(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】面状照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230830BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20230830BHJP
F21V 15/04 20060101ALI20230830BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20230830BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230830BHJP
F21Y 105/00 20160101ALN20230830BHJP
【FI】
F21S2/00 443
F21V17/00 401
F21V15/04
G02F1/13357
F21Y115:10
F21Y115:10 700
F21Y105:00
(21)【出願番号】P 2021553362
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2021018548
(87)【国際公開番号】W WO2022009525
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2021-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2020117091
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 和正
(72)【発明者】
【氏名】倉田 良太
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-084304(JP,A)
【文献】特開2020-004692(JP,A)
【文献】特開2012-028142(JP,A)
【文献】特開2017-117520(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073425(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 17/00
F21V 15/04
G02F 1/13357
F21Y 115/10
F21Y 105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部と、該床部の周縁に立設された側壁とを有し、導光板を収容するボトムフレームと、
前記導光板の、一列に配列された複数の光源と対向する入光側の一つの辺の略中央に設けられた一つの凹部と、
前記床部に立設され、前記凹部と嵌合する一つのセンターピンと、
前記導光板の、一列に配列された複数の光源と対向する入光側の辺の前記センターピンから所定の距離の範囲内において、前記導光板を前記ボトムフレームに固定する固定部と、
を備え、
前記導光板、前記一つの凹部および前記一つのセンターピンは面状照明装置内でそれぞれ一つであり、
前記一つの辺は前記導光板の長辺の一方の辺であり、
前記導光板の長手方向の線膨張に対する前記導光板の位置決めが前記一つの凹部と前記一つのセンターピンのみにより行われ、位置決めが行われた状態での前記導光板の固定が前記固定部により行われる、
面状照明装置。
【請求項2】
床部と、該床部の周縁に立設された側壁とを有し、導光板を収容するボトムフレームと、
前記導光板の、一列に配列された複数の光源と対向する入光側の辺の略中央に設けられた凹部と、
前記床部に立設され、前記凹部と嵌合するセンターピンと、
前記導光板の、一列に配列された複数の光源と対向する入光側の辺の前記センターピンから所定の距離の範囲内において、前記導光板を前記ボトムフレームに固定する固定部と、
を備え、
前記ボトムフレームの開口側に嵌合し、額縁部の裏側にクッション材を介して前記導光板を押圧するリブを有するトップフレームと、
入光側の辺の略中央の端部から所定の距離の位置に前記センターピンに嵌合する孔部を有し、入光側の辺に前記リブを避ける切欠部を有し、前記入光側の辺の両端部に前記ボトムフレームの側壁または光源の基板に当接する爪部を有し、前記導光板の出射側に積層される1以上の光学シートと、を備える、
面状照明装置。
【請求項3】
前記所定の距離は、前記導光板の、一列に配列された複数の光源と対向する入光側の辺の全幅の半分よりも短い距離である、
請求項1または2に記載の面状照明装置。
【請求項4】
前記固定部は、前記ボトムフレームに両面テープを介して貼り付けられたベースフィルムと、該ベースフィルムと前記導光板とを固定する熱圧着テープまたは該熱圧着テープに代替可能な固定部材とを有する、
請求項1~3のいずれか一つに記載の面状照明装置。
【請求項5】
前記熱圧着テープまたは前記固定部材は、前記導光板の入光側の辺の延在方向に離散した飛島状で、光源の間に配置される、
請求項4に記載の面状照明装置。
【請求項6】
前記ベースフィルムに両面テープを介して貼り付けられ、前記熱圧着テープまたは前記固定部材の周縁の少なくとも一部を囲むスペーサ、を備える、
請求項5に記載の面状照明装置。
【請求項7】
前記ボトムフレームの開口側に嵌合し、額縁部の裏側にクッション材を介して前記導光板を押圧するリブを有するトップフレーム、を備える、
請求項1~6のいずれか一つに記載の面状照明装置。
【請求項8】
入光側の辺の略中央の端部から所定の距離の位置に前記センターピンに嵌合する孔部を有し、前記入光側の辺の両端部に前記ボトムフレームの側壁または光源の基板に当接する爪部を有し、前記導光板の出射側に積層される1以上の光学シート、を備える、
請求項1~7のいずれか一つに記載の面状照明装置。
【請求項9】
前記クッション材の前記導光板に対向する面は、反射処理が施されている、
請求項2または7に記載の面状照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライト等として用いられる面状照明装置が知られている(特許文献1、2等を参照)。
【0003】
一般的な面状照明装置では、光出射用の開口が設けられたトップフレーム(ハウジングフレーム)が筐体の一部として用いられることが多く、トップフレームにおける光出射用の開口を形成する部分は額縁と呼ばれる。昨今では主にデザイン上の観点から、額縁の幅を狭くする狭額縁化が要請されている。
【0004】
ここで、導光板の入光側面から光を入射し、導光板の一方の主面から光を出射する、いわゆるエッジライト型の面状照明装置であって、出射面が横長の形状で、導光板の長辺の一方(説明上、下側の長辺)が入光側となる場合を考える。この場合、上側の長辺および左右の短辺における3辺の狭額縁化は、筐体内で導光板がどのように支持されるかによって影響を受けるため、導光板の支持構造について種々のものが提案されてきた。例えば、導光板の終端側(入光側と反対側)および左右に配置され、導光板を入光側に押圧するゴム等の弾性部材をなくして、導光板の入光側を接着力の高い熱圧着テープ等により固定することで、3辺の狭額縁化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-222331号公報
【文献】特開2018-188955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液晶表示装置等の大型化に伴って面状照明装置が大型化し、入光側の長辺が例えば700~800mm程度になると、導光板の伸び量の大きい箇所で熱圧着テープ等による固定部が構造破綻(凝集破壊)してしまい、導光板の充分な固定が行えなくなるという問題があった。導光板の安定的な固定のためには入光側の辺のできるだけ長い範囲を固定すべきであるが、導光板の伸縮が予測しづらく、固定する範囲を最大化するのが困難であった。なお、構造破綻した部分は導光板の光学特性に影響を与えてしまうため、構造破綻しない範囲で固定すべきである。また、横長の導光板の左右への伸縮量が定まらないため、左右の辺の額縁設計が困難であった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、導光板の安定した固定と額縁設計の容易化を図ることができ、大型の導光板に対しても狭額縁化を図ることができる面状照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る面状照明装置は、ボトムフレームと、凹部と、センターピンと、固定部とを備える。前記ボトムフレームは、床部と、該床部の周縁に立設された側壁とを有し、導光板を収容する。前記凹部は、一つであり前記導光板の、一列に配列された複数の光源と対向する入光側の一つの辺の略中央に設けられる。前記センターピンは、一つであり、前記床部に立設され、前記凹部と嵌合する。前記固定部は、前記導光板の、一列に配列された複数の光源と対向する入光側の辺の前記センターピンから所定の距離の範囲内において、前記導光板を前記ボトムフレームに固定する。前記導光板、前記一つの凹部および前記一つのセンターピンは面状照明装置内でそれぞれ一つであり、前記一つの辺は前記導光板の長辺の一方の辺である。前記導光板の長手方向の線膨張に対する前記導光板の位置決めが前記一つの凹部と前記一つのセンターピンのみにより行われ、位置決めが行われた状態での前記導光板の固定が前記固定部により行われる。
【0009】
本発明の一態様に係る面状照明装置は、導光板の安定した固定と額縁設計の容易化を図ることができ、大型の導光板に対しても狭額縁化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態にかかる面状照明装置の平面図である。
【
図2】
図2は、フラットタイプの面状照明装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、フラットタイプの面状照明装置の主要部の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、湾曲タイプの面状照明装置の斜視図である。
【
図5】
図5は、湾曲タイプの面状照明装置の主要部の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、面状照明装置の入光側の長辺の中央付近の平面図である。
【
図7】
図7は、面状照明装置の入光側の長辺の中央付近のトップフレームおよび光学シート等を外した状態における平面図である。
【
図8】
図8は、面状照明装置の入光側の長辺の中央付近のトップフレーム、光学シート、導光板および反射シート等を外した状態における平面図である。
【
図9】
図9は、面状照明装置の
図6におけるX1-X1断面図である。
【
図10】
図10は、85°Cの環境下での熱圧着テープの伸び量と応力との関係の例を示す図である。
【
図11】
図11は、熱圧着テープの凝集破壊が生じない範囲を検証するためのモデルの例を示す図である。
【
図12】
図12は、面状照明装置が対角32インチである場合の熱圧着テープによる固定部の長さの例を示す図である。
【
図13】
図13は、面状照明装置が対角12.3インチである場合の熱圧着テープによる固定部の長さの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る面状照明装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0012】
図1は、一実施形態にかかる面状照明装置1の平面図である。なお、
図1の平面図は、後述する湾曲タイプの面状照明装置1の平面図と兼用している。
図2は、フラットタイプの面状照明装置1の斜視図である。
図3は、フラットタイプの面状照明装置1の主要部の分解斜視図である。また、便宜上、面状照明装置1の長辺方向をX軸方向、短辺方向をY軸方向、厚み方向をZ軸方向としている。
【0013】
図1~
図3において、面状照明装置1は、ボトムフレーム3の上に反射シート4、導光板7、光学シート9が順次に積層され、トップフレーム10により蓋をされる形となっている。
図2および
図3において、ボトムフレーム3およびトップフレーム10は、主面がフラットな形状となっている。なお、
図3では、導光板7の入光側面(図における手前側の長辺の側面)に光を出射する複数の光源と、これらの光源が搭載される基板とが省略されているが、その配置については後述の図面にて示されている。
図2および
図3において、接続部2は、内部の基板に一端が接続されており、外部と電気的な接続のために使用される部材である。
【0014】
ボトムフレーム3は、例えば、金属製であり、ダイカストや板金等により形成されている。反射シート4は、導光板7からボトムフレーム3側に漏れた光を反射して、導光板7側に戻すためのものである。ボトムフレーム3の床面に白色の塗装等が施されて反射特性が良好な場合は、反射シート4が省略される場合もある。導光板7は、ポリカーボネート、アクリル等の透明な樹脂により形成されており、長辺側の入光側面から入射された光を全面に導き、一の主面(図における上側の主面)から出射する。
【0015】
光学シート9は、1枚ないしは複数枚の光学的な作用を及ぼすシートであり、拡散シート、プリズムシート、輝度上昇フィルム(DBEF:Dual Brightness Enhancement Film)等である。光学シート9の長辺側の一端(図における手前側)は、例えば、細長い板が断面略L字型に折り曲げられたシート固定用フレーム8の一方の片に固定され、シート固定用フレーム8の他方の片はボトムフレーム3の側壁とトップフレーム10の側壁との間に挟み込まれて固定される。また、シート固定用フレーム8による光学シート9の固定に代え、光学シート9に設けられた孔にセンターピン11が通されることにより、光学シート9の固定が行われるようにしてもよい。トップフレーム10は、例えば、樹脂等により形成されている。
【0016】
図4は、湾曲タイプの面状照明装置1の斜視図であり、
図5は、湾曲タイプの面状照明装置1の主要部の分解斜視図である。平面図は、
図1と同様である。
図4および
図5において、ボトムフレーム3、反射シート4、導光板7、光学シート9A~9C(光学シート9に対応)、トップフレーム10は、主面が湾曲した形状となっている以外は
図2および
図3と同様である。なお、ボトムフレーム3およびトップフレーム10は当初から湾曲した状態に形成されているが、反射シート4、導光板7、光学シート9A~9Cは組立前は湾曲しておらず、ボトムフレーム3上に配置される際に湾曲され、トップフレーム10によって押さえ付けられた状態で固定される。
【0017】
以下、上述のフラットタイプおよび湾曲タイプの両者の面状照明装置1に共通する細部について説明する。
【0018】
図6は、面状照明装置1の入光側の長辺の中央付近の平面図である。
図6において、面状照明装置1の入光側の長辺の中央付近にはZ軸方向にセンターピン11が立設されており、トップフレーム10の額縁部10aの孔部10hからセンターピン11の先端が見えている。なお、孔部10hは設けられていなくてもよい。また、トップフレーム10の額縁部10aに設けられた孔部10cに、ボトムフレーム3の側壁に設けられた凸部3cが嵌合するようになっており、トップフレーム10の側壁が外側(図の下側、Y軸方向)に弓状に湾曲するのが防止されている。
【0019】
図7は、面状照明装置1の入光側の長辺の中央付近のトップフレーム10および光学シート9(9A~9C)等を外した状態における平面図である。
図7において、導光板7の入光側の長辺の中央付近には、円弧状の切り込み部7b(本発明の「凹部」に相当)が設けられており、この切り込み部7bがセンターピン11の外周面に当接するようになっている。なお、センターピン11は導光板7の中央部を位置決めするものであり、導光板7に無用なストレスを与えて光学特性を悪化させないよう、センターピン11と切り込み部7bは緩く嵌り合うことが望ましい。また、基板5上に複数設けられたLED(Light Emitting Diode)等の光源6の出射面は、導光板7の入光側面7aと対向して配置されている。なお、ボトムフレーム3の側壁3bには外側(図の下側)に突き出た爪状の凸部3dが設けられており、トップフレーム10の側壁に設けられた孔部と嵌合することで、ボトムフレーム3とトップフレーム10とがZ軸方向に固定されるようになっている。
【0020】
図8は、面状照明装置1の入光側の長辺の中央付近のトップフレーム10、光学シート9(9A~9C)、導光板7および反射シート4等を外した状態における平面図である。
図8において、ボトムフレーム3の床部3aの内面の入光側の外周部には、センターピン11を避けて、X軸方向に延在して、帯状の白色の両面テープ13が貼り付けられ、両面テープ13の入光側の外周部には帯状の透明なポリカーボネート等によるベースフィルム14が貼り付けられている。更に、ベースフィルム14の入光側の端部には、導光板7への入射光に影響しないよう光源6の間に配置された、矩形状の複数の熱圧着テープ16が飛島状に設けられている。また、各熱圧着テープ16の周縁の一部である、図における左右と上には、所定の距離を隔てて囲むように、長手方向に分割された白色の樹脂によるスペーサ15が両面テープ等により貼り付けられている。
【0021】
熱圧着テープ16は、加熱により溶融し、ベースフィルム14と導光板7との間を高い強度で接着するものである。ベースフィルム14は広い面積の両面テープ13によりボトムフレーム3の床部3aに強力に固定されているため、ボトムフレーム3に対して導光板7が強力に固定される。スペーサ15は、熱圧着テープ16が溶融する際の流れ止めとして機能し、所定の接着面積と厚みとを確保することで接着力を確保する。スペーサ15が長手方向に分割されているのは、貼り付けられるベースフィルム14等との線膨張係数の違いを吸収するためである。なお、熱圧着テープ16に代えて、シリンジ等により塗布可能な接着剤タイプであって、熱源が不要で大気中の湿気等により硬化するタイプの固定部材を用いることもできる。
【0022】
図9は、面状照明装置1の
図6におけるX1-X1断面図である。
図9において、ボトムフレーム3の床部3aには外側(図の下側)よりナット12を介してセンターピン11がねじ込まれて固定されており、センターピン11の頭部11bはボトムフレーム3の外側にある。なお、ボトムフレーム3へのセンターピン11の固定は、ねじ込みに代えて、圧入による固定としてもよい。また、センターピン11の軸部11aは、反射シート4、導光板7および光学シート9(9A~9C)を貫通してトップフレーム10の額縁部10aの孔部10hの内部まで延びている。センターピン11の軸部11aは、前述のように、導光板7の入光側の長辺の中央部の切り込み部7bに当接するようになっている。
【0023】
また、ボトムフレーム3の側壁3bの内面には、複数の光源6が長辺方向に配置された基板5が両面テープ等により固定され、光源6の出射面は導光板7の入光側面7aに対向している。なお、光源6として、天面側が発光するトップビュー型のLED等を例に図示しているが、側面側が発光するサイドビュー型のLED等を用いることもできる。この場合、基板5はボトムフレーム3の床部3aに平行に配置されることになる。
【0024】
図10は、85°Cの環境下での熱圧着テープ16の伸び量と応力との関係の例を示す図である。
図10において、伸び量が0.7mmまでは可逆変化であり、伸び量とともに応力が増加し、伸び量を減らせば応力も減る。しかし、伸び量が0.7mmを超えると不可逆変化となり、伸び量とともに応力が低下し、伸び量を減らしても元には戻らない。なお、変曲点は1箇所であり、伸び限界と破断とが同一点となる。
【0025】
図11は、熱圧着テープ16の凝集破壊が生じない範囲を検証するためのモデルの例を示す図である。「GLASS D263」は基台となる部分であり、その上に、両面テープ13に対応する「BST」、ベースフィルム14に対応する「Base Film PC」、熱圧着テープ16に対応する飛島状の「HBT」、導光板7に対応する「LGP」が配置されている。「GLASS D263」の左側の壁の内側が伸縮の基準位置となっており、右方向に線膨張が起きる。なお、ボトムフレームに相当する基台に金属ではなくガラスを用いたのは、金属よりも熱膨張係数が小さい部材を用いることにより、長さの短い基台で導光板との熱膨張量差ΔXを実現するためである。
【0026】
線膨張方向の「GLASS D263」および「LGP」の長さを300mmとすることにより、実機において800mmの長さで生じる線膨張量差ΔX1.3mmを与えることができる。冷熱衝撃試験の結果、200H(時間)経過において約220mmまでは問題なく、それを越えた部分で凝集破壊が生じることが確認された。この実測値は、
図10から求められる計算値ともほぼ一致している。これより、線膨張の基準位置より約200mmは熱圧着テープ16の凝集破壊が生じない範囲と考えることができる。
【0027】
図6~
図9に示された実施形態では、導光板7の入光側の長辺の中央部がセンターピン11により位置決めされ、その中央部が線膨張の基準位置となるため、その中央部から左右に200mm(左右で合計400mm)の範囲を熱圧着テープ16により固定する範囲とすることで、固定する範囲を最大化することができる。また、左右の伸縮量が同じになるため、左右の辺の額縁設計が容易となる。
【0028】
一方、
図2および
図3に示された実機としてのフラットタイプの面状照明装置1では、所定時間経過において長辺の中央部を中心とする約450mmの範囲で形状が安定していることが確認されている。また、
図4および
図5に示された湾曲タイプの面状照明装置1では、湾曲の半径R=1500mmの場合、所定時間経過において402mmの範囲で形状が安定していることが確認されている。すなわち、フラットタイプに比して湾曲タイプは端部において熱圧着テープ16が剥がれやすく、固定範囲を中央部寄りに短くすべきであるが、湾曲タイプにおいても長辺の中央部を中心とする約400mmの範囲であれば、安定して固定することが可能である。
【0029】
図12は、面状照明装置1が対角32インチである場合の熱圧着テープによる固定部の長さの例を示す図であり、長辺の中央部を中心とする400mmの範囲を飛島状の熱圧着テープ16による固定の範囲としている。
図13は、面状照明装置1が対角12.3インチである場合の熱圧着テープによる固定部の長さの例を示す図であり、長辺の全ての範囲である300mmを飛島状の熱圧着テープ16による固定の範囲としている。
【0030】
次に、装置としての強度について考察する。標準的なモデルとして、導光板が通常の両面テープで固定され、導光板重量が18.6gのものを比較対象とする。この標準的なモデルでは、せん断強度が4N/mm2、1g当たりの接着面積が4mm2/g、バックライトの接着強度が298N、[1g当たりの接着面積]×[バックライトの接着強度]×102が12である。
【0031】
これに対し、
図12に示された32インチの面状照明装置1では、導光板重量が272g、せん断強度が25N/mm
2、接着面積が143.9mm
2、1g当たりの接着面積が0.5mm
2/g、バックライトの接着強度が3598N、[1g当たりの接着面積]×[バックライトの接着強度]×10
2が19である。また、
図13に示された12.3インチの面状照明装置1では、導光板重量が93g、せん断強度が25N/mm
2、接着面積が107.93mm
2、1g当たりの接着面積が1.2mm
2/g、バックライトの接着強度が2698N、[1g当たりの接着面積]×[バックライトの接着強度]×10
2が31である。[1g当たりの接着面積]×[バックライトの接着強度]×10
2から明らかであるが、
図12または
図13の面状照明装置1は標準的なモデルよりも強度が高い。また、落下衝撃耐性、冷熱衝撃耐性および輝度落ち率は、標準的なモデルを含めていずれも良好である。
【0032】
次に、光学シート9(9A、9B、9C)のセンターピン11(
図6~
図9)による固定の例と、導光板7の固定を強化する例について説明する。
【0033】
図14は、光学シート9(9A、9B、9C)の例を示す平面図である。
図15は、
図14において破線で示される部分A1の拡大図である。
図14および
図15において、光学シート9(9A、9B、9C)の入光側の辺(図における下側の辺)の略中央の短手方向の端部から所定の距離の位置に、センターピン11(
図6~
図9)が嵌る孔部9aが設けられている。センターピン11の外径と、光学シート9の孔部9aの孔径とは、ガタが無いように設計されるが、きつめの公差での設計であっても光学シート9は多少変形が起こるため問題はない。
【0034】
また、光学シート9(9A、9B、9C)の孔部9aが設けられる部分の両端には長手方向に延びる切欠部9cが設けられ、孔部9aが設けられる部分は耳部9bとなっている。切欠部9cは、後述するトップフレーム10のリブ10iとの干渉を避けるためのものである。
【0035】
また、光学シート9(9A、9B、9C)の入光側の辺の両端には、光学シート9(9A、9B、9C)がセンターピン11(孔部9a)を中心に回転するのを防止し、ラトルノイズの発生を防止するための爪部9dが設けられている。爪部9dはボトムフレーム3の側壁3bまたは基板5に当接する。
【0036】
一般に、光学シートの固定は、横長の矩形の左右辺において導光板に両面テープでの固定が主流であった。しかし、面状照明装置の大型化により、光学シートの重量も大きくなるため、両面テープによる固定では安定に保持することが難しくなってきた。また、狭額縁化の要求もあり、左右辺での固定が廃止され、入光辺での固定に移行してきた。しかし、入光辺で光学シートを固定できる場所は導光板しかなく、導光板に直接に光学シートを固定してしまうと、輝度低下や皺の発生による信頼性低下の問題がある。
【0037】
その点、
図14および
図15のセンターピン11(
図6~
図9)による光学シート9の固定では、センターピン11に光学シート9の孔部9aを差し込むだけの単純な構造により、光学シート9を安定に支持することができる。また、導光板7に光学シート9が直接に固定されるものではないため、光学特性や信頼性に影響を与えることはない。更に、両面テープを使用しない固定であるため、位置精度が出しやすく、クリアランスを減少できるため、狭額縁化にいっそう貢献することができる。また、光学シート9はセンターピン11により1箇所で支持されるため、両面テープによる固定のように皺が発生することもない。
【0038】
図16は、面状照明装置1の
図6におけるX2-X2断面図である。
図16において、トップフレーム10の額縁部10aの裏側には、導光板7側に突出し、長手方向に延びるリブ10iが設けられている。リブ10iは、
図15の平面図に示されるように、光学シート9の耳部9bの両側に、光学シート9に接触しないように配置される。
【0039】
リブ10iは、クッション材17を介して、導光板7の入光側の主面をボトムフレーム3の床部3a側に押圧するようになっている。なお、クッション材17の導光板7に対向する面には、白色等による反射処理が施されている。これにより、前述した両面テープ13、ベースフィルム14および熱圧着テープ16による、導光板7のボトムフレーム3への固定を強化し、導光板7の浮き上がりやズレ等を防止することができる。また、クッション材17の白色等による反射処理により、クッション材17側への光の漏れを少なくし、導光板7の光学特性への影響を抑えることができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0041】
以上のように、実施形態に係る面状照明装置は、床部と、床部の周縁に立設された側壁とを有し、導光板を収容するボトムフレームと、導光板の入光側の辺の略中央に設けられた凹部と、床部に立設され、凹部と嵌合するセンターピンと、導光板の入光側の辺のセンターピンから所定の距離の範囲内において、導光板をボトムフレームに固定する固定部とを備える。これにより、導光板の安定した固定と額縁設計の容易化を図ることができ、大型の導光板に対しても狭額縁化を図ることができる。
【0042】
また、所定の距離は、導光板の使用温度範囲内における伸縮により固定部が構造破綻しない距離である。これにより、固定部の構造破綻により導光板の光学特性への悪影響を防止することができる。
【0043】
また、固定部は、ボトムフレームに両面テープを介して貼り付けられたベースフィルムと、ベースフィルムと導光板とを固定する熱圧着テープまたはこの熱圧着テープに代替可能な固定部材とを有する。これにより、導光板をボトムフレームに強力に固定することができる。
【0044】
また、熱圧着テープまたは固定部材は、導光板の入光側の辺の延在方向に離散した飛島状で、光源の間に配置される。これにより、光源から導光板への入射光に熱圧着テープまたは固定部材が悪影響を与えることを防止することができる。
【0045】
また、ベースフィルムに両面テープを介して貼り付けられ、熱圧着テープまたは固定部材の周縁の少なくとも一部を囲むスペーサ、を備える。これにより、熱圧着テープ等が溶融する際の流れ止めとして機能し、所定の接着面積と厚みとを確保することで接着力を確保することができる。
【0046】
また、ボトムフレームの開口側に嵌合し、額縁部の裏側にクッション材を介して導光板を押圧するリブを有するトップフレームを備える。これにより、導光板のボトムフレームへの固定を強化し、導光板の浮き上がりやズレ等を防止することができる。
【0047】
また、入光側の辺の略中央の端部から所定の距離の位置にセンターピンに嵌合する孔部を有し、入光側の辺の両端部にボトムフレームの側壁または光源の基板に当接する爪部を有し、導光板の出射側に積層される1以上の光学シートを備える。これにより、光学シートを簡易に固定することができ、光学シートの回転も防止することができる。
【0048】
また、ボトムフレームの開口側に嵌合し、額縁部の裏側にクッション材を介して導光板を押圧するリブを有するトップフレームと、入光側の辺の略中央の端部から所定の距離の位置にセンターピンに嵌合する孔部を有し、入光側の辺にリブを避ける切欠部を有し、入光側の辺の両端部にボトムフレームの側壁または光源の基板に当接する爪部を有し、導光板の出射側に積層される1以上の光学シートとを備える。これにより、トップフレームのリブおよびクッション材による導光板の押圧のための構成が、光学シートを固定するための構成に干渉することを防止することができる。
【0049】
また、クッション材の導光板に対向する面は、反射処理が施されている。これにより、導光板からクッション材側に光が漏れるのを防止し、光学特性の劣化を防止することができる。
【0050】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 面状照明装置,2 接続部,3 ボトムフレーム,3a 床部,3b 側壁,4 反射シート,5 基板,6 光源,7 導光板,7b 切り込み部,8 シート固定用フレーム,9 光学シート,9、9A~9C 光学シート,9a 孔部,9c 切欠部,9d 爪部,10 トップフレーム,10a 額縁部,10b 側壁,10i リブ,11 センターピン,11a 軸部,11b 頭部,12 ナット,13 両面テープ,14 ベースフィルム,15 スペーサ,16 熱圧着テープ,17 クッション材