14のUI装置のディスプレイに表示させる。予約者が、表示されたGUI画像を参照し、対面医療行為または遠隔医療行為の提供を希望する予約枠を指定する操作を端末装置14に対して行うと、GUI装置220は、予約者の操作を受け入れ、予約処理装置222に対して出力する。
【0070】
予約処理装置222は、GUI装置220が受け入れた予約者の操作の内容を判断して、判断の結果を示す予約情報を予約管理装置224に対して出力する。予約情報は、予約者がいずれの予約枠において医療機関#iのいずれの診療科の対面医療以行為または遠隔医療行為の提供を予約しようとするか、予約取得者がいずれの予約枠において医療機関#iのいずれの診療科の対面医療行為または遠隔医療行為の予約をキャンセルしようとするかを示す。
【0071】
予約処理装置222は、受け入れた予約者の操作から予約取得者情報を作成し、予約者が予約取得者になったときに予約DB228に記憶する。図9は、予約DB228に記憶される予約取得者情報を示す図である。予約取得者情報は、それぞれ予約取得者の情報を示す複数のエントリを含み、複数のエントリそれぞれの情報は、図9に示すように、予約取得者IDと、予約が取られた医療機関#i、診療科および予約枠と、予約取得者属性とを示すデータを対応づけて含む。
【0072】
予約取得者属性は、予約者情報と、問診情報と、対面医療行為と遠隔医療行為の種別と、初診か再診かの種別と、予約取得者の持病などの特記事項とを示すデータを含む。
【0073】
予約取得者IDは、予約取得者を一意に識別する。予約枠は、予約取得者が医療行為を予約した予約枠を示す。予約者情報は、予約取得者の年齢、性別、住所、連絡先などを示す。問診情報は、診療行為の事前に問診が行われたときに、その問診の結果を示す。
【0074】
予約提示装置230は、余り人数DB226に記憶された余り人数情報と、予約DB228に記憶された予約取得者情報を管理システム2のUI装置に表示し、管理システム2の運営者に提示する。
【0075】
以下、図1図3に示した管理システム2の動作を説明する。図10は、図1図3に示した管理システム2の動作を示すフローチャートである。なお、図10には、新たに予約取得者が生じたときの管理システム2の動作が示される。
【0076】
図10に示す動作の前に、人数管理装置20の各構成要素は、まず、図4に示したスケジュール情報#1~#nと、図5に示した医師属性情報#1~#qを作成して記憶する。さらに、GUI装置220は、余り人数DB226から、図8に示した余り人数情報#1~#nを読み出し、余り人数情報#1~#nの全て、または、これらの集計を示すGUIを端末装置14のUI装置のディスプレイに表示させる。
【0077】
管理システム2は、図10に示す動作を、例えば1秒おきに行う。ステップS100において、GUI装置220は、管理システム2に対して、予約者から、予約枠を指定した対面医療行為または遠隔医療行為の提供の予約のための操作を受け入れたか否かを判断する。
【0078】
管理システム2は、予約者からの操作をGUI装置220が受け入れたとき(S100の処理においてY)にはS102の処理に進み、操作を受け入れなかったとき(S100の処理においてN)にはS100の処理に留まる。
【0079】
ステップS102において、予約管理装置224は、属性DB206、上限人数DB212および余り人数DB226から、図5図7図8に示した医師属性情報、上限人数情報および余り人数情報#1~#nを読み出す。
【0080】
ステップS104において、予約管理装置224は、余り人数情報#1~#nを処理し、予約者が指定した時間枠における診療科の対面医療行為を予約しようとしたときには、診療科の対面医療行為の余り人数が1人以上であるか否かを判断する。管理システム2は、診療科の対面医療行為の余り人数が1人以上であると予約管理装置224が判断したとき(S104の処理においてY)にはS114の処理に進む。管理システム2は、診療科の対面医療行為の余り人数が1人以上でないと予約管理装置224が判断したとき(S104の処理においてN)にはS106の処理に進む。
【0081】
一方、予約管理装置224は、余り人数情報#1~#nを処理し、予約者が指定した時間枠における診療科の遠隔医療行為を予約しようとしたときには、診療科の遠隔医療行為の余り人数が1人以上であるか否かを判断する。管理システム2は、診療科の遠隔医療行為の余り人数が1人以上であると予約管理装置224が判断したとき(S104の処理においてY)にはS114の処理に進む。管理システム2は、診療科の遠隔医療行為の余り人数が1人以上でないと予約管理装置224が判断したとき(S104の処理においてN)にはS106の処理に進む。
【0082】
ステップS106において、予約管理装置224は、図3に示した属性DB206、上限人数DB212および余り人数DB226から、図5図7図8に示した医師属性情報、上限人数情報および余り人数情報#1~#nを読み出す。予約管理装置224は、さらに、読み出した情報を処理し、予約者が希望する予約枠における診療科の対面医療行為に、遠隔医療行為の人的リソースを割り当てられるか否かを判断する。
【0083】
管理システム2は、対面医療行為に遠隔医療行為の人的リソースを割り当てられると予約管理装置224が判断したとき(S106の処理においてY)にはS108の処理に進む。管理システム2は、対面医療行為に遠隔医療行為の人的リソースを割り当てらないと予約管理装置224が判断したとき(S106の処理においてN)にはS110の処理に進む。
【0084】
あるいは、予約管理装置224は、読み出した情報を処理し、予約者が希望する予約枠における診療科の遠隔医療行為に、対人医療行為の人的リソースを割り当てられるか否かを判断する。管理システム2は、遠隔医療行為に対人医療行為の人的リソースを割り当てられると予約管理装置224が判断したとき(S106の処理においてY)にはS108の処理に進む。管理システム2は、遠隔医療行為に対人医療行為の人的リソースを割り当てらないと予約管理装置224が判断したとき(S106の処理においてN)にはS110の処理に進む。
【0085】
ステップS108において、予約管理装置224は、対人医療行為に遠隔医療行為の人的リソースを割り当て、あるいは、遠隔医療行為に対人医療行為の人的リソースを割り当てる。さらに、予約管理装置224は、図8に示した余り人数情報#1~#nのうち、更新を要する1つ以上を更新し、余り人数DB226に記憶させる。
【0086】
ステップS110において、GUI装置220は、予約の変更を予約者に促すGUI画像を生成し、端末装置14に送信してUI装置のディスプレイなどに表示させ、予約者に示させる。
【0087】
ステップS112において、GUI装置220は、端末装置14に対する予約変更のための操作を、予め決められた時間が経過するまでに予約者が行ったが否かを判断する。管理システム2は、予約変更のための操作を予約者が端末装置14に対して行ったとGUI装置220が判断したとき(S112の処理においてY)にはS102の処理に戻る。管理システム2は、予約変更のための操作を予約者が端末装置14に対して行ったとGUI装置220が判断しなかったとき(S112の処理においてN)には動作を終了する。
【0088】
ステップS114において、予約管理装置224は、予約者からの予約を受け入れ、さらに、図8に示した余り人数情報#1~#nのうち、更新を要する1つ以上を更新し、余り人数DB226に記憶させる。
【0089】
ステップS116において、予約処理装置222は、図9に示した予約取得者情報を作成し、予約DB228に記憶させる。
【0090】
以上の処理により受け入れられた対面診療行為および遠隔診察行為のスケジュールおよび予約取得者情報は、医療システム2を運営する病院の管理職から各医師に伝えられ、各医師による予約取得者への対面診療行為および遠隔診察行為の予約取得者への提供が行われる。
【0091】
以上、図10を参照して予約者により新たに予約が行われたときの管理システム2の動作を説明したが、予約取得者が予約をキャンセルしたときの管理システム2の動作は、以上の説明に基づいて、当業者にとって容易に類推が可能であろう。なお、管理システム2による予約を、医師だけでなく、看護師、薬剤師、管理栄養士および検査技師またはこれらの1つ以上の医療従事者について行おうとするときには、図4に示したスケジュール情報#1~#10および図5に示した医師属性情報を、これらの職種に合わせて適切に変更すればよい。
【0092】
[第2の実施の形態]
以下、第2の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。第1の実施の形態においては、図1図3に示した管理システム2が、医療機関#1~#n全体の対面医療行為および遠隔医療行為のスケジュールを作成する。
【0093】
一方、第2の実施の形態においては、医療機関#1~#nのコンピュータ16-1~16-nそれぞれが、図3に示した管理システム2と同様な構成要素を含み、これらの構成要素の動作の変更により実現される分散処理により、医療機関#1~#n全体の対面医療行為および遠隔医療行為のスケジュールを作成する。以下、主に、管理システム2による対面医療行為および遠隔医療行為のスケジュールを作成と、コンピュータ16-1~16-nによる対面医療行為および遠隔医療行為のスケジュールの作成との差分を説明する。
【0094】
図11は、第2の実施の形態にかかる遠隔医療システム3の構成を示す図である。図11に示すように、管理システム3は、図1に示した遠隔医療システム1から、管理システム2を除いた構成を採る。
【0095】
図12は、図11に示したコンピュータ16-1~16-nそれぞれの構成を示す図である。なお、以下、コンピュータ16-1~16-nそれぞれは、単に「コンピュータ16-i」とも記載される。
【0096】
コンピュータ16-iは、医療機関#iにより用いられ、図12に示すように、図3に示した管理システム2の予約装置22を予約装置24で置換した構成を採り、予約装置24は、予約装置22に分散処理装置232を追加した構成を採る。ただし、コンピュータ16-iの各構成要素の動作は、図3に示した管理システム2の構成動作の動作から、必要に応じて変更される。
【0097】
医療機関#iのコンピュータ16-iにおいて、人数管理装置20のスケジュール作成装置200は、UI装置などから入力される情報を処理して、医療機関#iに在勤しうる医師#1~#pのみのスケジュールを作成して管理する。スケジュール作成装置200は、さらに、医療機関#iに在勤しうる医師#1~#pのスケジュールのみを、図4に示したように作成し、スケジュール情報#iとしてスケジュールDB202に記憶する。
【0098】
属性管理装置204は、UI装置などから入力される情報を処理して、医療機関#iに在勤しうる医師#1~#pそれぞれの属性のみを作成し、図5に示したような医療機関#iの医師属性情報を属性管理装置204に記憶する。
【0099】
上限人数算出装置210は、図4に示したような医療機関#iのスケジュール情報#iと、医療機関#iの医師属性情報#iとを処理し、図7に示したような医療機関#iの上限人数情報#iを作成し、上限人数DB212に記憶する。
【0100】
図12に示した予約装置24の予約管理装置224は、医療機関#iの上限人数情報#iと、医療機関#iの医師属性情報#iとを処理して、図8に示したような医療機関#iのみの余り人数情報#iを作成する。予約管理装置224は、作成した医療機関#iの余り人数情報#iを余り人数DB226に記憶し、上限人数DB212に記憶される医療機関#iの上限人数情報#iの初期値とする。
【0101】
GUI装置220は、医療機関#iの余り人数情報#iを、余り人数DB226から読み出し、読み出した余り人数情報を示すGUI画像を、端末装置14のUI装置のディスプレイに表示させる。GUI装置220は、表示されたGUI画像に対して行われ、医療機関#iに対して医療行為の提供を予約しようとする予約者の操作を受け入れ、予約処理装置222に対して出力する。
【0102】
予約処理装置222は、GUI装置220により受け入れられた予約者の操作の内容を判断して、判断の結果を示す予約情報を予約管理装置224に対して出力する。さらに、予約処理装置222は、図9に示した医療機関#iの予約取得者情報を作成し、予約者が予約取得者になったときに予約DB228に記憶する。
【0103】
予約提示装置230は、余り人数DB226に記憶された医療機関#iの余り人数情報#iと、予約DB228に記憶された予約取得者情報とを医療システム2のUI装置に表示し、医療システム2の運営者に提示する。
【0104】
コンピュータ16-iの分散処理装置232は、予約者から医療機関#iに対する遠隔医療行為の予約があり、医療機関#iにおいて遠隔医療行為の予約が受け入れられないときに、他の医療機関#1~#i-1,#i+1~#nにおいて用いられるコンピュータ16-1~16-(i-1),16-(i+1)~16-nそれぞれに対して、遠隔医療行為の予約を受け入れられるか否かを問い合わせる。
【0105】
なお、以下、コンピュータ16-i以外の他のコンピュータ16-1~16-(i-1),16-(i+1)~16-nは、単に「他のコンピュータ16」とも記載される。また、医療機関#i以外の医療機関#1~#i-1,#i+1~#nは、単に「他の医療機関」とも記載される。
【0106】
分散処理装置232は、他の医療機関のいずれかが、医療機関#iに対する遠隔医療行為の予約を受け入れうるときには、その医療機関に、この予約を受け入れさせる。また、分散処理装置232は、他の医療機関のいずれもが遠隔医療行為の予約を受け入れられないときには、遠隔医療行為が受け入れられない旨をGUI装置220に通知し、端末装置14のUI装置のディスプレイなどを介して予約者に表示させる。
【0107】
以下、図11図12に示した管理システム3の動作を説明する。図13は、図11図12に示した医療システム3のコンピュータ16の動作を示すフローチャートである。なお、図13には、新たに予約取得者が生じたときの管理システム3の動作が示される。
【0108】
まず、管理システム3において、コンピュータ16-iの各構成要素は、医療機関#iのスケジュール情報#iと、医師属性情報#iとを作成して記憶する。さらに、コンピュータ16-iのコンピュータ16-iのGUI装置220は、余り人数DB226から余り人数情報#iを読み出し、端末装置14のUI装置のディスプレイに表示させる。
【0109】
S200以下の動作は、図10に示した管理システム2の処理と同様に、例えば1秒ごとに行われる。図13に示すように、ステップS200において、コンピュータ16-iのGUI装置220は、医療機関#iに対する予約者からの操作を受け入れたか否かを判断する。コンピュータ16-iは、予約者からの操作をGUI装置220が受け入れたとき(S200の処理においてY)にはS202の処理に進み、操作を受け入れなかったとき(S200の処理においてN)にはS210の処理に進む。
【0110】
ステップS202において、コンピュータ16-iの予約管理装置224は、余り人数DB226から医療機関#iの余り人数情報#iを読み出す。
【0111】
ステップS204において、コンピュータ16-iの予約管理装置224は、医療機関#iに対する予約が示す日付、診療科および予約枠において、余り人数情報#iの余り人数が1人以上あるか否かを判断する。
【0112】
コンピュータ16-iは、余り人数を1人以上と予約管理装置224が判断したとき(S204の処理においてY)にはS206の処理に進み、予約管理装置224が、余り人数を1人以上でないと判断したとき(S204の処理においてN)にはS220の処理に進む。
【0113】
ステップS206において、コンピュータ16-iの予約管理装置224および分散処理装置232などは、分散処理装置232から読み出された医療機関#iの余り人数情報#iと、他のコンピュータ16から受信された余り人数情報#1~#i-1,#i+1~#nなどを処理して予約処理を行い、医療システム2は動作を終了する。なお、以下、他のコンピュータ16から受信された余り人数情報#1~#i-1,#i+1~#nは、単に「他のコンピュータ16の余り人数情報」などと記載される。
【0114】
予約処理において、予約管理装置224は、医療機関#iに対して予約を行った予約者が希望する日付、診療科および予約枠について、余り人数DB226から読み出した医療機関#iの余り人数情報#iが示す対面医療行為または遠隔行為の余り人数が1人以上であるか否かを判断する。
【0115】
予約管理装置224は、余り人数を1人以上と判断したときには対面医療行為または遠隔医療行為の予約を受け入れる。さらに、予約管理装置224は、GUI装置220を介して端末装置14のUI装置のディスプレイに予約が受け入れられた旨を表示させ、予約者に示す。
【0116】
予約管理装置224は、さらに、必要に応じて、人的リソースの割り当てを更新し、この予約者を予約取得者とし、余り人数情報#iを更新して余り人数DB226に記憶させる。予約処理装置222は、この予約取得者の予約者取得情報を作成して予約DB228に記憶させる。
【0117】
予約管理装置224は、他のコンピュータ16から受信した余り人数情報のいずれかが、医療機関#iに対して予約を行った予約者が希望する日付、診療科および予約枠における遠隔医療行為の余り人数が1人以上であることを示すか否かを判断する。なお、この予約者が、コンピュータ16-iに対して予約を行う予約者であるか、他のコンピュータ16に対して予約を行う予約者であるかは問われない。
【0118】
予約管理装置224は、他のコンピュータ16から受信した余り人数情報のいずれかが、予約者が希望する日付、診療科および予約枠における遠隔医療行為の余り人数が1人以上であることを示すときには、予約者が希望する日付および予約枠を分散処理装置232に通知する。
【0119】
分散処理装置232は、このコンピュータ16に、予約者が希望する日付、診療科および予約枠と、予約取得者情報の作成に必要な情報とを送信し、このコンピュータ16が用いられる他の医療機関における遠隔医療行為の予約を行わせる。予約管理装置224は、さらに、GUI装置220を介して端末装置14のUI装置のディスプレイに予約が受け入れられた旨を表示させ、予約者に示す。
【0120】
予約管理装置224は、他のコンピュータ16から受信した余り人数情報のいずれもが、予約者が希望する日付および予約枠における遠隔医療行為の余り人数が1人以上であることを示さないときには、GUI装置220を介して端末装置14のUI装置のディスプレイに予約が受け入れられなかった旨を表示させ、予約者に示す。
【0121】
ステップS210において、分散処理装置232は、他のコンピュータ16から遠隔医療の予約の受け入れが可能か否かの問い合わせがあったか否かを判断する。コンピュータ16-iは、他のコンピュータ16から問い合わせあったと分散処理装置232が判断したときにはS212の処理に進む。コンピュータ16-iは、他のコンピュータ16から問い合わせがなかったと分散処理装置232が判断したときにはS200の処理に戻る。
【0122】
ステップS212において、コンピュータ16-iの分散処理装置232は、余り人数DB226から、問い合わせに含まれ、予約者が医療行為の提供の予約を取ろうとする日付、診療科および時間枠を読み出す。さらに、分散処理装置232は、問い合わせに含まれ、予約者を特定する情報を予約管理装置224に対して出力する。
【0123】
ステップS214において、分散処理装置232は、S212の処理において読み出した日付の余り人数情報#iを余り人数DB226から読み出す。さらに、分散処理装置232は、余り人数情報#iを処理し、問い合わせに含まれていた診療科および予約枠においける余り人数が1人以上であるか否かを判断する。
【0124】
コンピュータ16-iは、余り人数を1人以上と分散処理装置232が判断したとき(S214の処理においてY)にはS218の処理に進む。コンピュータ16-iは、余り人数を1人以上と予約管理装置224が判断しなかったとき(S214の処理においてN)にはS216の処理に進む。
【0125】
ステップS216において、分散処理装置232は、問い合わせてきた医療システム2に、予約ができない旨を応答し、コンピュータ16-iは動作を終了する。
【0126】
ステップS218において、分散処理装置232は、問い合わせてきた他の医療機関のコンピュータ16に、予約を受けられる可能性がある旨を応答し、余り人数DB226から読み出した余り人数情報を送信し、医療システム2は動作を終了する。
【0127】
ステップS220において、コンピュータ16-iの分散処理装置232は、他の全てのコンピュータ16に、予約の受け入れが可能か否かの問い合わせを行ったか否かを判断する。
【0128】
コンピュータ16-iは、他の全ての医療機関のコンピュータ16に対して予約の受け入れが可能か否かの問い合わせを行ったと分散処理装置232が判断したとき(S220の処理においてY)には、問い合わせに含まれていた情報を予約管理装置224に対して入力してS206の処理に進む。
【0129】
コンピュータ16-iは、他の全ての医療機関のコンピュータ16に予約の受け入れが可能か否かの問い合わせを行ったと分散処理装置232が判断しなかったとき(S220の処理においてN)には、S222の処理に進む。
【0130】
ステップS222において、分散処理装置232は、その時点までに問い合わせを行っていない他の医療機関のコンピュータ16のいずれかに対して、対面医療行為または遠隔医療行為の提供の予約の受け入れが可能か否かを問い合わせる問い合わせを行う。
【0131】
分散処理装置232は、この問い合わせに、予約者が対面医療行為または遠隔医療行為の提供の予約を行おう等する日時、診療科および予約枠などを示す情報と、予約者を特定できる情報とを含める。
【0132】
以上、図13を参照して予約者により新たに予約が行われたときの医療システム2の動作を説明したが、予約取得者が予約をキャンセルしたときの管理システム3の動作は、上記説明に基づいて、当業者にとって容易に類推が可能であろう。
【0133】
以上の処理により受け入れられた対面診療行為および遠隔診察行為のスケジュールおよび予約取得者情報は、コンピュータ16-iが用いられる医療機関#iの管理職から各医師に伝えられ、各医師による予約取得者への対面診療行為および遠隔診察行為の予約取得者への提供が行われる。
【0134】
本発明の実施の形態が説明されたが、この実施の形態は、例として提示されたものであり、発明の範囲を限定することを意図されていない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることができ、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更され得る。この実施の形態やその変形は、本発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
1 遠隔医療予約システム、100 通信ネットワーク、12 ハードウェア、120 バス、122 CPU、124 ROM、126 RAM、128 ネットワークIF、130 端末IF、132 記録装置、134 外部装置IF、14 端末装置、16 コンピュータ、18 電話機、2,3 管理システム、20 人数管理装置、200 スケジュール作成装置、202 スケジュールDB、204 属性管理装置、206 属性DB、210 上限人数算出装置、212 上限人数DB、22 予約装置、220 GUI装置、222 予約処理装置、224 予約管理装置、226 余り人数DB、228 予約DB、230 予約提示装置、232 分散処理装置、
図1
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