(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】データ作成装置及び部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
(21)【出願番号】P 2020038859
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】今田 光
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-033071(JP,A)
【文献】特開2013-214574(JP,A)
【文献】特開2014-183216(JP,A)
【文献】特開2016-201428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持すると共に当該部品を基板に搭載するヘッドユニットを有する実装機とデータ通信可能に接続され、前記ヘッドユニットの駆動制御の際に参照される基板データを作成するためのデータ作成装置であって、
前記基板データを構成する、前記ヘッドユニットの駆動制御に必要な複数のパラメータを記憶する記憶部と、
前記実装機との間でデータ通信を行う通信部と、
前記実装機における前記複数のパラメータのデータの変更履歴を示す変更履歴情報が前記通信部を介して入力されると、前記複数のパラメータ毎に前記実装機でのデータの変更頻度を算出する算出部と、
前記複数のパラメータのうち、前記変更頻度が所定の第1閾値を超えるパラメータを注目パラメータとして抽出する抽出部と、
前記注目パラメータの情報を示す注目パラメータ情報を表示する表示部と、を備える、データ作成装置。
【請求項2】
前記複数のパラメータの各々のデータを入力するための入力部と、
前記入力部においてデータの入力を終了する入力終了指令が入力されると、複数のパラメータと前記入力部で入力されたデータとを関連付けて前記基板データを作成するデータ作成部と、
前記表示部を制御する表示制御部と、を更に備え、
前記表示制御部は、前記入力部によるデータの入力の際に、前記複数のパラメータの表示領域とデータの表示領域とを含む入力画面が表示されると共に、当該入力画面に前記注目パラメータ情報が表示されるように、前記表示部を制御する、請求項1に記載のデータ作成装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記注目パラメータが複数存在する場合、当該複数の注目パラメータのうち、前記変更頻度が前記第1閾値よりも高い第2閾値を超える注目パラメータを特定注目パラメータとして抽出し、
前記表示制御部は、前記注目パラメータ情報において、前記特定注目パラメータが他の注目パラメータとの区別が可能な所定の警告表示形態で前記入力画面に表示されるように、前記表示部を制御する、請求項2に記載のデータ作成装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記複数のパラメータの各々に対応付けてデータの初期値を記憶し、
前記表示制御部は、前記入力部に前記入力終了指令が入力されたタイミングで、前記複数のパラメータのうちデータが前記初期値から変更されていない未変更パラメータが存在する場合には、前記入力画面において前記未変更パラメータに対応する表示領域が他のパラメータに対応する表示領域との区別が可能な所定の通知表示形態で表示されるように、前記表示部を制御する、請求項2又は3に記載のデータ作成装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記複数のパラメータを、前記ヘッドユニットの駆動制御における基本的な設定に関するパラメータを示す基本パラメータと、前記実装機においてデータが適宜変更される、前記ヘッドユニットの駆動制御における特殊な設定に関するパラメータを示す特殊パラメータと、に区別して記憶し、
前記抽出部は、前記基本パラメータの前記変更頻度が前記第1閾値を超えた場合には前記注目パラメータとして抽出し、前記特殊パラメータの前記変更頻度が前記第1閾値を超えた場合には前記注目パラメータから除外する、請求項1~4のいずれか1項に記載のデータ作成装置。
【請求項6】
部品を保持すると共に当該部品を基板に搭載するヘッドユニットを有する実装機と、
前記実装機とデータ通信可能に接続され、前記ヘッドユニットの駆動制御の際に参照される基板データを作成するための、請求項1~5のいずれか1項に記載のデータ作成装置と、を備える、部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を保持すると共に当該部品を基板に搭載するヘッドユニットの駆動制御の際に参照される基板データを作成するデータ作成装置、及びそれを備えた部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線板等の基板上に電子部品(以下、単に「部品」という)を搭載する実装機が知られている。この種の実装機は、部品を保持すると共に当該部品を基板に搭載するヘッドユニットを備え、ヘッドユニットが所定の基板データ(実装データ)に従って駆動制御されることにより、部品が基板上に搭載される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板データは、ヘッドユニットの駆動制御に必要な部品情報や搭載位置情報等で示される複数のパラメータが関連付けられたデータであって、データ作成装置を用いて作成される。データ作成装置にて作成された基板データは、実装機に向けて出力される。データ作成装置においては、複数のパラメータの各々に対応したデータが入力されることにより、基板データが作成される。
【0005】
データ作成装置を用いたデータ入力の際に、データの入力忘れや入力ミス等が生じると、不適切な基板データが作成される現象が生じ得る。このような不適切な基板データに従ってヘッドユニットの駆動制御が行われると、ヘッドユニットによる部品の保持不良や基板上への部品の搭載不良等の動作不良が生じる虞がある。不適切な基板データに起因したヘッドユニットの動作不良を回避するためには、実装機において基板データのパラメータに対応するデータを変更するデータ変更作業を行う必要がある。この場合、データ変更作業が行われる期間においては、実装機での生産が停止されてしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、実装機での基板データに対するデータの変更頻度を可及的に低減し、実装機でのデータ変更作業に伴う生産停止を可及的に抑制することが可能なデータ作成装置、及びそれを備えた部品実装システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係るデータ作成装置は、部品を保持すると共に当該部品を基板に搭載するヘッドユニットを有する実装機とデータ通信可能に接続され、前記ヘッドユニットの駆動制御の際に参照される基板データを作成するための装置である。このデータ作成装置は、前記基板データを構成する、前記ヘッドユニットの駆動制御に必要な複数のパラメータを記憶する記憶部と、前記実装機との間でデータ通信を行う通信部と、前記実装機における前記複数のパラメータのデータの変更履歴を示す変更履歴情報が前記通信部を介して入力されると、前記複数のパラメータ毎に前記実装機でのデータの変更頻度を算出する算出部と、前記複数のパラメータのうち、前記変更頻度が所定の第1閾値を超えるパラメータを注目パラメータとして抽出する抽出部と、前記注目パラメータの情報を示す注目パラメータ情報を表示する表示部と、を備える。
【0008】
また、上記のデータ作成装置は、前記複数のパラメータの各々のデータを入力するための入力部と、前記入力部においてデータの入力を終了する入力終了指令が入力されると、複数のパラメータと前記入力部で入力されたデータとを関連付けて前記基板データを作成するデータ作成部と、前記表示部を制御する表示制御部と、を更に備える。そして、前記表示制御部は、前記入力部によるデータの入力の際に、前記複数のパラメータの表示領域とデータの表示領域とを含む入力画面が表示されると共に、当該入力画面に前記注目パラメータ情報が表示されるように、前記表示部を制御する。
【0009】
このデータ作成装置によれば、ヘッドユニットの駆動制御に必要な複数のパラメータの各々に対応したデータが入力部を介して入力されることにより、データ作成部によって基板データが作成される。オペレータによる入力部を用いたデータの入力の際には、表示部は、表示制御部によって制御されて、複数のパラメータの表示領域とデータの表示領域とを含む入力画面を表示する。オペレータは、表示部に表示された入力画面を確認しながら、入力部を用いて複数のパラメータの各々のデータの入力作業を行うことができる。
【0010】
データ作成装置においては、表示部による入力画面の表示の前に、算出部は、通信部を介して入力される実装機におけるデータの変更履歴を示す変更履歴情報に基づいて、複数のパラメータ毎に実装機でのデータの変更頻度を算出する。そして、抽出部は、複数のパラメータのうち、前記変更頻度が第1閾値を超えるパラメータを注目パラメータとして抽出する。抽出部によって注目パラメータが抽出されると、表示制御部は、注目パラメータの情報を示す注目パラメータ情報が入力画面に表示されるように、表示部を制御する。オペレータは、表示部に表示された入力画面上の注目パラメータ情報を確認することにより、実装機でのデータの変更頻度が第1閾値を超えて高い注目パラメータを把握しながら、入力部を用いて複数のパラメータの各々のデータの入力作業を行うことができる。これにより、実装機でのデータ変更作業が必要となるようなデータの入力忘れや入力ミス等を可及的に抑制することができる。このため、データ作成装置を用いて基板データを作成することにより、実装機での基板データに対するデータの変更頻度を可及的に低減し、実装機でのデータ変更作業に伴う生産停止を可及的に抑制することが可能となる。
【0011】
上記のデータ作成装置において、前記抽出部は、前記注目パラメータが複数存在する場合、当該複数の注目パラメータのうち、前記変更頻度が前記第1閾値よりも高い第2閾値を超える注目パラメータを特定注目パラメータとして抽出し、前記表示制御部は、前記注目パラメータ情報において、前記特定注目パラメータが他の注目パラメータとの区別が可能な所定の警告表示形態で前記入力画面に表示されるように、前記表示部を制御する構成であってもよい。
【0012】
この態様では、表示部の入力画面上の注目パラメータ情報において、実装機でのデータの変更頻度が第2閾値を超えて特に高い特定注目パラメータについては、他の注目パラメータとの区別が可能な警告表示形態で表示される。これにより、オペレータは、実装機でのデータの変更頻度が特に高い特定注目パラメータに細心の注意を払いながら、入力部を用いて複数のパラメータの各々のデータの入力作業を行うことができる。このため、実装機での基板データに対するデータの変更頻度をより確実に低減することができる。
【0013】
上記のデータ作成装置において、前記記憶部は、前記複数のパラメータの各々に対応付けてデータの初期値を記憶し、前記表示制御部は、前記入力部に前記入力終了指令が入力されたタイミングで、前記複数のパラメータのうちデータが前記初期値から変更されていない未変更パラメータが存在する場合には、前記入力画面において前記未変更パラメータに対応する表示領域が他のパラメータに対応する表示領域との区別が可能な所定の通知表示形態で表示されるように、前記表示部を制御する構成であってもよい。
【0014】
この態様では、オペレータによる入力部を用いたデータの入力作業の終了時に、入力部に入力終了指令が入力される。入力部に入力終了指令が入力されたタイミングで、データが初期値から変更されていない未変更パラメータが存在する場合、当該未変更パラメータに対応するデータの入力忘れの可能性がある。そこで、表示制御部は、入力画面において未変更パラメータに対応する表示領域が他のパラメータに対応する表示領域との区別が可能な所定の通知表示形態で表示されるように、表示部を制御する。オペレータは、表示部に表示された入力画面上のパラメータの表示領域において所定の通知表示形態で表示されている部分を確認することにより、未変更パラメータの存在を把握することができる。これにより、未変更パラメータに対応するデータの入力忘れ等を可及的に抑制することができる。このため、実装機での基板データに対するデータの変更頻度をより確実に低減することができる。
【0015】
上記のデータ作成装置において、前記記憶部は、前記複数のパラメータを、前記ヘッドユニットの駆動制御における基本的な設定に関するパラメータを示す基本パラメータと、前記実装機においてデータが適宜変更される、前記ヘッドユニットの駆動制御における特殊な設定に関するパラメータを示す特殊パラメータと、に区別して記憶し、前記抽出部は、前記基本パラメータの前記変更頻度が前記第1閾値を超えた場合には前記注目パラメータとして抽出し、前記特殊パラメータの前記変更頻度が前記第1閾値を超えた場合には前記注目パラメータから除外する構成であってもよい。
【0016】
この態様では、ヘッドユニットの駆動制御における基本的な設定に関する基本パラメータについては、実装機でのデータの変更頻度が第1閾値を超えた場合に注目パラメータとして抽出部によって抽出される。この場合、表示部の入力画面上の注目パラメータ情報において、実装機でのデータの変更頻度が高い基本パラメータが注目パラメータとして表示される。オペレータは、表示部に表示された入力画面上の注目パラメータ情報を確認することにより、実装機でのデータの変更頻度が高い注目パラメータとしての基本パラメータを把握しながら、入力部を用いて複数のパラメータの各々のデータの入力作業を行うことができる。
【0017】
一方、ヘッドユニットの駆動制御時に実装機においてデータが適宜変更される特殊パラメータについては、実装機でのデータの変更頻度が第1閾値を超えた場合であっても、注目パラメータとして抽出部によって抽出されず、当該注目パラメータから除外される。この場合、表示部の入力画面上の注目パラメータ情報において、特殊パラメータの情報の表示が回避される。これにより、オペレータは、入力部を用いて複数のパラメータの各々のデータの入力作業を行うときに、実装機においてデータが適宜変更される特殊パラメータについて、過度な確認作業を行わずに済む。このため、オペレータによるデータの入力作業の効率化を図ることができる。
【0018】
本発明の他の局面に係る部品実装システムは、部品を保持すると共に当該部品を基板に搭載するヘッドユニットを有する実装機と、前記実装機とデータ通信可能に接続され、前記ヘッドユニットの駆動制御の際に参照される基板データを作成するための、上記のデータ作成装置と、を備える。
【0019】
この部品実装システムによれば、実装機での基板データに対するデータの変更頻度を可及的に低減することが可能なデータ作成装置を備えている。これにより、実装機でのデータ変更作業に伴う生産停止を可及的に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、実装機での基板データに対するデータの変更頻度を可及的に低減し、実装機でのデータ変更作業に伴う生産停止を可及的に抑制することが可能なデータ作成装置、及びそれを備えた部品実装システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデータ作成装置が適用された部品実装システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】部品実装システムに備えられる実装機の構成を示す平面図である。
【
図4】データ作成装置の記憶部に記憶されるパラメータ情報を説明する図である。
【
図5】データ作成装置の算出部から出力される変更頻度情報を説明する図である。
【
図6】データ作成装置の抽出部から出力される注目パラメータ情報を説明する図である。
【
図7】データ作成装置の表示部に表示される入力画面を説明する図である。
【
図8】データ作成装置の表示部に表示される入力画面の変形例を示す図である。
【
図9】データ作成装置の入力部に入力終了指令が入力されたときの、表示部に表示される入力画面を説明する図である。
【
図10】データ作成装置のデータ作成部により作成された基板データを説明する図である。
【
図11】データ作成装置の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[部品実装システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ作成装置9が適用された部品実装システム100の構成を概略的に示す図である。部品実装システム100は、実装機1とデータ作成装置9とを備える。部品実装システム100は、データ作成装置9によって基板データPDが作成され、当該基板データPDに従って実装機1において部品が搭載された電子回路基板を生産するシステムである。
【0023】
部品実装システム100においては、実装機1とデータ作成装置9とがデータ通信可能に接続されている。データ作成装置9は、実装機1において電子回路基板が生産される際に参照される基板データPDを作成し、その作成した基板データPDを実装機1に向けて出力する。実装機1は、データ作成装置9によって作成された基板データPDに従って電子回路基板を生産する。この際、実装機1においては、電子回路基板の生産が適切に行われるように、必要に応じて基板データPDのデータを変更するデータ変更作業がオペレータによって行われる。実装機1において基板データPDのデータが変更された場合には、そのデータの変更履歴を示す変更履歴情報CHが実装機1からデータ作成装置9に向けて出力される。データ作成装置9は、実装機1から出力された変更履歴情報CHを参照して、新たな基板データPDを作成する。
【0024】
[実装機の構成]
部品実装システム100に備えられる実装機1について、
図1に加えて
図2を参照して説明する。
図2は、実装機1の構成を示す平面図である。なお、
図2では、XYZ直交座標軸を用いて、方向関係が示されている。X軸方向は水平面と平行な方向であり、Y軸方向は水平面上でX軸方向と直交する方向であり、Z軸方向はX、Y両方向に直交する上下方向である。また、X軸方向の一方向側を「+X側」と称し、X軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-X側」と称する。また、Y軸方向の一方向側を「+Y側」と称し、Y軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-Y側」と称する。また、Z軸方向の一方向側(上方側)を「+Z側」と称し、Z軸方向の一方向側とは反対の他方向側(下方側)を「-Z側」と称する。
【0025】
実装機1は、基板Pに部品を搭載(実装)して電子回路基板を生産する装置である。実装機1は、装置本体1aと、移動フレーム2と、コンベア3と、フィーダー5が装着される部品供給ユニット4と、ヘッドユニット6と、第1駆動機構7と、第2駆動機構8と、を備える。
【0026】
装置本体1aは、実装機1を構成する各部が配置される構造体であり、Z軸方向から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア3は、X軸方向に延び、装置本体1aに配置される。コンベア3は、基板PをX軸方向に搬送する。基板Pは、コンベア3上を搬送されて、所定の作業位置(基板P上に部品が搭載される位置)に位置決めされるようになっている。
【0027】
部品供給ユニット4は、装置本体1aにおけるY軸方向の+Y側及び-Y側の領域部分にそれぞれ、X軸方向に2箇所ずつ合計4箇所に配置される。部品供給ユニット4は、装置本体1aにおいて、フィーダー5が複数並設された状態で装着される領域であって、後述のヘッドユニット6に備えられる吸着ノズル63による吸着対象の部品毎に、各フィーダー5のセット位置が区画されている。
【0028】
フィーダー5は、装置本体1aの部品供給ユニット4に着脱自在に装着されている。フィーダー5は、電子部品(以下、単に部品と称す)を供給可能に構成されていれば、その部品供給方式は特に限定されるものではない。フィーダー5としては、例えば、テープを担体(キャリア)として部品を供給する方式のテープフィーダー、部品が載置されたトレイを含むパレットを移動させることにより部品を供給する方式のトレイフィーダー、筒状のスティックに収納された部品を当該スティックから押し出しながら供給する方式のスティックフィーダーなどを採用することができる。本実施形態では、フィーダー5は、テープフィーダーである。
【0029】
移動フレーム2は、X軸方向に延び、装置本体1aに、所定の移動方向(Y軸方向)に移動可能に支持される。この移動フレーム2にヘッドユニット6が搭載されている。
【0030】
ヘッドユニット6は、X軸方向に移動可能となるように、移動フレーム2に搭載される。すなわち、ヘッドユニット6は、移動フレーム2の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム2に沿ってX軸方向に移動可能である。ヘッドユニット6は、部品供給ユニット4に装着されたフィーダー5の部品供給位置と、コンベア3により搬送された基板Pの所定の作業位置とにわたって移動可能とされている。ヘッドユニット6は、部品供給位置においてフィーダー5から部品を取り出して保持すると共に、その保持した部品を作業位置において基板P上に搭載(実装)する。
【0031】
ヘッドユニット6は、ヘッド本体61と、回転体62と、吸着ノズル63とを含む。ヘッド本体61は、ヘッドユニット6の本体部分を構成する。回転体62は、円柱状に形成され、鉛直軸(Z軸方向に延びる軸)を回転中心として回転可能に、ヘッド本体61に設けられる。回転体62の外周縁端部には、複数の吸着ノズル63が、周方向に所定の間隔をおいて配設されている。吸着ノズル63は、フィーダー5により部品供給位置に供給された部品を吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル63は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル63に負圧が供給されることで当該吸着ノズル63による部品の吸着保持(部品の取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0032】
吸着ノズル63は、Z軸方向に昇降可能であると共に、Z軸方向に延びるノズル軸回りの回転が可能に、回転体62に設けられる。吸着ノズル63は、フィーダー5により部品供給位置に供給された部品の吸着保持が可能な吸着保持位置と、吸着保持位置に対して上方側の退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、部品供給位置に供給された部品を吸着保持するときには、吸着ノズル63は、退避位置から吸着保持位置へ向かって下降し、当該吸着保持位置において部品を吸着保持する。一方、部品の吸着保持後の吸着ノズル63は、吸着保持位置から退避位置へ向かって上昇する。更に、吸着ノズル63は、吸着保持した部品を基板P上に搭載するために当該基板P上に設定された部品搭載位置と、前記退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、吸着保持した部品を基板P上に搭載するときには、吸着ノズル63は、退避位置から部品搭載位置へ向かって下降し、当該部品搭載位置において部品を基板P上に搭載する。一方、部品搭載後の吸着ノズル3は、部品搭載位置から退避位置へ向かって上昇する。
【0033】
第1駆動機構7は、装置本体1aの+X側及び-X側の端部に配設される。第1駆動機構7は、移動フレーム2をY軸方向に移動させる機構である。第1駆動機構7は、例えば、駆動モーターと、Y軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、移動フレーム2に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第1駆動機構7は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、移動フレーム2をY軸方向に移動させる。
【0034】
第2駆動機構8は、移動フレーム2に配設される。第2駆動機構8は、ヘッドユニット6を移動フレーム2に沿ったX軸方向に移動させる機構である。第2駆動機構8は、第1駆動機構7と同様に、例えば、駆動モーターと、X軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、ヘッドユニット6に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第2駆動機構8は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、ヘッドユニット6をX軸方向に移動させる。
【0035】
なお、第1駆動機構7及び第2駆動機構8は、当例では、駆動モーターによりボールねじ軸を介して移動フレーム2及びヘッドユニット6を移動させる構成である。しかし、例えばリニアモーターを駆動源として移動フレーム2やヘッドユニット6をダイレクトに駆動する構成であってもよい。
【0036】
図2に示すように、実装機1は、ヘッドユニット6のヘッド本体61の下面に固定された側方撮像カメラC1及び基板認識カメラC3と、装置本体1aに配設された下方撮像カメラC2と、を更に備える。
【0037】
側方撮像カメラC1は、ヘッド本体61の下面において回転体62よりも外側(-X側)に固定され、例えばCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charged-coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラである。側方撮像カメラC1は、吸着ノズル63に吸着保持された部品を、X軸方向に沿った側方から撮像して側方画像を取得する。下方撮像カメラC2は、装置本体1a上の各部品供給ユニット4とコンベア3との間の位置にそれぞれ配設され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。下方撮像カメラC2は、フィーダー5の部品供給位置から、コンベア3により搬送された基板Pの作業位置へ向かってヘッドユニット6が移動している間において、吸着ノズル63に吸着保持された部品を、Z軸方向に沿った下方から撮像して下方画像を取得する。実装機1においては、側方撮像カメラC1により取得された側方画像、及び下方撮像カメラC2により取得された下方画像に基づいて、吸着ノズル63に吸着保持された部品の姿勢が判定される。
【0038】
基板認識カメラC3は、ヘッド本体61の下面において回転体62よりも外側に固定され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。基板認識カメラC3は、コンベア3上で位置決めされた基板Pの上面に付設されている各種マークを認識するために、当該マークを上方から撮像する。基板認識カメラC3による基板P上のマークの認識によって、基板Pの原点座標に対する位置ずれ量が検知される。
【0039】
また、
図1に示すように、実装機1は、実装機側制御部MCと、実装機側通信部MC1と、実装機側入力部MC2と、実装機側表示部MC3と、を更に備える。
【0040】
実装機側制御部MCは、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。実装機側制御部MCは、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、ヘッドユニット6等の実装機1を構成する各部の動作を制御する。実装機側制御部MCには、実装機側通信部MC1、実装機側入力部MC2及び実装機側表示部MC3が接続されている。
【0041】
実装機側通信部MC1は、データ作成装置9とデータ通信を行うためのインターフェースである。実装機側通信部MC1は、データ作成装置9からの基板データPDを受信すると共に、実装機1における基板データPDの変更履歴を示す変更履歴情報CHをデータ作成装置9に向けて送信する。
【0042】
実装機側入力部MC2は、キーボードやマウス等によって構成され、オペレータによる各種指令やデータの入力に関する操作を受け付ける部分である。実装機側表示部MC3は、例えば液晶ディスプレイ等によって構成され、オペレータに報知すべき各種情報や実装機側通信部MC1により受信された基板データPDを表示する。オペレータは、実装機側表示部MC3に表示された基板データPDを確認しつつ、必要に応じて、実装機側入力部MC2を用いて基板データPDのデータを変更するデータ変更作業を行うことができる。
【0043】
実装機側制御部MCは、実装機側通信部MC1により受信された基板データPDであって、必要に応じて実装機側入力部MC2を用いてデータが変更された基板データPDに従って、ヘッドユニット6の駆動制御を行う。
【0044】
[データ作成装置の構成]
図3は、データ作成装置9のブロック図である。データ作成装置9は、実装機1とデータ通信可能に接続され、例えばマイクロコンピュータによって構成される。データ作成装置9は、実装機側制御部MCによるヘッドユニット6の駆動制御の際に参照される基板データPDを作成するための装置である。データ作成装置9は、制御部91と、記憶部92と、通信部93と、入力部94と、表示部95とを備える。データ作成装置9においては、記憶部92、通信部93、入力部94及び表示部95が制御部91に接続されている。
【0045】
通信部93は、実装機1とデータ通信を行うためのインターフェースである。通信部93は、後記の制御部91のデータ作成部913により作成された基板データPDを実装機1に向けて送信すると共に、実装機1における基板データPDの変更履歴を示す変更履歴情報CHを受信する。
【0046】
記憶部92は、
図4に示すパラメータ情報PRJを記憶する。パラメータ情報PRJは、基板データPDを構成するパラメータであって、実装機1におけるヘッドユニット6の駆動制御に必要な複数のパラメータPRを示す情報である。記憶部92は、複数のパラメータPRの各々に対応付けてデータの初期値IVを記憶する。また、記憶部92は、複数のパラメータPRを基本パラメータBPRと特殊パラメータSPRとに区別して記憶する。基本パラメータBPRは、実装機側制御部MCによるヘッドユニット6の駆動制御における基本的な設定に関するパラメータを示すものである。特殊パラメータSPRは、実装機側制御部MCによるヘッドユニット6の駆動制御における特殊な設定に関するパラメータを示し、実装機1においてデータが適宜変更されるものである。
【0047】
基本パラメータBPRは、部品情報EJと、フィーダー情報FJと、搭載位置情報CJと、ノズル情報NJとを含む。部品情報EJは、基板Pに搭載される部品の情報を示す。部品情報EJには、例えば、第1パラメータPR1と、第2パラメータPR2と、第3パラメータPR3と、第4パラメータPR4とが登録されている。第1パラメータPR1は、部品の種類(部品種)を示すパラメータである。第2パラメータPR2は、部品のX軸方向の外形寸法Xを示すパラメータである。第3パラメータPR3は、部品のY軸方向の外形寸法Yを示すパラメータである。第4パラメータPR4は、部品の厚み(部品厚み)を示すパラメータである。フィーダー情報FJは、部品を供給するフィーダー5の情報を示す。フィーダー情報FJには、例えば、第5パラメータPR5と、第6パラメータPR6とが登録されている。第5パラメータPR5は、フィーダー5の種類(フィーダー種)を示すパラメータである。第6パラメータPR6は、フィーダー5の部品供給ユニット4におけるセット位置(フィーダーセット位置)を示すパラメータである。搭載位置情報CJは、基板P上に設定された部品の搭載位置(部品搭載位置)に関する座標の情報を示す。搭載位置情報CJには、例えば、第7パラメータPR7と、第8パラメータPR8とが登録されている。第7パラメータPR7は、基板P上における部品のX軸方向の搭載位置に関する座標Xを示すパラメータである。第8パラメータPR8は、基板P上における部品のY軸方向の搭載位置に関する座標Yを示すパラメータである。ノズル情報NJは、ヘッドユニット6の吸着ノズル63の情報を示す。ノズル情報NJには、例えば、第9パラメータPR9が登録されている。第9パラメータPR9は、吸着ノズル63の種類(ノズル種)を示すパラメータである。記憶部92は、基本パラメータBPRとして、上記の第1~第9パラメータPR1~PR9を記憶し、これらの各パラメータに対応付けてデータの初期値IVを記憶している。
【0048】
特殊パラメータSPRは、特殊情報SJを含む。特殊情報SJは、ヘッドユニット6の駆動制御における特殊な設定に関する情報を示す。特殊情報SJには、例えば、第10パラメータPR10と、第11パラメータPR11と、第12パラメータPR12とが登録されている。第10パラメータPR10は、側方撮像カメラC1、下方撮像カメラC2及び基板認識カメラC3の撮像時の照明条件等の撮像条件を示すパラメータである。第11パラメータPR11は、部品に対する吸着ノズル63の吸着位置(部品吸着位置)を示すパラメータである。第12パラメータPR12は、フィーダー5から供給された部品の吸着時及び基板P上への部品の搭載時に吸着ノズル63が下降されたときのノズル先端の位置(ノズル下降位置)を示すパラメータである。記憶部92は、特殊パラメータSPRとして、上記の第10~第12パラメータPR10~PR12を記憶し、これらの各パラメータに対応付けてデータの初期値IVを記憶している。
【0049】
入力部94は、キーボードやマウス等によって構成され、オペレータによる各種指令やデータの入力に関する操作を受け付ける部分である。入力部94は、複数のパラメータPR(第1~第12パラメータPR1~PR12)の各々のデータをオペレータが入力する際に用いられる。つまり、オペレータは、入力部94を用いて、複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を行うことができる。データ作成装置9においては、実装機側制御部MCによるヘッドユニット6の駆動制御に必要な複数のパラメータPRの各々に対応したデータが入力部94を介して入力されることにより、後記の制御部91のデータ作成部913によって基板データPDが作成される。また、入力部94においては、オペレータによるデータの入力作業が終了すると、そのデータの入力を終了する入力終了指令が入力される。
【0050】
表示部95は、例えば液晶ディスプレイ等によって構成され、オペレータに報知すべき各種情報を表示すると共に、入力部94によるデータの入力の際に入力画面IS(後記の
図7等)を表示する。オペレータは、表示部95に表示された入力画面ISを確認しながら、入力部94を用いて複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を行うことができる。表示部95は、後記の制御部91の表示制御部914によって制御される。
【0051】
制御部91は、CPU、制御プログラムを記憶するROM、CPUの作業領域として使用されるRAM等から構成されている。制御部91は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、各種演算処理を行うと共に、表示部95の表示動作等を制御する。制御部91は、主な機能構成として、算出部911、抽出部912、データ作成部913及び表示制御部914を含んでいる。
【0052】
算出部911には、実装機1から送信された変更履歴情報CHが通信部93を介して入力される。変更履歴情報CHは、実装機1における複数のパラメータPRのデータの変更履歴を示す情報である。算出部911は、表示部95による入力画面ISの表示の前に、
図5に示す変更頻度情報CFJを出力する。具体的に、算出部911は、変更履歴情報CHに基づいて、複数のパラメータPR(第1~第12パラメータPR1~PR12)毎に、実装機1においてデータが変更された頻度(%)を示す変更頻度CFを算出し、その算出結果を示す変更頻度情報CFJを出力する。
【0053】
算出部911から出力された変更頻度情報CFJは、抽出部912に入力される。抽出部912は、変更頻度情報CFJに基づいて、
図6に示す注目パラメータ情報APRJを作成して出力する。具体的に、抽出部912は、複数のパラメータPRのうち、変更頻度CFが所定の第1閾値TH1(後記の
図11)を超えるパラメータを注目パラメータAPRとして抽出し、その抽出結果を示す注目パラメータ情報APRJを出力する。この際、抽出部912は、複数のパラメータPRの一部を構成する基本パラメータBPRの変更頻度CFが第1閾値TH1を超えた場合には、当該基本パラメータBPRを注目パラメータAPRとして抽出する。一方、複数のパラメータPRの他の一部を構成する特殊パラメータSPRの変更頻度CFが第1閾値TH1を超えた場合には、当該特殊パラメータSPRを注目パラメータAPRとしては抽出せずに、注目パラメータAPRから除外する。
【0054】
図6に示す例では、抽出部912は、第1~第12パラメータPR1~PR12のうち、第1~第9パラメータPR1~PR9の変更頻度CFが第1閾値TH1を超えると判定し、当該第1~第9パラメータPR1~PR9を注目パラメータAPRとして抽出している。第1~第9パラメータPR1~PR9は、基本パラメータBPRに属するパラメータである。一方、特殊パラメータSPRに属する第10~第12パラメータPR10~PR12の変更頻度CFが第1閾値TH1を超えたとしても、抽出部912は、当該第10~第12パラメータPR10~PR12を注目パラメータAPRとしては抽出しない。抽出部912は、抽出対象の第1~第9パラメータPR1~PR9を、第1~第9注目パラメータAPR1~APR9として認識する。そして、抽出部912は、第1~第9注目パラメータAPR1~APR9と変更頻度CFとを関連付けて、注目パラメータAPRの情報を示す注目パラメータ情報APRJを作成する。
【0055】
注目パラメータAPRが複数存在する場合を想定する。この場合、抽出部912は、複数の注目パラメータAPRのうち、変更頻度CFが第1閾値TH1よりも高い所定の第2閾値TH2(後記の
図11)を超える注目パラメータAPRを特定注目パラメータSAPRとして抽出する。
図6に示す例では、抽出部912は、第1~第9注目パラメータAPR1~APR9のうち、第1~第4注目パラメータAPR1~APR4の変更頻度CFが第2閾値TH2を超えると判定し、当該第1~第4注目パラメータAPR1~APR4を特定注目パラメータSAPRとして抽出している。
【0056】
表示制御部914は、表示部95を制御する。表示制御部914は、入力部94によるデータの入力の際に、
図7に示す入力画面ISを表示部95に表示させる。入力画面ISは、複数のパラメータPR(第1~第12パラメータPR1~PR12)の表示領域PRAと、データの表示領域DAとを含み、オペレータによる入力部94を用いたデータの入力作業を案内するための画面である。オペレータは、表示部95に表示された入力画面ISを確認しながら、入力部94を用いて複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を行うことができる。なお、入力画面ISは、基板情報PJの表示領域を含んでいてもよい。基板情報PJは、例えば、実装機1において部品が搭載される基板Pの種類(基板種)PJ1を示す情報である。
【0057】
表示制御部914は、抽出部912から注目パラメータ情報APRJが出力された場合、当該注目パラメータ情報APRJが入力画面ISに表示されるように、表示部95を制御する。
図7に示す例では、入力画面ISにおける注目パラメータ情報APRJの表示形態は、注目パラメータAPRと変更頻度CFとの関連付けを表の形式で示す形態である。注目パラメータ情報APRJの表示形態は、
図7に示す例に限定されるものではなく、例えば
図8に例示されるような、注目パラメータAPRと変更頻度CFとの関連付けをグラフの形式で示す形態であってもよい。
【0058】
オペレータは、表示部95に表示された入力画面IS上の注目パラメータ情報APRJを確認することにより、実装機1でのデータの変更頻度CFが第1閾値TH1を超えて高い注目パラメータAPRを把握しながら、入力部94を用いて複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を行うことができる。これにより、実装機1でのデータ変更作業が必要となるようなデータの入力忘れや入力ミス等を可及的に抑制することができる。このため、データ作成装置9を用いて基板データPDを作成することにより、実装機1での基板データPDに対するデータの変更頻度CFを可及的に低減し、実装機1でのデータ変更作業に伴う生産停止を可及的に抑制することが可能となる。
【0059】
また、既述の通り、実装機側制御部MCによるヘッドユニット6の駆動制御における基本的な設定に関する基本パラメータBPRについては、実装機1でのデータの変更頻度CFが第1閾値TH1を超えた場合に注目パラメータAPRとして抽出部912によって抽出される。この場合、表示部95の入力画面IS上の注目パラメータ情報APRJにおいて、実装機1でのデータの変更頻度CFが高い基本パラメータBPRが注目パラメータAPRとして表示される。オペレータは、表示部95に表示された入力画面IS上の注目パラメータ情報APRJを確認することにより、実装機1でのデータの変更頻度CFが高い注目パラメータAPRとしての基本パラメータBPRを把握しながら、入力部94を用いて複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を行うことができる。
【0060】
一方、ヘッドユニット6の駆動制御時に実装機1においてデータが適宜変更される特殊パラメータSPRについては、実装機1でのデータの変更頻度CFが第1閾値TH1を超えた場合であっても、注目パラメータAPRとして抽出部912によって抽出されず、当該注目パラメータAPRから除外される。この場合、表示部95の入力画面IS上の注目パラメータ情報APRJにおいて、特殊パラメータSPRの情報の表示が回避される。これにより、オペレータは、入力部94を用いて複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を行うときに、実装機1においてデータが適宜変更される特殊パラメータSPRについて、過度な確認作業を行わずに済む。このため、オペレータによるデータの入力作業の効率化を図ることができる。
【0061】
抽出部912から出力された注目パラメータ情報APRJに、特定注目パラメータSAPRの情報が含まれる場合を想定する。この場合、表示制御部914は、注目パラメータ情報APRJにおいて、特定注目パラメータSAPRが他の注目パラメータAPRとの区別が可能な所定の警告表示形態で入力画面ISに表示されるように、表示部95を制御する。特定注目パラメータSAPRの警告表示形態としては、他の注目パラメータAPRとの区別が可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、特定注目パラメータSAPRの表示色を他の注目パラメータAPRの表示色と異なるようにする。また、特定注目パラメータSAPR以外の他の注目パラメータAPRについて変更頻度CFを指標として複数の組に分類し、その組毎に表示色を変化させると共に、特定注目パラメータSAPRの表示色を前記組毎の表示色とは異なる色としてもよい。例えば、他の注目パラメータAPRを変更頻度CFが高い順に第1組と第2組とに分類し、特定注目パラメータSAPRの表示色を赤色とし、第1組に属する注目パラメータAPRの表示色を黄色とし、第2組に属する注目パラメータAPRの表示色を緑色とする。
【0062】
この態様では、表示部95の入力画面IS上の注目パラメータ情報APRJにおいて、実装機1でのデータの変更頻度CFが第2閾値TH2を超えて特に高い特定注目パラメータSAPRについては、他の注目パラメータAPRとの区別が可能な警告表示形態で表示される。これにより、オペレータは、実装機1でのデータの変更頻度CFが特に高い特定注目パラメータSAPRに細心の注意を払いながら、入力部94を用いて複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を行うことができる。このため、実装機1での基板データPDに対するデータの変更頻度CFをより確実に低減することができる。
【0063】
オペレータによる入力部94を用いたデータの入力作業が終了すると、入力部94に入力終了指令IECが入力される。この場合、表示制御部914は、
図9に示すように、入力画面ISに終了確認情報EVAが表示されるように、表示部95を制御する。終了確認情報EVAは、データの入力作業を終了するか否かの確認をオペレータに促す情報である。終了確認情報EVAには、入力作業の終了を容認するための終了容認領域EVA1と、入力作業の終了を否認するための終了否認領域EVA2とが付加されている。オペレータによる入力部94を用いた終了容認領域EVA1の操作が行われると、表示制御部914は、表示部95に入力画面ISの表示を終了させる。一方、オペレータによる入力部94を用いた終了否認領域EVA2の操作が行われると、表示制御部914は、表示部95に入力画面ISの表示を維持させると共に、終了確認情報EVAの表示を削除させる。これにより、オペレータは、表示部95に表示された入力画面ISを確認しながら、入力部94を用いて複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を再開することができる。
【0064】
入力部94に入力終了指令IECが入力されたタイミングで、データが初期値IVから変更されていない未変更パラメータが存在する場合を想定する。
図9に示す例では、ノズル情報NJに登録されているノズル種に関する第9パラメータPR9が未変更パラメータに相当する。この場合、オペレータによるデータの入力作業において、未変更パラメータとしての第9パラメータPR9に対応するデータの入力忘れの可能性がある。そこで、表示制御部914は、未変更パラメータが存在する場合には、後記のデータ作成部913が基板データPDを作成する前、又はデータ作成部913による基板データPDの作成中に、入力画面ISにおいて未変更パラメータに対応する表示領域PRAが他のパラメータに対応する表示領域PRAとの区別が可能な所定の通知表示形態で表示されるように、表示部95を制御する。未変更パラメータに対応する表示領域PRAにおける所定の通知表示形態としては、他のパラメータに対応する表示領域PRAとの区別が可能であれば特に限定されるものではない。
図9に示す例では、表示制御部914は、未変更パラメータに対応する表示領域PRAに所定の警告マークWMが付与されるように、表示部95を制御する。また、表示制御部914は、未変更パラメータに対応する表示領域PRAの表示色が、他のパラメータに対応する表示領域PRAの表示色と異なるように、表示部95を制御する構成であってもよい。更に、表示制御部914は、未変更パラメータに対応する表示領域PRAに所定の警告マークWMが付与され、且つ、未変更パラメータに対応する表示領域PRAの表示色が他のパラメータに対応する表示領域PRAの表示色と異なるように、表示部95を制御する構成であってもよい。オペレータは、表示部95に表示された入力画面IS上のパラメータの表示領域PRAにおいて、警告マークWMが付与される等の所定の通知表示形態で表示されている部分を確認することにより、未変更パラメータの存在を把握することができる。これにより、未変更パラメータに対応するデータの入力忘れ等を可及的に抑制することができる。このため、実装機1での基板データPDに対するデータの変更頻度CFをより確実に低減することができる。
【0065】
入力部94に入力終了指令IECが入力され、表示部95による入力画面ISの表示が終了されると、データ作成部913は、
図10に示す基板データPDを作成する。具体的に、データ作成部913は、複数のパラメータPR(第1~第12パラメータPR1~PR12)と、入力部94で入力されたデータとを関連付けて、基板データPDを作成する。基板データPDは、実装機側制御部MCによるヘッドユニット6の駆動制御に必要な複数のパラメータPRの各々に対応してデータが付与されたものとなる。なお、データ作成部913は、基板情報PJを含む基板データPDを作成するように構成されていてもよい。また、表示制御部914は、データ作成部913により作成された基板データPDを表示部95に表示させてもよい。
【0066】
データ作成部913により作成された基板データPDは、通信部93から実装機1に向けて送信される。実装機1においては、実装機側通信部MC1によって基板データPDが受信されると、実装機側制御部MCは、当該基板データPDに従ってヘッドユニット6の駆動制御を行う。データ作成部913により作成された基板データPDは、実装機1でのデータの変更頻度CFを可及的に低減することが可能なものである。このため、実装機1でのデータ変更作業に伴う生産停止を可及的に抑制することが可能となる。
【0067】
以上説明した通りに構成されたデータ作成装置9の処理フローについて、
図11のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
記憶部92には、実装機1におけるヘッドユニット6の駆動制御に必要な複数のパラメータPRを示すパラメータ情報PRJが予め記憶されている。この状態で、通信部93は、実装機1における基板データPDの変更履歴を示す変更履歴情報CHを受信する(ステップs1)。
【0069】
通信部93により変更履歴情報CHが受信されると、算出部911は、当該変更履歴情報CHに基づいて、複数のパラメータPR毎に実装機1におけるデータの変更頻度CFを算出し、その算出結果を示す変更頻度情報CFJを出力する(ステップs2)。次に、抽出部912は、変更頻度情報CFJに基づいて、変更頻度CFが第1閾値TH1を超えるパラメータPRが存在するか否かを判定する(ステップs3)。変更頻度CFが第1閾値TH1を超えるパラメータPRが存在する(ステップs3でYES)場合には、抽出部912は、当該パラメータPRを注目パラメータAPRとして抽出する(ステップs4)。一方、変更頻度CFが第1閾値TH1を超えるパラメータPRが存在しない(ステップs3でNO)場合には、表示制御部914は、表示部95に入力画面ISを表示させる(ステップs31)。この場合、入力画面ISには注目パラメータ情報APRJが表示されていない。
【0070】
注目パラメータAPRの抽出後において、抽出部912は、注目パラメータAPRのうち、変更頻度CFが第2閾値TH2を超えるものが存在するか否かを判定する(ステップs5)。変更頻度CFが第2閾値TH2を超える注目パラメータAPRが存在する(ステップs5でYES)場合には、抽出部912は、当該注目パラメータAPRを特定注目パラメータSAPRとして抽出する(ステップs6)。
【0071】
次に、表示制御部914は、抽出部912による抽出結果を示す注目パラメータ情報APRJが入力画面ISに表示されるように、表示部95を制御する(ステップs7)。オペレータは、表示部95に表示された入力画面IS上の注目パラメータ情報APRJを確認することにより、実装機1でのデータの変更頻度CFが第1閾値TH1を超えて高い注目パラメータAPRを把握しながら、入力部94を用いて複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を行うことができる。
【0072】
なお、抽出部912によって特定注目パラメータSAPRが抽出された場合には、表示制御部914は、注目パラメータ情報APRJにおいて、特定注目パラメータSAPRが他の注目パラメータAPRとの区別が可能な所定の警告表示形態で入力画面ISに表示されるように、表示部95を制御する。これにより、オペレータは、実装機1でのデータの変更頻度CFが特に高い特定注目パラメータSAPRに細心の注意を払いながら、入力部94を用いて複数のパラメータPRの各々のデータの入力作業を行うことができる。
【0073】
次に、表示制御部914は、入力部94に入力終了指令IECが入力されたか否かを判定する(ステップs8)。入力終了指令IECが入力された(ステップs8でYES)場合には、表示制御部914は、記憶部92に記憶されているパラメータ情報PRJを参照し、複数のパラメータPRのうち、データが初期値IVから変更されていない未変更パラメータが存在するか否かを判定する(ステップs9)。未変更パラメータが存在する(ステップs9でYES)場合には、表示制御部914は、入力画面ISにおいて未変更パラメータに対応する表示領域PRAに所定の警告マークWMが付与されるように、表示部95を制御する。オペレータは、表示部95に表示された入力画面IS上の警告マークWMを確認することにより、未変更パラメータの存在を把握することができる。これにより、未変更パラメータに対応するデータの入力忘れ等を可及的に抑制することができる。
【0074】
入力部94に入力終了指令IECが入力され、表示部95による入力画面ISの表示が終了されると、データ作成部913は、基板データPDを作成する(ステップs11)。基板データPDは、実装機側制御部MCによるヘッドユニット6の駆動制御に必要な複数のパラメータPRの各々に対応してデータが付与されたものとなる。
【符号の説明】
【0075】
1 実装機
6 ヘッドユニット
9 データ作成装置
91 制御部
911 算出部
912 抽出部
913 データ作成部
914 表示制御部
92 記憶部
93 通信部
94 入力部
95 表示部
100 部品実装システム
APR 注目パラメータ
APRJ 注目パラメータ情報
CF 変更頻度
CH 変更履歴情報
IEC 入力終了指令
IS 入力画面
PD 基板データ
PR パラメータ
SAPR 特定注目パラメータ
TH1 第1閾値
TH2 第2閾値