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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置
(51)【国際特許分類】
   B61F 5/10 20060101AFI20230830BHJP
   F16F 9/02 20060101ALI20230830BHJP
   F16F 9/50 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B61F5/10 D
F16F9/02
F16F9/50
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019217742
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088201
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】森 加久見
(72)【発明者】
【氏名】中川 博史
(72)【発明者】
【氏名】杉田 竜壱
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-58779(JP,A)
【文献】特開平6-255485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 5/10
F16F 9/02
F16F 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と台車の間に配置された空気ばねと、前記車体に取り付けられ前記空気ばねの内圧を調節する高さ調整弁と、当該高さ調整弁の作動軸に連結された作動レバーと、当該作動レバーに連結された高さ調整棒と、当該高さ調整棒の下端部を支持して前記台車に固定された調整棒受金とを備えた鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置であって、
前記調整棒受金には、前記台車に固定された凸状の受座金と、当該受座金と車両内外方向で対向して嵌め合い可能に形成された嵌合部を有し前記高さ調整棒の下端部を支持する調整棒支持板とを備え、
前記受座金と前記嵌合部とを嵌め合い状態にして、前記調整棒支持板が車両外方からネジ部材によって前記受座金に固定されていることを特徴とする鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記嵌合部又は前記受座金には、車両上下方向に延設され車両内外方向へ起立する耳部を有し、当該耳部が相手側と嵌め合い可能に形成されていることを特徴とする鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記嵌合部は、前記受座金と嵌め合い可能に形成されたブロック体からなり、当該ブロック体が、前記高さ調整棒の下端部を連結する連結板を有する調整棒支持板本体に溶接固定されていることを特徴とする鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項4】
請求項3に記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記調整棒支持板本体には、前記ブロック体の下端部と当接する堰部が形成されていることを特徴とする鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記調整棒支持板本体は、前記ブロック体の車両外端面に溶接固定され前記ブロック体より車両下方に延設された基板を備え、当該基板の前記ブロック体へ溶接固定した固定フランジ部には、前記ブロック体より車両下方にて幅方向両端部に車両外方へ起立する2つの支持フランジ部が形成され、当該支持フランジ部の間には、前記固定フランジ部から車両外方へ略平行に離間した位置に前記連結板が固定されていることを特徴とする鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記調整棒受金は、前記台車の側バリより車両外方へ突設された横バリに対して車両前後方向の中央寄りで、前記横バリの下端面より車両上方に配置されていることを特徴とする鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置に関し、詳しくは、鉄道車両の車体と台車の間に配設されて車体の高さを所定範囲に保つ鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の鉄道車両では、レール上を走行する車輪を保持する台車とその上方に位置する車体との間に空気ばねを介在させ、乗客の乗降等により車体の高さが変化した場合、空気ばねの内圧を調整することによってその高さ(膨張量)を調節し、車体のレールからの高さを所定の範囲に保つ鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置を備えている。
【0003】
例えば、特許文献1には、上記鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の構成が開示されている。すなわち、図9に示すように、鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置100は、車体101と台車102の間に配置された空気ばね103と、車体101に取り付けられ空気ばね103の内圧を調節する高さ調整弁(レベリングバルブ)104と、高さ調整弁104の作動軸104aに連結された作動レバー104bと、作動レバー104bに連結された高さ調整棒(リンク)105と、高さ調整棒105の下端を台車102に固定する調整棒受金106とから構成されている。
【0004】
また、高さ調整棒105は、その上下方向の有効長さを調節できるように構成されており、その上端105aがロッドエンドベアリングを介して作動レバー104bに連結され、その下端105bがロッドエンドベアリングを介して調整棒受金106の下端部に連結されている。また、調整棒受金106は、例えば断面L字型の鋼材等によって構成されており、その上端部が台車102の側バリ102aの外側面に上下2本のボルト107a、107bを用いて固定され、その下端部が、台車102の下方に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-58779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置100には、以下のような問題があった。すなわち、調整棒受金106の下端部が、台車102の下方に突出していることによって、車両走行中に外部から線路内に侵入する動物等の衝撃荷重を受ける恐れがあった。また、調整棒受金106の下端部が動物等の衝撃荷重を受けると、調整棒受金106の上端部を固定する上下2本のボルト107a、107bの内、下方のボルト107bが折損して、上方のボルト107aを中心に調整棒受金106の下端部が上方へ回動することがある。その場合、高さ調整棒105の上下方向の有効長さが変化して、高さ調整弁104を破損又は誤作動させるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、車両走行中に調整棒受金の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、軽量かつ簡単な構造で調整棒受金を固定するネジ部材の損傷を回避して、高さ調整弁の破損又は誤作動を抑制できる鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置は、以下の構成を備えている。
(1)車体と台車の間に配置された空気ばねと、前記車体に取り付けられ前記空気ばねの内圧を調節する高さ調整弁と、当該高さ調整弁の作動軸に連結された作動レバーと、当該作動レバーに連結された高さ調整棒と、当該高さ調整棒の下端部を支持して前記台車に固定された調整棒受金とを備えた鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置であって、
前記調整棒受金には、前記台車に固定された凸状の受座金と、当該受座金と車両内外方向で対向して嵌め合い可能に形成された嵌合部を有し前記高さ調整棒の下端部を支持する調整棒支持板とを備え、
前記受座金と前記嵌合部とを嵌め合い状態にして、前記調整棒支持板が車両外方からネジ部材によって前記受座金に固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、調整棒受金には、台車に固定された凸状の受座金と、当該受座金と車両内外方向で対向して嵌め合い可能に形成された嵌合部を有し高さ調整棒の下端部を支持する調整棒支持板とを備え、受座金と嵌合部とを嵌め合い状態にして、調整棒支持板が車両外方からネジ部材によって受座金に固定されているので、車両走行中に調整棒受金の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、嵌め合い状態の受座金と嵌合部とが衝撃荷重を受け止めることができる。また、受座金と嵌合部とを嵌め合い状態にして、調整棒支持板がネジ部材によって受座金に固定されているという簡単な構造であるので、重量の大幅な増加を伴うこともない。そのため、調整棒支持板を受座金に固定するネジ部材に対する衝撃荷重を、軽量かつ簡単な構造で緩和でき、ネジ部材の損傷を回避し得る。その結果、高さ調整棒の下端部を支持する調整棒支持板の台車に対する位置ズレを抑止して、高さ調整弁の破損又は誤作動を抑制できる。
【0010】
よって、本発明によれば、車両走行中に調整棒受金の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、軽量かつ簡単な構造で調整棒受金を固定するネジ部材の損傷を回避して、高さ調整弁の破損又は誤作動を抑制できる鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置を提供することができる。
【0011】
(2)(1)に記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記嵌合部又は前記受座金には、車両上下方向に延設され車両内外方向へ起立する耳部を有し、当該耳部が相手側と嵌め合い可能に形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、嵌合部又は受座金には、車両上下方向に延設され車両内外方向へ起立する耳部を有し、当該耳部が相手側と嵌め合い可能に形成されているので、車両走行中に調整棒受金の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合、車両前後方向に作用する衝撃荷重を耳部を介して台車に固定された受座金へ効果的に逃すことができる。そのため、調整棒支持板を受座金に固定するネジ部材に対する衝撃荷重をより一層緩和して、ネジ部材の損傷を回避し、高さ調整棒の下端部を支持する調整棒支持板の台車に対する位置ズレをより一層抑止できる。その結果、高さ調整弁の破損又は誤作動をより一層抑制できる。
【0013】
(3)(1)又は(2)に記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記嵌合部は、前記受座金と嵌め合い可能に形成されたブロック体からなり、当該ブロック体が、前記高さ調整棒の下端部を連結する連結板を有する調整棒支持板本体に溶接固定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、嵌合部は、受座金と嵌め合い可能に形成されたブロック体からなり、当該ブロック体が、高さ調整棒の下端部を連結する連結板を有する調整棒支持板本体に溶接固定されているので、ブロック体からなる嵌合部と、高さ調整棒の下端部を連結する連結板を有する調整棒支持板本体とが、別体として形成されている。そのため、ブロック体からなる嵌合部を、例えばフライス盤等の機械加工によって簡単かつ精度良く形成した上で、調整棒支持板本体に溶接固定できる。その結果、受座金と嵌合部との嵌め合い精度が向上して、調整棒受金を固定するネジ部材の損傷をより一層回避でき、高さ調整弁の破損又は誤作動を抑制できる。
【0015】
(4)(3)に記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記調整棒支持板本体には、前記ブロック体の下端部と当接する堰部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、調整棒支持板本体には、ブロック体の下端部と当接する堰部が形成されているので、車両走行中に調整棒受金の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合、調整棒支持板本体とブロック体との溶接部に対する車両上方向への衝撃荷重を、堰部からブロック体へ逃がすことによって軽減させることができる。そのため、調整棒支持板本体とブロック体との溶接固定の信頼性を高め、高さ調整棒の下端部を支持する調整棒支持板の台車に対する位置ズレを抑止して、高さ調整弁の破損又は誤作動をより確実に抑制できる。
【0017】
(5)(3)又は(4)に記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記調整棒支持板本体は、前記ブロック体の車両外端面に溶接固定されブロック体より車両下方に延設された基板を備え、当該基板の前記ブロック体へ溶接固定した固定フランジ部には、前記ブロック体より車両下方にて幅方向両端部に車両外方へ起立する2つの支持フランジ部が形成され、当該支持フランジ部の間には、前記固定フランジ部から車両外方へ略平行に離間した位置に前記連結板が固定されていることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、調整棒支持板本体は、ブロック体の車両外端面に溶接固定されブロック体より車両下方に延設された基板を備え、当該基板のブロック体へ溶接固定した固定フランジ部には、ブロック体より車両下方にて幅方向両端部に車両外方へ起立する2つの支持フランジ部が形成され、当該支持フランジ部の間には、固定フランジ部から車両外方へ略平行に離間した位置に連結板が固定されているので、固定フランジ部と2つの支持フランジ部と連結板とによって、閉じたボックス断面を構成できる。そのため、高さ調整棒の下端部を連結する連結板を有する調整棒支持板本体の下端部における機械的強度を向上でき、車両走行中に調整棒受金の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、高さ調整棒の下端部を支持する調整棒支持板の変形や位置ずれ等を抑制させることができる。その結果、高さ調整弁の破損又は誤作動を抑制できる。
【0019】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、
前記調整棒受金は、前記台車の側バリより車両外方へ突設された横バリに対して車両前後方向の中央寄りで、前記横バリの下端面より車両上方に配置されていることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、調整棒受金は、台車の側バリより車両外方へ突設された横バリに対して車両前後方向の中央寄りで、横バリの下端面より上方に配置されているので、車両走行中に外部から線路内に動物等が侵入しても、台車の側バリより車両外方へ突設された横バリによって調整棒受金が保護され、調整棒受金の下端部が侵入する動物等の衝撃荷重を受ける可能性を低減できる。また、仮に、車両走行中に調整棒受金の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、横バリによってその衝撃荷重を軽減でき、調整棒受金を固定するネジ部材の損傷を回避して、高さ調整弁の破損又は誤作動を抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車両走行中に調整棒受金の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、軽量かつ簡単な構造で調整棒受金を固定するネジ部材の損傷を回避して、高さ調整弁の破損又は誤作動を抑制できる鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置における側面図である。
図2図1に示すA矢視図である。
図3図2に示すB矢視図である。
図4図3に示すC矢視図である。
図5図4に示す調整棒受金のみのD-D断面図である。
図6図5に示す調整棒受金に対する第1変形例の断面図である。
図7図5に示す調整棒受金に対する第2変形例の断面図である。
図8図5に示す調整棒受金に対する第3変形例の断面図である。
図9】特許文献1に開示された鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本実施形態に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。具体的には、本実施形態に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の構成例を詳細に説明した上で、その調整棒受金の変形例(第1変形例~第3変形例)を説明する。
【0024】
<本鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の構成例>
まず、本実施形態に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の構成例について、図1図5を用いて説明する。図1に、本発明の実施形態に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置における側面図を示す。図2に、図1に示すA矢視図を示す。図3に、図2に示すB矢視図を示す。図4に、図3に示すC矢視図を示す。図5に、図4に示す調整棒受金のみのD-D断面図を示す。
【0025】
図1図5に示すように、本実施形態に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置10は、車体1と台車2の間に配置された空気ばね3と、車体1に取り付けられ空気ばね3の内圧を調節する高さ調整弁4と、当該高さ調整弁4の作動軸41に連結された作動レバー42と、当該作動レバー42に連結された高さ調整棒5と、当該高さ調整棒5の下端部51を支持して台車2に固定された調整棒受金6とを備えている。また、調整棒受金6には、台車2に固定された凸状の受座金61と、当該受座金61と車両内外方向で対向して嵌め合い可能に形成された嵌合部62を有し高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63とを備えている。そして、受座金61と嵌合部62とを嵌め合い状態にして、調整棒支持板63が車両外方からネジ部材64によって受座金61に固定されている。
【0026】
本鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置10は、上記構成を有するので、車両走行中に線路内に侵入した動物等によって調整棒受金6の下端部が衝撃荷重を受けた場合でも、嵌め合い状態の受座金61と嵌合部62とが上記衝撃荷重を受け止めることができる。また、受座金61と嵌合部62とを嵌め合い状態にして、調整棒支持板63がネジ部材64によって受座金61に固定されているという簡単な構造であるので、重量の大幅な増加を伴うこともない。そのため、調整棒支持板63を受座金61に固定するネジ部材64に対する衝撃荷重を軽量かつ簡単な構造で緩和でき、ネジ部材64の損傷を回避し得る。その結果、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の台車2に対する位置ズレを抑止して、高さ調整弁4の破損又は誤作動を抑制できる。
【0027】
また、嵌合部62又は受座金61には、車両上下方向に延設され車両内外方向へ起立する耳部621(613:図6参照)を有し、当該耳部621(613:図6参照)が相手側と嵌め合い可能に形成されていることが好ましい。ここでは、嵌合部62には、車両上下方向に延設され車両内方へ起立する耳部621を有し、当該耳部621が受座金61と嵌め合い可能に形成されている。なお、受座金61は、上下方向に延設された直方体に形成され、台車2の側バリ21に溶接固定されている。耳部621は、受座金61と同一の長さで上下方向に延設され、受座金61の前端面と後端面とに嵌め合い可能に形成されている。また、受座金61の幅方向中央部には、ネジ部材64が係合するネジ溝611が、上下方向で2つ形成されている。嵌合部62と調整棒支持板63には、ネジ部材64の貫通孔が形成されている。
【0028】
この場合、車両走行中に調整棒受金6の下端部が動物等の衝撃荷重を受けたときにも、車両前後方向に作用する衝撃荷重を耳部621を介して台車2に固定された受座金61へ効果的に逃すことができる。そのため、調整棒支持板63を受座金61に固定するネジ部材64に対する衝撃荷重をより一層緩和して、ネジ部材64の損傷を回避し、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の台車2に対する位置ズレをより一層抑止できる。
【0029】
また、嵌合部62は、受座金61と嵌め合い可能に形成されたブロック体62Tからなり、当該ブロック体62Tが、高さ調整棒5の下端部51を連結する連結板631を有する調整棒支持板本体63Hに溶接固定されていることが好ましい。なお、ブロック体62Tの幅方向両端部に、一対の耳部621が形成され、耳部621同士の間に凹溝部622が形成され、凹溝部622内に受座金61の車両外方側が嵌合挿入されている。また、ブロック体62Tは、調整棒支持板本体63Hの上端側に溶接固定され、連結板631は、調整棒支持板本体63Hの下端側に形成されている。ブロック体62Tの幅寸法は、調整棒支持板本体63Hの同幅寸法と略同程度に形成され、ブロック体62Tの幅方向両端縁と調整棒支持板本体63Hの幅方向両端縁とが溶接固定されている。
【0030】
この場合、受座金61と嵌め合い可能に形成されたブロック体62Tからなる嵌合部62と、高さ調整棒5の下端部51を連結する連結板631を有する調整棒支持板本体63Hとが、別体として形成されている。そのため、ブロック体62Tからなる嵌合部62を、例えばフライス盤等の機械加工によって簡単かつ精度良く形成した上で、調整棒支持板本体63Hに溶接固定できる。その結果、受座金61と嵌合部62との嵌め合い精度が向上して、調整棒受金6を固定するネジ部材64の損傷をより一層回避でき、高さ調整弁4の破損又は誤作動を抑制できる。
【0031】
ここでは、高さ調整棒5の下端部51を連結する連結板631には、高さ調整棒5の下端部51に接続された軸受け部511のネジ軸を挿通する挿通孔632が、車両上下方向で所定の間隔を空けて複数個(例えば、3個)形成されている。一般に、車両の定期点検等の際に、車輪踏面の摩耗や打痕の発生等を検査して、車輪23の削正が行われることがある。その場合、車輪23の削正量に応じた車高の補正作業が必要となる。この車高の補正作業において、車両上下方向で所定の間隔を空けて複数個形成された挿通孔632の内、最適な挿通孔632を選択して軸受け部511を締結するだけでよく、調整棒受金6を固定するネジ部材64の位置を補正する等の手間を省くことができる。
【0032】
また、調整棒支持板本体63Hには、ブロック体62Tの下端部と当接する堰部633が形成されていることが好ましい。なお、堰部633は、ブロック体62Tの幅寸法と同程度の長さに形成された直方体で、調整棒支持板本体63Hに溶接等によって固定されている。
【0033】
この場合、車両走行中に調整棒受金6の下端部が動物等の衝撃荷重を受けたときにも、調整棒支持板本体63Hとブロック体62Tとの溶接部に対する車両上方向への衝撃荷重を、堰部633からブロック体62Tへ逃がすことによって軽減させることができる。そのため、調整棒支持板本体63Hとブロック体62Tとの溶接固定の信頼性を高め、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の台車2に対する位置ズレを抑止して、高さ調整弁4の破損又は誤作動をより確実に抑制できる。
【0034】
また、調整棒支持板本体63Hは、ブロック体62Tの車両外端面623に溶接固定されブロック体62Tより車両下方に延設された基板63H1を備え、当該基板63H1のブロック体62Tへ溶接固定した固定フランジ部63H11には、ブロック体62Tより車両下方にて幅方向両端部に車両外方へ起立する2つの支持フランジ部63H12、63H13が形成され、当該支持フランジ部63H12、63H13の間には、固定フランジ部63H11から車両外方へ略平行に離間した位置に連結板631が固定されていることが好ましい。
【0035】
なお、車両妻側(車両前後方向の中央側と反対方向)に位置する支持フランジ部63H12は、連結板631より板厚の厚い固定フランジ部63H11と一体で曲げ加工によって形成され、両者は略L字状断面に形成されている。また、支持フランジ部63H12は、固定フランジ部63H11の上端部まで延設され、連結板631より車両上方において、フランジ高さが徐々に低くなるように形成されている。一方、車両中央側に位置する支持フランジ部63H13は、連結板631と同程度の板厚で略矩形状に形成され、ブロック体62Tより車両下方において、固定フランジ部63H11と溶接固定されている。
【0036】
この場合、固定フランジ部63H11と2つの支持フランジ部63H12、63H13と連結板631とによって、閉じたボックス断面を構成できる。そのため、高さ調整棒5の下端部51を連結する連結板631を有する調整棒支持板本体63Hの下端部における機械的強度を向上できる。また、動物等の衝撃荷重を受ける車両妻側に位置する支持フランジ部63H12の機械的強度も向上できる。したがって、車両走行中に調整棒受金6の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の変形や位置ずれ等を抑制させることができる。その結果、高さ調整弁4の破損又は誤作動を抑制できる。
【0037】
また、調整棒受金6は、台車2の側バリ21より車両外方へ突設された横バリ22に対して車両前後方向の中央寄りで、横バリ22の下端面221より車両上方に配置されていることが好ましい。なお、台車2は、車両左右方向及び車両前後方向に配置された4つの車輪23を保持する左右一対の側バリ21と、左右の側バリ21をその中央部で連結し車輪23の動力機構等を保持する横バリ22とを備えている。また、横バリ22は、空気ばね3を支持するために側バリ21より車両外方へ突設して形成されている。側バリ21より車両外方へ突設して形成された横バリ22は、本鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置10よりも、車両外方へ突出している。なお、側バリ21より車両外方へ突設して形成された横バリ22は、空気ばね3の補助タンクとして使用する場合もある。
【0038】
この場合、車両走行中に外部から線路内に動物等が侵入しても、台車2の側バリ21より車両外方へ突設された横バリ22によって調整棒受金6が保護され、調整棒受金6の下端部が侵入する動物等の衝撃荷重を受ける可能性を低減できる。また、仮に、車両走行中に調整棒受金6の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、横バリ22によってその衝撃荷重を軽減でき、調整棒受金6を固定するネジ部材64の損傷を回避して、高さ調整弁4の破損又は誤作動を抑制できる。
【0039】
<調整棒受金の変形例>
次に、本実施形態に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置における調整棒受金の変形例について、図6図8を用いて説明する。図6に、図5に示す調整棒受金に対する第1変形例の断面図を示す。図7に、図5に示す調整棒受金に対する第2変形例の断面図を示す。図8に、図5に示す調整棒受金に対する第3変形例の断面図を示す。
【0040】
前述したように、調整棒受金6には、台車2に固定された凸状の受座金61と、当該受座金61と車両内外方向で対向して嵌め合い可能に形成された嵌合部62を有し高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63とを備えている。そして、受座金61と嵌合部62とを嵌め合い状態にして、調整棒支持板63が車両外方からネジ部材64によって受座金61に固定されている。ここで、受座金61と嵌合部62との嵌め合い構造は、図5に示した構造以外にも、以下のような各種構造に変形することができる。
【0041】
(第1変形例)
例えば、鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置10Bにおける第1変形例の調整棒受金6Bでは、図6に示すように、受座金61Bの幅寸法を嵌合部62より大きく形成し、受座金61Bの幅方向両端部に、嵌合部62の耳部621を挿入嵌合する凹溝614と車両外方に起立する耳部613を形成しても良い。この場合、受座金61Bの幅方向中央部612を嵌合部62の耳部621によって幅方向両側から挟持し、その耳部621を更に受座金61Bの耳部613によって幅方向両側から挟持する、2重嵌合構造となる。そのため、調整棒支持板63を受座金61Bに固定するネジ部材64に対する衝撃荷重をより一層緩和して、ネジ部材64の損傷を回避し、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の台車2に対する位置ズレをより一層抑止できる。なお、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63は、図5に示すものと共通であり、装置全体としての重量増加は僅かである。
【0042】
(第2変形例)
例えば、鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置10Cにおける第2変形例の調整棒受金6Cでは、図7に示すように、受座金61Cの幅寸法を変えずに高さ寸法を増加して、受座金61Cの外端面が直接に調整棒支持板63と当接させても良い。ここでは、嵌合部62C(ブロック体62TC)の耳部621Cは、高さ寸法が大きくなった上で2つに分割されて、調整棒支持板63の幅方向両端部に溶接固定される。この場合、受座金61Cの幅方向両端縁を嵌合部62C(ブロック体62TC)の耳部621Cによって、より広い範囲で幅方向両側から挟持する嵌合構造となる。そのため、調整棒支持板63を受座金61Cに固定するネジ部材64に対する衝撃荷重をより一層緩和して、ネジ部材64の損傷を回避し、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の台車2に対する位置ズレをより一層抑止できる。
【0043】
(第3変形例)
例えば、鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置10Dにおける第3変形例の調整棒受金6Dでは、図8に示すように、受座金61Dの外端部で両幅方向に突出する第1鍔部615を形成し、嵌合部62D(ブロック体62TD)の耳部621Dに受座金61Dの幅方向中央側へ突出し第1鍔部615と係合する第2鍔部6211を形成させても良い。この場合、受座金61Dと嵌合部62D(ブロック体62TD)とが、第1鍔部615と第2鍔部6211とによって、車両前後方向と車両内外方向の両方向において挟持する嵌合構造となる。そのため、調整棒支持板63を受座金61Dに固定するネジ部材64に対する衝撃荷重を車両前後方向と車両内外方向の両方向において緩和して、ネジ部材64の損傷を回避し、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の台車2に対する位置ズレをより一層抑止できる。ここでは、以上、3つの変形例を説明したが、本願発明の要旨を変更しない限り、上記変形例以外にも様々な変形が可能なことは言うまでもない。
【0044】
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置10、10B、10C、10Dによれば、調整棒受金6、6B、6C、6Dには、台車2に固定された凸状の受座金61、61B、61C、61Dと、当該受座金61、61B、61C、61Dと車両内外方向で対向して嵌め合い可能に形成された嵌合部62、62C、62Dを有し高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63とを備え、受座金61、61B、61C、61Dと嵌合部62、62C、62Dとを嵌め合い状態にして、調整棒支持板63が車両外方からネジ部材64によって受座金61、61B、61C、61Dに固定されているので、車両走行中に調整棒受金6、6B、6C、6Dの下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、嵌め合い状態の受座金61、61B、61C、61Dと嵌合部62、62C、62Dとが衝撃荷重を受け止めることができる。また、受座金61、61B、61C、61Dと嵌合部62、62C、62Dとを嵌め合い状態にして、調整棒支持板63がネジ部材64によって受座金61、61B、61C、61Dに固定されているという簡単な構造であるので、重量の大幅な増加を伴うこともない。そのため、調整棒支持板63を受座金61、61B、61C、61Dに固定するネジ部材64に対する衝撃荷重を、軽量かつ簡単な構造で緩和でき、ネジ部材64の損傷を回避し得る。その結果、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の台車2に対する位置ズレを抑止して、高さ調整弁4の破損又は誤作動を抑制できる。
【0045】
よって、本実施形態によれば、車両走行中に調整棒受金6、6B、6C、6Dの下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、軽量かつ簡単な構造で調整棒受金6、6B、6C、6Dを固定するネジ部材64の損傷を回避して、高さ調整弁4の破損又は誤作動を抑制できる鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置10、10B、10C、10Dを提供することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、嵌合部62、62C、62Dは、車両上下方向に延設され車両内方へ起立する耳部621、621C、621Dを有し、当該耳部621、621C、621Dが受座金61、61B、61C、61Dと嵌め合い可能に形成されているので、車両走行中に調整棒受金6、6B、6C、6Dの下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合、車両前後方向に作用する衝撃荷重を耳部621、621C、621Dから受座金61、61B、61C、61Dへ効果的に逃すことができる。そのため、調整棒支持板63を受座金61、61B、61C、61Dに固定するネジ部材64に対する衝撃荷重をより一層緩和して、ネジ部材64の損傷を回避し、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の台車2に対する位置ズレをより一層抑止できる。その結果、高さ調整弁4の破損又は誤作動をより一層抑制できる。
【0047】
また、本実施形態によれば、嵌合部62、62C、62Dは、受座金61、61B、61C、61Dと嵌め合い可能に形成されたブロック体62T、62TC、62TDからなり、当該ブロック体62T、62TC、62TDが、高さ調整棒5の下端部51を連結する連結板631を有する調整棒支持板本体63Hに溶接固定されているので、ブロック体62T、62TC、62TDからなる嵌合部62、62C、62Dと、高さ調整棒5の下端部51を連結する連結板631を有する調整棒支持板本体63Hとが、別体として形成されている。そのため、ブロック体62T、62TC、62TDからなる嵌合部62、62C、62Dを、例えばフライス盤等の機械加工によって簡単かつ精度良く形成した上で、調整棒支持板本体63Hに溶接固定できる。その結果、受座金61、61B、61C、61Dと嵌合部62、62C、62Dとの嵌め合い精度が向上して、調整棒受金6、6B、6C、6Dを固定するネジ部材64の損傷をより一層回避でき、高さ調整弁4の破損又は誤作動を抑制できる。
【0048】
また、本実施形態によれば、調整棒支持板本体63Hには、ブロック体62T、62TC、62TDの下端部と当接する堰部633が形成されているので、車両走行中に調整棒受金6、6B、6C、6Dの下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合、調整棒支持板本体63Hとブロック体62T、62TC、62TDとの溶接部に対する車両上方向への衝撃荷重を、堰部633からブロック体62T、62TC、62TDへ逃がすことによって軽減させることができる。そのため、調整棒支持板本体63Hとブロック体62T、62TC、62TDとの溶接固定の信頼性を高め、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の台車2に対する位置ズレを抑止して、高さ調整弁4の破損又は誤作動をより確実に抑制できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、調整棒支持板本体63Hは、ブロック体62T、62TC、62TDの車両外端面に溶接固定されブロック体62T、62TC、62TDより車両下方に延設された基板63H1を備え、当該基板63H1のブロック体62T、62TC、62TDへ溶接固定した固定フランジ部63H11には、ブロック体62T、62TC、62TDより車両下方にて幅方向両端部に車両外方へ起立する2つの支持フランジ部63H12、63H13が形成され、当該支持フランジ部63H12、63H13の間には、固定フランジ部63H11から車両外方へ略平行に離間した位置に連結板631が固定されているので、固定フランジ部63H11と2つの支持フランジ部63H12、63H13と連結板631とによって、閉じたボックス断面を構成できる。そのため、高さ調整棒5の下端部51を連結する連結板631を有する調整棒支持板本体63Hの下端部における機械的強度を向上でき、車両走行中に調整棒受金6、6B、6C、6Dの下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、高さ調整棒5の下端部51を支持する調整棒支持板63の変形や位置ずれ等を抑制させることができる。その結果、高さ調整弁4の破損又は誤作動を抑制できる。
【0050】
また、本実施形態によれば、調整棒受金6、6B、6C、6Dは、台車2の側バリ21より車両外方へ突設された横バリ22に対して車両前後方向の中央寄りで、横バリ22の下端面221より上方に配置されているので、車両走行中に外部から線路内に動物等が侵入しても、台車2の側バリ21より車両外方へ突設された横バリ22によって調整棒受金6、6B、6C、6Dが保護され、調整棒受金6、6B、6C、6Dの下端部が侵入する動物等の衝撃荷重を受ける可能性を低減できる。また、仮に、車両走行中に調整棒受金6、6B、6C、6Dの下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合でも、横バリ22によってその衝撃荷重を軽減でき、調整棒受金6、6B、6C、6Dを固定するネジ部材64の損傷を回避して、高さ調整弁4の破損又は誤作動を抑制できる。
【0051】
<変形例>
以上、本実施形態に係る鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置10、10B、10C、10Dを詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、本実施形態では、嵌合部62は、車両上下方向に延設され車両内方へ起立する耳部621を有し、当該耳部621が受座金61と嵌め合い可能に形成されている。しかし、必ずしも、上記嵌め合い構造に限る必要はない。例えば、嵌合部には耳部がなく、受座金に車両上下方向に延設され車両外方へ起立する耳部を有し、当該耳部が嵌合部と嵌め合い可能に形成されていても良い。この場合でも、車両走行中に調整棒受金の下端部が動物等の衝撃荷重を受けた場合、車両前後方向に作用する衝撃荷重を耳部から受座金へ効果的に逃すことができる。したがって、嵌合部又は受座金には、車両上下方向に延設され車両内外方向へ起立する耳部を有し、当該耳部が相手側と嵌め合い可能に形成されている構造でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、鉄道車両の車体と台車の間に配設されて車体の高さを所定範囲に保つ鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置として利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 車体
2 台車
3 空気ばね
4 高さ調整弁
5 高さ調整棒
6、6B、6C、6D 調整棒受金
10、10B、10C、10D 鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置
21 側バリ
22 横バリ
41 作動軸
42 作動レバー
51 下端部
61、61B、61C、61D 受座金
62、62C、62D 嵌合部
62T、62TC、62TD ブロック体
63 調整棒支持板
63H 調整棒支持板本体
63H1 基板
63H11 固定フランジ部
63H12、63H13 支持フランジ部
64 ネジ部材
221 下端面
613 耳部
621、621C、621D 耳部
623 車両外端面
631 連結板
633 堰部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9