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特許7340088無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/097 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
C03C3/097
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022504076
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 CN2021089349
(87)【国際公開番号】W WO2021244180
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】202010506283.2
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519375963
【氏名又は名称】中建材硝子新材料研究院集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】CNBM RESEARCH INSTITUTE FOR ADVANCED GLASS MATERIALS GROUP CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】522027518
【氏名又は名称】蚌埠中光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BENGBU CHINA OPTOELECTRONIC TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.199,Shiwu Rd.,Bengbu,Anhui 233000,China
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 佑太
(72)【発明者】
【氏名】彭寿
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼冲
(72)【発明者】
【氏名】沈玉国
(72)【発明者】
【氏名】曹志▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】金良茂
(72)【発明者】
【氏名】朱明柳
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222510(JP,A)
【文献】特開2013-216562(JP,A)
【文献】国際公開第2019/208584(WO,A1)
【文献】特開2015-024959(JP,A)
【文献】特開2003-192377(JP,A)
【文献】特開2002-308643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量百分率で、
60~72%のSiO
13~18%のAl
8.5~10%のB
1~4.5%のMgO、
3~8%のCaO、
1~5%のSrO、
0.5~2%のZrO
1~5%のP
0.1~0.5%のSnO
の原料からなり、前記原料の全重量百分率が100%である無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料であって、
SiO+Alが76~85%であり、
(MgO+CaO+SrO)/Alが0.4~0.7であり、
アルカリ土類金属酸化物の総量が5~11.5%であり、
/(B+ZrO+P)が0.6~0.9であり、
(ZrO+P)/(MgO+CaO+SrO)が0.15~0.8であることを特徴とする、無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
【請求項2】
重量百分率で、
61.8~70.5%のSiO
13~17.5%のAl
8.5~10%のB
1~4.02%のMgO、
3.05~6.2%のCaO、
1.05~4.4%のSrO、
0.5~1.96%のZrO
1~4.93%のP
0.1~0.5%のSnO
の原料からなり、
SiO+Alが77.4~83.5%であり、
(MgO+CaO+SrO)/Alが0.42~0.65であり、
アルカリ土類金属酸化物の総量が5.45~10.3%であり、
/(B+ZrO+P)が0.62~0.83であり、
(ZrO+P)/(MgO+CaO+SrO)が0.15~0.7であることを特徴とする、請求項1に記載の無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
【請求項3】
ガラス組成物のβ-OH値が0.5mm -1 未満であり、ホウ素揮発率が11%未満であり、50~350℃の範囲内での熱膨張係数が39.5×10-7/℃未満であり、ヤング率が78GPa超であり、歪点が690℃超であり、溶融温度が1662℃未満であり、熱収縮率が11.5ppm未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
【請求項4】
ガラス組成物のβ-OH値が0.11~0.47mm -1 であり、ホウ素揮発率が5.67~10.37%であり、50~350℃の範囲内での熱膨張係数が33.70~39.5×10-7/℃であり、ヤング率が78.2~84.1GPaであり、歪点が690~739℃であり、溶融温度が1662℃未満であり、熱収縮率が7.68~11.45ppmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年6月5日に出願された、発明の名称が「無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス」である中国特許発明第202010506283.2号に基づく優先権を主張するものであり、当該中国特許発明の全内容をここに参照により援用される。
【0002】
本発明はガラス生産分野に属し、各種ディスプレイ用ガラス基板に関し、具体的には、無アルカリアルミノホウケイ酸ガラスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
電気光学表示技術の発展、電子製品の普及に伴い、液晶ディスプレイはますます更新され、ディスプレイの性能に対する要求はますます高くなり、薄型化、高解像度、超高精細度(Ultra-High Definition)が徐々に市場を占め、主流特性となっている。そのため、ディスプレイ用ガラス基板の技術の革新をもたらしており、ガラス基板の特性に対する要求がますます厳しくなっている。平板状のディスプレイパネルの製造プロセスにおいて、ガラス基板表面に金属又は酸化物薄膜をメッキする必要があり、基板ガラス中のアルカリ金属イオンが薄膜中に拡散し、薄膜の特性を損害する。そのため、ガラスはアルカリ金属酸化物を含有すべきではない。ディスプレイ画像の解像度がますます高くなるにつれて、パネル印刷、メッキ膜熱処理の過程において、ガラス基板の変形がますます低くなることが要求され、ガラス基板の熱収縮率を厳密に制御する必要がある。
【0004】
非晶質シリコン(a-Si)TFT技術については、生産過程において処理温度が300~450℃であり、低温ポリシリコンTFT技術については、パネル製造過程において比較的高い熱処理温度が必要である。そのため、ガラス基板が複数回の高温処理過程において変形しないために、一般的に、ガラス基板は、650℃より高い歪点(Strain point)、及びできるだけ小さい熱収縮率を備えることが要求される。同時に、ガラス基板の膨張係数はシリコンの膨張係数に近い必要があるため、ガラス基板の線熱膨張係数は38×10-7/℃より低い必要がある。したがって、無アルカリアルミノホウケイ酸ガラスは、低密度、高歪点、適切な熱膨張係数(38×10-7/℃未満)、高ヤング率、耐薬品性、低熱収縮率、内部及び表面の欠陥(気泡、脈理、介在物等)なし、等の特性を備えることが要求される。
【0005】
ホウケイ酸ガラス系において、ホウ素は、ガラスの重要な構成部分であり、そしてガラスの成分調製、溶融及び基板の物理化学的性能に影響を与え、且つ融着補助作用を有する。TFTガラスへのホウ素の導入方式は、ホウ酸無水物、ホウ酸、及びホウ酸無水物/ホウ酸という方式がある。しかし、ホウ素をどのような方式で導入しても、ガラス溶製過程において、いずれもホウ素揮発現象(最大15%)が存在する。それにより、基板ガラス成分が元の設計値と異なることを引き起こし、ガラスの均一性を破壊し、さらに環境汚染を引き起こし、原材料の消費を増大させ、窯炉を侵食し、窯寿命を短縮させ、生産ラインの運営コストを増加させる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来のホウケイ酸ガラス系が溶製過程においてホウ素の揮発量が大きく、窯炉の侵食が激しく、ガラス製品の均一性が悪いという問題を解決するために、無アルカリアルミノホウケイ酸ガラスを提供することを目的とする。上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を採用する。
重量百分率で、
60~72%のSiO
13~18%のAl
8.5~10%のB
1~4.5%のMgO、
~8%のCaO、
1~5%のSrO、
0.5~2%のZrO
1~5%のP
0.1~0.5%のSnO
の原料からなり、前記原料の全重量百分率が100%である無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料であって、
SiO+Alが76~85%であり、
(MgO+CaO+SrO)/Alが0.4~0.7であり、
アルカリ土類金属酸化物の総量が5~11.5%であり、
/(B+ZrO+P)が0.6~0.9であり、
(ZrO+P)/(MgO+CaO+SrO)が0.15~0.8である、無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
さらに、
重量百分率で、
61.8~70.5%のSiO
13~17.5%のAl
8.5~10%のB
1~4.02%のMgO、
3.05~6.2%のCaO、
1.05~4.4%のSrO、
0.5~1.96%のZrO
1~4.93%のP
0.1~0.5%のSnO
の原料からなり、
SiO+Alが77.4~83.5%であり、
(MgO+CaO+SrO)/Alが0.42~0.65であり、
アルカリ土類金属酸化物の総量が5.45~10.3%であり、
/(B+ZrO+P)が0.62~0.83であり、
(ZrO+P)/(MgO+CaO+SrO)が0.15~0.7である、無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
さらに、
ガラス組成物のβ-OH値が0.5mm -1 未満であり、ホウ素揮発率が11%未満であり、50~350℃の範囲内での熱膨張係数が39.5×10-7/℃未満であり、ヤング率が78GPa超であり、歪点が690℃超であり、溶融温度が1662℃未満であり、熱収縮率が11.5ppm未満である、前記無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
さらに、
ガラス組成物のβ-OH値が0.11~0.47mm -1 であり、ホウ素揮発率が5.67~10.37%であり、50~350℃の範囲内での熱膨張係数が33.70~39.5×10-7/℃であり、ヤング率が78.2~84.1GPaであり、歪点が690~739℃であり、溶融温度が1662℃未満であり、熱収縮率が7.68~11.45ppmである、前記無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス原料
【0007】
本発明のガラス組成物において、
前記ガラス組成物におけるSiOはガラス形成体であり、ガラス骨格を構成する成分である。SiO含有量を増加させると、耐薬品性、機械的強度、歪点を向上させることができる。SiOが多すぎると、ガラスの高温粘度が増加し、溶融しにくくなり、耐火物浸食がひどくなり、SiOの含有量が低いと、ガラスを形成しにくく、歪点が低下し、膨張係数が増加し、耐酸性と耐アルカリ性がいずれも低下する。溶融温度、ガラス膨張係数、機械的強度、ガラス材料性等の性能を考慮すると、本発明は60~72wt%のSiOを導入する。
【0008】
前記ガラス組成物におけるAlは中間酸化物であり、ガラス構造の強度及び歪点を向上させ、ガラスの化学的安定性を改善し、ガラスの結晶化傾向を低下させるために用いられる。Alの含有量が多すぎると、ガラスが溶製しにくく、材料性が短く、結晶しやすくなり、Alの含有量が低いと、ガラスが失透しやすく、機械的強度が比較的低く、成形に不利である。これにより、本発明は13~18wt%のAlを導入する。
【0009】
前記ガラス組成物におけるBは、単独でガラスを生成することができ、良好なフラックス剤であり、ガラスの粘度、誘電損失、振動損失を低減させ、ガラスの脆性、靭性及び光透過率を改善することができ、ガラスにおいて[BO]四面体と[BO]三角体という二種類の構造を有し、高温溶融条件でBは[BO]を形成しにくいため、高温粘度を低減することができ、低温時にBは遊離酸素を奪って[BO]を形成する傾向があるため、構造を緊密にさせ、ガラスの低温粘度を向上させ、結晶化現象の発生を防止する。これにより、本発明は8.5~10wt%のBを導入する。
【0010】
前記ガラス組成物におけるMgOは、高温粘度を低下させ、低温粘度を増加させる作用を有し、ガラスのヤング率及び比弾性率を増加させ、ガラスの脆性の増大を抑制する作用を有する。これにより、本発明は1~4.5wt%のMgOを導入する。
【0011】
前記ガラス組成物におけるアルカリ土類金属酸化物RO(MgO、CaO、SrO)はガラスの歪点、ヤング率を向上させ、熱膨張係数を低下させ、ガラスの高温粘度を効果的に低下させてガラスの溶融性及び成形性を向上させ、ROの含有量が多すぎると、失透や分相の発生確率を増加させる。これにより、本発明は5~11.5wt%のROを導入する。
【0012】
前記ガラス組成物にZrOを導入し、ガラスの溶解を促進し、ガラスのヤング率及び破断強度を向上させ、ガラスの高温抵抗率を低下させ、ガラスの安定を促進し、ZrOの導入量が多すぎると、ガラスの密度、熱膨張係数を増大させる。これにより、本発明は0.5~2wt%のZrOを導入する。
【0013】
前記ガラス組成物にPを導入し、ガラスの歪点と耐失透性を向上させ、本発明は1~5wt%のPを導入する。
【0014】
前記ガラス組成物はB/(B+ZrO+P)を0.62~0.83に限定し、(ZrO+P)/(MgO+CaO+SrO)を0.15~0.7に限定することにより、ホウ素揮発を抑制し、β-OH値を0.1~0.5mm -1 の間に制御してガラス溶融性を高め、産業化生産に寄与する。
【0015】
本発明のガラス用組成物を利用してアルミノホウケイ酸ガラスを製造する場合、ガラスが優れた総合性能を備える理由は、主に組成物における各成分間の相互配合、特にSiO、Al、B、MgO、CaO、SrO、ZrO、及びP間の配合作用、特に前記特定含有量の各成分間の相互配合である。
【0016】
本発明の有利な効果は以下である。
(1)本発明に係るガラスは、比較的高い歪点、高ヤング率、高硬度、高比弾性率、適切な熱膨張係数、低熱収縮率等の特性を有し、特にホウ素揮発率を5.6~10.5%に低下させ、ホウ素揮発による成分の不均一現象を効果的に制御する。
(2)ガラスにおけるホウ素は揮発しやすい軽元素に属する。一方で、ホウ素の揮発は、ガラス成分の不均質をもたらし、ガラス基板にバンド縞が発生し、深刻な場合に晶析物が発生する。そのため、ホウ素揮発率の低下は、後続のプロセスにおいて基板の良品率と製品品質を向上させることができる。もう一方、ガラスの生産過程において、ホウ素の揮発は、窯炉プロセスの運転に大きな危害を与え、揮発されたホウ素が冷却されると、再び凝析しやすい。揮発されたホウ素がバーナー銃の銃口に凝析する場合、バーナー銃を塞ぐことにより窯炉燃焼状況が変化しやすく、深刻な場合に窯炉プロセス全体が正常に運転できなくなる。揮発されたホウ素が排煙ダクトに凝析する場合、排煙抵抗が増大し、窯炉燃焼圧力が増大し、ガスの燃焼が不十分になる。そのため、ホウ素揮発率の低下は、プロセス運転が安定することを保証し、窯炉温度が制御指標を保持し続け、生産が正常に行われる。
(3)本発明に係るガラスは、フロート成形製造プロセスに適し、As、Sb等の毒性物質を含まず、環境に優しい配合に属し、平板状のディスプレイ業界の発展傾向に合致し、大規模な工業生産に適し、特に、LCD/OLEDディスプレイ用ガラス基板に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。説明された実施例が全ての実施例ではなく、本発明の実施例の単なる一部であることは明らかである。当業者は、本発明の実施例に基づいて得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0018】
無アルカリアルミノホウケイ酸ガラスの調製方法において、表1~5に記載のガラス組成を使用する。前記表1~5に記載のガラス組成において、成分SiO、Al、B、MgO、CaO、SrO、ZrO、Pとは、当該ガラス組成物がSi含有化合物、Al含有化合物、B含有化合物、Mg含有化合物、Ca含有化合物、Sr含有化合物、Zr含有化合物、P含有化合物を含有し、例えば、前記各元素の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酸化物等を含むことを指す。各成分の含有量はいずれも各元素の酸化物で計算する。また、ガラス製造プロセスに応じ、組成物は清澄剤を含み、清澄剤の具体的な選択は特に限定されず、本分野で一般的な各種選択であってもよい。無アルカリアルミノホウケイ酸ガラスの調製方法において、加熱条件下で、前記SiO、Al、B、MgO、CaO、SrO、ZrO、Pを均一に混合した後に、高温溶融(1450~1650℃)、清澄均質化、成形、アニール(600℃超過)を行って無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス基板を得て、続いて切断、研削、研磨等の加工処理を行う。
【0019】
前記ガラスは、アルカリ金属酸化物を実質的に含有せず、BaOを実質的に含有しない。
【0020】
前記清澄剤は、硫酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、塩化カルシウムのうちのいずれか一種であってもよく、清澄パッケージであってもよく、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩化物のうちの少なくとも一種を含む。
【0021】
当業者に明らかなように、本発明のβ-OH値を制御する方式は、水分含有量が低い原材料を選択する方式;ガラスにおける水分含有量を減少させる成分(例えば硫酸塩、塩化物等を添加する)を添加する方式;炉内環境における水分含有量を低下させる方式;溶融ガラスに窒素でバブリングを行う方式;小型溶融炉を採用する方式;溶融ガラスの流量を加速する方式;電気溶融法を採用する方式;といういくつかの当業者によく知られた方式が含まれ、ここで説明を省略する。
【0022】
例として、本発明の無アルカリアルミノホウケイ酸ガラスは、以下のステップにより調製することができる。
(1)配合材料を秤量し、十分に均一に混合した。
(2)混合されたガラス配合材料を1450~1650℃で7~12h溶製し、続いて1600~1700℃で60~120min清澄した。
(3)キャスト成形し、600~750℃で5~10hアニールした。
【0023】
好ましくは、本発明のガラス組成物は、β-OH値が0.11~0.47mm -1 であり、ホウ素揮発率が5.67~10.37%であり、50~350℃の範囲内での熱膨張係数が33.70~39.5×10-7/℃であり、ヤング率が78.2~84.1GPaであり、歪点が690~739℃であり、溶融温度が1662℃未満であり、熱収縮率が7.68~11.45ppmである。
【0024】
本発明は、本発明に記載のガラス組成物として、無アルカリアルミノケイ酸ガラスを提供する。また、本発明は、前記ガラス組成物の、表示デバイス及び/又は電気光学デバイスの製造上の応用、好ましくはTFT-LCDガラス基板及び/又はOLEDガラス基板の製造上の応用を提供する。
【0025】
以下の実施例及び比較例では、
前記無アルカリアルミノホウケイ酸ガラスは以下のステップにより調製された。
(1)表1~表5の配合比で配合材料を秤量し、十分に均一に混合した。
(2)混合したガラス配合材料を1500℃で10h溶製し、続いて1650℃で90min清澄した。
(3)キャスト成形し、650℃で10hアニールした。
(4)加工、性能テストを行った。
【0026】
性能テストは以下のテストを含む。
【0027】
フーリエ変換赤外分光分析装置を用いてガラスにおける水酸基含有量を算出し、単位は%である。
【0028】
ホウ素揮発率:ホウ素含有量とガラス原料中のホウ素の量とを比較して得られ、単位は%である。
【0029】
ASTME-228に準拠して横型膨張計を用いて50~350℃のガラスの熱膨張係数を測定し、単位は10-7/℃である。
【0030】
GB/T4340.2-2012に準拠して自動タレットデジタルディスプレイマイクロビッカース硬度計を用いてビッカース硬度(HV)を測定する。
【0031】
ASTM C-623に準拠して材料力学試験機を用いてガラスのヤング率を測定し、単位はGPaである。比弾性率は密度に対するヤング率の比から計算して得られ、単位はGPa/(g×cm-3)である。
【0032】
ASTMC-336及びASTMC-338に準拠して三点テスターを用いてガラスの徐冷点及び歪点を測定し、単位は℃である。
【0033】
ASTMC-965に準拠して回転高温粘度計を用いてガラスの高温粘度曲線を測定し、ここで、粘度が200Pである時に対応する温度は溶融温度であり、単位は℃である。
【0034】
熱収縮は変化値算出法により測定した。欠陥のないガラス基板の初期長さをL0とし、一定の条件で熱処理した後(例えば本発明の熱処理プロセス条件は、ガラスを室温から10℃/minの昇温速度で600℃まで昇温して10min保温し、続いて10℃/minの降温速度で室温まで降温し)、基板長さに一定量の収縮が発生し、再度その長さを測定し、Ltとすると、熱収縮Ytは以下のように表される。
【数1】
【0035】
以下、表1、2、3、4、5を参照して、具体的な実施例及び比較例を示し、配合における各成分を重量百分率で計量する。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎなく、本発明を制限するものではなく、本発明の主旨及び原則の範囲内で行われた変更、同等の置換、改善等は、いずれも本発明の請求の範囲に含めるべきである。