(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/48 20060101AFI20230830BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230830BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230830BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230830BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H01L23/48 P
H01L29/78 653C
H01L29/78 652S
H01L29/78 652T
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652K
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652P
H01L29/78 652M
H01L29/78 655A
H01L29/78 652B
(21)【出願番号】P 2020153274
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】新井 雅俊
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019045(JP,A)
【文献】特開2020-013923(JP,A)
【文献】国際公開第2018/163593(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0065814(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0105887(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 29/06
H01L 29/739
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子に電気的に接続された第1金属部材と、
前記第1金属部材の上に設けられ、前記第1金属部材と電気的に接続された第1電極、
前記第1電極の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域、
前記第2半導体領域の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域、
前記第1金属部材から前記第1電極へ向かう第1方向に垂直な第2方向において、前記第1半導体領域の一部、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域とゲート絶縁層を介して対向するゲート電極、及び、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域の上に設けられ、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第2電極、
を含み、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記ゲート電極は前記第2方向において複数設けられた半導体素子と、
前記第2電極の上に設けられ、前記第2電極と電気的に接続され、第2端子に電気的に接続された第2金属部材と、
を備え、
前記半導体素子は、
前記第2電極が設けられ、前記第1方向において前記第2金属部材と重なる第1部分と、
前記第2電極が設けられ、前記第1方向において前記第2金属部材と重ならない第2部分と、
を含み、
前記第2部分において隣り合う前記ゲート電極同士の間での前記第1半導体領域の前記第2方向における長さは、前記第1部分において隣り合う前記ゲート電極同士の間での前記第1半導体領域の前記第2方向における長さよりも長い半導体装置。
【請求項2】
前記第2部分における複数の前記ゲート電極の前記第2方向におけるピッチは、前記第1部分における複数の前記ゲート電極の前記第2方向におけるピッチよりも長い請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2部分における単位面積あたりの前記ゲート電極の数は、前記第1部分における単位面積あたりの前記ゲート電極の数よりも少ない請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2部分における単位面積あたりの前記第3半導体領域の数は、前記第1部分における単位面積あたりの前記第3半導体領域の数よりも少ない請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
第1端子に電気的に接続された第1金属部材と、
前記第1金属部材の上に設けられ、前記第1金属部材と電気的に接続された第1電極、
前記第1電極の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域、
前記第2半導体領域の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域、
前記第1金属部材から前記第1電極へ向かう第1方向に垂直な第2方向において、前記第1半導体領域の一部、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域とゲート絶縁層を介して対向するゲート電極、及び、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域の上に設けられ、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第2電極、
を含み、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記ゲート電極は前記第2方向において複数設けられた半導体素子と、
前記第2電極の上に設けられ、前記第2電極と電気的に接続され、第2端子に電気的に接続された第2金属部材と、
を備え、
前記半導体素子は、
前記第2電極が設けられ、前記第1方向において前記第2金属部材と重なる第1部分と、
前記第2電極が設けられ、前記第1方向において前記第2金属部材と重ならない第2部分と、
を含み、
前記第2部分における単位面積あたりの前記第3半導体領域の数は、前記第1部分における単位面積あたりの前記第3半導体領域の数よりも少ない半導体装置。
【請求項6】
第3端子に電気的に接続された第3金属部材をさらに備え、
前記半導体素子は、第3電極をさらに含み、
前記第3電極は、前記第2電極から離れ、複数の前記ゲート電極と電気的に接続され、
前記第3金属部材は、前記第3電極の上に設けられ、前記第3電極に電気的に接続された、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
metal-oxide-semiconductor field-effect transistor(MOSFET)や、Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。半導体装置については、破壊が生じ難いことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、破壊が生じる可能性を低減可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1金属部材と、半導体素子と、第2金属部材と、を備える。前記第1金属部材は、第1端子に電気的に接続されている。前記半導体素子は、第1電極、第1導電形の第1半導体領域、第2導電形の第2半導体領域、第1導電形の第3半導体領域、ゲート電極、及び第2電極を含む。前記第1電極は、前記第1金属部材の上に設けられ、前記第1金属部材と電気的に接続されている。前記第1半導体領域は、前記第1電極の上に設けられている。前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の上に設けられている。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域の上に設けられている。前記ゲート電極は、前記第1金属部材から前記第1電極へ向かう第1方向に垂直な第2方向において、前記第1半導体領域の一部、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域とゲート絶縁層を介して対向する。前記第2電極は、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域の上に設けられ、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続されている。前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記ゲート電極は、前記第2方向において複数設けられている。前記第2金属部材は、前記第2電極の上に設けられ、前記第2電極と電気的に接続され、第2端子に電気的に接続されている。前記半導体素子は、前記第2電極が設けられ、前記第1方向において前記第2金属部材と重なる第1部分と、前記第2電極が設けられ、前記第1方向において前記第2金属部材と重ならない第2部分と、を含む。前記第2部分において隣り合う前記ゲート電極同士の間での前記第1半導体領域の前記第2方向における長さは、前記第1部分において隣り合う前記ゲート電極同士の間での前記第1半導体領域の前記第2方向における長さよりも長い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
【
図7】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
【
図8】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
【
図9】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明及び図面において、n+、n、n-及びp+、pの表記は、各不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」及び「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図2は、
図1のII-II断面図である。
図3は、
図1のIII-III断面図である。
図1~
図3に表したように、半導体装置100は、第1金属部材1、第2金属部材2、第3金属部材3、封止部5、及び半導体素子10を含む。
図1では、封止部5が省略されている。
【0009】
半導体素子10は、
図2及び
図3に表したように、第1電極11、第2電極12、第3電極13、及び半導体層20を含む。
【0010】
実施形態の説明では、XYZ直交座標系を用いる。第1金属部材1から第1電極11に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向に対して垂直であり、相互に直交する2方向をX方向(第2方向)及びY方向(第3方向)とする。また、説明のために、第1金属部材1から第1電極11に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、第1金属部材1と第1電極11との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0011】
第1金属部材1は、半導体装置100の下面に設けられている。第1金属部材1は、第1端子1aに電気的に接続されている。例えば、第1端子1aは、第1金属部材1と一体に形成されている。第1金属部材1及び第1端子1aは、互いに異なる部材から構成されていてもよい。例えば
図1に表したように、第1端子1aはX方向において複数設けられ、それぞれの第1端子1aがY方向に延びている。
【0012】
半導体素子10は、例えばMOSFETである。第1電極11は、第1金属部材1の上に設けられ、第1金属部材1と電気的に接続されている。半導体層20は、第1電極11の上に設けられている。第2電極12及び第3電極13は、半導体層20の上に設けられている。第3電極13は、第2電極12から離れており、第2電極12と電気的に分離されている。
【0013】
第2金属部材2は、第2電極12の上に設けられ、第2電極12と電気的に接続されている。第2金属部材2は、第2端子2aに電気的に接続されている。例えば
図1に表したように、第2端子2aはX方向において複数設けられ、それぞれの第2端子2aがY方向に延びている。
【0014】
第3金属部材3は、第3電極13の上に設けられ、第3電極13と電気的に接続されている。第3金属部材3は、第3端子3aに電気的に接続されている。
【0015】
図2及び
図3に表した例では、第1電極11~第3電極13は、それぞれ、接合部51~53を介して第1金属部材1~第3金属部材3と電気的に接続されている。第2金属部材2及び第3金属部材3は、それぞれ、接合部54及び55を介して第2端子2a及び第3端子3aと電気的に接続されている。この例に限らず、一方の部材が、他方の部材に、接続部を介さずに圧接されていても良い。第2金属部材2は、第2端子2aと一体に形成されても良い。第3金属部材3は、第3端子3aと一体に形成されても良い。
【0016】
第1金属部材1、第2金属部材2、及び第3金属部材3のそれぞれの形状は、図示した例に限らず、半導体装置100の用途に応じて適宜変更可能である。また、第1端子1a、第2端子2a、及び第3端子3aのそれぞれの数又は形状も、適宜変更可能である。
【0017】
封止部5は、第1金属部材1の上面及び側面、第2金属部材2の下面及び側面、第3金属部材3、及び半導体素子10を覆い、半導体素子10を封止している。第1端子1a、第2端子2a、及び第3端子3aのそれぞれの一部は、封止部5に覆われておらず、外部に露出している。
【0018】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図5は、
図4のV-V断面図である。
図4では、第2金属部材2及び封止部5が省略されている。
図4に表したように、半導体素子10は、第1部分Po1及び第2部分Po2を含む。第1部分Po1及び第2部分Po2には、第2電極12が設けられている。第1部分Po1は、Z方向において、第2金属部材2と重なる。第1部分Po1は、接合部52を介して第2金属部材2と接している。第2部分Po2は、Z方向において、第2金属部材2と重ならない。例えば、第2部分Po2は、X-Y面に沿って第1部分Po1の周りに位置する。
【0019】
図5に表したように、半導体層20は、n
-形(第1導電形)半導体領域21(第1半導体領域)、p形(第2導電形)半導体領域22(第2半導体領域)、n
+形半導体領域23(第3半導体領域)、n
+形半導体領域24、p
+形半導体領域25、及びゲート電極30を含む。
【0020】
n+形半導体領域24は、第1電極11の上に設けられ、第1電極11と電気的に接続されている。n-形半導体領域21は、n+形半導体領域24の上に設けられている。n-形半導体領域21は、n+形半導体領域24を介して第1電極11と電気的に接続されている。n-形半導体領域21におけるn形不純物濃度は、n+形半導体領域24におけるn形不純物濃度よりも低い。
【0021】
p形半導体領域22は、n-形半導体領域21の上に設けられている。n+形半導体領域23及びp+形半導体領域25は、p形半導体領域22の上に設けられている。p+形半導体領域25におけるp形不純物濃度は、p形半導体領域22におけるp形不純物濃度よりも高い。
【0022】
ゲート電極30は、X方向において、n-形半導体領域21の一部、p形半導体領域22、及びn+形半導体領域23とゲート絶縁層31を介して対向している。ゲート電極30は、第3電極13と電気的に接続されている。
【0023】
p形半導体領域22、n+形半導体領域23、n+形半導体領域24、p+形半導体領域25、及びゲート電極30のそれぞれは、X方向において複数設けられている。第1部分Po1及び第2部分Po2のそれぞれに、複数のp形半導体領域22、複数のn+形半導体領域23、複数のn+形半導体領域24、複数のp+形半導体領域25、及び複数のゲート電極30が設けられている。各p形半導体領域22、各n+形半導体領域23、各n+形半導体領域24、各p+形半導体領域25、及び各ゲート電極30は、Y方向に延伸している。
【0024】
第2電極12は、第1部分Po1及び第2部分Po2において、複数のp形半導体領域22及び複数のn+形半導体領域23と電気的に接続されている。
【0025】
図5に表した長さL1は、第1部分Po1において、X方向で隣り合うゲート電極30同士の間での、n
-形半導体領域21のX方向の長さである。長さL2は、第2部分Po2において、X方向で隣り合うゲート電極30同士の間での、n
-形半導体領域21のX方向の長さである。長さL2は、長さL1よりも長い。例えば、第2部分Po2における複数のゲート電極30のX方向のピッチP2は、第1部分Po1における複数のゲート電極30のX方向のピッチP1よりも長い。ピッチは、隣り合うゲート電極30のX方向における中心同士の間の距離に対応する。
【0026】
図6は、
図4の部分VIを表す平面図である。
図6では、第2金属部材2、封止部5、第2電極12、p形半導体領域22、n
+形半導体領域23、及びp
+形半導体領域25が省略されている。
第2部分Po2に設けられたゲート電極30は、半導体素子10の外周に設けられた不図示のゲート配線を介して、第3電極13と電気的に接続されている。例えば
図6に表したように、半導体層20中には、X方向に延伸する接続部30cが設けられている。第1部分Po1に設けられたゲート電極30は、接続部30cを介して、第2部分Po2に設けられたゲート電極30と電気的に接続される。
【0027】
半導体装置100の動作について説明する。
第2電極12に対して第1電極11に正電圧が印加された状態で、第3電極13を介してゲート電極30に閾値以上の電圧を印加する。これにより、p形半導体領域22にチャネル(反転層)が形成され、半導体素子10がオン状態となる。電子は、チャネルを通って第2電極12から第1電極11へ流れる。すなわち、電流が第1電極11から第2電極12へ流れる。その後、ゲート電極30に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形半導体領域22におけるチャネルが消滅し、半導体素子10がオフ状態になる。
【0028】
半導体装置100の各構成要素の材料の一例を説明する。
第1金属部材1、第2金属部材2、第3金属部材3、第1端子1a、第2端子2a、及び第3端子3aは、銅などの金属を含む。第1電極11、第2電極12、及び第3電極13は、アルミニウムなどの金属を含む。n-形半導体領域21、p形半導体領域22、n+形半導体領域23、n+形半導体領域24、及びp+形半導体領域25は、半導体材料として、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、又はガリウムヒ素を含む。半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n形不純物として、ヒ素、リン、又はアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。ゲート電極30は、ポリシリコンなどの導電材料を含む。導電材料には、不純物が添加されていても良い。ゲート絶縁層31は、酸化シリコンなどの絶縁材料を含む。接合部51~55は、錫、アンチモン、銀、又は銅などの金属を含む。
【0029】
実施形態の効果を説明する。
半導体素子10がオン状態になると、半導体層20に電流が流れる。半導体層20に電流が流れると、熱が発生する。半導体層20で発生した熱は、主に、第1電極11及び第2電極12を介して第1金属部材1及び第2金属部材2へ伝わり、半導体装置100から排出される。
【0030】
半導体素子10は、
図4に表したように、第1部分Po1及び第2部分Po2を含む。第1部分Po1は、Z方向において第2金属部材2と重なる。このため、第1部分Po1で発生した熱は、第2金属部材2へ排出され易い。第2部分Po2は、Z方向において第2金属部材2と重ならない。このため、第2部分Po2で発生した熱は、第1部分Po1で発生した熱に比べて、第2金属部材2へ排出され難い。半導体素子10を動作させると、第2部分Po2の温度が、第1部分Po1の温度よりも高くなる。
【0031】
半導体素子10がオン状態のとき、一部のチャネルに電流が過度に集中すると、半導体素子10が破壊される。第2部分Po2の温度が第1部分Po1の温度よりも高いとき、第2部分Po2における半導体領域の電気抵抗は、第1部分Po1における半導体領域の電気抵抗よりも低い。電気抵抗の違いにより、第2部分Po2に流れる電流密度は、第1部分Po1を流れる電流密度よりも大きくなる。特に、Z方向から見たときに、第2部分Po2の面積は、第1部分Po1の面積よりも小さい。このため、第2部分Po2には、電流が集中して流れ易い。第2部分Po2への電流集中により、第2部分Po2の温度が上昇し、半導体素子10が破壊される可能性がある。
【0032】
実施形態に係る半導体装置100では、
図5に表したように、第2部分Po2におけるゲート電極30同士の間のn
-形半導体領域21の長さL2が、第1部分Po1におけるゲート電極30同士の間のn
-形半導体領域21の長さL1よりも長い。例えば、第2部分Po2におけるゲート電極30のピッチP2が、第1部分Po1におけるゲート電極30のピッチP1よりも長い。このため、第2部分Po2における単位面積あたりのゲート電極30の数は、第1部分Po1における単位面積あたりのゲート電極30の数よりも少ない。
【0033】
これにより、半導体素子10がオン状態のとき、第2部分Po2における単位面積あたりの電気抵抗は、第1部分Po1における単位面積あたりの電気抵抗よりも高い。第2部分Po2の電気抵抗の増大により、半導体素子10がオン状態のときに、第2部分Po2に電流が集中し難くなる。例えば、電流は、第1部分Po1と第2部分Po2に分散して流れる。又は、電流は、主に第1部分Po1を流れる。実施形態によれば、第2部分Po2への電流集中によって半導体素子10が破壊される可能性を低減できる。半導体素子10のSafe Operating Area(SOA)を改善できる。
【0034】
特に、第1部分Po1のX-Y面における面積は、第2部分Po2のX-Y面における面積よりも広い。このため、電流が主に第1部分Po1を流れたとしても、電流が主に第2部分Po2を流れる場合に比べて、電流の集中を抑制できる。
【0035】
ここで、第2部分Po2における電流集中を抑制可能な半導体装置として、以下の2つの参考例が挙げられる。第1参考例に係る半導体装置では、第2部分Po2に、n+形半導体領域23又はゲート電極30が設けられていない。第2参考例に係る半導体装置では、第1部分Po1と第2部分Po2の両方において、同じピッチで複数のゲート電極30が設けられ、第2部分Po2では、一部のゲート電極30が第2電極12と電気的に接続される。
【0036】
第1参考例に係る半導体装置では、半導体素子10がオン状態のときに、第2部分Po2に電流が流れない。このため、半導体素子10のオン抵抗が増大する。第1実施形態によれば、半導体素子10の破壊が生じる可能性を低減しつつ、第1参考例に比べて半導体装置のオン抵抗を低減できる。
【0037】
第2参考例に係る半導体装置によれば、第2部分Po2に電流が流れるため、第1参考例に比べて半導体素子10のオン抵抗を低減できる。しかし、第2電極12と電気的に接続されたゲート電極30が設けられていると、ゲート電極30同士の間のn-形半導体領域21の幅(X方向における長さ)が、第1実施形態に比べて狭まる。n-形半導体領域21の幅が狭くなると、電流経路の幅が狭まるため、半導体装置のオン抵抗が増大する。第1実施形態によれば、第2部分Po2におけるn-形半導体領域21の長さL2が、第1部分Po1におけるn-形半導体領域21の長さL1よりも長い。長さL2が長さL1よりも長いと、ゲート電極30同士の間での電流経路の幅が広がる。このため、第1実施形態によれば、半導体素子10の破壊が生じる可能性を低減しつつ、第2参考例に比べて半導体装置のオン抵抗を低減できる。
【0038】
図7~
図9は、実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
半導体装置110では、
図7に表したように、半導体層20が導電部35を含む。導電部35は、n
-形半導体領域21中に絶縁層35aを介して設けられている。ゲート電極30は、導電部35の上に、絶縁層35bを介して設けられている。
【0039】
第2電極12と導電部35との間には、電気的接続ECが存在する。導電部35の電位は、第2電極12の電位と同じである。導電部35は、X方向において複数設けられている。各導電部35は、Y方向に延伸している。例えば、導電部35のY方向における端部は、上方へ引き上げられ、第2電極12と接している。
【0040】
又は、導電部35はゲート電極30と電気的に接続され、導電部35の電位はゲート電極30の電位と同じであっても良い。この場合、絶縁層35bが設けられず、導電部35がゲート電極30と接する。
【0041】
半導体装置110がオフ状態に切り替わったとき、第2電極12に対して第1電極11に印加される正電圧が増大する。正電圧の増大により、n-形半導体領域21とp形半導体領域22との界面から空乏層が広がる。また、n-形半導体領域21と絶縁層35aとの界面からn-形半導体領域21に向けて、空乏層が広がる。後者の空乏層の広がりにより、半導体装置110の耐圧を高めることができる。又は、半導体装置110の耐圧を維持したまま、n-形半導体領域21におけるn形不純物濃度を高め、半導体装置110のオン抵抗を低減できる。
【0042】
長さL2は、長さL1よりも長い。このため、第2部分Po2における導電部35同士の間のn-形半導体領域21は、第1部分Po1における導電部35同士の間のn-形半導体領域21よりも空乏化し難い。第2部分Po2におけるn-形半導体領域21の空乏化を促進させるために、第2部分Po2におけるn-形半導体領域21のn形不純物濃度が、第1部分Po1におけるn-形半導体領域21のn形不純物濃度よりも低くても良い。
【0043】
また、上述したように、導電部35を設けることで、半導体装置110の耐圧を維持したまま、n-形半導体領域21におけるn形不純物濃度を高めることができる。これにより、半導体素子10aのオン抵抗を低減できる。半導体素子10aのオン抵抗が低下すると、発熱量も低下する。このため、半導体装置110へ流す電流を大きくできる。電流が大きくなると、第1部分Po1と第2部分Po2との間で温度差が生じたときに、第2部分Po2に電流がさらに集中し易くなる。実施形態によれば、導電部35が設けられる場合でも、第2部分Po2への電流の集中を効果的に抑制でき、半導体素子10aが破壊される可能性を低減できる。
【0044】
図8に表した半導体装置120では、半導体装置110と比べて、第2電極12がコンタクト部12aを含む。コンタクト部12aは、p形半導体領域22に向けて突出している。例えば、1つのp形半導体領域22の上に、一対のn
+形半導体領域23が設けられている。コンタクト部12aは、X方向において、一対のn
+形半導体領域23の間に位置している。p
+形半導体領域25は、p形半導体領域22とコンタクト部12aの底部との間に設けられている。
【0045】
半導体装置120によれば、第2電極12とp+形半導体領域25との間の接触面積が増大する。これにより、p形半導体領域22の電位をより安定化できる。例えば、n-形半導体領域21においてアバランシェ降伏が生じた際に、p形半導体領域22の電位の変動を抑制できる。寄生トランジスタの動作を抑制でき、半導体素子10bが破壊される可能性をさらに低減できる。
【0046】
図9に表した半導体装置130は、n
+形半導体領域24に代えて、p
+形半導体領域26及びn形半導体領域27を含む。p
+形半導体領域26は、第1電極11とn
-形半導体領域21の間に設けられ、第1電極11と電気的に接続されている。n形半導体領域27は、p
+形半導体領域26とn
-形半導体領域21との間に設けられている。n形半導体領域27におけるn形不純物濃度は、n
-形半導体領域21におけるn形不純物濃度よりも高い。
【0047】
半導体装置130の動作について説明する。
半導体装置130では、半導体素子10cは、IGBTである。第2電極12に対して第1電極11に正電圧が印加された状態で、ゲート電極30に閾値以上の電圧を印加する。これにより、p形半導体領域22にチャネル(反転層)が形成される。電子は、第2電極12からチャネルを介してn-形半導体領域21に注入される。正孔は、p+形半導体領域25からn-形半導体領域21に注入される。これにより、半導体装置130がオン状態になる。n-形半導体領域21では、注入された電子及び正孔によって伝導度変調が生じ、n-形半導体領域21の電気抵抗が減少する。
【0048】
変形例に係る半導体装置110~130では、半導体装置100と同様に、第2部分Po2におけるn-形半導体領域21の長さL2が、第1部分Po1におけるn-形半導体領域21の長さL1よりも長い。第2部分Po2におけるゲート電極30のピッチP2は、第1部分Po1におけるゲート電極30のピッチP1よりも長い。このため、電流の集中によって半導体素子10a~10cが破壊される可能性を低減できる。
【0049】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
第2実施形態に係る半導体装置200は、半導体素子10aに代えて半導体素子10dを含む点で、半導体装置100と異なる。半導体素子10dは、MOSFETである。半導体素子10dでは、第2部分Po2におけるn
+形半導体領域23の単位面積あたりの数が、第1部分Po1におけるn
+形半導体領域23の単位面積あたりの数よりも少ない。
【0050】
例えば
図10に表したように、第1部分Po1では、1つのp形半導体領域22の上に、一対のn
+形半導体領域23が設けられている。第2部分Po2では、1つのp形半導体領域22の上に、1つのn
+形半導体領域23が設けられている。
【0051】
n+形半導体領域23が設けられていない領域では、ゲート電極30に電圧が印加されても、電流が流れない。n+形半導体領域23の数が少ないほど、半導体素子10dがオン状態のときに流れる電流が減少する。すなわち、電気抵抗が増大する。第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、第2部分Po2における半導体領域の電気抵抗が、第1部分Po1における半導体領域の電気抵抗よりも高くなる。これにより、半導体素子10dがオン状態のときに、第2部分Po2における電流集中を抑制できる。この結果、第2部分Po2への電流集中によって半導体素子10dが破壊される可能性を、低減できる。
【0052】
例えば、第2部分Po2におけるn-形半導体領域21の長さL2は、第1部分Po1におけるn-形半導体領域21の長さL1と同じである。第2部分Po2におけるゲート電極30のピッチP2は、第1部分Po1におけるゲート電極30のピッチP1と同じである。
【0053】
又は、第1実施形態と同様に、長さL2が長さL1よりも長くても良い。ピッチP2がピッチP1よりも長くても良い。これにより、第2部分Po2への電流集中をさらに抑制できる。
【0054】
図10に表したように、第2部分Po2に設けられたp
+形半導体領域25の幅は、第1部分Po1に設けられたp
+形半導体領域25の幅よりも広くても良い。第2部分Po2において、p
+形半導体領域25の一側面は、ゲート絶縁層31と接していても良い。これにより、第2部分Po2におけるp形半導体領域22の電位の変動をさらに抑制できる。
【0055】
第2実施形態に係る半導体装置200に、第1実施形態の各変形例に係る半導体装置の構造が適用されても良い。例えば、半導体装置200において、半導体層20に導電部35が設けられても良い。第2電極12が、コンタクト部12aを含んでも良い。半導体素子10dは、IGBTであり、n+形半導体領域24に代えてp+形半導体領域26及びn形半導体領域27を含んでも良い。
【0056】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1:第1金属部材、 1a:第1端子、 2:第2金属部材、 2a:第2端子、 3:第3金属部材、 3a:第3端子、 5:封止部、 10,10a~10d:半導体素子、 11:第1電極、 12:第2電極、 12a:コンタクト部、 13:第3電極、 20:半導体層、 21:n-形半導体領域、 22:p形半導体領域、 23:n+形半導体領域、 24:n+形半導体領域、 25:p+形半導体領域、 26:p+形半導体領域、 27:n形半導体領域、 30:ゲート電極、 30c:接続部、 31:ゲート絶縁層、 35:導電部、 35a,35b:絶縁層、 51~55:接合部、 100~130,200:半導体装置、 P1,P2:ピッチ、 Po1:第1部分、 Po2:第2部分