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特許7339629複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影システム、及び、その方法
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  • 特許-複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影システム、及び、その方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影システム、及び、その方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
G02B26/10 C
G02B26/10 104Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022001976
(22)【出願日】2022-01-08
(65)【公開番号】P2022145496
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2022-01-08
(31)【優先権主張番号】202110289171.0
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522011986
【氏名又は名称】光量信息科技(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】LIGHTVISION TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】Room 210-1077, floor 2, building 003, No. 750, Chuangyuan Road, Ningbo high-tech zone, Zhejiang, 315000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】▲塗▼ 俊超
(72)【発明者】
【氏名】徐 兵
(72)【発明者】
【氏名】史 慈南
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112304568(CN,A)
【文献】特開2013-118596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法であって、
ターゲット曲線の投影に参加する、受光センサー付き複数のレーザーガルバノスキャナシステムを標定し、標定結果を保存するステップ1と、
前記ターゲット曲線の周りに複数の反射ターゲットを配置し、ターゲット曲線座標系における反射ターゲットの空間的位置を測定し、全ての前記反射ターゲットの空間座標を保存するステップ2と、
各前記レーザーガルバノスキャナシステムを制御して投影範囲内の前記反射ターゲットをスキャンし、スキャンレーザービームが前記反射ターゲットの中心位置を通過する時に、対応するガルバノスキャナ制御信号を得るステップ3と、
前記ステップ1内のガルバノスキャナの標定結果及び前記ステップ3内で得られた前記ガルバノスキャナ制御信号に基づき、各前記レーザーガルバノスキャナシステムと前記ターゲット曲線との間の位置関係を求めるステップ4と、
各前記レーザーガルバノスキャナシステムの投影範囲及び前記ターゲット曲線の曲率情報に基づいて、ターゲット曲線全体の投影領域を分割するステップ5と、
各前記レーザーガルバノスキャナシステムの投影範囲内の前記ターゲット曲線について、前記曲率情報及び投影精度の要件に従って、線形補間投影過程中に必要な複数の投影制御点を設定するステップ6と、
設定された前記投影制御点に基づき、投影に参加する全ての前記レーザーガルバノスキャナシステムを制御して、線形補間方式に従い各自領域内の前記ターゲット曲線に対し、レーザーの位置決め投影を実行することで、ターゲット曲線全体の位置決め投影を完了するステップ7と、
を含むことを特徴とする、複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法。
【請求項2】
前記ステップ3は、
前記レーザーガルバノスキャナシステムを制御して、投射されたレーザースポットをスキャン範囲内の前記反射ターゲットの付近に来るようにさせ、この時の前記レーザーガルバノスキャナシステムのデジタル制御信号を記録するサブステップaと、
前記サブステップaの前記デジタル制御信号に対応する前記レーザースポットを中心として辺長がrの正方形スキャン領域を定め、この領域内の前記反射ターゲットをレーザースキャンし、前記反射ターゲットにスキャンされたレーザービームが元の経路から前記レーザーガルバノスキャナシステム内の前記受光センサーに戻って受光され、受光信号が発生した時に前記レーザーガルバノスキャナシステムの前記デジタル制御信号を記録し、前記デジタル制御信号を介して反射ターゲット中心に投射する時に必要なガルバノスキャナの前記デジタル制御信号を推定するサブステップbと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法。
【請求項3】
前記ステップ4が完了した後、各前記レーザーガルバノスキャナシステム内の投影範囲内の複数のサブターゲット曲線を1つのターゲット曲線に結合し、結合後のターゲット曲線のカバレッジと元のターゲット曲線のカバレッジを比較し、前記レーザーガルバノスキャナシステムの数を調整し;前記結合後のカバレッジが前記元のターゲット曲線のカバレッジより小さい場合、前記レーザーガルバノスキャナシステムを1つずつ追加し、1つの前記レーザーガルバノスキャナシステムを追加するたびに、前記ターゲット曲線との間の位置関係を求める
ことを特徴とする、請求項1に記載の複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法。
【請求項4】
前記ステップ6内の任意の投影制御点について、対応する前記レーザーガルバノスキャナシステムの標定結果、および、前記ステップ4内の位置関係及び前記ターゲット曲線座標系における前記投影制御点の空間座標に基づいて、対応する前記レーザーガルバノスキャナシステムがレーザーを前記投影制御点に投射するために必要なデジタル制御信号を求める
ことを特徴とする、請求項1に記載の複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー投影の技術分野に関し、特に、複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーガルバノスキャナの3次元(3D)曲線位置決め投影技術は、レーザーの優れたコリメーションと指向性により、ガルバノスキャナの高速偏向を通じてレーザービームを制御して迅速に空間内の一連の指定点位置を通過させ、人間の目の視覚残像効果を利用して全体象を形成する。この投影技術は、CAD(computer aided design)デジタルモデル内で設計された3D曲線情報を、1:1の比率で、空間内の対応する位置に正確に投影することができるため、製品のデジタル化された設計情報を、実際の製品製造現場で直接表示することができ、、デジタル化製造ならびに計測分野における重要技術の一つである。単一のレーザーガルバノスキャナの投影設備の範囲には限りがあるため、投影対象が大きなスケールの空間曲線である場合、複数のガルバノスキャナを用いた共同投影が必要である。特に、この技術は、例えばワイドボディ大型航空機の機翼複合材料の配置や位置決め、胴体の組立の位置決めなどの大型設備の製造分野に適用され、複数のガルバノスキャナの投影設備の協働が適用に必要な要件となる。
【0003】
レーザーガルバノスキャナ自体には外部の空間位置情報を取得する機能がないため、レーザーガルバノスキャナは、被投影対象物との空間的位置のアライメントプロセスにおいて第三者測定システム(例えばレーザートラッカー、視覚測定システム)の助けを借りる必要がある。第三者測定システムの測定機能の助けを借りて、レーザーガルバノスキャナと対象物を測定システムの座標系に統合することにより、レーザーガルバノスキャナと対象物の位置合わせを間接的に実現する。ただし、この間接的な位置合わせ方法は、ガルバノスキャナの使用効率を大幅に低下させるだけでなく、第三者測定システムの測定範囲の制限により、複数のレーザーガルバノスキャナと対象物との間の共同位置決めの実現には不利である。レーザーガルバノスキャナを利用してターゲット空間曲線のレーザー位置決め投影をより便利に実現するため、第三者測定システムの助けを借りずに複数のレーザーガルバノスキャナと対象物との間の共同位置決めを直接実現することで、ターゲット曲線全体を投影できる新しい複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法の研究開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、広い範囲の空間曲線のレーザー位置決め投影タスクを、効率的かつ便利に完了することができるという利点を有する、複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影システム、及び、その方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的手段として、複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法であって、次のステップ1~7を含む。すなわち、
ターゲット曲線の投影に参加する受光センサー付き複数のレーザーガルバノスキャナシステムを標定し、標定結果を保存するステップ1、
ターゲット曲線の周りにいくつかの反射ターゲットを配置し、ターゲット曲線座標系における反射ターゲットの空間的位置を測定し、全ての反射ターゲットの空間座標を保存するステップ2、
各レーザーガルバノスキャナシステムを制御して投影範囲内の反射ターゲットをスキャンし、スキャンレーザービームが反射ターゲットの中心位置を通過する時に、対応するガルバノスキャナ制御信号を得るステップ3、
ステップ1内のガルバノスキャナの標定結果及びステップ3内で得られたガルバノスキャナ制御信号に基づき、各レーザーガルバノスキャナシステムとターゲット曲線との間の位置関係を求めるステップ4、
各レーザーガルバノスキャナシステムの投影範囲及びターゲット曲線の曲率情報に基づきターゲット曲線全体の投影領域を分割するステップ5、
各レーザーガルバノスキャナシステムの投影範囲内のターゲット曲線について、曲率情報及び投影精度の要件に従って、線形補間投影過程中に必要な複数の投影制御点を設定するステップ6、
設定された投影制御点に基づき、投影に参加する全てのレーザーガルバノスキャナシステムを制御して、線形補間方式に従い各自領域内のターゲット曲線に対しレーザーの位置決め投影を実行することで、ターゲット曲線全体の位置決め投影を完了するステップ7。
【0006】
前記複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法において、ステップ3はサブステップa及びサブステップbを含む。すなわち、
レーザーガルバノスキャナシステムを制御して、投射されたレーザースポットをスキャン範囲内の反射ターゲットの付近に来るようにさせ、この時のレーザーガルバノスキャナシステムのデジタル制御信号を記録するサブステップa、
サブステップaのデジタル制御信号に対応するレーザースポットを中心として辺長がrの正方形スキャン領域を定め、この領域内の反射ターゲットをレーザースキャンし、反射ターゲットにスキャンされたレーザービームが元の経路からレーザーガルバノスキャナシステム内の受光センサーに戻って受光され、受光信号が発生した時にレーザーガルバノスキャナシステムのデジタル制御信号を記録し、これらデジタル制御信号を介して反射ターゲット中心に投射する時に必要なガルバノスキャナのデジタル制御信号を推定するサブステップb。
【0007】
前記複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法において、ステップ4が完了した後、各レーザーガルバノスキャナシステム内の投影範囲内の複数のサブターゲット曲線を1つのターゲット曲線に結合し、結合後のターゲット曲線のカバレッジと元のターゲット曲線のカバレッジを比較し、レーザーガルバノスキャナシステムの数を調整し;結合後のターゲット曲線のカバレッジが元のターゲット曲線のカバレッジより小さい場合、レーザーガルバノスキャナシステムを1つずつ追加し、1つのレーザーガルバノスキャナシステムが追加するたびに、ターゲット曲線との間の位置関係を求める。
【0008】
前記複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法において、ステップ6内の任意の投影制御点について、対応するレーザーガルバノスキャナシステムの標定結果、ステップ4内の位置関係及びターゲット曲線座標系における前記投影制御点の空間座標に基づいて、対応するレーザーガルバノスキャナシステムがレーザーを前記投影制御点に投射するために必要なデジタル制御信号を求める。
【0009】
前記複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法において、サブステップbにおいて、辺長がrの正方形スキャン領域内でレーザーグリッド線の方式で前記領域内にある反射ターゲットをスキャンし、グリッド線が反射ターゲットを走査すると、レーザービームは元の経路から戻り、レーザーガルバノスキャナシステム内の受光センサーによって受光させる。
【0010】
複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影システムは、複数のレーザーガルバノスキャナシステムと、主幹制御装置とを備える。前記レーザーガルバノスキャナシステムは、レーザーガルバノスキャナと、受光センシングデバイスとを備える。前記レーザーガルバノスキャナは、レーザー光源と、2次元ガルバノスキャンヘッドと、ビームエキスパンダーと、集束装置とを備える。前記受光センシングデバイスは、受光センサーと、光学分光集束装置とを備える。前記主幹制御装置は、制御盤と、コンピュータ本体とを備える。前記制御盤は、複数のレーザーガルバノスキャナ及び複数の受光センシングデバイスを協調的に制御するために用いられる。前記受光センサーは、レーザー光源から発射された後に反射して戻ってくるレーザービーム信号を受光する。
【発明の効果】
【0011】
従来技術と比較して、本発明の投影方法の有利な効果としては、レーザーガルバノスキャナシステム内に増設された受光センシングデバイス及び事前に標定されたガルバノスキャナ標定結果を介して、対象物表面の反射位置決め点の上に投射されたレーザービームの光路の幾何学的情報を取得する。これにより、レーザーガルバノスキャナシステムと対象物と間の位置関係を求め、これに基づいて、本発明は複数のレーザーガルバノスキャナと対象物との間の位置合わせを実現する。次に対象物表面の空間曲線の曲率情報及び各ガルバノスキャナの投影範囲に従って、被投影大型対象物の空間曲線に対して投影領域を分割し、投影制御点を定める。最後に定めた投影制御点に基づき投影に参加する全てのレーザーガルバノスキャナシステムを同時に制御してターゲット曲線全体のレーザー位置決め投影を完了する。これにより、広い範囲の空間曲線のレーザー位置決め投影タスクを効率的かつ便利に完了することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の投影システムのハードウェア概略構成図である。
図2】レーザーガルバノスキャナシステムのハードウェア概略構成図である。
図3】受光センサーを用いるレーザーガルバノスキャナ標定システムのハードウェア概略構成図である。
図4】本発明における単一のレーザーガルバノスキャナシステムと被投影対象物の空間的位置との位置合わせの原理概略図である。
図5】本発明の複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法の一具体的実施例における被投影対象物とターゲット曲線のCADデジタルモデル図である。
図6】本発明の複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法の一具体的実施例における2つのレーザーガルバノスキャナシステムが共同で完了したターゲット曲線のレーザー位置決め投影効果図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面及び実施形態を参照しつつ本発明をさらに説明するが、本発明を限定するため根拠としては使用されない。
【0014】
(実施形態)
複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影システムの構造は、図1及び図2に示すように、複数のレーザーガルバノスキャナシステム1と、主幹制御装置とを備える。前記レーザーガルバノスキャナシステム1は、レーザーガルバノスキャナと、受光センシングデバイスとを備える。前記レーザーガルバノガルバノスキャナは、レーザー光源11と、2次元ガルバノスキャンヘッド14と、ビームエキスパンダー12と、集束装置13とを備える。前記受光センシングデバイスは、受光センサー21と、光学分光集束装置とを備える。前記主幹制御装置は、制御盤41と、コンピュータ本体42とを備える。前記制御盤41は、複数のレーザーガルバノスキャナ及び複数の受光センシングデバイスを、協調的に制御するために用いられる。前記受光センサー21は、レーザー光源11から発射され後に反射して戻ってくるレーザービーム信号を受光する。
【0015】
レーザーガルバノスキャナシステムの標定は、受光センサーを用いるレーザーガルバノスキャナ標定システムの助けを借りる。そのハードウェア構成は図3に示すように、レーザーガルバノスキャナと、受光センシングデバイスと、ターゲット設定装置とを備える。前記レーザーガルバノスキャナは、レーザー光源11と、ビームエキスパンダー12と、集束装置13と、2次元ガルバノスキャンヘッド14とを備える。前記受光センシングデバイスは、受光センサー21と、光学分光集束装置とを備える。前記ターゲット設定装置は、平行移動機構31を備え、前記平行移動機構31には、いくつかの反射ターゲットを配置した投影断面32が備えられ、前記反射ターゲットの空間座標が撮影測定装置33で測定される。主幹制御装置は、制御盤41と、コンピュータ本体42とを備える。前記制御盤41は、2次元ガルバノスキャンヘッド14、レーザー光源11、集束装置13、受光センサー21及び平行移動機構31を協調的に制御する。前記受光センサー21は、レーザー光源11から発射され、投影断面32によって反射された後のレーザービーム信号を受光する。
【0016】
撮影測定装置33は、投影断面32上の複数の反射ターゲットの空間座標を一度に測定し、広い範囲内で複数の対象点に対して高精度な測定を実施できる測定装置であることが好ましい。
【0017】
光学分光集束装置は、レンズフィルター22と、集束ミラー23と、ビームスプリッタ24とを備え、2次元ガルバノスキャンヘッド14内の元の経路から戻された反射レーザービーム信号を分割して受光センサー21に集束することが好ましい。
【0018】
平行移動機構31は、駆動モータを備え、前記駆動モータの出力側にはスクリューが連結され、前記スクリューにはクランプが連結され、前記クランプの下にガイドレールが設けられていることが好ましい。前記クランプが、投影断面32を固定するために用いられることで、投影断面32の平行移動を容易にし、かつ平行移動の精度を高めることができる。
【0019】
複数の前記反射ターゲットは、均しくマイクロガラスビーズの反射点であり、反射効果も良好であることが好ましい。
【0020】
レーザーガルバノスキャナシステムの標定は、次のステップに従って実行する。すなわち、
【0021】
ステップA:レーザーガルバノスキャナの標定範囲のサイズに応じて、適切なサイズの投影断面32を選択し、その上にX個の円形反射ターゲットを配置し;
【0022】
ステップB:反射ターゲットを配置した投影断面32を平行移動機構31に固定し、投影断面32を等間隔に正確に設定されたX個の位置に平行移動できるようにし;
【0023】
ステップC:撮影測定装置でX個の設定された位置にある投影断面上の全ての反射ターゲットの空間座標を測定し;
【0024】
レーザー光源11が事前にレーザーを発射し、集束装置13によりレーザーが投影断面32上に投射して形成されるスポット径を最小化するように調整し;
【0025】
ステップD:レーザーガルバノスキャナを制御して投影断面32全体を覆うことができるレーザーグリッド線を投射し、受光センサー21はグリッド線が反射ターゲットを走査する時の反射レーザービーム信号を受光し、この時の2次元ガルバノスキャンヘッド14の大まかな制御デジタル信号を記録することで、投影断面32上の全ての反射ターゲットの大まかなスキャン位置情報を取得し;
【0026】
ステップE:ステップD内の各反射ターゲットの大まかなスキャン位置を中心として、レーザーガルバノスキャナを制御して反射ターゲットのみを覆うことができるレーザーグリッド線を投射し、受光センサー21の反射レーザービーム信号の受光結果に従って、レーザーが各反射ターゲットを走査する時の2次元ガルバノスキャンヘッド14に対応する正確な制御デジタル信号を記録し、次にこれらデジタル信号に基づき反射ターゲットの正確なスキャン位置情報を推定し;
ステップD及びステップE内の反射レーザービーム信号は、2次元ガルバノスキャンヘッド14の元の経路から戻り、ビームスプリッタ24、集束ミラー23及びレンズフィルター22を順番に通過した後で受光センサー21によって受光され;
【0027】
ステップF:ステップD及びステップEを介して、X個の設定位置にある投影断面32上の各反射ターゲットの正確なスキャン位置情報を取得することで、レーザーガルバノスキャナの初期標定データを得;
【0028】
ステップG:各設定位置にある投影断面32について、ステップFで得られた初期標定データに従って、2次元ガルバノスキャンヘッド14の正確な制御デジタル信号と前記投影断面32上の任意点の空間座標との間のマッピング関係を求め;
【0029】
ステップH:所与のデジタル信号について、ステップGで得られたマッピング関係に従ってスポットに対応する空間座標を任意の投影断面32上で求めることにより、X個の設定位置で所与のデジタル信号に対応する出射レーザービーム上のX個の空間点の座標を得る。次にX個の空間点の座標に基づき所与のデジタル信号に対応する出射光の空間ベクトルにフィッティングし;
【0030】
ステップI:一定数量のデジタル信号を与え、ステップHに従って各デジタル信号に対応する出射光の空間ベクトルを得ることにより、レーザーガルバノスキャナの最終標定データを得、次に最終標定データに従って2次元ガルバノスキャンヘッド14の正確な制御デジタル信号Dとこれに対応する出射光の空間ベクトルVと間のマッピング関係M:D→Vを求め、レーザーガルバノスキャナの標定を完了する。
【0031】
複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法は、次のステップを含む。すなわち、
【0032】
ステップ1:ターゲット曲線Cの投影に参加する複数のレーザーガルバノスキャナシステムを標定し、レーザーガルバノスキャナのデジタル制御信号Dとこれに対応する出射光のガルバノスキャナ標定座標系における空間ベクトルVとの間のマッピング関係を得;
【0033】
ステップ2:ターゲット曲線Cの周りにいくつかの反射ターゲットを配置し、高精度の測定装置を介してターゲット曲線Cの周りに配置された反射ターゲットの空間的位置を測定して、ターゲット曲線C座標系(O-XYZ座標系)における反射ターゲットの空間点座標
を得、Nは反射ターゲットの総数であり;
【0034】
ステップ3:特定のレーザーガルバノスキャナシステムを制御して投射されたレーザースポットをスキャン範囲内の反射ターゲット付近に来るようにさせ、この時のレーザーガルバノスキャナのデジタル制御信号を

と記録し;
【0035】
デジタル制御信号Dk rに対応するレーザースポットを中心として辺長がrの正方形のスキャン領域を定め、この領域内においてレーザーグリッド線の方式で前記領域内にある反射ターゲットをスキャンする。グリッド線が反射ターゲットを走査する時、レーザービームが元の経路から戻り、レーザーガルバノスキャナシステム内の受光センサーに受信される。受信信号が発生した時のレーザーガルバノスキャナのデジタル制御信号を記録する。これらデジタル制御信号を通じて反射ターゲット中心に投射される時に必要なガルバノスキャナデジタル制御信号

を推定し;
【0036】
ステップ4:ステップ1の標定結果を介してステップ3内のガルバノスキャナデジタル制御信号
に対応する出射レーザービームの空間ベクトル

を得、これら反射ターゲットのターゲット曲線C座標系における空間座標

とガルバノスキャナ標定座標系における空間ベクトル

を通じて、前記レーザーガルバノスキャナシステムとターゲット曲線Cとの間の位置関係を求め;
【0037】
ステップ4を繰り返し、投影に参加するレーザーガルバノスキャナシステムをターゲット曲線CのO-XYZ座標系下に統合し、単一のレーザーガルバノスキャナシステムと被投影対象物の空間的位置tの位置合わせの原理概略図を図4に示す。
【0038】
(Mは投影に参加するレーザーガルバノスキャナシステムの数)番目のレーザーガルバノスキャナシステム投影範囲内に属するサブターゲット曲線を見つけて

と記録し、その後全ての

を1つのターゲット曲線Cに結合し、Cのカバレッジが元のターゲット曲線Cより小さい場合、投影に参加するレーザーガルバノスキャナシステムの数が不足していることを示す。この場合、レーザーガルバノスキャナシステムを1つずつ追加し、レーザーガルバノスキャナシステムを追加するたびに、新規に追加したレーザーガルバノスキャナシステムをターゲット曲線Cのカバレッジが、元のターゲット曲線Cより大きいか又は等しくなるまでターゲット曲線Cの座標系下に統合し;
ステップ5:各レーザーガルバノスキャナシステムの投影範囲及びターゲット曲線の曲率情報に基づきターゲット曲線全体の投影領域を分割し、複数のサブターゲット曲線Cjに分割し;
【0039】
ステップ6:単一のレーザーガルバノスキャナシステムの投影領域内のサブターゲット曲線Cjについて、曲率情報及び投影位置決め誤差要件に従って投影制御点
【0040】
(Qjは、サブターゲット曲線Cjの投影制御点の総数)を設定し、任意の2つの隣り合う投影制御点pj iとpj i+1との間の実際の曲線部と、レーザーガルバノスキャナシステムが線形補間方式に従って投影したレーザー曲線部との間の最大距離誤差が、要求される最大位置決め誤差より小さくなり;
全てのレーザーガルバノスキャナシステムの投影範囲内のサブターゲット曲線の投影制御点の設定を完了し、M個の投影制御点セット

を構成し;
【0041】
任意の投影制御点pj iについて、対応するレーザーガルバノスキャナシステムの標定結果、ステップ4内の位置関係及びターゲット曲線C座標系における前記投影制御点の空間座標に基づいて、対応するレーザーガルバノスキャナシステムがレーザーを前記投影制御点に投射するために必要なデジタル制御信号を求めることで、M個のデジタル制御信号セット

を構成し;
【0042】
ステップ7:j番目のレーザーガルバノスキャナシステムについて、ステップ6内で求めたDjに基づき、線形補間方式に従い前記レーザーガルバノスキャナシステムの投影範囲内のサブターゲット曲線Cjのレーザー位置決め投影を完了する。同時に投影に参加する全てのレーザーガルバノスキャナシステムを制御して対応する子ターゲット曲線のレーザー位置決め投影を完了し、複数のレーザーガルバノスキャナシステムによるターゲット曲線C全体の共同投影を実現する。
【0043】
(本発明の具体的実施例)
図5に示すように、1つの多面体を投影対象とし、前記対象の表面で2つの五角形をターゲット空間曲線として選択して、レーザー位置決め投影操作を実施した。選択した2つの五角形が位置する平面の法線ベクトル角度が大きすぎるため、単一のレーザーガルバノスキャナシステムを用いると、同時に2つのターゲット曲線の位置決め投影効果を同時に確保することが非常に難しい。よって、本実施例では2つのレーザーガルバノスキャナシステムを用いて、2つの異なる方向からターゲット曲線への投影を実施し、本発明により提供される複数のレーザーガルバノスキャナを用いる空間曲線の共同位置決め投影方法に従ってこの2つのレーザーガルバノスキャナシステムと多面体との位置合わせ及び各自レーザーガルバノスキャナシステムの投影範囲内のターゲット曲線のレーザー位置決め投影を完了した。位置決め投影効果は図6に示されている。
【0044】
上記は本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明の保護範囲は上記実施例に限定されない。本発明の技術的思想の下でのすべての技術的手段は、本発明の保護範囲に属する。当業者であれば、本発明の原理を脱しない範囲内で各種の改良や潤色を加えることができ、かかる改良や潤色も本発明の保護範囲に網羅することを見なされるべきであることに留意されたい。
【符号の説明】
【0045】
1 レーザーガルバノスキャナシステム
11 レーザー光源
12 ビームエキスパンダー
13 集束装置
14 2次元ガルバノスキャンヘッド
21 受光センサー
22 レンズフィルター
23 集束ミラー
24 ビームスプリッタ
31 平行移動機構
32 投影断面
33 撮影測定装置
41 制御盤
42 コンピュータ本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6