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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】X線診断装置およびフットスイッチ
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
A61B6/00 320Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017103764
(22)【出願日】2017-05-25
(65)【公開番号】P2018198650
(43)【公開日】2018-12-20
【審査請求日】2020-04-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福崎 武宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘明
(72)【発明者】
【氏名】殿塚 浩規
(72)【発明者】
【氏名】西墻 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 嘉代子
(72)【発明者】
【氏名】網田 恒司
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】松本 隆彦
【審判官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/051356(WO,A1)
【文献】特開2014-111133(JP,A)
【文献】特開2014-184340(JP,A)
【文献】特開2010-240028(JP,A)
【文献】特開平9-322919(JP,A)
【文献】特許第5976183(JP,B1)
【文献】特開2014-164711(JP,A)
【文献】特開2007-14540(JP,A)
【文献】特開2015-109922(JP,A)
【文献】特開2016-34451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B6/00-6/14
G06F3/033-3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの足による操作を受け付ける操作部と、前記足による第1の操作に応じて第1の操作信号を出力するとともに、前記足による第2の操作に応じて第2の操作信号を出力する信号出力部と、を有するフットスイッチと、
前記ユーザの足による前記フットスイッチに対する前記第1の操作に応じた前記第1の操作信号を受けるとX線撮像を開始するようX線源とX線検出器とを制御する撮像開始部と、
前記X線撮像にもとづくX線画像を生成し表示部に表示させる画像生成部と、
前記ユーザの足による前記フットスイッチに対する前記第1の操作の受け付けに続いて、さらに前記ユーザの前記足による前記フットスイッチに対する前記第2の操作を受けると、前記第2の操作信号に応じて前記X線撮像の視野を変更する視野変更部と、
を備え、
前記フットスイッチの前記操作部は、
前記足による踏み込み量の情報を受け付ける踏み板を有し、
前記フットスイッチの前記信号出力部は、
前記踏み板が初期位置から所定量が踏み込まれて踏み込み開始操作が行われると前記第1の操作信号を出力するとともに、前記所定量からさらに踏み込まれると前記踏み板の踏み込み量に応じた信号を前記第2の操作信号として出力する踏込出力部を有する、
X線診断装置。
【請求項2】
ユーザの足による操作を受け付ける操作部と、前記足による第1の操作に応じて第1の操作信号を出力するとともに、前記足による第2の操作に応じて第2の操作信号を出力する信号出力部と、を有するフットスイッチと、
前記ユーザの足による前記フットスイッチに対する前記第1の操作に応じた前記第1の操作信号を受けるとX線撮像を開始するようX線源とX線検出器とを制御する撮像開始部と、
前記X線撮像にもとづくX線画像を生成し表示部に表示させる画像生成部と、
前記ユーザの足による前記フットスイッチに対する前記第1の操作の受け付けに続いて、さらに前記ユーザの前記足による前記フットスイッチに対する前記第2の操作を受けると、前記第2の操作信号に応じて前記X線撮像の視野を変更する視野変更部と、
を備え、
前記フットスイッチの前記操作部は、
前記足による踏み込み操作の有無を受け付ける踏み板と、
前記足による前記第2の操作を受け付けるための、センサおよびドグを有するドグ機構とスイッチとの少なくとも一方と、
を有し、
前記フットスイッチの前記信号出力部は、
踏み込み操作の有無を受け付ける前記踏み板に対する踏み込み操作があると前記第1の操作信号を出力する踏込出力部と、
前記スイッチの押下回数に応じた信号と前記ドグの操作量に応じた前記センサの出力信号との少なくとも一方を前記第2の操作信号として出力するサイズ信号出力部と、
を有する、
X線診断装置。
【請求項3】
ユーザの足による操作を受け付ける操作部と、前記足による第1の操作に応じて第1の操作信号を出力するとともに、前記足による第2の操作に応じて第2の操作信号を出力する信号出力部と、を有するフットスイッチと、
前記ユーザの足による前記フットスイッチに対する前記第1の操作に応じた前記第1の操作信号を受けるとX線撮像を開始するようX線源とX線検出器とを制御する撮像開始部と、
前記X線撮像にもとづくX線画像を生成し表示部に表示させる画像生成部と、
前記ユーザの足による前記フットスイッチに対する前記第1の操作の受け付けに続いて、さらに前記ユーザの前記足による前記フットスイッチに対する前記第2の操作を受けると、前記第2の操作信号に応じて前記X線撮像の視野を変更する視野変更部と、
前記信号出力部が出力する前記足による第3の操作に応じた第3の操作信号に応じて前記X線源が照射するX線線量を変更する線量変更部と、
を備え、
前記フットスイッチの前記操作部は、
前記足による踏み込み量の情報を受け付ける第1の踏み板および第2の踏み板を有し、
前記フットスイッチの前記信号出力部は、
前記第1の踏み板が初期位置から所定量が踏み込まれると前記第1の操作信号を出力するとともに、前記所定量からさらに踏み込まれると前記第1の踏み板の踏み込み量に応じた信号を前記第3の操作信号として出力し、かつ、前記第2の踏み板の踏み込み量に応じた信号を前記第2の操作信号として出力する踏込出力部を有し、
前記撮像開始部は、
前記第1の踏み板が初期位置から所定量が踏み込まれると、前記X線撮像を開始するよう前記X線源と前記X線検出器とを制御し、
前記線量変更部は、
前記第1の踏み板が前記所定量からさらに踏み込まれると、前記第1の踏み板の踏み込み量に応じて前記X線線量を変更し、
前記視野変更部は、
前記第2の踏み板の踏み込み量に応じて前記X線撮像の視野サイズを変更する、
X線診断装置。
【請求項4】
前記視野変更部は、
前記第2の操作信号に応じて前記X線撮像の視野サイズを変更する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記フットスイッチ前記信号出力部は、
前記足による第4の操作に応じた第4の操作信号を出力し、
前記視野変更部は、
前記第4の操作信号に応じて前記X線撮像の視野の中心位置を変更する、
請求項4記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記フットスイッチの前記操作部は、
前記足による踏み込み操作の有無を受け付ける踏み板を少なくとも有し、前記踏み板または他の部材を介して前記X線撮像の視野の中心位置の変更操作を受け付け、
前記フットスイッチの前記信号出力部は、
踏み込み操作の有無を受け付ける前記踏み板に対する踏み込み操作があると前記第1の操作信号を出力する踏込出力部と、
前記X線撮像の視野の中心位置の変更操作に応じた信号を出力する移動信号出力部と、
を有する、
請求項1ないしのいずれか1項に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記踏み板は、
前記踏み板の面内方向に移動可能であり、前記踏み板の面内方向の移動により前記中心位置の変更操作を受け付け、
前記移動信号出力部は、
前記中心位置の変更操作に応じた信号として、前記踏み板の面内方向における前記踏み板の移動量および移動方向を示す信号を出力し、
前記視野変更部は、
前記踏み板の面内方向における前記踏み板の移動量および移動方向に応じて前記X線撮像の視野の中心位置を変更する、
請求項記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記操作部は、
前記中心位置の変更操作を受け付けるための前記他の部材として、センサおよびドグを有するドグ機構とスイッチとの少なくとも一方をさらに有し、
前記移動信号出力部は、
前記スイッチの押下回数に応じた信号と前記ドグの操作量に応じた前記センサの出力信号との少なくとも一方を前記中心位置の変更操作に応じた信号として出力する、
請求項またはに記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記フットスイッチが出力する複数の操作信号のそれぞれに割り当てられた機能を変更する割当部、
をさらに備えた請求項1ないしのいずれか1項に記載のX線診断装置。
【請求項10】
ユーザの足による第1の操作に応じた第1の操作信号を受けるとX線撮像を開始するようX線源とX線検出器とを制御する撮像開始部と、前記X線撮像にもとづくX線画像を生成し表示部に表示させる画像生成部と、前記ユーザの足による前記第1の操作の受け付けに続いて、さらに前記ユーザの前記足による第2の操作を受けると、前記第2の操作に応じた第2の操作信号に応じて前記X線撮像の視野を変更する視野変更部と、を備えたX線診断装置を制御するためのフットスイッチであって、
前記足による操作を受け付ける操作部と、
前記足による第1の操作に応じて前記第1の操作信号を出力するとともに、前記足による第2の操作に応じて前記第2の操作信号を出力する信号出力部と、
を備え、
前記操作部は、
前記足による踏み込み量の情報を受け付ける踏み板を有し、
前記信号出力部は、
前記踏み板が初期位置から所定量が踏み込まれて踏み込み開始操作が行われると前記第1の操作信号を出力するとともに、前記所定量からさらに踏み込まれると前記踏み板の踏み込み量に応じた信号を前記第2の操作信号として出力する踏込出力部を有する、
フットスイッチ。
【請求項11】
ユーザの足による第1の操作に応じた第1の操作信号を受けるとX線撮像を開始するようX線源とX線検出器とを制御する撮像開始部と、前記X線撮像にもとづくX線画像を生成し表示部に表示させる画像生成部と、前記ユーザの足による前記第1の操作の受け付けに続いて、さらに前記ユーザの前記足による第2の操作を受けると、前記第2の操作に応じた第2の操作信号に応じて前記X線撮像の視野を変更する視野変更部と、を備えたX線診断装置を制御するためのフットスイッチであって、
前記足による操作を受け付ける操作部と、
前記足による第1の操作に応じて前記第1の操作信号を出力するとともに、前記足による第2の操作に応じて前記第2の操作信号を出力する信号出力部と、
を備え、
前記操作部は、
前記足による踏み込み操作の有無を受け付ける踏み板と、
前記足による前記第2の操作を受け付けるための、センサおよびドグを有するドグ機構とスイッチとの少なくとも一方と、
を有し、
前記信号出力部は、
踏み込み操作の有無を受け付ける前記踏み板に対する踏み込み操作があると前記第1の操作信号を出力する踏込出力部と、
前記スイッチの押下回数に応じた信号と前記ドグの操作量に応じた前記センサの出力信号との少なくとも一方を前記第2の操作信号として出力するサイズ信号出力部と、
を有する、
フットスイッチ。
【請求項12】
ユーザの足による第1の操作に応じた第1の操作信号を受けるとX線撮像を開始するようX線源とX線検出器とを制御する撮像開始部と、前記X線撮像にもとづくX線画像を生成し表示部に表示させる画像生成部と、前記ユーザの足による前記第1の操作の受け付けに続いて、さらに前記ユーザの前記足による第2の操作を受けると、前記第2の操作に応じた第2の操作信号に応じて前記X線撮像の視野を変更する視野変更部と、を備えたX線診断装置を制御するためのフットスイッチであって、
前記足による操作を受け付ける操作部と、
前記足による第1の操作に応じて前記第1の操作信号を出力するとともに、前記足による第2の操作に応じて前記第2の操作信号を出力する信号出力部と、
を備え、
前記X線診断装置は、前記信号出力部が出力する前記足による第3の操作に応じた第3の操作信号に応じて前記X線源が照射するX線線量を変更する線量変更部をさらに備え、
前記操作部は、
前記足による踏み込み量の情報を受け付ける第1の踏み板および第2の踏み板を有し、
前記信号出力部は、
前記第1の踏み板が初期位置から所定量が踏み込まれると前記第1の操作信号を出力するとともに、前記所定量からさらに踏み込まれると前記第1の踏み板の踏み込み量に応じた信号を前記第3の操作信号として出力し、かつ、前記第2の踏み板の踏み込み量に応じた信号を前記第2の操作信号として出力する踏込出力部を有し、
前記X線診断装置の前記撮像開始部は、
前記第1の踏み板が初期位置から所定量が踏み込まれると、前記X線撮像を開始するよう前記X線源と前記X線検出器とを制御し、
前記X線診断装置の前記線量変更部は、
前記第1の踏み板が前記所定量からさらに踏み込まれると、前記第1の踏み板の踏み込み量に応じて前記X線線量を変更し、
前記X線診断装置の前記視野変更部は、
前記第2の踏み板の踏み込み量に応じて前記X線撮像の視野サイズを変更する、
フットスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置およびフットスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、照射したX線が被検体を透過したX線量をX線検出器が検出することで、被検体の内部構造を低侵襲に観察することを可能とするモダリティ装置である。被検体を透過するX線量は被検体の組織によって異なることから様々な組織を撮影することが可能である。
【0003】
また造影剤などを用いた撮影により、血流、消化管、泌尿器系など様々な組織や器官の態様をリアルタイムに観察することが可能であり、病気の診断や手術などに幅広く利用されている。たとえば、泌尿器科の手技や、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP:Endoscopic Retrograde CholangioPancreatography)では、ユーザはX線画像を観察しながら手技を行なう。
【0004】
また、最近、X線撮像の開始指示を行うことができるフットスイッチを備えたX線診断装置が開発されている。この種のフットスイッチを用いることで、ユーザは手を使って手技を行いながら、足を使ってX線撮像の開始指示を行うことができる。
【0005】
しかし、X線撮像の視野サイズの変更や視野中心位置の変更などの視野の変更を所望する場合、ユーザは、コンソールのポインティングデバイスなどの入力装置を介して手を使って視野の変更に係る入力操作を行わなければならない。このため、手技を行っているときに視野の変更を所望する場合、ユーザは、一度手技を中断して入力操作を行わなければならず、大変不便である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-58347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、フットスイッチを介してX線撮像の開始指示と視野の変更指示とを受け付けることができるX線診断装置およびこのフットスイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るX線診断装置は、上述した課題を解決するために、ユーザの足による操作を受け付ける操作部と、前記足による第1の操作に応じて第1の操作信号を出力するとともに、前記足による第2の操作に応じて第2の操作信号を出力する信号出力部と、を有するフットスイッチと、前記第1の操作信号を受けるとX線撮像を開始するようX線源とX線検出器とを制御する撮像開始部と、前記X線撮像にもとづくX線画像を生成し表示部に表示させる画像生成部と、前記第2の操作信号に応じて前記X線撮像の視野を変更する視野変更部と、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るフットスイッチを含むX線診断装置の一例を示す概略構成図。
図2】踏み板の踏み込み操作に応じた信号を出力するフットスイッチの一構成例を示す図。
図3】(a)は踏み込み量に応じた信号を出力するフットスイッチの第1構成例を示す図、(b)は第2構成例を示す図、(c)は第3構成例を示す図。
図4】X線撮像の視野サイズが変更される様子の一例を示す説明図。
図5】踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチの第1構成例を示す図。
図6】(a)は踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチの第2構成例を示す図、(b)は右ドグ機構の一構成例を示す図。
図7】(a)は踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチの第3構成例を示す図、(b)は第4構成例を示す図、(c)は第5構成例を示す図。
図8】(a)は移動信号出力機構の出力と視野の中心位置の移動指示との関係の一例を示す説明図、(b)は他の例を示す説明図。
図9】X線撮像の視野の中心位置が変更される様子の一例を示す説明図。
図10】(a)は踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチ20の第6構成例を示す図、(b)は第7構成例を示す図。
図11】2つの踏み板を有するフットスイッチの一構成例を示す図。
図12】処理回路のプロセッサによる実現機能例を示す概略的なブロック図。
図13】処理回路のプロセッサにより、X線撮像の開始指示と視野の変更指示とをフットスイッチを介して受け付ける際の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るX線診断装置およびフットスイッチの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態に係るX線診断装置は、透視や撮影が可能なものであればよく、たとえばX線TV装置やX線アンギオ装置などを含む。
【0011】
(1.全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るフットスイッチ20を含むX線診断装置10の一例を示す概略構成図である。なお、本実施形態では、本発明に係るX線診断装置としてX線TV装置を用いる場合の一例を示した。
【0012】
X線診断装置10は、図1に示すように、X線源11、X線可動絞り12およびX線検出器13を少なくとも有する撮像装置と、フットスイッチ20と、コンソール30とを有する。撮像装置はさらに、映像系長手動機構14、天板左右動機構、天板15、寝台16および術者が座る椅子17などを有する。
【0013】
X線源11は、図示しない高電圧発生装置により電圧を印加されてX線を発生する。X線可動絞り12は、X線源11によって発生されたX線の照射野を調整する機構を有する。具体的には、X線可動絞り12は、たとえば2対の可動羽根を有し、各対の可動羽根が開閉することでX線の照射野を調整する。
【0014】
X線検出器13は、たとえば平面検出器(FPD:Flat Panel Detector)により構成され、X線検出器13に照射されたX線を検出し、この検出したX線にもとづいてX線透視画像やX線撮影画像の画像データを出力する。この画像データはコンソール30に与えられる。なお、X線検出器13は、イメージインテンシファイア、TVカメラなどを用いて構成されてもよい。
【0015】
映像系長手動機構14は、X線源11、X線可動絞り12およびX線検出器13を含む映像系(撮像系)を一体として天板15に対して天板15の長手方向に移動させる。また、映像系長手動機構14は、映像系長手動機構14を中心として図1の紙面直交軸を中心に天板15とともに寝台16を起倒させてもよい。天板左右動機構は、天板15を天板15の長手方向に沿って移動させるとともに短手方向に沿って移動させることができる。映像系長手動機構14は、映像系を天板15の長手方向に沿って移動させるためおよび寝台16を起倒させるための駆動源としてのモータ、およびこのモータを制御するための電子部品などを有する。天板左右動機構は、天板15を長手方向および短手方向に沿って移動させるための駆動源としてのモータ、およびこのモータを制御するための電子部品などを有する。
【0016】
寝台16の上部には天板15が設けられ、被検体は天板15に載置される。また、寝台16には、被検体を支持するためのショルダーレストや、フットレスト、横手ハンドグリップなどが取り付けられてもよい。
【0017】
術者は、たとえば椅子17に座って天板15に載置された被検体に対峙する。術者は、たとえばX線撮像により取得されるリアルタイムなX線透視画像を確認しながら、被検体に対する手技を行いながらフットスイッチ20を操作する。
【0018】
フットスイッチ20は、術者の足による操作を受け付け、操作に応じた信号を出力し、有線または無線でコンソール30に与える。フットスイッチ20は、少なくともX線撮像の開始指示と視野の変更指示とを受け付ける。本実施形態に係るフットスイッチ20の構成の詳細については図2-11を用いて後述する。
【0019】
コンソール30は、たとえば一般的なパーソナルコンピュータやワークステーションなどにより構成され、入力回路31、ディスプレイ32、記憶回路33、ネットワーク接続回路34および処理回路35を有する。なお、コンソール30は独立して設けられずともよく、たとえばコンソール30の構成31-35の一部が寝台16などに分散して設けられてもよい。
【0020】
入力回路31は、たとえばトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、テンキーなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を処理回路35に出力する。たとえば、ユーザは、入力回路31を介して撮像条件を設定することができる。また、入力回路31は、ばく射のオンオフを制御するばく射スイッチを含んでもよい。
【0021】
ディスプレイ32は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、X線撮像にもとづいて処理回路35により生成されたX線画像などの各種情報を表示する。
【0022】
記憶回路33は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有する。記憶回路33は、フットスイッチ20の出力信号と、出力信号に応じて実現すべき機能とを関連付けて記憶しておく。これら記録媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介した通信によりダウンロードされるように構成してもよい。
【0023】
ネットワーク接続回路34は、たとえば所定のプリント回路基板を有するネットワークカードなどにより構成され、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続回路34は、この各種プロトコルに従ってX線診断装置10と他の機器とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続などを適用することができる。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線の病院基幹LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0024】
処理回路35は、記憶回路33に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、X線撮像の開始指示と視野の変更指示とをフットスイッチ20を介して受け付けるための処理を実行するプロセッサである。
【0025】
なお、本実施形態において、「プロセッサ」という文言は、たとえば、専用または汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、または、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(たとえば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびFPGA)等の回路を意味するものとする。プロセッサは、記憶媒体に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0026】
また、本実施形態では処理回路の単一のプロセッサが各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶媒体は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶媒体が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。
【0027】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0028】
(2.フットスイッチの構成)
続いて、本発明の一実施形態に係るフットスイッチ20の構成例について説明する。上述のとおり、フットスイッチ20は、術者の足による操作を受け付け、操作に応じた信号を出力し、有線または無線でコンソール30に与える。フットスイッチ20は、少なくとも、X線撮像の開始指示と、X線撮像の視野の変更指示とを受け付ける。X線撮像の視野の変更には、X線撮像の視野サイズの変更と、X線撮像の視野の中心位置の変更が含まれる。
【0029】
図2は、踏み板22の踏み込み操作に応じた信号を出力するフットスイッチ20の一構成例を示す図である。図2には、フットスイッチ20が1つの踏み板22を有する場合の例を示した。
【0030】
踏み板22の踏み込み操作に応じた信号を出力するフットスイッチ20は、踏み込み量の情報を受け付けて踏み込み量に応じた信号を出力するよう構成されてもよいし、踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するよう構成されてもよい。踏み込み量に応じた信号を出力するよう構成される場合、フットスイッチ20は、踏み込み量に応じて連続的な信号を出力しても良いし、踏み込み量の所定幅ごとにステップ的な信号を出力してもよい。また、踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するよう構成される場合、フットスイッチ20は、たとえば奇数回踏み込まれるとオン、偶数回踏まれるとオフの信号を出力する。
【0031】
図2に示すフットスイッチ20は、たとえば枠体21と、踏み板22と、踏込状態検出素子23とを有する。
【0032】
枠体21は、金属や樹脂などにより形成され、踏み板22および踏込状態検出素子23を支持する。
【0033】
踏み板22は、金属や樹脂などにより形成され、ユーザの足による踏み込み操作を受け付ける。踏込状態検出素子23は、変位センサやスイッチなどにより構成され、踏み込み操作に応じた信号を出力する。フットスイッチ20が踏み込み量に応じて連続的またはステップ的な信号を出力するよう構成される場合、踏込状態検出素子23は、踏み込み量を検出して踏み込み量に応じた信号を出力するポテンショメータなどの変位センサにより構成される。一方、フットスイッチ20が踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するよう構成される場合は、踏込状態検出素子23は、たとえばスイッチなどで構成することができる。
【0034】
(2.1.視野サイズ変更)
(2.1.1.踏み込み量に応じた信号を出力するフットスイッチ)
図3(a)は踏み込み量に応じた信号を出力するフットスイッチ20の第1構成例を示す図であり、(b)は第2構成例を示す図であり、(c)は第3構成例を示す図である。
【0035】
踏み込み量に応じた信号を出力する場合、フットスイッチ20は、踏み板22として、たとえば一端が枠体21に回転自在に支持されるとともに他端が枠体21から離間した踏み板22aを有する。踏み込み操作に応じて、枠体21に支持された一端を軸にして踏み板22aの他端と枠体21との距離が変更されることによって、踏込状態検出素子23が踏み込み量に応じた信号を出力する。
【0036】
この場合、図3(a)に示すように、踏込状態検出素子23は、枠体21に一端が回転自在に支持された踏み板22aの回転角度を検出するポテンショメータ23aにより構成されて、踏み板22aの回転角度に応じた信号を出力してもよい。また、図3(b)に示すように、踏込状態検出素子23は、ポテンショメータ23aと、プーリ23bと、一端が踏み板22aの裏面の固定点23dに固定されるとともに他端がプーリ23bに掛け回されたベルト23cにより構成されてもよい。この場合、踏み板22aの踏み込み量に応じてベルト23cがプーリ23bを回転させ、このプーリ23bの回転量に応じた信号をポテンショメータ23aが出力する。また、図3(c)に示すように、踏込状態検出素子23は、ギア付きポテンショメータ23eと、踏み板22aの裏面に設けられたギア23fとにより構成され、踏み板22aの踏み込み量に応じてギア23fがギア付きポテンショメータ23eを回転させ、この回転量に応じた信号をギア付きポテンショメータ23eが出力してもよい。また、踏み込み量に応じた信号を出力するフットスイッチ20の構成例は図3(a)-(c)に示した例に限らず、たとえば光や磁気などを利用した変位センサを用いて構成されてもよい。
【0037】
図3(a)-(c)に示したような踏み込み量に応じた信号を出力するフットスイッチ20の踏込状態検出素子23は、踏み板22aが初期位置から所定量が踏み込まれて踏み込み開始操作が行われたときと、この所定量からさらに踏み込まれて踏み込み量が調整されるときとで、異なる信号を出力する。処理回路35は、踏み込み開始操作が行われると、X線撮像を開始するようX線源11とX線検出器13とを制御する。また、処理回路35は、踏み込み量が調整されると踏み込み量に応じてX線撮像の視野サイズを変更する。
【0038】
図4は、X線撮像の視野サイズが変更される様子の一例を示す説明図である。
【0039】
たとえば、術者は、踏み込み量に応じた信号を出力するフットスイッチ20(たとえば図3(a)参照)を踏み込み始めることにより、X線透視撮像を開始し、ディスプレイ32などのディスプレイに表示されたX線透視画像を観察しながら被検体に対する手技を行う。このとき、ユーザは、フットスイッチ20の踏み込み量を調整することによってX線撮像の視野サイズを変更することができる(図4参照)。たとえば、フットスイッチ20を踏み込むほど視野サイズが拡大する場合、ユーザは、より視野サイズを拡大した画像を確認したいときは、フットスイッチ20を踏み込めばよい。
【0040】
(2.1.2.踏み込み操作の有無に応じた信号を出力するフットスイッチ)
図5は、踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチ20の第1構成例を示す図である。
【0041】
踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチ20は、X線撮像の視野サイズの変更操作を受け付けるために、サイズ信号出力機構24を有する。
【0042】
フットスイッチ20が踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するよう構成される場合は、フットスイッチ20は、踏み板22として、板の面に垂直な方向に踏み込まれる踏み板22bを有する。このとき、踏込状態検出素子23は、踏み板22bに対する踏み込み操作があると、すなわち一度踏み込まれるとオンを出力し、もう一度踏み込まれるとオフの信号を出力することを繰り返すスイッチなどにより構成することができる。この場合、処理回路35は、踏み込み操作があると、X線撮像を開始するようX線源11とX線検出器13とを制御する。
【0043】
また、サイズ信号出力機構24は、たとえば、枠体21の右側壁21Rおよび左側壁21Lのそれぞれの内側面に設けられた右スイッチ25Rおよび左スイッチ25Lにより構成することができる。ユーザは、足を左右にふることによって右スイッチ25Rおよび左スイッチ25Lを押すことができる。この場合、処理回路35は、たとえば右スイッチ25Rが押された回数に応じて視野サイズを縮小し、左スイッチが押された回数に応じて視野サイズを拡大する。
【0044】
図6(a)は踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチ20の第2構成例を示す図であり、(b)は右ドグ機構26Rの一構成例を示す図である。
【0045】
図6(a)に示すように、サイズ信号出力機構24は、枠体21の右側壁21Rおよび左側壁21Lのそれぞれの内側面に設けられた右ドグ機構26Rおよび左ドグ機構26Lにより構成されてもよい。右ドグ機構26Rは、たとえば3つの互いに異なる長さを有するドグ26Raと、3つのドグ26Raのそれぞれを検出するための3つのセンサ26Rbを有する(図6(b)参照)。
【0046】
ドグ26Raは、右側壁21Rの内側面に対してユーザの足による操作に応じて押し込まれる。センサ26Rbは、ドグ26Raの操作量、すなわちドグ26Raが押し込まれた量に応じた信号を出力する。なお、左ドグ機構26Lは右ドグ機構26Rと同様の構成を有するため説明を省略する。
【0047】
サイズ信号出力機構24が右ドグ機構26Rおよび左ドグ機構26Lによって構成される場合も、サイズ信号出力機構24が右スイッチ25Rおよび左スイッチ25Lによって構成される場合と同様に、処理回路35は、右ドグ機構26Rおよび左ドグ機構26Lの出力信号に応じてX線撮像の視野サイズを変更する。
【0048】
なお、たとえば視野サイズ縮小は細かい調整を受け付ける一方、視野サイズ拡大は粗い調整を受け付けるよう、右ドグ機構26Rおよび左ドグ機構26Lとでドグの数(調整解像度)が異なってもよい。
【0049】
(2.2.視野中心位置変更)
図7(a)は踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチ20の第3構成例を示す図であり、(b)は第4構成例を示す図であり、(c)は第5構成例を示す図である。
【0050】
踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力する第4-第5構成例に係るフットスイッチ20は、X線撮像の視野の中心位置の変更指示を受け付けるための移動信号出力機構27を有する。移動信号出力機構27は、たとえばスイッチやドグ機構により構成される。図7(a)-(c)には、移動信号出力機構27がスイッチで構成される場合の例を示した。
【0051】
移動信号出力機構27は、たとえば右側壁21Rの内側面に設けられた右スイッチ25R1およびR2と、左側壁21Lの内側面に設けられた左スイッチ25L1および左スイッチ25L2により構成される。右スイッチ25R1およびR2は、上下に並べて配置されてもよいし(図7(a)参照)、水平方向に並べて配置されてもよいし(図7(b)参照)、斜めにずらして配置されてもよい(図7(c)参照)。
【0052】
図8(a)は移動信号出力機構27の出力と視野の中心位置の移動指示との関係の一例を示す説明図であり、(b)は他の例を示す説明図である。また、図9は、X線撮像の視野の中心位置が変更される様子の一例を示す説明図である。
【0053】
図8(a)に示すように、処理回路35は、右スイッチ25R1が押された回数に応じてX線撮像の視野の中心位置を透視画像におけるX軸(横軸)の正の向き(右)に移動させ、右スイッチ25R2が押された回数に応じてX線撮像の視野の中心位置を透視画像におけるX軸(横軸)の負の向き(左)に移動させる。また、左スイッチ25L1が押された回数に応じてX線撮像の視野の中心位置を透視画像におけるY軸(縦軸)の正の向き(上)に移動させ、左スイッチ25L2が押された回数に応じてX線撮像の視野の中心位置を透視画像におけるY軸(縦軸)の負の向き(下)に移動させる(図9参照)。
【0054】
また、図8(b)に示すように、処理回路35は、右スイッチ25R1が押された回数に応じてX線撮像の視野の中心位置をX軸の正の向きに移動させ、右スイッチ25R2が押された回数に応じてY軸の正の向きに移動させ、左スイッチ25L1が押された回数に応じてX軸の負の向きに移動させ、左スイッチ25L2が押された回数に応じてY軸の負の向きに移動させてもよい。
【0055】
また、図7(c)に示すように、踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するとともに移動信号出力機構27を有するフットスイッチ20はさらに、サイズ信号出力機構24としての右スイッチ25R3および左スイッチ25L3を備えてもよい。
【0056】
また、処理回路35は、右スイッチ25R3および左スイッチ25L3の出力信号を、X線線量の調整信号として利用してもよい。具体的には、処理回路35は、右スイッチ25R3が押された回数に応じてX線線量を増加させ、左スイッチ25L3が押された回数に応じてX線線量を低下させてもよい。
【0057】
図10(a)は踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチ20の第6構成例を示す図であり、(b)は第7構成例を示す図である。
【0058】
第6構成例に係るフットスイッチ20の踏み板22bは、踏み板22bの面内方向の少なくとも上下および左右の2軸方向に沿って移動可能に構成される(図10(a)参照)。また、踏み板22bは、踏み板22bの面内において斜め方向を含み自由に移動可能に構成されてもよい。この場合、移動信号出力機構27は、踏み板22bの面内方向における踏み板22bの移動量および移動方向を示す信号を出力する。そして、処理回路35は、踏み板22bの面内方向における踏み板22bの移動量および移動方向に応じてX線撮像の視野の中心位置を変更する。
【0059】
また、第7構成例に係るフットスイッチ20は、X線撮像の視野の中心位置の変更指示を受け付けるための移動信号出力機構27としてのトラックボール28を有する(図10(b)参照)。この場合、処理回路35は、トラックボール28の操作に応じてX線撮像の視野の中心位置を変更する。
【0060】
なお、踏み込み操作の有無のいずれかに応じた信号を出力するフットスイッチ20の第1-第7構成例は、互いに適宜組み合わせることができる。たとえば、図5に示す第1構成例に対してたとえば右側壁21Rの内側面にトラックボール28を設けてもよい。また、図5に示す第1構成例と図10(a)に示す第6構成例とを組み合わせて、視野サイズ変更と視野中心位置変更の両方を受付可能としてもよい。
【0061】
図11は、2つの踏み板22を有するフットスイッチ20の一構成例を示す図である。
【0062】
図11に示すように、フットスイッチ20は2つまたはそれ以上の踏み板22を有してもよい。このとき、踏み板22は、たとえば踏み板22a(図3参照)と22b(図5-7、10参照)が混在していてもよい。図11には、フットスイッチ20が2つの踏み板22a(踏み板22aRおよび22aL)を有する場合の例を示した。
【0063】
この場合、処理回路35は、いずれかの踏み板22の踏み込み開始操作に応じてX線撮像を開始すればよい。このため、たとえば左の踏み板22aLに対応する踏込状態検出素子23Lは、単純に踏み込み量に応じた信号を出力する。一方、右の踏み板22aRに対応する踏込状態検出素子23Rは、踏み板が初期位置から所定量が踏み込まれて踏み込み開始操作が行われたときと、この所定量からさらに踏み込まれて踏み込み量が調整されるときとで、異なる信号を出力する。
【0064】
この例では、右の踏み板22aRの踏み込み開始操作に応じて処理回路35はX線撮像を開始する。また、処理回路35は、右の踏み板22aRの踏み込み量が調整されると、踏み込み量に応じてX線撮像の視野サイズを変更する。一方、処理回路35は、左の踏み板22aLの踏み込み量に応じて、たとえばX線線量を変更する。
【0065】
また、処理回路35は、右の踏み板22aRの踏み込み開始操作に応じてX線撮像を開始し、右の踏み板22aRの踏み込み量が調整されると、踏み込み量に応じてX線線量を変更してもよい。この場合、処理回路35は、左の踏み板22aLの踏み込み量が調整されると、踏み込み量に応じてX線撮像の視野サイズを変更する。
【0066】
(3.処理回路の実現機能例)
図12は、処理回路35のプロセッサによる実現機能例を示す概略的なブロック図である。図12に示すように、処理回路35のプロセッサは、撮像開始機能41、画像生成機能42、視野変更機能43、線量変更機能44および割当機能45を実現する。これらの各機能はそれぞれプログラムの形態で記憶回路33に記憶されている。
【0067】
撮像開始機能41は、フットスイッチ20の操作に応じてX線撮像を開始するようX線源11とX線検出器13とを制御する。画像生成機能42は、X線撮像にもとづくX線画像を生成しディスプレイ32に表示させる。
【0068】
視野変更機能43は、フットスイッチ20の操作に応じてX線撮像の視野を変更する。X線撮像の視野の変更には、X線撮像の視野サイズの変更と、X線撮像の視野の中心位置の変更が含まれる。
【0069】
線量変更機能44は、フットスイッチ20の操作に応じてX線線量を変更する。
【0070】
割当機能45は、ユーザによる入力回路31を介した指示にもとづいて、フットスイッチ20が出力する複数の操作信号のそれぞれに関連付けられて記憶回路33に記憶されている、X線撮像開始指示や視野変更、線量変更などの各種機能を変更する。また、割り当てられる機能には、上述したX線撮像開始指示や視野変更、線量変更のほか、たとえば撮像方向の変更や、映像系の天板15長手方向に沿った移動や同方向に沿った天板15の移動、あるいは寝台16の起倒などが含まれてもよい。
【0071】
図13は、処理回路35のプロセッサにより、X線撮像の開始指示と視野の変更指示とをフットスイッチ20を介して受け付ける際の手順の一例を示すフローチャートである。図13において、Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0072】
ステップS1において、撮像開始機能41は、踏込状態検出素子23から踏み板22aの踏み込み開始操作が行われた旨の信号を受けると、または、踏込状態検出素子23から踏み板22bに対する踏み込み操作があった旨の信号を受けると、透視などのX線撮像を開始するようX線源11とX線検出器13とを制御する。
【0073】
次に、ステップS2において、画像生成機能42は、X線撮像にもとづくX線画像を生成しディスプレイ32に表示させる。
【0074】
次に、ステップS3において、視野変更機能43は、フットスイッチ20を介してX線撮像の視野サイズの変更指示があったか否かを判定する。視野サイズの変更指示があった場合はステップS4に進む。一方、視野サイズの変更指示がない場合はステップS5に進む。
【0075】
次に、ステップS4において、視野変更機能43は、フットスイッチ20の操作に応じて視野サイズを変更する(図4参照)。たとえば、視野変更機能43は、踏込状態検出素子23から受けた踏み板22aの踏み込み量に応じた信号に応じて視野サイズを変更する。また、視野変更機能43は、サイズ信号出力機構24から受けた信号に応じて視野サイズを変更してもよい。
【0076】
次に、ステップS5において、視野変更機能43は、フットスイッチ20を介してX線撮像の視野の中心位置の変更指示があったか否かを判定する。視野中心位置の変更指示があった場合はステップS6に進む。一方、視野サイズの変更指示がない場合はステップS7に進む。
【0077】
次に、ステップS6において、視野変更機能43は、フットスイッチ20の操作に応じて視野の中心位置を変更する(図9参照)。具体的には、視野変更機能43は、移動信号出力機構27から受けた信号に応じて視野の中心位置を変更する。
【0078】
次に、ステップS7において、画像生成機能42は、透視などのX線撮像を終了すべきか否かを判定する。撮像を継続すべき場合はステップS2に戻る。一方、撮像を終了すべき場合は一連の手順は終了となる。
【0079】
以上の手順により、X線撮像の開始指示と視野の変更指示とをフットスイッチ20を介して受け付けることができる。
【0080】
本実施形態に係るX線診断装置10は、フットスイッチ20の操作のみで、X線撮像の開始指示を受け付けることができるとともに、X線撮像の視野の変更指示を受け付けることができる。このため、ユーザは、手技を行っているときに視野の変更を所望する場合、ユーザは、手技を中断することなく、また被検体から目を離すことなく、透視撮像を行いながら、足を使ってフットスイッチ20を操作するだけで、直感的に容易に視野サイズや視野の中心位置を変更することができる。したがって、X線診断装置10によれば、ユーザの作業効率を大きく向上させることができる。
【0081】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線撮像の開始指示と視野の変更指示とをフットスイッチ20を介して受け付けることができる。
【0082】
なお、本実施形態における処理回路35の撮像開始機能41、画像生成機能42、視野変更機能43、線量変更機能44および割当機能45は、それぞれ特許請求の範囲における撮像開始部、画像生成部、視野変更部、線量変更部および割当部の一例である。
【0083】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0084】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0085】
10…X線診断装置
11…X線源
13…X線検出器
20…フットスイッチ
22…踏み板
23…踏込状態検出素子
24…サイズ信号出力機構
25L…左スイッチ
25R…右スイッチ
26L…左ドグ機構
26R…右ドグ機構
26Ra…ドグ
26Rb…センサ
27…移動信号出力機構
32…ディスプレイ
41…撮像開始機能
42…画像生成機能
43…視野変更機能
44…線量変更機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13