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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】気泡含有量調整システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/00 20060101AFI20230830BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20230830BHJP
   F15B 21/044 20190101ALI20230830BHJP
【FI】
B01D19/00 Z
B01F23/20
F15B21/044
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019239249
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107060
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502340996
【氏名又は名称】学校法人法政大学
(73)【特許権者】
【識別番号】518436962
【氏名又は名称】坂間 清子
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 佳彬
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】小寺 康大
(72)【発明者】
【氏名】田中 豊
(72)【発明者】
【氏名】坂間 清子
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-262810(JP,A)
【文献】特開2013-192990(JP,A)
【文献】特開平07-039702(JP,A)
【文献】特開2015-203642(JP,A)
【文献】特開平08-318103(JP,A)
【文献】特開平05-131102(JP,A)
【文献】特開2018-088915(JP,A)
【文献】特開2018-102293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00-19/04
B01F 23/20-23/2375
B01F 35/00-35/95
F15B 20/00-21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中の気泡の含有量を調整する気泡含有量調整システムであって、
液体を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留される液体を吸い込んで吐出するポンプと、
前記タンクと前記ポンプとの間で液体を循環させる循環通路と、
前記循環通路に設けられ液体中の気泡を除去する気泡除去装置と、
前記循環通路を流れる液体に気泡を含有させる気泡混入装置と、
前記循環通路を流れる液体の気泡の含有量を測定する測定装置と、
液体中の気泡の含有量を調整するためのコントローラと、を備え、
前記循環通路は、
前記ポンプから吐出される液体を前記気泡除去装置に導く吐出通路と、
前記気泡除去装置によって気泡が除去された液体を導く導出通路と、
前記気泡除去装置によって除去される気泡を含んだ液体を排出する排出通路と、を有し、
前記気泡除去装置は、前記導出通路を通過する液体及び前記排出通路を通過する液体の少なくとも一方の流量を制御する制御弁を有し、
前記コントローラは、前記測定装置の測定結果に基づき、前記気泡除去装置の前記制御弁及び前記気泡混入装置の作動を制御することを特徴とする気泡含有量調整システム。
【請求項2】
前記制御弁は、前記導出通路及び前記排出通路のそれぞれに設けられることを特徴とする請求項1に記載の気泡含有量調整システム。
【請求項3】
前記測定装置は、前記気泡除去装置を通過して前記ポンプに吸い込まれる液体の気泡含有量を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の気泡含有量調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中の気泡の含有量を調整する気泡含有量調整システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メインタンクから流入された油の旋回流を利用して、該油を気泡が除去された第1の油と気泡を含む第2の油とに分離する気泡分離装置と、複数の仕切板と複数のフィルターを内蔵し、流入された第2の油に含まれる気泡を捕捉結合して放出するサブタンクと、を有する、液中気泡の分離除去循環システムが開示されている。このシステムでは、メインタンク内の油を第1の配管を経由してポンプで加圧して気泡分離装置に供給し、気泡分離装置で分離された第1の油を第2の配管を経由してメインタンク内に戻し、第2の油を第3の配管を経由してサブタンクに流入させ、サブタンクで気泡が除去された第3の油を第4の配管を経由してメインタンク内に戻している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-192990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、液圧機器を作動するための作動液中に気泡が多く含有されていると、キャビテーションの発生や作動液の劣化が生じやすくなり、その結果液圧機器の作動性能が低下するおそれがある。このため、作動液中の気泡は、特許文献1に開示されるような気泡除去装置を利用して、除去されることが望ましい。
【0005】
一方、液圧機器には、作動液に気泡が混入しやすい環境や、気泡除去装置による気泡の除去が困難な環境で使用されるものがある。よって、このような液圧機器の性能評価においては、使用される環境にあわせて、ある程度気泡が混入した状態で性能評価を行うことが望ましい。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、液体中の気泡の含有量を調整可能な気泡含有量調整システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、気泡含有量調整システムであって、タンクとポンプとの間で液体を循環させる循環通路と、循環通路に設けられ液体中の気泡を除去する気泡除去装置と、循環通路を流れる液体に気泡を含有させる気泡混入装置と、循環通路を流れる液体の気泡の含有量を測定する測定装置と、液体中の気泡の含有量を調整するためのコントローラと、を備え、循環通路は、ポンプから吐出される液体を気泡除去装置に導く吐出通路と、気泡除去装置によって気泡が除去された液体を導く導出通路と、気泡除去装置によって除去される気泡を排出する排出通路と、を有し、気泡除去装置は、導出通路を通過する液体及び排出通路を通過する液体の少なくとも一方の流量を制御する制御弁を有し、コントローラは、測定装置の測定結果に基づき、気泡除去装置の制御弁及び気泡混入装置の作動を制御することを特徴とする。
【0008】
この発明では、液体中の気泡の含有量を増加させる気泡混入装置及び液体中の気泡の含有量を減少させる気泡除去装置の作動を制御することで、液体中の気泡の含有量を増減させることができる。
【0009】
また、本発明では、制御弁は、導出通路及び排出通路のそれぞれに設けられる。
【0010】
この発明では、気泡が除去されて導出通路を通過する液体の流量と除去された気泡を含んで排出通路を通過する液体の流量との両方が制御されるため、気泡除去装置によって除去される気泡量の調整の自由度が向上する。
【0011】
また、本発明では、測定装置は、ポンプから吐出され気泡除去装置を通過してタンクに導かれる作動油の気泡含有量を測定する。
【0012】
この発明では、測定装置は、ポンプから吐出され気泡除去装置に導かれる液体ではなく、気泡除去装置を通過してポンプに吸い込まれる液体の気泡含有量を測定する。このため、ポンプの内部で気泡が発生しても、その分に応じて気泡除去装置によって気泡が液体中から除去されるため、ポンプの内部での気泡の発生の有無にかかわらず、液体の気泡含有量を所望の値に制御することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液体中の気泡の含有量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る気泡含有量調整システムを示す油圧回路図である。
図2】本発明の実施形態に係る気泡含有量調整システムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る気泡除去装置の管路部を示す断面図である。
図4図3におけるIV-IV線に沿った断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る気泡含有量調整システムの変形例を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る気泡含有量調整システム100について説明する。
【0016】
気泡含有量調整システム100は、例えば、評価対象である油圧機器(液圧機器)の性能評価試験を行う性能評価システム1に用いられる。
【0017】
気泡含有量調整システム100は、図1に示すように、液体としての作動油が循環する循環通路10と、循環通路10に設けられ作動油を貯留するタンク20と、タンク20に貯留される作動油を吸い込んで吐出し作動油を循環通路10内で循環させるポンプとしての油圧ポンプ30と、循環通路10に設けられ作動油中の気泡を除去する気泡除去装置40と、循環通路10を流れる作動油に気泡を含有させる気泡混入装置60と、循環通路10を流れる作動油の気泡の含有量を測定する測定装置70と、作動油中の気泡の含有量を調整するためのコントローラ80(図2参照)と、を備える。
【0018】
油圧ポンプ30は、図示しない電動モータによって回転駆動され、吸込通路11を通じてタンク20から作動油を吸い込み、吸い込んだ作動油を加圧して吐出通路12を通じて吐出する。油圧ポンプ30は、例えば、ベーンポンプである。本実施形態では、この油圧ポンプ30が、性能評価試験の評価対象としての油圧機器である。つまり、本実施形態では、性能評価システム1の評価対象である油圧機器としてのポンプと、気泡含有量調整システム100におけるポンプと、が互いに共通使用される。吐出通路12には、油圧ポンプ30の性能を評価するための情報を収集する評価測定装置2が設けられる。
【0019】
気泡除去装置40には、油圧ポンプ30から吐出される作動油が導かれる吐出通路12と、気泡が除去された作動油が導かれる導出通路13と、除去された気泡を排出する排出通路14と、が接続される。
【0020】
導出通路13及び排出通路14は、それぞれタンク20に接続される。導出通路13には、測定装置70が設けられる。また、排出通路14には、サブタンク21が設けられる。吸込通路11、吐出通路12、導出通路13、及び排出通路14によって、循環通路10が構成される。
【0021】
気泡除去装置40は、作動油から気泡を分離除去するための管路部41と、導出通路13に設けられ導出通路13を通過する作動油の流量を制御する第1制御弁50(制御弁)と、排出通路14に設けられ排出通路14を通過する作動油の流量を制御する第2制御弁55(制御弁)と、を有する。
【0022】
気泡除去装置40は、図3に示すように、管路部41によって形成される流体圧室42内に旋回流を発生させ、旋回流の遠心力を利用して作動油と気泡とを分離除去するいわゆるサイクロン型(遠心分離型)のものである。
【0023】
管路部41は、内径が所定の第1内径D1に形成される第1管路部43と、内径が第1内径D1よりも小さい第2内径D2に形成される第2管路部44と、第1管路部43と第2管路部44とを接続し内径が第1内径D1から第2内径D2へ徐々に減少するテーパ管路部45と、第1管路部43の内側に連通するベントポート46と、を有する。第1管路部43、第2管路部44、テーパ管路部45、及びベントポート46は、互いに同軸に形成される。第1管路部43及び第2管路部44は、それぞれ内径が軸方向において一定であるストレート管路である。
【0024】
第1管路部43には、図3及び図4に示すように、その接線方向に沿って作動油を導く一対の流入ポート47a,47bが接続される。一対の流入ポート47a,47bは、それぞれ吐出通路12に連通し、互いに第1管路部43の中心軸に対して対称となる位置に設けられる。なお、図3においては、一方の流入ポート47bは、破線で模式的に表している。
【0025】
第2管路部44は、図3に示すように、導出通路13に連通する。テーパ管路部45は、内周面がテーパ面状(円錐面状)に形成される。ベントポート46は、排出通路14に連通し、テーパ管路部45とは軸方向の反対側から第1管路部43の内部に開口する。ベントポート46の内径は、第2内径D2よりも小さく形成される。
【0026】
油圧ポンプ30から吐出される作動油は、図4に示すように、吐出通路12から一対の流入ポート47a,47bを通じて、第1管路部43の接線方向から第1管路部43内に流入する。これにより、管路部41の内部の流体圧室42には、管路部41の中心軸回りに旋回流が発生する(図4中矢印参照)。
【0027】
流体圧室42で発生した旋回流の遠心力によって、作動油が管路部41の内周(流体圧室42の内壁)に集められ、作動油に含有される気泡が管路部41の中心軸付近に集められる。このようにして、作動油から気泡が分離される。旋回流の遠心力によって管路部41の内周に集められた作動油は、テーパ管路部45の内周面に案内されて第1管路部43から第2管路部44側へ導かれる(図3参照)。よって、気泡が分離された作動油が、第2管路部44から導出通路13へと導かれる。
【0028】
また、第2管路部44の第2内径D2は、第1管路部43の第1内径D1よりも小さいため、テーパ管路部45内には流路径の減少による背圧が生じる。この背圧によって、中心軸付近に集められた気泡が作動油の一部と共にベントポート46を通じて排出通路14から排出される。
【0029】
このようにして、気泡除去装置40は、作動油中から気泡を分離し、気泡が除去された作動油を導出通路13に導くと共に、気泡(厳密には気泡を多く含む作動油)を排出通路14から排出する。
【0030】
第1制御弁50及び第2制御弁55は、図1に示すように、それぞれソレノイド51,56への通電量に応じて開口面積が比例的に変化する比例ソレノイドバルブである。
【0031】
第1制御弁50は、管路部41と測定装置70との間において導出通路13に設けられる。第1制御弁50は、ソレノイド51への通電量の増加に伴い、導出通路13を遮断する遮断ポジション50Aから導出通路13を開放する開放ポジション50Bへと切り換えられる。より具体的には、第1制御弁50は、ソレノイド51への通電によって生じる電磁力と付勢部材であるスプリング52のばね力とが釣り合う位置に弁体(図示省略)が移動して、弁体の位置に応じた開口面積(開度)で開放ポジション50Bとなるように開弁する。第1制御弁50は、ソレノイド51への通電量に応じて開口面積が変化することにより、通過する作動油の流量、つまり、気泡が除去されて導出通路13を通過する作動油の流量を制御する。第1制御弁50は、ソレノイド51の消磁時においてはスプリング52の付勢力によって導出通路13を遮断する遮断ポジション50Aとなる。
【0032】
第2制御弁55は、管路部41とサブタンク21との間において排出通路14に設けられる。第1制御弁50と同様に、第2制御弁55は、ソレノイド56への通電量の増加に伴い、排出通路14を遮断する遮断ポジション55Aから排出通路14を開放する開放ポジション55Bへと切り換えられる。第2制御弁55は、ソレノイド56への通電によって生じる電磁力と付勢部材であるスプリング57のばね力とが釣り合う位置に弁体(図示省略)が移動して、弁体の位置に応じた開口面積(開度)で開放ポジション55Bとなるように開弁する。第2制御弁55は、ソレノイド56への通電量に応じて開口面積が変化することにより、分離された気泡を含み排出通路14を通じてサブタンク21に排出される作動油の流量を制御する。第2制御弁55も、ソレノイド56の消磁時においてはスプリング57の付勢力によって排出通路14を遮断する遮断ポジション55Aとなる。
【0033】
気泡混入装置60は、タンク20内に設けられ互いに噛み合う一対のギヤ61a,61bと、一方のギヤ61aを回転駆動する電動モータ62(図2参照)と、を有する。電動モータ62によってギヤ61a,61bが回転駆動されることで、タンク20内に貯留された作動油が撹拌され、タンク20内の作動油に気泡が含有される。電動モータ62の回転速度が速いほどタンク20内の作動油がより撹拌されて、より多くの気泡が作動油に含有される。
【0034】
測定装置70は、所定の時間間隔(サンプリング周期)によって作動油中の気泡含有量を測定する。測定装置70が測定した作動油中の気泡含油量(以下、「実含有量」と称する。)は、コントローラ80(図2参照)に入力される。測定装置70は、作動油中の気泡含有量を測定する公知の装置を採用することができるため、具体的な説明は省略する。
【0035】
コントローラ80は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。コントローラ80は、複数のマイクロコンピュータで構成されてもよい。コントローラ80は、少なくとも、本実施形態や変形例に係る制御のために必要な処理を実行可能となるようにプログラムされている。なお、コントローラ80は一つの装置として構成されていても良いし、複数の装置に分けられ、本実施形態における各制御を当該複数の装置で分散処理するように構成されていてもよい。
【0036】
次に、気泡含有量調整システム100の作動について説明する。
【0037】
タンク20内の作動油は、気泡混入装置60によって撹拌されることで、ある程度気泡が含有された状態に保たれる。また、油圧ポンプ30は、一定の速度で回転駆動され、気泡を含んだ作動油をタンク20から吸い込んで吐出する。油圧ポンプ30から吐出される作動油の圧力及び流量等が評価測定装置2によって測定され、評価測定装置2の測定結果に基づいて油圧ポンプ30の性能評価が行われる。油圧ポンプ30の性能評価方法については、公知の手法を採用することができるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
油圧ポンプ30から吐出される作動油は、気泡除去装置40に導かれる。気泡除去装置40に導かれた作動油の一部は、管路部41によって気泡が分離されて導出通路13及び第1制御弁50を通じて測定装置70に導かれ、残りは管路部41によって分離された気泡と共に排出通路14及び第2制御弁55を通じてサブタンク21に排出される。導出通路13に導かれる作動油と排出通路14に導かれる作動油との流量の割合は、第1制御弁50と第2制御弁55との開度に応じて定まる。つまり、第1制御弁50と第2制御弁55との開度に応じて、作動油から分離されてサブタンク21に排出される(除去される)気泡量が定まる。
【0039】
気泡を含んでサブタンク21に導かれる作動油は、サブタンク21にて貯留される。サブタンク21において作動油を貯留することで、作動油中に含有された気泡は大気中に放出される。気泡が大気中に放出された作動油は、排出通路14を通じてタンク20へと導かれる。
【0040】
気泡除去装置40から測定装置70に導かれた作動油は、測定装置70によって気泡含有量が測定される。測定装置70を通過した作動油は、タンク20に導かれ、タンク20内の気泡混入装置60によって撹拌されることで再び気泡を含有して油圧ポンプ30に吸い込まれる。
【0041】
このような気泡含有量調整システム100においては、循環通路10内の作動油の気泡含有量は、主に気泡混入装置60によって含有される気泡量と、気泡除去装置40によって除去される気泡量と、によって定まる。よって、本実施形態では、作動油中の気泡含有量を増加させる気泡混入装置60と作動油中の気泡含有量を低下させる気泡除去装置40との作動をコントローラ80によって制御することで、循環通路10内の作動油の気泡含有量を所望の値に調整する。以下、気泡含有量の調整方法について説明する。
【0042】
コントローラ80は、気泡混入装置60の電動モータ62、気泡除去装置40の第1制御弁50、及び第2制御弁55の作動を制御して、循環通路10を流れる作動油の気泡含有量を調整する。
【0043】
気泡混入装置60の電動モータ62は、一定速度で回転するように作動が制御される。これにより、気泡混入装置60によってタンク20内の作動油中に一定量の気泡が含有される。
【0044】
第1制御弁50は、測定装置70から入力される気泡の作動油中の気泡含有量に応じて、フィードバック制御される。第2制御弁55は、所定の開度で開放ポジション55Bに切り換えられ、その開度が維持されるように制御される。
【0045】
以下、第1制御弁50のフィードバック制御について説明する。
【0046】
コントローラ80には、予め設定される作動油中の気泡含有量の目標値(以下、「目標含有量」と称する。)が記憶される。コントローラ80は、測定装置70から作動油中の実含有量のデータが入力されると、実含有量が目標含有量と一致するように、気泡除去装置40の第1制御弁50の作動をフィードバック制御する。このように、測定装置70の測定の時間間隔とコントローラ80の制御の時間間隔とは一致するように構成される。
【0047】
具体的には、コントローラ80は、測定装置70から実含有量のデータが入力されると、目標含有量から実含有量を減算して、目標含有量と実含有量の偏差を算出する。コントローラ80は、算出された偏差に対して、予め定められるゲイン値を乗算して、第1制御弁50のソレノイド51への指令電流値を算出する。コントローラ80は、このように算出された指令電流値分だけ、ソレノイド51への通電量を増減させる。つまり、偏差の絶対値が大きいほど、指令電流値の絶対値は大きくなる。なお、ゲイン値は、偏差と第1制御弁50のソレノイド51への指令電流値との関係が第1制御弁50に所望の動作を実現させるものとなるように、予め適切に調整される。
【0048】
目標含有量が実含有量よりも小さい場合には、偏差は負の値となり、コントローラ80は、指令電流値分だけ第1制御弁50のソレノイド51への通電量を減少させる。これにより、第1制御弁50の開度は減少する。第1制御弁50の開度が減少すると、第1制御弁50で生じる圧力損失が大きくなるため、作動油は、管路部41から導出通路13へ導かれにくくなる。これにより、管路部41内に発生する背圧が大きくなり、管路部41内で分離された気泡がベントポート46を通じて排出されやすくなる(図3参照)。よって、第1制御弁50の開度が減少すると、管路部41において作動油から除去される気泡量が増加し、導出通路13に導かれる作動油の気泡含有量は減少する。したがって、実含有量が低下し、目標含有量との偏差が小さくなる。
【0049】
目標含有量が実含有量よりも大きい場合には、偏差が負の値となり、コントローラ80は、指令電流値分だけ第1制御弁50のソレノイド51への通電量を増加させる。これにより、第1制御弁50の開度は増加する。第1制御弁50の開度が増加すると、第1制御弁50で生じる圧力損失が小さくなって管路部41内で生じる背圧が小さくなるため、管路部41内で分離された気泡がベントポート46を通じて排出されにくくなる。これにより、導出通路13に導かれる作動油の気泡含有量は増加する。したがって、実含有量が増加して、目標含有量との偏差が小さくなる。
【0050】
このようにして、第1制御弁50の作動を所定の時間間隔ごとにフィードバック制御することで、実含有量が目標含有量と一致するように作動油中の気泡の含有量が調整される。
【0051】
目標含有量は、油圧ポンプ30によって吸い込まれる作動油中の気泡含有量が、性能評価試験に適した値となるように設定される。本実施形態では、測定装置70は、吸込通路11ではなく、導出通路13に設けられ、油圧ポンプ30から吐出されてタンク20に還流される作動油の気泡含有量を測定する。このため、目標含有量は、性能評価試験に適した気泡含有量から、タンク20において気泡混入装置60によって含有される気泡量を除いた値に設定される。
【0052】
なお、気泡混入装置60によって作動油に含有される気泡量は、電動モータ62の回転数に基づいて求めることができる。本実施形態では、気泡混入装置60の電動モータ62は一定速度で回転するため、気泡混入装置60によって作動油中に含有される気泡量は、略一定となり、容易に把握することができる。
【0053】
以上のように、気泡混入装置60と気泡除去装置40の作動を制御して実含有量が目標含有量と一致するように気泡含有量を調整することで、油圧ポンプ30によって吸い込まれる作動油の気泡含有量を所望のものとすることができる。よって、気泡が含有されやすい条件下で使用される油圧ポンプ30の性能評価を精度よく行うことができる。
【0054】
ここで、一般に、油圧ポンプの内部では、キャビテーション等によって作動油中に気泡が発生することがある。油圧ポンプの内部で発生する気泡量は、油圧ポンプの作動条件等によって異なるため、油圧ポンプの内部で発生する気泡を考慮して目標気泡量を設定することは困難である。このような場合において、測定装置を吐出通路に設けると、油圧ポンプの内部で発生した気泡を含んだ作動油の気泡含有量を実含有量として測定することになり、油圧ポンプの内部で発生する気泡を含んだ実含有量が目標含有量となるように第1制御弁がフィードバック制御されることになる。つまり、実際に油圧ポンプが吸い込み作動油に含有される気泡量は、所望する気泡含有量よりも油圧ポンプの内部で発生した気泡の含有量分だけ少ない。よって、適切な条件で油圧ポンプの性能評価を行うことができず、性能評価の精度が低下するおそれがある。
【0055】
これに対し、本実施形態では、測定装置70は、吐出通路12に設けられるものではなく、導出通路13に設けられる。測定装置70は、気泡除去装置40を通過した作動油の気泡含有量を実含有量として測定し、この実含有量に基づいて第1制御弁50がフィードバック制御される。よって、油圧ポンプ30の内部で気泡が発生しても、その分に応じて気泡除去装置40によって気泡が除去されるため、油圧ポンプ30の内部での気泡の発生の有無にかかわらず、タンク20に導かれる作動油の気泡含有量は、目標含有量に制御される。よって、本実施形態によれば、性能評価を精度よく行うことができる。
【0056】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0057】
気泡含有量調整システム100では、作動油に気泡を含有させる気泡混入装置60と、作動油から気泡を除去する気泡除去装置40と、の作動が制御される。よって、油圧ポンプ30の性能評価システム1など、作動油中にある程度の気泡含有量が求められるシステムにおいて、作動油中の気泡含有量を所望の値に調整することができる。
【0058】
また、気泡含有量調整システム100では、気泡除去装置40は、導出通路13に設けられる第1制御弁50と、排出通路14に設けられる第2制御弁55と、を有する。これにより、気泡が除去されて導出通路13を通過する作動油の流量と除去された気泡を含んで排出通路14を通過する作動油の流量との両方が制御されるため、気泡除去装置40によって除去される気泡量の調整の自由度を向上させることができる。
【0059】
また、測定装置70は、気泡除去装置40を通過した作動油の気泡含有量を実含有量として測定し、この実含有量に基づいて第1制御弁50がフィードバック制御される。よって、油圧ポンプ30の内部で気泡が発生しても、その分に応じて気泡除去装置40によって気泡が除去されるため、油圧ポンプ30の内部での気泡の発生の有無にかかわらず、タンク20に導かれる作動油の気泡含有量は、目標含有量に制御される。よって、気泡含有量調整システム100によれば、性能評価システム1における性能評価を精度よく行うことができる。
【0060】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0061】
まず、気泡混入装置60及び気泡除去装置40の作動の制御に関する変形例について説明する。
【0062】
上記実施形態では、気泡混入装置60の電動モータ62を一定速度で回転するように制御すると共に気泡除去装置40の第2制御弁55を開度が一定となるように制御する一方、気泡除去装置40の第1制御弁50の開度をフィードバック制御することで、作動油の気泡含有量が調整される。つまり、上記実施形態では、気泡混入装置60が作動油に含有させる気泡量を一定に制御し、気泡除去装置40が作動油中から除去する気泡量を変化させるように制御することで、作動油中の気泡含有量が所望の値に調整される。
【0063】
これに対し、気泡含有量調整システム100では、気泡除去装置40の第1制御弁50と第2制御弁55、及び気泡混入装置60の電動モータ62の作動の制御は、上記実施形態で説明した制御に限られるものではない。例えば、気泡含有量調整システム100では、気泡混入装置60が作動油に含有させる気泡量を変化させ、気泡除去装置40が作動油から除去する気泡量を一定に制御してもよい。また、気泡混入装置60が作動油に含有させる気泡量及び気泡除去装置40が作動油から除去する気泡量の両方を変化させるように制御してもよい。
【0064】
言い換えれば、気泡混入装置60の電動モータ62の回転速度、気泡除去装置40の第1制御弁50の開度、及び気泡除去装置40の第2制御弁55の開度は、いずれか一つが変化するように制御されその他が一定となるように制御されてもよいし、いずれか二つが変化するように制御されその他が一定となるように制御されてもよいし、三つすべてが変化するように制御されてもよい。
【0065】
例えば、気泡混入装置60の電動モータ62の回転速度及び気泡除去装置40の第1制御弁50の開度を一定に制御し、気泡除去装置40の第2制御弁55の開度を測定装置70が測定した実含有量に基づいてフィードバック制御してもよい。この変形例では、気泡混入装置60によって作動油に含有される気泡量が略一定である。また、この変形例では、実含有量が目標含有量よりも大きいと、第2制御弁55は開度が増加するように制御される。第2制御弁55の開度が増加すると、ベントポート46を通じてサブタンク21に排出される、気泡を含む作動油の流量が増加する。これにより、流体圧室42内から除去される気泡量が増加するため、第1制御弁50を通過して循環通路10に還流される作動油に含まれる気泡量、つまり、実含有量が低下し、実含有量と目標含有量との偏差が小さくなる。反対に、実含有量が目標含有量よりも小さいと、第2制御弁55は開度が低下するように制御される。第2制御弁55の開度が低下すると、ベントポート46を通じてサブタンク21に排出される、気泡を含む作動油の流量が減少する。これにより、流体圧室42内から除去される気泡量が減少し、流体圧室42内に残留する気泡量が増加するため、実含有量が増加して、実含有量と目標含有量との偏差が小さくなる。
【0066】
また、例えば、気泡除去装置40の第1制御弁50及び第2制御弁55の開度をそれぞれ一定に制御し、気泡混入装置60の電動モータ62の回転速度を測定装置70が測定した実含有量に基づいてフィードバック制御してもよい。この変形例では、気泡除去装置40によって作動油から除去される気泡量が略一定である。この変形例では、実含有量が目標含有量よりも大きいと、気泡混入装置60の電動モータ62は、回転速度が低下するように制御される。電動モータ62の回転速度が低下すると、タンク20内で撹拌される作動油の量が低下し、タンク20内で作動油に含有される気泡量が低下する。気泡除去装置40によって除去される気泡量は略一定であるため、タンク20内で作動油に含有される気泡量が低下することで、実含有量が低下し、実含有量と目標含有量との偏差が小さくなる。反対に、実含有量が目標含有量よりも小さいと、電動モータ62は、回転速度が増加するように制御される。電動モータ62の回転速度が増加すると、タンク20内で作動油に含有される気泡量が増加する。これにより、実含有量が増加して、実含有量と目標含有量との偏差が小さくなる。
【0067】
以上のような各変形例においても、循環通路10を流れる作動油の気泡含有量を所望の値へと制御することができる。
【0068】
なお、本明細書において、「気泡除去装置の制御弁及び気泡混入装置の作動を制御する」とは、第1制御弁50、第2制御弁55、及び電動モータ62の作動状態(開度又は回転速度)をそれぞれ変化させるように制御することのみならず、いずれか一つ又は二つの作動状態が一定に維持されるように制御することも含むものである。
【0069】
次に、その他の変形例について説明する。
【0070】
上記実施形態では、油圧ポンプ30は、循環通路10内で作動油を循環させるポンプとして機能する一方、性能評価システム1における性能評価の評価対象でもある。これに対し、図5に示すように、評価対象となる油圧ポンプ30を含む評価試験用の回路系統と、評価対象とは別の油圧ポンプ30を含む気泡含有量調整用の回路系統と、をそれぞれ設けてもよい。図5に示す変形例では、気泡含有量調整システム100における循環通路10とは別に、タンク20と評価対象である油圧ポンプPとの間で作動油を循環させる評価用の第2循環通路15が設けられる。評価測定装置2は、第2循環通路15に設けられ、油圧ポンプPから吐出される作動油の圧力及び流量を測定する。このような変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。また、性能評価の評価対象は、ポンプに限らず、液圧モータなど、その他の液圧機器であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、気泡混入装置60は、タンク20内に設けられるギヤ61a,61bと、当該ギヤ61a,61bを駆動する電動モータ62と、を有する。これに対し、気泡混入装置60は、上記実施形態の構成に限らず、循環通路10内を流れる作動油に気泡を含有させることができるものであれば、その他の構成でもよい。例えば、気泡混入装置60は、エアコンプレッサーと、当該エアコンプレッサーから吐出される空気を循環通路10内の作動油に含有させるノズルと、を備えるものでもよい。この場合には、エアコンプレッサーの駆動源(電動モータ等)の作動やノズルを通過する空気の流量を制御する制御弁の作動をコントローラ80によって制御して、気泡混入装置60が作動油に含有させる気泡量を調整すればよい。
【0072】
また、上記実施形態では、測定装置70は、気泡除去装置40からタンク20に導かれる作動油の気泡含有量を測定する。これに対し、測定装置70が循環通路10のどの位置において作動油の気泡含有量を測定するかは、任意の構成とすることができる。なお、上述のように、油圧ポンプ30にて発生する気泡の影響を抑制するためには、測定装置70は、油圧ポンプ30から吐出され気泡除去装置40に導かれる作動油(言い換えれば吐出通路12を通過する作動油)ではなく、気泡除去装置40を通過して油圧ポンプ30に吸い込まれる作動油(言い換えれば、環流通路、タンク20、及び吸込通路11を通過する作動油)の気泡含有量を測定することが望ましい。
【0073】
また、上記実施形態では、気泡除去装置40に接続される導出通路13及び排出通路14にそれぞれ第1制御弁50と第2制御弁55とが設けられる。これに対し、気泡除去装置40の作動を制御するには、少なくとも第1制御弁50及び第2制御弁55の一方が設けられていればよい。また、第1制御弁50及び第2制御弁55は、比例ソレノイドバルブに限られず、コントローラ80によって開度が制御されるものであれば、その他のバルブであってもよい。
【0074】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0075】
気泡含有量調整システム100は、作動油を貯留するタンク20と、タンク20に貯留される作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプ30と、タンク20と油圧ポンプ30との間で作動油を循環させる循環通路10と、循環通路10に設けられ作動油中の気泡を除去する気泡除去装置40と、循環通路10を流れる作動油に気泡を含有させる気泡混入装置60と、循環通路10を流れる作動油の気泡の含有量を測定する測定装置70と、作動油中の気泡の含有量を調整するためのコントローラ80と、を備え、循環通路10は、油圧ポンプ30から吐出される作動油を気泡除去装置40に導く吐出通路12と、気泡除去装置40によって気泡が除去された作動油を導く導出通路13と、気泡除去装置40によって除去される気泡を排出する排出通路14と、を有し、気泡除去装置40は、導出通路13を通過する作動油及び排出通路14を通過する作動油の少なくとも一方の流量を制御する制御弁(第1制御弁50、第2制御弁55)を有し、コントローラ80は、測定装置70の測定結果に基づき、気泡除去装置40の制御弁(第1制御弁50、第2制御弁55)及び気泡混入装置60の作動を制御する。
【0076】
この構成では、作動油中の気泡の含有量を増加させる気泡混入装置60及び作動油中の気泡の含有量を減少させる気泡除去装置40の作動を制御することで、作動油中の気泡の含有量を増減させることができる。したがって、作動油の気泡の含有量を調整することができる。
【0077】
また、気泡含有量調整システム100では、制御弁(第1制御弁50、第2制御弁55)は、導出通路13及び排出通路14のそれぞれに設けられる。
【0078】
この構成では、気泡が除去されて導出通路13を通過する作動油の流量と除去された気泡を含んで排出通路14を通過する作動油の流量との両方が制御されるため、気泡除去装置40によって除去される気泡量の調整の自由度が向上する。
【0079】
また、気泡含有量調整システム100では、測定装置70は、油圧ポンプ30から吐出され気泡除去装置40を通過してタンク20に導かれる作動油の気泡含有量を測定する。
【0080】
この構成では、測定装置70は、油圧ポンプ30から吐出され気泡除去装置40に導かれる作動油ではなく、気泡除去装置40を通過して油圧ポンプ30に吸い込まれる作動油の気泡含有量を測定する。このため、油圧ポンプ30の内部で気泡が発生しても、その分に応じて気泡除去装置40によって気泡が除去されるため、油圧ポンプ30の内部での気泡の発生の有無にかかわらず、作動油の気泡含有量を所望の値に制御することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0082】
10…循環通路、12…吐出通路、13…導出通路、14…排出通路、20…タンク、30…油圧ポンプ(ポンプ)、40…気泡除去装置、50…第1制御弁(制御弁)、55…第2制御弁、60…気泡混入装置、70…測定装置、80…コントローラ、100…気泡含有量調整システム
図1
図2
図3
図4
図5