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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】コンパクトな制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20230830BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
F16K31/04 A
H02K7/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020530656
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 FR2018053112
(87)【国際公開番号】W WO2019110923
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】1761853
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ビエ,リオネル
(72)【発明者】
【氏名】デルバエル,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】プロー,ヴァレンティン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー,ガエル
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-161152(JP,A)
【文献】実開昭60-191777(JP,U)
【文献】特開平02-292583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0090316(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101769389(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
H02K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の循環を制御するための弁であって、
弁本体(2)と、筐体(9)と、を有し、
前記筐体(9)は、固定子(6)と、回転子(12)と、ニードル(11)と、密閉ベル(16)と、固定ネジまたは固定ナット(15)と、から構成された電気モータを含み、
前記固定ネジまたは前記固定ナット(15)は、前記弁本体(2)に固定され、
前記固定子は、前記筐体を介して前記弁本体(2)に固定され、
前記密閉ベル(16)は、前記ネジ/ナットと、前記回転子(12)と、前記ニードルとがこのベル(16)内にあり、且つ前記流体中に浸漬されるように、前記回転子(12)と前記固定子(6)との間の接触面に配置され、
前記固定子(6)は、前記流体から隔離され、
前記回転子(12)は、ナットまたはネジの機能を有し、前記固定ネジまたは前記固定ナット(15)によって強いられる螺旋運動を行って、前記ニードルを軸方向に駆動させ、
前記モータは、半径方向の主磁束を有するブラシレス多相モータであることを特徴とする弁。
【請求項2】
ニードル線形位置センサを有し、
当該ニードル線形位置センサは、前記ベル(16)の外側で前記筐体に固定され、且つ磁場の軸方向成分を検出する感磁性プローブ(19)と、
前記ベル内で前記ニードルまたは前記回転子(12)に固定され、且つ前記磁場を生成する少なくとも1つの磁性要素(20a)と、から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
ニードル線形位置センサを有し、
当該ニードル線形位置センサは、前記ベルの外側で前記筐体に固定され、且つ磁場の軸方向成分を検出する感磁性プローブ(19)と、
前記ベルの外側で前記プローブに固定され、且つ前記磁場を生成する少なくとも1つの磁石(21)と、
前記ニードルに固定され、前記ベル内に配置され、且つ前記磁石によって放出される磁場の特性を前記プローブの高さで修正する、軟質の強磁性片の形態における磁性要素(20b)と、から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項4】
前記センサは、前記ベルの外側で前記プローブに固定された磁石(21)を有し、
前記磁石(21)の磁化方向は、前記ニードルの変位の軸方向であり、且つ前記磁性要素(20a)の磁化方向と同じ向きであることを特徴とする請求項2に記載の制御弁。
【請求項5】
前記プローブは、前記ベルの近くに配置され、
熱伝導性要素(22)は、前記プローブと前記ベルとの間の接触面に配置されることを特徴とする、請求項2~4のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項6】
回転子(12)角度位置センサを有し、
当該回転子(12)角度位置センサは、前記ニードルの軸方向変位の軸に直交し且つ前記モータの回転軸の近くの平面における磁場または磁気ベクトルの位相の2つのデカルト成分を検出および処理し、前記ベルの外側に位置する感磁性プローブ(19)と、
前記回転子(12)に固定され、前記磁場を生成し、且つ前記ベル内に位置する少なくとも1つの磁性要素(20a)と、から構成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項7】
前記磁場を放出する前記磁性要素は、軸方向双極性磁石であることを特徴とする、請求項6に記載の制御弁。
【請求項8】
前記本体(2)は平坦な受け面を有し、
前記筐体は、軸方向固定手段(4)によって前記受け面上で前記弁本体(2)に固定され、
前記固定子(6)は三角形の形状を有し、
少なくとも1つの固定要素は、前記三角形の形状の頂点の間に配置されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項9】
前記固定要素は、前記三角形の形状の前記頂点を通る円(23)内に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、請求項8に記載の制御弁。
【請求項10】
前記弁本体(2)は平坦な受け面を有し、
前記筐体は、軸方向固定手段(4)によって前記受け面上で前記弁本体(2)に固定され、
前記固定子(6)は少なくとも部分的に円形の外形を有し、
少なくとも1つの固定要素は、前記モータの前記固定子部分の外側に配置され、且つ前記固定子(6)に内側で接する円(23)内に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の制御弁。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の技術分野〕
本発明は、例えば空調回路の圧力調整器のためのコンパクトな制御弁に関し、これは、ブラシレス電動モータによって作動される。
【0002】
本発明は、好ましくは、これに限定されないが、空調またはバッテリ冷却回路用の流量制御弁の分野を対象とするものである。これらのシステムの特殊性は、密閉回路内の伝熱流体を維持する必要性である。一般的に採用されている解決法は、作動の継続を可能にしながらこのシールを確実にすることであり、流体中に浸漬されないブラシレス電気モータまたはソレノイドの固定部分、通常はモータの固定子を、流体回路内を移動する可動要素から分離することであり、当該分離は、密閉された非磁性要素によって行われる。その後、冷却回路の密閉に影響を与えることなく流量を制御することができる。これらの調節システムは、非常にコンパクトで、エネルギー効率が良く、制御の精度が高く、且つ流体回路の種々の機械的構成に適合可能であることが要求される。
【0003】
新しい環境基準と、明白な快適性、効率性および時には危険性の理由から車両の電動化に連動した要求とにより、完全な空調システムの管理における精度と安全性に対する要求の増大は、これらの膨張弁の制御ニードルの位置に関するフィードバックの要請を促してきた。従って、エネルギー効率の要求のために、制御中に弁の能動部分の位置を検出する要求もある。
【0004】
制御中に要求される力は、システムの体積に関連して相対的に高く、伝熱流体回路が閉じられたとき、ニードルが弁座の上で静止したときに最大となる。ニードルの残りの可能な変位に関して、力は減少し、流体通路セクションはますます大きくなる。従って、最適化された電気消費の目的のために、弁の能動部分の位置に応じて力を適応させることに利点がある。
【0005】
最後に、これらのシステムは、産業または住宅の分野に存在するが、コンパクトな統合の必要性が要求される自動車の分野にも存在する。従って、弁本体へのアクチュエータの実用的かつ一体的な固定が必要とされている。
【0006】
〔従来技術の現状〕
最も古い文献では、ラジアルフラックス電気モータを含む膨張弁が米国特許第4650156号から知られている。回転子は、作動中に螺旋状に変位され、ネジ-ナットシステムによってガイドされ、当該ネジ部分は前記回転子に固定され、前記ナット部分は固定されて伝熱流体回路と関連付けられている。回転子の螺旋運動は、ニードルに伝達されるその直線変位によってのみ有用であり、気相中を通過しなければならない流体の流れを制御し、その結果、システムの冷却レベルを制御することを可能にする。密閉は、流体中に浸漬した固定子と回転子とを組み込んだシステムによって達成される。
【0007】
この同文献では、回転子は、固定子の軸方向長さよりも短い軸方向長さのものである。変位の間、磁石を運ぶ回転子部分は、固定子の磁気伝導性材料と反対のままであり、そのため、電気機械によって生成されるトルクは、全ストロークにわたって一定のままである。従って、発生する力もまた、アクチュエータのストロークにわたって一定である。この実施形態は、固定子の軸方向高さが回転子よりも大きいという事実に加えられた回転子の両側におけるガイダンスの必要性を伴う軸方向寸法に関して問題を提起する。
【0008】
この技術水準では、文献JP996210733において、並進運動を発生させる電子部品を、ネジを用いて伝熱流体の通過専用の機械部品上に直接固定するための方法がある。これにより、電気アセンブリを角度位置で単純かつ自由な方法で設置することができるが、非円形形状を有する直動型ソレノイド(direct actuated solenoid)にのみ適用される。従って、寸法および性能は最適ではなく、機械的機能の軸方向の積み重ねを強いる連結片が存在し、それは依然としてアセンブリのコンパクトを害する。
【0009】
より最近では、特許出願US2009/0294713は、前述の問題を解決するために、モータの回転子内に固定ネジおよびガイドを導入するが、横磁束を有するモータを使用すると、アセンブリに損傷が生じる。横磁束機械は、軸方向に重畳した二つの電気位相を有している。回転子の軸方向変位は、各位相によって発生するトルクに進行性の不均衡を誘起し、その結果、全トルクの規則性ひいては性能が劣化する。さらに、横方向モータ位相の積み重ねは、軸方向のコンパクト性を不利にする。
【0010】
横磁束を有するモータは、軸が運動の主軸に平行な円形トーラスを描く2つのコイルを有し、ここでネジ-ナット変換と関連付けられる。冷却液注入口と関連する部分にリンクされた固定ネジは、回転の形状で、かつ流量制御ニードルが通過できるように運動の主軸に沿って中空にされ、ナットはモータの回転子に機械的にリンクされている。モータの回転子は、膨張弁の作動中に螺旋状に変位する。注目すべきは、米国特許第4650156号のように、回転子の軸方向長さは固定子部分の軸方向長さよりも短い。
【0011】
さらに最近では、文献US9525373は、横磁束を有するモータを備えた弁に関連付けた角度センサを記載しており、固定部分は、密閉ベルを取り囲み、弁の軸に対して同軸の回転のトロイダル形状を描写し、かつ横方向出口を有する。しかしながら、このセンサは、センサの可動部分とアクチュエータの回転子部分との間の同期の喪失による停止を検出するためにのみ有用であり、前記回転子の絶対的な角度位置の測定には有用ではない。記載されたホール効果センサにおけるモータコイルの強い影響を考慮すると、センサの性能は貧弱であると予期されるべきである。
【0012】
〔先行技術の問題〕
これらの装置の目的は、メカトロニクスシステムを流体回路と関連付けることによって、流体(例えば、伝熱流体)の流れを直線的に制御するという一般的な問題を解決することである。
【0013】
しかしながら、先に説明した装置は、電気モータのいずれかの側に軸方向に位置するガイド要素と同様に、運動の変換、または2つの重畳されたコイルを誘起する横磁束電気モータの構造のいずれかを伴う大きな軸方向寸法をもたらす構造を常に有する。
【0014】
アナログ位置センサを有する(すなわち、変位に比例して情報を与える)観点から、横磁束を有するモータの使用は理想的ではない。なぜなら、これらのコイルによって生成される磁束は、大部分がモータの上方から出て、その結果、後者が感磁センサである場合、センサの性能を邪魔するからである。さらに、これらの特許のいずれにおいても、センサは、ニードルまたは回転子の軸方向変位を測定するために使用されていない。特許JP996210733の電磁ソリューションおよび特許出願US2009/0294713の電磁ソリューションは、いずれも、変位の軸に沿って磁場を発生し且つあらゆる感磁センサを邪魔する軸方向の磁束を伴う磁気トポロジーである。
【0015】
米国特許第4650156号では、センサの使用は記載されておらず、使用されるソリューションによって奨励されていない。モータ全体が流体に浸漬され、センサ、制御回路およびプリント回路を追加すると漏れや接続出力の問題が発生する。
【0016】
ソリューションの寸法に関しては、軸方向磁束を有するモータを用いるソリューションは、一般に、大きな接触面積と大きな寸法とを誘起する横方向出力コネクタを有する。位置センサがニードルの軸に近接して使用される場合、異なる要素の電気的および機械的な接続は、2つの構成要素のコネクタ間の距離が原因で問題となるであろう。
【0017】
〔発明の開示〕
本発明は、従来技術のものよりもよりコンパクトで効率的なアクチュエータを製造することによって、従来技術の欠点を克服することを目的とする。
【0018】
本発明の目的はまた、モータに一体化された位置センサの使用を随意的に可能にすることであり、これはニードルの直線位置を決定することを可能にする。
【0019】
本発明の目的はまた、モータに一体化された位置センサの使用を可能することであり、これはモータの回転子の角度位置を決定することを可能にする。
【0020】
本発明の目的はまた、溶接を使用することなく、かつ限られた寸法で、モータを弁本体に容易かつ堅固に固定することを可能にすることである。
【0021】
特定の実施形態によれば、完全に円筒形ではない電気モータを備え、電気モータのコイルと干渉することなく固定手段を一体化することができる領域を明確にすることができる装置に関する。
【0022】
他の特定の実施形態によれば、本発明は、完全には円筒形ではない電気モータを備え、電気モータのコイルと干渉することなくかつ固定子部分を支持する筐体によって表される体積の外側に固定手段が一体化され得る領域を明確にすることができる装置に関する。外側の流体の突出に対する電気モータの密閉は、その結果、容易になる。
【0023】
本発明はまた、ニードル位置センサ、および磁場を発生させる部分が位置する密閉ベルと外側に位置する磁気測定プローブとの間に熱伝導性要素を導入することによって流体の温度変化に応じて軸方向センサの精度を高めるためのソリューションの実装に関する。後者は、その内部構造によって温度補償されることができるが、筐体によって表される体積内に位置し、ベルの外側で回転子を固定子から分離し、かつ流体の温度とは異なる温度を経験することができる。最も高い精度は、温度勾配がプローブと磁場を生成する要素との間で最小である場合に得られ、補償は、その結果、温度におけるより正確に知られた磁場の変動において達成される。
【0024】
本発明は、より詳細には、流体の循環を制御するための弁に関し、弁本体と、固定子および回転子から構成される電気モータを含む筐体と、ニードルと、密閉ベルと、固定ネジまたは固定ナットとを有し、前記固定ネジまたは固定ナットは弁本体に固定され、固定子は前記筐体を介して弁本体に固定され、密閉ベルはネジ/ナット、回転子およびニードルがこのベル内にありかつ前記流体に浸漬されるように回転子と固定子との間の接触面に配置され、固定子は前記流体から隔離され、回転子はナットまたはネジの機能を有し、前記固定ネジまたは前記固定ナットによって強いられる螺旋運動を行って、ニードルを軸方向に駆動させ、モータは半径方向の主要な磁束を有するブラシレス多相モータであることを特徴とする。
【0025】
有利には、それは、前記ベルの外側の筐体に固定され、且つ磁場の軸方向成分を検出する感磁性プローブと、前記ベル内の前記ニードルまたは前記回転子に固定され、前記磁場を生成し、且つ前記ベル内に位置する少なくとも1つの磁性要素とから構成されるニードル線形位置センサを有する。位置ずれに対する不感性を許容するために、前記センサは、ベルの外側で前記プローブに接続された磁石を有してもよく、前記磁石の磁化方向は、前記ニードルの軸方向の変位方向であり、且つ前記磁性要素の方向と同じ向きである。
【0026】
ニードル線形位置センサの代替実施形態では、これは、前記ベルの外側で筐体に固定され、且つ磁場の軸方向成分を検出する感磁性プローブと、前記ベルの外側で前記プローブに固定され、前記磁場を生成する少なくとも1つの磁石と、前記ニードルに固定され、前記ベル内に配置され、且つ前記磁石によって放出される磁場の特性(強度、方向等)をプローブの高さで修正する軟質の強磁性片の形態の磁性要素とから構成される。
【0027】
これらのセンサソリューションでは、代替的に、前記プローブは、前記ベルの近くに配置され、熱伝導性要素は前記プローブと前記ベルとの間の接触面に配置される。
【0028】
弁は、代替的に、ニードルの軸方向変位の軸に直交し、且つモータの回転軸に近接した平面内で、磁場の2つのデカルト成分または磁気ベクトルの位相を検出および処理する磁気感応性プローブであり、前記ベルの外側に配置されているプローブと、前記磁場を生成し、且つ前記回転子に固定された前記ベル内に配置された少なくとも1つの磁性要素とから構成される回転子角度位置センサを有してもよい。
【0029】
この場合、磁場を発する磁性要素は、例えば、軸方向双極性磁石である。
【0030】
アクチュエータを弁本体に固定できるようにするために、本発明はまた、平坦な受け面と、軸方向固定手段によって前記受け面上で前記弁本体に固定された筐体とを有する弁本体に関し、固定子は三角形の形状を有し、少なくとも1つの固定要素は前記三角形の頂点の間に配置される。
【0031】
この場合、固定要素は三角形の前記頂点を通る円内に少なくとも部分的に交互に配置されるか、または固定子は少なくとも部分的に円形の外形を有し、少なくとも1つの固定要素はモータの固定子部分の外側に配置され、且つ固定子に内側で接する円内に少なくとも部分的に配置される。
【0032】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の他の特徴および利点は、それぞれが以下を表している添付の図面を参照して以下の詳細な実施形態を読むことによって明らかになるであろう:
図1は、本発明の第1実施形態における本発明による弁の斜視図である;
図2は、カバーのない図1の装置の上面図である;
図3は、拡大された領域図を有する図1の装置の長手方向の断面図である;
図4は、図1の装置の斜視部分断面図である;
図5は、第1実施形態と比較して電気モータがより多数のコイルを有する、本発明の第2実施形態における本発明による弁の図である;
図6は、図5の装置の上面断面図である;
図7は、本発明で使用される位置センサの代替物を有するソリューションの長手方向の詳細な断面図である;
図8は、回転子がネジを形成し、かつ使用されるセンサが誘導性の物理的原理のものである代替実施形態の長手方向の詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔実施形態の詳細な説明〕
図1は、本発明による弁の第1実施形態の等角図を示し、電気作動アセンブリと機械アセンブリとを関連付けて、伝熱流体のための循環経路を作る。このようにして、弁は、変位の軸(3)に沿って並進運動で動く電動アクチュエータ(1)と、電動モータを使用するニードル(ここでは見えない)とから、より特に構成される。アクチュエータ(1)は、伝熱流体の通路(25)を構成する弁本体(2)に固定されており、そのフローは前記ニードルによって管理される。電動アクチュエータ(1)は、上部にカバー(24)を備え、ネジやボルト等の軸方向固定手段(4)によって弁本体(2)に固定されている。
【0034】
図2は、第1実施形態の上面図であり、カバーがなく、本発明で典型的に使用される半径方向の磁束を有する電動アクチュエータを理解することができるようになっている。このアクチュエータ(1)は、歯を形成する積層コアにより形成された固定子(6)を有し、その一部には電気コイル(8)が配置されており、ここでは3つのコイルを互いに120°で配置している。固定子の特定の形状は、ここでは三角形であり、弁本体(2)上のアクチュエータの全体的な接触領域を増加させることなく、軸方向の固定要素(4)を収容することを可能にする。これらの要素の位置決めの角度自由度により、特にそのコネクタ(5)のアクチュエータを空調システム全体のニーズに応じて容易に方向付けることができる。従って、弁本体(2)の単純な平坦な接触領域は、回転の対称性を有さないこのアクチュエータの受け入れを可能にする。特に、固定子(6)の三角形状に内側で接する円(7)は、仮想的に交差し、軸方向投影では、固定要素(4)と交差する。アクチュエータ(1)は、筐体(9)によって囲まれており、筐体(9)は、アクチュエータ(1)が配置される筐体、またはオーバーモールドされたプラスチック材料とすることができる。カバー(24)がないこの図において、我々はまた、密閉ベル(16)が存在することを理解する。アクチュエータ(1)の回転子と変位されるニードルとは密閉ベル(16)内部に配置され、これらの要素は伝熱流体中に浸漬される。伝熱流体から隔離されて、固定子(6)およびコイル(8)は、このベルの外側にある。
【0035】
図3は、この第1実施形態による弁の縦断面を示す図である。アクチュエータ(1)は、固定要素(4)を使用して弁本体(2)にネジ止めされる。弁本体(2)は、伝熱流体の注入口および排出口循環チャネル(25)を有している。ニードル(11)の端部をニードル座部(17)に近づけたり、遠ざけたりするために、流体通路は、軸(3)に沿って、電動アクチュエータ(1)によって管理されるニードル(11)の端部の位置決めによって管理される。回転子(12)は、ナット部分(14)から構成され、この特定の実施形態では、ここには、ヨーク(yoke)および永久磁石(13)の支持部も形成され、前記回転子は、ここに固定されるが接触面(図示せず)ではバネを介して間接的であり得る接続によって、動作中にニードル(11)を設定する。ナット部分(14)は、磁石(13)の磁束の誘導を可能にするために強磁性とすることができ、運動変換の実行可能性を保証するために機械的機能を有する。回転子(12)の動き、その結果としてニードル(11)の動きは、螺旋軌道に沿っているので、回転、回転子(12)と固定子(6)とによって形成される電気機械の回転、および並進を組み合わせており、(ここでは)固定ネジ(15)へのナット部分(14)のねじ込みによって課せられ、弁本体(2)に固定される。この運動は螺旋状であるが、弁を制御するためには並進成分のみが機械的に重要であり、ニードルは回転の幾何学的形状を有する。
【0036】
この実施形態では、回転子(12)の軸方向高さは、積層コア(10)の高さよりも小さく、その結果、その螺旋運動における回転子の変位の間、その直線ストロークSは図3および図7において区切られ、回転子は常に半径方向に固定子に面する。図3の場合、弁は閉位置に示されており、従って、回転子は、回転子と固定子との間で対向する活性面を変更することなく、固定子に戻ることができる。モータによって生成されるトルク、従って、ニードル(11)に加えられる力は、その結果、変位中に影響を受けない。活性高さを最適化したい場合には、図7に示すように、磁石の高さを固定子(6)の積層コア(10)の高さ以上に増大させることを考慮することが可能であり、これにより、任意選択的に、同一の電気制御電流に関して力を調節することが可能になることに留意されたい。ニードル(11)が上昇すると、その後、回転子と固定子との間の活性面はスケーラブル(scalable)であり、これは、弁が開くときに可変力を作り出し、これによってニードル(11)に加えられる圧力の低下にアクチュエータを適合させることを可能にする。
【0037】
ここに提示された構成は、積層コア(10)の活性高さにおいて全体に設けられたガイダンスと共に、特に軸方向にコンパクトであり、このガイダンスは、ここではナット(14)と協働してネジ(15)によって、および固定ネジの内面と共にニードル(11)の本体によって生成される。
【0038】
図3のこの構成では、半径方向フラックスアクチュエータを使用することにより、これをより容易に可能にするため、ニードル(11)の位置センサが示されている。この磁気原理センサは、弁の上部、回転子(12)の上に位置している。磁化された磁性要素(20a)はナット部分(14)に接続され、その結果、回転子(12)に接続され、その結果、ニードル(11)に接続される。軸(3)に沿って軸方向の磁化を有するこの磁石もまた、ベル(16)内に浸漬されている。回転子(12)の螺旋変位の間、この磁性要素(20a)は、従って、ベル(16)の底部から離れるかまたは近づく。ベル(16)の反対側およびベル(16)の外側には、磁性要素(20a)によって放出される軸(3)上の磁場の軸方向成分の大きさを検出する感磁性プローブ(19)が軸(3)上に配置されている。感磁性プローブ(19)に対するこの磁性要素(20a)の隔たりまたは近接は、それ故、プローブ(19)によって検出される磁場の大きさを調節し、ニードル(11)の位置のイメージを与えることを可能にする。半径方向の磁束を有するモータは、軸(3)上で、横方向の磁束を有するモータによって生成されるものよりはるかに低い軸方向成分を有する磁場を生成するため、ここでは、プローブ(19)の軸方向の感度の軸に重要性が与えられている。ここで生成される軸方向成分は漏出のみであるが、一方でそれは従来技術のモータのための主要な経路である。
【0039】
プローブ(19)は、ベル(16)の上方、カバー(24)の下に位置するプリント回路(18)によって担持される。このプリント回路(18)はまた、アクチュエータ(1)のコイル(8)への接続点、および多相電気モータを制御するために必要な電子部品を担持する。プリント回路(18)はまた、プローブ(19)の周囲に補償磁石(compensation magnet)(21)を支持し、これは、ゼロガウス付近の誘導の平均レベルを制御し、従ってセンサの温度挙動を改善するために任意選択的に使用することができる。この場合、前記補償磁石は、磁性要素(20a)の磁化の方向と同じ方向に軸方向の磁化の方向を有することになる。
【0040】
軸方向の磁場を発生させる磁性要素(20a)は、ネオジム-鉄-ホウ素磁石、フェライト磁石またはサマリウム-コバルト磁石によって生成される。この後者の材料は、温度によるその磁気特性の変動が小さいという利点を有し、従って、センサ信号のドリフトを最小化し、流体と磁場測定プローブとの間の温度勾配の影響を最小化する。
【0041】
感磁性プローブ(19)とベル(16)の外側および内側にそれぞれ位置する磁場を放出する磁性要素(20a)との間の温度均一性を改善し、より効率的な温度補償を可能にするために、熱伝導性要素(22)は、ベル(16)とプローブ(19)との間の接触面に配置されることができ、プローブ(19)をベル内の温度に近づけ、その結果、磁性要素(20a)の温度に近づけることを可能にする。
【0042】
図4は、この第1実施形態の部分断面図を示しており、これは、ネジ(15)および前述の構成要素、特に位置センサの変形例をより詳細に理解することを可能にする。この位置センサは例えば、閉ループでモータを制御するために、または単にニードルの位置を確認してそれが所望の位置にあることを確実にするために使用することができる。この目的のために、プローブ(19)は、回転子の唯一の角度位置を決定するために、変位軸に直交する磁場の2つの成分の大きさに対する磁気感度、または変位軸に直交する磁場のベクトルの位相に対する感度を有することができる。プローブ(19)はまた、回転子の角度位置だけでなく軸方向位置の両方を決定するために、変位軸に直交する平面において、および変位軸に沿って、磁場の3つの成分の大きさに対する磁気感度、または磁性要素(20a)の磁気ベクトルの位相に対する感度をそれぞれ有することができる。例えば、MLX90363型プローブの使用は、磁場のこれら3つの成分を測定することを可能にする。考案されたソリューションは、この距離に比例するタイプの出力で、好ましくは軸上の磁場の軸方向成分で、プローブ(19)から回転子(12)までの軸方向距離を測定し、軸方向成分に直交する成分を有する周期的なサイン/コサイン型の出力で、旋盤上の回転子(12)の絶対回転位置を測定することを提案する。また、磁場の2つの成分の大きさを測定できるソリューションはまた、変位軸における2つの同一平面上の成分の係数(modulus)を計算することにより、間接的に軸方向位置にアクセスできると考えられる。このモジュールは、磁性要素(20a)とプローブ(19)との間の距離に応じて変化する。磁場を発生させる磁石は、例えば、軸方向の双極性磁化を有する磁性要素(20a)であり得る。プローブ(19)の測定点は、次に、磁場のベクトルの2つまたは3つの成分または位相を利用するために、磁性要素(20a)に対して思慮深く配置される。旋盤上の回転子(12)の絶対位置を知ることにより、閉ループでの操縦を考慮することが可能になり、一方、回転子(12)の軸方向位置を知ることにより、回転子に接続されたニードルの開閉を管理することが可能になる。回転子の位置を知るだけで、純粋なステッパモード(stepper mode)よりも、より堅牢なFOCまたは正弦波制御が既に可能になる。
【0043】
固定子によって生成される磁場をより完全に克服するために、示差測定法の枠組みの中で、「二重ダイ」プローブ、すなわち2つの近接する感磁性要素を有するプローブの使用を考慮することができる。それによって放出される漂遊磁場を短絡させるためにコイルの近くに設置する遮蔽、および/またはプローブに近接して設置する遮蔽もまた、さらに堅牢なソリューションを構成する。
【0044】
図5は、使用の第2変形例を示し、ここでは、モータは、3つ(ここでは6つが示されている)を超える多数の電気コイルを使用し、この結果として固定子の外部接触域を修正する。この構成は、流体の制御に関連する、より正確には流体回路の様々な要素間の圧力差に起因する、力要件が重要である場合に有利である。コイルの数の増加は、アクチュエータの入力における所与の電力に対してアクチュエータによって生成される力係数を増加させる。
【0045】
この第2変形例はまた、固定要素(4)を使用して固定することを可能にするために、筐体(9)が周囲に2つの軸方向のクリアランス(26)を有するほぼ管状形状を有するという点で、第1変形例とは区別される。
【0046】
図6は、アクチュエータ(1)の磁気回路の詳細を示しており、固定要素(4)は固定子の外側に内側で接する円(23)内に位置しており、この固定子部分の6つのコイル(8)間に位置している。固定要素(4)の数は限定されない。ここでは2つが示されているが、2よりも多くを考慮することができる。従って、アクチュエータとその固定要素(4)との総接触面積は、弁本体およびその矩形形状において最小化される。ここでも、コネクタ(5)の向きは、位置決め原理および選択された固定要素の結果、可変とすることができる。
【0047】
プローブ(19)は、変位軸(ここでは図示しない)上で、好ましい位置でこの固定子の上方に隔離されて示されている。
【0048】
図7は、位置センサの代替実施形態を示している。センサのこの実施形態では、磁性要素(20b)は、磁場を放出しないが、プローブ(19)を取り囲むセンサの磁石(21)によって放出され、この磁性要素(20b)の軸方向の動きの間にプローブ(19)のレベルで検出される磁場の強度を修正する、軟質の強磁性要素である。磁性要素(20b)は、プリント回路(18)の両側に配置することができ、常にベル(16)の外側に配置される。このソリューションの利点は、温度での磁場の変動の改善された補償を可能にするために、プローブ(19)とセンサの磁石(21)とを並置することである。
【0049】
一般に、前の例で説明したセンサは回転子に一体化されているが、本発明はまた、磁性要素(20a)または(20b)がニードル(11)の上端に一体化されている場合にも適用される。
【0050】
図8は、使用可能な誘導型原理のセンサの代替実施形態を示している。後者は、ベル内で回転子に固定された受動的な磁性要素(20b)と2つの電気コイル(27、28)とで構成される。インダクティブセンサの古典的な一般原理は、以下の通りである:
- 第1コイル(27)は、変動磁場を放出し、
- 第2のコイル(28)は、誘導結合によって変動磁場を受け、
- 磁性要素(20b)は、コイル(27、28)から離れるかまたはコイル(27、28)の近くに軸方向に移動されると、コイル(27、28)間の誘導結合を変更する。前記結合のこの変更は、検出された信号と位置とを関連付けることを可能にするコイル(28)のレベルで、例えば、検出された信号の位相または大きさに関して、異なる応答を誘発する。
【0051】
図8はまた、回転子と弁本体(2)との結合の代わりの実施形態を示す。この例では、回転子は、弁本体(2)に連結された固定ナット(29)と協働するネジ(30)を形成するニードル(11)に取り付けられている。これは、回転子がナットを形成し、弁本体(2)に連結された固定ネジ部と協働する前の例とは異なる。本発明は、回転子によって、または弁本体(2)のレベルで実行することができるネジ/ナット機能に関して限定されない。
【0052】
網羅的ではない、ここに提示される全ての例において、センサソリューションは、回転子または弁本体(2)のレベルで、ネジまたはナットを使用する選択に限定されず、センサソリューションをとり、想定される機械的ソリューションのうちの1つにそれを適合させることが考慮され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、本発明の第1実施形態における本発明による弁の斜視図である。
図2図2は、カバーのない図1の装置の上面図である。
図3図3は、拡大された領域図を有する図1の装置の長手方向の断面図である。
図4図4は、図1の装置の斜視部分断面図である。
図5図5は、第1実施形態と比較して電気モータがより多数のコイルを有する、本発明の第2実施形態における本発明による弁の図である。
図6図6は、図5の装置の上面断面図である。
図7図7は、本発明で使用される位置センサの代替物を有するソリューションの長手方向の詳細な断面図である。
図8図8は、回転子がネジを形成し、かつ使用されるセンサが誘導性の物理的原理のものである代替実施形態の長手方向の詳細な断面図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8