(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】X線撮像用のX線撮像ユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230830BHJP
A61B 6/14 20060101ALI20230830BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230830BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230830BHJP
【FI】
A61B6/03 320Z
A61B6/03 ZDM
A61B6/03 360B
A61B6/14 300
A61B6/14 310
G06T1/00 290A
G06T7/00 612
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019010105
(22)【出願日】2019-01-24
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】509353665
【氏名又は名称】パロデックス グループ オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マルッティ カルケ
(72)【発明者】
【氏名】エサ スーロネン
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-280844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0323891(US,A1)
【文献】特開2006-314774(JP,A)
【文献】特表2011-529359(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02130491(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0183567(US,A1)
【文献】米国特許第05921927(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0247427(US,A1)
【文献】特表2013-537054(JP,A)
【文献】特開2016-152909(JP,A)
【文献】国際公開第2012/128121(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14 、
G06T 1/00 - 1/40 、 3/00 - 7/90 、
G06V10/00 -20/90 、30/418、40/16 、
40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ部分(372)と、
ガントリ部分(120)と、
X線を放射するX線源部分(124)と、
前記X線源部分からX線を受信するX線撮像検出器部分(126)と、を具備するX線撮像用のX線撮像ユニット(100)であって、
前記ガントリ部分は、前記X線源部分と前記X線撮像検出器部分と、を具備しており、
前記プロセッサ部分は、画像データを取得して(205、216)前記画像データから患者の少なくとも一つの解剖学的基準構造(235、236)を決定する(208)ために、前記X線源部分及び前記X線撮像検出器部分を制御するように構成されており、
前記プロセッサ部分が、前記少なくとも一つの解剖学的基準構造に基づいて
、前記X線撮像ユニットに対する前記患者の頭部(237)の位置
及び配向角度を決定
し(212)
、前記決定された位置及び配向角度に基づいて、撮像の走査運動前又は走査中に、前記患者に対する前記X線源部分及び前記X線撮像検出器部分の少なくとも一つの撮像運動を調整する(214)ことを特徴とするX線撮像ユニット(100)。
【請求項2】
前記プロセッサ部分は、前記ガントリ部分に対する前記頭部の位置を決定する(213)ように更に構成される、請求項1に記載のX線撮像ユニット。
【請求項3】
前記少なくとも一つの解剖学的基準構造の前記決定は、前記画像データからの各基準構造(235、236)の位置の決定(208)を含む、請求項1又は2に記載のX線撮像ユニット。
【請求項4】
前記プロセッサ部分は、各解剖学的基準構造の前記決定された位置に基づいて前記患者のための座標系(231)を形成する(210)ように更に構成されており、前記患者の前記座標系は、前記患者の前記頭部の
前記配向角度を指示する、請求項3に記載のX線撮像ユニット。
【請求項5】
前記プロセッサ部分は、前記X線撮像ユニットのための座標系(130)を提示する(203)ように更に構成されており、前記X線撮像ユニットに対する前記頭部の前記
配向角度の前記決定は、前記X線撮像ユニットの前記座標系(130、231)と前記患者との間の回転変位(α)の決定(212)を含む、請求項
1に記載のX線撮像ユニット。
【請求項6】
前記プロセッサ部分は、前記決定された少なくとも一つの撮像運動に従って前記X線源部分及び前記X線撮像検出器部分を制御する(216)ように及び前記患者の少なくとも一つのX線画像を取得するように更に構成される、請求項1から
5のいずれか一項に記載のX線撮像ユニット。
【請求項7】
前記少なくとも一つの解剖学的基準構造は、前記患者の前記頭部の、顎関節、下顎枝の縁部(235、236)、又は外耳道を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載のX線撮像ユニット。
【請求項8】
前記少なくとも一つの解剖学的基準構造は、顎関節、下顎枝の縁部、又は外耳道を含む二つの解剖学的基準構造を含む、請求項
7に記載のX線撮像ユニット。
【請求項9】
撮像中に撮像されるべき前記患者を支持するための患者支持部分(142、143)を具備する、請求項1から
8のいずれか一項に記載のX線撮像ユニット。
【請求項10】
パノラマ式又はコンピュータ式断層撮像法を実行するように構成される、請求項1から
9のいずれか一項に記載のX線撮像ユニット。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の前記X線撮像ユニット(100)によるX線撮像のための方法(202)であって、この方法は、
前記画像データを取得するために、前記X線源部分(124)及び前記X線撮像検出器部分(126)を制御するステップと、
前記画像データから患者(201)の少なくとも一つの解剖学的基準構造(235、236)を決定する(208)ステップと、
前記少なくとも一つの解剖学的基準構造に基づいて
、前記X線撮像ユニットに対する前記患者の頭部(237)の位置
及び配向角度を決定する(212)ステップと、
前記決定された位置及び配向角度に基づいて、撮像の走査運動前又は走査中に、前記患者に対する前記X線源部分及び前記X線撮像検出器部分の少なくとも一つの撮像運動を調整する(214)ステップと、を含む方法。
【請求項12】
請求項
11に記載の方法を実行するように構成される、X線撮像用のコンピュータプログラム(389)。
【請求項13】
請求項
12に記載の前記コンピュータプログラム(389)を含む、有形の不揮発性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概ねX線撮像用のX線撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図4aは、撮像されるべく支持された患者001の頭部037が、いかにして臨床パノラマX線撮像のための撮像位置004に正しく位置決めされたかを示す。患者037の正しい位置決めは、撮像プロセスにおけるX線装置の使用者の最も時間を消費する作業である。
【0003】
位置決めの時間消費に加えて、患者001の誤位置決めが悪い画質のかなりの部分を引き起こすとき、それに関連した別の問題が存在する。
【0004】
図4bは、患者001が並進的に誤って位置決めされるか又は何らかの理由で正しい位置決めの後に前進又は後退した場合に、一つの誤った位置の可能性を示しており、その場合に、彼/彼女の頭部037の位置は、正しい位置004とは並進的に異なる。
【0005】
図4cは、患者001が回転的に誤って位置決めされるか又は彼/彼女の頭部037の位置が正しい位置004とは回転的に異なるように、彼/彼女が図のように移動した時に、別の誤位置決めの可能性を示す。
【0006】
当然に、患者001の位置は、撮像前の並進的及び回転的な失敗の両方を含み得る。
【0007】
全視野(FF)パノラマ検出器技術は、解剖学的に正しい層をいくらかの制限付きで選択することを可能にする。これは、FF-パノラマシステムにおいて、合計処理がX線装置の検出器においてではなく、コンピュータにおいて行われるという事実に基づいており、そのことは、患者001の並進的な誤位置決めにより引き起こされる失敗を修正することを可能にする。
【0008】
しかしながら、この処理方法は、回転的な誤位置決めにより引き起こされる失敗の問題を解決しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一つの目的は、患者の実際の位置及び配向角度に従ってX線ユニットの走査運動を調整することにより、患者の位置決めにおける並進及び回転誤差が実際の走査の前に補正されるときに、上述の欠点を取り除くX線撮像方法を提供することである。
【0010】
本発明の一つの目的は、独立請求項によるX線ユニットと、方法と、コンピュータプログラムと、コンピュータ可読媒体と、により達成される。
【0011】
一実施の形態は、X線撮像用のX線撮像ユニットであり、該ユニットは、プロセッサ部分と、ガントリ部分と、X線を放射するX線源部分と、線源部分からX線を受信するX線撮像検出器部分とを具備する。ガントリ部分は、線源部分と検出器部分とを具備する。プロセッサ部分は、画像データを取得するために、線源部分及び検出器部分を制御するように構成される。プロセッサ部分は、画像データから患者の少なくとも一つの基準構造を決定し、少なくとも一つの基準構造に基づいて患者の頭部の位置を決定するように更に構成される。
【0012】
一実施の形態は、X線撮像ユニットによるX線撮像のための方法である。この方法は、画像データを取得するために、プロセッサ部分によりX線源部分とX線撮像検出器部分とを制御することを含む。線源部分は、X線を放射するように構成される。検出器部分は、線源部分からX線を受信するように構成される。線源部分及び検出器部分は、ガントリ部分において統合される。この方法は、プロセッサ部分により、画像データから患者の少なくとも一つの基準構造を決定することと、プロセッサ部分により少なくとも一つの基準構造に基づいて、患者の頭部の位置を決定することとを更に含む。
【0013】
一実施の形態は、画像データを取得するために、プロセッサ部分により、X線源部分とX線撮像検出器部分とを制御するための制御コード(符号)を含むX線撮像用のコンピュータプログラムである。線源部分は、X線を放射するように構成される。検出器部分は、線源部分からX線を受信するように構成される。線源部分及び検出器部分は、ガントリ部分において統合される。プログラムは、プロセッサ部により患者の少なくとも一つの基準構造を画像データから決定するための決定コードと、プロセッサ部分により、少なくとも一つの基準構造に基づいて患者の頭部の位置を決定するための決定コードとを更に含む。
【0014】
一実施の形態は、X線撮像用のコンピュータプログラムを含む有形の不揮発性コンピュータ可読媒体である。プログラムは、画像データを取得するために、プロセッサ部分によりX線源部分とX線撮像検出器部分とを制御するための制御コードを含む。線源部分は、X線を放射するように構成される。検出器部分は、線源部分からX線を受信するように構成される。線源部分及び検出器部分は、ガントリ部分において統合される。プログラムは、プロセッサ部分により画像データから患者の少なくとも一つの基準構造を決定するための決定コードと、プロセッサ部分により少なくとも一つの基準構造に基づいて患者の頭部の上の位置を決定するための決定コードとを更に含む。
【0015】
更なる実施の形態は、従属請求項において示される。
【0016】
実施の形態は、以下の図面を参照して示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2a】
図2aは、X線撮像方法のフローチャートを示す。
【
図2b】
図2bは、ユニットの座標系に関して正しく位置決めされた患者を示す。
【
図2c】
図2cは、ユニットの座標系に関して回転的に誤って位置決めされた患者を示す。
【
図4a】
図4aは、患者の正しく位置決めされた頭部を示す。
【
図4b】
図4bは、並進的に誤って位置決めされた頭部を示す。
【
図4c】
図4cは、回転的に誤って位置決めされた頭部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1aは、医療用撮像において対象(患者201)をX線撮像するためのX線撮像ユニット100を示す。
【0019】
医療用撮像は口腔外歯科撮像であり得る。
【0020】
ユニット100は、パノラマ撮像及び/又はコンピュータ断層撮影(CT)を実行するように構成可能である。
【0021】
ユニット100は、パノラマ画像及び/又はCT画像を撮像するために、ガントリ部分120を具備する。
【0022】
ガントリ120は、X線源部分(ヘッド)124とX線撮像検出器部分(ヘッド)126とを統合し且つ支持する。
【0023】
ガントリ120は文字Cの形態を有することができ、その場合に、線源部分124は、ガントリ120の一方の端部に取り付けることができ、検出器部分126は、線源部分124及び検出器部分126が互いに対向するように、ガントリ120のもう一方の端部に取り付けることができる。
【0024】
線源部分124は、撮像のためのX線を放出するために(X線ビームを生成するために)、X線源を具備可能である。
【0025】
X線源は、パノラマ及びCT撮像モードに対して共通である。
【0026】
CT撮像は、ビームが円錐形ビームであるコーンビームCT(CBCT)撮像、あるいはビームが角錐形ビーム、半月形コーンビーム又は別の形状のビームである別のCT撮像であり得る。
【0027】
検出器部分126は、X線源部分124からX線(ビーム)を受信して撮像されるべき対象物に関する画像データを生成するために、一つ又は二つのX線検出器を具備可能であり、それはその後、対象物のX線画像を形成するように使用される。
【0028】
一つの検出器部分126は、パノラマ検出器、パノラマ/ CT組み合わせ検出器、パノラマ/ CT /頭部計測の組み合わせ検出器、又はやはりワンショット頭部撮像を可能にするパノラマ/ CT検出器を具備可能である。
【0029】
一つの検出器部分126は、その検出器を好適には線源に対して(向って)垂直に位置決めするために、検出器部分126をガントリ120に対して回転及び/又は移動させることが可能であるように調節可能である。
【0030】
二つの検出器部分126は、パノラマ検出器とCT検出器、あるいはパノラマ撮像をやはり可能にする頭部計測検出器とCT検出器を具備可能である。
【0031】
二つの検出器部分126は、検出器を取り付けるための幾つかの方法が存在するように且つビーム内に位置する検出器を変更することが可能であるように調整可能であり得る。使用される検出器は、線源に対して好適には垂直に位置決めされる。
【0032】
代わりに、検出器部分126は固定可能である。
【0033】
更に、ガントリ120は、線源部分124からのビームを照準調整するために、線源部分124用の照準器(X線ビーム制限)部分128を具備する。
【0034】
照準器部分128は、線源部分124の前に取り付け可能である。照準器部分128は、選択された撮像プロトコル、選択された画像寸法、及び関連する検出器寸法の必要性にビームが合致するように、撮像中にビームの寸法及び形状を制御する。
【0035】
更に、ユニット100は、ユニット100を支持し且つその高さZ及び同時にガントリ120の高さをパノラマ又はCT撮像用の患者201の高さに適合させるために、支柱140を具備する。
【0036】
ユニット100は、上下のZ運動と、同時に移動するように適合される別の部分のための支持とを提供可能な構造を形成するために、往復台部分145を具備する。
【0037】
支柱140は、往復台部分145のための上下のZ運動を引き起こすために、高さ適合部分141を具備する。
【0038】
高さ適合部分141は、伸縮自在式又は釣合い重り式運動としてZ運動を実現するために、例えば、高さモータと、歯車と、ねじ付きロッドと、伸縮自在式又は釣合い重り式部分とを具備可能である。
【0039】
高さモータは、往復台145の高さを適合させるために、適合部分141の別の部分を駆動する。
【0040】
更に、ユニット100は、パノラマ撮像及びCT撮像のために患者201を支持するために、患者支持部分142、143を具備する。
【0041】
患者支持部分は、下部棚部分142とこめかみ支持部分143とを具備可能である。
【0042】
下部棚142は、往復台部分145に取り付け可能である。
【0043】
下部棚142は、患者201の顎の先端部を支持可能であり、そしてこめかみ支持部143は、患者201の額又はこめかみを支持可能である。
【0044】
更に、ユニット100は、ガントリ120を支持し且つガントリ120が上部棚150に対して移動することを可能にするために、上部棚150を具備する。
【0045】
上部棚150は、固定式接合部により往復台部分145に取り付け可能である。
【0046】
ガントリ120は、ガントリ120がその回転軸線122の周りで回転すること及び上部棚150に対して移動することを可能にする取り付け手段151を用いて、上部棚150に取り付け可能である。
【0047】
往復台145は、下部棚142と、こめかみ支持部143と、上部棚150と、ガントリ120とを具備可能であり、そこでは、高さ適合部分141がZ運動を実現する時に、高さ適合部分141は、部分142、143、150、120の高さを適合させる。
【0048】
図1bは、ガントリ120がその回転軸線122の周りで400度まで回転可能であるように、取り付け手段151がガントリ120のための回転R運動をどのように可能にすることができるかを示す。
【0049】
R運動は、パノラマ撮像及び/又はCT撮像に使用可能である。
【0050】
更に、取り付け手段151は、その回転軸線122及び従ってその回転中心が、撮像の走査運動前及び走査(照射有り又は照射無しの走査運動)中に、上部棚150に対するY運動に従って調整(位置決め)可能であるように、ガントリ120のための第1の線形Y運動を可能にすることができる。Y運動は、上部棚150に平行である。
【0051】
更に、取り付け手段151は、回転軸線122が、撮像の走査運動の前及び走査中にX及びY運動により画定される平面内において調整可能であるように、第2の線形X運動を可能にすることができる。X運動は、Y運動に垂直である。
【0052】
加えて、取り付け手段151は、ガントリ120に対して回転軸線122を移動させる第3のNA運動を可能にすることができる。ビームに沿った回転軸線122のNA運動は、パノラマ及びCT撮像モード内の倍率を変更するように使用可能である。
【0053】
更に、取り付け手段151は、ビームに対して垂直な回転軸線122を移動させる第4のNP運動を可能にすることができる。それ(第4のNP運動)は、CT撮像におけるオフセット走査と対称走査との間の変更に使用することができ、その場合、そのことは、視野(FOV)に影響を及ぼす。
【0054】
更に、ユニット100は、ガントリ120が下部棚142の上にあるように下部棚142に対するその位置決めの間に及び/又は走査中に、取り付け手段151により、上述のようなガントリ120を回転及び/又は移動させるために、回転モータ部分を具備可能である。
【0055】
回転モータ部分は、ガントリ120内又は上部棚150内に存在し得る。
【0056】
更に、ユニット100は、ガントリ120の位置決め中及び/又は走査中に照準器部分128及び/又は検出器部分126を移動させるために、第1の運動モータ部分を具備可能である。
【0057】
第1のモータ部分は、ガントリ部分120又は上部棚150内に存在し得る。
【0058】
ユニット100は、パノラマ画像をもたらすパノラマ撮像の走査段階中にR、X、及びY運動、又はX及びY運動を利用することができる。
【0059】
更に、ユニット100は、CT画像を生成するCT撮像の走査段階中にR運動を使用してCT検出器を読みとることができる。
【0060】
更に、ユニット100は、CT撮像の走査段階中にX及び/又はY運動を使用可能である。
【0061】
ユニット100は、関心領域(ROI)の中心とR運動が一致するように、関心領域(ROI)の投影X線画像を生成可能である。有効回転角度(開口)は、ユニットに応じて、約180度から360度であり得る。
【0062】
図2a~2cは、ユニット100により実行することができるX線撮像方法202を示す。
【0063】
ステップ203において、ユニット100は、それ自身の座標系130を形成して、撮像されるべき患者201の頭部237の方向の決定において座標系130を使用するために、座標系130を示す。
【0064】
ステップ204において、彼/彼女を撮像することが可能とするように、患者201は、線源部分124と検出器部分126との間に配置される。
【0065】
患者201は、下部棚142が彼/彼女の顎の先端を支持し及び/又はこめかみ支持部143が彼/彼女の額又はこめかみを支持するように、患者支持部分142、143により位置決めされ得る。
【0066】
代わりに、患者201は、患者支持部分142、143の助けなしで、線源部分124と検出器部分126との間において自由に位置決めされ得る。
【0067】
ステップ205において、画像データを取得するために、患者201の少なくとも一つの基準構造235、236が撮像される。
【0068】
少なくとも一つの基準構造235、236は、解剖学的基準構造又は人工的基準構造235、236を含み得る。
【0069】
解剖学的基準構造235、236は、顎関節(TMJ)、下顎枝(ラムス)の縁部235、236、又は患者201の頭部237の外耳道を含み得る。
【0070】
人工的基準構造は、例えば、咬合床、咬合柄、又は患者201に直接的又は間接的に取り付けられるべきマーカーを含み得る。
【0071】
更に、少なくとも一つの基準構造235、236は、顎関節、下顎枝235、236の縁部、又は外耳道を含む二つの解剖学的基準構造235、236を含み得る。
【0072】
走査の最初の開始位置までの
図1a - 1bの文脈において示された少なくとも一つの運動によりガントリ120が移動(駆動)された後に、少なくとも一つの基準構造235、236を撮像するために、線源部分124と検出器部分126は制御される。
【0073】
代わりに、線源部分124及び検出器部分126の制御に加えて、少なくとも一つの基準構造235、236を撮像するために、ガントリ120を少なくとも一つの前述の運動により走査中に移動させることができる。
【0074】
走査中にガントリ120が移動しない場合に、第1の開始点は、同時に第1の終了点であり、そして走査中にガントリ120が移動する場合に、第1の終了点は、第1の開始点とは異なる。
【0075】
走査の結果は、一つ又は複数の画像データを含み得る、検出器部分126により捕捉された画像データである。
【0076】
ステップ208において、少なくとも一つの基準構造235、236の存在は、捕捉された画像データから決定され(208)、そして、存在した各基準構造235、236の位置を画像データから決定することが可能である。
【0077】
ステップ210において、患者201のための座標系231は、各基準構造235、236の決定された位置に基づいて形成可能である。
【0078】
座標系231は、例えば、患者201の頭部237の横方向を指示する。頭部237の横方向は、患者201の顔が配向される方向とすることができる。
【0079】
ステップ212において、頭部237の位置が、例えば、その横方向により決定されて、それは、存在が決定された少なくとも一つの基準構造235、236に基づく。
【0080】
頭部237の横方向は、ユニット100の形成された座標系130、231と患者201との間の回転変位(角度)αが決定されるように、ユニットに関して決定可能である。回転変位αは、座標系130、231の偏差(関係)を決定する。
【0081】
もし患者の頭部237がステップ204において正しく位置決めされて、彼/彼女が彼/彼女の頭部237を動かしていない場合には、座標系130、231は、
図2bに従って平行であり、そして回転変位αは存在しない。もし、一例として、頭部237が正しく位置決めされず及び/又は彼/彼女が位置決め後に頭部237を回転させてしまった場合には、座標系130、231は平行ではなく、そして
図2cに従って座標系130、231の方向の間において幾らかの偏差が存在する。
【0082】
ステップ213において、頭部237の位置は、例えばガントリ120に対して決定される。
【0083】
ステップ214において、患者201に対する線源部分124及び検出器部分126の少なくとも一つの撮像運動は、頭部237の決定された位置とガントリ120との間の関係に基づいて決定される。
【0084】
もし座標系130、231が平行である場合、即ち座標系130、231間に回転方向の偏差が存在しない場合には、ユニットは、線源部分124及び検出器部分126の少なくとも一つの事前決定された前述の運動に従って、患者201の実際の撮像(走査)を提供可能である。
【0085】
もし、一例として、座標系130、231が平行ではない、即ち座標系130、231間において幾らかの回転偏差が存在する場合に、ユニットは、決定された回転変位αにより、少なくとも一つの撮像(走査)運動を計算し、それは、決定された偏差を考慮して、患者201の回転の誤位置決めによりもたらされた画像データの失敗を回避することを支援する。
【0086】
少なくとも一つの計算された撮像運動は、線源部分124及び検出器部分126の少なくとも一つの前述の運動により提供される。
【0087】
誤った回転位置決めの補正に加えて、実際の撮像の走査運動の前に、患者201の生じた並進的な誤位置決めを補正する可能性が存在する。
【0088】
発生した並進的な誤位置決めの補正は、パノラマ撮像において、以前から知られている自動焦点の形態により行うことができる。
【0089】
加えて、発生した並進的な誤位置決めの補正は、2次元の直線運動が可能なFF-パノラマ撮像システムが使用される時に、パノラマ撮像において行うことができる。
【0090】
ステップ216において、患者201は、画像データを取得するために撮像され、画像データは次に、患者201の少なくとも一つのX線画像を形成又は再構成するように使用される。
【0091】
ステップ216における実際の走査は、ステップ214において決定された線源部分124及び検出器部分126の少なくとも一つの撮像運動により提供される。
【0092】
ガントリ120は、もしそれが少なくとも一つの基準構造235、236の走査中に移動しなかった場合には、第1の開始位置と同じ点である第2の開始位置からその少なくとも一つの前述の撮像運動を開始可能である。
【0093】
代わりに、ガントリ120は、第2の開始位置から少なくとも一つの前述の撮像運動を開始可能である。第2の開始位置は、少なくとも一つの基準構造235、236の走査中に少なくとも一つの運動を行った後にガントリが停止した第1の終了点に一致する。
【0094】
実際の走査中に、ガントリ120は、少なくとも一つの決定された撮像運動に従って移動し、そして線源部分124及び検出器部分126は、患者201の画像データを取得するために制御される。
【0095】
ステップ216において画像データを取得した後に、得られた画像データから画像は形成される。もしパノラマ又は頭部計測撮像モードが使用される場合には、画像は2次元(2D)画像に形成される。もしCT撮像モードが使用される場合には、画像は3次元(3D)ボリュームに再構成される。
【0096】
画像の形成(又は再構成)は、プロセッサ部分により実行され、プロセッサ部分は、ユニット100内に配置可能であるか、あるいはそれは、別個の付属装置、例えば、コンピュータ又はタブレットコンピュータ内に設置可能である。
【0097】
【0098】
ユニット100は、ユニット100及びその前述の運動と撮像処理を制御するために、制御部分370を具備する。
【0099】
制御部分370は、ユーザ及び/又はコンピュータプログラム(ソフトウェア)により開始される命令を実行してデータを処理するために、プロセッサ部分372を具備する。
【0100】
プロセッサ部分372は、少なくとも一つのプロセッサを具備可能である。
【0101】
もしプロセッサ部分372が幾つかのプロセッサを具備する場合に、プロセッサは、単にユニット100内又は少なくとも一つの別個の装置内に配置可能であるか、あるいはプロセッサの一部分が、ユニット100内に配置され更にプロセッサの別の一部分が、画像の形成又は再構成を実行するように構成される少なくとも一つの別個の装置に配置されるように、配置可能である。
【0102】
更に、制御部分370は、データを格納して保持するために、記憶部分380を具備可能である。データは、命令と、コンピュータプログラムと、データファイルとであり得る。
【0103】
記憶部分380は、少なくとも一つの記憶装置を具備可能である。
【0104】
更に、制御部分370は、線源部分124と、検出器部分126と、運動部分375との内の少なくとも一つに制御指令を送信するために、データ転送部分374を具備可能である。
【0105】
運動部分375は、部分120、124、126、128、141、162、164、166の内の少なくとも一つの運動を引き起こす、モータ、駆動装置、又は別の部分375を具備可能である。
【0106】
また、データ転送部分374は、測定部分、又はユニット100の機能を検出する別の検出器部分からデータを受信可能である。
【0107】
更に、データ転送部分374は、部分124、126、375の内の少なくとも一つに制御指令を送信可能である。
【0108】
更に、データ転送部分374は、部分124、126、375の内の少なくとも一つから情報を受信可能である。
【0109】
更に、制御部分370は、制御指令を入力し、情報及び/又は命令を受信し、そして情報を表示するために、ユーザインタフェイス部分178を具備可能である。
【0110】
UI部分178は、タッチスクリーンと、少なくとも一つの機能キーと、有線又は無線のリモートコントローラの内の少なくとも一つを具備可能である。
【0111】
UI部分178は、支柱140又は往復台145に取り付け可能である。
【0112】
記憶部分380は、データ転送部分374を制御するためのデータ転送アプリケーション384と、UI部分178を制御するためのユーザインタフェイスアプリケーション388と、ユニット100の機能を制御するためのコンピュータプログラム(コード)389とを少なくとも具備可能である。
【0113】
コンピュータプログラム389は、運動部分375と、検出装置と、線源部分124と、検出器部分126の内の少なくとも一つを制御可能である。
【0114】
更に、コンピュータプログラム389は、撮像パラメータと、撮像寸法と、撮像モードとを制御可能である。
【0115】
記憶部分380及びコンピュータプログラム389は、プロセッサ部分372と共に、少なくとも、図の内容において示された働きをユニット100に提供させることができる。
【0116】
その様な働きは、画像データを取得するために、線源部分124及び検出器部分126を制御可能である。
【0117】
更に、その様な働きは、画像データから患者201の少なくとも一つの基準構造235、236を決定可能である。
【0118】
更に、その様な働きは、少なくとも一つの基準構造235、236に基づいて患者201の頭部237の位置を決定可能である。
【0119】
更に、その様な働きは、患者201の撮像のために決定された頭部237の位置に基づいて、患者201に対する線源部分124及び検出器部分126の少なくとも一つの撮像運動を決定可能である。
【0120】
コンピュータプログラム389は、有形の不揮発性(固定)コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であり得る。前記コンピュータ可読媒体は、コンピュータ(制御部分370)で使用されるように具体化されたコンピュータプログラムコード389を有する。
【0121】
方法202は、既知の撮像方法とは異なり、患者201の位置決めにおける最も一般的な誤差の内の2つを確定しており、そこでは、並進及び回転の誤差は、患者201の頭部237の実際の位置及び配向角度の観点において走査運動が調整される場合に、対象物の実際の撮像の前に補正可能である。
【0122】
更に、方法202は、画像の再撮影の回数を減らし、更に患者201の位置決めにおける許容誤差をより大きくすることを可能にする。
本発明は、以下の態様を含む。
(態様1)
プロセッサ部分(372)と、
ガントリ部分(120)と、
X線を放射するX線源部分(124)と、
前記X線源部分からX線を受信するX線撮像検出器部分(126)と、を具備するX線撮像用のX線撮像ユニット(100)であって、
前記ガントリ部分は、前記X線源部分と前記検出器部分と、を具備しており、
前記プロセッサ部分は、画像データを取得して(205、216)前記画像データから患者の少なくとも一つの解剖学的基準構造(235、236)を決定する(208)ために、前記X線源部分及び前記検出器部分を制御するように構成されており、
前記プロセッサ部分が、前記少なくとも一つの解剖学的基準構造に基づいて前記患者の頭部(237)の位置を決定する(212)ことを特徴とするX線撮像ユニット(100)。
(態様2)
前記プロセッサ部分は、前記ガントリ部分に対する前記頭部の位置を決定する(213)ように更に構成される、態様1に記載のユニット。
(態様3)
前記少なくとも一つの解剖学的基準構造の前記決定は、前記画像データからの各基準構造(235、236)の位置の決定(208)を含む、態様1又は2に記載のユニット。
(態様4)
前記プロセッサ部分は、各解剖学的基準構造の前記決定された位置に基づいて前記患者のための座標系(231)を形成する(210)ように更に構成されており、前記患者の前記座標系は、前記患者の前記頭部の方向を指示する、態様3に記載のユニット。
(態様5)
前記頭部の前記位置の決定は、該ユニットに対する前記患者の頭部の前記方向の決定(212)を含む、態様1から4のいずれか一項に記載のユニット。
(態様6)
前記プロセッサ部分は、該ユニットのための座標系(130)を提示する(203)ように更に構成されており、該ユニットに対する前記頭部の方向の前記決定は、該ユニットの前記座標系(130、231)と前記患者との間の回転変位(α)の決定(212)を含む、態様5に記載のユニット。
(態様7)
前記プロセッサ部分は、前記頭部の前記決定された位置と前記ガントリ部分との間の関係に基づいて、前記患者に対する前記X線源部分及び前記検出器部分の少なくとも一つの撮像運動を決定する(214)ように更に構成される、態様1から6のいずれか一項に記載のユニット。
(態様8)
前記プロセッサ部分は、前記決定された少なくとも一つの撮像運動に従って前記X線源部分及び検出器部分を制御する(216)ように及び前記患者の少なくとも一つのX線画像を取得するように更に構成される、態様1から7のいずれか一項に記載のユニット。
(態様9)
前記少なくとも一つの解剖学的基準構造は、前記患者の前記頭部の、顎関節、下顎枝の縁部(235、236)、又は外耳道を含む、態様1から8のいずれか一項に記載のユニット。
(態様10)
前記少なくとも一つの解剖学的基準構造は、顎関節、下顎枝の縁部、又は外耳道を含む二つの解剖学的基準構造を含む、態様9に記載のユニット。
(態様11)
撮像中に撮像されるべき前記患者を支持するための患者支持部分(142、143)を具備する、態様1から10のいずれか一項に記載のユニット。
(態様12)
パノラマ式又はコンピュータ式断層撮像法を実行するように構成される、態様1から11のいずれか一項に記載のユニット。
(態様13)
態様1から12のいずれか一項に記載の前記X線撮像ユニット(100)によるX線撮像のための方法(202)であって、この方法は、
前記画像データを取得するために、前記X線源部分(124)及び前記X線撮像検出器部分(126)を制御するステップと、
前記画像データから患者(201)の少なくとも一つの解剖学的基準構造(235、236)を決定する(208)ステップと、
前記少なくとも一つの基準構造に基づいて前記患者の頭部(237)の位置を決定する(212)ステップと、を含む方法。
(態様14)
態様13に記載の方法を実行するように構成される、X線撮像用のコンピュータプログラム(389)。
(態様15)
態様14に記載の前記コンピュータプログラム(389)を含む、有形の不揮発性コンピュータ可読媒体。