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特許73399462-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールおよびその硫酸水素塩の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールおよびその硫酸水素塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/04 20060101AFI20230830BHJP
   C07D 311/76 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALN20230830BHJP
   A61P 25/04 20060101ALN20230830BHJP
   A61P 25/22 20060101ALN20230830BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20230830BHJP
【FI】
C07D405/04
C07D311/76 CSP
A61K31/4178
A61P25/04
A61P25/22
A61P43/00 111
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020529522
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 FI2018050864
(87)【国際公開番号】W WO2019106238
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】20176085
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】300046083
【氏名又は名称】オリオン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライチネン、イルポ
(72)【発明者】
【氏名】レスキネン、ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】メケレ、ミッコ
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-512438(JP,A)
【文献】Neef, Gunter; Eder, Ulrich; Sauer, Gerhard,One-step conversions of esters to 2-imidazolines, benzimidazzoles, and benzothiazoles by alminum organic reagents,Journal of Organic Chemistry,1981年,46(13),,2824-2826
【文献】WENDY A LOUGHLIN; ET AL,CYCLODEHYDRATION OF N-(AMINOALKYL)BENZAMIDES UNDER MILD CONDITIONS WITH A HENDRICKSON REAGENT ANALOGUE,JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,ACS PUBLICATIONS,2013年06月27日,VOL:78, NR:14,,PAGE(S):7356 - 7361,http://dx.doi.org/10.1021/jo401082q
【文献】ANA M REVERDITO; ET AL,SYNTHESIS AND SYNTHETIC APPLICATIONS OF 1-ARYL-2-ALKYL-4,5-DIHYDRO-1H-IMIDAZOLES,SYNTHETIC COMMUNICATIONS,TAYLOR & FRANCIS,2011年10月27日,VOL:42, NR:14,,PAGE(S):2083 - 2097,http://dx.doi.org/10.1080/00397911.2011.552155
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 405/04
C07D 311/76
A61K 31/4178
A61P 25/04
A61P 25/22
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールまたはその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって、式(V)
【化2】
のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を、酸性条件下、および非反応性溶媒の存在下でヘキサメチルジシラザンと反応させ、式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを得、任意にはその薬学的に許容され得る塩に変換されることによる製造方法。
【請求項2】
式(I)の化合物を式(Ia)
【化3】
の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩に変換する工程をさらに含む請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
a)式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を、非反応性溶媒中で、ヘキサメチルジシラザンと、触媒量の酸の存在下で反応させる工程;および
b)生成した式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを反応混合物から単離することなく、該2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを式(Ia)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールの硫酸水素塩に変換する工程
を含む請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
工程b)が、反応混合物をエタノール-水溶液で処理し、硫酸を加えることにより行われる請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
a)キシレン中の式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を、ヘキサメチルジシラザンと、80℃より高い温度で、触媒量の硫酸の存在下で反応させ、式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを得る工程;
b)生成した式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを単離することなく、水およびHClを反応混合物に加え、式(I)の化合物をその硫酸水素塩に変換する工程;
c)水相を単離する工程;
)抽出溶媒および無機塩基を加える工程;
e)有機相を単離する工程;
f)エタノール-水溶液および硫酸を加え、式(Ia)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩を生成する工程;
g)前記抽出溶媒を留去する工程;
h)エタノールをエタノール-水溶液に加える工程;
i)冷却および任意には結晶種を入れることにより、式(Ia)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩を結晶化する工程;および
j)式(Ia)の結晶性化合物を単離する工程
を含む請求項1~のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
式(V)
【化4】
のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物の製造方法であって、
a)式(II)
【化5】
の2-(2-メトキシフェニル)エタノールを、溶媒中、第三級脂肪族アミンの存在下で2-オキソ酢酸エチルと反応させ、その後無水酢酸を反応混合物に加え、式(III)
【化6】
のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを生成する工程;
b)式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを四塩化錫および塩素化炭化水素溶媒の混合物に加え、式(IV)
【化7】
のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;および
c)式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを脂肪族または芳香族炭化水素溶媒中、かつ触媒量の酸の存在下でエチレンジアミンと反応させ、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を生成する工程
を含む製造方法。
【請求項7】
a)式(II)
【化8】
の2-(2-メトキシフェニル)エタノールを、溶媒中、第三級脂肪族アミンの存在下、2-オキソ酢酸エチルと反応させ、次いで反応混合物に無水酢酸を加え、式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)-アセテートを生成する工程;
【化9】
b)式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを四塩化錫および塩素化炭化水素溶媒の混合物に加え、式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;
【化10】
c)生成した式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを単離することなく、水、NaOHおよびエタノールを反応混合物に加え、式(IVa)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウムを得る工程;
【化11】
d)式(IVa)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウムを、水中で、酸で処理し、生成された式(IVb)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸を単離する工程;
【化12】
)有機溶媒中の式(IVb)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸を、酸の存在下でエタノールと反応させ、式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;および
【化13】
f)式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを、脂肪族または芳香族炭化水素溶媒中、触媒量の酸の存在下、エチレンジアミンと反応させ、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を生成する工程
を含む請求項記載の製造方法。
【請求項8】
a)式(II)の2-(2-メトキシフェニル)エタノールをトルエン中、かつトリメチルアミンの存在下、2-オキソ酢酸エチルと反応させ、その後、無水酢酸を反応混合物に加え、式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを生成する工程;
b)ジクロロメタン中の式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを、四塩化錫およびジクロロメタンの混合物に加え、式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;
c)生成した式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを反応混合物から単離することなく、水、NaOHおよびエタノールを反応混合物に加え、(IVa)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウムを得る工程;
d)式(IVa)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウムを、水中のHClで処理し、生成された式(IVb)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸を単離する工程;
e)トルエン中の式(IVb)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸を、HClの存在下でエタノールと反応させてトルエン溶液中の式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;および
f)工程e)から得られたエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートのトルエン溶液を、触媒量の酢酸の存在下、エチレンジアミンと反応させ、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を生成する工程
を含む請求項記載の製造方法。
【請求項9】
さらに
g)水非混和性有機溶媒と水とを加え、その後酸を徐々に加えることにより反応混合物を抽出する工程;および
h)式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を、強塩基を加えることにより水相から結晶化する工程
を含む請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
式(V)の化合物が請求項のいずれか1項にしたがい製造される請求項1~のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
式(V)
【化14】
の化合物の、式(I)
【化15】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の製造における使用。
【請求項12】
式(V)
【化16】
の化合物の、式(Ia)
【化17】
の化合物の製造における使用。
【請求項13】
式(V)の化合物。
【化18】
【請求項14】
式(I)
【化19】
または式(Ia)
【化20】
の化合物を製造するための中間体として使用される請求項13記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イソクロマン構造のアルファ2Aアドレナリン受容体アゴニスト、すなわち2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール(I)および硫酸塩(Ia)などのその薬学的に許容され得る塩の製造のための改良された方法、およびその方法において使用される新規な中間体化合物、すなわちN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物(V)に関する。
【背景技術】
【0002】
式(I)の化合物、2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールおよびその薬学的に許容され得る塩は特許文献1に開示されている。式(I)の化合物は、アドレナリンアルファ2受容体、特にアルファ2A受容体にアゴニスト活性を示し、したがって、アルファ2Aアゴニストが有効であると指摘されている障害、状態または疾患の治療において、特に鎮静また鎮痛剤として使用するため、および不安の治療において使用するため、使用することができる。
【化1】
【0003】
特許文献1は、スキーム1に示される式(X)の2-(5-ブロモイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール中間体による式(I)の化合物およびその塩の製造方法を開示する。
【化2】
【0004】
スキーム1のこの方法は、2-(2-ブロモフェニル)エタノール、TFAおよび2,2-ジヒドロキシ酢酸の混合物を還流し、5-ブロモイソクロマン-1-カルボン酸を得ることを含み、これはさらにメタノールおよびトリメチルシリルクロリドと混合し、メチル5-ブロモイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する。エチレンジアミン、トリメチルアルミニウムおよびトルエンの溶液に、メチル5-ブロモイソクロマン-1-カルボキシレートおよびトルエンの混合物を加え、式(X)の2-(5-ブロモイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを得る。最後に、メタノールおよびトルエンを式(X)の2-(5-ブロモイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール、2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)ビフェニル、酢酸パラジウム(II)およびCs2CO3の混合物に加え、生成された式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを反応混合物から単離する。
【0005】
式(I)の化合物の硫酸塩(Ia)は、エタノール中で式(I)の単離された2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールからエタノール中の硫酸を加えることにより製造される。
【0006】
特許文献1はまた、式(I)の誘導体を製造するための別の方法も開示する。その方法において、式(Y)の化合物は、スキーム2にしたがい式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレート中間体より製造される。
【化3】
【0007】
スキーム2のこの方法は、2-(2-メトキシフェニル)エタノールをトルエン中で2-オキソ酢酸エチルと反応させてエチル2-ヒドロキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを生成することを含み、これはさらにピリジン、4-ジメチルアミノピリジンおよび塩化アセチルで処理され、エチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを生成する。いくつかの精製工程後、単離されたエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートはジクロロメタンに溶解され、AlCl3で処理され、式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する。最後に式(Y)の中間体化合物をエチレンジアミドとトリメチルアルミニウムの存在下で反応させ、式(Z)の4,5-ジヒドロイミダゾール化合物を生成する。
【0008】
上記方法は、いくつかの欠点を有する。好ましくない試薬および複雑な後処理のため、生成物の純度および収率は非常に低いものである。さらに、トリメチルアルミニウムはその有用性が制限される自然発火試薬である。また、方法は、スケールアップすることが非常に難しく、工業規模での使用に容易に適合させることができない。
【0009】
したがって、式(I)の化合物およびその塩を高収率および高純度で製造するのに適し、大規模での使用にふさわしい、より現実的で経済的な方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2013/150173号
【発明の概要】
【0011】
今、式(I)の化合物が、より現実的および経済的で大きな産業規模における使用に適した方法を用いて製造できることを見出した。特に、効果的な精製工程と共に単純化された手法により製造された式(I)の化合物およびその塩は、高収率で優れた純度で単離することができる。さらに、自然発火性のトリメチルアルミニウムの使用が回避される。
【0012】
したがって、本開示の目的は、式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールおよび、式(Ia)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩などのその薬学的に許容され得る塩を製造するための新規な方法を提供することである。
【0013】
本開示の別の目的は、新規な中間体、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物の製造のための方法および式(V)の上記中間体を用いる式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールおよびその硫酸塩の製造方法を提供することである。
【0014】
本開示の別の目的は、新規な中間体、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を提供することである。
【0015】
本開示の方法は、以下の一般的な反応スキーム3によりまとめることができるがそれに限定されるものではない。スキーム3では、明確に断りのない限り、すべての略語および表現は、有機化学の分野の知識を有する者に周知の意味を有する。
【化4】
【0016】
本教示の前述のならびに他の特徴および利点は、以下の説明および特許請求の範囲より完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールおよび式(Ia)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩などの薬学的に許容され得るその塩を製造するための新規な方法に関する。
【0018】
一実施形態において、本開示は、式(I)
【化5】
の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールまたはその薬学的に許容され得る塩の、式(V)
【化6】
のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を、酸性条件下、および非反応性溶媒の存在下で適切な縮合試薬と反応させ、式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを得ることによる製造方法に関し、これは任意にはその薬学的に許容され得る塩に変換される。
【0019】
一実施形態において、本開示は、上記方法であって、さらに、式(I)の化合物を式(Ia)
【化7】
の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩に変換する工程を含む方法に関する。
【0020】
一実施形態において、本開示は、式(I)の化合物の製造方法であって、
a)式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を、適切な溶媒、例えばキシレン中で、適切な縮合試薬、例えばヘキサメチルジシラザンと、触媒量の酸、例えば硫酸の存在下で反応させる工程;および
b)生成した式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを反応混合物から単離することなく、該2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを式(Ia)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールの硫酸水素塩に変換する工程
を含む方法に関する。
【0021】
一実施形態において、本開示は、工程b)が、反応混合物をエタノール-水溶液で処理し、硫酸を加えることにより行われる上記方法に関する。
【0022】
一実施形態において、本開示は、式(I)の化合物の製造方法であって、
a)式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物をキシレン中で、ヘキサメチルジシラザンと、高温、例えば80℃より高い温度で、触媒量の硫酸の存在下で反応させ、式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを得る工程;
b)生成した式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを単離することなく、水およびHClを反応混合物に加え、式(I)の化合物をその硫酸水素塩に変換する工程;
c)水相を単離する工程;
d)適切な抽出溶媒、例えば塩化メチレンおよび無機塩基、例えばNaOHを加える工程;
e)有機相を単離する工程;
f)エタノール-水溶液および硫酸を加え、式(Ia)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩を生成する工程;
g)溶媒を留去する工程;
h)エタノールをエタノール-水溶液に加える工程;
i)冷却および任意には結晶種を入れることにより、式(Ia)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩を結晶化する工程;および
j)式(Ia)の結晶性化合物を単離する工程
を含む方法に関する。
【0023】
一実施形態において、本開示は、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物の製造方法に関する。
【0024】
一実施形態において、本開示は、式(V)
【化8】
のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物の製造方法であって、
a)式(II)
【化9】
の2-(2-メトキシフェニル)エタノールを、適切な有機溶媒、例えばジクロロメタンまたはトルエン中、第三級脂肪族アミン、例えばトリメチルアミンまたはトリエチルアミンの存在下で2-オキソ酢酸エチルと反応させ、その後無水酢酸を反応混合物に加え、式(III)
【化10】
のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを生成する工程;
b)式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを四塩化錫および塩素化炭化水素溶媒、例えばジクロロメタンの混合物に加え、式(IV)
【化11】
のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;および
c)式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを適切な溶媒、例えばトルエンなどの脂肪族または芳香族炭化水素溶媒中、触媒量の適切な酸、例えば酢酸の存在下でエチレンジアミンと反応させ、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を生成する工程
を含む方法に関する。
【0025】
一実施形態において、本開示は、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物の製造方法であって、
a)式(II)
【化12】
の2-(2-メトキシフェニル)エタノールを、適切な溶媒、例えばジクロロメタン中、第三級脂肪族アミン、例えばトリメチルアミンまたはトリメチルアミンの存在下、2-オキソ酢酸エチルと反応させ、次いで反応混合物に無水酢酸を加え、式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)-アセテートを生成し;
【化13】
b)式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを四塩化錫および塩素化炭化水素溶媒の混合物に加え、式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;
【化14】
c)生成した式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを単離することなく、水、NaOHおよびエタノールを反応混合物に加え、式(IVa)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウムを得る工程;
【化15】
d)式(IVa)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウムを、水中で、適切な酸、例えば、HClなどの強い有機酸または無機酸で処理し、生成された式(IVb)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸を単離する工程;
【化16】
e)式(IVb)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸を適切な有機溶媒、例えばトルエン中で、適切な酸、例えばHClの存在下でエタノールと反応させ、式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;および
【化17】
f)式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを、脂肪族または芳香族炭化水素溶媒中、触媒量の適切な酸、例えば酢酸の存在下、エチレンジアミンと反応させ、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を生成する工程
を含む方法に関する。
【0026】
一実施形態において、本開示は、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物の製造方法であって、
a)式(II)の2-(2-メトキシフェニル)エタノールをトルエン中、かつトリメチルアミンの存在下、2-オキソ酢酸エチルと反応させ、その後、無水酢酸を反応混合物に加え、式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを生成する工程;
b)ジクロロメタン中の式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを、四塩化錫およびジクロロメタンの混合物に加え、式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;
c)生成した式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを反応混合物から単離することなく、水、NaOHおよびエタノールを反応混合物に加え、(IVa)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウムを得る工程;
d)式(IVa)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウムを、水中のHClで処理し、生成された式(IVb)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸を単離する工程;
e)トルエン中の式(IVb)の5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸を、HClの存在下でエタノールと反応させ、式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートのトルエン溶液を生成する工程;および
f)工程e)から得られたエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートのトルエン溶液を、触媒量の酢酸の存在下、エチレンジアミンと反応させ、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を生成する工程
を含む方法に関する。
【0027】
一実施形態において、本開示は、上記方法に従う式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物の製造方法であって、さらに
g)水非混和性有機溶媒、例えばトルエンと水とを加え、その後適切な酸、例えば酢酸を徐々に加えることにより反応混合物を抽出する工程;および
h)式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を、適切な強塩基、例えばNaOHを加えることにより水相から結晶化する工程
を含む方法に関する。
【0028】
一実施形態において、本開示は、式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールまたはその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって、
a)式(II)の2-(2-メトキシフェニル)エタノールを、適切な溶媒中、有機塩基の存在下で2-オキソ酢酸エチルと反応させ、その後、無水酢酸を反応混合物に加え、式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを生成する工程;
b)四塩化錫および塩素化炭化水素溶媒の混合物に式(III)のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテートを加え、式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを生成する工程;
c)式(IV)のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートを、脂肪族または芳香族炭化水素溶媒中、触媒量の酸の存在下でエチレンジアミンと反応させ、式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を生成する工程;
d)適切な溶媒中の式(V)のN-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物を、触媒量の酸の存在下でヘキサメチルジシラザンと反応させる工程;
e)生成された式(I)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを反応混合物から単離することなく、上記2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾールを式(Ia)の2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩に変換する工程
を含む方法に関する。
【0029】
一実施形態において、本開示は、式(V)の化合物の、式(I)の化合物または硫酸塩などのその薬学的に許容され得る塩の製造における使用に関する。
【0030】
一実施形態において、本開示は、式(V)の化合物の、式(I)の化合物または硫酸塩などのその薬学的に許容され得る塩の製造における使用であって、式(V)の化合物が上述の方法により製造される使用に関する。
【0031】
一実施形態において、本開示は、新規な式(V)の化合物に関する。
【0032】
一実施形態において、本開示は、式(I)または(Ia)の化合物を製造するための中間体として使用される式(V)の化合物に関する。
【0033】
本明細書に記載される方法により製造される式(I)の化合物およびその硫酸塩は、高収率および優れた純度で得ることができることを見出した。また、式(V)の化合物の製造方法は、本明細書に記載されているように、非常に効果的に高収率を導き、産業規模での使用に好適である。式(V)の単離された化合物の質は非常に優れたものである。それはよく特徴付けされた結晶性化合物である。
【0034】
式(II)の化合物の式(III)の化合物への変換は、塩基の存在を伴う。塩基をピリジンからトリメチルアミンなどの第三級アミンへと変えることにより、余分な精製工程を回避することができることを見出した。
【0035】
式(III)の化合物の式(IV)の化合物への変換の際、試薬の添加順序を変更することおよびAlCl3の代わりにSnCl4を使用することにより、不純物の生成を減少させるということも見出した。さらに、式(IV)の化合物の精製は、大規模では取り扱いの難しい操作である多くの蒸留乾固を用いる代わりに式(IVa)のそのナトリウム塩を経て行うことができる。さらに、この精製方法は非常に効率的である。
【0036】
式(IV)の化合物の式(I)の化合物への変換は、より安全な二段階法により行うことができることを見出した。この新しい方法は、自然発火性のAlMe3の使用を回避し、式(V)の新規中間体化合物の後処理および単離が不純物を効果的に除去する。
【0037】
式(V)の化合物の式(I)の硫酸塩(Ia)への変換は、式(I)の化合物を単離することなく行うことが可能である。
【0038】
式(II)の化合物などの出発物質は、商業的に入手可能であるか、または当技術分野において公知の方法により製造することができる。
【0039】
本開示は、以下の実施例により、より詳細に説明される。実施例は、説明の目的のためのみを意味しており、特許請求の範囲に規定した本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例
【0040】
実施例1:エチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテート(III)の製造
2を入れたフラスコにジクロロメタン(900mL)を入れ、その後2-(2-メトキシフェニル)エタノール(II)(150g、1.0等量)を入れた。ついで、トルエン中の2-オキソ酢酸エチル(50%、191g、0.95等量)およびトリメチルアミン(199g、2.0等量)をその後加え、反応混合物を1時間撹拌した。浴温度を0℃に調整し、無水酢酸(161g、1.6等量)を反応混合物に加えた。反応のまとまりを1時間、0±5℃で撹拌した。反応混合物を2時間、20~30℃で撹拌した。
【0041】
水(450mL)を反応混合物に加えた。反応混合物を10分間撹拌し、有機層を分離した。水(450mL)およびHCl(25mL、30%水溶液、0.24等量)を反応混合物に加えた。反応混合物を10分間撹拌し、有機層を分離した。水(450mL)を反応混合物に加えた。反応混合物を10分間撹拌し、有機層を分離した。
【0042】
生成物を、反応のまとまりが105~110℃に到達するまで有機層を留去させることにより回収した。反応混合物を30~50℃に冷却し、有機層を減圧下(100mbar)で反応のまとまりが100℃に到達するまで留去した。蒸留残渣が生成物であり、87.0HPLCa-%純度の黄味がかったオイルであった。
【0043】
実施例2:5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウム(IVa)の製造
2を入れたフラスコにジクロロメタン(600mL)を入れ、その後、塩化錫(IV)(63mL、1.3等量)を入れた。反応混合物を0±3℃に冷却し、ジクロロメタン(840mL)中のエチル2-アセトキシ-2-(2-メトキシフェネトキシ)アセテート(120g、1等量)を反応混合物に0±3℃で1時間かけて加えた。反応混合物を1時間、0±3℃で撹拌し、水(360mL)を反応混合物に0±3℃で加えた。反応混合物を10分間撹拌し、有機層を分離した。有機層を水(360mL)で洗浄した。エタノール(360mL)を反応混合物に加えた。有機層を反応のまとまりが60℃に到達するまで留去した(蒸留残渣360mL)。
【0044】
水(192mL)を反応に加え、反応混合物を50±3℃に加熱した。NaOH(50%、39mL、1.8等量)を35分間かけて加え、添加のあいだ温度を50±3℃で維持した。添加後、反応のまとまりに結晶性5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウム(100mg)を播種した。エタノール(276mL)を50分かけて加え、添加のあいだ温度を50±3℃で維持した。反応のまとまりを1時間、50±3℃で撹拌し、3時間かけて0℃に冷却した。
【0045】
0℃で60分間撹拌したのち、生成物をろ過により回収し、ケーキをtert-ブチルメチルエーテル(96mL)で洗浄した。生成物を真空下、60℃で乾燥し、75.7g(80.9%)の白色固体を99.2HPLCa-%の純度で得た。
【0046】
実施例3:5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸(IVb)の製造
2を入れたフラスコに水(1200mL)、エタノール(121mL)および塩化水素(30%、103mL、1.3等量)を入れた。5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸ナトリウム(173g、1等量)を反応混合物に20±5℃で加え、その後、水(173mL)を加えた。反応のまとまりを7時間、20±3℃で撹拌した。反応のまとまりを5時間かけて0±3℃に冷却し、0±3℃で8時間撹拌した。
【0047】
生成物をろ過により回収し、ケーキを水(173mL)で洗浄した。生成物を真空オーブン中、60℃で乾燥し、148.2g(94.7%)の白色固体を99.6HPLCa-%の純度で得た。
【0048】
実施例4:エチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレート(IV)の製造
5-メトキシイソクロマン-1-カルボン酸(13.2g)、エタノール(80mL)およびトルエン(70mL)を入れた。混合物を60±5℃に温めた。エタノール中HCl20%(7.9mL)を加えた。混合物を3時間、60±5℃で撹拌した。約80mLを常圧下で留去した。混合物を室温まで冷却した。水(50mL)を加え、混合物を数分撹拌した。相を分離させ、水相を除いた。約30mLを常圧下で留去した。トルエン溶液を次の工程にそのまま使用した。収量は実質的に定量的である。HPLC-純度(トルエン排除)は99.0%であった。
【0049】
実施例5:N-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物(V)の製造
実施例4のエチル5-メトキシイソクロマン-1-カルボキシレートのトルエン溶液およびエチレンジアミン(13.0mL)を入れた。酢酸(0.30mL)を加えた。混合物を97±3℃まで加温した。混合物を5時間、97±3℃で撹拌した。混合物を10~20℃に冷却した。トルエン(70mL)および水(110mL)を10~20℃で加えた。酢酸(19mL)を10~20℃で徐々に加えた。混合物を80±3℃に加熱し、0.5時間、80±3℃で撹拌した。相を分離させ、トルエン相を除いた。50%NaOH(21mL)を45±5℃でゆっくりと加えた。混合物を10±5℃にゆっくりと(2~3時間)冷却し、約2時間、10±5℃で撹拌した。結晶性化合物をろ過し、水(2×20mL)で洗浄した。化合物を減圧下、20±5℃で乾燥した。収量は14.0g(82%)であった。HPLC-純度は99.5%であった。
1H-NMR (CDCl3): 1.55 ppm 4 H (s broad), 2.75-2.85 ppm 4 H (m), 3.20-3.30 1 H (m), 3.32-3.42 ppm 1 H (m), 3.77-3.86 ppm 4 H (m+s), 4.20-4.28 ppm 1 H (m), 5.17 ppm 1 H (s), 6.76 ppm 1 H (d), 6.94 ppm 1 H (s), 7.17 ppm 1 H (tr), 7.33 ppm 1 H (d).
13C-NMR: 22.8, 41.5, 41.9, 55.4, 63.9, 77 (under CDCl3), 108.5, 117.8, 121.9, 126.7, 133.3, 156.6, 171.0.
【0050】
実施例6:2-(5-メトキシイソクロマン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール硫酸水素塩(Ia)
N-(2-アミノエチル)-5-メトキシイソクロマン-1-カルボキサミド一水和物(12g)およびキシレン(60mL)を入れた。硫酸93%(0.3mL)を加えた。ヘキサメチルジシラザン(26mL)を加えた。混合物を122℃に加熱し、4時間、122±3℃で撹拌した。混合物を冷却した。水(60mL)および30%HCl(14mL)を40±5℃でゆっくりと加えた。混合物を60±3℃に加熱し、60±3℃で2時間撹拌した。相を分離させ、有機層を除いた。塩化メチレン(80mL)を水相に加えた。50%NaOH(14mL)を20±5℃で徐々に加えた。相を分離させた。水相を除いた。水(30mL)を有機相に加えた。混合物を数分撹拌した。相を分離させた。水相を除いた。エタノール(80mL)、水(15mL)および硫酸93%(2.4mL)を塩化メチレン溶液に加えた。塩化メチレンを常圧下で留去した。エタノール-水溶液を70±5℃に冷却し、エタノール(42mL)を加えた。溶液を室温に冷却した。種結晶を冷却中に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を0~5℃に冷却し、約4時間、0~5℃で撹拌した。結晶性化合物をろ過し、冷エタノール(20mL)で洗浄した。生成物を減圧下、60~70℃で乾燥した。収量は11.07g(74.9%)であった。HPLC-純度は99.9%であった。
1H-NMR (DMSO-d6): 2.6-2.8 ppm 2 H (m), 3.82 ppm 3 H (s), 3.89 ppm 4 H (s), 3.8-3.9 ppm 1 H (m), 4.1-4.2 ppm 1 H (m), 5.78 ppm 1 H (s), 6.82 ppm 1 H (d), 6.99 ppm 1 H (d), 7.28 ppm 1 H (tr), 9.1-10.8 ppm 3 H (s+s, broad).
13C-NMR: 22.2, 44.8, 55.9, 63.6, 69.6, 110.4, 117.1, 122.7, 127.8, 130.9, 157.0, 169.8.
【0051】
当業者は、本明細書に記載される実施形態が発明概念から逸脱することなく改変できることを理解するであろう。当業者はまた、本開示が、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内にある実施形態の改変をもカバーすることを意図するものであるということも理解する。