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特許73400983Dプリントのための長期保存可能な造形材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】3Dプリントのための長期保存可能な造形材料
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20230830BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20230830BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230830BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230830BHJP
【FI】
B29C64/106
B29C64/314
B33Y10/00
B33Y70/00
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022520006
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 US2020053698
(87)【国際公開番号】W WO2021067540
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】62/909,024
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】カヴァリ,メールガン
(72)【発明者】
【氏名】ムサ,カリル
(72)【発明者】
【氏名】ブロース,スコット
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-154092(JP,A)
【文献】特表2019-517933(JP,A)
【文献】特開2018-111240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0135292(US,A1)
【文献】国際公開第2006/107759(WO,A1)
【文献】特表2016-536434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性液体であって、
該重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量パーセントのイソシアヌレートポリアクリレート;
光開始剤成分;および
複数の種のモノマー硬化性材料およびオリゴマー硬化性材料含む結晶化阻害剤成分
を含み、
前記モノマー硬化性材料が複素環を含み、前記重合性液体が5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化を示さない
ことを特徴とする、重合性液体。
【請求項2】
前記イソシアヌレートポリアクリレートが、少なくとも30質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項3】
前記イソシアヌレートポリアクリレートが、30~60質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項4】
前記モノマー硬化性材料が、2つ以上の不飽和置換基を有する複素環を含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項5】
前記複素環が、ポリアリル化複素環であることを特徴とする、請求項4に記載の重合性液体。
【請求項6】
前記ポリアリル化複素環が、ポリアリルイソシアヌレートを含むことを特徴とする、請求項5に記載の重合性液体。
【請求項7】
前記ポリアリルイソシアヌレートが、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~30質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項6に記載の重合性液体。
【請求項8】
前記イソシアヌレートポリアクリレート対ポリアリルイソシアヌレートの比が、1:4~4:1であることを特徴とする、請求項6に記載の重合性液体。
【請求項9】
前記イソシアヌレートポリアクリレート対ポリアリルイソシアヌレートの比が、1:3~3:1であることを特徴とする、請求項6に記載の重合性液体。
【請求項10】
前記モノマー硬化性材料が、脂肪族ジアクリレート、脂肪族ジメタクリレート、シクロアルキルジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項11】
前記モノマー硬化性材料が、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~50質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項10に記載の重合性液体。
【請求項12】
前記モノマー硬化性材料が、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~60質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項13】
前記オリゴマー硬化性材料が、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~40質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項14】
前記光開始剤成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、0.1~5質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項15】
三次元物品をプリントする方法であって、
重合性液体を提供する工程;および
前記重合性液体を硬化して前記物品を形成する工程
を含み、
前記重合性液体が、
該重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量パーセントのイソシアヌレートポリアクリレート;
光開始剤成分;および
複数の種のモノマー硬化性材料およびオリゴマー硬化性材料含む結晶化阻害剤成分
を含み、
前記モノマー硬化性材料が複素環を含み、前記重合性液体が5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化を示さず、
前記物品が、1.82MPaの荷重でASTM D648に従って、少なくとも100℃の光硬化後熱変形温度を有する
ことを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記光硬化後熱変形温度が、少なくとも140℃であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光硬化後熱変形温度が、少なくとも200℃であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記光硬化後熱変形温度が、少なくとも250℃であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記光硬化後熱変形温度が、少なくとも300℃であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記重合性液体が、層ごとのプロセスで提供されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記物品が、200℃で1500MPa超の貯蔵弾性率を有することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記イソシアヌレートポリアクリレートが、30~60質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記モノマー硬化性材料が、2つ以上の不飽和置換基を有する複素環を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記複素環が、ポリアリル化複素環であることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリアリル化複素環が、ポリアリルイソシアヌレートを含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記イソシアヌレートポリアクリレート対ポリアリルイソシアヌレートの比が、1:4~4:1であることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリアリルイソシアヌレートが、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~30質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年10月1日出願の米国仮特許出願第62/909,024号に対する特許協力条約の第8条に従う優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、三次元造形材料に関し、特に、高い熱変形温度を示す三次元物品をプリントするための長期保存可能な重合性液体に関する。
【背景技術】
【0003】
3Dプリンタは、インクとしても知られる造形材料を用いて、コンピュータ生成ファイルに従って様々な3D物体、物品、または部品を形成する。いくつかの例では、造形材料は、周囲温度で固体であり、高い噴射温度で液体に変わる。他の例では、造形材料は、周囲温度で液体である。
【0004】
造形材料は、様々な化学種を含むことができる。造形材料に含まれる化学種は、プリント物品の所望の化学的および/または機械的特性ならびに3Dプリント装置の動作パラメータを含むがこれらに限定されない、様々な考慮事項に従って選択することができる。場合によっては、高いガラス転移温度(T)および/または高い熱変形温度を示す物品が望ましい。しかしながら、これらの高温特性をもたらすように動作可能なモノマー種は、しばしば不安定であり、液相中に貯蔵されると結晶化または他の相分離プロセスを受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、光硬化性成分および熱硬化性成分を含むハイブリッド組成物が導入されている。ハイブリッドシステムの重大な欠点は、最終物品を提供するために複数の処理工程が必要であることである。ハイブリッド組成物は、例えば、光硬化および熱硬化プロセスを受けなければならない。さらに、熱硬化工程は、物品を褐色化または変色させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの欠点を考慮して、いくつかの実施形態では、貯蔵安定性を維持しながら高いTおよび/または高い熱変形温度を有する物品を製造するために動作可能なモノマー種を含む、3Dプリント用途のための造形材料が本明細書に記載される。一態様では、重合性液体は、少なくとも20質量パーセントのイソシアヌレートポリアクリレート;光開始剤成分;および、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料またはこれらの混合物を含む結晶化阻害剤成分、を含み、重合性液体は、5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化を示さない。本明細書に記載される様々な成分または原料の質量パーセントは、重合性液体の総重量に基づく。
【0007】
いくつかの実施形態では、モノマー硬化性材料は、2つ以上の不飽和置換基を有する複素環を含む。例えば、複素環は、いくつかの実施形態において、ポリアリル化複素環を含み得る。
【0008】
別の態様では、三次元物品をプリントする方法が本明細書に記載される。方法は、少なくとも20質量パーセントのイソシアヌレートポリアクリレート;光開始剤成分;および、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料またはこれらの混合物を含む結晶化阻害剤成分、を含む、重合性液体を提供する工程を含み、重合性液体は、5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化を示さない。重合性液体を光で硬化させて、少なくとも100℃の光硬化後熱変形温度を有する物品を形成する。いくつかの実施形態では、物品は、少なくとも200℃または少なくとも250℃の光硬化後熱変形温度を有する。本明細書に記載のプリント物品の熱変形温度は、1.82MPaの荷重でASTM D648に従って決定される。いくつかの実施形態では、物品は、層ごとのプロセスによって形成され、層の形成は、重合性液体の層の堆積および照射によって与えられる。
【0009】
これらのおよび他の実施形態は、以下の詳細な説明においてさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、以下の詳細な説明および実施例を参照することによってより容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に説明される要素、装置、および方法は、詳細な説明および実施例に提示される特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および適合が当業者には容易に明らかであろう。
【0011】
さらに、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含される任意のおよび全ての部分的範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1.0~10.0」の規定された範囲は、1.0以上の最小値で始まり、10.0以下の最大値で終わる任意のおよび全ての部分的範囲、例えば、1.0~5.3、または4.7~10.0、または3.6~7.9を含むと見なされるべきである。
【0012】
本明細書に開示される全ての範囲はまた、他に特に明記しない限り、範囲の終点を含むと見なされるべきである。例えば、「5~10の間」の範囲は、概して、端点5および10を含むと見なされるべきである。
【0013】
さらに、語句「最大で」が量または数量に関連して使用される場合、その量は少なくとも検出可能な量または数量であることを理解されたい。例えば、「最大で」特定量の量で存在する物質は、検出可能な量から最大で特定量および特定量を含む量で存在することができる。
【0014】
「3次元プリントシステム」、「3次元プリンタ」、「プリント」などの用語は、概して、選択的堆積、噴射、溶融堆積モデリング、マルチジェットモデリング、および、造形材料またはインクを使用して三次元物体を製作する当該技術で現在知られているかまたは将来知られ得る他の付加製造技術によって、3次元物品または物体を作製するための様々な固体自由形状製造技術を記載する。
【0015】
一態様では、3Dプリント用途で使用するための重合性液体が本明細書に記載される。重合性液体は、例えば、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、およびマルチジェットプリント(MJP)に基づくものなど、様々な異なる3Dプリンタで用いることができる。重合性液体は、少なくとも20質量パーセントのイソシアヌレートポリアクリレート;光開始剤成分;および、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料またはこれらの混合物を含む結晶化阻害剤成分、を含み、重合性液体は、5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化を示さない。
【0016】
ここで特定の成分に目を向けると、本明細書に記載の目的を達成することに合致する任意のイソシアヌレートポリアクリレートを、重合性液体中で用いることができる。いくつかの実施形態では、イソシアヌレートは、少なくとも2つのアクリレート置換基またはメタクリレート置換基を含む。イソシアヌレートは、例えば、3つのアクリレート置換基またはメタクリレート置換基を含むことができる。いくつかの実施形態において、イソシアヌレートポリアクリレートは、式I:
【化1】
のものであり、
式中、R-Rは独立して、水素およびアルキルからなる群から選択され、m、nおよびpは独立して、1~10の範囲の整数である。
【0017】
いくつかの実施形態では、イソシアヌレートポリアクリレートは、重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも30質量パーセントまたは少なくとも40質量パーセントの量で存在する。イソシアヌレートポリアクリレートはまた、重合性液体の総質量パーセントに基づいて30~60質量パーセントの量で存在することができる。
【0018】
本明細書に記載されるように、結晶化阻害剤成分は、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料、またはこれらの混合物を含む。硬化性材料は、本明細書における参照目的のために、1つまたは複数の硬化性または重合性部分を含む化学種を含む。本明細書における参照目的のために、「重合性部分」は、重合または硬化してプリントされた3D物品または物体を提供することができる部分を含む。このような重合または硬化は、本開示の目的と矛盾しない任意の態様で実施することができる。いくつかの実施形態では、例えば、重合または硬化は、重合または架橋反応を開始するのに充分なエネルギーを有する電磁放射線を重合性または硬化性材料に照射することを含む。例えば、場合によっては、紫外線(UV)放射を使用することができる。したがって、いくつかの例では、重合性部分は、UV重合性部分などの光重合性または光硬化性部分を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の硬化性材料は、約300nm~約400nmまたは約320nm~約380nmの範囲の波長において光重合性または光硬化性である。あるいは、他の例では、硬化性材料は、電磁スペクトルの可視波長で光重合性である。
【0019】
さらに、重合反応は、場合によっては、エチレン性不飽和点を含む、例えば不飽和点の間のフリーラジカル重合反応を含む。他の重合反応を使用することもできる。当業者によって理解されるように、本明細書に記載の硬化性材料を重合または硬化させるために使用される重合反応は、互いに反応して1つまたは複数の共有結合を形成することができる1つまたは複数の官能基または部分を有する複数の「モノマー」または化学種の反応を含むことができる。
【0020】
本明細書に記載される硬化性材料の重合性部分の1つの非限定的な例は、ビニル部分、アリル部分、または(メタ)アクリレート部分などのエチレン性不飽和部分であり、ここで、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートまたはメタクリレートあるいはそれらの混合物または組合せを含む。
【0021】
さらに、本明細書に記載のモノマー硬化性材料および/またはオリゴマー硬化性材料は、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、またはより高官能性の硬化性種を含むことができる。「単官能性」硬化性種は、本明細書における参照目的のために、1つの硬化性または重合性部分を含む化学種を含む。同様に、「二官能性」硬化性種は、2つの硬化性または重合性部分を含む化学種を含む;「三官能性」硬化性種は、3つの硬化性または重合性部分を含む化学種を含む;「四官能性」硬化性種は、4つの硬化性または重合性部分を含む化学種を含む;また、「五官能性」硬化性種は、5つの硬化性または重合性部分を含む化学種を含む。したがって、いくつかの実施形態では、単官能性硬化性材料はモノ(メタ)アクリレートを含み、二官能性硬化性材料はジ(メタ)アクリレートを含み、三官能性硬化性材料はトリ(メタ)アクリレートを含み、四官能性硬化性材料はテトラ(メタ)アクリレートを含み、五官能性硬化性材料はペンタ(メタ)アクリレートを含む。他の単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、および五官能性の硬化性材料も使用することができる。
【0022】
本開示の目的と矛盾しない任意のモノマー硬化性材料またはモノマー硬化性材料の組合せを使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の重合性液体のモノマー硬化性材料は、アクリレートおよび/または(メタ)アクリレートの1つまたは複数の種、例えば1つまたは複数の単官能性、二官能性、三官能性、四官能性アクリレートまたは(メタ)アクリレート、および/または五官能性(メタ)アクリレートを含む。いくつかの実施形態では、例えば、モノマー硬化性材料は、以下を含む:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリルメタクリレート、またはこれらの組合せ。いくつかの実施形態では、モノマー硬化性材料は、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、およびシクロヘキサンジメタノールジアクリレートのうちの1つまたは複数を含む。さらに、場合によっては、モノマー硬化性材料は、以下を含む:1,3-または1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンまたはビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、またはビスフェノールSを含む、脂肪族、脂環式または芳香族ジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレートエステル。本明細書に記載されるモノマー重合性材料はまた、1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、および/またはビス(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレートを含んでもよい。さらに、場合によっては、モノマー硬化性材料は、以下を含み得る:エトキシル化またはプロポキシル化ネオペンチルグリコール、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールF、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールS、エトキシル化またはプロポキシル化1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、またはエトキシル化またはプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレートなどのエトキシル化またはプロポキシル化種。いくつかの場合において、モノマー硬化性材料は、脂環式エポキシまたはN-ビニルピロリドンを含む。
【0023】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において有用な市販のモノマー硬化性材料の追加の非限定的な例としては、以下が挙げられる:SARTOMERからSR 506の商品名で市販されているイソボルニルアクリレート(IBOA);SARTOMERからSR 432Aの商品名で市販されているイソボルニルメタクリレート;SARTOMERからSR 272の商品名で市販されているトリエチレングリコールジアクリレート;SARTOMERからSR 205の商品名で市販されているトリエチレングリコールジメタクリレート;SARTOMERからSR 833Sの商品名で市販されているトリシクロデカンジメタノールジアクリレート;SARTOMERからSR 339の商品名で市販されている2-フェノキシエチルアクリレート;SARTOMERからSR 349の商品名で市販されているエトキシ化(3モル)ビスフェノールAジアクリレート;RAHN USA社からGENOMER 1120の商品名で市販されている環状単官能性アクリレート;およびSARTOMERからSR 399 LVの商品名で市販されているジペンタエリスリトールペンタアクリレート。他の市販のモノマー硬化性材料を使用することもできる。
【0024】
モノマー硬化性材料は、いくつかの実施形態では、脂肪族ジアクリレート、脂肪族ジメタクリレート、シクロアルキルジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0025】
モノマー硬化性材料は、本明細書に記載の目的と矛盾しない任意の量で重合性液体中に存在することができる。いくつかの実施形態では、モノマー硬化性材料は、重合性液体の総重量に基づいて、1~60質量パーセントの量で存在する。モノマー硬化性材料はまた、重合性液体の総重量に基づいて、5~50質量パーセントまたは20~40質量パーセントの量で存在してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、モノマー硬化性材料は、2つ以上の不飽和置換基を含む複素環を含む。置換複素環は、例えば、3つの不飽和置換基を含むことができる。複素環は、いくつかの実施形態において、ポリアリル化されてもよい。ポリアリル化される場合、複素環は、2つ以上のアリル置換基を含む。例えば、ポリアリル化複素環は、ポリアリルイソシアヌレートを含むことができる。あるいは、2つ以上の不飽和置換基を含む複素環は、式IIのものであり得る:
【化2】
式中、R-Rは独立して水素およびアルキルからなる群から選択され、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である。
【0027】
式IIの複素環を含む2つ以上の不飽和置換基を含む複素環は、重合性液体中に、本明細書に記載の目的と矛盾しない任意の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、複素環は、重合性液体の総重量に基づいて、5~30質量パーセントの量で存在する。
【0028】
いくつかの実施形態では、イソシアヌレートポリアクリレート対2つ以上の不飽和置換基を含む複素環の比は、1:4~4:1または1:3~3:1である。イソシアヌレートポリアクリレート対2つ以上の不飽和置換基を含む複素環の比は、例えば、約1:1であり得る。
【0029】
結晶化阻害剤は、いくつかの実施形態では、オリゴマー硬化性材料を含む。オリゴマー硬化性材料は、結晶化阻害剤成分の単独成分であってもよい、またはモノマー硬化性材料との混合物であってもよい。概して、本開示の目的と矛盾しない任意のオリゴマー硬化性材料を、本明細書に記載のインクに使用することができる。いくつかの実施形態では、オリゴマー硬化性材料は、以下を含む:1,3-または1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、エトキシル化またはプロポキシル化ネオペンチルグリコール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシルプロパンまたはビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールFまたはエトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールSを含む、脂肪族、脂環式または芳香族ジオールのエステルのジアクリレートおよび/またはジメタクリレート。オリゴマー硬化性材料は、ウレタンジアクリレート、ウレタンジメタクリレート、脂肪族ウレタンジアクリレート、脂肪族ウレタンジメタクリレート、ポリエステルジアクリレート、ポリエステルジメタクリレート、またはそれらの混合物を含んでもよい。いくつかの非限定的な市販のオリゴマー材料としては、DYMAXからのBOMAR BR-952、SARTOMERからのCN1964、RAHN USAからのGenomer 4247、および/またはALLNEXからのEBECRYL(登録商標)の商品表示のオリゴマー材料、例えばEBECRYL(登録商標)5781、5850、7320および/または4859が挙げられる。
【0030】
結晶化阻害剤のオリゴマー硬化性材料は、本明細書に記載の目的と矛盾しない任意の量で重合性液体中に存在することができる。いくつかの実施形態では、例えば、オリゴマー硬化性材料は、重合性液体の総重量に基づいて、5~50質量パーセントまたは10~40質量パーセントの量で存在する。いくつかの実施形態では、オリゴマー硬化性は、重合性液体の総重量に基づいて、0~50質量パーセントまたは0~40質量パーセントの量で存在する。
【0031】
本明細書に記載される重合性液体はまた、液体の重合または硬化を開始するための光開始剤成分を含む。本開示の目的と矛盾しない任意の光開始剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、好ましくは約250nm~約420nmまたは約300nm~約385nmの光を吸収してフリーラジカルを生成するように動作可能な、アルファ開裂(単分子分解プロセス)光開始剤または水素抽出光増感剤-第3アミン相乗剤を含む。
【0032】
アルファ開裂光開始剤の例は、Irgacure 184(CAS 947-19-3)、Irgacure 369(CAS 119313-12-1)、およびOmnirad(Irgacure)819(CAS162881-26-7)である。光増感剤-アミンの組合せの例は、ジエチルアミノエチルメタクリレートを有するDarocur BP(CAS 119-61-9)である。
【0033】
さらに、いくつかの例では、適切な光開始剤は、以下を含む:ベンゾイン、ベンゾインエーテル、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルおよびベンゾインアセタートを含む、ベンゾイン類、2,2-ジメトキシアセトフェノンおよび1,1-ジクロロアセトフェノンを含むアセトフェノン類、ベンジル、ベンジルジメチルケタールおよびベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノンおよび2-アミルアントラキノンを含む、アントラキノン類、トリフェニルホスフィン、ベンゾイルホスフィンオキシド類、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(ルシリンTPO)、ベンゾフェノンおよび4,4’-ビス(N,N’-ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、チオキサントンおよびキサントン、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、キノキサリン誘導体または1-フェニル-1,2-プロパンジオン、2-O-ベンゾイルオキシム、1-アミノフェニルケトン類または1-ヒドロキシフェニルケトン類、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトンおよび4-イソプロピルフェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトン。
【0034】
適切な光開始剤はまた、アセトフェノン類、2,2-ジアルコキシベンゾフェノン類および1-ヒドロキシフェニルケトン類、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンまたは2-ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン(=2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン)を含む、HeCdレーザー放射線源と共に使用するために動作可能なものを含んでもよい。さらに、いくつかの場合において、好適な光開始剤は、ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタール類を含む、Arレーザー放射線源と共に使用するために動作可能なものを含む。いくつかの実施形態では、光開始剤は、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドまたはそれらの混合物を含む。
【0035】
好適な光開始剤の別のクラスは、いくつかの例では、化学線を吸収し、重合開始のためのフリーラジカルを生成することができる、イオン染料-対イオン化合物を含む。いくつかの実施形態では、イオン染料-対イオン化合物を含有する重合性液体は、約400nm~約700nmの調節可能な波長範囲内で可視光に曝露されると重合することができる。イオン染料-対イオン化合物およびそれらの動作モードは、欧州特許出願公開第0223587号明細書および米国特許第4,751,102号明細書;同第4,772,530号明細書;および同第4,772,541号明細書に開示される。
【0036】
光開始剤は、本明細書に記載の重合性液体中に、本開示の目的と矛盾しない任意の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、重合性液体の総重量に基づいて、約5質量%までの量で存在する。いくつかの場合において、光開始剤は、約0.1質量%~約5質量%の範囲の量で存在する。
【0037】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の重合性液体は、1つまたは複数の増感剤をさらに含むことができる。増感剤は、同様に存在し得る1つまたは複数の光開始剤の有効性を増加させるために添加され得る。本開示の目的と矛盾しない任意の増感剤を使用することができる。いくつかの場合において、増感剤は、イソプロピルチオキサントン(ITX)または2-クロロチオキサントン(CTX)を含む。
【0038】
増感剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で重合性液体中に存在することができる。いくつかの実施形態では、増感剤は、重合性液体の総重量に基づいて、約0.1質量%~約2質量%または約0.5質量%~約1質量%の範囲の量で存在する。
【0039】
本明細書に記載の重合性液体は、顔料、光安定剤および/またはUV吸収剤を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の追加の添加剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、重合性液体は、クルクミンおよび/またはその誘導体および類似体を含む。顔料、光安定剤および/またはUV吸収剤は、概して、重合性液体の総重量に基づいて、2質量パーセント未満または1質量パーセント未満の個々の量で存在し得る。
【0040】
本明細書に記載されるように、重合性液体は、5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化を示さない。重合性液体の結晶化またはその非存在は、以下のプロトコールに従って決定される。最低限10gの重合性液体を、不純物および/または粉塵などの粒子を用いて播種するために周囲環境に曝露するように開放容器に入れる。播種された重合性液体を、透明ガラスで形成された20mlのシンチレーションバイアルに移す。Nalgeneボトルから切断した褐色高密度ポリエチレン(HDPE)の35mm×12mmストリップを、播種された重合性液体と共にシンチレーションバイアルに入れる。次いで、装填されたシンチレーションバイアルを、5~10℃の安定な温度を有する冷蔵庫に入れる。シンチレーションバイアル中の重合性液体を、28日間にわたり規則的な間隔で結晶形成についてチェックする。目に見える結晶形成は、重合性液体が試験に不合格であり、5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化しないという要件を満たさないことを示す。
【0041】
別の態様では、三次元物品をプリントする方法が本明細書に記載される。方法は、少なくとも20質量パーセントのイソシアヌレートポリアクリレート;光開始剤成分;および、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料またはこれらの混合物を含む結晶化阻害剤成分を含む、重合性液体を提供する工程を含み、重合性液体は、5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化を示さない。
【0042】
本明細書に記載される方法で使用される重合性液体の成分は、本明細書に上述される任意の組成および/または特性を含むことができる。さらに、成分は、重合性液体中に本明細書に記載される任意の量で存在することができる。イソシアヌレートポリアクリレートは、例えば、いくつかの実施形態では、重合性液体の総重量に基づいて、30~60質量パーセントの量で存在することができる。
【0043】
重合性液体を光で硬化させて物品を形成する。光硬化プロセスは、1つまたは複数の工程を含むことができる。いくつかの実施形態では、重合性液体は、最初に、液体を軟質固体に転換するのに必要な充分量の光に曝露される。軟質固体は、物品の未硬化状態である。重合プロセスを完了し、物品の完全な機械的強度を得て、他の材料特性を達成するためには、追加の光反応が必要である。この追加の光反応は、未硬化物品を光チャンバ内に置き、重合プロセスを完了するのに充分な時間、温度および光強度を正しい波長で提供することによって完了することができる。本明細書で用いた場合、用語「光硬化後」は、完全な光開始重合プロセスの完了後の物品の状態を指す。したがって、光硬化後物品は、熱硬化などのさらなる非光誘起重合プロセスを受けていない。
【0044】
本明細書に記載の方法に従って形成された物品は、少なくとも100℃の光硬化後熱変形温度を有することができる。いくつかの実施形態では、物品は、少なくとも200℃または少なくとも250℃の光硬化後熱変形温度を有する。物品は、いくつかの実施形態では、表Iから選択される光硬化後熱変形温度を有することができる。
【表1】
【0045】
光硬化後物品に対応して、本明細書に記載される熱たわみ値は、熱硬化などの1つまたは複数の追加の工程なしに達成される。したがって、本明細書に記載される熱たわみ値を有する物品は、光硬化のみによって製造することができ、それによって、熱硬化を含む追加の処理工程のコストおよび時間が節約される。
【0046】
高い熱変形温度に加えて、本明細書に記載の方法に従ってプリントされた物品は、高温で所望の貯蔵弾性率を有することができる。いくつかの実施形態では、物品は、200℃で少なくとも1500MPaの貯蔵弾性率を有する。さらに、物品は、250℃で1000MPa超の貯蔵弾性率を有することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、物品は、層ごとのプロセスによって形成され、層の形成は、重合性液体の層の堆積および照射によって与えられる。
【0048】
重合性液体の層は、三次元物品の形成中にコンピュータ可読フォーマットで3D物品の画像に従って堆積させることができる。重合性液体は、予め選択されたコンピュータ支援設計(CAD)パラメータに従って堆積させることができる。さらに、場合によって、本明細書に記載の重合性液体の1つまたは複数の層は、約10μm~約100μm、約10μm~約80μm、約10μm~約50μm、約20μm~約100μm、約20μm~約80μm、または約20μm~約40μmの厚さを有する。他の厚さも可能である。
【0049】
さらに、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、いわゆる「マルチジェット」または「ステレオリソグラフィ」3Dプリント方法を含んでもよいことを理解されたい。例えば、いくつかの例では、3D物品をプリントするマルチジェット方法は、3Dプリントシステムの造形パッドなどの基板上に、本明細書に記載の重合性液体の層を選択的に堆積させる工程を含む。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法はさらに、重合性液体の層のうちの少なくとも1つを支持材料で支持する工程を含む。本開示の目的と矛盾しない任意の支持材料を使用することができる。
【0050】
ステレオリソグラフィを用いて、本明細書に記載の重合性液体から3D物品を形成することも可能である。例えば、場合によっては、3D物品をプリントする方法は、容器内に重合性液体を保持する工程、および、容器内の重合性液体に選択的にエネルギーを付与して重合性液体の少なくとも一部を固化させ、それによって3D物品の断面を画定する固化層を形成する工程を含む。さらに、本明細書に記載される方法はさらに、固化層を上昇または下降させて、重合性液体の新しいまたは第2の層を提供する工程、その後に、容器内の重合性液体にエネルギーを再び選択的に付与し、3D物品の第2の断面を画定する新しいまたは第2の重合性液体の少なくとも一部分を固化させる工程を含む。さらに、3D物品の第1および第2の断面は、重合性液体を固化させるためのエネルギーの付与によって、z方向(または上記の上昇または下降の方向に対応する造形方向)に互いに結合または接着することができる。さらに、容器内の重合性液体にエネルギーを選択的に付与する工程は、本明細書に記載の重合性材料の重合を開始するのに充分なエネルギーを有する電磁放射線、例えばUVおよび/または可視放射線を付与する工程を含むことができる。さらに、場合によっては、重合性液体の固化層を上昇または下降させる工程は、流体造形材料の容器内に配置されたエレベータプラットフォームを使用して行われる。本明細書に記載される方法はまた、エレベータプラットフォームを上昇または下降させることによって提供される重合性液体の新しい層を平坦化する工程を含むことができる。そのような平坦化は、場合によっては、ワイパまたはローラによって行うことができる。
【0051】
別の態様では、プリントされた3D物品が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、プリントされた3D物品は、本明細書に記載の重合性液体のいずれかから形成される。本明細書に記載の重合性液体から形成される3D物品は、上述の熱変形温度および/または貯蔵弾性率を有することができる。
【0052】
これらの前述の実施形態は、以下の非限定的な実施例においてさらに説明される。
【実施例
【0053】
表2は、本明細書に記載のいくつかの実施形態による重合性液体の配合物を提供する。
【表2】
【0054】
表3は、本明細書に記載のいくつかの実施形態による重合性液体の配合物を提供する。
【表3】
【0055】
本明細書で言及される全ての特許文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本発明の様々な目的の達成において、本発明の様々な実施形態を説明してきた。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その多くの修正および適合が当業者には容易に明らかであろう。
他の実施形態
1. 重合性液体であって、
該重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量パーセントのイソシアヌレートポリアクリレート;
光開始剤成分;および
モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料、またはこれらの混合物を含む結晶化阻害剤成分
を含み、
5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化を示さない
ことを特徴とする、重合性液体。
2. 前記イソシアヌレートポリアクリレートが、少なくとも30質量パーセントの量で存在することを特徴とする、実施形態1に記載の重合性液体。
3. 前記イソシアヌレートポリアクリレートが、30~60質量パーセントの量で存在することを特徴とする、実施形態1に記載の重合性液体。
4. 前記モノマー硬化性材料が、2つ以上の不飽和置換基を有する複素環を含むことを特徴とする、実施形態1に記載の重合性液体。
5. 前記複素環が、ポリアリル化複素環であることを特徴とする、実施形態4に記載の重合性液体。
6. 前記ポリアリル化複素環が、ポリアリルイソシアヌレートを含むことを特徴とする、実施形態5に記載の重合性液体。
7. 前記ポリアリルイソシアヌレートが、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~30質量パーセントの量で存在することを特徴とする、実施形態6に記載の重合性液体。
8. 前記イソシアヌレートポリアクリレート対ポリアリルイソシアヌレートの比が、1:4~4:1であることを特徴とする、実施形態6に記載の重合性液体。
9. 前記イソシアヌレートポリアクリレート対ポリアリルイソシアヌレートの比が、1:3~3:1であることを特徴とする、実施形態6に記載の重合性液体。
10. 前記モノマー硬化性材料が、脂肪族ジアクリレート、脂肪族ジメタクリレート、シクロアルキルジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、実施形態1に記載の重合性液体。
11. 前記モノマー硬化性材料が、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~50質量パーセントの量で存在することを特徴とする、実施形態10に記載の重合性液体。
12. 前記モノマー硬化性材料が、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~60質量パーセントの量で存在することを特徴とする、実施形態1に記載の重合性液体。
13. 前記オリゴマー硬化性材料が、前記重合性液体の総重量に基づいて、0~40質量パーセントの量で存在することを特徴とする、実施形態1に記載の重合性液体。
14. 前記光開始剤成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、0.1~5質量パーセントの量で存在することを特徴とする、実施形態1に記載の重合性液体。
15. 三次元物品をプリントする方法であって、
重合性液体を提供する工程;および
前記重合性液体を硬化して前記物品を形成する工程
を含み、
前記重合性液体が、
該重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量パーセントのイソシアヌレートポリアクリレート;
光開始剤成分;および
モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料、またはこれらの混合物を含む結晶化阻害剤成分
を含み、5~10℃の貯蔵温度で28日間にわたって結晶化を示さず、
前記物品が、1.82MPaの荷重でASTM D648に従って、少なくとも100℃の光硬化後熱変形温度を有する
ことを特徴とする、方法。
16. 前記光硬化後熱変形温度が、少なくとも140℃であることを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
17. 前記光硬化後熱変形温度が、少なくとも200℃であることを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
18. 前記光硬化後熱変形温度が、少なくとも250℃であることを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
19. 前記光硬化後熱変形温度が、少なくとも300℃であることを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
20. 前記重合性液体が、層ごとのプロセスで提供されることを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
21. 前記物品が、200℃で1500MPa超の貯蔵弾性率を有することを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
22. 前記イソシアヌレートポリアクリレートが、30~60質量パーセントの量で存在することを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
23. 前記モノマー硬化性材料が、2つ以上の不飽和置換基を有する複素環を含むことを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
24. 前記複素環が、ポリアリル化複素環であることを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
25. 前記ポリアリル化複素環が、ポリアリルイソシアヌレートを含むことを特徴とする、実施形態24に記載の方法。
26. 前記イソシアヌレートポリアクリレート対ポリアリルイソシアヌレートの比が、1:4~4:1であることを特徴とする、実施形態25に記載の方法。
27. 前記ポリアリルイソシアヌレートが、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~30質量パーセントの量で存在することを特徴とする、実施形態25に記載の方法。