(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ロボット用制御装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20230830BHJP
B25J 13/06 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H05K7/20 B
B25J13/06
(21)【出願番号】P 2021524945
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2020022496
(87)【国際公開番号】W WO2020246613
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2019106793
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 律昭
(72)【発明者】
【氏名】塔ノ上 義章
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-040968(JP,A)
【文献】特開2016-163392(JP,A)
【文献】特開2010-205826(JP,A)
【文献】特開2018-140453(JP,A)
【文献】特開2014-123591(JP,A)
【文献】特開2016-197673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
B25J 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを制御するためのロボット用制御装置であって、
第一開口と前記第一開口と対向する第一壁に配置された複数の第二開口とを有する本体と、前記第一開口を開閉可能に前記本体に設けられた扉とを有する筐体と、
通電により発熱する発熱素子を含む第一回路と、
少なくとも1つの送風装置とを備え、
前記本体は、
前記第一回路を収容し、前記第一開口で開放された第一室と、
前記第一室と第一隔壁を介して第一方向で隣接し、前記第一開口及び前記複数の第二開口で開放された第二室とを有し、
前記扉は、前記扉を貫通し且つ前記第二室と連通可能に配置された扉開口を有し、
前記扉は、前記第一開口を閉じたとき、前記第一室を閉塞し、前記扉開口を介して前記第二室と外部とを連通し、
前記少なくとも1つの送風装置は、前記扉開口、前記扉開口の近傍位置、前記複数の第二開口、及び前記複数の第二開口の近傍位置のうちの少なくとも前記扉開口又は前記扉開口の近傍位置に配置され、前記第二室内に空気を導入及び導出するように構成され、
前記扉開口又は前記扉開口の近傍位置に配置される前記送風装置は、前記第一方向と交差する方向である第二方向に並ぶ第一ファン及び第二ファンを含み、
前記第一ファンと前記複数の第二開口のうちの1つとは、前記第一開口から前記第一壁に向かう第三方向で互いに対向するように配置され、
前記第二ファンと前記複数の第二開口のうちの他の1つとは、前記第三方向で互いに対向するように配置され
、
前記第一回路の前記発熱素子から延びる電気ケーブルが、前記第一隔壁を貫通して前記第一室から前記第二室内に延び、さらに前記第二室内を通って延び、さらに前記第一隔壁を貫通して前記第二室から前記第一室内に戻るように延びる
ロボット用制御装置。
【請求項2】
前記第一開口と前記第二開口とは互いに対向する位置に配置されている
請求項1に記載のロボット用制御装置。
【請求項3】
前記第一隔壁に配置された第一ヒートシンクをさらに備え、
前記第一ヒートシンクは、前記第二室内の空気と接触し且つ前記第一回路の前記発熱素子の熱が伝達可能に配置される
請求項1または2に記載のロボット用制御装置。
【請求項4】
前記第一回路は、前記発熱素子として、第一発熱素子及び第二発熱素子を含み、
少なくとも2つの前記第一ヒートシンクが、前記第一発熱素子及び前記第二発熱素子の熱が伝達可能に配置され、
前記第一発熱素子の熱が伝達可能な前記第一ヒートシンクと、前記第二発熱素子の熱が伝達可能な前記第一ヒートシンクとは、前記第三方向と交差する方向に配列され、
前記第一ファンから、前記第一ファンと対向する前記第二開口に向かう気流と接触するように、前記第一発熱素子の熱が伝達可能な前記第一ヒートシンクが配置され、
前記第二ファンから、前記第二ファンと対向する前記第二開口に向かう気流と接触するように、前記第二発熱素子の熱が伝達可能な前記第一ヒートシンクが配置される
請求項3に記載のロボット用制御装置。
【請求項5】
前記本体が有する第三室に第二回路をさらに備え、
前記第三室は、第二隔壁を介して前記第二室と隣接する
請求項1~4のいずれか一項に記載のロボット用制御装置。
【請求項6】
前記第二隔壁に配置された第二ヒートシンクをさらに備え、
前記第二ヒートシンクは、前記第二室内の空気と接触し且つ前記第二回路の熱が伝達可能に配置される
請求項5に記載のロボット用制御装置。
【請求項7】
前記第三室は、前記第一開口で開放され、且つ、前記扉が前記第一開口を閉じたとき、前記扉によって閉塞される
請求項5または6に記載のロボット用制御装置。
【請求項8】
前記扉に、ブレーカスイッチ、前記ロボットの操作器との接続装置、前記ロボットの動作モードの設定装置、及び前記ロボットの非常停止装置のうちの少なくとも1つを備える
請求項1~
7のいずれか一項に記載のロボット用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サーボモータを制御するサーボアンプ等の発熱体を収容する制御装置が知られている。例えば、特許文献1は、産業用ロボット装置用のコントローラを開示している。コントローラは、引き出しを備えるキャビネットを備える。当該引き出し内に、電源ユニットを備えるドライブが配置される。コントローラは、引き出しの中を貫通する換気用ダクトと、換気用ダクト内の空気の流れを強制的に生成するファンとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコントローラでは、キャビネットの空間に引き出しが挿入されることで、当該空間が実質的に気密な状態となる。そして、換気用ダクトは、このような引き出し内を通るように構成されている。また、特許文献1のコントローラは、引き出しが挿入されたときにドライブとキャビネットの装置とを電気的に接続する構造を備える。よって、特許文献1のコントローラは部品点数が多く、その構造が複雑であるという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、構造の簡略化を可能にするロボット用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係るロボット用制御装置は、第一開口と前記第一開口と対向する壁に配置された第二開口とを有する本体と、前記第一開口を開閉可能に前記本体に設けられた扉とを有する筐体と、通電により発熱する発熱素子を含む第一回路と、少なくとも1つの送風装置とを備え、前記本体は、前記第一回路を収容し、前記第一開口で開放された第一室と、前記第一室と第一隔壁を介して隣接し、前記第一開口及び前記第二開口で開放された第二室とを有し、前記扉は、前記扉を貫通し且つ前記第二室と連通可能に配置された扉開口を有し、前記扉は、前記第一開口を閉じたとき、前記第一室を閉塞し、前記扉開口を介して前記第二室と外部とを連通し、前記少なくとも1つの送風装置は、前記扉開口、前記扉開口の近傍位置、前記第二開口、及び前記第二開口の近傍位置のうちの少なくとも1つに配置され、前記第二室内に空気を導入及び導出するように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の技術によれば、ロボット用制御装置の構造の簡略化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るロボット用制御装置を前方から見た構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るロボット用制御装置を後方から見た構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、扉を開放した状態の実施の形態に係るロボット用制御装置を前方から見た構成の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のロボット用制御装置において送風装置を取り外した状態を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3のロボット用制御装置の内部を上方から下方に向かって見た一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5のロボット用制御装置のVI-VI線に沿った断面図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るロボット用制御装置の構成の一例を
図5と同様に示す図である。
【
図8】
図8は、変形例に係るロボット用制御装置の構成の一例を
図6と同様に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0010】
<ロボット用制御装置の構成>
実施の形態に係るロボット用制御装置1の構成を説明する。ロボット用制御装置1は、ロボットの動作を制御する制御装置である。制御対象のロボットは、いかなるロボットであってもよい。例えば、制御対象のロボットは、産業用ロボット、サービスロボット、建設機械、トンネル掘削機、クレーン、荷役搬送車、及びヒューマノイド等の様々なロボットであってもよい。サービスロボットは、介護、医療、清掃、警備、案内、救助、調理、商品提供等の様々なサービス業で使用されるロボットである。本実施の形態では、制御対象のロボットは、垂直多関節型ロボット、水平多関節型ロボット、極座標型ロボット、円筒座標型ロボット及び直角座標型ロボット等の産業用ロボットであるとして説明する。このような産業用ロボットは、関節等を駆動するための駆動モータとしてサーボモータを備える。サーボモータを制御するために用いられるサーボアンプはパワーモジュールを含み、通電されることで発熱する。
【0011】
図1は、実施の形態に係るロボット用制御装置1を前方から見た構成の一例を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係るロボット用制御装置1を後方から見た構成の一例を示す斜視図である。
図3は、扉30を開放した状態の実施の形態に係るロボット用制御装置1を前方から見た構成の一例を示す斜視図である。
図4は、
図3のロボット用制御装置1において送風装置40を取り外した状態を示す図である。以下において、「ロボット用制御装置」を単に「制御装置」と呼ぶ場合もある。
【0012】
図1~
図3に示すように、制御装置1は、筐体10を備える。本実施の形態では、筐体10の形状は、直方体状であるが、これに限定されず、いかなる形状であってもよい。筐体10は、直方体状の本体20と、扉30とを有する。本体20は、矩形状の第一開口20aと、第一開口20aと対向する壁の一例である側壁24に配置された第二開口24a~24dとを有する。扉30は、矩形の蓋状の形状を有し、第一開口20aを開閉可能に本体20に設けられている。例えば、扉30は、本体20の側壁23にヒンジ31を介して取り付けられ、片開きの扉を構成している。本体20及び扉30の形状は、直方体状及び矩形状に限定されない。本体20は、第一開口と、第一開口と対向する壁に配置された第二開口とを有すればよく、扉30は、第一開口を開閉することができればよい。
【0013】
本体20は、底壁21と、頂壁25と、側壁22~24とを含み、各壁の形状は矩形状である。側壁22~24は、底壁21の3つの周縁から立ち上がり、側壁22~24の底縁は底壁21の周縁と接合されている。側壁22~24は、隣り合う側縁で互いに接合されている。側壁22及び23は互いに対向し、本実施の形態では略平行である。頂壁25は底壁21と対向するように配置され、本実施の形態では底壁21と略平行である。頂壁25の3つの周縁は側壁22~24の上縁と接合されている。底壁21の1つの周縁と、頂壁25の1つの周縁と、側壁22及び23それぞれの1つの側縁とは、矩形状の第一開口20aを形成する。第一開口20aと側壁24とは対向する。
【0014】
ここで、底壁21から頂壁25に向かう方向を上方向と呼び、その反対方向を下方向と呼ぶ。側壁22から側壁23に向かう方向を右方向と呼び、その反対方向を左方向と呼ぶ。第一開口20aから側壁24に向かう方向を後方向と呼び、その反対方向を前方向と呼ぶ。第一開口20aは前方向に開口している。第二開口24a~24dは、後方向に開口し、上下方向に並んで配列されている。なお、第二開口24a~24dの数量は
図2に示すような4つに限定されない。
【0015】
また、扉30において、扉30を貫通する第一扉開口30a及び30bと第二扉開口30cとが形成されている。第一扉開口30a及び30bの数量は
図1に示すような2つに限定されない。第一扉開口30a及び30bは上下方向に並んで配列されている。扉30が第一開口20aを閉じたとき、第一扉開口30a及び30b並びに第二扉開口30cは、筐体10の内部と外部とを連通する。さらに、第一扉開口30a及び30bの位置は、第二開口24a~24dの位置と対向する。第二扉開口30cからは、ブレーカスイッチ101aが扉30の外側に突出する。ブレーカスイッチ101aは、図示しないブレーカ101と接続されており、ブレーカ101の作動状態と非作動状態とを切り替えるスイッチである。ブレーカ101は、作動することにより、制御装置1内における電流の流れを遮断する遮断器である。
【0016】
また、制御装置1は、第一開口20a又はその近傍に送風装置40を備えている。送風装置40は、本体20に着脱可能に設けられている。送風装置40は、ファン41を備え、これに限定されないが、本実施の形態では上下方向に配列された4つのファン41を備える。4つのファン41は、扉30が第一開口20aを閉じたときに前後方向で第一扉開口30a及び30bに隣り合う、つまり、第一扉開口30a及び30bに臨むように配置されている。よって、4つのファン41は、第一扉開口30a及び30b又はその近傍に配置されている。4つのファン41は、駆動することで、第一扉開口30a及び30b又は第二開口24a~24dを通じて、筐体10内に外気を強制的に導入し、筐体10内の空気を第二開口24a~24d又は第一扉開口30a及び30bを通じて外部に強制的に排出する。
【0017】
また、制御装置1は、扉30に、保持部材32と、操作器コネクタ50と、操作パネル60とを備える。操作器コネクタ50は、接続装置の一例であり、図示しないロボットの操作器の通信コネクタと物理的及び電気的に接続されるように構成されている。制御装置1は、操作器コネクタ50を介して操作器と信号及び電流等を送受信する。保持部材32は、ロボットの操作器を保持する。例えば、保持部材32は、当該操作器が掛けられるように構成されている。例えば、操作器は、ロボットのティーチング(教示)用の操作器であってもよく、その他の操作器であってもよい。
【0018】
操作パネル60は、制御装置1の制御内容を調節するためのパネルである。例えば、操作パネル60には、ロボットの動作モードを設定するためのモード設定装置61、及びロボットの非常停止装置62が配置されている。操作パネル60には、種々の情報を表示するための表示灯及びディスプレイ等の表示装置、並びに、出力を調整するための調整器等が配置されてもよい。ロボットの非常停止装置62は、作動することでロボットを停止させる装置であり、非常停止指令を入力するためのスイッチ等の入力装置であってもよい。
【0019】
モード設定装置61は、動作モードを設定するための切替スイッチ等の入力装置であってもよい。設定される動作モードは、教示モード、手動運転モード、自動運転モード及び修正自動運転モード等の少なくとも1つを含んでもよい。教示モードは、ロボットに作業等の動作を教示するための運転モードであり、例えば、操作者が操作器を用いて手動でロボットを動作させる等により、ロボットに当該動作をプログラムするための運転モードである。手動運転モードは、操作器を用いてロボットを手動操作する運転モードであり、操作者によって操作器に入力される操作に従った動作、つまり、当該操作をトレースした動作をロボットに実行させる運転モードである。自動運転モードは、ロボットに自動で動作させる運転モードであり、教示等により設定されたプログラムに従ってロボットに作業等の動作を自動で実行させる運転モードである。修正自動運転モードは、ロボットが自動運転を実行中に、手動運転を受け付ける運転モードである。例えば、修正自動運転モードでは、自動運転と手動運転とが組み合わされてもよく、自動運転中に手動運転による動作の修正が受け付けられるように構成されてもよい。
【0020】
なお、扉30には、ブレーカスイッチ101a、操作器コネクタ50、モード設定装置61及びロボットの非常停止装置62の少なくとも1つが配置されてもよい。
【0021】
また、制御装置1は、本体20の側壁24に、ロボットコネクタ81(
図2参照)を備えている。ロボットコネクタ81は、図示しないロボットの通信コネクタと物理的及び電気的に接続されるように構成されている。制御装置1は、ロボットコネクタ81を介してロボットと信号及び電流等を送受信する。
【0022】
また、制御装置1は、後述するブレーカ101に、図示しない外部電源(「一次電源」とも呼ばれる)から延びる電線が接続されるように構成されている。制御装置1は当該外部電源から電流等の供給を受ける。ブレーカ101は、作動することで、当該外部電源から制御装置1への電流の供給を遮断する。
【0023】
図5は、
図3のロボット用制御装置1の内部を上方から下方に向かって見た一例を示す平面図である。
図3~
図5に示すように、本体20は、その内部空間を仕切る隔壁26及び27を有している。隔壁26及び27は、前後方向及び上下方向に延び、本体20の内部空間を左右方向に仕切る。隔壁26及び27は、側壁22及び23に沿って延び、本実施の形態では側壁22及び23と略平行である。第一室201が側壁23と第一隔壁26との間に区画形成される。第二室202が隔壁26及び27の間に区画形成される。第三室203a及び203bが側壁22と第二隔壁27との間に区画形成される。
【0024】
第一室201は、底壁21と、側壁23及び24と、頂壁25と、第一隔壁26とによって囲まれ、第一開口20aで開放されている。第二室202は、底壁21と、側壁24と、頂壁25と、隔壁26及び27とによって囲まれ、第一開口20a及び第二開口24a~24dで開放されている。送風装置40は、第一開口20a又はその近傍且つ第二室202に配置されている。
【0025】
第三室203a及び203bは、底壁21と、側壁22及び24と、頂壁25と、第二隔壁27とによって囲まれている。第三室203a及び203bは、前後方向に配列され、第三隔壁28によって仕切られている。第三室203aは、第一開口20aで開放され、第三室203bは、第三隔壁28によって閉じられている。なお、第三隔壁28は、本体20に対して着脱可能であるように構成されてもよい。必要時に第三隔壁28を取り外すことにより、第一開口20aを通じた第三室203bへのアクセスが可能であり、不要時に第三隔壁28を取り付けることにより、第三室203bへのアクセスを制限することが可能である。
【0026】
扉30は、第一開口20aを閉じたとき、第一室201を閉塞し、第一扉開口30a及び30bを介して第二室202と外部とを連通し、第三室203aを閉塞する。例えば、第一開口20aでの第一室201の周囲、具体的には、底壁21、側壁23、頂壁25及び第一隔壁26の縁にパッキン等の封止部材が配置されてもよい。これにより、第一室201は、扉30と封止部材とによって気密性又は液密性を高めることができ、粉塵等の異物の侵入を抑えることができる。また、底壁21、側壁22、頂壁25及び第二隔壁27の縁、並びに、第二扉開口30cの内周にパッキン等の封止部材が配置されてもよい。これにより、第三室203aは、扉30と封止部材とによって気密性又は液密性を高めることができ、粉塵等の異物の侵入を抑えることができる。
【0027】
また、制御装置1は、第一室201内に配置された第一回路90と、第二室202内に配置されたヒートシンク111~114と、第三室203a及び203b内に配置された第二回路100とを備える。第一回路90は、ロボットの駆動を制御するための回路である。第一回路90は、サーボアンプ91及びパワーユニット92等を含む。サーボアンプ91は、ロボットのサーボモータ(図示せず)への供給電流を制御することでサーボモータを制御する。サーボアンプ91は、サーボモータに供給する電流を制御するパワーモジュールを含んでもよい。パワーユニット92は、外部電源(図示せず)から供給された電力を制御装置1の各部に供給する。パワーユニット92は、交流電力を直流電力に変換する整流回路、AC/DC回路等を含んでもよい。サーボアンプ91は通電時に発熱する。パワーユニット92はキャパシタ等を含み、通電時に発熱する。サーボアンプ91は第一発熱素子の一例であり、パワーユニット92は第二発熱素子の一例である。
【0028】
なお、サーボモータは、電気モータと、電気モータの回転子の回転角を検出するエンコーダと、電気モータの電流値を検出する電流センサとを備えている。サーボモータは、サーボアンプ91から出力される電流によって、電気モータを動作させ、エンコーダ及び電流センサの検出値をサーボアンプ91に出力する。サーボアンプ91は、サーボモータからフィードバックされたエンコーダの検出値に基づき、当該サーボモータの回転子の回転量及び回転速度等を検出し、回転子の回転量及び回転速度並びに電流センサの電流値等の検出結果を用いて当該サーボモータの回転開始、回転停止、回転速度及び回転トルクを制御する。これにより、サーボアンプ91は、サーボモータを任意の回転位置で停止させることができ、任意の回転速度で回転させることができ、任意の回転トルクで動作させることができる。よって、サーボモータによって駆動されるロボットの各部は多様に且つ緻密に動作することができる。
【0029】
第二回路100は、電気回路であり、ブレーカ101及び変圧器102等を含む。ブレーカ101は第三室203aに配置され、変圧器102は第三室203bに配置されている。ブレーカ101と変圧器102とは電気的に接続され、ブレーカ101は作動することで変圧器102への供給電流を遮断する。変圧器102は、ブレーカ101を介して外部電源から供給された電力を変圧し第一回路90のパワーユニット92に供給する。変圧器102は通電時に発熱する。なお、第三室203bには、変圧器102に加えて又は変圧器102の代わりに、他の電気回路等が配置されてもよい。
【0030】
ヒートシンク111~113は、第一隔壁26に配置され、ヒートシンク114は、第二隔壁27に配置されている。ヒートシンク111~114は、熱伝導性の高い材料で構成されている。例えば、ヒートシンク111~114は、アルミニウム、鉄、銅等の熱伝導性の高い金属で構成されてもよい。
【0031】
図6は、
図5のロボット用制御装置1のVI-VI線に沿った断面図である。
図6に示すように、ヒートシンク111は、支持板115を介して第一隔壁26に配置されている。ヒートシンク111は支持板115に取り付けられている。支持板115は第一隔壁26に取り付けられ、第一隔壁26に形成された図示しない開口を塞ぐ。ヒートシンク111は、第一室201及び第二室202に露出している。第一室201において、ヒートシンク111は、第一回路90のサーボアンプ91の熱が伝達されるように構成されている。例えば、ヒートシンク111は、図示しない薄厚の絶縁部材を介してサーボアンプ91と隣接して配置される。
【0032】
また、ヒートシンク111は、第二室202に突出する複数の放熱板を一体的に含み、複数の放熱板を介して第二室202内の空気と接触し熱交換する。これにより、ヒートシンク111は、サーボアンプ91の熱を第二室202に放熱することができる。そして、ヒートシンク111は、複数の放熱板によって、熱交換を行うための面積を増大することができる。なお、支持板115は、ヒートシンク111と同様に、熱伝導性の高い材料で構成されていてもよい。さらに、支持板115とヒートシンク111とは、同じ材料で構成され一体化されていてもよい。これにより、サーボアンプ91の熱を第二室202に放熱するための面積を増大させることができる。さらに、部品点数の低減が可能である。
【0033】
ヒートシンク112及び113は、ヒートシンク111よりも上方において、支持板116を介して第一隔壁26に配置されている。つまり、ヒートシンク112及び113と、ヒートシンク111とは、第一扉開口30a及び30bから第二開口24a~24dに向かう方向であり且つ送風装置40が発生する気流の方向である気流方向に対して交差する方向に、配列される。ヒートシンク112及び113は支持板116に取り付けられている。支持板116は第一隔壁26に取り付けられ、第一隔壁26に形成された図示しない開口を塞ぐ。ヒートシンク112及び113は、第一室201及び第二室202に露出している。第一室201において、ヒートシンク112及び113は、第一回路90のパワーユニット92の熱が伝達されるように構成されている。例えば、ヒートシンク112及び113は、図示しない薄厚の絶縁部材を介してパワーユニット92と隣接して配置される。
【0034】
また、ヒートシンク112及び113はそれぞれ、第二室202に突出する複数の放熱板を一体的に含み、複数の放熱板を介して第二室202内の空気と接触し熱交換する。これにより、ヒートシンク112及び113は、パワーユニット92の熱を第二室202に放熱することができる。そして、ヒートシンク112及び113はそれぞれ、複数の放熱板によって、熱交換を行うための面積を増大することができる。なお、支持板116は、熱伝導性の高い材料で構成されていてもよい。さらに、支持板116とヒートシンク112及び113とは、同じ材料で構成され一体化されていてもよい。これにより、パワーユニット92の熱を第二室202に放熱するための面積を増大させることができる。さらに、部品点数の低減が可能である。
【0035】
図5に戻り、ヒートシンク114は、第二隔壁27に配置されている。ヒートシンク114は、第二室202に対して、ヒートシンク111~113と反対側に配置されている。ヒートシンク114は、ヒートシンク111~113と同様に、第二隔壁27に形成された図示しない開口を塞ぐ支持板(図示せず)を介して第二隔壁27に配置されてもよい。ヒートシンク114は、第二室202及び第三室203bに露出している。第三室203bにおいて、ヒートシンク114は、変圧器102の熱が伝達されるように構成されている。例えば、ヒートシンク114は、図示しない薄厚の絶縁部材を介して変圧器102と隣接して配置される。
【0036】
また、ヒートシンク114は、第二室202に突出する複数の放熱板を一体的に含み、複数の放熱板を介して第二室202内の空気と接触し熱交換する。これにより、ヒートシンク114は、変圧器102の熱を第二室202に放熱することができる。そして、ヒートシンク114は、複数の放熱板によって、熱交換を行うための面積を増大することができる。なお、ヒートシンク114を支持する支持板(図示せず)が、熱伝導性の高い材料で構成されていてもよく、さらに、ヒートシンク114と同じ材料で構成され一体化されていてもよい。これにより、変圧器102の熱を第二室202に放熱するための面積を増大させることができる。さらに、部品点数の低減が可能である。
【0037】
また、制御装置1は、第二隔壁27に配置された抵抗体131を備えてもよい。抵抗体131は第二室202に露出している。抵抗体131は通電されることで発熱する電気抵抗体である。抵抗体131は、第一回路90と電気的に接続され、第一回路90からの余剰電力を消費するように構成されている。抵抗体131は、発熱することで供給された電力を消費する。抵抗体131は、第二室202内の空気と接触し熱交換することで発生した熱を放熱する。例えば、ロボットのサーボモータは回生電力を発生する場合があり、この回生電力が第一回路90に供給され、余剰の電力となり得る。第一回路90は、当該回路を保護するために余剰の電力を抵抗体131に供給する。
【0038】
<制御装置の動作>
実施の形態に係る制御装置1の動作を説明する。
図1及び
図2に示すように、ロボット(図示せず)を制御する使用時等を含む通常時、制御装置1の筐体10の扉30は閉じられている。このとき、筐体10の第一室201並びに第三室203a及び203bは閉塞されている。第二室202は、第一扉開口30a及び30b、第一開口20a、並びに、第二開口24a~24dを介して、筐体10の外部に開放されている。
【0039】
図5及び
図6に示すように、制御装置1の使用時、制御装置1は通電され、それにより、第一回路90及び第二回路100は通電される。第一回路90は、送風装置40を稼働させる。さらに、第一回路90は、サーボアンプ91及びパワーユニット92を駆動し、制御装置1と電気的に接続されたロボット(図示せず)を動作させる。具体的には、第一回路90は、サーボモータを駆動することでロボットのアームの関節及びエンドエフェクタ(図示せず)等を動作させる。
【0040】
送風装置40のファン41は、一方向に回転駆動することにより、筐体10の前方から後方に向かう気流を強制的に発生させる。つまり、ファン41は、第一扉開口30a及び30b並びに第一開口20aを通って第二室202に流入し且つ第二開口24a~24dを通って第二室202から流出する気流を発生させる。よって、第二室202は、第一扉開口30a及び30bから第二開口24a~24dに向かう直線状の気体の流路を構成する。なお、ファン41は、上記の一方向と反対方向に回転駆動されてもよい。この場合、第二室202内では、第二開口24a~24dから第一扉開口30a及び30bに向かう気流が生成される。
【0041】
外気は、ファン41によって第二室202内に強制的に導入された後、強制的に排出される。導入された外気は、ヒートシンク111~114と接触し熱交換することで吸熱する。これにより、第一回路90のサーボアンプ91及びパワーユニット92の熱は、ヒートシンク111~113を介して外気に吸熱される。さらに、第二回路100の変圧器102の熱は、ヒートシンク114を介して外気に吸熱される。また、外気は、抵抗体131と接触し熱交換することで吸熱する。
【0042】
サーボアンプ91に対して吸熱するヒートシンク111と、パワーユニット92に対して吸熱するヒートシンク112及び113とは、筐体10の上下方向に分かれて配置されている。ヒートシンク111と、ヒートシンク112及び113とは、送風装置40によって生成される外気の流れの上流又は下流の位置関係で配列されず、外気の流れの方向と交差する方向に配列されている。ヒートシンク111が熱交換する外気は、ヒートシンク112又は113との熱交換後の外気ではなく、筐体10の外部から導入された新鮮な外気である。ヒートシンク112及び113が熱交換する外気は、ヒートシンク111との熱交換後の外気ではなく、筐体10の外部から導入された新鮮な外気である。これにより、ヒートシンク111~113での高い効率での熱交換が可能である。なお、
図6では、ヒートシンク113は、ヒートシンク112に対して、第二室202内の外気の流れの下流に位置するが、上下方向にずらして配置されてもよい。これにより、ヒートシンク113には、より新鮮な外気が導入される。
【0043】
また、ヒートシンク114は、第二室202に関して、筐体10の左右方向、つまり、外気の流れに直交する方向で、ヒートシンク111~113と反対側に配置されている。ヒートシンク114が熱交換する外気は、ヒートシンク111~113の熱交換による影響が低い外気である。これにより、ヒートシンク114での高い効率での熱交換が可能である。
【0044】
また、第一室201並びに第三室203a及び203bは、第二室202から遮蔽されており、送風装置40による外気の強制的な導入も受けない。このため、第一室201並びに第三室203a及び203bへの異物の侵入が抑えられる。
【0045】
また、外気の導出入部が筐体10の前面の扉30と背面の側壁24とに限定される。さらに、扉30に、保持部材32、操作器コネクタ50、操作パネル60及びブレーカスイッチ101aが配置され、側壁24に、ロボットコネクタ81が配置されている。このため、底壁21、側壁22及び23、並びに頂壁25に隣接して、筐体10の周囲に、他の制御装置1等の他の装置の配置が可能である。例えば、複数の制御装置1が、上下方向及び左右方向に積み重ねられて配置されることが可能である。
【0046】
また、
図3及び
図5に示すように、制御装置1のメンテナンス時等を含む非通常時、筐体10の扉30が開放される。1つの扉30を開放するのみで、第一開口20aを通じて、第一室201、第二室202並びに第三室203a及び203bへアクセスできる。例えば、第一回路90、送風装置40、及びブレーカ101の点検、修理及び交換が可能である。さらに、第三隔壁28を取り外すことによって、第三室203b内の点検等が可能である。
【0047】
<効果等>
上述のような実施の形態に係るロボット用制御装置1は、第一開口20aと第一開口20aと対向する側壁24に配置された第二開口24a~24dとを有する本体20と、第一開口20aを開閉可能に本体20に設けられた扉30とを有する筐体10と、通電により発熱する発熱素子としてのサーボアンプ91等を含む第一回路90と、少なくとも1つの送風装置40とを備える。本体20は、第一回路90を収容し且つ第一開口20aで開放された第一室201と、第一室201と第一隔壁26を介して隣接し且つ第一開口20a及び第二開口24a~24dで開放された第二室202とを有する。扉30は、扉30を貫通し且つ第二室202と連通可能に配置された第一扉開口30a及び30bを有し、扉30は、第一開口20aを閉じたとき、第一室201を閉塞し、第一扉開口30a及び30bを介して第二室202と外部とを連通する。少なくとも1つの送風装置40は、第一扉開口30a及び30b、第一扉開口30a及び30bの近傍位置、第二開口24a~24d、及び第二開口24a~24dの近傍位置のうちの少なくとも1つに配置され、第二室202内に空気を導入及び導出するように構成される。例えば、本実施の形態では、送風装置40は、第一扉開口30a及び30b又はその近傍に配置される。
【0048】
上記構成によると、扉30が第一開口20aを閉じたとき、第二室202内への外気の流入及び流出が可能である。これにより、第一隔壁26を介して、第二室202内の外気と、第一室201内の空気及び第一回路90との熱交換が可能であり、サーボアンプ91等の熱が第二室202へ放出される。さらに、送風装置40が空気を導入又は導出することにより、第二室202内における空気の熱交換量を増大することが可能になる。
【0049】
送風装置40は第二室202の端部に配置されるため、第二室202内の空間の有効利用が可能である。また、送風装置40が第一扉開口30a及び30b又はその近傍に配置される場合、扉30側からの送風装置40へのアクセスが可能である。例えば、扉30が第一開口20aを開放したとき、送風装置40の点検、修理及び交換等が容易である。
【0050】
さらに、扉30が第一開口20aを閉じたとき、第一室201は閉塞されるため、第一回路90への異物の侵入が抑制される。また、扉30が第一開口20aを開放したとき、第一室201及び第二室202へ外部からアクセスできる。第一回路90の点検、修理及び交換等が可能である。このような制御装置1は、簡易な構造によって上記のような機能を実現することができる。
【0051】
また、実施の形態において、第一開口20aと第二開口24a~24dとは互いに対向する位置に配置されてもよい。上記構成によると、第一開口20a又は第二開口24a~24dを導入口及び導出口とする第二室202は、その内部に直線的な空気の流路を形成することができる。よって、第二室202内における空気の流れをスムーズにすることが可能になるため、空気による熱交換効率が向上する。また、第一開口20aが筐体10の前部に位置する場合、第二開口24a~24dは筐体10の後部に位置する。よって、筐体10の側方及び上下方向に他の物体を配置することが可能である。例えば、筐体10を上下左右に積み重ねて配置することが可能である。従って、制御装置1の配置場所の省スペース化が可能である。
【0052】
また、実施の形態において、制御装置1は第一隔壁26に配置された第一ヒートシンク111~113を備え、第一ヒートシンク111~113は、第二室202内の空気と接触し且つ第一回路90のサーボアンプ91及びパワーユニット92の熱が伝達可能に配置されてもよい。上記構成によると、サーボアンプ91及びパワーユニット92の熱は、第一ヒートシンク111~113に伝達され、伝達された熱は、第一ヒートシンク111~113と接触する第二室202内の空気と熱交換し吸収される。第一ヒートシンク111~113は、サーボアンプ91及びパワーユニット92の熱を効果的に吸収し第二室202内の空気へ効果的に放熱することができる。従って、熱交換効率の向上が可能になる。
【0053】
また、実施の形態において、第一回路90は、サーボアンプ91及びパワーユニット92を含み、少なくとも2つの第一ヒートシンク111~113が、サーボアンプ91及びパワーユニット92の熱が伝達可能に配置されてもよい。さらに、サーボアンプ91の熱が伝達可能な第一ヒートシンク111と、パワーユニット92の熱が伝達可能な第一ヒートシンク112及び113とは、送風装置40によって第二室202に生成される空気の流れの方向と交差する方向に配列されてもよい。上記構成によると、第一ヒートシンク111と熱交換した後の空気が、第一ヒートシンク112及び113と熱交換することが抑制される。第一ヒートシンク112及び113と熱交換した後の空気が、第一ヒートシンク111と熱交換することが抑制される。よって、第一ヒートシンク111と、第一ヒートシンク112及び113とはいずれも、新鮮な空気と熱交換することができる。従って、熱交換効率の向上が可能になる。
【0054】
また、実施の形態において、制御装置1は、本体20が有する第三室203a及び203bに第二回路100を備え、第三室203a及び203bは、第二隔壁27を介して第二室202と隣接してもよい。上記構成によると、第二隔壁27を介して、第二室202内の空気と、第三室203a及び203b内の空気及び第二回路100との熱交換が可能であり、第二回路100の熱が第二室202へ放出される。よって、1つの第二室202を用いて第一室201並びに第三室203a及び203b内の熱の放出が可能である。従って、制御装置1の構造の簡略化が可能である。なお、第三室203a及び203bは、第二室202に関して第一室201と反対側に配置されてもよい。第一室201、第二室202、並びに、第三室203a及び203bが一列に並ぶため、筐体10のコンパクト化が可能である。
【0055】
また、実施の形態において、制御装置1は第二隔壁27に配置された第二ヒートシンク114を備え、第二ヒートシンク114は、第二室202内の空気と接触し且つ第二回路100の熱が伝達可能に配置されてもよい。上記構成によると、第二ヒートシンク114は、第二回路100の熱を効果的に吸収し第二室202内の空気へ効果的に放熱することができる。従って、熱交換効率の向上が可能になる。
【0056】
また、実施の形態において、第三室203aは、第一開口20aで開放され、且つ、扉30が第一開口20aを閉じたとき、扉30によって閉塞されてもよい。上記構成によると、扉30が第一開口20aを閉じたとき、第三室203a及び203bは閉塞されるため、第二回路100への異物の侵入が抑制される。また、扉30が第一開口20aを開放したとき、第三室203a及び203bへ外部からアクセスできる。
【0057】
また、実施の形態において、制御装置1は、扉30に、ブレーカスイッチ101a、ロボットの操作器との接続装置としての操作器コネクタ50、ロボットの動作モードのモード設定装置61、及び、ロボットの非常停止装置62のうちの少なくとも1つを備えてもよい。上記構成によると、制御装置1における操作者が操作する装置が、扉30に配置され、さらに集約され得る。よって、制御装置1は、扉30の前方と、側壁24の後方とにスペースを確保するように配置されればよい。制御装置1の側方及び上下方向のスペースの有効利用が可能であり、制御装置1の配置場所の省スペース化が可能である。
【0058】
(変形例)
実施の形態の変形例に係るロボット用制御装置1Aを説明する。変形例に係るロボット用制御装置1Aは、第一回路90から延びる電気ケーブルが筐体10の第二室202を通過する点で、実施の形態と異なる。以下、変形例について、実施の形態と異なる点を中心に説明し、実施の形態と同様の点の説明を適宜省略する。
【0059】
図7は、変形例に係るロボット用制御装置1Aの構成の一例を
図5と同様に示す図である。
図8は、変形例に係るロボット用制御装置1Aの構成の一例を
図6と同様に示す図である。
図7及び
図8に示すように、サーボアンプ91から複数の電気ケーブル120aが延びる。電気ケーブル120aの数量は、ロボットのアーム及びエンドエフェクタのサーボモータの数量に対応する。複数の電気ケーブル120aは、支持板115を貫通する複数の絶縁性の保持部材121aを通って、第一室201から第二室202内に延びる。第二室202内の電気ケーブル120aは、第一隔壁26に形成された開口26aを通って第一室201内に延び、ロボットコネクタ81と接続されている。なお、開口26aの内周に、開口26aにおける気密性又は液密性を高めるためのパッキン等の封止部材が配置されてもよい。
【0060】
また、パワーユニット92から複数の電気ケーブル120bが延びる。複数の電気ケーブル120bは、支持板116を貫通する絶縁性の保持部材121bを通って、第一室201から第二室202内に延びる。第二室202内の電気ケーブル120bは、支持板115を貫通する複数の絶縁性の保持部材121cを通って第一室201内に延び、サーボアンプ91と接続されている。
【0061】
電気ケーブル120a及び120bは、サーボアンプ91及びパワーユニット92の通電時に発熱するが、第二室202内の空気と接触し熱交換することで冷却される。電気ケーブル120a及び120bの発熱が抑えられることで、サーボアンプ91及びパワーユニット92の発熱が抑えられる。
【0062】
上述のような変形例に係るロボット用制御装置1Aによれば、実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、第一回路90のサーボアンプ91及びパワーユニット92から延びる電気ケーブル120a及び120bは、第二室202を通って配置されてもよい。電気ケーブル120a及び120bは、通電時に発熱する。さらに、電気ケーブル120a及び120bは、サーボアンプ91及びパワーユニット92から熱の伝達を受け得る。第二室202を通る電気ケーブル120a及び120bは、第二室202内の空気と熱交換し冷却されることが可能である。
【0063】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態及び変形例に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態及び変形例に施したもの、及び、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0064】
例えば、実施の形態及び変形例において、送風装置40は、第一扉開口30a及び30b又はその近傍に配置されていたが、これに限定されない。例えば、送風装置40は、扉30に配置されてもよく、第二室202内のいかなる位置に配置されてもよい。送風装置40は、第一扉開口30a及び30bから第二開口24a~24dに向かう方向又はその反対方向の気流を発生するように構成されることが好ましい。
【0065】
例えば、送風装置40は、第一扉開口30a及び30bと、第一扉開口30a及び30bの近傍との両方に配置されてもよい。例えば、送風装置40は、第二開口24a~24dと、第二開口24a~24dの近傍との一方又は両方に配置されてもよい。つまり、少なくとも1つの送風装置40が、第一扉開口30a及び30b、第一扉開口30a及び30bの近傍位置、第二開口24a~24d、及び第二開口24a~24dの近傍位置のうちの少なくとも1つに配置されてもよい。2つ以上の送風装置40が配置されてもよい。
【0066】
送風装置40が第二開口24a~24d又はその近傍に配置される場合、送風装置40は、第二室202の端部に配置されるため、第二室202内の空間の有効利用が可能である。また、扉30の開閉の有無に関わらず、送風装置40へのアクセスが可能である。例えば、扉30の開閉の有無に関わらず、送風装置40の点検、修理及び交換等が可能である。
【0067】
また、実施の形態及び変形例において、筐体10の第一室201並びに第三室203a及び203bには、発熱素子として、サーボアンプ91、パワーユニット92及び変圧器102等が配置されていたが、これに限定さない。発熱素子は、発熱するものであればよく、例えば、抵抗素子等の電気部品又は電子部品であってもよく、その他の発熱体であってもよい。
【0068】
また、実施の形態及び変形例において、第一室201と第三室203a及び203bとは、第二室202に対して互いに反対側に配置されていたが、これに限定されない。第一室201並びに第三室203a及び203bは、第二室202に隣接して配置されていればよい。例えば、第一室201は第一隔壁26に隣接し、第三室203a及び203bは底壁21又は頂壁25に隣接してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,1A ロボット用制御装置
10 筐体
20 本体
20a 第一開口
24a~24d 第二開口
26 第一隔壁
27 第二隔壁
30 扉
30a,30b 第一扉開口
40 送風装置
41 ファン
50 操作器コネクタ(接続装置)
61 モード設定装置
62 非常停止装置
90 第一回路
91 サーボアンプ(第一発熱素子)
92 パワーユニット(第二発熱素子)
100 第二回路
101a ブレーカスイッチ
102 変圧器(発熱素子)
111~113 ヒートシンク(第一ヒートシンク)
114 ヒートシンク(第二ヒートシンク)
120a,120b 電気ケーブル
201 第一室
202 第二室
203a,203b 第三室