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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20230830BHJP
   B65B 43/28 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B65B43/28 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019126077
(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公開番号】P2021010971
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 猛
(72)【発明者】
【氏名】久保田 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】北浦 寛斗
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝司
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039181(JP,A)
【文献】国際公開第2019/103114(WO,A1)
【文献】特開2013-052925(JP,A)
【文献】特開平11-070917(JP,A)
【文献】特開2005-001304(JP,A)
【文献】特開2014-124798(JP,A)
【文献】国際公開第2019/079210(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/00-15/06
B31B 50/36
B65B 5/08-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一被折り曲げ部と前記第一被折り曲げ部が折り曲げられる方向と交差する方向に折り曲げられる第二被折り曲げ部とを含み、折り曲げ処理を受けることで有底筒形状を形成するように構成される物品を保持する第一ハンドと、
前記第一ハンドを移動させる第一アームと、
第二ハンドと、
前記第二ハンドを移動させ且つ前記第二ハンドを回動させる第二アームと、
前記第一ハンドに保持されている状態の前記物品の前記第一被折り曲げ部が折り曲げられる第一折り曲げ処理のときに、前記第一被折り曲げ部が当接される第一当接部とを備え、
前記第一ハンドは、前記第一アームと接続される基部と、前記基部に対して回動可能であり且つ前記物品を吸着することで保持する吸着装置を有する保持部とを有し、
前記第二ハンドは、前記第二ハンドの回動軸と交差する方向に向き且つ前記第二ハンドと共に回動する当接面を有し、
前記第一ハンド及び前記第一アームは、折り畳まれた前記物品を保持し上昇させることで前記物品に角筒形状を形成させるように構成され、
前記第二ハンド及び前記第二アームは、前記物品に角筒形状を形成させるとき、前記物品に側方から前記第二ハンドの前記当接面を当接させる又は押し当てることで、前記物品に角筒形状を形成させ維持させる補助を行うように構成され、
前記第一ハンド及び前記第一アームは、前記第一折り曲げ処理のときに、角筒形状の前記物品の前記第一被折り曲げ部を前記第一当接部に当接させつつ前記保持部を回動させることで、前記第一被折り曲げ部を折り曲げるように構成され、
前記第二ハンド及び前記第二アームは、前記第二ハンドの前記当接面を前記物品に当接させることで、前記物品に角筒形状を維持させる補助をするように構成され、
前記第二ハンド及び前記第二アームは、前記第一ハンドに保持されている状態の角筒形状の前記物品の前記第二被折り曲げ部が折り曲げられる第二折り曲げ処理のときに、前記第二ハンドの前記当接面を前記第二被折り曲げ部に当接させつつ回動させることで、前記第二被折り曲げ部を折り曲げるように構成される
ロボットシステム。
【請求項2】
前記第一当接部は、前記第一折り曲げ処理のときの前記保持部の回動軸の方向に延びる
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記保持部の回動軸の方向は、前記基部と前記第一アームとの接続方向に対して交差する方向である
請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記保持部は、前記基部に対して少なくとも90°の回動角度にわたって回動可能であるように構成される
請求項1~3のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記第一折り曲げ処理のときの前記保持部の回動方向で前記第一当接部から離れて配置された第二当接部をさらに備え、
前記物品は、前記第一被折り曲げ部と対向して配置された第三被折り曲げ部をさらに含み、
前記第一ハンド及び前記第一アームは、前記第一折り曲げ処理のときに、前記第一被折り曲げ部を前記第一当接部に当接させ、前記第三被折り曲げ部を前記第二当接部に当接させることで、前記第一被折り曲げ部及び前記第三被折り曲げ部を折り曲げるように構成される
請求項1~4のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記第二当接部は、前記第一折り曲げ処理のときの前記保持部の回動軸の方向に延びる
請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記第一ハンドに保持されている状態の角筒形状の前記物品の第四被折り曲げ部が折り曲げられる第三折り曲げ処理のときに、前記第四被折り曲げ部が当接される第三当接部をさらに備え、
前記第四被折り曲げ部は、前記第一被折り曲げ部が折り曲げられる方向と交差する方向に折り曲げられ、
前記第一ハンド及び前記第一アームは、前記第三折り曲げ処理のときに、前記第四被折り曲げ部を前記第三当接部に押し付けるように前記物品を移動させることで、前記第四被折り曲げ部を折り曲げるように構成される
請求項1~6のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記第三当接部は、前記第四被折り曲げ部が折り曲げられる方向と交差する方向に延びる
請求項7に記載のロボットシステム。
【請求項9】
同軸上で回動可能であるように配置された前記第一アーム及び前記第二アームを有するロボット本体をさらに備え、
前記ロボット本体は、同軸双腕ロボットを構成する
請求項1~8のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記第二ハンド及び前記第二アームは、前記第二ハンドの前記当接面を前記物品に押し付けることで、角筒形状を形成する前記物品の第五被折り曲げ部を目的の折り曲げ角度以上に折り曲げるように構成される
請求項1~のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流分野において作業の自動化が進められている。例えば、配送品の段ボールケースへの梱包作業は、段ボールケースの組立工程、段ボールケースへの配送品の詰め込み工程、及び、段ボールケースの封緘工程等を含む。組立工程は、折り畳まれた段ボールケースの開函、底部のフラップの折り曲げ及び封緘等を含む。例えば、特許文献1は、段ボールケースの組立工程を行う製函装置を開示している。この製函装置は、ロボットアームと、ロボットアームの端部に配置された吸着ノズルと、段ボールケースの4つの底部のフラップ(羽根部)を折り畳む折り畳み装置とを備える。ロボットアームは、折り畳まれた段ボールケースを、吸着ノズルで吸着し持ち上げ傾斜させることで自重により立体形状に広げさせた後に折り畳み装置に設置する。折り畳み装置は、4つのフラップの周囲に配置されている4つの可動板を旋回駆動させることで、各フラップを折り畳む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2015-505785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の折り畳み装置は、4つの可動板と、各可動板を旋回駆動する油圧又は空圧シリンダとを備える。このため、段ボールケースの底部のフラップを折り曲げるための構成が複雑である。
【0005】
そこで、本発明は、物品の被折り曲げ部を折り曲げるための構成を簡略化するロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るロボットシステムは、物品を保持するハンドと、前記ハンドを移動させるアームと、前記ハンドに保持されている状態の前記物品の第一被折り曲げ部が折り曲げられる第一折り曲げ処理のときに、前記第一被折り曲げ部が当接される第一当接部とを備え、前記ハンドは、前記アームと接続される基部と、前記基部に対して回動可能であり且つ前記物品を付着させることで保持する保持部とを有し、前記ハンド及び前記アームは、前記第一折り曲げ処理のときに前記第一被折り曲げ部を前記第一当接部に当接させつつ前記保持部を回動させることで、前記第一被折り曲げ部を折り曲げるように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物品の被折り曲げ部を折り曲げるための構成を簡略化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示す斜視図
図2図1のロボットを拡大した斜視図
図3】実施の形態に係るロボットシステムのハードウェア構成の一例を示すブロック図
図4】実施の形態に係る制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図
図5】実施の形態に係るロボットシステムの動作の一例を示すフローチャート
図6】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図7】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図8】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図9】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図10】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図11】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図12】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図13】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図14図13の一部を拡大した側面図
図15】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図16図15の一部を拡大した側面図
図17】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
図18】実施の形態に係るロボットシステムの動作中におけるロボットの状態の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。また、本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0010】
<ロボットシステムの構成>
実施の形態に係るロボットシステム1の構成を説明する。図1は、実施の形態に係るロボットシステム1の構成の一例を示す斜視図である。以下の実施の形態において、ロボットシステム1は、ロボット100を用いて、折り畳まれた物品Aを、有底筒形状である函形状に組み立てる作業、つまり製函を行うシステムであるとして説明する。なお、ロボットシステム1が適用される作業は、物品Aの被折り曲げ部を折り曲げる工程を含む作業であればよい。また、本実施の形態では、組み立て対象の物品Aは、段ボールケースである。段ボールケースの形状は、開函され且つ上下で封緘された状態で直方体であるとする。本明細書及び特許請求の範囲において、「開函」とは、折り畳まれたシート状の段ボールケースが、角筒等の筒状の立体形状にされることとする。以下において、「物品A」を「段ボールケースA」とも表記する。
【0011】
図1に示すように、ロボットシステム1は、ロボット100と、載置台200と、封緘台300と、入力装置400と、制御装置500とを備える。ロボット100及び封緘台300は、載置台200と隣り合って配置されている。制御装置500は、本実施の形態ではロボット100に配置されるが、載置台200等の他の装置に配置されてもよい。
【0012】
ロボット100は、載置台200に載置された折り畳み段ボールケースAを函状段ボールケースAに組み立て、封緘台300に搬送する。封緘台300は、函状段ボールケースAの底部のフラップをテープで封緘し、次の工程に搬送する。次の工程の例は、封緘された函状段ボールケースAへの物品の詰め込み工程等である。
【0013】
本明細書及び特許請求の範囲において、折り畳み段ボールケースAは、折り畳まれた状態のシート状の段ボールケースであり、組み立て前、つまり、開函前の扁平な状態の段ボールケースを意味する。函状段ボールケースAは、部分的に組み立てられた状態の立体的な段ボールケースであり、折り畳み段ボールケースAが開函され且つ折り曲げられたフラップによって底部が形成されている状態の段ボールケースを意味する。函状段ボールケースAでは、底部が封緘されず且つ上部のフラップが折り曲げられず封緘されていない。
【0014】
[載置台]
載置台200は、載置面210と下方補助部材220とストッパ230とを備える。載置面210は、載置台200の上部の水平方向に延びる平坦な面であり、複数の折り畳み段ボールケースAが上下に積み重ねられて載置され得るように構成されている。
【0015】
下方補助部材220は、載置台200の上部に配置され、載置面210よりも上方に突出する。本実施の形態では、下方補助部材220は、第一方向D1を長手方向とする直方体状の形状を有する。下方補助部材220は、第一方向D1と直交する第二方向D2で載置面210と隣り合う。下方補助部材220は、その上に函状段ボールケースAを載せることができる平坦な上面221を含む。上面221は、載置面210上に載置され得る複数の折り畳み段ボールケースAよりも上方に位置する。上面221は、載置面210に沿って延びる2つの角部222及び223を含む。角部222は、載置面210に近位の角部である。上面221及び角部222はそれぞれ、第一下方当接部及び第二下方当接部を構成する。以下において、「上面221」及び「角部222」をそれぞれ、「第一下方当接部221」及び「第二下方当接部222」とも表記する。下方当接部221及び222は第一当接部又は第二当接部の一例である。
【0016】
ここで、第一方向D1は、載置台200から封緘台300に向かう第一方向D1Aと、第一方向D1Aと逆向きの第一方向D1Bとの2つの方向を含む。以下において、上記2つの方向を区別して表現するとき、「第一方向D1A」及び「第一方向D1B」を用い、上記2つの方向を区別せずに表現するとき、「第一方向D1」を用いる場合がある。第二方向D2は、載置面210から下方補助部材220に向かう第二方向D2Aと、第二方向D2Aと逆向きの第二方向D2Bとの2つの方向を含む。以下において、上記2つの方向を区別して表現するとき、「第二方向D2A」及び「第二方向D2B」を用い、上記2つの方向を区別せずに表現するとき、「第二方向D2」を用いる場合がある。
【0017】
また、「上方」とは、ロボット100、載置台200及び封緘台300が水平な床面等の水平な表面上に配置された場合での下方から上方に向かう方向を意味し、「下方」とは、同様の場合での上方から下方に向かう方向を意味する。「水平方向」とは、同様の場合での水平方向を意味し、上記表面に平行な方向でもある。「鉛直方向」とは、同様の場合での鉛直方向を意味し、上記表面に垂直な方向である。第一方向D1及び第二方向D2は、上記表面に沿う方向である。
【0018】
ストッパ230は、第一方向D1(本実施の形態では第一方向D1A)で載置面210に隣り合って配置され、下方補助部材220と同様に、載置面210よりも上方に突出する。ストッパ230及び下方補助部材220は、載置面210上において折り畳み段ボールケースAを位置決めする。折り畳み段ボールケースAは、その周縁の2辺を下方補助部材220の側面とストッパ230とに当接させて載置面210上に載置されることで、載置面210に対して水平方向の所定の位置に位置決めされる。
【0019】
[封緘台]
封緘台300は、載置台200から送られる函状段ボールケースAの底部のフラップを封緘する。封緘台300は、基台310と、搬送装置320a及び320bと、封緘装置330とを備える。
【0020】
搬送装置320a及び320bは、第一方向D1を長手方向として基台310上に配置されている。搬送装置320aは、搬送装置320bに対して第二方向D2Aへ間隔をあけて配置されている。搬送装置320a及び320bの間隔は、底部を下方にした状態の函状段ボールケースAが通ることができる大きさであり、この状態の函状段ボールケースAの2方向の幅の一方に近い寸法であってもよい。
【0021】
搬送装置320a及び320bは、これらの間を通過させることで、函状段ボールケースAを第二方向D2で位置決めしつつ第一方向D1Aに搬送する。搬送装置320a及び320bの少なくとも一方は、様々なサイズの函状段ボールケースAを通過させることができるように、第二方向D2に移動し互いの間隔を変更できるように構成されてもよい。
【0022】
本実施の形態では、搬送装置320a及び320bはベルトコンベヤである。搬送装置320a及び320bはそれぞれ、無端輪状の搬送ベルト321a及び321bと、搬送ベルト321a及び321bそれぞれを周回させる複数のローラ(図示せず)と、ローラを回転駆動する駆動装置(図示せず)とを備える。搬送ベルト321aは第二方向D2Bに向いた搬送面322aを形成し、搬送ベルト321bは第二方向D2Aに向いた搬送面322bを形成する。搬送面322a及び322bは、第二方向D2で対向し略平行である。駆動装置の例は、電気モータ等である。搬送装置320a及び320bの駆動装置はそれぞれ、ローラを回転駆動することで、搬送面322a及び322bを第一方向D1Aに移動させるように搬送ベルト321a及び321bを周回させる。搬送ベルト321a及び321bは、これらの間で搬送面322a及び322bに接触する函状段ボールケースAを、第二方向D2で位置決めしつつ第一方向D1Aに搬送する。
【0023】
封緘装置330は、搬送装置320a及び320bによって搬送されその上を通過する函状段ボールケースAの底部のフラップを封緘する。封緘装置330は、基台310上において搬送装置320a及び320bの間に配置され、下方補助部材220と第一方向D1Aで隣り合う。封緘装置330の上部の高さは、下方補助部材220の上面221の高さと同等である。これにより、函状段ボールケースAは、上面221から封緘装置330の上にスムーズに移動され得る。
【0024】
封緘装置330は、封緘センサ331と、封緘のためにテープを函状段ボールケースAの底部のフラップに貼り付ける貼付装置332とを備える。封緘センサ331は、封緘装置330の上に存在する函状段ボールケースAを検知し、検知結果を示す信号を制御装置500に出力する。制御装置500は、封緘センサ331から函状段ボールケースAを検知した信号を受け取ると、貼付装置332へ封緘を実行する指令を出力する。貼付装置332は起動し、上方の函状段ボールケースAの底部のフラップにテープを貼り付け封緘する。函状段ボールケースAは、搬送装置320a及び320bによって第二方向D2で位置決めされるため、貼付装置332は底部の同じ位置にテープを貼り付けることができる。封緘センサ331は、物体を検知することできればよく、例えば、光電センサ(「ビームセンサ」とも呼ばれる)、レーザセンサ、超音波センサ、リミットスイッチ等を用いることができる。なお、封緘装置330は、上方を通過する函状段ボールケースAの底部にテープを接触させて貼り付けることができればよく、封緘センサ331及び貼付装置332の駆動装置等の電気的な機構を含まず、機械的な機構のみで構成されてもよい。
【0025】
また、上方補助部材340及び側方補助部材350が、封緘台300に配置されている。上方補助部材340は、搬送装置320aに第一方向D1Bで隣り合って配置されている。上方補助部材340は、第一方向D1Bへ延びる上方当接部341を含む。上方当接部341は、下方当接部221及び222に対して上方に間隔をあけて位置し、下方当接部221及び222の少なくとも一部(本実施の形態では一部)と対向する。これに限定されないが、本実施の形態では、上方当接部341は、第二下方当接部222と略平行に延びる棒状の部材で構成される。例えば、上方補助部材340は、基台310から上方に延びた後に第一方向D1Bへ延びるL字状の棒部材で構成され得る。上方補助部材340の固定位置は、基台310に限定されず、例えば、搬送装置320a、載置台200又は下方補助部材220等であってもよい。上方当接部341は、第一当接部又は第二当接部の一例である。
【0026】
側方補助部材350は、搬送装置320bに第一方向D1Bで隣り合って配置されている。側方補助部材350は、第一方向D1Bへ延び、その先端に側方当接部351を含む。側方当接部351は、上方当接部341が延びる方向である第一方向D1Bと交差する方向に延び、本実施の形態では、第一方向D1Bと略垂直である上下方向に延びる。側方当接部351は、下方補助部材220の下方当接部221及び222よりも上方に配置される。さらに、側方当接部351は、上方当接部341及び第二下方当接部222よりも第二方向D2Bに配置される。例えば、側方補助部材350は、搬送装置320bから第一方向D1Bへ延びた後に第二方向D2A又はD2Bに延びるL字状の板部材で構成され得る。第二方向D2A又はD2Bに延びる部分は、側方当接部351を構成し、その矩形状の主面は第一方向D1Bに向き、当該主面の長手方向が上下方向である。側方補助部材350の固定位置は、搬送装置320bに限定されず、例えば、基台310又は載置台200等であってもよい。側方当接部351は第三当接部の一例である。
【0027】
[ロボット]
図2は、図1のロボット100を拡大した斜視図である。図2に示すように、ロボット100は、基台110と、基台110の上に配置されたロボット本体120とを備える。本実施の形態では、ロボット本体120は、鉛直方向の第一軸S1を中心とする同軸上で水平面内で回動可能である第一アーム130及び第二アーム140を備える。このようなロボット本体120は、同軸双腕ロボットを構成する。
【0028】
第一アーム130は、リンク131~135と、アーム駆動装置MA1~MA6(図3参照)とを含む。第二アーム140は、リンク141~145と、アーム駆動装置MB1~MB6(図3参照)とを含む。アーム駆動装置MA1~MA6及びMB1~MB6は、例えば、サーボモータなどの電気モータ等であり、本実施の形態ではサーボモータである。アーム駆動装置MA1~MA6及びMB1~MB6の駆動は、制御装置500によって制御される。
【0029】
第一リンク131及び141はそれぞれ、第一軸S1を中心に水平面内で回動可能に、関節(図示せず)を介して基台110と接続される。アーム駆動装置MA1及びMB1はそれぞれ、第一リンク131及び141を回動する。第一リンク131及び141は第一軸S1の方向にずらして配置されている。アーム130及び140はそれぞれ、互いに独立して動作することができるが、第一軸S1を中心した回動時、互いの干渉が抑えられる。これにより、アーム130及び140の回動範囲を大きくすることが可能になる。
【0030】
第二リンク132及び142はそれぞれ、鉛直方向の第二軸S2a及びS2bを中心に水平面内で回動可能に、関節(図示せず)を介して第一リンク131及び141と接続される。アーム駆動装置MA2及びMB2はそれぞれ、第二リンク132及び142を回動する。第三リンク133及び143はそれぞれ、水平方向の第三軸S3a及びS3bを中心に鉛直面内で回動可能に、関節(図示せず)を介して第二リンク132及び142と接続される。アーム駆動装置MA3及びMB3はそれぞれ、第三リンク133及び143を回動する。第四リンク134及び144はそれぞれ、水平方向の第四軸S4a及びS4bを中心に鉛直面内で回動可能に、関節(図示せず)を介して第三リンク133及び143と接続される。アーム駆動装置MA4及びMB4はそれぞれ、第四リンク134及び144を回動する。第五リンク135及び145はそれぞれ、水平方向の第五軸S5a及びS5bを中心に揺動可能に、関節(図示せず)を介して第四リンク134及び144と接続される。アーム駆動装置MA5及びMB5それぞれ、第五リンク135及び145を揺動する。
【0031】
また、ロボット本体120は、第一アーム130及び第二アーム140それぞれの先端に、第一ハンド150及び第二ハンド160を備える。ハンド150及び160は、段ボールケースAを保持し、アーム130及び140はそれぞれ、ハンド150及び160を移動させる。ハンド150及び160はそれぞれ、第六軸S6a及びS6bを中心に回動可能に、関節(図示せず)を介して第五リンク135及び145と接続される。第六軸S6aは、第五リンク135の長手方向に沿い且つ第五軸S5aに垂直である。第六軸S6bは、第五リンク145の長手方向に沿い且つ第五軸S5bに垂直である。アーム駆動装置MA6及びMB6それぞれ、ハンド150及び160を回動する。上述のようなアーム130及び140は、水平多関節型のアームを構成する。
【0032】
第二ハンド160は、取付部161と側方部162と下方部163とを含む。取付部161は第五リンク145と接続される。例えば、取付部161は第六軸S6bに垂直である矩形状の板状部材で構成される。
【0033】
側方部162は、平坦な当接面162aを有し、取付部161と接続されている。例えば、側方部162は、取付部161と垂直である細長い矩形状の板状部材で構成され、側方部162の矩形状の主面は当接面162aを構成する。第六軸S6bの方向が鉛直方向である、つまり取付部161が水平であるとき、当接面162aは水平方向に向き、その長手方向は水平方向である。
【0034】
下方部163は、平坦な主面163aを有し、側方部162と接続されている。例えば、下方部163は、側方部162と垂直である細長い矩形状の板状部材で構成され、主面163aは矩形状の面である。第六軸S6bの方向が鉛直方向であるとき、主面163aは下方に向き、その長手方向は水平方向である。例えば、側方部162及び下方部163は、L字状の部材で構成される。
【0035】
第二ハンド160は、鉛直状態の第六軸S6bを中心に回動することによって、主面163aを下向きにしつつ、当接面162aの向きを水平方向の任意の向きに変えることができる。
【0036】
第一ハンド150は、取付基部151と、連結回動軸152と、保持部153と、吸着装置154と、ハンド駆動装置MC(図3参照)とを備える。取付基部151は、第五リンク135と回動可能に接続され、且つ連結回動軸152を介して保持部153と回動可能に接続される。連結回動軸152は、取付基部151と第五リンク135との接続方向である第六軸S6aの方向に対して交差する方向の軸であり、本実施の形態では直交する。例えば、取付基部151は、第六軸S6aと垂直である板状部材と当該板状部材と垂直である板状部材とを含むL字状の部材で構成される。
【0037】
保持部153は、取付基部151に対して回動可能であり且つ段ボールケースAを付着させることで保持する。保持部153は、連結回動軸152を介して取付基部151と回動可能に接続され、本実施の形態では、保持部153は連結回動軸152と一体に回動するように構成される。保持部153は、連結回動軸152と反対側に、吸着装置154が配置される平坦な主面153aを有する。例えば、保持部153は、取付基部151と接続される板状部材と、当該板状部材と垂直であり且つ主面153aを有する板状部材とを含むT字状の部材で構成される。
【0038】
ハンド駆動装置MCは、連結回動軸152を回転駆動することで、取付基部151に対して保持部153を、連結回動軸152を中心に回動させる。ハンド駆動装置MCの例は、サーボモータなどの電気モータ等であり、本実施の形態ではサーボモータである。ハンド駆動装置MCの駆動は、制御装置500によって制御される。
【0039】
第六軸S6aの方向が鉛直方向であるとき、連結回動軸152は水平方向に延び、保持部153は、連結回動軸152を中心として鉛直面内で回動可能である。なお、連結回動軸152の方向が第六軸S6aの方向と直交しない場合、第五リンク135を揺動させることで、連結回動軸152の方向を水平方向にすることが可能である。
【0040】
1つ以上の吸着装置154が、保持部153の主面153a上に配置され、本実施の形態では、4つの吸着装置154が配置されている。吸着装置154は、保持部153と一緒に回動する。吸着装置154は、負圧を発生することで段ボールケースAを吸着し、それにより、保持部153に当該段ボールケースAを付着させる。吸着装置154は、例えば、テーパ筒状等の中空の形状を有するノズルを含み、配管を介して負圧発生装置155(図3参照)と接続されている。ノズルは、主面153aと垂直な方向に開放している。負圧発生装置155の構成は、ノズルの中に負圧を発生させることができれば特に限定されず、既存のいかなる構成が用いられてもよい。例えば、負圧発生装置155は、空気を吸引することで負圧又は真空を発生する真空ポンプ又は空圧シリンダの構成を有してもよく、圧縮空気を送入することで負圧又は真空を発生するエジェクタの構成を有してもよい。負圧発生装置155の駆動は、制御装置500によって制御される。
【0041】
第一ハンド150は、連結回動軸152を中心として少なくとも90°の回動角度にわたって保持部153を回動させることができるように構成される。例えば、連結回動軸152の方向が水平方向であるとき、第一ハンド150は、保持部153を回動させることで、ノズルの向きである吸着装置154の向きを少なくとも下方から水平方向に変化させることができ、さらに上方に向けることができてもよい。例えば、第一ハンド150は、吸着装置154の向きを鉛直面内で360°にわたって変えることができるように構成されてもよい。
【0042】
また、アーム駆動装置MA1~MA6及びMB1~MB6並びにハンド駆動装置MCのサーボモータはそれぞれ、電気モータと、電気モータの回転子の回転角を検出するエンコーダとを備えている。各サーボモータは、制御装置500から出力される指令等に従って、電気モータを動作させ、エンコーダの検出値を制御装置500に出力する。制御装置500は、各サーボモータからフィードバックされたエンコーダの検出値に基づき、当該サーボモータの回転子の回転量及び回転速度等を検出し、検出結果を用いて当該サーボモータの回転開始、回転停止、回転速度及び回転トルク等を制御する。これにより、制御装置500は、各サーボモータを任意の回転位置で停止させることができ、任意の回転速度で回転させることができ、任意の回転トルクで動作させることができる。よって、制御装置500は、第一アーム130、第二アーム140及び第一ハンド150の保持部153を多様に且つ緻密に動作させることができる。
【0043】
[撮像装置]
図2に示すように、撮像装置170が、第一アーム130、具体的には、第一ハンド150の取付基部151に配置されている。撮像装置170は、被写体までの距離等の撮像装置170に対する被写体の3次元位置を検出するための画像を撮像するカメラである。例えば、このようなカメラは、デジタル画像を撮像するカメラであり、ステレオカメラ、単眼カメラ、TOFカメラ(トフカメラ:Time-of-Flight-Camera)、縞投影等のパターン光投影カメラ、又は光切断法を用いたカメラ等の構成を有してもよい。撮像装置170は、第六軸S6aに沿う方向、例えば下方に向けて指向され、載置面210を撮像することで、撮像装置170に対する載置面210上の折り畳み段ボールケースAの3次元位置を検出するための画像を取得する。撮像装置170は、当該画像に基づき、上記3次元位置を検出し制御装置500に出力してもよく、当該画像を制御装置500に出力し、制御装置500が上記3次元位置を演算してもよい。本実施の形態では、制御装置500が上記3次元位置を演算する。なお、折り畳み段ボールケースAの姿勢も検出されてもよい。
【0044】
[入力装置]
図1に示すように、入力装置400は、操作者等のユーザによる指令及び情報の入力を受け付け、当該指令及び情報を制御装置500に出力する装置であり、その構成は問わない。入力装置400は、制御装置500と有線通信又は無線通信を介して接続される。有線通信及び無線通信の形式はいかなる形式であってもよい。例えば、入力装置400は、載置台200上の折り畳み段ボールケースAの組み立て作業を実行する指令を受け付ける。入力装置400は、組み立て対象の段ボールケースAの種類、形状、サイズ及び/又は規格等の段ボールケースAの構成を特定するための情報の入力を受け付ける。
【0045】
[制御装置]
制御装置500は、ロボットシステム1全体の動作を制御する。図3は、実施の形態に係るロボットシステム1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、ロボットシステム1は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、メモリ504と、入力I/F(インタフェース:Interface)505と、撮像素子I/F506と、アーム駆動回路507と、ハンド駆動回路508と、吸着駆動回路509と、搬送駆動回路510と、封緘駆動回路511と、アーム駆動装置MA1~MA6及びMB1~MB6と、ハンド駆動装置MCと、負圧発生装置155と、搬送装置320a及び320bと、封緘装置330の貼付装置332と、封緘センサ331と、撮像装置170と、入力装置400とを構成要素として含む。CPU501、ROM502、RAM503及びメモリ504は、制御装置500を構成する。上記構成要素はそれぞれ、バス、有線通信又は無線通信を介して接続されている。なお、上記構成要素の全てが必須ではない。
【0046】
CPU501はプロセッサであり、ロボットシステム1の処理及び動作の全体を制御する。ROM502は不揮発性半導体メモリ等で構成され、CPU501に処理及び動作を制御させるためのプログラム及びデータ等を格納する。RAM503は揮発性半導体メモリ等で構成され、CPU501で実行するプログラム及び処理途中又は処理済みのデータ等を一時的に格納する。メモリ504は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどの半導体メモリ、ハードディスク(HDD:Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。
【0047】
CPU501が動作するためのプログラムは、ROM502又はメモリ504に予め保持されている。CPU501は、ROM502又はメモリ504からプログラムをRAM503に読み出して展開する。CPU501は、RAM503に展開されたプログラム中のコード化された各命令を実行する。なお、制御装置500の各機能は、CPU501、ROM502及びRAM503等からなるコンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0048】
入力I/F505は、入力装置400と接続され、入力装置400からの情報及び指令等の入力を受け付ける。入力I/F505は入力信号を変換する回路等を含んでもよい。撮像素子I/F506は、CPU501の指令に従って、撮像装置170の撮像素子(図示せず)の駆動を制御する。撮像素子I/F506は、撮像装置170によって撮像された画像をRAM503又はメモリ504に取り込む。撮像素子I/F506は、撮像装置170の駆動のための回路等を含んでもよい。
【0049】
アーム駆動回路507は、CPU501の指令に従って、アーム駆動装置MA1~MA6及びMB1~MB6それぞれのサーボモータに電力を供給し当該サーボモータの駆動を制御する。ハンド駆動回路508は、CPU501の指令に従って、ハンド駆動装置MCのサーボモータに電力を供給し当該サーボモータの駆動を制御する。吸着駆動回路509は、CPU501の指令に従って、負圧発生装置155に電力を供給し負圧発生装置155の駆動を制御する。搬送駆動回路510は、CPU501の指令に従って、搬送装置320a及び320bに電力を供給し搬送装置320a及び320bの駆動を制御する。封緘駆動回路511は、CPU501の指令に従って、貼付装置332に電力を供給し貼付装置332の駆動を制御する。CPU501は、封緘センサ331から受け取る検知信号に基づき、上記指令を封緘駆動回路511に出力する。
【0050】
図4は、実施の形態に係る制御装置500の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、制御装置500は、入力処理部551と、アーム制御部552と、ハンド制御部553と、吸着制御部554と、搬送制御部555と、封緘制御部556と、撮像制御部557と、画像処理部558と、記憶部559とを機能的構成要素として含む。入力処理部551、アーム制御部552、ハンド制御部553、吸着制御部554、搬送制御部555、封緘制御部556、撮像制御部557及び画像処理部558の各機能は、CPU501等によって実現される。記憶部559の機能は、メモリ504、ROM502及びRAM503等によって実現される。
【0051】
入力処理部551、アーム制御部552、ハンド制御部553、吸着制御部554、搬送制御部555、封緘制御部556、撮像制御部557及び画像処理部558からなる機能的構成要素はそれぞれ、他の機能的構成要素から当該他の機能的構成要素の動作の情報を取得し、取得した情報を用いてそれぞれの機能を実現する。上記機能的構成要素はそれぞれ、他の機能的構成要素の動作と連携、協調及び/又は協働して動作することができる。例えば、上記機能的構成要素は、入力装置400、第一アーム130のアーム駆動装置MA1~MA6、第二アーム140のアーム駆動装置MB1~MB6、第一ハンド150のハンド駆動装置MC、負圧発生装置155、搬送装置320a及び320b、貼付装置332及び撮像装置170のうちの少なくとも1つの装置を動作させつつ、他の少なくとも1つの装置を動作させることができる。上記機能的構成要素を統括する機能的構成要素が設けられてもよい。
【0052】
記憶部559は、種々の情報を記憶し、記憶している情報の読み出しを可能にする。記憶部559は、ロボット100が組み立てし得る段ボールケースのリストを記憶し、リスト内の各段ボールケースについて、種類、形状、サイズ及び/又は規格等の段ボールケースの構成を特定するための情報を記憶する。また、記憶部559は、撮像装置170によって撮像された画像を記憶してもよい。記憶部559は、プログラムを記憶してもよい。
【0053】
入力処理部551は、入力装置400から取得される指令及び情報を、制御装置500の各機能的構成要素に出力する。
【0054】
撮像制御部557は、撮像装置170の動作を制御する。例えば、撮像制御部557は、ロボット100が載置台200上の折り畳み段ボールケースAを組み立てる直前等の所定のタイミングで撮像装置170に撮像させてもよい。これにより、制御装置500は、第一ハンド150に対する折り畳み段ボールケースAの3次元位置を検出し、当該3次元位置に基づきロボット100を制御することができる。
【0055】
画像処理部558は、撮像装置170によって撮像された画像を用いて、当該画像に写し出される折り畳み段ボールケースAの撮像装置170に対する3次元位置を検出する。画像処理部558は、当該3次元位置をアーム制御部552等に出力する。
【0056】
アーム制御部552は、アーム130及び140のアーム駆動装置MA1~MA6及びMB1~MB6の動作を制御する。アーム制御部552は、載置台200上の折り畳み段ボールケースAの構成及び画像処理部558の検出結果等に基づき、アーム駆動装置MA1~MA6及びMB1~MB6を制御することで、アーム130及び140に、折り畳み段ボールケースAの組み立てに対応する動作をさせる。また、アーム制御部552は、アーム駆動装置MA1~MA6及びMB1~MB6のサーボモータから回転量等の動作量の情報を取得し、当該動作量に基づき、アーム130及び140の各リンク、並びに、ハンド150及び160の位置、姿勢、移動方向及び移動速度等を含む位置姿勢情報を検出する。アーム制御部552は、当該位置姿勢情報をハンド制御部553に出力する。さらに、アーム制御部552は、位置姿勢情報をフィードバック情報として用いることで、ハンド150及び160の位置及び姿勢等が目的の位置及び姿勢等となるように、アーム駆動装置MA1~MA6及びMB1~MB6の動作を制御する。
【0057】
ハンド制御部553は、第一ハンド150のハンド駆動装置MCの動作を制御する。ハンド制御部553は、第一ハンド150の位置姿勢情報に基づき、ハンド駆動装置MCを制御することで、折り畳み段ボールケースAの組み立てに対応するように、保持部153及び吸着装置154の向きを制御する。また、ハンド制御部553は、ハンド駆動装置MCのサーボモータから回転量等の動作量の情報を取得し、当該動作量に基づき、保持部153及び吸着装置154の向き等を含む吸着姿勢情報を検出する。さらに、ハンド制御部553は、吸着姿勢情報をフィードバック情報として用いることで、ハンド駆動装置MCの動作を制御する。
【0058】
吸着制御部554は、負圧発生装置155の動作を制御する。例えば、吸着制御部554は、画像処理部558によって検出される3次元位置と、第一ハンド150の位置姿勢情報と、吸着装置154の吸着姿勢情報とに基づき、所定のタイミングで負圧発生装置155に起動させ、吸着装置154に段ボールケースAを吸着させる。所定のタイミングは、吸着装置154が段ボールケースAに近接又は接触したタイミングであってもよい。
【0059】
搬送制御部555は、搬送装置320a及び320bの動作を制御する。例えば、搬送制御部555は、ロボット100が折り畳み段ボールケースAの組み立て作業を実行中、搬送装置320a及び320bを連続的に動作させてもよい。
【0060】
封緘制御部556は、封緘センサ331の検知信号に基づき、封緘装置330の貼付装置332の動作を制御する。例えば、封緘制御部556は、封緘センサ331が函状段ボールケースAを検知すると、貼付装置332を動作させ当該函状段ボールケースAの底部にテープを貼り付け封緘させてもよい。
【0061】
<ロボットシステムの動作>
実施の形態に係るロボットシステム1の動作を説明する。図5は、実施の形態に係るロボットシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。図6図13図15図17及び図18は、実施の形態に係るロボットシステム1の動作中におけるロボット100の各状態の一例を示す斜視図である。図14及び図16は、図13及び図15の一部を拡大した側面図である。
【0062】
図5に示すように、まず、入力装置400が、操作者等のユーザによって入力される、種類、形状、サイズ及び/又は規格等の組み立て対象の段ボールケースAの構成の情報を受け付け、制御装置500に出力する(ステップS101)。次いで、入力装置400は、ユーザによって入力される段ボールケースAの組み立ての実行指令を受け付け、制御装置500に出力する(ステップS102)。制御装置500は、ステップS101で受け付けた段ボールケースAの構成に基づき、以下のステップでの処理を実行する。
【0063】
次いで、図2及び図5に示すように、ステップS103において、載置台200の載置面210上に、複数の折り畳み段ボールケースAが、積み重ねられた状態で載置される。折り畳み段ボールケースAは、ユーザの手作業、ユーザによって操作される他の搬送装置、又は、自動運転する他の搬送装置によって載置されてもよい。なお、制御装置500は、載置面210上の折り畳み段ボールケースAの有無を、上記他の搬送装置から受信する信号、撮像装置170によって撮像される画像、又は、載置面210等に設けられたセンサの検知信号等に基づき検出してもよい。上記センサは、封緘センサ331と同様のセンサであってもよい。
【0064】
次いで、ステップS104おいて、制御装置500は、撮像装置170に載置面210を撮像させる。撮像された画像は、載置面210上の折り畳み段ボールケースAの像を写し出す。次いで、ステップS105において、制御装置500は、撮像された画像を用いて、撮像装置170に対する載置面210上の最上段の折り畳み段ボールケースAの3次元位置を検出する。これにより、制御装置500は、第一ハンド150に対する最上段の折り畳み段ボールケースAの3次元位置を取得する。
【0065】
次いで、図5及び図6に示すように、ステップS106おいて、制御装置500は、ステップS105で取得された3次元位置に基づき、第一アーム130及び第一ハンド150を動作させ、吸着装置154を最上段の折り畳み段ボールケースA上へ移動させる。具体的には、制御装置500は、折り畳み段ボールケースAの側部A1上の所定の吸着位置に吸着装置154を近接又は接触させる。このとき、制御装置500は、連結回動軸152の方向が第一方向D1と略平行な水平方向であり且つ吸着装置154のノズルが下方に向くように、第一ハンド150の取付基部151及び保持部153の姿勢を制御する。
【0066】
さらに、制御装置500は、第二アーム140を動作させることで、第二ハンド160を最上段の折り畳み段ボールケースAの側部A2の上方の所定の待機位置に移動させる。このとき、制御装置500は、第二ハンド160の姿勢を制御することで、側方部162の当接面162aを第一方向D1Aへ水平方向に向け、当接面162aの長手方向を側部A1及びA2の境界C12と略平行な水平方向に向け、下方部163の主面163aを下方に向ける。下方部163は、当接面162aに対して第一方向D1Bに位置する。
【0067】
これに限定されないが、本実施の形態では、所定の吸着位置は、段ボールケースAの4つの側部A1~A4のうちの側部A1上の位置であり、第二方向D2に沿って延びる境界C12の近傍の位置である。側部A1及びA2は、最上段の折り畳み段ボールケースAにおいて上方に面し且つ互いに隣り合う側部であり、側部A2は、側部A1に対して第一方向D1Bに位置する。このような所定の吸着位置では段ボールケースAの剛性が高いため、当該位置で段ボールケースAを吸着する場合、吸着装置154の吸着力を低くすることが可能である。所定の吸着位置及び所定の待機位置は、段ボールケースAの構成に対応して予め決定され、記憶部559に記憶されている。制御装置500は、ステップS101で受け付けた段ボールケースAの構成に対応する所定の吸着位置及び所定の待機位置を、記憶部559から探索し用いる。
【0068】
ここで、函状段ボールケースAにおいて、側部A1及びA3は、互いに対向し当該段ボールケースAの長側部を構成し、側部A2及びA4は互いに対向し当該段ボールケースAの短側部を構成する。側部A1~A4を囲む周方向において、長側部は短側部よりも長い。なお、上記周方向において、側部A1及びA3の長さと側部A2及びA4の長さとが同じであってもよい。
【0069】
制御装置500は、第一ハンド150の吸着装置154の移動と第二ハンド160の移動とについて、互いの少なくとも一部が時間的にラップするように並行して実行してもよく、それぞれを順番に実行してもよい。
【0070】
次いで、図5に示すように、ステップS107おいて、制御装置500は、最上段の折り畳み段ボールケースAを吸着し開函する。制御装置500は、吸着装置154が所定の吸着位置に到着した後、負圧発生装置155を起動させ、吸着装置154に負圧を発生させる。起動タイミングは、到着前、到着と同時、及び到着後のいずれであってもよい。そして、図7に示すように、制御装置500は、吸着装置154による折り畳み段ボールケースAの吸着を検出すると、第一ハンド150を上昇させる。制御装置500は、吸着装置154での負圧の発生を検出することで、折り畳み段ボールケースAの吸着を検出してもよい。制御装置500は、負圧発生装置155の負荷の変化、又は、吸着装置154、配管若しくは負圧発生装置155に設けられた圧力センサ(図示せず)の検知値等に基づき、吸着装置154での負圧の発生を検出してもよい。
【0071】
制御装置500は、第一ハンド150が第一の所定の高さ位置まで上昇するまで、第一ハンド150と一緒に第二ハンド160も上昇させる。さらに、図8に示すように、第一の所定の高さ位置への到達後、制御装置500は、第一ハンド150を上昇させつつ、第二ハンド160を下降させる。下方部163は、折り畳み段ボールケースAの側部A2に当接し下方へ押し下げて境界C12で山折りし、折り畳み段ボールケースAを開函させる。下方部163の主面163aの長手方向は境界C12と略平行な水平方向であるため、境界C12での折り曲げがスムーズ且つ正確である。例えば、第一の所定の高さ位置は、折り畳み段ボールケースAが、開函を開始したときに下方の2段目の折り畳み段ボールケースAと接触しないような高さ位置とされてもよい。
【0072】
さらに、図9に示すように、第一ハンド150が第二の所定の高さ位置まで上昇すると、制御装置500は第二ハンド160を第一方向D1Aへ移動させる。側方部162は、段ボールケースAの側部A2に当接し第一方向D1Aへ押し込み、側部A2を直立状態に近づける。制御装置500は、第一ハンド150及び第二ハンド160の位置関係に基づき、側部A2が側部A1と略垂直になるまで、第二ハンド160の移動を継続する。つまり、制御装置500は、側方部162を側部A2に押し当てることで、側部A1に対して側部A2を境界C12で折り曲げる。このとき、制御装置500は、側部A2の折り曲げ角度が目的の折り曲げ角度となるように側部A2を折り曲げてもよく、目的の折り曲げ角度を超えるように折り曲げてもよい。目的の折り曲げ角度は、側部A2と側部A1とが垂直になるときの側部A2の折り曲げ角度であり、目的の折り曲げ角度を超える折り曲げ角度は、側部A2と側部A1とがなす角度が鋭角になるときの側部A2の折り曲げ角度である。上述の動作により、段ボールケースAは矩形筒状に開函された状態となる。例えば、第二の所定の高さ位置は、開函状態の段ボールケースAが2段目の折り畳み段ボールケースAと接触しないような高さ位置とされてもよい。ここで、側部A2は第五被折り曲げ部の一例である。
【0073】
制御装置500は、第一ハンド150の上昇と、第二ハンド160の下降と、第二ハンド160の第一方向D1Aへの移動とついて、それぞれを順番に実行してもよく、互いの少なくとも一部が時間的にラップするように並行して実行してもよい。
【0074】
次いで、図5に示すように、ステップS108において、制御装置500は、開函状態の段ボールケースAの底部A5の底フラップA51~A54のうちの側方に位置する底フラップA52及びA54を折り込む。つまり、制御装置500は、第二折り曲げ処理及び第三折り曲げ処理を実行する。
【0075】
底フラップA51~A54は、折り込まれることで段ボールケースAの底部A5を形成する。折り曲げ前の底フラップA51~A54はそれぞれ、側部A1~A4から同方向に延びる。底フラップA51及びA53は底部A5の長辺のフラップであり、底フラップA52及びA54は底部A5の短辺のフラップである。また、上フラップA61~A64は、折り込まれることで段ボールケースAの頂部A6を形成する。折り曲げ前の上フラップA61~A64はそれぞれ、側部A1~A4から底フラップA51~A54と反対方向に延びる。例えば、ステップS101~S107において、底フラップA51~A54は第二方向D2Aに延び、上フラップA61~A64は第二方向D2Bに延びる。底フラップA51及びA53の一方は第一被折り曲げ部の一例であり、底フラップA51及びA53の他方は第二被折り曲げ部の一例であり、底フラップA54は第三被折り曲げ部の一例であり、底フラップA52は第四被折り曲げ部の一例である。
【0076】
まず、図10に示すように、制御装置500は第二折り曲げ処理を実行する。制御装置500は、第一ハンド150を第一方向D1Aへ移動させることで、底フラップA54を側方補助部材350の側方当接部351に当接させ押し込む。これにより、底フラップA54は、その先端を第一方向D1Bに向けるように折り込まれる。側方当接部351が延びる方向は、底フラップA54と側部A4との境界C45が延びる方向と同様の方向であるため、側方当接部351は底フラップA54を境界C45に沿ってスムーズ且つ正確に折り込むことができる。また、制御装置500は、側方部162の当接面162aを側部A2に当接させつつ、第二ハンド160を第一ハンド150と同様に移動させる。これにより、底フラップA54の折り込み時、段ボールケースAの変形が抑えられる。
【0077】
さらに、図11に示すように、制御装置500は第三折り曲げ処理を実行する。制御装置500は、第六軸S6b(図2参照)を中心に第二ハンド160を回動させることで、側方部162の当接面162aを底フラップA52に当接させ、当接面162aの向きを第一方向D1Aから第二方向D2Bに変える。これにより、側方部162は、底フラップA52の先端を第一方向D1Aに向けるように底フラップA52を折り込む。なお、制御装置500は、当接面162aの位置を調整するために、第二ハンド160を移動させてもよい。
【0078】
制御装置500は、第二折り曲げ処理及び第三折り曲げ処理について、それぞれを順番に実行してもよく、互いの少なくとも一部が時間的にラップするように並行して実行してもよい。
【0079】
次いで、図5に示すように、ステップS109において、制御装置500は、開函状態の段ボールケースAの底部A5の上下方向に位置する底フラップA51及びA53を折り込む。つまり、制御装置500は第一折り曲げ処理を実行する。
【0080】
まず、図12に示すように、制御装置500は、第二ハンド160を回動させることで、側方部162の当接面162aの向きを第二方向D2Bから第一方向D1Aに変え、当接面162aを段ボールケースAの側部A2に当接させる。さらに、制御装置500は、第一ハンド150及び第二ハンド160を移動させることで、底フラップA53を下方補助部材220の下方当接部221及び222の上方に位置させる。
【0081】
次いで、図13及び図14に示すように、制御装置500は、第一ハンド150を下降させることで、底フラップA53を下方当接部221及び222に当接させて押し込み、底フラップA53の先端を上方に向けるように底フラップA53を折り曲げる。第二下方当接部222が延びる方向は、底フラップA53と側部A3との境界C35が延びる方向と同様であり、底フラップA54が折り曲げられる方向と交差する方向である。このため、第二下方当接部222は底フラップA53を境界C35に沿ってスムーズ且つ正確に折り曲げることが可能である。
【0082】
次いで、図15及び図16に示すように、制御装置500は、上記下降を停止し、第一ハンド150の保持部153を回動させつつ、第一ハンド150を第二方向D2Aに移動させる。このとき、段ボールケースAは、上フラップA61~A64を上方に向けて起立するように姿勢を変えつつ、第二方向D2Aに移動させられる。底フラップA53は、下方当接部221又は222に押しあてられ、さらに折り込まれる。底フラップA51は、上方補助部材340の上方当接部341に当接して押し込まれ、底フラップA51の先端を底フラップA53に向けるように折り曲げられる。つまり、底フラップA51及びA53を上方当接部341及び下方当接部221又は222に当接させつつ保持部153が回動することで、底フラップA51及びA53が折り曲げられる。このとき、上方当接部341及び第二下方当接部222は、連結回動軸152の方向に延びる。上方当接部341は、保持部153の回動方向で下方当接部221及び222から離れて位置している。
【0083】
次いで、図17に示すように、制御装置500は、上記移動を停止し、保持部153の回動を継続しつつ、第一ハンド150を下降させる。このとき、段ボールケースAは起立状態で下方に移動し、底フラップA51は、上方当接部341に押しあてられ、さらに折り込まれる。制御装置500は、保持部153が直立状態なると回動及び下降を停止する。このとき、段ボールケースAが、底フラップA51及びA53が下方にして直立し、函状段ボールケースを形成する。
【0084】
次いで、図5及び図18に示すように、ステップS110において、制御装置500は、第一ハンド150を第一方向D1Aへ移動させ、函状段ボールケースAを搬送装置320a及び320bの間に移動させる。このとき、制御装置500は、函状段ボールケースAを第一下方当接部221上に載せた状態で移動させてもよい。
【0085】
次いで、ステップS111において、封緘装置330は、搬送装置320a及び320bによって搬送された函状段ボールケースAの底フラップA51及びA53の継ぎ目にテープを貼り付け、函状段ボールケースAの底部A5を封緘する。
【0086】
上述のように、実施の形態に係るロボットシステム1は、ステップS101及びS102で入力された段ボールケースAの構成及び指令に対応してステップS103~S111の処理を実行することによって、ロボット100を用いた折り畳み段ボールケースAの組み立て、つまり製函を自動的に実行する。
【0087】
<効果等>
実施の形態に係るロボットシステム1は、段ボールケースAを保持する第一ハンド150と、第一ハンド150を移動させる第一アーム130と、第一ハンド150に保持されている状態の段ボールケースAの底フラップA51又はA53が折り曲げられる第一折り曲げ処理のときに、底フラップA51又はA53に当接される上方当接部341又は下方当接部221及び222とを備える。さらに、第一ハンド150は、第一アーム130と接続される取付基部151と、取付基部151に対して回動可能であり且つ段ボールケースAを付着させることで保持する保持部153とを有する。第一ハンド150及び第一アーム130は、第一折り曲げ処理のときに底フラップA51又はA53を上方当接部341又は下方当接部221若しくは222に当接させつつ保持部153を回動させることで、底フラップA51又はA53を折り曲げるように構成される。
【0088】
上記構成によると、ロボットシステム1は、第一ハンド150を移動し且つ保持部153を回動することで、段ボールケースAの底フラップA51又はA53を上方当接部341又は下方当接部221若しくは222に押し当てて折り曲げることができる。よって、底フラップA51又はA53を折り曲げるための第一ハンド150及び第一アーム130の動作を簡略化することが可能になる。さらに、底フラップA51又はA53を折り曲げるための構成は、第一アーム130と、回動可能である保持部153を有する第一ハンド150と、上方当接部341又は下方当接部221若しくは222とを含めばよく、簡略化を可能にする。また、上方当接部341並びに下方当接部221及び222は、第一方向D1に延長することができるため、第一方向D1に長い底フラップA51又はA53に対して安定した折り曲げを可能にする。
【0089】
なお、上方当接部341又は第二下方当接部222は、第一折り曲げ処理のときの保持部153の連結回動軸152の方向に延びてもよい。上記構成によると、上方当接部341又は第二下方当接部222は、保持部153の回動方向と略垂直な方向の折り目を形成して、底フラップA51又はA53を折り曲げることができる。例えば、第一折り曲げ処理のとき、連結回動軸152の方向と上方当接部341又は第二下方当接部222が延びる方向とを同様にするように、第一ハンド150の位置及び姿勢を制御することで、底フラップA51又はA53のスムーズ且つ正確な折り曲げが可能になる。
【0090】
また、保持部153の連結回動軸152の方向は、取付基部151と第一アーム130との接続方向に対して交差する方向であってもよい。上記構成によると、第一ハンド150は、第六軸S6aを中心とする第一ハンド150の回動方向と交差する方向に保持部153を回動させることができる。よって、保持部153の位置及び姿勢の自由度が向上する。
【0091】
また、保持部153は、取付基部151に対して少なくとも90°の回動角度にわたって回動可能であるように構成されてもよい。上記構成によると、第一ハンド150は、保持部153の回動のみで、保持部153で保持している段ボールケースAの姿勢を、例えば側部A1を水平状態から鉛直状態にするように、変化させることができる。よって、保持部153によって保持される段ボールケースAの位置及び姿勢の自由度が向上する。
【0092】
また、保持部153は、段ボールケースAを吸着する吸着装置154を有してもよい。上記構成によると、保持部153は、吸着により段ボールケースAを付着させ保持することができる。よって、保持部153は、段ボールケースAの表面に与える損傷等の影響を低減した保持を可能にする。
【0093】
また、実施の形態に係るロボットシステム1は、第一折り曲げ処理のときの保持部153の回動方向で互いから離れて配置された上方当接部341並びに下方当接部221及び222を備えてもよい。さらに、段ボールケースAは、互いに対向して配置された底フラップA51及びA53を含んでもよい。そして、第一ハンド150及び第一アーム130は、第一折り曲げ処理のときに、底フラップA51を上方当接部341に当接させ、底フラップA53を下方当接部221又は222に当接させることで、底フラップA51及びA53を折り曲げるように構成されてもよい。上記構成によると、保持部153を回動させて底フラップA51及びA53それぞれを上方当接部341及び下方当接部221又は222に押し当てることで、底フラップA51及びA53の折り曲げが可能である。よって、底フラップA51及びA53を折り曲げるための構成並びに第一ハンド150及び第一アーム130の動作の簡略化が可能である。
【0094】
また、実施の形態に係るロボットシステム1は、第一ハンド150に保持されている状態の段ボールケースAの底フラップA54が折り曲げられる第二折り曲げ処理のときに、底フラップA54が当接される側方当接部351を備えてもよい。さらに、底フラップA54は、底フラップA51及びA53が折り曲げられる方向と交差する方向に折り曲げられてもよい。そして、第一ハンド150及び第一アーム130は、第二折り曲げ処理のときに、底フラップA54を側方当接部351に押し付けるように段ボールケースAを移動させることで、底フラップA54を折り曲げるように構成されてもよい。上記構成によると、底フラップA54を側方当接部351に押し付ける方向に第一ハンド150を移動させることで、底フラップA54の折り曲げが可能である。よって、底フラップA54を折り曲げるための構成並びに第一ハンド150及び第一アーム130の動作の簡略化が可能である。
【0095】
なお、側方当接部351は、底フラップA54が折り曲げられる方向と交差する方向に延びてもよい。上記構成によると、側方当接部351は、側方当接部351が延びる方向の折り目を形成して、底フラップA54を折り曲げることができる。折り目の方向が、底フラップA54が折り曲げられる方向と交差するため、底フラップA54のスムーズ且つ正確な折り曲げが可能になる。
【0096】
また、実施の形態に係るロボットシステム1は、第一ハンド150と、第一アーム130と、第二ハンド160と、第二アーム140とを備えてもよい。さらに、段ボールケースAは、底フラップA51又はA53が折り曲げられる方向と交差する方向に折り曲げられる底フラップA52を含んでもよい。そして、第二ハンド160及び第二アーム140は、第一ハンド150に保持されている状態の段ボールケースAの底フラップA52が折り曲げられる第三折り曲げ処理のときに、第二ハンド160を底フラップA52に当接させつつ回動させることで、底フラップA52を折り曲げるように構成されてもよい。なお、ロボットシステム1は、同軸上で回動可能であるように配置された第一アーム130及び第二アーム140を有するロボット本体120を備え、ロボット本体120は、同軸双腕ロボットを構成してもよい。
【0097】
上記構成によると、底フラップA52に当接する第二ハンド160を回動させることで、底フラップA52の折り曲げが可能である。よって、底フラップA52を折り曲げるための構成並びに第二ハンド160及び第二アーム140の動作の簡略化が可能である。また、同軸双腕ロボットであるロボット本体120は、作業に要する空間の省スペース化を可能にする。
【0098】
また、段ボールケースAは、折り曲げ処理を受けることで有底筒形状を形成するように構成され、第二ハンド160及び第二アーム140は、第二ハンド160を段ボールケースAに当接させることで、段ボールケースAに筒形状を形成させ維持させる補助をするように構成されてもよい。上記構成によると、段ボールケースAを筒形状に開函することが容易になる。さらに、筒形状の段ボールケースAが、折り曲げ処理のときに変形することが抑制される。よって、目的とする位置でのスムーズ且つ正確なフラップの折り曲げが可能になる。
【0099】
なお、段ボールケースAは、折り曲げ処理を受けることで有底角筒形状を形成するように構成され、第一ハンド150及び第一アーム130は、段ボールケースAを保持し上昇させることで段ボールケースAに角筒形状を形成させ、第二ハンド160及び第二アーム140は、段ボールケースAに角筒形状を形成させるとき、段ボールケースAに側方から第二ハンド160を当接させる又は押し当てることで上記補助を行うように構成されてもよい。上記構成によると、段ボールケースAを角筒形状に開函することが容易になる。
【0100】
また、第二ハンド160及び第二アーム140は、第二ハンド160を段ボールケースAに押し付けることで、角筒形状を形成する段ボールケースAの第五被折り曲げ部としての側部A2を目的の折り曲げ角度以上に折り曲げるように構成されてもよい。上記構成によると、目的の折り曲げ角度以上で折り曲げられた側部A2は、目的の折り曲げ角度を維持しやすくなり、それにより、段ボールケースAは、目的とする開函状態の形状を維持しやすくなる。よって、底フラップA51~A54の折り曲げ処理が円滑になる。
【0101】
また、段ボールケースAは、折り曲げ処理を受けることで有底筒形状を形成するように構成され、底フラップA51~A54は、折り曲げ処理を受けることで段ボールケースAの底部A5を形成してもよい。上記構成によると、ロボットシステム1は、折り畳み段ボールケースAを、上部が開放した函状段ボールケースとして組み立てることができる。函状段ボールケースAは、底部A5の封緘を受けるだけで物品の詰め込み等に用いられることができる。
【0102】
<その他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態の例について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0103】
例えば、実施の形態では、ロボット本体120は、水平多関節型ロボットであったが、これに限定されない。例えば、ロボット本体120は、垂直多関節型ロボット、極座標型ロボット、円筒座標型ロボット、直角座標型ロボット、又はその他のロボットとして構成されてもよい。さらに、第一ハンド150及び第二ハンド160は、水平多関節型の第一アーム130及び第二アーム140に搭載されていたが、これに限定されない。第一ハンド150及び第二ハンド160は、互いに異なる型式のアームに搭載されてもよい。
【0104】
また、実施の形態では、ロボット本体120は、第一アーム130及び第二アーム140を備える双腕ロボットとして構成されていたが、これに限定されない。例えば、ロボット本体120は、1つのアームのみを備えてもよく、3つ以上のアームを備えてもよい。例えば、第一アーム130及び第二アーム140は、異なるロボット本体に搭載されてもよい。
【0105】
また、実施の形態では、第一アーム130及び第二アーム140は、互いに接続された5つのリンンクを有するように構成されていたが、これに限定されず、それぞれのリンクの数量は、4つ以下であってもよく、6つ以上であってもよい。
【0106】
また、実施の形態では、吸着装置154は、負圧を発生することで物体を吸着するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、吸着装置154は、粘着力により物体を付着させるように構成されてもよい。又は、吸着装置154は、可撓性を有するゴム又は樹脂等で構成される吸盤を備え、吸盤を押し付けることで物体を吸着してもよい。さらに、吸着力の増加のために、吸盤の吸着面の空気を吸い出す機構が設けられてもよい。
【0107】
また、実施の形態では、載置面210は、載置台200に対して固定されていたが、これに限定さない。例えば、載置台200は、載置面210を昇降する昇降装置を備えてもよい。この場合、制御装置500が昇降装置を制御し、載置面210上の複数の折り畳み段ボールケースAの組み立ての進行と並行して、載置面210を上昇させてもよい。これにより、ロボット本体120に対する最上段の折り畳み段ボールケースAの高さ位置を、一定の位置に維持することが可能である。よって、ロボット本体120は、第一アーム130及び第二アーム140の上下方向の動作範囲の制限に関係なく、載置面210上の全ての折り畳み段ボールケースAを組み立て処理することができる。
【0108】
また、実施の形態では、制御装置500は、撮像装置170によって撮像された画像を用いて、第一ハンド150に対する載置面210上の折り畳み段ボールケースAの3次元位置を検出していたが、これに限定されない。例えば、第一ハンド150等に、第一ハンド150と折り畳み段ボールケースAとの距離を計測するセンサが設けられてもよい。制御装置500は、当該センサの計測距離を用いて、第一ハンド150と折り畳み段ボールケースAとの位置関係を検出してもよい。上記センサの例は、光電センサ、レーザセンサ及び超音波センサ等である。
【0109】
また、実施の形態では、段ボールケースAの底部A5を形成する底フラップの数量は、4つに限定されず、1つ以上3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。このような場合、ロボットシステム1は、上方補助部材340、下方補助部材220、側方補助部材350並びに第二ハンド160の側方部162及び下方部163等を適宜選択して用いて、折り畳み段ボールケースAを組み立ててもよい。
【0110】
また、実施の形態では、制御装置500は、ロボット100と、搬送装置320a及び320bと、封緘装置330とを制御するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、搬送装置320a及び320bと封緘装置330との少なくとも1つは、自身が備える制御装置等の他の制御装置によって制御されてもよい。これにより、汎用的な搬送装置及び封緘装置の使用が可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 ロボットシステム
120 ロボット本体
130 第一アーム
140 第二アーム
150 第一ハンド
151 取付基部
152 連結回動軸
153 保持部
154 吸着装置
160 第二ハンド
221,222 下方当接部(第一当接部、第二当接部)
341 上方当接部(第一当接部、第二当接部)
351 側方当接部(第三当接部)
500 制御装置
A 段ボールケース(物品)
A2 側部(第五被折り曲げ部)
A51,A53 底フラップ(第一被折り曲げ部、第二被折り曲げ部)
A52 底フラップ(第四被折り曲げ部)
A54 底フラップ(第三被折り曲げ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18