(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、サーバ、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230830BHJP
G06Q 30/016 20230101ALI20230830BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/016
(21)【出願番号】P 2019171126
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】千葉 卓也
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-183328(JP,A)
【文献】特開2012-227862(JP,A)
【文献】特開2017-021414(JP,A)
【文献】特開平10-063682(JP,A)
【文献】特開2001-022700(JP,A)
【文献】特開2018-152128(JP,A)
【文献】特開2005-107669(JP,A)
【文献】特開2016-181045(JP,A)
【文献】特開2006-285820(JP,A)
【文献】特開2014-026617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と、前記ユーザ端末と通信可能なサーバと、を含む情報処理システムであって、
前記ユーザ端末は、
ユーザを識別するユーザ識別情報に関連付けて、複数の種別の電子機器のうち前記ユーザが使用する電子機器のオンラインマニュアルの閲覧要求を前記サーバに送信する送信部、を備え、
前記サーバは、
前記オンラインマニュアルの複数の項目の各々に対して1又は複数のコンテンツを有するオンラインマニュアル用データを記憶する第1記憶部と、
ユーザ識別情報に対応付けた、ユーザの前記電子機器に関連するユーザ情報であって、前記電子機器に対する保守サービスに対するユーザによる契約の有無に関する情報と、前記電子機器の仕様に関する情報、および、ユーザによる前記電子機器の使用履歴に関する情報のうち少なくともいずれかの情報と、を含むユーザ情報を記憶する第2記憶部と、
保守サービスに対する契約がある各ユーザの電子機器から取得するエラー種別ごとのエラー情報を記憶する第3記憶部と、
前記ユーザ端末から前記閲覧要求を受信する通信部と、
前記通信部によって受信された閲覧要求に関連付けられたユーザ識別情報に対応するユーザ情報と、前記エラー情報と、に基づいて、前記閲覧要求に応じたオンラインマニュアルの前記複数の項目のうち、前記電子機器のエラーと関連する項目に含まれるコンテンツの表示順序を、前記閲覧要求の送信元となるユーザが使用する電子機器と同一種別の電子機器に対するエラー種別ごとの
エラー情報の数に応じて変更する制御部と、を備えた、
情報処理システム。
【請求項2】
前記電子機器に対する保守サービスに対するユーザによる契約がある場合に、前記通信部は、当該ユーザの電子機器と通信可能であり、当該ユーザのユーザ端末から受信する操作要求に応じて、当該ユーザの電子機器に対して、前記操作要求に対応するコマンドを送信する、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項3】
前記通信部は、前記ユーザ端末によって前記ユーザの電子機器との通信が許可された場合に、前記ユーザの電子機器に対して、前記操作要求に対応するコマンドを送信する、
請求項2に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記ユーザ情報において、対応するユーザによる前記電子機器の使用履歴が所定期間よりも長い場合には、使用履歴の短いユーザ向けの所定の項目又は所定のコンテンツが閲覧できないように制御し、又は、前記所定の項目又は前記所定のコンテンツの表示位置を変更する、
請求項1から3のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザ情報において、対応するユーザによる前記電子機器の使用履歴が所定期間よりも短い場合には、使用履歴の短いユーザ向けの所定の項目又は所定のコンテンツの表示位置を変更する、
請求項1から3のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記電子機器に対する保守サービスが提供される複数の拠点の各々に対応する位置情報と、前記電子機器に対する保守サービスに対する契約があるユーザの使用場所に関する情報と、を記憶する第4記憶部を備え、
前記制御部は、前記オンラインマニュアルにおいて、前記複数の拠点のうち、前記閲覧要求の要求元であるユーザ端末のユーザの前記電子機器の使用場所に最も近い拠点の位置情報を含むコンテンツが表示されるように制御する、
請求項1から5のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項7】
ユーザ端末と通信可能なサーバであって、
複数の種別の電子機器の各々について、オンラインマニュアルの複数の項目の各々に対して1又は複数のコンテンツを有するオンラインマニュアル用データを記憶する第1記憶部と、
ユーザを識別するユーザ識別情報に対応付けた、当該ユーザの前記電子機器に関連するユーザ情報であって、前記電子機器に対する保守サービスに対するユーザによる契約の有無に関する情報と、前記電子機器の仕様に関する情報、および、ユーザによる前記電子機器の使用履歴に関する情報のうち少なくともいずれかの情報と、を含むユーザ情報を記憶する第2記憶部と、
保守サービスに対する契約がある各ユーザの電子機器から取得するエラー種別ごとのエラー情報を記憶する第3記憶部と、
ユーザ端末から、ユーザ識別情報に関連付けて、前記複数の種別の電子機器のうちユーザが使用する電子機器のオンラインマニュアルの閲覧要求を受信する通信部と、
前記通信部によって受信された閲覧要求に関連付けられたユーザ識別情報に対応するユーザ情報と、前記エラー情報と、に基づいて、前記閲覧要求に応じたオンラインマニュアルの前記複数の項目のうち、前記電子機器のエラーと関連する項目に含まれるコンテンツの表示順序を、前記閲覧要求の送信元となるユーザが使用する電子機器と同一種別の電子機器に対するエラー種別ごとの
エラー情報の数に応じて変更する制御部と、
を備えたサーバ。
【請求項8】
互いに通信可能なユーザ端末と通信可能なサーバによる情報処理方法であって、
前記サーバは、
複数の種別の電子機器の各々について、オンラインマニュアルの複数の項目の各々に対して1又は複数のコンテンツを有するオンラインマニュアル用データと、
ユーザを識別するユーザ識別情報に対応付けた、当該ユーザの電子機器に関連するユーザ情報であって、前記電子機器に対する保守サービスに対するユーザによる契約の有無に関する情報と、前記電子機器の仕様に関する情報、および、ユーザによる前記電子機器の使用履歴に関する情報のうち少なくともいずれかの情報と、を含むユーザ情報と、
保守サービスに対する契約がある各ユーザの電子機器から取得するエラー種別ごとのエラー情報と、を記憶しており、
前記情報処理方法は、
前記ユーザ端末が、ユーザを識別するユーザ識別情報に関連付けて、前記複数の種別の電子機器のうちユーザが使用する電子機器のオンラインマニュアルの閲覧要求を前記サーバに送信し、
前記サーバが、前記閲覧要求を受信し、
前記サーバが、受信した閲覧要求に関連付けられたユーザ識別情報に対応するユーザ情報を特定し、特定したユーザ情報と、前記エラー情報と、に基づいて、前記閲覧要求に応じたオンラインマニュアルの前記複数の項目のうち、前記電子機器のエラーと関連する項目に含まれるコンテンツの表示順序を、前記閲覧要求の送信元となるユーザが使用する電子機器と同一種別の電子機器に対するエラー種別ごとの
エラー情報の数に応じて変更する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、サーバ、および、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品のマニュアルをオンラインで提供するサービス(以下、「オンラインマニュアルサービス」という。)を行うことが知られている。例えば、特許文献1には、オペレータのアクセスレベルに応じて電子マニュアルに対して参照可否を判断するように構成されたシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多数のユーザからアクセスされる電子機器のオンラインマニュアルでは、あるユーザにとって不要な項目やコンテンツが含まれ、また、あるユーザにとって参照しづらい(あるいは全体の中から見つけ難い)項目やコンテンツが含まれる場合があることから、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、オンラインマニュアルを閲覧する場合に、個々のユーザに対して適切な内容を表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、ユーザ端末と、前記ユーザ端末と通信可能なサーバと、を含む情報処理システムであって、前記ユーザ端末は、ユーザを識別するユーザ識別情報に関連付けて、複数の種別の電子機器のうち前記ユーザが使用する電子機器のオンラインマニュアルの閲覧要求を前記サーバに送信する送信部、を備え、前記サーバは、前記オンラインマニュアルの複数の項目の各々に対して1又は複数のコンテンツを有するオンラインマニュアル用データを記憶する第1記憶部と、ユーザ識別情報に対応付けた、ユーザの前記電子機器に関連するユーザ情報であって、前記電子機器に対する保守サービスに対するユーザによる契約の有無に関する情報と、前記電子機器の仕様に関する情報、および、ユーザによる前記電子機器の使用履歴に関する情報のうち少なくともいずれかの情報と、を含むユーザ情報を記憶する第2記憶部と、保守サービスに対する契約がある各ユーザの電子機器から取得するエラー種別ごとのエラー情報を記憶する第3記憶部と、前記ユーザ端末から前記閲覧要求を受信する通信部と、前記通信部によって受信された閲覧要求に関連付けられたユーザ識別情報に対応するユーザ情報と、前記エラー情報と、に基づいて、前記閲覧要求に応じたオンラインマニュアルの前記複数の項目のうち、前記電子機器のエラーと関連する項目に含まれるコンテンツの表示順序を、前記閲覧要求の送信元となるユーザが使用する電子機器と同一種別の電子機器に対するエラー種別ごとのエラー情報の数に応じて変更する制御部と、を備えた、情報処理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、オンラインマニュアルを閲覧する場合に、個々のユーザに対して適切な内容を表示できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の情報配信システムの概略構成を示す図である。
【
図2】オンラインマニュアルの表示例を示す図である。
【
図3】実施形態の情報配信システムにおいて提供されるオンラインマニュアルの階層構造を例示する図である。
【
図4】オンラインマニュアルのページの表示例を示す図である。
【
図5】オンラインマニュアルのページの表示例を示す図である。
【
図6】オンラインマニュアルのテンプレートを示す図である。
【
図7】
図6に示すテンプレートにコンテンツを挿入したページを例示する図である。
【
図8】オンラインマニュアルを作成するためのデータベース群を説明する図である。
【
図9】ユーザに応じたオンラインマニュアルの階層構造を例示する図である。
【
図10】実施形態の情報配信システムを構成する各装置のブロック図である。
【
図11】ユーザデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図12】実施形態の情報配信システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図13】実施形態の第1の変形例においてユーザ端末の画面上の手順を示す図である。
【
図14】実施形態の第1の変形例において情報配信システムの動作を示すシーケンスチャートの一例である。
【
図15】実施形態の第2の変形例においてユーザ端末の画面上の手順を示す図である。
【
図16】実施形態の第2の変形例においてページデータを作成する処理を示すフローチャートの一例である。
【
図17】実施形態の第3の変形例におけるオンラインマニュアルの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において「コンテンツ」とは、オンラインマニュアルに含まれる、あるいはオンラインマニュアルにおいて参照される情報であり、例えば画像(静止画および動画を含む)、テキスト(文字列)、又は、記号、マーク等である。
【0010】
(1)情報配信システム1の全体構成
以下、本発明の情報処理システムの一実施形態である情報配信システム1について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態の情報配信システム1の概略構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の情報配信システム1では、ユーザ端末2-1,2-2,2-3,…がインターネットNWを介してマニュアル配信サーバ5にアクセス可能に構成されている。
情報配信システム1では、ユーザに対して電子機器のオンラインマニュアルサービスが提供される。オンラインマニュアルサービスでは、電子機器マニュアルに対応する最新の電子文書(以下、「マニュアルデータ」という。)がマニュアル配信サーバ5に格納されているため、電子機器のユーザに限られず、誰でも場所、時間を問わずマニュアルを閲覧することができるという利点がある。
マニュアルデータは、オンラインマニュアル用のデータの一例である。
【0012】
以下の説明では、ユーザ端末2-1,2-2,2-3,…に対して共通する事項に言及するときには、単に「ユーザ端末2」という。
ユーザ端末2は、ユーザが操作する端末であり、例えばラップトップ型コンピュータ装置、タブレット型コンピュータ装置、あるいはスマートフォン等であり、マニュアル配信サーバ5と通信可能な情報処理装置であればその態様は問わない。
【0013】
マニュアル配信サーバ5は、オンラインマニュアルサービスの対象となる電子機器の製造会社によって実質的に運営され、インターネット経由でウェブサイトによりオンラインマニュアルを閲覧するサービスを提供する。当該ウェブサイトを通してユーザ端末2がマニュアル配信サーバ5にアクセス可能に構成されている。
言い換えれば、マニュアル配信サーバ5は、ユーザ端末2からの閲覧要求に応じてマニュアルデータの閲覧をユーザ端末2に表示可能とすることによって、ユーザに対して電子機器のオンラインマニュアルサービスを提供する。
なお、マニュアル配信サーバ5を運営するのは、電子機器の製造会社に限られず、製造会社からマニュアル配信サーバ5の運営の委託を受けた別の会社であってもよい。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の情報配信システム1では、ユーザが使用する電子機器の一例としてプリンタ3が、インターネットNWを介してマニュアル配信サーバ5に接続可能であることが好ましい。
【0015】
(2)オンラインマニュアルの構成
次に、オンラインマニュアルの構成について、
図2~
図8を参照して説明する。
図2は、本実施形態の情報配信システム1において提供されるオンラインマニュアルの表示例を示す図である。
図3は、本実施形態の情報配信システム1において提供されるオンラインマニュアルの階層構造を例示する図である。
図4および
図5の各図は、オンラインマニュアルのページの表示例を示す図である。
図6は、オンラインマニュアルのテンプレートを示す図である。
図7は、
図6に示すテンプレートにコンテンツを挿入したページを例示する図である。
図8は、オンラインマニュアルを作成するためのデータベース群を説明する図である。
【0016】
本実施形態の情報配信システム1では、
図2の画面G1に示すように、ユーザが、予めマニュアル配信サーバ5側で既知のログインID(ユーザ識別情報の一例)およびパスワードを入力する。そして、入力されたログインIDとパスワードに基づいてユーザ認証を行った後に、画面G2に示すように、オンラインマニュアルがユーザに提供される。
画面G2では、オンラインマニュアルの目次についてのページ(マニュアル配信サーバ5によって提供されるウェブページ)が示され、タイトル表示部101と、メニュー表示部102と、本文表示部103とを含む。
【0017】
本文表示部103には、複数の項目(例えば、「はじめて使うとき」、「用紙のセット」)の各々に対して、さらに詳細な内容についての項目(例えば、「設置」等)が含まれている。オンラインマニュアルは、ユーザが選択した項目を階層的に辿ることで、目的の内容を閲覧することができるように構成されている。例えば画面G1では、(+)形状のマークが付された項目を選択操作することにより、選択された項目よりも下位の階層の内容を閲覧することができる。
【0018】
図3は、オンラインマニュアルの階層構造の一例を示している。
図3では、「はじめて使うとき」という項目の階層構造の一部を例示している。階層構造の最下位の項目にはページPが割り当てられており、最下位の項目を選択すると対応するページPが表示される。例えば、「ACアダプタと電源コードを接続する」という項目に対応するページP(図示せず)では、当該項目についての具体的な手順を示す画像およびテキストが含まれる。
【0019】
例えば、
図4の画面G3に示すように、「本製品の調整」→「印字の品質を調整する」の順で項目を辿っていくことで、
図4および
図5の画面G4に示すように、「印字濃度を調整する」という項目に対応するページが表示される。
【0020】
次に、オンラインマニュアルの作成方法について説明する。本実施形態のマニュアル配信サーバ5では、コンテンツ管理システム(以下、「CMS」)を利用してオンラインマニュアルを管理、構築する。CMSでは、オンラインマニュアルを構成する画像やテキスト等のコンテンツを統合・体系的に管理し、配信など必要な処理が行われる。
例えば、
図6に示すように、オンラインマニュアルの各ページの雛形となるテンプレートTの本文表示部には、複数の領域A1~A6の位置および範囲が予め規定されている。この複数の領域A1~A6の各々に対して、コンテンツ(例えば画像又はテキスト)をはめ込むことによりページが作成される。
図7では、領域A1~A6に画像又はテキストをはめ込むことにより、「クレードルキットにACアダプタを収納する」という項目に対応するページPが作成された例を示している。
【0021】
CMSを実現するためにマニュアル配信サーバ5では、ページデータベース、コンテンツデータベース、および、テンプレートデータベースが記録される。これらのデータベースは、電子機器の仕様変更に応じて、オンラインマニュアルの提供者によって更新されることがある。
【0022】
図8に示すように、ページデータベース(ページDB)には、オンラインマニュアルによって提供される複数のページP1,P2,P3,P4,…の各々に対する情報(「ページ情報」という。)が含まれる。ページ情報は、例えば、ページID、階層情報、適用されるテンプレートID、ページタイトル、および、配置するコンテンツIDとその位置情報を含む。
ページIDとは、各ページを識別するための情報である。階層情報は、オンラインマニュアルの階層構造において、対応するページの位置情報を示す。適用されるテンプレートIDは、テンプレートデータベースに含まれるテンプレートのうち、対応するページに適用されるテンプレートの識別情報である。ページタイトルは、ページのタイトルであり、例えば
図7では「クレードルキットにACアダプタを収納する」というテキストである。
配置するコンテンツIDは、適用されるテンプレートIDによって特定されるテンプレートに設定されている複数の領域にはめ込まれるコンテンツを識別する情報である。コンテンツIDの位置情報とは、複数の領域のいずれの領域にはめ込むかについての情報である。
【0023】
コンテンツデータベース(コンテンツDB)には、オンラインマニュアルに適用される複数のコンテンツが含まれる。
図8に示すように、本実施形態の例では、コンテンツデータベースは、複数の画像ファイル群g1と、複数のテキストファイル群g2とを含む。
各画像ファイルには、画像自体のほか、コンテンツIDが含まれる。各テキストファイルには、テキスト自体のほか、コンテンツIDが含まれる。
以下の説明では、コンテンツデータベースに含まれる画像又はテキストを総称して「コンテンツ」といい、画像ファイル又はテキストファイルを総称して「コンテンツファイル」という場合がある。
【0024】
テンプレートデータベース(テンプレートDB)には、オンラインマニュアルに適用される複数のテンプレートT1,T2,T3,T4,…が含まれる。各テンプレートはテンプレートIDが割り当てられ、上述したように、ページデータベースのページ情報において参照される。
【0025】
(3)本実施形態のオンラインマニュアルの表示
次に、本実施形態のオンラインマニュアルの表示例について、
図9を参照して説明する。
本実施形態の情報配信システム1によって提供されるオンラインマニュアルは、ユーザ情報に基づいてユーザに対する表示態様が可変となる点に特徴がある。ユーザに対してオンラインマニュアルの異なる表示態様には、閲覧可能なオンラインマニュアルの項目がユーザによって制限されるという表示態様や、ユーザごとにオンラインマニュアルに含まれるコンテンツの表示順序が異なるという表示態様が含まれる。
【0026】
図9は、ユーザに応じたオンラインマニュアルの階層構造を例示する図である。例えばログインしたユーザが使用するプリンタにオプション部品であるクレードルキットが装着されていない場合、
図3に示した階層構造が
図9に示したものに変更された状態で、オンラインマニュアルがユーザに提供される。
図3と
図9を比較してわかるように、
図9の階層構造には、「電源に接続する」の項目の中に「オプションのクレードルキットを使用する」の項目が含まれていない。
【0027】
つまり、ユーザが使用するプリンタに特定のオプション部品(クレードルキットのほか、カッタキット等)を装着していない場合には、当該オプション部品に関する項目を、当該ユーザに提供するオンラインマニュアルに表示させないようにする。
その他の例として、「はじめて使うとき」の項目の中の「設置」の項目の中に、「オプションを取り付ける」という項目がある場合には、当該オプション部品を装着していないプリンタを使用するユーザに提供するオンラインマニュアルには、「オプションを取り付ける」という項目を表示させないようにする。複数のオプション部品のうちユーザのプリンタがカッタキットのみを装着している場合には、「オプションを取り付ける」の項目の中に「カッタキットの装着」という項目のみを表示させ、その他のオプション部品の装着に関連する項目を表示させないようにする。
【0028】
このような表示態様とすることで、ユーザにとって意味のない項目がオンラインマニュアルの中に含まれなくなるため、オンラインマニュアルを閲覧するユーザが混乱を来たすことがなく、また、ユーザがオンラインマニュアルにおいて目的となる項目に辿り着くのが容易となる。
図9は、ユーザに応じてオンラインマニュアルの表示態様が可変となる場合の一例に過ぎず、その他の例については後述する。
【0029】
(4)情報配信システム1の各要素の内部構成
次に、情報配信システム1の各要素の内部構成について、
図10および
図11を参照して説明する。
図10は、本実施形態の情報配信システムを構成する各装置のブロック図である。
図11は、ユーザデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
【0030】
以下の説明では、ユーザ端末2とマニュアル配信サーバ5の間の通信は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)に従って行われ、ユーザ端末2は、マニュアル配信サーバ5からHTML(HyperText Markup Language)文書を取得する場合について説明する。なお、安全性を高めるため、HTTPはHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)によって安全な接続が行われることが好ましい。
【0031】
図10に示すように、ユーザ端末2は、制御部21、ストレージ22、操作入力部23、表示部24、および、通信部25を有する。
制御部21は、マイクロコントローラを主体として構成され、ユーザ端末2の全体の処理を制御する。ストレージ22は、ウェブブラウザを含むソフトウェアを格納する。ストレージ22に格納されているソフトウェアは、制御部21のマイクロコントローラによって実行される。
操作入力部23は、キーボード、ポンティングデバイス、および、タッチ入力機能を有するタッチパネルの少なくともいずれかの入力デバイスと、当該入力デバイスによって受け付けられた入力を制御部21に送信する入力インタフェース回路とを含む。
表示部24は、表示パネルと、表示パネルを駆動する駆動回路とを含み、ウェブブラウザによるウェブページの表示等、制御部21によるソフトウェアの実行によって得られた画像を表示する。
通信部25は、マニュアル配信サーバ5との間でHTTPに従った通信を行い、HTML文書を取得する。HTML文書は、例えばマニュアルデータのうち任意のページを含む。
【0032】
図10に示すように、マニュアル配信サーバ5は、制御部51、ストレージ52(第1記憶部、第2記憶部、第3記憶部、第4記憶部の一例)、および、通信部53を有する。
制御部51は、マイクロコントローラを主体として構成され、マニュアル配信サーバ5の全体の処理を制御する。制御部51は、例えば、CMS用のプログラム(CMSプログラム)、HTTPサーバプログラム、および、アクセス管理プログラムの各プログラムを実行する。
CMSプログラムは、ストレージ52のページデータベース、コンテンツデータベース、および、テンプレートデータベースを参照して、オンラインマニュアルの公開データを作成するようにプログラムされている。
【0033】
HTTPサーバプログラム(単にHTTPサーバともいう。)は、ユーザ端末2からの閲覧要求に応じて、当該閲覧要求に係るマニュアルデータ内のページを含むHTML文書(閲覧要求に対する応答)を作成するようにプログラムされている。なお、本実施形態では、後述するアクセス管理プログラムによってユーザごとに提供されるオンラインマニュアルの表示態様が異なる場合がある。そのため、HTTPサーバは、CMSプログラムによって作成された公開データを基にHTML文書を作成するのではなく、アクセス管理プログラムによって公開データを個々のユーザ向けに変更したデータを基にHTML文書を作成する。
【0034】
アクセス管理プログラムは、少なくとも以下の処理を実行するようにプログラムされている。
(i) オンラインマニュアルに対する閲覧要求があったときに、ユーザデータベースを参照してユーザの認証を行うこと
(ii) ユーザの認証が成功した場合に、ユーザデータベースを参照してログインしたユーザのレコード(ユーザ情報)を読み出すこと
(iii) CMSプログラムと協働し、ユーザ情報に基づいて、オンラインマニュアルの公開データを、ログインしたユーザ向けのデータに変更すること
ここで、(iii)の公開データの変更は、対象となるユーザの閲覧要求に応じて閲覧可能なオンラインマニュアルの項目若しくはコンテンツを制限し、又は、オンラインマニュアルの項目若しくはコンテンツの表示順序を変更することを含む。
【0035】
ストレージ52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)装置等の大容量記憶装置であり、ページデータベース、コンテンツデータベース、テンプレートデータベース、公開データベース、および、ユーザデータベースを格納する。ページデータベース、コンテンツデータベース、および、テンプレートデータベースは、
図8を参照して説明したとおりである。公開データベースには、ユーザに閲覧可能となった過去の公開データが蓄積されたデータベースである。
なお、
図10の記載は、各データベースがすべてマニュアル配信サーバ5内に格納されていることを限定するものではなく、複数の装置に分散して格納されてもよい。制御部41から各データベースにデータをアクセス可能に構成されていればよく、各データベースの配置は柔軟に設計可能である。例えば、各データベースは、マニュアル配信サーバ5からアクセス可能なデータベースサーバに格納されていてもよい。
【0036】
ユーザデータベースは、プリンタ3の各ユーザに関する情報を含む。
図11に示す例において、各レコードは1ユーザについての情報(ユーザ情報)を含む。一例としてユーザ情報は、「ユーザ名」、「ログインID」、「パスワード」、「使用場所」、「購入日」、「製品モデル」、「S/N(シリアル番号)」、「印字タイプ」、「オプション」、「サービス契約」、「エラー」の各フィールドの値からなる。
「使用場所」フィールドの値は、保守サービス契約があるユーザがプリンタ3を使用する場所を特定する情報である。
「購入日」フィールドの値は、電子機器としてのプリンタ3の使用履歴に関する情報の一例である。
「印字タイプ」フィールドには、プリンタ3の印字方式として熱転写方式であるか感熱方式であるかを示す値(電子機器としてのプリンタ3の仕様に関する情報の一例)が格納される。
「オプション」フィールドには、ユーザがプリンタ3の購入時にプリンタ3に装着した装置を示す値が格納される。オプションの装置として、例えば「クレードルキット」、「カッタキット」、「無線LANキット」等がある。
「サービス契約」フィールドには、ユーザがプリンタ3の保守サービスに対する契約を行ったか否かを示す値(電子機器としてのプリンタ3に対する保守サービスに対するユーザによる契約の有無に関する情報の一例)が格納される。
「エラー」フィールドには、プリンタ3のエラーの発生日時と、発生したエラーのエラーメッセージ(エラー種別の一例)とが格納される。
図11のユーザデータベースの各フィールドの値は、例えばユーザごとの購買履歴情報から取得される。購買履歴情報から「ログインID」,「パスワード」の各フィールドの値が得られない場合は、最初にオンラインマニュアルにアクセスするときにユーザによるユーザ端末2に基づいて、「ログインID」,「パスワード」の各フィールドの値を取得する。
図11のユーザデータベースのフィールドのうち、「エラー」フィールドの値は、ユーザのプリンタ3との通信によってプリンタ3から取得される。
【0037】
図11のユーザデータベースは一例に過ぎず、他のフィールドを適宜設けてもよい。例えば、ユーザのメールアドレス、オンラインマニュアルのアクセス歴、製品使用履歴等のフィールドを設けてもよい。
【0038】
通信部53は、ユーザ端末2との間でHTTPに従った通信を行い、制御部41によって作成されたHTML文書をユーザ端末2へ送信する。また、通信部53は、必要に応じて、ユーザが使用するプリンタ3との通信を行う。
【0039】
図10を再度参照すると、プリンタ3は、制御部31、ストレージ32、搬送部33、印字部34、および、通信部35を含む。
【0040】
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、プリンタ3の全体を制御する。例えば、制御部31に含まれるマイクロプロセッサは、ストレージ32に記録されているファームウェアをロードして実行することで、様々な機能を実現する。例えば、制御部31は、印字データに基づいて搬送部33および印字部34に対する制御等を行う。ストレージ32は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)である。ストレージ32には、上述したファームウェアのほか、印字レイアウトに対応する様々な形式のデータが記録されている。
【0041】
搬送部33は、図示しないプラテンローラ、モータ駆動回路、および、ステッピングモータを含み、プリンタ3内の連続紙の搬送を行う。例えば、制御部31による搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するステッピングモータを駆動することによって、連続紙を搬送させる。
【0042】
印字部34は、図示しないサーマルヘッドおよびヘッド駆動回路を含み、サーマルヘッドとプラテンローラとの間で連続紙が挟持された状態で連続紙に対して印字を行う。印字部34に対して制御部31から、印字データのライン毎のデータであるラインデータが順次、送出される。ヘッド駆動回路は、ラインデータに基づき、サーマルヘッドの各発熱素子に選択的に電流を流して発熱させることで、連続紙に対して印字を行う。
ここで、印字タイプが「感熱」であるプリンタ3では、連続紙として感熱紙を使用し、発熱させたサーマルヘッドを感熱紙に当てることで印字を行う。印字タイプが「熱転写」であるプリンタ3では、インクリボンに塗布されたインクを発熱させたサーマルヘッドにより連続紙に転写して印字を行う。いずれかの印字タイプが、ユーザが使用するプリンタ3に応じてユーザデータベースに登録されている。
【0043】
制御部31は、エラーが生じた場合、エラーの発生日時と、エラーメッセージとを含むエラーデータをストレージ32に記録する。ユーザが保守サービスの契約を行っている場合、制御部31は、所定のタイミングで(例えば所定時間ごとに)、ストレージ32に記録され、かつ未送信のエラーデータがマニュアル配信サーバ5に送信されるように通信部35を制御する。
【0044】
(5)情報配信システム1の動作
次に、本実施形態の情報配信システム1の動作について
図12を参照して説明する。
図12は、本実施形態の情報配信システム1の動作を示すシーケンスチャートである。
【0045】
図12において、先ず、ユーザの所定の操作に応じて、ユーザ端末2のウェブブラウザがマニュアル配信サーバ5に対して、オンラインマニュアルの閲覧要求(HTTPリクエスト)を送信する(ステップS2)。当該閲覧要求を受けるとマニュアル配信サーバ5は、ログイン要求(HTML文書)をユーザ端末2送信する(ステップS4)。ユーザ端末2のウェブブラウザは、
図2の画面G1に示したように、ログイン要求画面を表示する(ステップS6)。ユーザがログイン要求画面においてログインIDおよびパスワードを入力して所定の操作を行うことで、ログインIDおよびパスワードがマニュアル配信サーバ5に送信される(ステップS8)。マニュアル配信サーバ5は、ログインIDおよびパスワードに基づいてユーザ認証を行い、認証OKである場合には(ステップS10:YES)、オンラインマニュアルの項目表示用データ(HTML文書)を作成して(ステップS12)、ユーザ端末2のウェブブラウザに返す(ステップS14)。
ユーザ端末2のウェブブラウザは、項目表示用データを解釈して項目一覧を表示する(ステップS16)。
【0046】
ステップS12で作成されるオンラインマニュアルの項目表示用データは、ユーザによって異なることがあるデータであり、作成に際してマニュアル配信サーバ5は、ユーザデータベースからステップS8で受信したログインIDに対応するユーザ情報を読み出す。
この項目表示用データは、
図3および
図9に例示したようにオンラインマニュアルの階層構造も含むデータとなっている。例えば、ログインしたユーザが使用するプリンタにオプション部品であるクレードルキットが装着されていない場合、
図3に示した階層構造が
図9に示したものに変更された状態で、項目表示用データがユーザ端末2に送信される。その場合、ステップS16で表示されるオンラインマニュアルでは、「オプションのクレードルキットを使用する」という項目が非表示となるため、ユーザがオンラインマニュアルにおいて目的となる項目に辿り着くのが容易となる。
【0047】
項目一覧の中から、ページに対応する項目が選択された場合、つまりページ要求操作が行われた場合(ステップS18:YES)、ユーザ端末2のウェブブラウザは、マニュアル配信サーバ5に対してページ要求を送信する(ステップS20)。ページ要求操作は、例えば
図9の「ACアダプタと電源コードを接続する」といった項目のように、ページPと対応付けられている項目に対する操作のことである。
マニュアル配信サーバ5は、ページ要求を受けてページデータ(HTML文書)を作成し(ステップS22)、ページデータをユーザ端末2のウェブブラウザに返す(ステップS24)。ステップS22で作成されるオンラインマニュアルのページデータは、ユーザによって異なることがあるデータである。
ユーザ端末2のウェブブラウザは、ページデータを解釈してページを表示する(ステップS26)。ページが表示された後、所定の操作を行うことで項目一覧の表示に戻る(ステップS28:YES)。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の情報配信システム1によれば、電子機器のオンラインマニュアルを電子機器のユーザに提供するに際し、当該ユーザのユーザ情報に基づいて、オンラインマニュアルの表示内容を当該ユーザにとって適したものに変更する。具体的には、ユーザ情報に基づき、閲覧要求に応じて閲覧可能なオンラインマニュアルの項目若しくはコンテンツが制限される。あるいは、ユーザ情報に基づいて、ユーザが閲覧するオンラインマニュアルの項目若しくはコンテンツの表示順序が変更されてもよい。このようにユーザに応じてオンラインマニュアルの表示内容を可変することで、ユーザにとって必要がない項目がなくなるため、ユーザに混乱を来たさず、また、ユーザが目的とする項目に早期に辿り着くことができ、オンラインマニュアルがユーザにとって使いやすいものとなる。
【0049】
上述した動作説明では、オプション部品の有無に応じてオンラインマニュアルの表示態様が異なる場合を例としたが、その他の例として、ユーザが使用するプリンタの印字タイプ(「熱転写」又は「感熱」)に応じてオンラインマニュアルの表示態様を異ならせるようにしてもよい。例えば、感熱タイプのプリンタを使用するユーザに提供するオンラインマニュアルには、熱転写タイプに関連する項目、例えばインクリボンに関連する項目を表示させないようにしてもよい。
上述した保守サービスがオンラインによるプリンタのサポート(オンラインサポート)を含むものである場合、保守サービスの契約がないユーザに提供するオンラインマニュアルには、例えば「各種設定」の項目に「サービス用アプリ」の項目等の、オンラインサポートに関連する項目を表示させないようにしてもよい。
【0050】
(6)オンラインマニュアルの表示態様の変形例
次に、ユーザごとに異なるオンラインマニュアルの表示態様の変形例について説明する。
【0051】
(6-1)第1の変形例
以下、第1の変形例について
図13および
図14を参照して説明する。
図13は、本実施形態の第1の変形例においてユーザ端末2の画面上の手順を示す図である。
図14は、本実施形態の第1の変形例において情報配信システム1の動作を示すシーケンスチャートの一例である。
第1の変形例では、保守サービス契約があるユーザに対して、保守サービス契約がないユーザと比較して異なる表示態様のオンラインマニュアルが提供される。
具体的には、プリンタ3に対する保守サービスに対するユーザによる契約がある場合に、マニュアル配信サーバ5の通信部53は、当該ユーザのプリンタ3と通信可能となるように構成される。通信部53は、当該ユーザのユーザ端末2から受信する操作要求に応じて、当該ユーザのプリンタ3に対して、操作要求に対応するコマンドを送信する。
【0052】
図13を参照すると、マニュアル配信サーバ5は、ユーザデータベースを参照して、ログインしたユーザに対する保守サービス契約があると判定すると、
図13の画面G5に示すように、当該ユーザとのプリンタ3との接続を許可するか否かを確認するウィンドウW1をユーザ端末2に表示させる。ウィンドウW1には、ボタンb1(「許可する」)とボタンb2(「許可しない」)を含む。ここで、ボタンb1(「許可する」)が選択された場合、マニュアル配信サーバ5は、オンラインマニュアルのページ上の操作によって、ユーザのプリンタ3にリモートで操作が可能となるように、ページデータを構成し、ユーザ端末2にページデータを送信する。他方、ボタンb2(「許可しない」)が選択された場合、マニュアル配信サーバ5は、
図4および
図5の画面G4に対応する通常のページデータを送信する。
【0053】
図14を参照すると、ボタンb1(「許可する」)が選択された後に、ユーザ端末2のウェブブラウザが、マニュアル配信サーバ5に対してページ要求を送信する(ステップS20a)。この例では、ページ要求は、「印字濃度の調整」という項目に対応するページの要求である場合を想定する。
マニュアル配信サーバ5は、ページ要求を受けてページデータ(HTML文書)を作成し(ステップS22a)、ページデータをユーザ端末2のウェブブラウザに返す(ステップS24a)。ステップS22で作成されるオンラインマニュアルのページデータは、ページ上での操作によってページの表示態様が変更され、あるいは、ページ操作に応じた操作要求をマニュアル配信サーバ5に送信するように構成されている。
【0054】
ページデータを受信すると、ユーザ端末2のウェブブラウザは、ページデータを解釈してページを表示する(ステップS26a)。表示されるページの例が
図13の画面G6である。
画面G6では、印字濃度を変更するためのインジケータIND1が(+)ボタン又は(-)ボタンの操作により可変となるように表示される。そして、ユーザ端末2のウェブブラウザは、ボタンb3(「適用」)の操作に応じて(ステップS30、マニュアル配信サーバ5に対して操作要求を送信する(ステップS32)。この操作要求には、インジケータIND1で設定された印字濃度の大きさに関するデータが含まれる。
マニュアル配信サーバ5は、操作要求を受信すると、操作要求に対応するコマンドを作成して(ステップS34)、当該コマンドをユーザのプリンタ3に送信する(ステップS36)。プリンタ3は、当該コマンドを受信するとコマンドを実行してファームウェアが印字濃度の設定変更を行う(ステップS38)。
【0055】
この変形例では、保守サービス契約があるユーザに対しては、オンラインマニュアル上でユーザのプリンタ3に対して遠隔操作がなされるように、オンラインマニュアルが構成される。そのため、ユーザが自身でプリンタ3の操作を行う必要がなく便利である。
この変形例では、
図13の画面G5に示したように、プリンタ3との接続を許可するか否かを確認することが好ましい。つまり、通信部53は、ユーザ端末2によってユーザのプリンタ3との通信が許可された場合に、ユーザのプリンタ3に対して、操作要求に対応するコマンドを送信することが好ましい。ユーザが自身のプリンタ3に対して遠隔操作されることを望まず、自身でプリンタ3の設定変更を行いたい場合もあることから、ユーザに遠隔操作を許可するか否か事前に確認することが好ましい。
【0056】
(6-2)第2の変形例
次に、第2の変形例について
図15および
図16を参照して説明する。
図15は、本実施形態の第2の変形例においてユーザ端末2の画面上の手順を示す図である。
図16は、本実施形態の第2の変形例においてページデータを作成する処理を示すフローチャートの一例である。
第2の変形例では、マニュアル配信サーバ5は、保守サービス契約があるユーザのプリンタ3から逐次、エラー情報を取得し、ユーザデータベース(
図11参照)に蓄積する。そして、ユーザにオンラインマニュアルを表示させるときには、当該ユーザが使用するプリンタ3と同一モデルのプリンタ3の過去のユーザ情報を基に、オンラインマニュアルのエラー関連項目に含まれるコンテンツの表示順序をエラーメッセージ(エラー種別の一例)ごとの数に応じて変更する。
例えば、
図15のオンラインマニュアルの画面G7において、「困ったとき」の項目の中の「エラーメッセージが表示されたら」の項目が選択操作された場合、画面G8が表示される。画面G8において、複数のエラーメッセージのエラーリストELの表示順序は、ユーザデータベースで蓄積されたエラー情報に基づいている。
【0057】
図16を参照すると、本変形例では、「エラーメッセージが表示されたら」の項目に対応するページデータを作成する際に先ず、マニュアル配信サーバ5は、要求元のユーザ端末2のユーザのユーザ情報を参照して、ユーザの製品モデルを特定する(ステップS50)。次いで、マニュアル配信サーバ5は、ユーザデータベースのエラーフィールドの値のうち、ステップS50で特定した製品モデルと同一の製品モデルのレコードの値をすべて抽出し、エラーメッセージの種別ごとの数を集計して順位付けを行う(ステップS52)。次いでマニュアル配信サーバ5は、ステップS52で順位付けしたエラーメッセージに対応する各項目(エラー項目)と、エラー項目以外の他の項目とを結合してページデータを作成する(ステップS54)。
【0058】
この変形例では、
図15の画面G8のエラーリストELの表示順序が過去に発生したユーザのプリンタ3と同一モデルのエラー発生数の順となるため、ユーザが目的とするエラーメッセージの内容を早期に閲覧できる可能性が高くなるという利点がある。
【0059】
(6-3)第3の変形例
次に、第3の変形例について
図17を参照して説明する。
図17は、本実施形態の第3の変形例におけるオンラインマニュアルの表示例を示す図である。
第3の変形例では、ユーザによるプリンタ3の使用履歴の長短に応じてオンラインマニュアルの項目又はコンテンツの表示態様が変更される。
【0060】
マニュアル配信サーバ5の制御部51は、目次に対応するページデータを作成するに際し、ログインしたユーザのユーザ情報に含まれる「購入日」フィールドの値に基づき、ユーザによるプリンタ3の使用履歴が所定期間よりも長いと判断した場合、以下の処理を行う。すなわち、オンラインマニュアルにおいて、使用履歴の短いユーザ向けの所定の項目又は所定のコンテンツが閲覧できないように制御し、又は、所定の項目又は所定のコンテンツの表示位置を変更する。
例えば、
図17Aの画面G9は、プリンタ3の使用履歴が長いユーザに対して提供されるオンラインマニュアルの目次についてのページ例である。
図17Aの画面G9では、
図2の画面G2と比較すると、「はじめて使うとき」という項目IM1が複数の項目の最後に位置するように、各項目の表示順序が変更になっていることがわかる。このような表示順序とすることで、使用履歴が長いユーザがあまり閲覧しないと考えられる項目が目立たない位置となり、使用履歴が長いユーザにとって好適な表示形式とすることができる。
【0061】
マニュアル配信サーバ5の制御部51は、目次に対応するページデータを作成するに際し、ログインしたユーザのユーザ情報に含まれる「購入日」フィールドの値に基づき、ユーザによるプリンタ3の使用履歴が所定期間よりも短いと判断した場合、以下の処理を行う。すなわち、オンラインマニュアルにおいて、使用履歴の短いユーザ向けの所定の項目又は所定のコンテンツの表示位置を変更する。
例えば、
図17Bの画面G10は、プリンタ3の使用履歴が短いユーザに対して提供されるオンラインマニュアルの目次についてのページ例である。
図17Bの画面G10では、
図2の画面G2と比較すると、「はじめて使うとき」という項目IM1が複数の項目の中で目立つ位置に表示位置が変更され、結果的にページ内のコンテンツの順序を変更されていることがわかる。このような表示位置とすることで、使用履歴が短いユーザが頻繁に閲覧すると考えられる項目が目立つ位置に表示され、使用履歴が短いユーザにとって好適な表示形式とすることができる。
【0062】
(6-4)第4の変形例
次に、第4の変形例について説明する。
第4の変形例では、ユーザのプリンタ3の使用場所に最も近いサービス拠点の位置情報を含むコンテンツが表示されるように、当該ユーザに対してオンラインマニュアルが表示される。
この変形例では、マニュアル配信サーバ5のストレージ52に、プリンタ3についての保守サービスを提供するための複数のサービス拠点の各々に対応する位置情報が記録される。マニュアル配信サーバ5の制御部51は、オンラインマニュアルにおいて、複数のサービス拠点のうち、閲覧要求の要求元であるユーザ端末2のユーザのプリンタ3の使用場所に最も近いサービス拠点の位置情報を含むコンテンツが表示されるように制御する。このとき、ユーザデータベース(
図11)の「使用場所」フィールドの値が参照される。
【0063】
例えば、オンラインマニュアルの「保証と保守」(
図3参照)という項目が選択されたときに表示されるページにおいて、プリンタ3に対する複数のサービス拠点を単に列挙するのではなく、ユーザデータベースを参照して、ユーザの使用場所に最も近いサービス拠点のみを表示させる(つまり、閲覧可能なコンテンツを制限する)。あるいは、複数のサービス拠点のうちユーザの使用場所に最も近いサービス拠点に関するテキストを先頭に配置させる(つまり、コンテンツの表示順序を変更する)等、最も近いサービス拠点を目立つ態様で表示させてもよい。このように表示させることでユーザは、自身がコンタクトすべきサービス拠点を速やかに認識することができる。
【0064】
以上、本発明の報処理システム、サーバ、情および、情報処理方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態および変形例は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述したいずれかの変形例で述べた技術的事項は、適宜他の変形例と組み合わせて適用することができる。
上述した実施形態では、オンラインマニュアルにアクセスするときにユーザがログインIDを入力する場合について説明したが、その限りではない。ログインIDを入力する代わりに、ユーザがオンラインマニュアルにアクセスしたときに保守サービス契約の有無、装着されているオプション部品、印字タイプをユーザに選択させることによって、当該ユーザに提供するオンラインマニュアルの表示態様を決定してもよい。それによって、ログインIDとパスワードを入力する手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0065】
1…情報配信システム
2…ユーザ端末
21…制御部
22…ストレージ
23…操作入力部
24…表示部
25…通信部
3…プリンタ
31…制御部
32…ストレージ
33…搬送部
34…印字部
35…通信部
5…マニュアル配信サーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
101…タイトル表示部
102…メニュー表示部
103…本文表示部
P…ページ
A1~A6…領域
T…テンプレート
G1~G10…画面
W1…ウィンドウ
b1~b3…ボタン
EL…エラーリスト
IND1…インジケータ
IM1…項目
NW…ネットワーク