(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】発泡拡散板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
G02B5/02 B
(21)【出願番号】P 2022091110
(22)【出願日】2022-06-03
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】522223349
【氏名又は名称】広東瑞捷新材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】REGENCY ADVANCED MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 58, ASEAN road, Duzhu village, Puzi, Lilin town, Zhongkai high-tech zone, Huizhou City, Guangdong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鄭日新
(72)【発明者】
【氏名】王興礼
(72)【発明者】
【氏名】梁満意
(72)【発明者】
【氏名】何小磊
【審査官】加藤 範久
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0017982(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第103293575(CN,A)
【文献】特開2010-128447(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111650775(CN,A)
【文献】特開2005-263829(JP,A)
【文献】特表平11-507881(JP,A)
【文献】特開2015-138151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/02
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡芯層を含む発泡拡散板であって、
前記発泡芯層の上表面及び下表面は、保護層により覆われ、前記発泡芯層と、上下表面の前記保護層の厚み割合は1:7~9:1であり、
前記保護層の各原料の質量%は、PS原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%であり、
前記発泡芯層の原料の質量%は、GPPS原料95%、酸化防止剤0.3~0.6%、有機シリコン拡散剤0.6~1%、発泡剤0.5~2%、耐UV0.3~0.6%、強化剤0.5~2%、安定剤0.3~0.6%、核形成剤1%であり、
前記発泡芯層の内部には、複数の気泡ボイドが形成され、
上下表面の2つの前記保護層間には、量子ドット層が形成され、前記量子ドット層は、前記発泡芯層の表面を覆うことを特徴とする、発泡拡散板。
【請求項2】
前記保護層の前記発泡芯層から遠い一側には、光の屈折、反射性能を高めるパターンが形成されることを特徴とする請求項1に記載の発泡拡散板。
【請求項3】
前記量子ドット層の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%、量子ドット0.01~1%であり、
前記量子ドットの粒径は2~12nmであることを特徴とする請求項1に記載の発泡拡散板。
【請求項4】
前記発泡芯層は、量子ドットをさらに含み、
前記量子ドットの原料の質量%は0.01~1%であり、
前記量子ドットの粒径は2~12nmであることを特徴とする請求項1に記載の発泡拡散板。
【請求項5】
請求項1に記載の発泡拡散板の製造方法であって、
成分が同じ保護層の原料を2つと、発泡芯層の原料を1つとを準備するステップと、
前記保護層の原料と前記発泡芯層の原料とを別々に均一に混合するステップと、
混合済みの前記保護層の原料と前記発泡芯層の原料とをそれぞれスクリュー押出し装置に投入して加熱し、溶融状態にするステップと、
最後に前記スクリュー押出し装置のダイヘッドから押出し、前記保護層の原料及び前記発泡芯層の原料を片状方式で押出し、前記保護層により前記発泡芯層の表面を覆うステップと、を含むことを特徴とする、発泡拡散板の製造方法。
【請求項6】
前記保護層の原料と前記発泡芯層の原料は、前記スクリュー押出し装置に含まれる3段の加熱領域の段階的加熱により、加熱・混合して溶融状態を形成し、
前記加熱領域の第1段温度は140~220℃であり、
前記加熱領域の第2段温度は160~240℃であり、
前記加熱領域の第3段温度は180~260℃であることを特徴とする請求項5に記載の発泡拡散板の製造方法。
【請求項7】
前記ダイヘッドから押出される温度を170~260℃の範囲に制御することを特徴とする請求項5に記載の発泡拡散板の製造方法。
【請求項8】
前記保護層の原料と前記発泡芯層の原料は、前記スクリュー押出し装置の複数の原料供給口の別々に投入して押し出す、ことを特徴とする請求項5に記載の発泡拡散板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板に関し、特に、発泡拡散板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光拡散板は、化学的手段又は物理的手段により、光線が伝搬途中で屈折率が異なる2つの媒質に当たったときに、屈折、反射及び散乱の物理的現象を発生させ、PMMA(Poly Methyl Methacrylate)、PC(Polycarbonate)、PS(Polystyrene)、PP(Polypropylene)などの基材基礎中に無機又は有機の光拡散剤が添加されるか、基材表面の微細パターン構造のアレイ配列を介して人為的な方式により光線を調整し、光線に異なる方向の屈折、反射及び散乱を発生させて光の進路を変え、入射光を十分に散乱させて光学拡散効果が得られるため、光拡散板は液晶表示、LED照明及び結像表示システムに広く応用されていた。
【0003】
従来のディスプレイのバックライト源では、従来の光拡散板の1つの表面又は2つの表面に凹凸点又は凹点パターンが加工され、拡散板の光に対する分散性能を高め、LEDライトバーの点状光源から射出された光線が拡散板を透過すると均一化される。しかし、表示パネルの継続的なアップグレード・更新に伴い、従来の光拡散板の構造では、メーカーのニーズに応えることが困難となり、従来の拡散板は一般に重量が大きく、屈折率が低いためその拡散効果も好ましくなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした現状に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成したものである。
本発明の主な目的は、全反射性能が好ましい上、均一性も良く、ムラ現象が少なくて高品位な発泡拡散板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かくして、本考案の要旨は、次の(1)~(10)に記載の通りのものである。
(1)発泡芯層を含む発泡拡散板であって、
前記発泡芯層の上表面及び下表面は、保護層により覆われ、前記発泡芯層と、上下表面の前記保護層の厚み割合は1:7~9:1であり、
前記保護層の各原料の質量%は、PS原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%であり、
前記発泡芯層の原料の質量%は、GPPS原料95~99%、酸化防止剤0.3~0.6%、有機シリコン拡散剤0.6~1%、発泡剤0.5~2%、耐UV0.3~0.6%、強化剤0.5~2%、安定剤0.3~0.6%、核形成剤1~5%であり、
前記発泡芯層の内部には、複数の気泡ボイドが形成されることを特徴とする、発泡拡散板。
(2)前記保護層の前記発泡芯層から遠い一側には、光の屈折、反射性能を高めるパターンが形成されることを特徴とする前記(1)に記載の発泡拡散板。
(3)2層の前記保護層間には、量子ドット層が形成され、
前記量子ドット層は、前記発泡芯層の表面を覆うことを特徴とする前記(1)に記載の発泡拡散板。
(4)前記量子ドット層の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%、量子ドット0.01~1%であり、
前記量子ドットの粒径は2~12nmであることを特徴とする前記(3)に記載の発泡拡散板。
(5)前記発泡芯層は、量子ドットをさらに含み、
前記量子ドットの原料の質量%は0.01~1%であり、
前記量子ドットの粒径は2~12nmであることを特徴とする前記(1)に記載の発泡拡散板。
(6)前記発泡芯層及び前記保護層の成分にPS耐熱剤を増加し、
前記PS耐熱剤の質量%は0.1~3%であることを特徴とする前記(1)~(5)の何れかに記載の発泡拡散板。
(7)(1)に記載の発泡拡散板の製造方法であって、
成分が同じ保護層の原料を2つと、発泡芯層の原料を1つとを準備するステップと、
前記保護層の原料と前記発泡芯層の原料とを別々に均一に混合するステップと、
混合済みの前記保護層の原料と前記発泡芯層の原料とをそれぞれスクリュー押出し装置に投入して加熱し、溶融状態にするステップと、
最後に前記スクリュー押出し装置のダイヘッドから押出し、前記保護層の原料及び前記発泡芯層の原料を片状方式で押出し、前記保護層により前記発泡芯層の表面を覆うステップと、を含むことを特徴とする、発泡拡散板の製造方法。
(8)前記スクリュー押出し装置は、3段の加熱領域を含み、
前記加熱領域の第1段温度は140~220℃であり、
前記加熱領域の第2段温度は160~240℃であり、
前記加熱領域の第3段温度は180~260℃であることを特徴とする(7)に記載の発泡拡散板の製造方法。
(9)前記ダイヘッドから押出される温度を170~260℃の範囲に制御することを特徴とする(7)に記載の発泡拡散板の製造方法。
(10)前記スクリュー押出し装置は、多種類の異なる原料を前記スクリュー押出し装置に投入するのに用いる複数の原料供給口を有することを特徴とする(7)に記載の発泡拡散板の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る発泡拡散板及びその製造方法は、発泡芯層の上下表面の保護層にPS原料を用い、無機拡散剤を添加し、保護層を硬質の保護層に形成し、2つの保護層間の発泡芯層を保護するとともに、光線を屈折及び反射させ、発泡芯層に発泡剤を添加することにより、発泡芯層内部に複数の気泡ボイドを形成し、気泡ボイド内には空気媒体があるため、光線が発泡芯層に入射する際、まず、発泡芯層の基材を透過してから気泡ボイド中に入射し、光線が屈折及び反射されて射出されるため、発泡芯層の全反射が高くて均一性に優れ、ムラ現象が少ないため高品位であり、発泡芯層内部に気泡ボイドがあるため、密度が低くて全体の重量が軽く、有機シリコン拡散剤が拡散作用を有し、核形成剤が発泡剤の気泡のサイズを安定させることができる作用を有する上、酸化防止剤により発泡芯層に黄変が発生することを防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る発泡拡散板を示す構造図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る発泡拡散板の発泡芯層の走査型電子顕微鏡の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る発泡拡散板の平面に光を照射した状態の拡大鏡の拡大図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る試験バックライト源モジュールを示す構造図である。
【
図5】
図5は、普通拡散板をバックライト源の前方に設置したときの均光効果を示す図である。
【
図6】
図6は、発泡拡散板をバックライト源の前方に設置したときの均光効果を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る発泡拡散板を量子ドット層に設置した構造を示す説明図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る発泡拡散板の発泡芯層が含む量子ドットの構造を示す説明図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る発泡拡散板の製造方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の目的、特徴及び効果をより分かりやすくするために、具体的な実施形態について図に基づいて詳しく説明する。
【0009】
図1を参照する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る発泡拡散板は、発泡芯層10と、発泡芯層10の上表面及び下表面を覆う保護層20と、を含む。発泡芯層10と、上下表面の保護層20の厚み割合は1:7~9:1である。
【0010】
保護層20の各原料の質量%は、PS原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%である。
【0011】
発泡芯層10の原料の質量%は、GPPS原料95~99%、酸化防止剤0.3~0.6%、有機シリコン拡散剤0.6~1%、発泡剤0.5~2%、耐UV0.3~0.6%、強化剤0.5~2%、安定剤0.3~0.6%、核形成剤1~5%である。発泡芯層10の内部には、複数の気泡ボイドが形成される。
【0012】
発泡芯層10の上下表面の保護層20にはPS原料が採用されて無機拡散剤が添加され、保護層20を硬質の保護層20に形成し、2つの保護層20間の発泡芯層10を保護し、光線を屈折及び反射させてもよい。
【0013】
図2及び
図3を参照する。
図2及び
図3に示すように、発泡芯層10に発泡剤を添加し、発泡芯層10の内部に複数の気泡ボイドを形成し、気泡ボイド内に空気媒体があるため、光線が発泡芯層10に入射する際、まず、発泡芯層10の基材を透過してから気泡ボイド中に入射し、光線を屈折して反射して射出させるため、発泡芯層10の全反射性が高く、均一性が好ましく、ムラ現象を減らすことができるため高品位である。また、発泡芯層10内部に気泡ボイドがあるため、密度が低く、全体の重量も軽い。有機シリコン拡散剤は拡散作用を有し、核形成剤が発泡剤の気泡サイズを安定させることができる作用を有する上、酸化防止剤により発泡芯層10が黄変することを防ぐこともできる。
【0014】
本実施形態の発泡拡散板の発泡芯層10と上下表面の保護層20の厚み割合は、1:8:1である。保護層20の各原料の質量%は、PS原料93%、安定剤0.5%、有機シリコン1.5%、無機拡散剤1%、拡散油1%、スチレン-ブタジエン共重合体1%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物2%であり、発泡芯層の原料の質量%は、GPPS原料95%、酸化防止剤0.5%、有機シリコン拡散剤0.8%、発泡剤1%、耐UV0.5%、強化剤1%、安定剤0.2%、核形成剤1%である。
【0015】
従来の普通拡散板の保護層と拡散層との厚み割合は、1:8:1である。保護層の各原料の質量%は、PS原料93%、安定剤0.5%、有機シリコン1.5%、無機拡散剤1%、拡散油1%、スチレン-ブタジエン共重合体1%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物2%であり、拡散層の原料の質量%は、GPPS原料97.8%、酸化防止剤0.5%、耐UV0.5%、強化剤1%、安定剤0.2%である。
【0016】
製造した発泡拡散板及び普通拡散板を正確に組立ててバックライト源を配置し、電源をオンし、検査で問題が無いことを確認した後に30分間予熱し、板材をバックライト源上の真ん中に設置し、BEF下の固定検査領域に位置させ、補正後の光度計により測定する。バックライト源構造については
図4を参照する。発泡板と普通板とを比べたデータを下表1に示す。
【0017】
【0018】
上記表1から分かるように、発泡板は、輝度、均斉度が普通板よりも高い上、密度が普通板よりも低いため、発泡拡散板の方が軽い。
【0019】
図5及び
図6を参照する。
図5は、普通拡散板をバックライト源の前方に設置したときの均光拡散効果を示す図であり、普通拡散板の中央の輝度が上下側より高いことが分かる。
図6は、発泡拡散板をバックライト源の前方に設置したときの均光拡散効果を示す図であり、
図5と比べ、
図6の方が均光効果は好ましく、輝度も大幅に高いことが分かる。
【0020】
上述した手段において、保護層20の発泡芯層10から遠い一側に、光の屈折、反射性能を高めるパターンを形成し、光線の反射、屈折を均一化させてもよい。
【0021】
図7を参照する。
図7に示すように、2層の保護層20間には量子ドット層30が形成されている。量子ドット層30は、発泡芯層10の表面を覆う。量子ドット層30の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%、量子ドット0.01~1%である。量子ドットの粒径は2~12nmである。
【0022】
量子ドット材料は、広い励起スペクトル、狭い放出スペクトル(Emission Spectrum)、高い色純度、光安定性が好ましいという特徴があり、拡散板の光学性能を高めることができる上、量子ドットと発泡構造とを結合し、量子ドット板の光学効果(Optical effect)を改善し、元々のバックライト中の光のスペクトル帯域幅を光変換し、3原色の発光ピーク幅を下げ、表示色域を向上させることができる一方、さらに重要なこととして、光変換した後にバックライトモジュールの光透過カラーフィルタの利用率を高めて輝度を高めることもできる。
【0023】
図8を参照する。
図8に示すように、発泡芯層10は、量子ドットをさらに含んでもよい。量子ドットの原料の質量%は0.01~1%であり、量子ドットの粒径は2~12nmである。上述した量子ドット層30と比べ、
図8の実施形態では、量子ドットを発泡芯層10の原料中に直接混入し、量子ドットを発泡芯層10中に直接嵌入させ、発泡拡散板の全体厚さを小さくし、上述した量子ドット層30は、発泡芯層10が量子ドット層30を対応して覆うことができるようにし、両者がそれぞれ長所を有し、実際の状況に応じて異なる技術を採用して加工してもよい。
【0024】
発泡芯層10及び保護層20の成分にPS耐熱剤を増加してもよい。PS耐熱剤の質量%は0.1~3%であり、PS耐熱剤を添加すると、発泡拡散板本体の耐熱性能が高まり、使用過程中にLEDランプが照射する際、温度が高くなり過ぎて、発泡拡散板が変形してしまうことを防ぎ、PS耐熱剤を増加した後の効果については下表2を参照する。
【0025】
【0026】
上記表2から分かるように、PS耐熱剤を加えた後、発泡拡散板の耐熱性能は、PS耐熱剤を加えていない発泡拡散板よりも明らかに高い。
【0027】
図9を参照する。
図9に示すように、上述した発泡拡散板の製造方法は、以下のステップ(a)~(d)を含む。
(a)成分が同じ保護層の原料を2つと、発泡芯層の原料を1つとを準備する。
(b)保護層の原料と発泡芯層の原料とを別々に均一に混合する。
(c)混合済みの保護層の原料と発泡芯層の原料とをそれぞれスクリュー押出し装置に投入して加熱し、溶融状態にする。
(d)最後にスクリュー押出し装置のダイヘッド(die head)から押出し、保護層の原料及び発泡芯層の原料を片状方式で押出し、保護層により発泡芯層の表面を覆う。
【0028】
上述した加工ステップにより、保護層及び発泡芯層を共同で押出し、粘着固定するとともに、保護層により発泡芯層の表面を覆うため、加工が容易となる。
【0029】
スクリュー押出し装置は、3段の加熱領域を含む。加熱領域の第1段温度は140~220℃であり、加熱領域の第2段温度は160~240℃であり、加熱領域の第3段温度は180~260℃であり、段階的加熱方式により保護層及び発泡芯層の原料を十分に加熱・混合して溶融状態を形成するとともに、ダイヘッドから押出される温度を170~260℃の範囲に制御し、保護層及び発泡芯層の押出し過程でも依然として溶融された状態が維持されるため、ダイヘッドの通りがスムーズである。
【0030】
また、スクリュー押出し装置は、多種類の異なる原料をスクリュー押出し装置に投入するのに用いる複数の原料供給口を有し、多種類の異なる原料を同時に別々に投入して押出し、多層板を押出して製造してもよい。上述したように増加した量子ドット層は、1組の量子ドット層の原料を同期で増加させることにより、同期で押出す目的を達成し、4層構造の発泡拡散板を形成してもよい。
【0031】
上述した共同押出し方式は、従来の粘着固定方式と比べ、便利でスピーディーな上、発泡剤の加熱過程でガスが発生し、発泡層中にキャビティが形成され、発泡層と保護層とを一体成形することができるため、手作業により組立てる後続の工程を省略することができる上、長期間使用すると接着剤が老化することを防ぐことができ、各層間の粘着固定することができない問題に対しては共同押出し方式により押出すことにより、各層間の厚さを正確に制御し、スマート方式により製造してもよい。
【0032】
上述したことから分かるように、本発明に係る発泡拡散板及びその製造方法は、発泡芯層10の上下表面の保護層20にPS原料を用い、無機拡散剤を添加し、保護層20を硬質の保護層20に形成し、2つの保護層20間の発泡芯層10を保護するとともに、光線を屈折及び反射させ、発泡芯層10に発泡剤を添加することにより、発泡芯層10内部に複数の気泡ボイドを形成し、気泡ボイド内には空気媒体があるため、光線が発泡芯層10に入射する際、まず、発泡芯層10の基材を透過してから気泡ボイド中に入射し、光線が屈折及び反射されて射出されるため、発泡芯層10の全反射が高くて均一性に優れ、ムラ現象が少ないため高品位であり、発泡芯層10内部に気泡ボイドがあるため、密度が低くて全体の重量が軽い。また、有機シリコン拡散剤が拡散作用を有し、核形成剤が発泡剤の気泡のサイズを安定させることができる作用を有する上、酸化防止剤により発泡芯層10に黄変が発生することを防ぐこともできる。
【0033】
当該分野の技術を熟知する者が理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0034】
10 発泡芯層
20 保護層
30 量子ドット層
【要約】
【課題】全反射性能が好ましい上、均一性も良く、ムラ現象が少なくて高品位な発泡拡散板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】発泡拡散板は、発泡芯層を含む。発泡芯層の上表面及び下表面は、保護層により覆われ、発泡芯層と、上下表面の保護層の厚み割合は1:7~9:1である。保護層の各原料の質量%は、PS原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%である。発泡芯層の原料の質量%は、GPPS原料95~99%、酸化防止剤0.3~0.6%、有機シリコン拡散剤0.6~1%、発泡剤0.5~2%、耐UV0.3~0.6%、強化剤0.5~2%、安定剤0.3~0.6%、核形成剤1~5%である。発泡芯層の内部には、複数の気泡ボイドが形成される。
【選択図】
図1