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  • 特許-塗料噴霧器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】塗料噴霧器
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/00 20180101AFI20230830BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20230830BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B05B15/00
B05B12/00 Z
B05C11/00
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019040337
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2019155359
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】1852054
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516299279
【氏名又は名称】エクセル インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ティボー コニョ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン サルズ
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/020832(WO,A1)
【文献】特開2015-166074(JP,A)
【文献】国際公開第2018/020755(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 5/00- 5/04
12/00-12/14
12/16-12/36
13/00-13/06
14/00-16/90
17/00-17/08
B05C 5/00- 5/04
7/00-21/00
B05D 1/00- 7/26
G05B19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料流束を噴霧するための塗料噴霧器(1)であって、
基体(2)
・該基体を通過する空気および塗料のライン
・複数の部品(3、4、5)、それぞれの部品(3、4、5)は、それぞれ特有の識別子(93、94、95)を備えており、該複数の部品は、該基体(2)に取り付け可能な少なくとも1つのガン(3)、該少なくとも1つのガン(3)に取り付け可能な少なくとも1つのヘッド(4)、および該少なくとも1つのヘッド(4)に取り付け可能な少なくとも1つのノズル(5)を有している、
該噴霧器(1)の特徴を測定することができる少なくとも1つのセンサ(61~64)、該少なくとも1つのセンサ(61~64)が、備え付けられた該部品(3、4、5)の該それぞれの特有の識別子(93、94、95)を認識することができるセンサー(64)を有しており、該センサー(64)は基体(2)に組み込まれている、ならびに、
・該センサー(64)によって認識された該備え付けられた部品(3、4、5)の該それぞれの特有の識別子(93、94、95)の組み合わせを解析することによって、構成の妥当性解析を行い、備え付けられたノズル(5)が、備え付けられたガン(3)および備え付けられたヘッド(4)と技術的に適合する種類のものであることを確認するように構成されている処理装置(8),
を含む、塗料噴霧器(1)。
【請求項2】
記少なくとも1つのセンサ(61~64)から該処理装置(8)へと情報を送ることができる伝達手段(7)を更に含む、請求項1記載の噴霧器(1)。
【請求項3】
それぞれの特有の識別子(93、94、95)がRFIDタグを含み、そして該センサ(64)がRFID読取り機を含んでいる、請求項1または2記載の噴霧器(1)。
【請求項4】
前記処理装置(8)が、前記少なくとも1つのセンサ(61~64)によって測定されたパラメータを解析することによって、適正運転診断を行うように構成された、請求項1または2記載の噴霧器(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサー(62~64)が、前記噴霧器の開放を測定することができる開放センサー(61)を更に含み、前記適正運転診断が、この開放が命令された場合に、前記開放センサー(61)が実際に前記噴霧器(1)の開放を示していることを確認することを含む、請求項4記載の噴霧器(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサー(61~64)が、前記噴霧器(1)に到達する空気圧力を測定することができる空気圧力センサ(62)を更に含み、前記適正運転診断が、前記空気圧力センサー(62)によって測定された前記空気圧力を、現在用いられているヘッドおよび/またはノズルに応じて、空気圧力の期待値と比較することを含む、請求項4記載の噴霧器(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサー(61~64)が、前記噴霧器(1)に到達する前記塗料の塗料圧力を測定することができる塗料圧力センサー(63)を更に含み、前記適正運転診断が、前記塗料圧力センサー(63)によって測定された前記塗料圧力を、現在用いられているヘッドおよび/またはノズルに応じて、塗料圧力の期待値と比較することを含む、請求項4記載の噴霧器(1)。
【請求項8】
前記処理装置(8)が、それぞれの部品(3,4、5)の使用履歴を行うように構成された、請求項1または2記載の噴霧器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業的生産装置に関し、そしてより具体的には交換可能な部品を含む塗料噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料噴霧の分野においては、所望の種類の噴霧に応じて、基体上に1つもしくは幾つかの部品を搭載することが知られている。そうして、典型的には、噴霧または塗料の種類に応じて交換することができるガンが、基体上に取り付けられている。ヘッド装置が、前記のガンの上に取り付けられている。このヘッド装置は、ガンに搭載されたヘッドおよびそのヘッドに取り付けられた基体を含むことができる。このヘッドおよびノズルは、独立して、または共同で、噴霧された流量および/または噴霧流束の形状を定める。流量および/または形状の変更が、ヘッドおよび/またはノズルを交換することによってなされる。従って、1つの部品から他の部品へと、現実に互換性を可能にするように、その部品の接続部分が同じままであった場合でも、その方法のパラメータを変更することが可能である。
【0003】
従って、一連の部品の一方または他方を交換することによって、幾つかの構成が可能である。幾つかの部品は、基体と、および/または互いに適合でき、そして他の物はできない。現在は、構成の管理は、操作者によって手動で行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、噴霧器の構成管理を自動化することを目的としている。この自動化は、他の処理、診断、履歴など、を同時に実行するために、有利に用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基体およびその基体に取り付けられた複数の部品、例えば、その基体に搭載されたガン、そのガンに取り付けられたヘッドおよびそのヘッドに取り付けられたノズル、およびその噴霧器の特徴を測定することができる少なくとも1つのセンサ、を含む塗料噴霧器に関する。
【0006】
他の随意選択的な特徴が、噴霧器を変えることができる。
- 前記の少なくとも1つのセンサが、基体中に組み込まれている。
- 噴霧器が、伝達手段および処理装置を更に含んでおり、この伝達手段は、前記の少なくとも1つのセンサからその処理装置へと情報を送ることができる。
- 前記の少なくとも1つのセンサは、噴霧器の開放を測定することが可能な開放センサ、噴霧器に到達する空気圧を測定することが可能な空気圧センサ、および/または噴霧器に到達する塗料の圧力を測定することが可能な塗料圧力センサ、の中から選択される。
- それらの部品の少なくとも1つ、好ましくは、それぞれは、特有の識別子を備えており、そして前記少なくとも1つのセンサは、その識別子を認識することが可能なセンサを更に含んでおり、そして好ましくは、識別子は、RFIDタグを含んでおり、そしてそのセンサは、RFID読取り機を含んでいる。
- 処理装置は、それらの部品の識別子の組み合わせを解析することによって、その構成の妥当性の解析を行うように構成されている。
- 処理装置は、前記の少なくとも1つのセンサによって測定されたパラメータを解析することによって適正運転診断を行うように構成されている。
- 処理装置は、それぞれの部品の使用履歴を実行するように構成されている。
【0007】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、情報のための、そして図面を参照した、以下の詳細な説明からより明確に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1には、本発明による噴霧器の1つの態様が示されている。
【0009】
図1に、情報として示されているように、塗料噴霧器1は、基体2を含んでいる。この基体2上に、複数の部品3、4および5を、基体上に直接に、または他の部品の1つの上に、取り付けることが可能である。従って、1つの可能性のある組立体では、ガン3が基体2に取り付けられており、ヘッド4がガン3に取り付けられており、そしてノズル5がヘッド4に取り付けられている。直列の、並列の、または他の部品との、他の構成が可能である。塗料噴霧器1の場合には、塗料流束の形状は、例えば、ノズル3によって決定される。流束の変化は、ノズル3を交換することによって行われる。
【0010】
噴霧器1の運転および構成パラメータを決定するために、噴霧器1は、噴霧器1の特徴を測定することが可能な少なくとも1つのセンサ61~64を更に含んでいる。
【0011】
1つの特徴によれば、前記の少なくとも1つのセンサ61~64は、基体2中に組み込まれている。このことは、基体が噴霧器1の中心の位置を占め、そしてライン(空気、塗料)の全ての経路を監視して、測定することを容易に可能とさせることで、有利である。
【0012】
前記の少なくとも1つのセンサ61~64によって得られる情報を収集することの重大性は、前記の情報、そして適用可能であるならば、幾つかの噴霧器1からの情報の全てを、それを、処理装置8内部で処理するように、集めることにある。前記の処理装置8は、有利には集中方式であり、そして噴霧器1からは外れていることができる。更には、噴霧器1は、有利には、前記の少なくとも1つのセンサ61~64から処理装置8へと情報を送ることができる、伝達手段7を含んでいる。
【0013】
前記の少なくとも1つのセンサ61~64は、噴霧器1の運転パラメータを対象とすることができる。従って、前記の少なくとも1つのセンサ61~64は、運転センサ61であることができる。そのような運転センサは、噴霧器1の開放を測定することができる。この開放の情報は、アナログの、開放率、または2値の、噴霧器1が、噴霧のプロセスにおいて、開、または閉、であることができる。
【0014】
また、前記の少なくとも1つのセンサ61~64は、空気圧センサ62であることができる。そのようなセンサは、噴霧器1に到達する空気圧を測定することができる。
【0015】
前記の少なくとも1つのセンサ61~64は、更に、塗料圧力センサ63であることができる。そのようなセンサは、噴霧器1に到達する塗料圧力を測定することができる。
【0016】
噴霧器のそれらの運転パラメータは、噴霧器の運転の観察を可能とする。それらの組合せは、適正運転診断をすることを可能にする。
【0017】
噴霧する運転の観察に加えて、噴霧器1の構成を知ることが有利である。この目的のために、部品3、4および5の少なくとも1つ、好ましくは全てが、特有の識別子93、94、95を備えられている。この場合には、前記の少なくとも1つのセンサはまた、前記の識別子93、94,95を認識することが可能なセンサ64を含んでいる。
【0018】
1つの好ましい態様によれば、識別子93、94、95は、RFIDタグ(ラジオ周波数識別子(Radio Frequency Identifier)の頭字語)を含んでおり、そしてセンサ64は、そのようなRFIDタグを読取ることができるRFID読取り機を含んでいる。
【0019】
本発明によってそのように修正されて、噴霧器1は、その運転のパラメータを観察し、そしてその構成を表す識別子を収集することができる。伝達手段7を用いて、この情報の全ては、解析および/または記録のために、処理装置8へと上げることができる。
【0020】
センサ64によって読取られた、部品3、4、5の識別子93、94、95を用いて、処理装置8は、構成の妥当性解析を行うように構成されることができる。このことは、典型的には、部品3、4、5の識別子93、94、95の組み合わせを解析することによってなされる。従って、組立てられたノズル5が、実際に用いられたガン3および/またはヘッド4と適合する種類のものであることを確認することが可能である(技術的な適合性)。ノズル5が、実際に建設業者によって推奨および/または販売されたノズルであることが更に確認されることができる(商業的な適合性)。そうでない場合には、警告および/または噴霧方法の閉塞が引き起こされることができる。
【0021】
どの部品が組み立てられているかを示すこの構成情報は、組立てられた部品および/または倉庫内で利用可能な部品の情報を提示することによって、部品の在庫管理を行うことを可能にする。
【0022】
他の特徴によれば、噴霧パラメータの測定、および、適用可能である場合には、構成情報は、適切な運転診断を行うことを可能にさせる。従って、処理装置8は、有利には、前記の少なくとも1つのセンサ61~64によって測定されたパラメータを解析することによって適正運転診断を行うように構成される。この診断によって、例えば、その開放が命令されている場合に、開放センサ61が実際に噴霧器1の開放を示していることを確認することができる。他の例によれば、この診断によって、空気圧信号、塗料圧力それぞれを、噴霧器1が開の場合には、空気圧力、塗料圧力それぞれの期待値と、比較することができる。この期待値は、センサ64によって知られた、用いられたヘッド4および/またはノズル5に依存する可能性がある。この診断は、好ましくは実時間処理で行われる。診断が間違った運転を示した場合には、警告および/または噴霧方法の閉鎖を引き起こさせることができる。
【0023】
他の特徴によれば、処理装置8は、それぞれの部品3、4、5の使用履歴を行うように構成されている。構成情報、センサ64によって読取られた識別子93、93、95から、時間を付加することによって、どの部品3、4、5が、どの時点で用いられたかを追跡することが可能となる。従って、部品3、4、5の使用継続時間または摩耗を特定することが可能となる。これを運転の測定と組合せることによって、摩耗の測定を精密化することが可能となる。従って、ガン3の寿命は、開放の回数で測定される。ノズルまたはヘッドの寿命は、それを通過する塗料の量で測定される。それらの測定の全ては、センサ61~63で行うことができる。使用履歴は、有利には、それぞれの部品3、4、5を然るべき時に交換することによって、予防整備を行うのに用いられる。
【0024】
本発明は、噴霧ロボットあるいは、噴霧器の本体および/またはスカートに対応する基体に適用することができる。ヘッドおよび/またはノズルは、回転ボウルに置き換えられる。
【0025】
また、本発明は、手動の噴霧ガンに適用することができ、あるいは基体は、ガンによって置き換えられる。
図1