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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】アンダーランプロテクタの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/24 20060101AFI20230830BHJP
   B62D 21/02 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B60R19/24 S
B60R19/24 Q
B62D21/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020021600
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021126943
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390001579
【氏名又は名称】プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】武田 喜裕
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001834(JP,A)
【文献】特開2013-144484(JP,A)
【文献】特開平10-218011(JP,A)
【文献】特開平02-151578(JP,A)
【文献】特開2002-362410(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19625380(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/24
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャシフレームの左右のサイドメンバにそれぞれ取り付けられる取付ステーと、
左右の前記取付ステーに掛け渡して設けられるアンダーランプロテクタと、
前記左右のサイドメンバに掛け渡して取り付けられる補強用クロスメンバとを備え、
前記補強用クロスメンバは、前記取付ステーと共に前記サイドメンバに共締めされる取付部を備え
前記補強用クロスメンバは、1枚の金属板により上面視U字状かつ断面C字状に形成され、
前記補強用クロスメンバは、断面形状において上下方向に延びる補強ウェブ部と、前記補強ウェブ部の上端から水平方向に屈曲して形成される補強上フランジ部と、前記補強ウェブ部の下端から水平方向に屈曲して形成される補強下フランジ部とを備え、
前記補強ウェブ部、前記補強上フランジ部および前記補強下フランジ部は、上面視U字状に形成され、
前記取付部は、前記補強用クロスメンバの左右両側部の補強ウェブ部に形成された
ことを特徴とするアンダーランプロテクタの取付構造。
【請求項2】
前記取付部には、前記サイドメンバと前記補強用クロスメンバを締結し、かつ、前記取付ステーを締結しない仮止め用ボルトを挿通させるための仮止め用ボルト穴が形成された
請求項1に記載のアンダーランプロテクタの取付構造。
【請求項3】
前記補強用クロスメンバは、左右両側部の前記補強ウェブ部を前記サイドメンバに沿わせるように配置された
請求項1又は2に記載のアンダーランプロテクタの取付構造。
【請求項4】
前記左右のサイドメンバは、断面C字状に形成されると共に、開口を互いに対向させて配置され、
前記取付部は、前記サイドメンバのウェブ部の車幅方向内側に重ね合わされ、
前記取付ステーの締結部は、前記サイドメンバのウェブ部の車幅方向外側に重ね合わされた
請求項1からのいずれか一項に記載のアンダーランプロテクタの取付構造。
【請求項5】
シャシフレームの左右のサイドメンバにそれぞれ取り付けられる取付ステーと、
左右の前記取付ステーに掛け渡して設けられるアンダーランプロテクタと、
前記左右のサイドメンバに掛け渡して取り付けられる補強用クロスメンバとを備え、
前記補強用クロスメンバは、前記取付ステーと共に前記サイドメンバに共締めされる取付部を備え、
前記補強用クロスメンバは、各1枚の金属板により上面視U字状かつ断面C字状に形成された2つの部材を上面視H字状になるように接合して構成され、
前記部材は、断面形状において上下方向に延びる補強ウェブ部と、前記補強ウェブ部の上端から水平方向に屈曲して形成される補強上フランジ部と、前記補強ウェブ部の下端から水平方向に屈曲して形成される補強下フランジ部とを備え、
前記補強ウェブ部、前記補強上フランジ部および前記補強下フランジ部は、上面視U字状に形成され、
前記取付部は、1つの前記部材の左右両側部の補強ウェブ部に形成された
ことを特徴とするアンダーランプロテクタの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンダーランプロテクタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
アンダーランプロテクタは、前方から突入してきた車両や追突してきた車両を受け止めて自車への潜り込みを防止し、車両の乗員を保護する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-188018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、アンダーランプロテクタの右側又は左側に大きく偏って車両が突入又は追突(以下、オフセット衝突)してきた場合、オフセット側のサイドメンバが車幅方向の内方に折れるモードとなり、所期の強度を発揮できない可能性がある。具体的には、オフセット衝突時の衝突荷重は、アンダーランプロテクタからオフセット側のステーに集中して伝わり、オフセット側のサイドメンバのウェブに集中して伝わる。このため、サイドメンバのウェブに座屈が生じ、所期の強度を発揮できない可能性がある。
【0005】
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、オフセット衝突に対する強度を向上できるアンダーランプロテクタの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、
シャシフレームの左右のサイドメンバにそれぞれ取り付けられる取付ステーと、
左右の前記取付ステーに掛け渡して設けられるアンダーランプロテクタと、
前記左右のサイドメンバに掛け渡して取り付けられる補強用クロスメンバとを備え、
前記補強用クロスメンバは、前記取付ステーと共に前記サイドメンバに共締めされる取付部を備えた
ことを特徴とするアンダーランプロテクタの取付構造が提供される。
【0007】
好ましくは、前記取付部には、前記サイドメンバと前記補強用クロスメンバを締結し、かつ、前記取付ステーを締結しない仮止め用ボルトを挿通させるための仮止め用ボルト穴が形成される。
【0008】
好ましくは、前記補強用クロスメンバは、上面視U字状に形成され、左右両側部を前記サイドメンバに沿わせるように配置される。
【0009】
好ましくは、前記補強用クロスメンバは、断面形状において上下方向に延びる補強ウェブ部と、前記補強ウェブ部の上端から水平方向に屈曲して形成される補強上フランジ部と、前記補強ウェブ部の下端から水平方向に屈曲して形成される補強下フランジ部とを備え、
前記取付部は、前記補強用クロスメンバの左右両側部の補強ウェブ部に形成される。
【0010】
好ましくは、前記左右のサイドメンバは、断面C字状に形成されると共に、開口を互いに対向させて配置され、
前記取付部は、前記サイドメンバのウェブ部の車幅方向内側に重ね合わされ、
前記取付ステーの締結部は、前記サイドメンバのウェブ部の車幅方向外側に重ね合わされる。
【0011】
また、前記補強用クロスメンバは、上面視H字状に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記の態様によれば、オフセット衝突に対する強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施の形態に係るアンダーランプロテクタ及び補強用クロスメンバの斜視図である。
図2】補強用クロスメンバの斜視図である。
図3図1の上面断面図である。
図4】オフセット衝突を受けた本実施の形態に係る車両の要部上面図である。
図5図4の右側面図である。
図6】他の実施の形態を示すアンダーランプロテクタ及び補強用クロスメンバの斜視図である。
図7】他の実施の形態を示す補強用クロスメンバの斜視図である。
図8】オフセット衝突を受けた比較例に係る車両の要部上面図である。
図9図8の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお、後述する実施の形態における前後左右上下の各方向は、車両の各方向をいうものとする。ただし、本実施の形態における各方向は、説明の便宜のために用いるものであり、後述する部材間の相対的な位置関係を表す。
【0015】
図1はアンダーランプロテクタ1及び補強用クロスメンバ2を斜め上方から視た斜視図である。
【0016】
図1に示すように、アンダーランプロテクタ1の取付構造は、シャシフレーム3の左右のサイドメンバ4a、4bにそれぞれ取り付けられる取付ステー5a、5bと、左右の取付ステー5a、5bに掛け渡して設けられるアンダーランプロテクタ1と、左右のサイドメンバ4a、4bに掛け渡して取り付けられる補強用クロスメンバ2とを備える。
【0017】
シャシフレーム3は、左右方向に離間して配置され前後方向に延びる一対のサイドメンバ4a、4bと、サイドメンバ4a、4b間に掛け渡して設けられる複数のクロスメンバ6とを備える。左右のサイドメンバ4a、4bは、断面C字状に形成されると共に、C字の開口を互いに対向させて配置される。すなわち、サイドメンバ4a、4bは、断面形状において上下方向に延びるウェブ部7aと、ウェブ部7aの上端から車幅方向内側に延びる上フランジ部7bと、ウェブ部7aの下端から車幅方向内側に延びる下フランジ部7cとを備える。図3に示すように、ウェブ部7aには、後述する共締め用ボルト8を挿通させるための第1共締め用ボルト穴8aが形成されると共に、後述する仮止め用ボルト9を挿通させるための第1仮止め用ボルト穴9aが形成される。
【0018】
図1及び図3に示すように、取付ステー5a、5bは、上下方向に延びると共に、下部を後方に屈曲させて形成される。これにより取付ステー5a、5bは、一端を上方に向けると共に他端を後方に向ける姿勢でサイドメンバ4a、4bに取り付けられる。すなわち、取付ステー5a、5bの上部には、サイドメンバ4a、4bに締結される締結部10が形成される。締結部10は、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aの車幅方向外側に配置される。そして、締結部10は、後述する補強用クロスメンバ2の取付部11と共にサイドメンバ4a、4bに共締め用ボルト8及びナット12で共締めされる。すなわち、締結部10には、共締め用ボルト8を挿通させるための第2共締め用ボルト穴8bが形成されている。また、取付ステー5a、5bは、断面C字状に形成される。具体的には、取付ステー5a、5bは、締結部10を構成するウェブ部13を中心としてその両側にフランジ部14a、14bを備える。フランジ部14a、14bは、締結部10の前後両端から車幅方向外側に屈曲して形成される。これにより、取付ステー5a、5bは、前後方向、上下方向及び左右方向の力に対して強化されている。
【0019】
アンダーランプロテクタ1は、リアアンダーランプロテクタである。アンダーランプロテクタ1は、左右方向に延びるバー状に形成されると共に閉断面に形成される。また、アンダーランプロテクタ1は、左右の取付ステー5a、5bの他端に取り付けられる。
【0020】
さて、従来のアンダーランプロテクタの取付構造(図示せず)は、左右のサイドメンバに取付ステーを介してアンダーランプロテクタを取り付ける。このため、例えばアンダーランプロテクタの右側に他の車両がオフセット衝突してきた場合、その衝突荷重は、アンダーランプロテクタから右側(オフセット側)の取付ステーに集中して伝わり、右側のサイドメンバに集中して伝わる。このため、右側のサイドメンバが車幅方向の内方に折れるモードとなり、所期の強度を発揮できない可能性がある。ここで所期の強度とは、アンダーランプロテクタを支持してアンダーランプロテクタの前方への変位量を法規等に規定される上限内に収める強度である。
【0021】
そこで図1図2及び図3に示すように、本実施の形態におけるアンダーランプロテクタ1の取付構造は、補強用クロスメンバ2を備える。また、補強用クロスメンバ2は、取付ステー5a、5bの締結部10と共にサイドメンバ4a、4bに共締めされる取付部11を備える。これにより、取付ステー5a、5bと締結される部分を厚くでき局部的に強度を向上させることができると共に、オフセット側のサイドメンバ4aにかかる偏荷重を反オフセット側のサイドメンバ4bに分散させることができる。
【0022】
補強用クロスメンバ2は、1枚の金属板にプレス加工等を施すことで形成され、上面視U字状に形成される。また、補強用クロスメンバ2は、U字の中央部15を左右のサイドメンバ4a、4b間に位置させ、左右両側部16a、16bをサイドメンバ4a、4bに沿わせると共に中央部15から後方に延ばす姿勢でシャシフレーム3に設けられる。
【0023】
また、補強用クロスメンバ2は、断面C字状に形成される。具体的には、補強用クロスメンバ2は、断面形状において上下方向に延びる補強ウェブ部17aと、補強ウェブ部17aの上端から水平方向に屈曲して形成される補強上フランジ部17bと、補強ウェブ部17aの下端から水平方向に屈曲して形成される補強下フランジ部17cとを備える。補強ウェブ部17aは、補強用クロスメンバ2の上面視形状において外周端に位置される。補強上フランジ部17b及び補強下フランジ部17cは、補強ウェブ部17aからその上面視形状であるU字の内方に延びるように形成される。
【0024】
また特に、補強用クロスメンバ2の左右両側に位置される補強上フランジ部17b及び補強下フランジ部17cの左右方向の幅は、後端から前方に向かうにつれて拡大するように形成される。これにより、左右両側に位置される補強上フランジ部17b及び補強下フランジ部17cは、車幅方向外方の斜め後方から斜め前方に向かう衝突荷重を受けたとき、その衝突荷重を受けつつ中央部15に伝えることができる。
【0025】
また、補強用クロスメンバ2の左右両側に位置される補強ウェブ部17aには、取付部11がそれぞれ形成される。左右の取付部11は、それぞれサイドメンバ4a、4b内に挿入されると共に、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aに重ね合わされる。また図3に示すように、取付部11の厚さTは、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aの厚さtと同じに設定される。
【0026】
また、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aの車幅方向外側には、取付ステー5a、5bの締結部10が重ね合わされる。補強用クロスメンバ2の取付部11と、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aと、取付ステー5a、5bの締結部10とは、共締め用ボルト8及びナット12で共締めされる。
【0027】
図2及び図3に示すように、取付部11には、共締め用ボルト8を挿通させるための第3共締め用ボルト穴8cが形成されると共に、仮止め用ボルト9を挿通させるための第2仮止め用ボルト穴9bが形成される。仮止め用ボルト9は、サイドメンバ4a、4bと補強用クロスメンバ2を予め仮止め(締結)しておくためのボルトである。共締め用ボルト8は、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aに補強用クロスメンバ2の取付部11と取付ステー5a、5bの締結部10を共締めするためのボルトである。第3共締め用ボルト穴8cは、前後方向に複数列べて形成されると共に上下方向に複数列べて形成される。以下、これら第3共締め用ボルト穴8cの一群を第3共締め用ボルト穴群18と称する。第2仮止め用ボルト穴9bは、第3共締め用ボルト穴群18の前方及び後方に形成される。また、第2仮止め用ボルト穴9bは、取付ステー5a、5bから前方及び後方に離間するように配置される。仮止め用ボルト9は、取付ステー5a、5bを締結しないものであり、取付ステー5a、5bがサイドメンバ4a、4bに締結される前にサイドメンバ4a、4bと補強用クロスメンバ2を締結する。
【0028】
次に本実施の形態の作用について述べる。
【0029】
サイドメンバ4a、4bに取付ステー5a、5bを介してアンダーランプロテクタ1を取り付ける場合、まず、サイドメンバ4a、4bに補強用クロスメンバ2を仮止め用ボルト9及びナット12で仮止めする。このとき、サイドメンバ4a、4bの第1仮止め用ボルト穴9aと補強用クロスメンバ2の第2仮止め用ボルト穴9bに車幅方向内側から仮止め用ボルト9を挿通させ、仮止め用ボルト9にナット12を螺合させ、締め付ける。これにより、補強用クロスメンバ2の第3共締め用ボルト穴8cとサイドメンバ4a、4bの第1共締め用ボルト穴8aとが同軸に位置されて重なる。
【0030】
次に、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aに取付ステー5a、5bの締結部10を車幅方向外側から重ね合わせると共に、締結部10の第2共締め用ボルト穴8bをサイドメンバ4a、4bの第1共締め用ボルト穴8aと同軸に配置する。
【0031】
しかるのち、補強用クロスメンバ2の取付部11と、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aと、取付ステー5a、5bの締結部10とを、共締め用ボルト8及びナット12で共締めする。このとき、補強用クロスメンバ2はサイドメンバ4a、4bに仮止めされているため、補強用クロスメンバ2、サイドメンバ4a、4b及び取付ステー5a、5bを容易に共締めできる。
【0032】
次に、アンダーランプロテクタ1がオフセット衝突を受けた場合の作用を比較例と共に説明する。
【0033】
図4は本実施の形態に係るアンダーランプロテクタ1の取付構造を備える車両が矢印方向のオフセット衝突Pを受けた状態を示す上面図である。図5は、図4に係る車両の右側面図である。図8は、補強用クロスメンバ2を備えない車両が図4と同じオフセット衝突Pを受けた状態を示す比較例の上面図である。図9は、図8に係る車両の右側面図である。
【0034】
図8及び図9に示すように、例えば補強用クロスメンバ2を備えない比較例に係る車両19が右側に矢印方向のオフセット衝突Pを受けた場合、オフセット衝突Pによる衝突荷重は取付ステー5aを介して右側(オフセット側)のサイドメンバ4aに伝わる。そして、衝突荷重は、右側のサイドメンバ4aと取付ステー5aとの締結部分20に集中する。このため、右側のサイドメンバ4aに左方(車幅方向内方)に折れ曲がると共に上方に折れ曲がる座屈が生じ、サイドメンバ4aが所期の強度を発揮できないおそれがある。そして、アンダーランプロテクタ1が前方に大きく変位するおそれがある。
【0035】
これに対し、図4及び図5に示すように、本実施の形態に係るアンダーランプロテクタ1の取付構造を備える車両21が比較例と同じオフセット衝突Pを受けた場合、オフセット衝突Pによる衝突荷重は左右のサイドメンバ4a、4bに分散される。具体的には、衝突荷重は取付ステー5aを介して右側(オフセット側)のサイドメンバ4aに伝わるのみならず、補強用クロスメンバ2を介して左側(反オフセット側)のサイドメンバ4bにも伝わる。このため、衝突荷重が局所的に集中することが抑制され、シャシフレーム3が大きく変形することが抑制される。そして、アンダーランプロテクタ1が前方に大きく変位することは抑制される。すなわち、本実施の形態においては、アンダーランプロテクタ1の変位量Yを、比較例におけるアンダーランプロテクタ1の変位量X(図8参照)より小さくすることができる(Y<X)。
【0036】
また、図3に示すように、サイドメンバ4a、4bと取付ステー5a、5bの締結部分22は、補強用クロスメンバ2の取付部11と、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aと、取付ステー5a、5bの締結部10とが共締めされて構成されている。すなわち、取付ステー5a、5bは、サイドメンバ4a、4bのウェブ部7aが実質的に約2倍の厚さになった部分に取り付けられた状態になっている。このため、サイドメンバ4a、4bと取付ステー5a、5bの締結部分22の強度は、サイドメンバ4a、4bの他の部分より高く、この締結部分22に応力集中は発生し難い。このため、衝突荷重によるサイドメンバ4a、4bの座屈は抑制され、サイドメンバ4a、4bが所期の強度を発揮できる。
【0037】
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示は以下のような他の実施形態も可能である。
【0038】
(1)アンダーランプロテクタ1がリアアンダーランプロテクタである場合について説明したが、これに限られない。本実施の形態に係るアンダーランプロテクタ1は、フロントアンダーランプロテクタであってもよい。この場合、補強用クロスメンバ2は、上述とは前後逆の姿勢でサイドメンバ4a、4bに取り付けられるとよい。これにより、例えばアンダーランプロテクタ1の右前部にオフセット衝突を受けたとき、このオフセット衝突による衝突荷重を効率よく左側のサイドメンバ4bに伝えることができ、サイドメンバ4a、4bの座屈を抑制できる。
【0039】
(2)サイドメンバ4a、4bは、断面C字状に形成され、C字の開口を互いに対向させて配置されるものとしたが、これに限られない。例えば、サイドメンバ4a、4bは、C字の開口を車幅方向外側に向けるように配置されてもよい。この場合、取付ステー5a、5bは、下フランジ部7cを避けるように屈曲して形成されるとよい。また、サイドメンバ4a、4bは、断面L字状に形成されてもよく、他の断面形状に形成されてもよい。
【0040】
(3)補強用クロスメンバ2は、上面視U字状に形成されるものとしたが、これに限られない。例えば図6に示すように、補強用クロスメンバ30は、上面視H字状に形成されてもよい。この場合、補強用クロスメンバ30は、上述の補強用クロスメンバ2と同形状の鋼材を2つ接合して形成されるとよい。具体的には、補強用クロスメンバ30は、前記鋼材の中央部15(図2参照)に相当する部分同士を溶接等で接合して形成されるとよい。
【0041】
(4)補強用クロスメンバ2は、1枚の金属板にプレス加工等を施すことで形成されるものとしたが、これに限られない。例えば図7に示すように、補強用クロスメンバ35は、別々に形成された中央部36、右側部37a及び左側部37bを溶接して上面視H字状に形成されてもよい。この場合、中央部36、右側部37a及び左側部37bは、断面C字状に形成されると共に直線状に延びる鋼材で構成されるとよい。また、中央部36は、左右方向に延びるように配置されるとよい。右側部37a及び左側部37bは、前後方向に一対平行に延びると共に、前後方向の中間位置を中央部36の端部に接合されるとよい。なお、補強用クロスメンバ35は、中央部36、右側部37a及び左側部37bを接合して上面視U字状に形成されてもよいのは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1 アンダーランプロテクタ
2 補強用クロスメンバ
3 シャシフレーム
4a サイドメンバ
4b サイドメンバ
5a 取付ステー
5b 取付ステー
11 取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9