(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】地面上に表記をするための自動車両のモノリシック・マトリックスアレイ発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/153 20180101AFI20230830BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20230830BHJP
F21S 41/155 20180101ALI20230830BHJP
F21W 102/40 20180101ALN20230830BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230830BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20230830BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20230830BHJP
F21W 102/20 20180101ALN20230830BHJP
【FI】
F21S41/153
F21S41/143
F21S41/155
F21W102:40
F21Y115:10
F21Y115:15
F21W102:13
F21W102:20
(21)【出願番号】P 2020554124
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2019058439
(87)【国際公開番号】W WO2019193074
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-11-10
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン、ロエル
(72)【発明者】
【氏名】マリー、ペラリン
(72)【発明者】
【氏名】ソフィ、クラード
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091876(JP,A)
【文献】特開2015-204272(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033900(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/153
F21S 41/143
F21S 41/155
F21W 102/40
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21W 102/13
F21W 102/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-
第1のビームとして、第1のピクセル化された部分ハイビーム(HR;HR-D)を投射すること
ができるように構成された第1モジュール(2)と、
-
第2のビームとして、第2のピクセル化された道路表記用ビーム(ER)を投射すること
ができるように構成された第2モジュール(3)と、
-
第3のビームとして、第3のカットオフ(ロー)ビーム(LB)を投射すること
ができるように構成された第3モジュール(4)と、
を備えた自動車両用の照明装置において、
前記第1、第
2および第3モジュールは、前記第1および第2のビーム同士が少なくとも部分的に垂直方向で重なり合い、前記第2および第3のビーム同士が少なくとも部分的に垂直方向で重なり合うように、
前記第1、第2および第3のビームを投射するように設けられ、
前記第2モジュールは、
前記第1のビーム(HR)に対して水平方向に少なくとも部分的に重なり合うかあるいは水平方向に並置された、第4のビーム(HR-CO2)をも投射することができるように構成され、前記第4のビームはピクセル化された部分ハイビームであり、
前記照明装置は制御ユニットを更に備え、前記制御ユニットは、少なくとも前記第2モジュール(3)を制御して、前記第2のビームおよび前記第4のビームを投射させるように構成されている、照明装置(1)。
【請求項2】
前記第2のビーム(ER)および前記第4のビーム(HR-CO2)は互いに離れている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、さらに、前記第2および第3のビーム
(ER,LB)同士の組合せによって形成されるサブビーム内にパターンを投射するよう前記第2のビーム(ER)における各ピクセルの光強度を選択的に制御
するように構成されている、請求項1
または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1および第2のビーム
(HRまたはHR-D,およびER)同士の組合せによって形成されるサブビームが、水平線上と当該照明装置の光軸が通る垂直軸線上とを中心とした最大強度を有している、請求項
1から3のうちのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1モジュールは、
前記第4のビーム(HR-CO2)と反対側で前記第1のビームと水平方向に並置される第5のビーム(HR-CO)をも投射することができるように構成され、前記第5のビームはピクセル化された部分ハイビーム
である、請求項
1から4のうちのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1および第2モジュールは、前記第1のビーム
(HR)が、前記第4
(HR-CO2)および第2のビーム
(ER)同士の間、または前記第5
(HR-CO)および第2のビーム
(ER)同士の間に位置するように構成されている、請求項
5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第2モジュールは、前記第2のビーム
(ER)が、前記
第5のビーム(HR-CO)と少なくとも部分的に水平方向で重なり合えるように構成されている、請求項
5または6に記載の照明装置。
【請求項8】
それぞれのピクセル化されたビームが、少なくとも5°の垂直方向の広がりと、少なくとも5°の水平方向の広がりとを有している、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第1のビーム(HR;HR-D)の解像度が、前記第
5のビーム
(HR-CO)の解像度と実質的に同一である、
請求項5から7のうちのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第2のビーム(ER)の解像度が、前記第
4のビーム
(HR-CO2)の解像度と実質的に同一である、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1、第2、第4、および第5のビームのそれぞれの解像度が実質的に同一である、
請求項5から7のうちのいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の照明や合図の技術分野、より特定的には、歩行者を含む道路使用者向けの情報を地面上に表記するための照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車両の照明装置による光ビームの投射は従来、全体的な照明で道路を照らし、かくして暗い場合(例えば夜間)における視認性を向上させるのを可能とするものである。これにより、車両の安全な運転ができるようにしている。
【0003】
これらの自動車両の照明装置は、従来の照明および/または合図機能、特にHBとも表されるハイビーム機能や、LBと表されるロービーム機能をもたらすものである。これらのHBおよびLB機能は、例えばECE規則によって規制されている。特に、当該規則は、LB機能の光ビームが傾斜区域を含んだカットオフ・ラインを備えねばならないと規定している(当該傾斜区域の上方部分は「段部」と呼ばれ、当該傾斜区域の下方部分は「湾曲部」と呼ばれる)。カットオフ・ラインよりも上へは、光が僅かしか、或いは全く放出されてはならない。光は、当該カットオフ・ラインよりも下へ放出されるのである。
【0004】
これらの照明装置の分野における近年の発展によって、それらの装置に付加的な諸機能を与えることが可能となってきた。かくして、この照明を達成するためにピクセル化された光ビームを作り出すことができるのである。そのような光ビームで照明装置は、局所化された照明機能を果たす(例えば、現場上へとパターンを投射する)こともできる。そのような機能は、アダプティブ(配光可変)照明、すなわちADB(「アダプティブ・ドライビング・ビーム」の頭字語)の分野より知られている。例えば対向車両に対応した区域を、この他の使用者を幻惑しないように暗くすることに本質のある非幻惑性照明が知られている。車両が(例えば、曲がり道や道路交差点で)真っ直ぐではない方向を有しているときに現場の照明区域を修正する屈曲照明機能、即ちDBL(「ダイナミック・ベンディング・ライト」の頭字語)もまた知られている。
【0005】
このカットオフ・ラインを満たすピクセル化されたビームを得るために、レーザー光源と、照らすべき場を走査して地面上に表記をするためのマイクロミラーのマトリックス・アレイと、照明用の加色混合を介して白色光を得るための波長変換装置とを備えた照明装置が知られている。しかしながら、これらの装置は非常に高価なものである。走査システムと波長変換装置との両者のところで十分小さなビーム径を有するように種々のレーザーダイオードからのビーム同士を組み合わせるのは極めて複雑なことであるため、レーザー光源の数を増やすことはより一層困難であろう。
【発明の概要】
【0006】
従って本発明は、新たな配置や設計の可能性をもたらし、照明性能(特に、依然として地面上に情報を表記するのを許容しつつ、ハイビーム機能の中央部で光強度を倍増させるのを可能とすること)と、優れた熱の放散性を有することとの巧みな折衷性に適合した照明装置を得ることを目的とするものである。
【0007】
本発明は、第1のピクセル化された部分ハイビームないしは完全ハイビームを投射することのできる第1モジュールと、第2のピクセル化された道路表記用ビームを投射することのできる第2モジュールと、第3のカットオフ(ロー)ビームを投射することのできる第3モジュールとを備えた自動車両用の照明装置を提案するものである。第1、第2、および第3モジュールは、第1および第2のビーム同士が少なくとも部分的に垂直方向で重なり合い、第2および第3のビーム同士が少なくとも部分的に垂直方向で重なり合うように構成されている。
【0008】
ピクセル化されたビームを作り出すことのできるモジュールとは特に、
- マトリックス・アレイに配置された複数の基本発光体を備え、それら基本発光体のそれぞれが基本光ビームを放出するよう選択的に作動させられることのできる、ピクセル化された光源と、
- 当該基本光ビームのそれぞれをピクセルの形体で投射して、それらのピクセル同士の組が当該ピクセル化されたビームを形成しているようにするために、当該ピクセル化された光源と関連付けられた投射光学素子と、
を備えたモジュールを意味するものと理解されたい。
【0009】
ピクセル化された光源は制御ユニットと関連付けられているのが有利であるが、その制御ユニットは、当該制御ユニットによって受け取られた制御命令に基づいて、ピクセル化されたビームの各ピクセルの光強度を選択的に制御することができ、特に当該ピクセル化されたビームの各ピクセルを選択的に点灯したり消灯したりすることができるのが有利である。
【0010】
投射光学素子は、ピクセル化されたビームが少なくとも5°の垂直方向の広がりと、少なくとも5°の水平方向の広がりとを有するように構成されていることが有利である。これらの水平・垂直方向の広がりによって、ピクセル化されたビームが、次のような道路上の表記機能を果たすに足る大きさの道路の区域上へと投射されるのを保証することが可能となる。即ち、このピクセル化されたビーム内でパターンを投射することによる表記機能、特に、地面に目印を映し出す機能や、運転支援機能や、GPS情報の投射機能であり、或いは、照明ビームのピクセル化を必要とするアダプティブ・ライティング(配光可変照明)機能、特に非幻惑性のハイビーム照明機能やダイナミック・ベンディング・ライティング(動的屈曲照明)機能でありさえする。7かくして投射光学素子は、次の光学的構成要素のうちの1つ、ないしは次の光学的構成要素同士の組み合わせを備えていてよい:レンズ、反射器、ガイド(導光体)、コリメータ、プリズム。
【0011】
適切な場合には、ピクセル化された光源は、基本発光体の少なくとも20列の縦列および少なくとも20列の横列、特に基本発光体の少なくとも32列ずつの横列および縦列を備えていてよい。
【0012】
基本発光体の縦列および横列における、これらの最小数は、前述した水平・垂直方向の広がりとの組み合わせにおいて、基本光ビームのそれぞれについて(投射光学素子によって投射されたならば)0.5°未満の、或いは0.3°未満ですらある開口角を得ることを可能とするものである。かくして、道路上へと投射されたとき、ピクセル化されたビームにて投射される上記パターンの十分な知覚が、道路使用者に対して、および/または、かように装備された車両の運転者に対して保証されるよう、ピクセル化されたビームの最小限度の解像度が得られる。
【0013】
各基本発光体および投射光学素子は、隣接した2つのピクセル同士(即ち、全く同一の横列上または全く同一の縦列上で隣り合う2つのピクセル同士)が連続する(即ち、それらのピクセルの隣り合う縁部同士が一致する)ように構成されているのが有利である。
【0014】
ピクセル化された光源はまた、光を放出する少なくとも1つの発光ダイオードで形成された少なくとも1つの光源と、次のようなマイクロミラーのマトリックス・アレイ(デジタル・マイクロミラー・デバイスの頭字語DMDによっても知られる)との組立体を意味するものとも理解されたい。即ち、当該少なくとも1つの光源から生じた光線を反射によって投射光学素子の方へ差し向けるマイクロミラーのマトリックス・アレイである。適切な場合には、光学素子によって、少なくとも1つの光源からの光線同士を集めることが可能となる。それは、それらの光線を集中させて、マイクロミラーのマトリックス・アレイの表面の方へ差し向けるためである。各マイクロミラーは、2つの決められた位置、各光線が投射光学素子の方へ反射される第1位置と、各光線が投射光学素子以外の方向へ反射される第2位置との間を回動することができる。2つの決められた位置は、全てのマイクロミラーについて同様の向きにされ、マイクロミラーのマトリックス・アレイの支持基準面に対して当該マイクロミラーのマトリックス・アレイに特有の(その仕様で定められた)角度αを成している。この角度αは、一般的には20°未満であり、通常は約12°の値を有している。各マイクロミラーがマイクロミラー・マトリックスアレイ上に入射する光線の僅かな部分を反射することから、位置の変化を発動させてこれを御することによって、投射光学素子により(最終的には道路上へと)送出されるビームの形状を変更することが可能となる。
【0015】
ピクセル化された光源はまた、レーザー光源が次のようなスキャナーに向かってレーザービームを放出するレーザー走査システムを意味するものとも理解されたい。即ち、レーザービームで波長変換素子の表面(その表面が投射光学素子によって映し出される)を走査するように構成されたスキャナーである。ビームの走査は、スキャナーによって、投射像における走査運動を人間の目が知覚せぬに足るほど高い速度で成し遂げられる。レーザー光源の点灯とビームの走査運動とを同期させて御することによって、ピクセル化された光ビームを生じさせることが可能となる。この場合、スキャナーは、レーザービームの反射を通じて波長変換素子の表面を走査するための可動式マイクロミラーである。スキャナーとして挙げられたマイクロミラーは、例えばMEMS(微小電気機械システム)型のものである。但し本発明は、決してこの走査手段に限定されるものではなく、他型式のスキャナー(例えば、回転要素上に配置された一連のミラーであって、当該要素の回転で伝達面がレーザービームにより走査されるようにするものなど)を用いてもよい。
【0016】
ピクセル化された光源はまた、エレクトロルミネセント(電界発光)光源(「固体光源」と称される)を意味するものとも理解されたい。エレクトロルミネセント光源は、複数の、エレクトロルミネセント素子と呼ばれる基本素子を備えている。それらのエレクトロルミネセント素子は、少なくとも2つの縦列と2つの横列でマトリックス・アレイに配置されている。エレクトロルミネセント素子の例には、発光ダイオード、即ちLEDや、有機発光ダイオード、即ちOLEDや、ポリマー発光ダイオード、即ちPLED、或いはマイクロLEDまでもが含まれる。
【0017】
エレクトロルミネセント光源は、少なくとも1つの、エレクトロルミネセント素子のモノリシック・マトリックスアレイ(モノリシック・マトリックスアレイとも称される)を備えていることが好ましい。モノリシック・マトリックスアレイにおいては、各エレクトロルミネセント素子が、共通基板から成長させられて、個別に、或いはエレクトロルミネセント素子同士のサブセット(小集団)毎に選択的に作動可能となるよう電気的に接続されている。基板は、主として半導体材料で作られていてよい。基板は、1つないし複数の更なる材料、例えば非半導体材料を含んで成っていてもよい。各エレクトロルミネセント素子またはエレクトロルミネセント素子の群が、かくして発光ピクセルを形成し得ると共に、そ(れら)の素子の材料へ電力が供給されたときに光を放出することができるのである。そのようなモノリシック・マトリックスアレイの構成によって、プリント回路基板上に半田付けされるよう企図された従来の発光ダイオード群と比べて、選択的に点灯可能なピクセル同士を互いにかなり近接させて配置することが可能となる。本発明の趣旨の範囲内におけるモノリシック・マトリックスアレイは、共通基板に対して自らの延長の主寸法(具体的には、高さ)が略垂直であるエレクトロルミネセント素子を備えており、この高さが多くとも1マイクロメートルとなっている。
【0018】
光線を放出することのできる1つないし複数のモノリシック・マトリックスアレイは、ピクセル化された光源の発光を制御するための制御ユニットに対して結合されていてよい。かくして制御ユニットは、発光装置によるピクセル化された光ビームの生成および/または投射を制御(これはドライブ(drive(piloter))と称されてもよい)し得る。制御ユニットは、発光装置へ統合されていてもよい。制御ユニットが1つないし複数のマトリックス・アレイ上に搭載され、かくして当該組立体が照明モジュールを形成していてもよい。制御ユニットは、コンピュータ・プログラムを格納するメモリと結合された中央処理ユニットを備えていてよい。そのプログラムは、光源を制御するための信号類を生成する各段階を遂行するのを可能とする諸命令を備えている。かくして制御ユニットは、例えばマトリックス・アレイにおける各ピクセルの発光を個別に制御し得る。さらに、当該複数のエレクトロルミネセント素子によって得られる輝度は、最低60Cd/mm2であり、少なくとも80Cd/mm2であることが好ましい。
【0019】
制御ユニットは、各エレクトロルミネセント素子を制御することのできる電子的装置を形成し得る。制御ユニットは、集積回路であってよい。集積回路(電子チップとも呼ばれる)は、1つないし複数の電子的機能を再現する電子的構成要素であり、例えば限定された容積内(即ち、ウェハ上)に幾つかの型式の基本的な電子的構成要素を統合できるものである。これにより、回路を実施することが容易となる。集積回路は、例えばASICやASSPであってよい。ASIC(「特定用途向け集積回路」の頭字語)は、少なくとも1つの特定用途のため(即ち、一顧客のため)に開発された集積回路である。従ってASICは、専用の(マイクロエレクトロニクスの)集積回路である。一般的には、それは多数の独自な、即ち誂えられた機能性を一緒に纏めている。ASSP(「特定用途向け標準製品」の頭字語)は、広く標準化された用途を充足するために多数の機能性を一緒に纏めている集積された(マイクロエレクトロニクスの)電子回路である。ASICは、ASSPよりも、もっと特定の(具体的な)ニーズのために設計されているのである。モノリシック・マトリックスアレイは電子的装置を通じて電力を供給されるが、その電子的装置自体は、例えば自らを電源へ接続する少なくとも1つのコネクタを用いて電力を供給される。電源は、本発明による装置の内部にあっても外部にあってもよい。電子的装置が光源へ電力を供給するのである。かくして電子的装置は光源を制御することができる。
【0020】
本発明によれば光源は、少なくとも1つのモノリシック・マトリックスアレイを備え、そのマトリックスアレイの各エレクトロルミネセント素子が各々そこから成長させられているところの共通基板から突き出ている。エレクトロルミネセント素子同士の種々の配置が、このモノリシック・マトリックスアレイの定義を満たし得るが、それは次のことを条件としてである。即ち、各エレクトロルミネセント素子が、共通基板に対して略垂直な、自らの延長の主寸法のうちの1つを有していること、および(電気的に一緒に纏められた1つないし複数のエレクトロルミネセント素子によって形成される)ピクセル同士の間の間隔が、既知の、プリント回路基板へ半田付けされる平坦な正方形のチップ同士の配置において課される間隔と比べて小さいことである。
【0021】
特に、本発明の一態様による光源は(下記で、より詳細に説明することとなるように)、選択的に(適切な場合には、内部でロッド同士が同時に作動可能な部分組立体毎に)作動させられるよう電気的に接続され合うことによる、他のものとは別個の、基板から個々に成長させられた複数のエレクトロルミネセント素子を備え得る。
【0022】
図示しない一実施形態によれば、モノリシック・マトリックスアレイは、複数の(サブミリメートル寸法の)エレクトロルミネセント素子を備えている。それらのエレクトロルミネセント素子は、六角形断面のロッド群を形成するように基板から突き出て配列されている。各エレクトロルミネセント・ロッドは、光源がハウジング内の所定位置にあるとき、照明モジュールの光軸と平行に伸びている。
【0023】
これらのエレクトロルミネセント・ロッド同士は(特に、各組立体に特有の電気的接続によって)選択的に作動可能な複数の部分へと一緒に纏められている。エレクトロルミネセント・ロッドは、基板の第1面から生じている。この場合には窒化ガリウム(GaN)を用いて形成された各エレクトロルミネセント・ロッドが、(この場合にはシリコンより作られた)基板から突き出て垂直ないし略垂直に伸びている。本発明の文脈から逸脱することなく、シリコンカーバイドなどの他の材料を用いることができる。例として、エレクトロルミネセント・ロッドは、窒化アルミニウムと窒化ガリウムとの合金(AlGaN)や、アルミニウム、インジウム、およびリン化ガリウムの合金(AlInGaP)から作ることができるであろう。各エレクトロルミネセント・ロッドは、自らの高さを規定する延長の軸線に沿って伸びており、各ロッドの基部が基板上面の平面内に配置されている。
【0024】
全く同一のモノリシック・マトリックスアレイにおけるエレクトロルミネセント・ロッド同士は、同じ形状と同じ寸法とを有しているのが有利である。それらのロッドは各々、端面によって、またロッドの延長の軸線に沿って伸びる外周壁によって画定されている。エレクトロルミネセント・ロッドがドープされ、分極化に掛けられたとき、半導体光源の出力において結果として生じる光は、主として外周壁から放出されるが、端面からも光線が出て行き得る、ということを理解されたい。この結果は、各エレクトロルミネセント・ロッドが単一の発光ダイオードとして機能し、この光源の輝度が、第1には、存在するエレクトロルミネセント・ロッド同士の密度によって、第2には、外周壁により画定されるが故にロッドの全周および全高に亘って広がる発光面の大きさによって、向上するということになる。ロッドの高さは、2から10μmの間であってよいが、略8μmであることが好ましい。ロッドの端面の最大寸法は2μm未満であるが、1μm以下であることが好ましい。
【0025】
各エレクトロルミネセント・ロッドを形成するときには、光源の区域毎に高さを変えてもよい、ということを理解されたい。それは、対応した区域を形成するロッド同士の平均高さを増大させたときに、その区域の輝度が高められるようにである。かくして、ある群のエレクトロルミネセント・ロッドが、別の群のエレクトロルミネセント・ロッドとは異なる1つないし複数の高さを有し、これらの2つの群同士が、サブミリメートル寸法のエレクトロルミネセント・ロッドを備える同じ半導体光源を形成していてよいのである。各エレクトロルミネセント・ロッドの形状は、特に各ロッドの断面や、端面の形状に関して、モノリシック・マトリックスアレイ毎に変化していてもよい。各ロッドは、概して円柱状の形状を有しているが、特に多角形の(より特定的には、六角形の)の断面形状を有していてよい。外周壁を通じて光を放出することができるのが重要であるということ、および外周壁は多角形や円形の形状を有しているということを理解されたい。
【0026】
さらに、端面は、基板の上面と略平行に広がるように略平坦で外周壁と直角をなした形状を有しているか、さもなければ、この端面から出て行く光の放出される方向を増やすよう、湾曲したり、その中央で先細りになったりした形状を有していてよい。
【0027】
エレクトロルミネセント・ロッド同士は、2次元マトリックス・アレイに配列されている。この配列は、ロッド同士を五点形(さいころの五の目形)に配置するようなものとすることができるであろう。一般的には、基板上にロッド同士が一定間隔で配置され、マトリックス・アレイの2次元の各方向において直接隣り合う2つのエレクトロルミネセント・ロッド同士を隔てる距離は、少なくとも2μmであるべきであり、3μmから10μmの間であることが好ましい。それは、各ロッドの外周壁を通じて放出された光が、エレクトロルミネセント・ロッド同士のマトリックス・アレイから出て行けるようにである。さらに、これらの隔てる距離(隣り合うロッドにおける2本の延長の軸線同士の間で測ったもの)が、100μmを超えないようにすることへの備えがなされる。
【0028】
図示しない別の実施形態によれば、モノリシック・マトリックスアレイは、(例えば、シリコンカーバイドで作られた)単一基板上のエピタキシャル・エレクトロルミネセント素子の各層(特に、n型ドープGaNの第1層およびp型ドープGaNの第2層)を、全く同一の基板からそれぞれ生じた複数のピクセルを形成するように(研磨および/またはアブレーションによって)切り分けたものによって形成されたエレクトロルミネセント素子を備えていてよい。そのような設計の結果は、全てが全く同一の基板から生じて、互いに選択的に作動させられるよう電気的に接続された複数のエレクトロルミネセント・ブロックということになる。
【0029】
この別の実施形態による一実施例において、モノリシック・マトリックスアレイの基板は、100μmから800μmの間、特に200μmの厚さを有していてよく、各ブロックは、50μmから500μmの間、好適には100μmから200μmの間にそれぞれある幅と幅とを有していてよい。一変形例においては、長さと幅とが等しい。各ブロックの高さは500μm未満であるが、300μm未満であることが好ましい。最後に、各ブロックの出光面は、基板を介して、エピタクシー(配向成長)とは反対の側に形成され得る。2つのピクセル同士の間を隔てる距離。隣接する各エレクトロルミネセント・ブロック同士の間の距離は、1μm未満、特に500μm未満であってよいが、200μm未満であることが好ましい。
【0030】
図示しない別の実施形態によれば、(上述したように全く同一の基板から各々突き出て伸びているエレクトロルミネセント・ロッドと、全く同一の基板上に積層されたエレクトロルミネセント層を切り分けることによって得られるエレクトロルミネセント・ブロックとの両者にて、モノリシック・マトリックスアレイは、各エレクトロルミネセント素子が少なくとも部分的に埋め込まれるポリマー材料の層を更に備えていてよい。かくして、その層が、基板の全範囲に亘って、或いはエレクトロルミネセント素子の所与の群の周囲にだけ広がっていてもよい。ポリマー材料(これは、特にシリコーン系のものであってよい)は、光線の放散を損なうことなくエレクトロルミネセント素子を保護することを可能とする保護層を作り出す。さらに、このポリマー材料の層には、波長変換手段(例えば、発光団)を組み込むことが可能である。その波長変換手段は、素子のうちの1つによって放出された光線の少なくとも一部を吸収して、当該吸収された励起光の少なくとも一部を、励起光の波長とは異なる波長を有した放出光へと変換することのできるものである。ポリマー材料の内部実質内に発光団を埋め込むか、さもなければ、このポリマー材料の層の表面上に発光団を配置することへの備えが、平等に成され得る。
【0031】
光源は更に、ピクセル化された光源の出光面の方へと光線を偏向させるための反射性材料の被覆を備えていてもよい。
【0032】
サブミリメートル寸法のエレクトロルミネセント素子同士が、基板に略平行な平面内で所与の出光面を画成している。この出光面の形状は、その面を形成するエレクトロルミネセント素子の数および配置に応じて定められる、ということを理解されたい。かくして、発光面の略矩形の形状を定めることが可能となるが、その形状は変わってもよく、本発明の文脈から逸脱することなく任意の形状を採用してよい、ということを理解されたい。
【0033】
かくして当該照明装置の第1照明モジュールは、第3照明モジュールにより生成されるカットオフビームに対して相補的な光ビームを投射することによって、完全な、或いは部分的な道路照明機能を果たすことを可能とする。第2モジュールは(それに関する限り)、ハイビーム上およびカットオフビーム上に重ね合わされることとなる道路表記用ビームを投射する。ハイ光ビームと地面表記用ビームとの(垂直方向に沿った)少なくとも部分的な重なり合いによって、ハイビームの光強度を(特に、その中央部において)増強させること、従って運転者および他の道路使用者達の快適性を向上させることが可能となる。道路表記用ビームとカットオフビームとの少なくとも部分的な重なり合いによっては、第2モジュールのピクセル化された光源を御することにより、或いはカットオフビームを標準を下回って供給することにより、或いは第3モジュールがピクセル化された光源を備えて各ピクセルを選択的に作動させられる場合にはカットオフビームの関連部分を消灯させることによってすら、光強度を部分的に増強し得ることのおかげで、地面上に表記をすることが可能となるのである。
【0034】
第1および第3のビーム同士が、垂直方向で少なくとも部分的に重なり合っていることが有利である。
【0035】
当該照明装置は、第2および第3のビーム同士の組合せによって形成されるサブビーム内にパターンを投射するよう第2のビームにおける各ピクセルの光強度を選択的に制御することのできる制御ユニットを更に備えているのが有利である。
【0036】
第1および第2のビーム同士の組合せによって形成されるサブビームが(25m離れたスクリーン上へと投射されたとき)水平線上と当該照明装置の光軸が通る垂直軸線上とを中心とした最大強度を有しているのが有利である。
【0037】
第1モジュールは、第1のピクセル化された部分ハイビームと水平方向に並置される第4のピクセル化された部分ハイビームを投射することができるのが有利である。
【0038】
第2モジュールは、第1のピクセル化された部分ハイビームと少なくとも部分的に重なり合うかまたは水平方向に並置される第5のピクセル化された部分ハイビームを投射することができるのが有利である。
【0039】
第1および第2モジュールは、第1のビームが、第4および第2のビーム同士の間、または第5および第2のビーム同士の間に位置するように構成されているのが有利である。
【0040】
第2モジュールは、第2のビームが、第4のピクセル化された部分ハイビームと少なくとも部分的に水平方向で重なり合えるように構成されているのが有利である。
【0041】
それぞれのピクセル化されたビームが、少なくとも5°の垂直方向の広がりと、少なくとも5°の水平方向の広がりとを有しているのが有利である。
【0042】
第1のビームの解像度が、第4のビームの解像度と実質的に同一であることが有利である。
【0043】
第2のビームの解像度が、第5のビームの解像度と実質的に同一であることが有利である。
【0044】
第1、第2、第4、および第5のビームのそれぞれの解像度が実質的に同一である、前記請求項のうちいずれか一項に記載の照明装置が有利である。
【0045】
本発明は更に、本発明による照明装置を少なくとも1つ(できれば少なくとも2つ)備えた自動車両を提案するものである。
【0046】
自動車両の両側(できれば当該車両の縦軸線の両側)に各照明装置が配置されるのが有利である。
【0047】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して非限定的な例として与えられるその幾つかの実施形態の下記説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の好適な一実施形態による照明装置の正面図。
【
図2】本発明の好適な一実施形態による照明装置の平面図。
【
図3】第1実施形態による照明装置によって投射される全体ビーム。
【
図4】第3実施形態による照明装置によって投射される全体ビーム。
【
図5】第4実施形態による照明装置によって投射される全体ビーム。
【
図6】第5実施形態による照明装置によって投射される全体ビーム。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1および
図2は、第1実施形態により、本発明の一実施形態による照明装置1を示している。この照明装置は、第1のピクセル化された部分ハイビームないしは完全ハイビームHRを投射することのできる第1照明モジュール2と、第2の道路表記用ビームERを投射することのできる第2照明モジュール3と、ピクセル化された、或いはピクセル化されていないロービームなどの第3のカットオフ・ビームLBを投射することのできる第3照明モジュール3とを備えている。第1、第2、および第3のビームHR,ER,およびLBは
図3に示されているが、これらは照明装置1から25メートルの所に置かれたスクリーン上に投射されたものであり、その上には水平線を表す水平軸線H-Hと、水平軸線H-Hに垂直で照明装置1の光軸Xと交じわる垂直軸線V-Vとが形作られている。
【0050】
第1モジュール2は、
- 28列のピクセルの横列と44列のピクセルの縦列とのマトリックス・アレイに配置された1232個のピクセルを具備し、各ピクセルが少なくとも1つの基本発光体を備えて基本光ビームを放出するよう選択的に作動させられることのできる、ピクセル化された光源21と、
- 当該基本光ビームのそれぞれを0.3°の幅および長さを有したピクセルの形体で投射するために当該ピクセル化された光源と関連付けられた投射光学素子22と、
を備えている。
【0051】
第1モジュール2によって投射されたピクセル同士の組が、上記第1のピクセル化されたビームHRを形成する。このビームHRは、12°の水平方向の広がりと、9°の垂直方向の広がりとを有している。そのビームは、垂直軸線V-Vの両側へ非対称に広がっている。この場合、照明装置1が車両の右側ヘッドライトであることから、ビームHRは車両内側へ4°、車両外側へ8°広がっている。そのビームはまた、水平軸線H-Hの上方へ5°、水平軸線H-Hの下方へ3°広がっている。
【0052】
説明される実施形態において、ピクセル化された光源21は、上述したようにモノリシック・マトリックスアレイを備えている。ピクセル化された光源21を、上述した任意の他の型式のピクセル化光源(例えば、発光ダイオードのマトリックス・アレイや、マイクロミラーのような光電子素子のマトリックス・アレイと関連付けられた光源など)と置き換えることへの備えがなされてもよい。第1照明モジュールは、上述したもの以外の素子類を備えていてもよい。これらの素子類は、本発明による諸構成とは機能的に相互作用しないので、本発明の文脈においては説明しないこととする。
【0053】
第3モジュール4は、
- 複数の発光体、例えば横一列に沿って配置された9つの発光ダイオードを備え、各ダイオードが基本光ビームを放出することのできる光源41と、
- マトリックス・アレイ41の前方に配置されて、各発光ダイオードから生じた基本光ビーム同士を集めて、定形配列し、案内する複数42の一次光学素子と、
- 一次光学素子の前方に配置され、一次光学素子から生じた上記基本光ビームのそれぞれを3°の幅と5°の長さとを有したピクセルの形体で投射するための投射光学素子43と、
を備えている。
【0054】
この実施形態の一変形例においては、9つの発光ダイオードを選択的に作動させることができる。
【0055】
第3モジュール4によって投射されたピクセル同士の組が、第3のビームLBを形成する。このビームLBは、20°の水平方向の広がりと、8°の垂直方向の広がりとを有している。
【0056】
第3照明モジュール3は、第3のロービームがロービーム上方カットオフLB_COを有するように構成されている。この場合、各一次光学素子42は次のように配置されている。即ち、それらの素子の出光面同士が、これらの面の下縁部が連続して整列されられるように隣接し合い、これらの出光面上に投射光学素子43の焦点が合わされるようにである。かくして投射光学素子43は、この第3の光ビームを形成するピクセルの上縁部同士によって画定される上方カットオフLB_COの所に、これらの下縁部を映し出すのである。
【0057】
説明される例において、上方カットオフは、水平軸線H-Hの下方0.57°の所に配置される単一の平坦な水平部分を備えている。
【0058】
第2モジュール3は、
- 28列のピクセルの横列と44列のピクセルの縦列とのマトリックス・アレイに配置された1232個のピクセルを具備し、各ピクセルが少なくとも1つの基本発光体を備えて基本光ビームを放出するよう選択的に作動させられることのできる、ピクセル化された光源31と、
- 当該基本光ビームのそれぞれを0.3°の幅および長さを有したピクセルの形体で投射するために当該ピクセル化された光源と関連付けられた投射光学素子32と、
を備えている。
【0059】
第1モジュール2によって投射されたピクセル同士の組が、上記第2のピクセル化されたビームERを形成する。このビームERは、12°の水平方向の広がりと、8°の垂直方向の広がりとを有している。そのビームは、垂直軸線V-Vの両側へ対称に広がっている。この場合、照明装置1が車両の右側ヘッドライトであることから、ビームHRは車両内側へ6°、従って車両外側へ6°広がっている。そのビームは、水平軸線H-Hの上方へ3°、水平軸線H-Hの下方へ5°、非対称に広がっている。
【0060】
説明される実施形態において、ピクセル化された光源31は、上述したようにモノリシック・マトリックスアレイを備えている。ピクセル化された光源31を、上述した任意の他の型式のピクセル化光源(例えば、発光ダイオードのマトリックス・アレイや、マイクロミラーのような光電子素子のマトリックス・アレイと関連付けられた光源など)と置き換えることへの備えがなされてもよい。第1照明モジュールは、上述したもの以外の素子類を備えていてもよい。これらの素子類は、本発明による諸構成とは機能的に相互作用しないので、本発明の文脈においては説明しないこととする。
【0061】
得られる様々なビーム同士の重なり合いが
図3に示されている。例えば、特に線H-HとV-Vとの交点の所におけるビームHRとER。かくして全体ビームの光強度が増大し、それにより運転者の視覚的な快適性が向上するのである。
【0062】
ビームERとLBとが重なり合っているのも見られる。この重なり合いに関しては、幾つかの筋書きが生じ、
- ビームERは、ビームLBよりも高い光強度を有し、それゆえ、運転者および/または他の使用者達によって見られるよう明確なコントラストにより地面上に表記をすることが可能となり、
- ビームLBは、第3モジュール4のピクセル化された光源(その各ピクセルは個別にアドレス指定して作動させることができる)によって作り出され、それゆえ、ビームERと共通の区域におけるビームLBの各ピクセルは、ビームERによって作り出されるパターンを明らかにするよう消灯されることとなる。
【0063】
最後に、照明装置1は、第1および第2ビームHRおよびLBの各ピクセルの光強度をそれぞれ選択的に制御することのできる制御ユニット5を備えている。その制御は、受け取った制御命令に基づいて、例えば光源21および31の各基本発光体のスイッチを選択的に入れたり切ったりすることによってか、さもなければ、これら基本発光体のそれぞれに供給される電力を(増大させたり減少させたりするように)変化させることによってなされる。
【0064】
第2実施形態において、第1モジュール2は、第1のピクセル化された部分ハイビームHRと水平方向に並置される第4のピクセル化された部分ハイビームHR-COを投射することができる。そして第1モジュール2は、ピクセル化された光源21と同じ型式の(即ち、28列のピクセルの横列と44列のピクセルの縦列とのマトリックス・アレイに配置された1232個のピクセルを具備し、各ピクセルが少なくとも1つの基本発光体を備えて基本光ビームを放出するよう選択的に作動させられることのできる)第2のピクセル化された光源を備えている。当該基本光ビームのそれぞれを0.3°の幅および長さを有したピクセルの形体で投射するために、この第1モジュール2の当該第2のピクセル化された光源に投射光学素が関連付けられている。
【0065】
ビームHR-COは、12°の水平方向の広がりと、8°の垂直方向の広がりとを有している。この場合、照明装置1が右側の車両ヘッドライトであることから、ビームHR-COは、ビームHRの右側の縁部、即ち車両外側の縁部から12°広がっている。そのビームはまた、水平軸線H-Hの上方へ5°、水平軸線H-Hの下方へ3°広がっている。
【0066】
第3実施形態(この実施形態は、第2実施形態の構成を引き継いでいる)において、第2モジュール3は、1のピクセル化された部分ハイビームHRと少なくとも部分的に重なり合うか、或いは水平方向に並置される第5のピクセル化された部分ハイビームHR-CO2を投射することができる。これが
図4に示されている。
【0067】
そして第2モジュール3は、ピクセル化された光源31と同じ型式の(即ち、28列のピクセルの横列と44列のピクセルの縦列とのマトリックスアレイに配置された1232個のピクセルを具備し、各ピクセルが少なくとも1つの基本発光体を備えて基本光ビームを放出するよう選択的に作動させられることのできる)第2のピクセル化された光源を備えている。当該基本光ビームのそれぞれを0.3°の幅および長さを有したピクセルの形体で投射するために、この第2モジュール3の当該第2のピクセル化された光源に投射光学素が関連付けられている。
【0068】
ビームHR-CO2は、12°の水平方向の広がりと、8°の垂直方向の広がりとを有している。この場合、照明装置1が右側の車両ヘッドライトであることから、ビームHR-COは、ビームHRの左側の縁部、即ち車両内側の縁部から12°広がっている。そのビームはまた、車両内側の水平軸線H-Hの上方へ5°、水平軸線H-Hの下方へ3°広がっている。
【0069】
この構成においては、前述した利点に加えて、限定された容積と、カットオフビームLBの全幅に亘って広がるピクセル化ハイビームとが得られている。
【0070】
第4実施形態は、第1モジュール2を除けば第3実施形態と同一である。これは、
- 28列のピクセルの横列と88列のピクセルの縦列とのマトリックス・アレイに配置された2464個のピクセルを具備し、各ピクセルが少なくとも1つの基本発光体を備えて基本光ビームを放出するよう選択的に作動させられることのできる、ピクセル化された光源と、
- 当該基本光ビームのそれぞれを0.3°の幅および長さを有したピクセルの形体で投射するために当該ピクセル化された光源と関連付けられた投射光学素子と、
を備えている。
【0071】
第1モジュール2によって投射されるピクセル同士の組は、ピクセル化されたビームHRーDを形成する。このビームHRーDは、24°の水平方向の広がりと、9°の垂直方向の広がりとを有している。そのビームは、垂直軸線V-Vの両側へ非対称に広がっている。この場合、照明装置1が車両の右側ヘッドライトであることから、ビームHRは車両内側へ4°、車両外側へ20°広がっている。そのビームはまた、水平軸線H-Hの上方へ5°、水平軸線H-Hの下方へ3°広がっている。
【0072】
かくして第1モジュール2は、第3実施形態と比べてよりコンパクトであり、従って照明装置1もまた同様である。得られる種々の光ビームが
図5に示されている。
【0073】
第5実施形態において、第1モジュール2は、
- 28列のピクセルの横列と132列のピクセルの縦列とのマトリックス・アレイに配置された3696個のピクセルを具備し、各ピクセルが少なくとも1つの基本発光体を備えて基本光ビームを放出するよう選択的に作動させられることのできる、ピクセル化された光源と、
- 当該基本光ビームのそれぞれを0.3°の幅および長さを有したピクセルの形体で投射するために当該ピクセル化された光源と関連付けられた投射光学素子と、
を備えている。
【0074】
第1モジュール2によって投射されるピクセル同士の組は、ピクセル化されたビームHRーGを形成する。このビームHRーGは、36°の水平方向の広がりと、9°の垂直方向の広がりとを有している。そのビームは、垂直軸線V-Vの両側へ非対称に広がっている。この場合、照明装置1が車両の右側ヘッドライトであることから、ビームHRは車両内側へ16°、車両外側へ20°広がっている。そのビームはまた、水平軸線H-Hの上方へ5°、水平軸線H-Hの下方へ3°広がっている。
【0075】
かくして第1モジュール2は、第3実施形態と比べてよりコンパクトであり、従って照明装置1もまた同様である。得られる種々の光ビームが
図5に示されている。
【0076】
第2および第3モジュールは、第1実施形態と同じままである。
【0077】
上述した各実施形態の一変形例において、ピクセル化された光源同士は、求められる要件に応じて互いに異なる解像度を有していてもよい。
【0078】
本発明によるモノリシック光源を実施する場合のそれぞれにおいて、かくして他のものとは別個のエレクトロルミネセント素子同士の電気的接続を通じて、さもなければエレクトロルミネセント・ブロックの切り分けの形状を通じて、発光面内で選択的に作動させることのできる部分同士の特定の構成を(それらの部分の形状に関してであれ、寸法に関してであれ)達成することが可能となる。
【0079】
上記で説明してきたように、基板は、モノリシック・マトリックスアレイの様々な部分を形成しているエレクトロルミネセント素子の全てに共通のものであってよい。かくして、これにより電気的接続線の数が最適化され、光源の各部を一緒に纏めるのがより容易となる。この構成の連続的な性質は、エレクトロルミネセント光源の両方の部分が同時に作動されるときに均一な流れを得るのに特に有益なものである。
【0080】
上記説明は、本発明が自らに課された諸目的を達成すること、特に次のような照明装置を提案することを、如何にして可能とするかを明確に説明している。即ち、多機能照明、つまりカットオフを伴った非幻惑性照機能明、単一の成形用光学部品での長距離照明機能、および道路上への表記を通じた合図機能を生じさせることのできる照明を、より低コストで、測光的な品質の低下を伴うことなく達成することを可能とする照明装置である。本発明によれば特に、モノリシック光源(例えば、エレクトロルミネセント・ロッド群を備える半導体光源)と、単純な成形用光学部品(即ち、例としては集束レンズおよび/または放物面鏡)とを、これら2つの素子同士の間に中間的な光学面を要することなく組み合わせるという有利性がある。
【0081】
別様に特定されていない限り、所与の一実施形態について詳述される技術的な諸特徴は、例として限定せずに記述された他の各実施形態の文脈において説明される技術的な諸特徴と組み合わされてもよい。