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特許7339856鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部構造
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  • 特許-鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20230830BHJP
   E04B 1/30 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
E04B1/58 505P
E04B1/30 K
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019200618
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021075840
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】石岡 拓
(72)【発明者】
【氏名】西村 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】千田 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 崇宏
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-081403(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38 - 1/61
E04B 1/30
E04B 1/16
E04C 3/06
E04C 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱を鉄筋コンクリート造にして梁を鉄骨造にする混合構造建築物において、
最上部の鉄筋コンクリート柱(12)と鉄骨梁(13)との接合部(11)の上部に、前記鉄筋コンクリート柱(12)の柱主筋(15)を定着させる役目のロ型定着プレートと、応力を伝達する役目のダイアフラムとを兼用する役目の兼用プレート(14)を配設した構成であり、
当該兼用プレート(14)は、四角形状に形成されて、それぞれの辺(14a)に前記鉄骨梁(13)が連接しており、
前記鉄筋コンクリート柱(12)の上部には、縦方向に柱主筋(15)が配筋されており、
前記兼用プレート(14)には、前記鉄筋コンクリート柱(12)の上部から配筋された前記柱主筋(15)の上端部(15a)を挿通させるための複数の孔部が設けられており、当該孔部に前記柱主筋(15)の上端部(15a)を挿通させた状態で当該上端部(15a)にナット(17)を螺着して固定すること
を特徴とする鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱を鉄筋コンクリート(RC)造にして、梁を鉄骨(S)造にする混合構造建築物(RCS造)における、最上部の鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、梁貫通型の柱RC梁S接合工法は、図3に示すように、交差する両方向の鉄骨梁(H形鋼)1を鉄筋コンクリート柱2に貫通させ、接合部を構築する工法である。この工法における最上部の接合部3は、柱主筋4に十分な定着長を確保できない箇所であるため、上部にロ型定着プレート5を配設し、当該ロ型定着プレート5に挿通させた柱主筋4の上端部4aにナット6を螺着して固定し、柱主筋4の定着性能を確保している。
【0003】
一方、通しダイアフラム型の柱RC梁S接合工法は、両方向の鉄骨梁(H形鋼)1を鉄筋コンクリート柱2に貫通させず、図4及び図5に示すように、ふさぎ板7の上部及び下部にダイアフラム8を配設して、接合部9を構築する工法である。なお、図4においては、ふさぎ板7の一部を破断して内部構造を示している。
【0004】
ダイアフラム8は、図5に示すように、略十字形状を呈し、中央部に円形のコンクリート打設用の開口部8aが形成され、四隅には鉄筋コンクリート柱2の柱主筋4を挿通させるための切欠き部8bが形成されており、鉄骨梁1と鉄筋コンクリート柱2との間で応力を伝達する役目を果たしている。
【0005】
なお、特開平7-207755号公報には、通しダイアフラム型の柱RC梁S接合工法における接合部の構造が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-207755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例の通しダイアフラム型の柱RC梁S接合工法において、ダイアフラム8の上部に前述のロ型定着プレート5を配設する工法を用いると、近接して板材を二枚重ねて取り付けることとなり(図4及び図5参照)、材料無駄が発生して、施工コストが悪いだけでなく、施工性が劣るという問題点を有している。
【0008】
従って、従来例における通しダイアフラム型の柱RC梁S接合工法においては、材料無駄を解消して、施工コストを良好にし、施工性を改善することに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来例の課題を解決するための本発明の要旨は、柱を鉄筋コンクリート造にして梁を鉄骨造にする混合構造建築物において、最上部の鉄筋コンクリート柱(12)と鉄骨梁(13)との接合部(11)の上部に、前記鉄筋コンクリート柱(12)の柱主筋(15)を定着させる役目のロ型定着プレートと、応力を伝達する役目のダイアフラムとを兼用する役目の兼用プレート(14)を配設した構成であり、当該兼用プレート(14)は、四角形状に形成されて、それぞれの辺(14a)に前記鉄骨梁(13)が連接しており、前記鉄筋コンクリート柱(12)の上部には、縦方向に柱主筋(15)が配筋されており、前記兼用プレート(14)には、前記鉄筋コンクリート柱(12)の上部から配筋された前記柱主筋(15)の上端部(15a)を挿通させるための複数の孔部が設けられており、当該孔部に前記柱主筋(15)の上端部(15a)を挿通させた状態で当該上端部(15a)にナット(17)を螺着して固定することである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部構造によれば、最上部の鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部の上部に、鉄筋コンクリート柱の柱主筋を定着させる役目のロ型定着プレートと、応力を伝達する役目のダイアフラムとを兼用する役目の兼用プレートを配設した構成であり、即ち、二枚のプレートを一枚で兼用したことによって、従来例のように近接して板材を二枚重ねて取り付けることがなく、その結果、材料無駄が解消され、施工コストが良好になり、施工性が改善する。
そして、兼用プレートは四角形状に形成されて、それぞれの辺に鉄骨梁が連接していることによって、鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との間で応力を伝達する役目を果たすという優れた効果を奏する。
【0012】
兼用プレートには、柱主筋の上端部を挿通させるための複数の孔部が設けられており、孔部に柱主筋の上端部を挿通させた状態で当該上端部にナットを螺着して固定することによって、柱主筋の定着性能を確保できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部構造を一部破断して示す斜視図である。
図2】本発明に係る鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部構造を示す平面図である。
図3】従来例に係る梁貫通型の柱RC梁S接合工法における接合部を示す斜視図である。
図4】従来例に係る通しダイアフラム型の柱RC梁S接合工法における接合部を一部破断して示す斜視図である。
図5】従来例に係る通しダイアフラム型の柱RC梁S接合工法における接合部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1及び図2において、符号11は建物の最上部の鉄筋コンクリート柱12と鉄骨梁13との接合部を示し、この接合部11は、上部に兼用プレート14が配設される。兼用プレート14は、四角形状に形成されて、それぞれの辺14aに鉄骨梁13が連接する。
【0015】
鉄筋コンクリート柱12は、縦方向に柱主筋15が配筋されており、また、接合部11の部分にはふさぎ板16が設けられている。なお、図1においては、ふさぎ板16の一部を破断して内部構造を示している。
【0016】
鉄骨梁13は、具体的にはH形鋼であって、端部が接合部11に連接しており、接合部11において鉄骨梁13の上部のフランジ13aが兼用プレート14に溶接手段で固着されるとともに、下部のフランジ13bがダイアフラム18に溶接手段で固着されている(図1参照)。
【0017】
兼用プレート14は、四角形状に形成されて、それぞれの辺14aに鉄骨梁13の上部のフランジ13aが溶接手段で固着されて、鉄筋コンクリート柱12と鉄骨梁13との間で応力を伝達する役目を果たす。
【0018】
兼用プレート14の中央部には、コンクリート打設用の開口部14bが形成されている。
【0019】
また、兼用プレート14は、複数の孔部(図示せず)が設けられており、この孔部に柱主筋15の上端部15aを挿通させて、当該上端部15aにナット17を螺着して固定することによって、柱主筋15を定着させている。
【0020】
即ち、兼用プレート14は、従来例で説明した鉄筋コンクリート柱2の柱主筋4を定着させる役目のロ型定着プレート5(図3参照)と、応力を伝達する役目のダイアフラム8(図4及び図5参照)とを兼用する役目を果たすものである。
【0021】
なお、従来の通しダイアフラム型の柱RC梁S接合工法では、ダイアフラム8の四隅に鉄筋コンクリート柱2の柱主筋4を挿通させるための切欠き部8bが形成されているが(図4及び図5参照)、本発明の兼用プレート14には切欠き部は設けないものである。
【0022】
以上のように構成される鉄筋コンクリート柱12と鉄骨梁13との接合部11の構造は、最上部の鉄筋コンクリート柱12と鉄骨梁13との接合部の上部に、鉄筋コンクリート柱12の柱主筋15を定着させる役目のロ型定着プレート5と、応力を伝達する役目のダイアフラム8とを兼用する役目の兼用プレート14を配設することにより、即ち、二枚のプレートを一枚で兼用したことによって、従来例のように近接して板材を二枚重ねて取り付けることがなく、その結果、材料無駄が解消され、施工コストが良好になり、施工性が改善する。
そして、兼用プレートは四角形状に形成されて、それぞれの辺に鉄骨梁が連接していることによって、鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との間で応力を伝達する役目を果たすという優れた効果を奏する。
【符号の説明】
【0023】
1 鉄骨梁(H形鋼)
2 鉄筋コンクリート柱
3 接合部
4 柱主筋
4a 上端部
5 ロ型定着プレート
6 ナット
7 ふさぎ板
8 ダイアフラム
8a コンクリート打設用の開口部
8b 切欠き部
9 接合部
11 接合部
12 鉄筋コンクリート柱
13 鉄骨梁
13a上部のフランジ
13b下部のフランジ
14 兼用プレート
14a辺
14bコンクリート打設用の開口部
15 柱主筋
15a上端部
16 ふさぎ板
17 ナット
18 ダイアフラム
図1
図2
図3
図4
図5