IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエル テクノロジーズ、インコーポレイテッドの特許一覧

特許7339957高濃度の酸又は塩基生成のための多段バイポーラ電気透析システム
<>
  • 特許-高濃度の酸又は塩基生成のための多段バイポーラ電気透析システム 図1
  • 特許-高濃度の酸又は塩基生成のための多段バイポーラ電気透析システム 図2
  • 特許-高濃度の酸又は塩基生成のための多段バイポーラ電気透析システム 図3
  • 特許-高濃度の酸又は塩基生成のための多段バイポーラ電気透析システム 図4
  • 特許-高濃度の酸又は塩基生成のための多段バイポーラ電気透析システム 図5
  • 特許-高濃度の酸又は塩基生成のための多段バイポーラ電気透析システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】高濃度の酸又は塩基生成のための多段バイポーラ電気透析システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/469 20230101AFI20230830BHJP
   B01D 61/46 20060101ALI20230830BHJP
   B01D 61/54 20060101ALI20230830BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
C02F1/469
B01D61/46 500
B01D61/54 500
B01D61/58
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020548737
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 US2019021784
(87)【国際公開番号】W WO2019178049
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】201810204417.8
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517430716
【氏名又は名称】ビーエル テクノロジーズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,チュンチエン
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シア,ジーヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ヨンチャン
(72)【発明者】
【氏名】バチェルダー,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】バーバー,ジョン・エイチ
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05645703(US,A)
【文献】国際公開第2017/071116(WO,A1)
【文献】特表2014-505762(JP,A)
【文献】特開2008-296204(JP,A)
【文献】特開2012-149001(JP,A)
【文献】特開2007-222779(JP,A)
【文献】特表2001-519852(JP,A)
【文献】米国特許第05853555(US,A)
【文献】特開平11-049735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44- 1/48
B01D 61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラ電気透析(BPED)システムであって、
複数のバイポーラ電気透析ステージを含み、該複数のバイポーラ電気透析ステージの全てが、2室型BPEDセルか3室型BPEDセルのいずれかであるBPEDセルを含み、複数のバイポーラ電気透析ステージの半分までが酸ブロックアニオン膜を含該複数のバイポーラ電気透析ステージの残りが非酸ブロックアニオン膜を含む、バイポーラ電気透析(BPED)システム。
【請求項2】
前記複数のバイポーラ電気透析ステージの3分の1までが、酸ブロックアニオン膜を含む、請求項1に記載のバイポーラ電気透析(BPED)システム。
【請求項3】
前記複数のバイポーラ電気透析ステージの1つ又は2つが、酸ブロックアニオン膜を含む、請求項1又は2に記載のバイポーラ電気透析(BPED)システム。
【請求項4】
前記複数のBPEDステージの各々が、供給溶液が塩基性化溶液及び酸性化溶液と反対方向に流れるように構成された3室型BPEDセルを含む、請求項1~3のいずれかに記載のバイポーラ電気透析(BPED)システム。
【請求項5】
塩濃縮溶液が、前記酸ブロックアニオン膜を含む前記バイポーラ電気透析ステージを最初に流れる、請求項4に記載のバイポーラ電気透析(BPED)システム。
【請求項6】
前記複数のBPEDステージの各々が、供給溶液が酸性化溶液と同一方向に流れるように構成された2室型BPEDセルを含む、請求項1~のいずれかに記載のバイポーラ電気透析(BPED)システム。
【請求項7】
塩濃縮溶液が、前記酸ブロックアニオン膜を含む前記バイポーラ電気透析ステージを最後に流れる、請求項6に記載のバイポーラ電気透析(BPED)システム。
【請求項8】
多段バイポーラ電気透析(BPED)システムにおけるバイポーラ膜電気透析で塩溶液を処理して酸生成物を生成することを含むバイポーラ電気透析方法であって、前記多段システムにおける複数のバイポーラ電気透析ステージの全てが、2室型BPEDセルか3室型BPEDセルのいずれかであるBPEDセルを含み、該複数のバイポーラ電気透析ステージの半分までが酸ブロックアニオン膜を含み、該複数のバイポーラ電気透析ステージの残りが非酸ブロックアニオン膜を含む、方法。
【請求項9】
前記複数のバイポーラ電気透析ステージの3分の1までが、酸ブロックアニオン膜を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のバイポーラ電気透析ステージの1つ又は2つが、酸ブロックアニオン膜を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のBPEDステージの各々が、3室型BPEDセルを含み、前記方法が、供給溶液を塩基性化溶液及び酸性化溶液と反対方向に流すことを含む、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記複数のBPEDステージの各々が、2室型BPEDセルを含み、前記方法が、供給溶液を酸性化溶液と同一方向に流すことを含む、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月13日に出願された中国特許出願シリアル番号第201810204417.8号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、塩溶液から酸又は塩基を生成するために使用されるバイポーラ電気透析システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
以下の段落は、そこで論述したいかなるものも、先行技術又は当業者の知識の一部であることを認めるものではない。
【0004】
バイポーラ電気透析セルとは、バイポーラ膜を含む電気透析セルを意味する。バイポーラ膜は、電界の印加によって水をヒドロニウムイオンとヒドロキシルイオンとに解離させる。これらの生成されたイオンは、塩を含む工程の流れからのカチオン及びアニオンと結合し、ここで、カチオン及びアニオンは、電気透析セル内の1つ以上のイオン交換膜によって分離される。ヒドロニウムイオンとアニオンとの結合及びヒドロキシルイオンとカチオンとの結合により、酸及び塩基を有する生成流がもたらされる。
【0005】
バイポーラ電気透析セルは、2室型セル又は3室型セルであってもよい。2室型セルは、2つのバイポーラ膜の間にカチオン交換膜又はアニオン交換膜のいずれかを含む。カチオン交換膜又はアニオン交換膜の使用の選択は、どの塩が処理されているかに依存する。カチオン交換膜は、有機酸及びアミノ酸のナトリウム塩などの弱酸と強塩基との塩を有する溶液を処理するために使用される。そのような有機酸及びアミノ酸の例としては、アスコルビン酸、酢酸、乳酸、ギ酸、グルコン酸及びグルタミン酸が挙げられる。アニオン交換膜は、クロリド、サルフェート又はラクテートのアンモニウム塩などの弱塩基と強酸又は弱酸との塩を有する溶液を処理するために使用される。
【0006】
3室型セルは、2つのバイポーラ膜の間にアニオン交換膜及びカチオン交換膜を含み、それによって3つの室を形成する。3つの室は、第1のバイポーラ膜とアニオン交換膜との間の酸性溶液生成室、第2のバイポーラ膜とカチオン交換膜との間の塩基性溶液生成室、及び脱塩溶液(salt-reduced solution)が生成されるカチオン交換膜とアニオン交換膜との間の室である。3室型BPEDセルは、対応する塩から無機酸及び塩基を回収するために使用される。
【0007】
以下の概要は、読者に本明細書を紹介することを意図しているが、任意の発明を定義することを意図するものではない。1つ以上の発明は、以下に又は本明細書の他の部分に記載されている、装置の要素又は方法ステップの組み合わせ又は下位の組み合わせにおいて存在し得る。本願発明者らは、単に特許請求の範囲にそのような他の発明又は他の複数の発明を記載していないということだけで、本明細書において開示したいずれの発明又は複数の発明に対する権利を放棄又は棄権しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
バイポーラ電気透析(BPED)セルは、塩溶液を酸性溶液と塩基性溶液とに変換することができる。しかしながら、プロトンはアニオン交換膜を通って移動し、塩基性溶液を中和する傾向がある。酸濃度が高くなると、プロトンの流れが増加する。これにより、セルのエネルギー効率が低下し、実際には、生成される酸の濃度が制限される。典型的には、酸及び塩基は、従来のBPEDシステムにおいて約1モル/Lの濃度及び70%の電流効率で生成される。場合によっては、この濃度は、使用可能な生成物を提供するのに十分であるが、ほとんどの用途では、生成物の濃度が低すぎて酸及び塩基生成物を再利用又は販売することができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載されるバイポーラ電気透析システムでは、複数のBPEDセルは、多段処理システムを提供するように配置される。3室型BPEDセルを有するシステムでは、供給溶液は、塩基性溶液及び酸性溶液として反対方向に流れる。2室型BPEDシステムでは、供給/酸性溶液は、塩基性溶液と同一方向に流れる。ステージの半分まで、又は3分の1までは、酸ブロックアニオン膜を有するセルを有する。例えば、2つ又は3つのステージを有するシステム中の1つのステージは酸ブロックアニオン膜を有することができ、又は4~8つのステージを有するシステム中の1つ又は2つのステージは酸ブロックアニオン膜を有することができる。酸ブロックアニオン膜を有する1つ以上のステージは、システムの酸生成物出口端に位置し、システム内の酸濃度が最も高い。残りのステージは、従来の、すなわち、非酸ブロックのアニオン膜を有する。
【0010】
一部のステージで従来のアニオン膜を酸ブロックアニオン膜に置き換えると、塩基性溶液へのプロトンの移動が減少する。これにより、より高濃度の生成物を製造することができる。しかしながら、酸ブロックアニオン膜は、従来のアニオン膜と比較して伝導度が低く(高抵抗)、すべてのアニオン膜を交換した場合、エネルギー消費が著しく増加する。システム内の酸濃度が高い場所でのみ酸ブロックアニオン膜を使用することにより、全ステージでアニオン膜を交換するシステムと比較して、エネルギー消費の増加を抑えながら生成物濃度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】3室型バイポーラ電気透析セルの略図である。
図2】アニオン交換膜を有する2室型バイポーラ電気透析セルの略図である。
図3】酸ブロックアニオン膜を有する3室型バイポーラ電気透析セルの略図である。
図4】酸ブロックアニオン膜を有する2室型バイポーラ電気透析セルの略図である。
図5】向流及び酸ブロックアニオン膜を有する一部のステージを有する多段3室型バイポーラ電気透析セルの略図である。
図6】並流及び酸ブロックアニオン膜及び酸ブロックアニオン膜を有する一部のステージを有する多段2室型バイポーラ電気透析セルの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
バイポーラ膜電気透析(又は、バイポーラ電気透析、BPED)は、電解と電気透析とを組み合わせた方法である。BPED装置は塩溶液を受け取り、酸性溶液及び塩基性溶液をもたらす。バイポーラ膜電気透析セルは、生成される酸及び塩基に応じて、2又は3室型セルであり得る。
【0013】
2室型セルは、バイポーラ膜及びカチオン交換膜又はアニオン交換膜のいずれかを含んでもよい。本明細書に記載される実施例では、2室型セルは、アニオン交換膜を含む。バイポーラ膜及びアニオン交換膜を含む2室型セルは、例えば、アンモニウムクロリド、アンモニウムサルフェート及びアンモニウムラクテートなどの強酸と弱塩基との塩を変換するのに有用である。3室型セルでは、例えば、NaCl溶液のNaOH溶液及びHCl溶液への変換などの、塩の水溶液を強塩基及び強酸に変換することが可能である。他の塩、例えば、KF、NaSO、NHCl、KCl並びに有機酸及び塩基の塩も、3室型セルを使用して変換することができる。
【0014】
3室型バイポーラ電気透析セル(100)の図を図1に示す。3室型バイポーラ電気透析セル(100)は、図を簡略化するためにカソード(202)とアノード(204)との間の2つのセルを示すが、通常、多くのセルは、バイポーラ電気透析スタックにて提供される。バイポーラ電気透析は、電解を使用して、バイポーラ膜(206)のカチオン交換膜部分とアニオン交換膜部分との間にある水を、HOHとに解離させる。印加された電位差を適用すると、生成されたHイオンは、カチオン交換膜(208)を介してカソード(202)に向かって、酸性化溶液(210)に移動する。同様に、生成されたOHイオンは、アニオン交換膜(212)を介してアノード(204)に向かって、塩基性化溶液(214)に移動する。類似の方法で、塩溶液(20)中のカチオン(416)及びアニオン(418)は、それぞれ、Hイオン及びOHイオンの電荷バランスを取るようにカチオン交換膜及びアニオン交換膜を通過するように誘導され、その結果、脱塩廃液(216)がセル(200)から排出される。図示されている3室型バイポーラ電気透析セル(100)は、塩濃縮溶液(20)(すなわち、給水)が酸性化溶液(210)及び塩基性化溶液(214)として反対方向に移動するため、向流モードで動作している。
【0015】
イオンを受け取ると、酸性化溶液(210)は酸性になり、酸性溶液(28)としてバイポーラ電気透析セル(200)から排出される。逆に、OHイオンを受け取ると、塩基性化溶液(214)は塩基性になり、塩基性溶液(26)としてバイポーラ電気透析セル(200)から排出される。
【0016】
酸性化溶液(210)及び塩基性化溶液(214)は、印加された電流を流すためのイオンを含む。これらのイオンは、生成された酸及び塩基の対イオンになる。酸性化溶液(210)、塩基性化溶液(214)及び塩濃縮溶液(20)は、すべて同一であっても異なっていてもよい。
【0017】
一実施例では、酸性化溶液、塩基性化溶液及び塩濃縮溶液は、すべてNaCl/水溶液であり、得られる酸性溶液はHCl/水溶液であり、得られる塩基性溶液はNaOH/水溶液である。別の実施例では、酸性化溶液、塩基性化溶液及び塩濃縮溶液は、すべてソディウムサルフェート/水溶液であり、得られる酸性溶液はHSO/水溶液であり、得られる塩基性溶液はNaOH/水溶液である。さらに別の実施例では、酸性化溶液、塩基性化溶液及び塩濃縮溶液は、すべてソディウムサルフェート及びNaClなどの異なる塩の混合物であり、得られる酸性溶液はHSO/HCl/水溶液であり、得られる塩基性溶液はNaOH/水溶液である。
【0018】
さらに別の実施例では、酸性化溶液及び塩基性化溶液は水であり、一方、塩濃縮溶液はNaCl/水溶液であり、得られる酸性溶液はHCl/水溶液であり、得られる塩基性溶液はNaOH/水溶液である。
【0019】
アニオン交換膜を有する2室型バイポーラ電気透析セル(200)の図を図2に示す。バイポーラ電気透析セル(200)は、図を簡略化するためにカソード(202)とアノード(204)との間の2つの完全なセルを示すが、通常、多くのセルは、バイポーラ電気透析スタックにて提供される。バイポーラ電気透析は、電解を使用して、バイポーラ膜(206)のカチオン交換膜部分とアニオン交換膜部分との間にある水を、HOHとに解離させる。印加された電位差を適用すると、生成されたHイオンは、カソード(202)に向かって酸性化溶液(210)に移動し、生成されたOHイオンは、アノード(204)に向かって塩濃縮溶液(20)に移動する。バイポーラ電気透析セル(200)は、アニオン交換膜(212)を含む。2室型バイポーラ電気透析セル(200)は、酸性化溶液(210)及び塩濃縮溶液(20)が同一方向に流れるため、並流モードで動作している。
【0020】
イオンを受け取ると、酸性化溶液(210)は酸性になり、酸性溶液(28)としてバイポーラ電気透析セル(200)から排出される。逆に、OHイオンを受け取ると、塩濃縮溶液(20)は塩基性になり、塩基性溶液(26)としてバイポーラ電気透析セル(200)から排出される。
【0021】
酸性化溶液(210)及び塩濃縮溶液(20)は、印加された電流を流すためのイオンを含む。これらのイオンは、生成された酸及び塩基の対イオンになる。酸性化溶液(210)及び塩濃縮溶液(20)は、同一であっても異なっていてもよい。
【0022】
以下で説明する多段バイポーラ電気透析システムでは、すべてではないが一部のステージのアニオン交換膜が酸ブロックアニオン膜によって置き換えられている。一実施例では、ポリマー酸ブロックアニオン選択性膜は、織布又は不織布に3つの構成成分の反応生成物を含浸させることによって調製される。構成成分Iは、エチレン系不飽和脂肪族又は芳香族の第三級又は第四級アミンモノマーである。構成成分IIは、架橋モノマーである。構成成分IIIは、ビニルベンジルクロリドである。このタイプの膜は、米国特許第8,740,896号明細書,「酸ブロックアニオン膜」にさらに詳細に記載されており、参照により本明細書に組み込まれている。
【0023】
図3は、酸ブロックアニオン交換膜(220)を有する3室型電気透析セル(300)を示す。図3のセル(300)は、図1の3室型電気透析セル(100)に類似しており、図1の説明は、図1のアニオン交換膜(212)が図3では酸ブロックアニオン膜(220)によって置き換えられていることを除いて、図3に適用される。
【0024】
図4は、酸ブロックアニオン交換膜(220)を有する2室型電気透析セル(400)を示す。図4のセル(400)は、図2の2室型電気透析セル(200)に類似しており、図2の説明は、図2のアニオン交換膜(212)が図4では酸ブロックアニオン膜(220)によって置き換えられていることを除いて、図4に適用される。
【0025】
図5は、向流モードで動作する3室型電気透析セル(100、300)を有する多段バイポーラ電気透析システム(500)を示している。図示の例では、酸ブロックアニオン膜を有する2つの3室型電気透析セル(300)と、5つの3室型電気透析セル(100)とがある。塩濃縮溶液(20)は、酸ブロックアニオン膜を有する3室型電気透析セル(300)の1つを通ってシステム(500)に入る。酸性化溶液(210)及び塩基性化溶液(214)は、補給水として出発してもよく、3室型電気透析セル(100)の1つを通ってシステム(500)に入る。濃縮酸性化溶液(210)は、酸ブロックアニオン膜を有する3室型電気透析セル(300)を流れるが、プロトンの移動は酸ブロックアニオン膜によって阻害される。
【0026】
図6は、並流モードで動作する2室型電気透析セル(200、400)を有する多段バイポーラ電気透析システム(600)を示している。図示の例では、酸ブロックアニオン膜を有する1つの2室型電気透析セル(400)と、3つの2室型電気透析セル(200)とがある。塩濃縮溶液(20)は、2室型電気透析セル(200)の1つを通ってシステム(600)に入る。酸性化溶液(210)は補給水として出発してもよく、また、2室型電気透析セル(200)の1つを通ってシステム(600)に入る。濃縮酸性化溶液(210)は、酸ブロックアニオン膜を有する2室型電気透析セル(400)を流れるが、プロトンの移動は酸ブロックアニオン膜によって阻害される。
【0027】
本明細書は、最良の形態を含めて、本発明の開示を支援するために実施例を用いており、また、任意の装置又はシステムを製造及び使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、いかなる当業者も本発明を実施することが可能となるように実施例を用いている。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の実施例に変更、修正及び変形を加えることができる。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6