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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】アルミ製パイプサポート
(51)【国際特許分類】
   E04G 25/06 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
E04G25/06 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021123411
(22)【出願日】2021-07-28
(65)【公開番号】P2023018988
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】308003460
【氏名又は名称】株式会社フォービル
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】森本 隆之
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071267(JP,A)
【文献】特開2016-176287(JP,A)
【文献】実開平06-010532(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 25/06
E04G 1/08
E04G 7/34
E04G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート打設用の型枠を支持するために、アルミニウム製の外管と、この外管に挿入されるアルミニウム製の内管と、前記外管及び前記内管の周面を貫通して抜き差しされ、該外管に対する該内管の挿入軸長さにより全体の高さ調整を行った位置を固定するためのピンと、を備えたアルミ製パイプサポートにおいて、前記ピンを2本具備し、前記内管は、外周形状を正六角形、正八角形、正十角形のいずれかとし、前記ピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの内管の同箇所に対する断面積を1.96倍以上とし、さらに、2本の前記ピンが挿入される位置調整孔を、内周の対向する2辺の各々の内面にそれぞれのピンが接するように形成し、かつ前記位置調整孔を形成した部位を除いた部位に、該内管の厚みと連続して該内管の厚みに対して1.5~2.0倍の範囲で増厚した増厚部を形成し、一方、前記外管は、前記内管が挿入可能な内形状とされ、前記ピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの外管の同箇所に対する断面積を1.35倍以上とし、前記内管と前記外管の断面積の上限を、前記内管と前記外管の総重量が目標サイズの鉄製のパイプサポートの内管と外管の総重量より軽くなるように設定したアルミ製パイプサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ製で軽量化が図れると共に、長さ調整が可能で、全体として高剛性化が図れるアルミ製パイプサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物を構築する際には、型枠にコンクリートを打設する。このとき、例えばスラブの打設時に下階又は下方から該型枠を支持するために、パイプサポートが用いられる。
【0003】
このパイプサポートは、従来、概略的には、二重管構成とされており長さ調整が可能となっている。長さ調整の構造については、外管と内管の嵌合部位の直径方向には対向する調節孔が軸方向に同ピッチで形成され、該パイプサポートの全長の調整を行った際の嵌合位置を固定するために調整ピンが調整孔に挿入される構成とされている。また、従来のパイプサポートは、外観と内管の互いに嵌合部位とは反対の端部に設置面あるいは型枠面と接触する座金を設けている。
【0004】
上記構成の従来のパイプサポートは、日本工業規格(JIS)等において、軸剛性と圧縮耐力等が定められており(以下、これらを総称して「規定荷重」という)、この規定荷重を満たすためにそれ相応の材料、すなわち鋼管、鉄のように重い材料が用いられていたため、型枠設置の際に、現場に運搬するのに多大な労力を要していた。
【0005】
そこで、従来、こうした作業者の労力軽減のため、特許文献1においては、少なくとも上記パイプサポートの構成のうちの外管と内管についてアルミニウム合金製とすることが提案されている。
【0006】
すなわち、特許文献1では、長手方向の両端部において、外径が平均外径より細く、かつ肉厚が平均の肉厚よりも厚く、長手方向の中央部において、外径が平均の外径よりも太く、かつ肉厚が平均の肉厚よりも薄く、さらに両端部から中央部までの外径及び肉厚の変化が滑らかとしたアルミニウム合金製単管のパイプサポートを提案している。
【0007】
特許文献1においても記載されているとおり、単純に軽量化を図るうえではアルミニウムを用いればよいが、材質を変えると規定荷重を満たさず、使用不可となる可能性があるばかりか、現場においては、型枠と共に打設したコンクリートが崩落するといった危険がある。
【0008】
特許文献1においては、パイプサポートの軽量化を達成するために単管のアルミニウム製で上記構成としているのであるが、この構成では長さ(高さ)調整ができないという問題がある。
【0009】
上記の点、例えば特許文献1のアルミニウム合金製単管を例えば長さの種類を多数用意して、組み合わせで長さを調整した単管を複数本用い、単管の上端と下端の内周には互いに逆方向に雌螺子を形成し、単管同士の突き合わせた端部の内周に、軸方向中央から互いに逆方向に雄螺子を形成したボルトを螺入して繋げば、パイプサポートの長さ調整自体は可能であるが次の問題が生じる。
【0010】
すなわち、特許文献1のアルミニウム合金製単管(丸、角問わず)を複数本軸方向に繋ぐ構成とした場合、長さ調整用に挿入するボルトにおいて、垂直荷重が該ボルトで集中して、座屈変形が生じ、全体として規定荷重を満たさないといった問題がある。
【0011】
こうした特許文献1の問題を解決するために、本出願人は特許文献2に記載されるアルミ製パイプサポートを提案した。特許文献2によれば、軸方向の一端部に位置固定用のピンを挿入するピン挿入孔を形成したアルミニウム製の外管と、この外管に挿入し、ピンが挿通される位置調整孔を軸方向に間欠的に複数箇所形成したアルミニウム製の内管と、を備え、外管と前記内管の各々は最薄部分の厚みを各々1.5~4.5mmとし、内管の内径は目的とする規定荷重を満たす鉄製の内管の内径に対して1.5~2.5倍とする構成を示している。
【0012】
特許文献2では、JIS規格に準拠した鉄製のパイプサポートとして、伸張使用9.8kN(1000kg)から短縮使用19.6kN(2000kg)の規定(許容)荷重を満たす、内管の外径が48.6mm(厚み2.5mm:「内径」43.6mm)、外管の外径が60.5mm(厚み2.3mm:「内径」55.9mm)、重量が15.7kgのものを例に挙げて、上記規定条件を満たすアルミ製のパイプサポートの内管と外管の構成例が示されている。
【0013】
特許文献2の内管の内径は、上記鉄製のパイプサポートの内管の内径(43.6mm)の1.5倍となる65.4mm、最薄部位の厚みを2.2mmとしている(外径69.8mm)。外管の内径φは、70.0mm、最薄部位の厚みを2.2mmとしている(外径74.4mm)。
【0014】
特許文献2の構成とすれば、鉄製パイプサポートの重量が15.7kgであるのに対し、本発明のパイプサポート1の重量は11.4kgで約4kgの軽量化が可能となり、また、伸張使用9.8kN(1000kg)から短縮使用19.6kN(2000kg)の規定(許容)荷重を満たすことができた。つまり、特許文献2は鉄製のパイプサポートに対して約25%の軽量化が図れたことなる。
【0015】
しかしながら、特許文献2では、鉄製のパイプサポートの規定荷重を満たして軽量化を図ることに特化されており、鉄製のパイプサポートの規定荷重上限を超えた耐座屈剛性を有したものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開平9-158500号公報
【文献】特許第6467393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
解決しようとする問題は、特許文献2のアルミ製パイプサポートは、鉄製のパイプサポートより軽量で該鉄製のパイプサポートと同サイズの規定荷重は満たすものの、品質として規定荷重以上の剛性とはなっていない点である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明は、アルミニウム製の外管と、この外管に挿入されるアルミニウム製の内管と、前記外管及び前記内管の周面を貫通して抜き差しされ、該外管に対する該内管の挿入軸長さにより全体の高さ調整を行った位置を固定するためのピンと、を備えたアルミ製パイプサポートにおいて、前記ピンを2本具備し、前記内管は、外周形状を正六角形、正八角形、正十角形のいずれかとし、前記ピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの内管の同箇所に対する断面積を1.96倍以上とし、さらに、2本の前記ピンが挿入される位置調整孔を、内周の対向する2辺の各々の内面にそれぞれのピンが接するように形成し、かつ前記位置調整孔を形成した部位を除いた部位に、該内管の厚みと連続して該内管の厚みに対して1.5~2.0倍の範囲で増厚した増厚部を形成し、一方、前記外管は、前記内管が挿入可能な内形状とされ、前記ピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの外管の同箇所に対する断面積を1.35倍以上とし、前記内管と前記外管の断面積の上限を、前記内管と前記外管の総重量が目標サイズの鉄製のパイプサポートの内管と外管の総重量より軽くなるように設定した。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、目標とする鉄製のパイプサポートの規定荷重を満たしかつ軽量化が図れたうえに、アルミ製=低剛性(貧弱)という固定概念を覆して、目標とする鉄製のパイプサポートの規定荷重の上限を超えて高剛性化を図ることができる。
【0020】
さらに、JIS規格の規定荷重の観点で見れば、規定荷重を満たすが上限値に近い荷重のかかる箇所に鉄製のパイプサポートを用いる場合、安全を見越してさらに(許容)規定荷重の大きな、つまりサイズアップした鉄製のパイプサポートを用いるか、単位面積あたりに使用する本数を増やすか、のいずれかとなり、結果的に、サイズアップした分、又は本数を増やした分、重量化する。
【0021】
本発明のアルミ製のパイプサポートは、目標とする鉄製のパイプサポートの内外管の総重量においては軽量比率が小さくても高剛性化を図ることができるので、上記の場合では鉄製のパイプサポートであればサイズアップする必要があるのに対して、本発明のアルミ製パイプサポートはサイズアップしなくても、また、単位面積あたりの必要本数は鉄製のパイプサポートに比べて少ない本数で対応できるので、結果的に現場全体としての軽量比率は大きくなるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のアルミ製パイプサポートの概略構成を示す外観図である。
図2】本発明のアルミ製パイプサポートの分解図である。
図3】本発明のアルミ製パイプサポートにおける内管を示し、(a)は上端面図、(b)は正面図、である。
図4】本発明のアルミ製パイプサポートにおける内管を示し、(a)は図3のA-A線断面図、(b)は図2のB-B線断面図、である。
図5】本発明のアルミ製パイプサポートにおける外管を示す図である。
図6】本発明のアルミ製パイプサポートにおける外管を示し、(a)は図5のC矢視図、(b)は図5のD-D線断面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、目標とする鉄製のパイプサポートより軽量で該鉄製のパイプサポートの規定荷重を満たし、さらに品質として規定荷重以上の剛性を得るという目的を、アルミニウム製の外管と、この外管に挿入されるアルミニウム製の内管と、前記外管及び前記内管の周面を貫通して抜き差しされ、該外管に対する該内管の挿入軸長さにより全体の高さ調整を行った位置を固定するためのピンと、を備えたアルミ製パイプサポートにおいて、前記ピンを2本具備し、前記内管は、外周形状を正六角形、正八角形、正十角形のいずれかとし、前記ピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの内管の同箇所に対する断面積を1.96倍以上とし、さらに、2本の前記ピンが挿入される位置調整孔を、内周の対向する2辺の各々の内面にそれぞれのピンが接するように形成し、かつ前記位置調整孔を形成した部位を除いた部位に、該内管の厚みと連続して該内管の厚みに対して1.5~2.0倍の範囲で増厚した増厚部を形成し、一方、前記外管は、前記内管が挿入可能な内形状とされ、前記ピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの外管の同箇所に対する断面積を1.35倍以上とし、前記内管と前記外管の断面積の上限を、前記内管と前記外管の総重量が目標サイズの鉄製のパイプサポートの内管と外管の総重量より軽くなるように設定することで達成した。
【0024】
鉄製であれ、アルミ製であれ、通常のパイプサポートは、内管が差込管とも称されるように外管(腰管)に対して垂直方向の上方から挿入される(差し込まれる)から、当然に外管より外径が細く、かつ使用においては垂直方向の上部に位置する該内管において座屈しやすい。
【0025】
本発明のアルミ製パイプサポートにおいては、アルミニウムで内管及び外管を構成するから、上記の内管の細い外径に加えて材料の剛性に十分な配慮が必要となる。特許文献2では、内管の内径を、規定荷重を満たす耐荷重強度を発現する設定とすれば、該内管より径の太い外管は自ずと追随的に寸法が設定されるとの発想に基づいて、内管の厚みと内管の内径を規定していた。
【0026】
ところが、特許文献2では、その条件における「最薄の厚み」が既に鉄製の厚みに対して1.5~4.5mmであって、なおかつ内管の内径は鉄製のパイプサポートの内管の内径に対して1.5~2.5倍としていたため、特に、安全を重視してこれら規定を満たしたうえで、最薄の厚み「以外」の厚みが実際は剛性に寄与しない過剰な厚みであると共にこれがさらなる軽量化の余地として残った。
【0027】
本発明は、規定荷重を超えて座屈が生じる限界値を見極める試験の結果、特許文献2において採用した内管の最薄厚みと内管の内径を規定する構成に代えて、断面積(と許容荷重)及び総重量の関係に着目した。
【0028】
具体的には、まず、内外管の断面積の下限値は本発明の場合、内管はピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの内管の同箇所に対する断面積を1.96倍以上、外管はピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの外管の同箇所に対する断面積を1.35倍以上とした。この断面積の下限値は、目標サイズの鉄製パイプサポートにおける伸長時の耐荷重を満たすことを重視して設定している。
【0029】
内外管の断面積は目標サイズの鉄製のパイプサポートより広ければ規定荷重を満たすことが可能となるが、目標サイズの鉄製のパイプサポートの規定荷重を満たし、かつ目標サイズの鉄製のパイプサポートの総重量より軽くすることに注力すれば、不必要に(目標サイズの鉄製のパイプサポートと同等まで)外径や外形サイズを大きくする必要はない。
【0030】
内外管の断面積の上記下限値より低い場合、すなわち内管はピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの内管の同箇所に対する断面積が1.96倍、外管はピンを挿通しない箇所における目標サイズの鉄製のパイプサポートの外管の同箇所に対する断面積が1.35倍、よりも狭いと軽量化は可能となるが目標サイズの鉄製のパイプサポートの規定荷重を満たすことができない。
【0031】
一方、内外管の断面積の各々の上限値は、上記のとおり断面積を広くすれば剛性の強化が可能であるが内外管の総重量が増すとアルミ製のメリットが損なわれてしまうので、目標サイズの鉄製のパイプサポートの内外管の総重量より軽くなるように設定することとした。
【0032】
ピンは、2本用いられ、外周形状を正六角形、正八角形、正十角形のいずれかとされた内管における内周の対向する2辺の内面に接する位置に各々のピンに対応する位置調整孔が形成され、これら位置調整孔にそれぞれ挿入される。
【0033】
例えば内管は、外周形状を正六角形、正八角形、正十角形としたうちの内周の対向する2辺におけるピンが挿通されない部位(位置調整孔が形成された部位を除いた部位)に、それぞれ該内管の厚みと連続して該内管の厚みに対して1.5~2.0倍の範囲で増厚した増厚部を形成することとした。増厚部は、内管の厚みに対して1.5倍より小さいと上記断面積の下限値を満たさず、よって剛性不足が生じ、一方、2.0倍より大きいと軽量化に寄与しない可能性がある。
【0034】
増厚部は、位置調整孔が設けられた軸方向の領域では、該位置調整孔が形成されてピンを挿通する部位に増厚部は形成されてなく、つまり増厚部はピン高さ分だけ軸方向に間欠して形成されていることになる。
【0035】
増厚部を設けることで、圧縮荷重を受けたピンを増厚部で確実に受けることとなり、この部位に起因した、及び外管より外径の細い伸長した状態の内管において座屈が生じることが防止され、また、鉄製のパイプサポートより軽量化を図ることができ、かつ同じサイズの鉄製のパイプサポートの規定荷重を超えて剛性を高くすることができる。
【0036】
このように、本発明では、ピンを2本用いることと、アルミ製の内外管についての断面積について試行錯誤して適正数値を設定した結果、目標とする鉄製のパイプサポートに対して軽量でかつ規定荷重を満たし、そのうえで大幅な軽量化、高剛性化、の両特性を使い分けることができる。
【実施例
【0037】
以下、図1図6を参照して本発明の具体的実施形態について説明する。1は、コンクリート打設用の型枠を支持する本発明のアルミ製パイプサポート(以下、パイプサポートと記す)であり、アルミニウムを材料とする外管2と内管3と、鉄製の2本のピン2A,2Aを主要構成とする。
【0038】
本例における目標サイズの鉄製パイプサポートは、例えば次の仕様である。
<目標サイズの鉄製パイプサポート:3486-2121mm>
(外管)
外径:60.5mm
厚み:2.3mm
断面積:420.2mm2
(内管)
外径:48.6mm
厚み:2.3mm
断面積:334.0mm2
「総重量」14.2kg
「耐荷重」14.7kN (3.4m伸長時)
【0039】
外管2は、本例では、内周形状が本例では例えば正八角形状とされ、外周形状は内周形状と同じく正八角形状とされているが角部には外周方向に突出して軸方向に延びたリブ2aが形成されている。このリブ2aにおける内管3を嵌入する軸方向の端部(以下、ここを外管2の上とする)には、外管2の周面において全体として螺旋状に(リブ2aに対して)凹状とされた雄螺子2bが形成されている。
【0040】
また、外管2は、上端部における場所の異なる2カ所のリブ2a(雄ネジ2b)にチェーンを介して位置固定用のピン2A,2Aが設けられている。このピン2A,2Aは、鉄製とされ、それぞれの厚みtが例えば4.5mmとされている。
【0041】
また、外管2は、軸方向の上端部おける図5に示す正面視で軸方向と直交する方向、つまり幅方向の両端位置から、それぞれ外管2と内管3の厚み分だけ中央に寄った位置に、一方外周から他方外周へと貫通するピン2A,2Aを挿入するピン挿入孔2c,2cが形成されている。このピン挿入孔2cは、ピン2Aの厚みtに対して本例では例えば各々0.4mmだけ大きく形成され、上端から軸方向に下方に例えば50mmだけ下がった位置から、例えば188mmだけ開口している。
【0042】
本例における外管2は、リブ2aが形成された外径が例えば100mm、リブ2aが形成されていない外径が例えば86.2mmで軸方向の長さが例えば1620mmとされ、内周形状が例えば本例では正八角形状とされている。
【0043】
また、外管2は、リブ2aが存在しない部位で、かつピン2A,2Aを挿通しない箇所(ピン挿入孔2c,2cが形成されていない箇所)における厚みは例えば2.0mmとされ、リブ2aを入れた断面積は880mm2 とされている。このリブ2aを入れた断面積は、上記の目標サイズの鉄製のパイプサポートの外管の断面積に対して約2.10倍に相当する。
【0044】
さらに、外管2の外周には、雄螺子2bに螺合し、ピン挿入孔2cに挿入されたピン2Aを軸方向に移動させて微調整を行うと共に該外管2においてピン2A,2Aを受けるための調整リング2Bが設けられている。調整リング2Bは、ピン2Aを上部に受けた状態で雄螺子2bに沿って螺進退移動し、これにより該ピン2Aをピン挿入孔2c内において軸方向に移動させてパイプサポート1の全長の微調整を行う。
【0045】
一方、内管3は、外管2に挿入され、外径が例えば79.7mmとされ、後述の増厚部3Aが形成されていない箇所の厚みが例えば3.0mm、軸方向の長さが例えば2200mmとされ、本例では外周形状が外管2に挿入可能なように例えば正八角形状とされている。
【0046】
また、内管3は、内周の対向する2辺において該内管3の厚みと連続して該内管3の厚みに対して増厚した増厚部3Aが形成されている。つまり、本例では、位置調整孔3Bに、外管2を介して挿入されたピン2Aが、増厚部3Aによって受けられた状態となる。
【0047】
内管3は、この増厚部3A,3Aを軸方向に間欠的に抉った状態で、周面において一方外周から他方外周へと貫通した位置調整孔3B,3Bが形成され、増厚部3Aを入れた断面積が1036mm2 とされている。この増厚部3Aを入れた断面積は上記の目標サイズの鉄製のパイプサポートの内管の断面積に対して約3.10倍に相当する。
【0048】
4は、外管2の軸方向におけるリブ2aが形成された側と反対の端面に内嵌される外管用座金である。5は、内管3の軸方向における外管2への挿入方向と反対の端面に外嵌される内管用座金である。
【0049】
次に、上記構成の本発明のパイプサポート1について座屈試験と重量確認を行った結果を記す。座屈試験は、平地に設置した外管に対して伸長状態での使用を想定して内管を挿入し、内管の上端から鉛直に(軸方向下方に)圧力を加えた状態で所定時間静置し座屈などが生じていないかを観察し、観察所定時間経過後にさらに圧力を加え(1t刻み)、これを座屈が生じるまで行った。
【0050】
上記の構成を実施例1としたパイプサポート1は、上記の目標サイズの鉄製のパイプサポートより総重量が若干軽く「高剛性化」を図ったものであり、実施例2としたパイプサポート1は、上記の目標サイズの鉄製のパイプサポートより剛性が若干高く「大幅な軽量化」を図ったものである。なお、括弧内は上記の目標サイズの鉄製のパイプサポートに対する変動割合を記す。
【0051】
<実施例1> 伸長時3492mm-短縮時2421mm
外管断面積:880.0mm2 (約2.41倍)
内管断面積:1036.0mm2 (役3.25倍)
総重量:13.1kg (約0.94倍)
伸長時の耐荷重:35kN (約2.38倍)
【0052】
<実施例2> 伸長時3492mm-短縮時2421mm
外管断面積:491.6mm2 (約1.35倍)
内管断面積:624.5mm2 (役1.96倍)
総重量:9.0kg (約0.64倍)
伸長時の耐荷重:15kN (約1.02倍)
【0053】
試験によれば、実施例1は総重量が6%程度軽くなり、耐荷重が200%以上の高剛性化が図れ、実施例2は耐荷重が2%程度高くなり、総重量が30%以上の大幅な軽量化が図れた。
【0054】
以上のことから、本発明は、目標サイズの鉄製のパイプサポートに対して、高剛性化を重視するか、軽量化を重視するかで、製品の選択肢が増え、前者であれば例えば単位面積あたりの必要本数の削減が図れるから、搬送本数や配置箇所を減らすことが可能となり、一方、例えば後者であれば配置箇所まで作業員が搬送するに際し、労力が軽減できる。
【符号の説明】
【0055】
1 (アルミ製)パイプサポート
2 外管
2a リブ
2c ピン挿入孔
2A ピン
3 内管
3A 増厚部
3B 位置調整孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6