(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】双方向レベルシフト回路
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0185 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
H03K19/0185 210
(21)【出願番号】P 2019141873
(22)【出願日】2019-08-01
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 智章
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10181852(US,B1)
【文献】特開2014-090288(JP,A)
【文献】特開2021-019267(JP,A)
【文献】米国特許第10566975(US,B1)
【文献】米国特許第10659051(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/00ー19/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号端子と、
第2信号端子と、
第1電源電圧が印加される第1電源端子と、
第2電源電圧が印加される第2電源端子と、
前記第1電源端子と前記第1信号端子との間に接続される第1プルアップ抵抗と、
前記第2電源端子と前記第2信号端子との間に接続される第2プルアップ抵抗と、
前記第1プルアップ抵抗の両端間に接続される第1トランジスタと、
前記第2プルアップ抵抗の両端間に接続される第2トランジスタと、
前記第1信号端子と前記第2信号端子との間に配置される第3トランジスタと、
前記第3トランジスタの制御端を駆動する駆動回路と、
前記第1トランジスタの制御端を駆動する第1駆動信号を生成する第1ワンショット回路と、
前記第2トランジスタの制御端を駆動する第2駆動信号を生成する第2ワンショット回路と、
を備え、
前記第2ワンショット回路は、前記第1信号端子の信号の立ち上りに基づき所定の第2時間幅だけオンレベルとした前記第2駆動信号のワンショットパルスを生成し、前記第1信号端子の信号の立ち下りに基づきオフレベルの前記第2駆動信号を生成し、
前記第1ワンショット回路は、
第1CR回路を含み、前記第2信号端子の信号の立ち上りに基づき前記第1CR回路の時定数に応じた所定の第1時間幅だけオンレベルとした前記第1駆動信号のワンショットパルスを生成するワンショットパルス生成部と、
前記第1信号端子の信号の立ち下りを検出し、当該検出結果に基づき前記第1CR回路の時定数を小さく変更する立下り検出部と、を有する、
双方向レベルシフト回路。
【請求項2】
前記立下り検出部は、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETによるCMOS構成を有した第1インバータであり、
pチャネルMOSFETは、nチャネルMOSFETに比べてVgsの閾値を低くしている、請求項1に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項3】
前記立下り検出部は、前記第1信号端子の信号と基準電圧を比較するコンパレータである、請求項1に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項4】
前記第1ワンショット回路は、前記第2信号端子の信号の立ち上りの際に、所定期間だけ前記立下り検出部の検出結果をマスキングするマスク信号を生成するマスク生成部をさらに有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項5】
前記マスク生成部は、前記所定期間を時定数により決定する第2CR回路を有する、請求項4に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項6】
前記マスク生成部は、
前記第2信号端子が電気的に接続される一方の入力端と、前記第2CR回路の出力端が接続される他方の入力端と、を有するNAND回路と、
前記第2信号端子が電気的に接続される入力端と、前記第2CR回路の入力端に接続される出力端と、を有する第2インバータと、
をさらに有する、請求項5に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項7】
前記ワンショットパルス生成部は、前記第1CR回路に含まれる抵抗の両端間に接続されるスイッチを有し、
前記スイッチは、前記立下り検出部の検出結果に応じてオンオフを制御される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項8】
前記ワンショットパルス生成部は、
前記第2信号端子が電気的に接続される一方の入力端と、前記第1CR回路の出力端に接続される他方の入力端と、を有するAND回路と、
前記第2信号端子が電気的に接続される入力端と、前記第1CR回路の入力端に接続される出力端と、を有する第3インバータと、
前記AND回路の出力端に接続される入力端を有する第4インバータと、
をさらに有する、請求項7に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項9】
前記第2電源電圧は、前記第1電源電圧よりも高く、
前記第1ワンショット回路は、前記第1電源電圧を電源として供給され、
前記第1ワンショット回路は、前記第2信号端子の信号に対して前記第2電源電圧から前記第1電源電圧へのレベルシフトを行うレベルシフト部を前記ワンショットパルス生成部の前段側にさらに有する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項10】
前記第1ワンショット回路は、前記レベルシフト部と前記ワンショットパルス生成部との間に配置されるシュミットトリガをさらに有する、請求項9に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項11】
チップにおいて、前記第1CR回路に含まれる複数の抵抗は、互いに隣接して配置されて第1グループを構成する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項12】
チップにおいて、前記第1CR回路に含まれる第1キャパシタと、前記第2CR回路に含まれる第2キャパシタは、隣接して配置されて第2グループを構成する、請求項5または請求項6に記載の双方向レベルシフト回路。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の双方向レベルシフト回路と、
前記第1電源電圧により動作する第1システムと、
前記第2電源電圧により動作する第2システムと、
を備えるデータ通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向レベルシフト回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる電源電圧で動作するシステムが存在する場合には、システム間で信号を双方向に伝達するために双方向レベルシフト回路が用いられる。双方向レベルシフト回路の一例は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、双方向レベルシフト回路には、高周波数の入力信号が入力された場合に、出力信号の応答性を高めることが求められる。
【0005】
上記状況に鑑み、本発明は、高周波数の入力信号に対する出力信号の応答性を高めることを可能とする双方向レベルシフト回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る双方向レベルシフト回路は、
第1信号端子と、
第2信号端子と、
第1電源電圧が印加される第1電源端子と、
第2電源電圧が印加される第2電源端子と、
前記第1電源端子と前記第1信号端子との間に接続される第1プルアップ抵抗と、
前記第2電源端子と前記第2信号端子との間に接続される第2プルアップ抵抗と、
前記第1プルアップ抵抗の両端間に接続される第1トランジスタと、
前記第2プルアップ抵抗の両端間に接続される第2トランジスタと、
前記第1信号端子と前記第2信号端子との間に配置される第3トランジスタと、
前記第3トランジスタの制御端を駆動する駆動回路と、
前記第1トランジスタの制御端を駆動する第1駆動信号を生成する第1ワンショット回路と、
前記第2トランジスタの制御端を駆動する第2駆動信号を生成する第2ワンショット回路と、
を備え、
前記第2ワンショット回路は、前記第1信号端子の信号の立ち上りに基づき所定の第2時間幅だけオンレベルとした前記第2駆動信号のワンショットパルスを生成し、前記第1信号端子の信号の立ち下りに基づきオフレベルの前記第2駆動信号を生成し、
前記第1ワンショット回路は、
第1CR回路を含み、前記第2信号端子の信号の立ち上りに基づき前記第1CR回路の時定数に応じた所定の第1時間幅だけオンレベルとした前記第1駆動信号のワンショットパルスを生成するワンショットパルス生成部と、
前記第1信号端子の信号の立ち下りを検出し、当該検出結果に基づき前記第1CR回路の時定数を小さく変更する立下り検出部と、を有する構成としている(第1の構成)。
【0007】
また、上記第1の構成において、前記立下り検出部は、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETによるCMOS構成を有した第1インバータであり、pチャネルMOSFETは、nチャネルMOSFETに比べてVgsの閾値を低くしていることとしてもよい(第2の構成)。
【0008】
また、上記第1の構成において、前記立下り検出部は、前記第1信号端子の信号と基準電圧を比較するコンパレータであることとしてもよい(第3の構成)。
【0009】
また、上記第1から第3のいずれかの構成において、前記第1ワンショット回路は、前記第2信号端子の信号の立ち上りの際に、所定期間だけ前記立下り検出部の検出結果をマスキングするマスク信号を生成するマスク生成部をさらに有することとしてもよい(第4の構成)。
【0010】
また、上記第4の構成において、前記マスク生成部は、前記所定期間を時定数により決定する第2CR回路を有することとしてもよい(第5の構成)。
【0011】
また、上記第5の構成において、前記マスク生成部は、
前記第2信号端子が電気的に接続される一方の入力端と、前記第2CR回路の出力端が接続される他方の入力端と、を有するNAND回路と、
前記第2信号端子が電気的に接続される入力端と、前記第2CR回路の入力端に接続される出力端と、を有する第2インバータと、をさらに有することとしてもよい(第6の構成)。
【0012】
また、上記第1から第6のいずれかの構成において、前記ワンショットパルス生成部は、前記第1CR回路に含まれる抵抗の両端間に接続されるスイッチを有し、前記スイッチは、前記立下り検出部の検出結果に応じてオンオフを制御されることとしてもよい(第7の構成)。
【0013】
また、上記第7の構成において、前記ワンショットパルス生成部は、
前記第2信号端子が電気的に接続される一方の入力端と、前記第1CR回路の出力端に接続される他方の入力端と、を有するAND回路と、
前記第2信号端子が電気的に接続される入力端と、前記第1CR回路の入力端に接続される出力端と、を有する第3インバータと、
前記AND回路の出力端に接続される入力端を有する第4インバータと、をさらに有することとしてもよい(第8の構成)。
【0014】
また、上記第1から第8のいずれかの構成において、前記第2電源電圧は、前記第1電源電圧よりも高く、前記第1ワンショット回路は、前記第1電源電圧を電源として供給され、前記第1ワンショット回路は、前記第2信号端子の信号に対して前記第2電源電圧から前記第1電源電圧へのレベルシフトを行うレベルシフト部を前記ワンショットパルス生成部の前段側にさらに有することとしてもよい(第9の構成)。
【0015】
また、上記第9の構成において、前記第1ワンショット回路は、前記レベルシフト部と前記ワンショットパルス生成部との間に配置されるシュミットトリガをさらに有することとしてもよい(第10の構成)。
【0016】
また、上記第1から第10のいずれかの構成において、チップにおいて、前記第1CR回路に含まれる複数の抵抗は、互いに隣接して配置されて第1グループを構成することとしてもよい(第11の構成)。
【0017】
また、上記第5または第6の構成において、チップにおいて、前記第1CR回路に含まれる第1キャパシタと、前記第2CR回路に含まれる第2キャパシタは、隣接して配置されて第2グループを構成することとしてもよい(第12の構成)。
【0018】
また、本発明の別態様は、上記第1から第12のいずれかの構成とした双方向レベルシフト回路と、前記第1電源電圧により動作する第1システムと、前記第2電源電圧により動作する第2システムと、を備えるデータ通信システムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の双方向レベルシフト回路によれば、高周波数の入力信号に対する出力信号の応答性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】データ通信システムの一構成例を示す図である。
【
図2】双方向レベルシフト回路の一構成例を示す回路図である。
【
図3】ゲート駆動回路の一構成例を示す回路図である。
【
図4】
図3に示す双方向レベルシフト回路の信号端子への第1接続態様を示す回路図である。
【
図5】
図4に示す場合での各種信号の挙動の一例を示すタイミングチャートである。
【
図6】
図3に示す双方向レベルシフト回路の信号端子への第2接続態様を示す回路図である。
【
図7】
図6に示す場合での各種信号の挙動の一例を示すタイミングチャートである。
【
図8】本発明の例示的な実施形態に係る双方向レベルシフト回路と、その信号端子への第2接続態様を示す回路図である。
【
図9】
図8に示す場合での各種信号の挙動の一例を示すタイミングチャートである。
【
図10】第1ワンショット回路の一構成例を示す回路図である。
【
図11】第2ワンショット回路の一構成例を示す回路図である。
【
図12】立下り検出部としてのインバータの一構成例を示す図である。
【
図13】
図8に示す場合でのワンショット回路の動作も含めたタイミングチャートである。
【
図14】第1ワンショット回路の変形例を示す回路図である。
【
図15】第2ワンショット回路の変形例を示す回路図である。
【
図16】双方向レベルシフト回路のチップにおけるレイアウトの一例を示す模式図である。
【
図17】
図1に示したデータ通信システムの適用例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
<1.システム構成>
図1は、異なる電源電圧で動作するシステム間のデータ通信を行うデータ通信システムの一構成例を示す図である。
図1に示すデータ通信システムは、異なる電源電圧で動作するシステムコントローラ20A,20Bと、双方向レベルシフト回路1と、から構成される。
【0023】
システムコントローラ20Aは、電源電圧VCCAにより動作する。システムコントローラ20Bは、電源電圧VCCBにより動作する。電源電圧VCCBとVCCAの大小関係は、VCCB>VCCAである。例えば、VCCA=1.8Vであり、VCCB=3.3Vである。
【0024】
双方向レベルシフト回路1は、システムコントローラ20Aと20Bとの間での双方向の信号伝達を行う回路であり、半導体ICとして構成される。双方向レベルシフト回路1は、電源端子Tva,Tvbと、信号端子Tda,Tdbと、を有する。
【0025】
電源端子Tvaには電源電圧VCCAが印加され、電源端子Tvbには電源電圧VCCBが印加される。
【0026】
システムコントローラ20Aから20Bへデータを送信する場合は、データとしての入力信号が信号端子Tdaに入力され、データとしての出力信号が信号端子Tdbから出力される。この場合、入力信号は、VCCAからVCCBへレベルシフトされて出力信号となる。
【0027】
一方、システムコントローラ20Bから20Aへデータを送信する場合は、データとしての入力信号が信号端子Tdbに入力され、データとしての出力信号が信号端子Tdaから出力される。この場合、入力信号は、VCCBからVCCAへレベルシフトされて出力信号となる。
【0028】
<2.双方向レベルシフト回路の構成>
図2は、双方向レベルシフト回路1(
図1)の一構成例を示す回路図である。なお、
図2に示す双方向レベルシフト回路1は、後述する本発明の実施形態に係る構成の基本となる構成である。
【0029】
図2に示すように、双方向レベルシフト回路1は、nチャネルMOSFETで構成されるトランジスタN1と、ゲート駆動回路2と、ワンショット回路3A,3Bと、pチャネルMOSFETで構成されるトランジスタPA,PBと、抵抗RA,RBと、を有する。
【0030】
トランジスタN1は、信号端子TdaとTdbとの間に配置される。トランジスタN1のゲート以外の第1端は信号端子Tdaに接続される。トランジスタN1のゲート以外の第2端は信号端子Tdbに接続される。
【0031】
ゲート駆動回路2は、ゲート信号NGTを生成してトランジスタN1のゲートを駆動する。ゲート駆動回路2には、電源電圧VCCAが印加される。ゲート駆動回路2の構成についての詳細は、後述する。
【0032】
抵抗RAは、電源電圧VCCAが印加される電源端子Tvaと信号端子Tdaとの間に接続される。抵抗RAは、プルアップ抵抗であり、例えば10kΩである。
【0033】
トランジスタPAのソースは、電源端子Tvaと抵抗RAとが接続される接続ノードNDAに接続される。トランジスタPAのドレインは、信号端子Tdaに接続される。ワンショット回路3Aは、信号端子Tdbの信号の立ち上りに応じて所定時間幅の1つのパルスであるゲート信号PGTAをトランジスタPAのゲートに出力する。ワンショット回路3Aには、電源電圧VCCAが印加される。
【0034】
抵抗RBは、電源電圧VCCBが印加される電源端子Tvbと信号端子Tdbとの間に接続される。抵抗RBは、プルアップ抵抗であり、例えば10kΩである。
【0035】
トランジスタPBのソースは、電源端子Tvbと抵抗RBとが接続される接続ノードNDBに接続される。トランジスタPBのドレインは、信号端子Tdbに接続される。ワンショット回路3Bは、信号端子Tdaの信号の立ち上りに応じて所定時間幅の1つのパルスであるゲート信号PGTBをトランジスタPBのゲートに出力する。ワンショット回路3Bには、電源電圧VCCBが印加される。
【0036】
<3.ゲート駆動回路の構成>
図3は、ゲート駆動回路2の一構成例を示す回路図である。
図3に示すように、ゲート駆動回路2は、pチャネルMOSFETで構成されるトランジスタP21,P22,P231,P232,P24,P25,P26と、nチャネルMOSFETで構成されるN21,N22,N231,N232,N24,N25,N26と、を有する。
【0037】
トランジスタP21のソースは、電源電圧VCCAの印加端TVに接続される。トランジスタP21のドレインは、トランジスタN21のドレインに接続される。トランジスタN21のソースは、グランド電位の印加端TGに接続される。トランジスタP21のゲートとトランジスタN21のゲートとの接続ノードは、入力端TAinに接続される。入力端TAinは、信号端子Tdaに接続される。
【0038】
トランジスタP21のドレインとトランジスタN21のドレインとの接続ノードは、トランジスタP231のゲートに接続されるとともに、トランジスタN231のゲートに接続される。
【0039】
トランジスタP232のソースは、電源電圧VCCAの印加端TVに接続される。トランジスタP232のドレインは、トランジスタP231のソースに接続される。トランジスタP231のドレインは、トランジスタN232のドレインに接続される。トランジスタN232のソースは、グランド電位の印加端TGに接続される。
【0040】
トランジスタP22のソースは、電源電圧VCCAの印加端TVに接続される。トランジスタP22のドレインは、トランジスタN22のドレインに接続される。トランジスタN22のソースは、グランド電位の印加端TGに接続される。トランジスタP22のゲートとトランジスタN22のゲートとの接続ノードは、入力端TBinに接続される。入力端TBinは、信号端子Tdbに接続される。
【0041】
トランジスタP22のドレインとトランジスタN22のドレインとの接続ノードは、トランジスタP232のゲートとトランジスタN232のゲートとの接続ノードに接続される。
【0042】
トランジスタN231のドレインは、トランジスタP231のドレインとトランジスタN232のドレインとの接続ノードに接続される。トランジスタN231のソースは、グランド電位の印加端TGに接続される。
【0043】
トランジスタP24のソースは、電源電圧VCCAの印加端TVに接続される。トランジスタP24のドレインは、トランジスタN24のドレインに接続される。トランジスタN24のソースは、グランド電位の印加端TGに接続される。トランジスタP231のドレインとトランジスタN232のドレインとの接続ノードは、トランジスタP24のゲートとトランジスタN24のゲートとの接続ノードに接続される。
【0044】
トランジスタP25のソースは、電源電圧VCCAの印加端TVに接続される。トランジスタP25のドレインは、トランジスタN25のドレインに接続される。トランジスタN25のソースは、グランド電位の印加端TGに接続される。トランジスタP24のドレインとトランジスタN24のドレインとの接続ノードは、トランジスタP25のゲートとトランジスタN25のゲートとの接続ノードに接続される。
【0045】
トランジスタP26のソースは、電源電圧VCCAの印加端TVに接続される。トランジスタP26のドレインは、トランジスタN26のドレインに接続される。トランジスタN26のソースは、グランド電位の印加端TGに接続される。トランジスタP25のドレインとトランジスタN25のドレインとの接続ノードは、トランジスタP26のゲートとトランジスタN26のゲートとの接続ノードに接続される。
【0046】
トランジスタP26のドレインとトランジスタN26のドレインとの接続ノードは、出力端子Toutに接続される。出力端子ToutからトランジスタN1にゲート信号NGTが出力される。
【0047】
<4.信号伝達動作の第1例>
次に、先述したような構成である双方向レベルシフト回路1による信号伝達動作の第1例について述べる。
図4は、双方向レベルシフト回路1の入力側および出力側に接続する構成の一例を示す図である。
【0048】
図4の例では、入力側である信号端子Tdaに抵抗R1の一端とキャパシタC1の一端とが共通接続される。抵抗R1の他端には、電源50により生成される入力電源電圧VAが印加される。
【0049】
また、
図4の例では、出力側である信号端子Tdbに抵抗R2とキャパシタC2との直列接続構成が接続される。抵抗R2とキャパシタC2は、負荷100を構成する。抵抗R2は、例えば配線抵抗に相当する。
【0050】
ここで、電源50により入力電源電圧VAが立ち上げられた場合の、抵抗R2とキャパシタC2とが接続されるノードND100に生じる出力信号(電圧)Boの挙動について、
図5に示すタイミングチャートを参照して述べる。
【0051】
図5に示すように、タイミングt0にて入力電源電圧VAがVCCAに立ち上げられると、信号端子Tdaに生じる入力信号(電圧)AINは、抵抗R1とキャパシタC1による時定数に従って緩やかに立ち上がる。そして、入力信号AINが或るレベルに達するタイミングt1にて、ワンショット回路3Bは、入力信号AINの立ち上りを検出し、ゲート信号PGTBをVCCBより立ち下げて所定時間幅TWBの1つのパルス(ワンショットパルス)を生成する。
【0052】
所定時間幅TWBの間、トランジスタPBはオンとなるので、信号端子TdbにはVCCBが印加されるが、負荷100における抵抗R2とキャパシタC2による時定数により、出力信号Boは緩やかに立ち上がる。そして、タイミングt1から所定時間幅TWBだけ経過したタイミングt2にゲート信号PGTBはVCCBに立ち上げられるので、トランジスタPBはオフとされる。これにより、出力信号Boは、抵抗RB,R2とキャパシタC2による時定数に従って上昇する。抵抗RBはR2より十分に抵抗値が高いので時定数が大きくなり、出力信号Boは、タイミングt1~t2での傾きよりも大幅に小さい傾きで上昇することになる。
【0053】
このように、ワンショットパルスのパルス幅に相当する所定時間幅TWBが短いと、出力信号BoはVCCBに達する前に上昇が抑えられてしまう。従って、出力信号BoをVCCBに到達させるには、所定時間幅TWBを長くする必要がある。
【0054】
また、入出力が逆(信号端子Tdbが入力側、Tdaが出力側)の場合も、上記と同様の理由により、ワンショット回路3Aにより生成されるワンショットパルスのパルス幅(所定時間幅TWA)を長くする必要がある。
【0055】
<5.信号伝達動作の第2例>
次に、双方向レベルシフト回路1による信号伝達動作の第2例について述べる。
図6は、双方向レベルシフト回路1の入力側に接続する構成の一例を示す図である。
【0056】
図6の例では、入力側である信号端子Tdaに終端抵抗Re(例えば50Ω)の一端が接続され、終端抵抗Reの他端には、電源50により生成される入力電源電圧VAが印加される。このような
図6に示す構成における入力電源電圧VAに対する信号端子Tdbに生成される出力信号BOUTの挙動について、
図7に示すタイミングチャートを参照して述べる。
【0057】
図7のようにタイミングt10にて入力電源電圧VAがVCCAに立ち上げられると、信号端子Tdaに生じる入力信号AINもVCCAに立ち上がる。入力信号AINの立ち上りにより、ワンショット回路3Bは、ゲート信号PGTBを立ち下げる。これにより、トランジスタPBがオンとなり、出力信号BOUTはVCCBに立ち上がる。なお、AINとBOUTの立ち上りにより、ゲート駆動回路2によりゲート信号NGTはLowレベルとされ、トランジスタN1はオフとされる。
【0058】
出力信号BOUTが立ち上がることにより、ワンショット回路3Aによりゲート信号PGTAがVCCAより立ち下げられる。これにより、トランジスタPAはオンとなる。
【0059】
ここで、上記第1例で述べた理由からゲート信号PGTB,PGTAのパルス幅(所定時間幅TWB,TWA)を長く設定した場合、
図7に示すように入力電源電圧VAが高周波数であってタイミングt11にて立ち下がった場合、ゲート信号PGTAは未だLowレベルである。これにより、トランジスタPAはオンであるので、入力電源電圧VAは立ち下がったにも関わらず、入力信号AINには、VCCAをトランジスタPAのオン抵抗と終端抵抗Reによって分圧した電圧Vdが生じる。
【0060】
これにより、ワンショット回路3Bは、入力信号AINはHighレベルであると検出し、ゲート信号PGTBをLowレベルに維持する。従って、トランジスタPBがオンとなり、出力信号BOUTはVCCBとなってしまう。つまり、入力電源電圧VAは立ち下がっているにも関わらず、出力信号BOUTはHighレベルを維持してしまい、出力信号BOUTの応答性に問題が生じる。
【0061】
以上のような第1例および第2例により、ワンショットパルスのパルス幅を長くしつつも、高周波数の入力に対する出力の応答性を高めることが課題となり、後述する本発明の実施形態は、この課題を解決すべく考案された。
【0062】
<6.本発明の実施形態に係る双方向レベルシフト回路>
次に、本発明の例示的な実施形態に係る双方向レベルシフト回路について説明する。
図8は、本発明の例示的な実施形態に係る双方向レベルシフト回路1の構成を示す回路図である。
【0063】
図8に示す構成の先述した
図6に示す構成との相違点は、信号端子Tdaとワンショット回路3Aとの間に信号端子Tdaに生じる入力信号AINの立下りを検出するための検出ラインLAを設けていることである。なお、
図8に示す信号端子Tdbとワンショット回路3Bとの間に設ける検出ラインLBは、信号端子Tdb側を入力として信号端子Tdbに生じる入力信号BINの立下りを検出するために設けられる。
【0064】
このような
図8に示す本実施形態に係る構成における入力電源電圧VAに対する信号端子Tdbに生成される出力信号BOUTの挙動について、
図9に示すタイミングチャートを参照して述べる。
【0065】
図9のようにタイミングt20にて入力電源電圧VAがVCCAに立ち上げられると、信号端子Tdaに生じる入力信号AINもVCCAに立ち上がる。入力信号AINの立ち上りにより、ワンショット回路3Bは、ゲート信号PGTBを立ち下げる。これにより、トランジスタPBがオンとなり、出力信号BOUTはVCCBに立ち上がる。なお、AINとBOUTの立ち上りにより、ゲート駆動回路2によりゲート信号NGTはLowレベルとされ、トランジスタN1はオフとされる。
【0066】
出力信号BOUTが立ち上がることにより、ワンショット回路3Aによりゲート信号PGTAがVCCAより立ち下げられる。これにより、トランジスタPAはオンとなる。
【0067】
ここで、上記第1例で述べた理由からゲート信号PGTB,PGTAのパルス幅(所定時間幅TWB,TWA)を長く設定した場合、
図9に示すように入力電源電圧VAが高周波数であってタイミングt21にて立ち下がった場合、ゲート信号PGTAは未だLowレベルである。これにより、トランジスタPAはオンであるので、入力電源電圧VAは立ち下がったにも関わらず、入力信号AINには、VCCAをトランジスタPAのオン抵抗と終端抵抗Reによって分圧した電圧Vdが生じる。
【0068】
しかしながら、本実施形態では、入力信号AINのVCCAから電圧Vdへの立ち下りをワンショット回路3Aにより検出するので、ワンショット回路3Aは、ゲート信号PGTAをVCCAに立ち上げる。すなわち、ワンショット回路3Aにより、ワンショットパルスのパルス幅(所定時間幅TWA)を
図7のとき(破線)に比べてΔWだけ短くできる。
【0069】
これにより、タイミングt21にてトランジスタPAはオフとなり、入力信号AINはLowレベルに立ち下げられる。従って、ワンショット回路3Bにより、ゲート信号PGTBはHighレベルに立ち上げられ、トランジスタPBはオフとなる。このとき、入力信号AINがLowレベルに立ち下げられたことにより、ゲート駆動回路2によりゲート信号NGTはHighレベルとされ、トランジスタN1はオンとされる。従って、出力信号BOUTは、入力信号AINと同様のLowレベルとされる。
【0070】
なお、本実施形態に係る
図8に示す構成を、先述した
図4に示すような信号端子Tda,Tdbへの接続構成(
図4とは逆の入出力も含む)と同様の接続構成で使用する場合には、ワンショットパルスのパルス幅を長く設定することにより、出力信号(
図4ではBo)を所望レベル(
図4ではVCCB)に到達させることができる。
【0071】
このように本実施形態によれば、ワンショットパルスのパルス幅を長く設定する場合でも、高周波数の入力電源電圧VAが入力されたときに、パルス幅を本来より短くし、入力電源電圧VAの立下りに対して出力信号BOUTを即時に立ち下げることができ、出力信号BOUTの応答性を高めることが可能となる。
【0072】
<7.ワンショット回路の構成>
ここで、
図8に示した本実施形態に係る構成におけるワンショット回路3A,3Bの詳細な構成について述べる。
【0073】
図10は、本実施形態に係るワンショット回路3Aの一構成例を示す回路図である。
図10に示すように、ワンショット回路3Aは、レベルシフト部31Aと、シュミットトリガ32Aと、ワンショットパルス生成部33Aと、マスク生成部34Aと、立下り検出部35Aと、を有する。
【0074】
レベルシフト部31Aは、信号端子Tdbに印加される信号をVCCBからVCCAにレベルシフトする回路である。シュミットトリガ32Aは、レベルシフト部31Aの出力をヒステリシスを持ってHigh/Lowの出力に変換する。
【0075】
ワンショットパルス生成部33Aは、インバータ33A1と、抵抗33A2と、抵抗33A3と、キャパシタ33A4と、AND回路33A5と、インバータ33A6と、スイッチ33A7と、を有する。
【0076】
シュミットトリガ32Aの出力は、AND回路33A5の一方の入力端に入力されるとともに、インバータ33A1にも入力される。インバータ33A1の出力端は、抵抗33A2の一端に接続される。抵抗33A2の他端は、抵抗33A3の一端に接続される。抵抗33A3の他端は、キャパシタ33A4の一端とともに、AND回路33A5の他方の入力端にも接続される。AND回路33A5の出力端は、インバータ33A6の入力端に接続される。インバータ33A6の出力がゲート信号PGTAとなり、ゲート信号PGTAはトランジスタPAのゲートに入力される。
【0077】
抵抗33A2,33A3とキャパシタ33A4でCR回路が構成される。ここで、本実施形態に係る双方向レベルシフト回路1(
図8)において、
図4の信号端子Tda,Tdbに対する接続構成と入出力を逆として、信号端子Tdbに入力信号BINが入力される場合に、入力信号BINがHighに立ち上がると、まずAND回路33A5の出力はHighとなり、ゲート信号PGTAはLowとなる。一方、インバータ33A1の出力はLowとなり、上記CR回路の時定数に従ってCR回路の出力CRAは低下する。そして、出力CRAが或るレベルに達すると、AND回路33A5の出力はLowとなり、ゲート信号PGTAはHighとされる。すなわち、上記CR回路の時定数により、ゲート信号PGTAのワンショットパルスとしてのパルス幅が決定される。当該時定数を比較的大きくすることで、パルス幅を長く設定できる。
【0078】
また、抵抗33A2の両端間には、nチャネルMOSFETで構成されるスイッチ33A7が接続される。スイッチ33A7のオンオフにより抵抗33A2の無効/有効が切替えられ、上記CR回路の時定数が切替えられる。
【0079】
また、マスク生成部34Aは、インバータ34A1と、抵抗34A2と、キャパシタ34A3と、NAND回路34A4と、を有する。シュミットトリガ32Aの出力は、NAND回路34A4の一方の入力端とともに、インバータ34A1の入力端に入力される。インバータ34A1の出力は、抵抗34A2とキャパシタ34A3により構成されるCR回路に入力される。当該CR回路の出力は、NAND回路34A4の他方の入力端に入力される。NAND回路34A4の出力がマスク信号MSK1となる。
【0080】
上記のように信号端子Tdbに入力信号BINが入力される場合に、入力信号BINがHighに立ち上がる際、まずマスク信号MSK1はLowとなる。一方、インバータ34A1の出力がLowとなるので、上記CR回路の出力CR1は、時定数に従って低下する。出力CR1が低下して或るレベルに達すると、マスク信号MSK1はHighとされる。すなわち、入力信号BINが立ち上がってから所定の期間はマスク信号MSK1をLowとすることで、後述する信号端子Tdaからインバータ35A1を経由してAND回路36Aに接続される経路により、信号端子Tdaの信号の影響でAND回路36Aの出力がHighとなることを抑制する。これにより、スイッチ33A7がオンして時定数が小さくなり、誤ってパルス幅が短くなることを抑制できる。なお、ゲート信号PGTAがLowとなることで、トランジスタPAがオンとなり、信号端子Tdaの信号がHighとなれば、インバータ35A1の出力はLowとなり、スイッチ33A7はオンとならないので、時定数は維持される。
【0081】
マスク信号MSK1は、AND回路36Aの一方の入力端に入力される。一方、立下り検出部35Aは、
図10の例では、インバータ35A1により構成される。すなわち、信号端子Tdaは、インバータ35A1を経由してAND回路36Aの他方の入力端に接続される。AND回路36Aの出力は、スイッチ33A7のゲートに入力される。立下り検出部35Aにより、信号端子Tdaの信号のLowへ向かう立下りが検出される。
【0082】
また、
図11は、本実施形態に係るワンショット回路3Bの一構成例を示す回路図である。
図11に示すように、ワンショット回路3Bは、シュミットトリガ31Bと、ワンショットパルス生成部32Bと、マスク生成部33Bと、立下り検出部34Bと、を有する。
【0083】
シュミットトリガ31Bは、信号端子Tdaの信号をヒステリシスを持ってHigh/Lowの出力に変換する。
【0084】
ワンショットパルス生成部32Bは、インバータ32B1と、抵抗32B2と、抵抗32B3と、キャパシタ32B4と、AND回路32B5と、インバータ32B6と、レベルシフト部32B7と、スイッチ32B8と、を有する。
【0085】
シュミットトリガ31Bの出力は、AND回路32B5の一方の入力端に入力されるとともに、インバータ32B1にも入力される。インバータ32B1の出力端は、抵抗32B2の一端に接続される。抵抗32B2の他端は、抵抗32B3の一端に接続される。抵抗32B3の他端は、キャパシタ32B4の一端とともに、AND回路32B5の他方の入力端にも接続される。AND回路32B5の出力端は、インバータ32B6の入力端に接続される。インバータ32B6の出力は、レベルシフト部32B7によりVCCAからVCCBにレベルシフトされる。レベルシフト部32B7の出力がゲート信号PGTBとなり、ゲート信号PGTBはトランジスタPBのゲートに入力される。
【0086】
抵抗32B2,32B3とキャパシタ32B4でCR回路が構成される。ここで、
図4の接続構成と同様の接続構成として、信号端子Tdaに入力信号AINが入力される場合に、入力信号AINがHighに立ち上がると、まずAND回路32B5の出力はHighとなり、ゲート信号PGTBはLowとなる。一方、インバータ32B1の出力はLowとなり、上記CR回路の時定数に従ってCR回路の出力CRBは低下する。そして、出力CRBが或るレベルに達すると、AND回路32B5の出力はLowとなり、ゲート信号PGTBはHighとされる。すなわち、上記CR回路の時定数により、ゲート信号PGTBのワンショットパルスとしてのパルス幅が決定される。当該時定数を比較的大きくすることで、パルス幅を長く設定できる。
【0087】
また、抵抗32B2の両端間には、nチャネルMOSFETで構成されるスイッチ32B8が接続される。スイッチ32B8のオンオフにより抵抗32B2の無効/有効が切替えられ、上記CR回路の時定数が切替えられる。
【0088】
また、マスク生成部33Bは、インバータ33B1と、抵抗33B2と、キャパシタ33B3と、NAND回路33B4と、を有する。シュミットトリガ31Bの出力は、NAND回路33B4の一方の入力端とともに、インバータ33B1の入力端に入力される。インバータ33B1の出力は、抵抗33B2とキャパシタ33B3により構成されるCR回路に入力される。当該CR回路の出力は、NAND回路33B4の他方の入力端に入力される。NAND回路33B4の出力がマスク信号MSK2となる。
【0089】
上記のように信号端子Tdaに入力信号AINが入力される場合に、入力信号AINがHighに立ち上がる際、まずマスク信号MSK2はLowとなる。一方、インバータ33B1の出力がLowとなるので、上記CR回路の出力CR2は、時定数に従って低下する。出力CR2が低下して或るレベルに達すると、マスク信号MSK2はHighとされる。すなわち、入力信号AINが立ち上がってから所定の期間はマスク信号MSK2をLowとすることで、後述する信号端子Tdbからインバータ34B1を経由してAND回路35Bに接続される経路により、信号端子Tdbの信号の影響でAND回路35Bの出力がHighとなることを抑制する。これにより、スイッチ32B8がオンして時定数が小さくなり、誤ってパルス幅が短くなることを抑制できる。なお、ゲート信号PGTBがLowとなることで、トランジスタPBがオンとなり、信号端子Tdbの信号がHighとなれば、インバータ34B1の出力はLowとなり、スイッチ32B8はオンとならないので、時定数は維持される。
【0090】
マスク信号MSK2は、AND回路35Bの一方の入力端に入力される。一方、立下り検出部34Bは、
図11の例では、インバータ34B1により構成される。すなわち、信号端子Tdbは、インバータ34B1を経由してAND回路35Bの他方の入力端に接続される。AND回路35Bの出力は、スイッチ32B8のゲートに入力される。立下り検出部34Bにより、信号端子Tdbの信号のLowへ向かう立下りが検出される。
【0091】
次に、このような構成のワンショット回路3A,3Bでの動作も含めて、
図8に示す本実施形態に係る構成における入力電源電圧VAに対する信号端子Tdbに生成される出力信号BOUTの挙動について、
図13に示すタイミングチャートを参照して述べる。なお、
図13は、先述した
図9と一部重複している。
【0092】
図13のようにタイミングt30にて入力電源電圧VAがVCCAに立ち上げられると、信号端子Tdaに生じる入力信号AINもVCCAに立ち上がる。これにより、
図11に示したワンショット回路3BでAND回路32B5の出力がHighとなり、ゲート信号PGTBはLowとされる。これにより、トランジスタPBはオンとされ、信号端子Tdbの出力信号BOUTはVCCBに立ち上がる。
【0093】
すると、
図10に示すワンショット回路3Aにおいて、AND回路33A5の出力はHighとなり、ゲート信号PGTAはLowとなる。これにより、トランジスタPAはオンとされる。このとき、マスク信号MSK1は、Lowに立ち下がるので、AND回路36Aの出力VAND(
図10)は、Lowとなり、スイッチ33A7はオフとなる。このとき、インバータ33A1の出力がLowとなり、CR回路の出力CRAは抵抗33A2,33A3とキャパシタ33A4による時定数に従って低下を開始する。
【0094】
その後、タイミングt31にて出力CR1が低下して或るレベルに達すると、マスク信号MSK1はHighとされる。しかしながら、信号端子Tdaの入力信号AINはHighであるので、出力VANDはLowとなりスイッチ33A7はオフを維持される。
【0095】
そして、タイミングt32にて入力信号AINが立ち下げられても、ゲート信号PGTAは未だLowであり、トランジスタPAはオンとされている。これにより、入力信号AINは、VCCAをトランジスタPAのオン抵抗と終端抵抗Reで分圧した電圧であるVdに低下しようとする。このとき、インバータ35A1(立下り検出部35A)により、入力信号AINのLowへ向かう立下りを検出できる。
【0096】
ここで、インバータ35A1は、
図12に示すようなpチャネルMOSFETによるトランジスタPMと、nチャネルMOSFETによるトランジスタNMとのCMOS構成を有する。そして、トランジスタPMは、トランジスタNMに比べてVgsの閾値を低くしているので、信号端子Tdaの信号の小さい立下り変化を検出できる。このとき、インバータ35A1の出力はHighとなるので、出力VANDはHighとなり、スイッチ33A7はオンとなる。
【0097】
これにより、抵抗33A2がバイパスされ、CR回路の時定数が小さくなる。従って、
図13に示すように、タイミングt32にて出力CRAは比較的大きな傾きで低下し、タイミングt33で所定の閾値レベルCR_THに達すると、ゲート信号PGTAがHighとなる。これにより、
図13に示すように、ゲート信号PGTAのパルス幅(所定時間幅TWA)を、出力CRAが小さく変更される前の時定数により低下した場合の本来のパルス幅よりもΔWだけ短くできる。
【0098】
従って、トランジスタPAはオフとなり、入力信号AINはLowまで立ち下がる。これにより、
図11に示すワンショット回路3BにおいてAND回路32B5の出力がLowとなり、ゲート信号PGTBはHighとされるので、トランジスタPBはオフとなる。このとき、入力信号AINがLowであるので、ゲート駆動回路2によりゲート信号NGTがHighとされ、トランジスタN1はオンである。従って、出力信号BOUTは、入力信号AINと同じLowとされる。
【0099】
タイミングt33で、出力信号BOUTがLowとなるので、マスク信号MSK1はHighとなり、入力信号AINはLowであるので、インバータ35A1の出力はHighとなり、出力VANDはHighとなり、スイッチ33A7はオンとなる。そして、出力信号BOUTがLowであるので、ワンショット回路3Aにおけるインバータ33A1の出力がHighとなる。従って、抵抗33A2はバイパスされ、CR回路の出力CRAは抵抗33A3とキャパシタ33A4による時定数に従って上昇を開始する。
【0100】
そして、出力CRAが所定の最大レベルCR_MAXに到達する前であるタイミングt34にて入力電源電圧VAが立ち上がると、入力信号AINもVCCAに立ち上がる。これにより、ワンショット回路3BでAND回路32B5の出力がHighとなり、ゲート信号PGTBはLowとされる。これにより、トランジスタPBはオンとされ、出力信号BOUTはVCCBに立ち上がる。
【0101】
すると、ワンショット回路3Aにおいて、AND回路33A5の出力はHighとなり、ゲート信号PGTAはLowとなる。これにより、トランジスタPAはオンとされる。このとき、マスク信号MSK1は、Lowに立ち下がるので、出力VANDは、Lowとなり、スイッチ33A7はオフとなる。このとき、インバータ33A1の出力がLowとなり、CR回路の出力CRAは抵抗33A2,33A3とキャパシタ33A4による時定数に従って低下を開始する。
【0102】
その後、タイミングt35にて出力CR1が低下して或るレベルに達すると、マスク信号MSK1はHighとされる。しかしながら、入力信号AINはHighであるので、出力VANDはLowとなりスイッチ33A7はオフを維持される。
【0103】
そして、タイミングt36にて出力CRAが閾値レベルCR_THに達すると、AND回路33A5の出力がLowとなり、ゲート信号PGTAはHighとなり、トランジスタPAは、オフとなる。これにより、タイミングt37にて入力電源電圧VAが立ち下がると、入力信号AINもLowへ立ち下がる。従って、ワンショット回路3Bにより、ゲート信号PGTBはHighとなり、トランジスタPBはオフとなる。このとき、入力信号AINがLowであるので、ゲート駆動回路2によりゲート信号NGTがHighとされ、トランジスタN1はオンである。従って、出力信号BOUTは、入力信号AINと同じLowとされる。
【0104】
このようにして、高周波数の入力電源電圧VAに対する出力信号BOUTの応答性を改善できる。特に、タイミングt33以降は、出力CRAが最大レベルCR_MAXに到達する前に入力電源電圧VAが立ち上り、出力CRAが低下するので、ゲート信号PGTAのパルス幅(所定時間幅TWA)は自動的に短くなる。これにより、入力電源電圧VAの立下りに応じて入力信号AINをLowに立ち下げることができ、出力信号BOUTの応答性を高めることができる。但し、タイミングt33にて出力CRAを即時に最大レベルCR_MAXまで立ち上げる実施形態を採ってもよい。なお、
図8の入出力を逆とした場合も上記動作と同様となり、信号端子Tdbに接続した電源による高周波数の入力電源電圧に対して信号端子Tdaの出力信号の応答性を改善できる。
【0105】
<8.ワンショット回路の変形例>
ワンショット回路3A,3Bについては、次のような変形例としてもよい。
図14は、変形例に係るワンショット回路3A’の構成を示す回路図である。ワンショット回路3A’のワンショット回路3A(
図10)との相違点は、立下り検出部35A’の構成である。
【0106】
立下り検出部35A’は、コンパレータ35A1’により構成される。コンパレータ35A1’の反転入力端(-)には、信号端子Tdaが接続され、非反転入力端(+)には、基準電圧が印加される。コンパレータ35A1’は、信号端子Tdaの信号と基準電圧との比較結果をAND回路36Aに出力する。これにより、信号端子TdaがLowへ向かって立ち下がる場合に、コンパレータ35A1’からHighが出力され、スイッチ33A7をオンさせることができる。
【0107】
図15は、変形例に係るワンショット回路3B’の構成を示す回路図である。ワンショット回路3B’のワンショット回路3B(
図11)との相違点は、立下り検出部34B’の構成である。
【0108】
立下り検出部34B’は、コンパレータ34B1’により構成される。コンパレータ34B1’の反転入力端(-)には、信号端子Tdbが接続され、非反転入力端(+)には、基準電圧が印加される。コンパレータ34B1’は、信号端子Tdbの信号と基準電圧との比較結果をAND回路35Bに出力する。これにより、信号端子TdbがLowへ向かって立ち下がる場合に、コンパレータ34B1’からHighが出力され、スイッチ32B8をオンさせることができる。
【0109】
このように、立下り検出部としてコンパレータを用いると、検出閾値の精度を向上させることができる。但し、立下り検出部としてインバータを用いるほうが、コスト低減の観点からは有利である。
【0110】
<9.チップにおけるレイアウト>
図16は、双方向レベルシフト回路1のチップCPにおけるレイアウトの一例を示す模式図である。チップCPは、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に拡がる。
図16において、X軸方向の一方側をX1、他方側をX2として示し、Y軸方向の一方側をY1、他方側をY2として示す。X2側とY2側が互いに近づく方向である。
【0111】
チップCPにおけるX1側の端部には、トランジスタN1が配置される。トランジスタN1のX2側に隣接してゲート駆動回路2が配置される。ゲート駆動回路2は、抵抗RBと抵抗RAによってY軸方向に挟まれる。抵抗RBは、抵抗RAよりもY1側に配置される。トランジスタPA,PBは、ゲート駆動回路2のX2側に配置される。トランジスタPBは、トランジスタPAよりもY1側に配置される。
【0112】
チップCPにおけるX2側の端部には、キャパシタ33B3,32B4,33A4,34A3がこの順にY2側へ向かって隣接して配列され、一つの第1グループを構成する。キャパシタ33B3,32B4は、先述したようにワンショット回路3B(
図11)に設けられ、キャパシタ33A4,34A3は、先述したようにワンショット回路3A(
図10)に設けられる。キャパシタ33B3,32B4,33A4,34A3を一つのグループを構成するように配置することで、相対バラツキを低減する。
【0113】
抵抗32B3,32B2は、この順にX2側へ向かって隣接して配列され、一つの第2グループを構成する。当該第2グループは、上記第1グループよりもY1側に配置される。抵抗32B3,32B2は、先述したようにワンショット回路3B(
図11)に設けられる。これにより、抵抗32B3,32B2の相対バラツキを低減する。
【0114】
抵抗33A3,33A2は、この順にX2側へ向かって隣接して配列され、一つの第3グループを構成する。当該第3グループは、上記第1グループよりもY2側に配置される。抵抗33A3,33A2は、先述したようにワンショット回路3A(
図10)に設けられる。これにより、抵抗33A3,33A2の相対バラツキを低減する。
【0115】
また、信号端子Tdbは、上面視にて、トランジスタPBよりもY1側且つ抵抗RBよりもX2側に配置される。信号端子Tdaは、上面視にて、トランジスタPAよりもY2側且つ抵抗RAよりもX2側に配置される。VCCBを印加する電源端子Tvbは、上面視にて、信号端子TdbよりもX2側に配置され、且つ上記第2グループのX1側に隣接して配置される。VCCAを印加する電源端子Tvaは、上面視にて、信号端子TdaよりもX2側に配置され、且つ上記第3グループのX1側に隣接して配置される。また、グランド端子Tgdは、信号端子Tdaと電源端子TvaによりX軸方向に挟まれて配置される。
【0116】
信号端子Tdb,Tdaおよび電源端子Tvb,Tvaのそれぞれは、上面視にて、ESD保護ダイオードと重なる。
【0117】
<10.システムの適用例>
図17は、
図1に示したデータ通信システムの適用例を示す構成図である。
図17の例では、HDD(ハードディスクドライブ)30にシステムコントローラ20Aと双方向レベルシフト回路1が設けられ、テスター40にシステムコントローラ20Bが設けられる。これにより、双方向レベルシフト回路1は、HDD30とテスター40とで異なる電源電圧で動作するシステムコントローラ間のデータ通信を可能とするインタフェースとして機能する。
【0118】
<11.その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、異なる電源電圧で動作する各種のシステムに利用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 双方向レベルシフト回路
2 ゲート駆動回路
3A、3B ワンショット回路
31A レベルシフト部
32A、31B シュミットトリガ
33A、32B ワンショットパルス生成部
34A、33B マスク生成部
35A、34B 立下り検出部
N1 トランジスタ(nチャネルMOSFET)
PA,PB トランジスタ(pチャネルMOSFET)
RA,RB 抵抗
Tva,Tvb 電源端子
Tda,Tdb 信号端子
Re 終端抵抗
20A,20B システムコントローラ
30 HDD(ハードディスクドライブ)
40 テスター
50 電源