(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】多点逐次切替機能を有した尿失禁自動制御システム及びその体内装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/48 20060101AFI20230830BHJP
A61F 2/08 20060101ALI20230830BHJP
A61B 17/122 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
A61F2/48
A61F2/08
A61B17/122
(21)【出願番号】P 2022530205
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2020130332
(87)【国際公開番号】W WO2021098812
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】201911155574.5
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522203293
【氏名又は名称】ベイジン ミーカン メディカル テクノロジー カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ウー シャンチョン
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0015738(US,A1)
【文献】国際公開第2019/106402(WO,A1)
【文献】特表2002-536116(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0378749(US,A1)
【文献】特表2012-500712(JP,A)
【文献】特開平03-057448(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0079760(US,A1)
【文献】特表2011-509099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0329044(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00;2/02-2/80;3/00-4/00
A61B 13/00-18/18;A61F2/01;A61N7/00-7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に完全に埋設されるように構成された、尿失禁を制御するための体内装置であって、
前記体内装置は、体内マイクロコントローラと、尿道遮断部材と、を含み、前記体内マイクロコントローラは、前記尿道遮断部材を制御することにより、尿道を遮断したり遮断解除したりするように構成されており、前記体内装置は、尿道上の異なる位置に配置されるように構成された少なくとも2つの尿道遮断部材を含み、前記体内マイクロコントローラは、前記少なくとも2つの尿道遮断部材を制御することにより、尿道を逐次的に遮断したり遮断解除したりするように構成されて
おり、
前記体内装置は、少なくとも1つのポンプと、ソレノイド弁セットと、貯蔵バッグと、をさらに含み、前記尿道遮断部材のそれぞれは、C字形状バッグを含み、前記体内マイクロコントローラは、前記少なくとも1つのポンプと前記ソレノイド弁セットに対して、それぞれ電気的に接続されており、前記貯蔵バッグは、前記少なくとも1つのポンプ及び前記ソレノイド弁セットを介して前記C字形状バッグに対して接続チューブにより接続されており、前記体内マイクロコントローラは、前記少なくとも1つのポンプ及び前記ソレノイド弁セットを制御することにより、前記尿道遮断部材の前記C字形状バッグ内へと液体を充填することと、前記尿道遮断部材の前記C字形状バッグから液体を導出することと、を逐次的に行うように構成されており、
前記ソレノイド弁セットは、マスターソレノイド弁と、前記尿道遮断部材のそれぞれに対応した複数の尿道遮断部材ソレノイド弁と、を含み、前記尿道遮断部材ソレノイド弁の第1端部のそれぞれは、対応する前記尿道遮断部材の液体導出入ポートに対して接続されており、前記尿道遮断部材ソレノイド弁の第2端部は、いずれも前記マスターソレノイド弁の第1端部に対して接続されており、前記マスターソレノイド弁の第2端部は、前記貯蔵バッグの液体導出入ポートに対して接続されており、前記ポンプの第1端部は、前記尿道遮断部材ソレノイド弁の前記第2端部に対して接続されており、前記ポンプの第2端部は、前記貯蔵バッグの前記液体導出入ポートに対して接続されており、
前記尿道遮断部材は、前記C字形状バッグの外側に配置された支持リングをさらに含み、前記支持リングは、前記支持リング内の圧力がしきい値を超えた時には、弾性変形によって開放するように構成されており、
前記支持リングは、連続的に接続された、第1セグメントと、第2セグメントと、第3セグメントと、第4セグメントと、を含み、前記第2セグメント及び前記第3セグメントは、前記支持リングのC字形状をなす主要本体部分を形成しており、前記第1セグメントは、前記第2セグメントの一端から、前記第2セグメントの曲げ方向とは逆向きに折り曲げられており、前記第4セグメントは、前記第3セグメントの一端から、前記第3セグメントの曲げ方向とは逆向きに折り曲げられており、前記第1セグメント及び前記第4セグメントは、まず、前記第2セグメントの前記一端と前記第3セグメントの前記一端とのそれぞれから、互いに接触するところまでは互いに接近し、その後は、互いに遠ざかる、体内装置。
【請求項2】
前記尿道遮断部材は、クリッピング機構を含み、前記クリッピング機構は、液圧、電磁力、モータによって生成される機械力、温度変化時に形状記憶合金によって生成される力、又は、温度変化時にバイメタル片によって生成される力、の少なくとも1つによってクリッピングを達成している、請求項1に記載の体内装置。
【請求項3】
前記体内装置は、制御ボックスをさらに含み、前記少なくとも1つのポンプと、前記ソレノイド弁セットと、前記体内マイクロコントローラとは、前記制御ボックス内に収容されている、請求項
1に記載の体内装置。
【請求項4】
前記体内マイクロコントローラは、1つの前記尿道遮断部材の前記C字形状バッグがその都度液体で充填されるように、そして、充填完了後には、今回液体が充填された前記C字形状バッグを所定時間にわたって充填状態に維持しつつ、前回液体を充填した前記尿道遮断部材の前記C字形状バッグ内の液体を導出するように、前記少なくとも1つのポンプ及び前記ソレノイド弁セットを制御するように構成されている、請求項
1に記載の体内装置。
【請求項5】
前記支持リングは、前記支持リング内の圧力が前記しきい値以下である時には、その形状を変化させることなく維持するように構成されている、又は前記弾性変形前の元の形状を回復するように構成されている、請求項
1に記載の体内装置。
【請求項6】
前記支持リングは、前記弾性変形時には一定の弾性力を維持するように構成されている、請求項
1に記載の体内装置。
【請求項7】
前記支持リングは、超弾性効果を有した材料から形成され、又は少なくとも2つのスプリングプレートの組合せから形成され、前記材料は、好ましくはニッケル-チタン合金である、請求項
1~
6のいずれか一項に記載の体内装置。
【請求項8】
前記貯蔵バッグには、弾性穿刺面を有した補充液注入弁が設けられている、請求項
1~
7のいずれか一項に記載の体内装置。
【請求項9】
前記穿刺面の反対側には、ニードルストッパプレートが設けられている、請求項
8に記載の体内装置。
【請求項10】
前記体内マイクロコントローラは、供給電圧が異常であることが検出された際に、所定時間の経過後もなおも異常である場合には、前記少なくとも1つのポンプ及び前記ソレノイド弁セットを制御することにより、すべての前記尿道遮断部材を解放して尿道を遮断解除するように構成されている、請求項
1~
9のいずれか一項に記載の体内装置。
【請求項11】
前記体内マイクロコントローラは、前記供給電圧の異常が検出された時には、前記少なくとも1つのポンプ及び前記ソレノイド弁セットを制御することにより、前記尿道遮断部材への液体充填を即座に停止するように構成されている、請求項
10に記載の体内装置。
【請求項12】
前記体内マイクロコントローラは、前記供給電圧の異常が検出された際に、前記供給電圧が所定時間後には正常に戻った場合には、前記少なくとも1つのポンプ及び前記ソレノイド弁セットの制御を再開するように構成されている、請求項
10に記載の体内装置。
【請求項13】
前記体内装置は、前記体内マイクロコントローラから独立した保護回路をさらに含み、前記保護回路は、前記体内装置が体外から受信した信号が、設定した時間よりも長時間にわたって低電位である場合には、前記少なくとも1つのポンプ及び前記ソレノイド弁セットを制御することにより、すべての前記尿道遮断部材を解放して尿道を遮断解除するように、トリガされる、請求項
1~
12のいずれか一項に記載の体内装置。
【請求項14】
前記体内装置の電源回路は、エネルギ貯蔵素子をさらに含む、請求項
10~
13のいずれか一項に記載の体内装置。
【請求項15】
各ソレノイド弁は、エネルギ貯蔵キャパシタを含む、請求項
10~
14のいずれか一項に記載の体内装置。
【請求項16】
前記C字形状バッグと支持リングとの間に、圧力センサが設けられている、請求項
1~
15のいずれか一項に記載の体内装置。
【請求項17】
前記体内マイクロコントローラは、前記圧力センサに対して電気的に接続されていて、前記圧力センサが検出した圧力検出値をリアルタイムで収集し、前記圧力検出値が最大圧力設定値を超えた時には、前記体内マイクロコントローラは、前記少なくとも1つのポンプ及び前記ソレノイド弁セットを制御することにより、対応する前記尿道遮断部材を解放して尿道を遮断解除する、請求項
16に記載の体内装置。
【請求項18】
前記体内マイクロコントローラは、前記圧力センサに対して電気的に接続されていて、前記圧力センサが検出した圧力検出値をリアルタイムで収集し、充填状態にある前記尿道遮断部材内の前記圧力検出値が最小圧力設定値未満である時には、前記体内マイクロコントローラは、前記少なくとも1つのポンプ及び前記ソレノイド弁セットを制御することにより、前記尿道遮断部材の前記C字形状バッグに対して液体を充填する、請求項
16又は
17に記載の体内装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのポンプ240は、3mL/min~40mL/minの流量を有し、前記少なくとも1つのポンプは、5kPa~120kPaの圧力強度を有している、請求項
1~
18のいずれか一項に記載の体内装置。
【請求項20】
前記体内装置は、体内無線送信モジュールをさらに含み、前記体内マイクロコントローラは、前記体内無線送信モジュールに対して電気的に接続されており、体外無線送信モジュールは、体外から無線的に電気エネルギを取得し得るよう構成されているとともに、体外に対して双方向的に無線通信し得るよう構成されている、請求項1~
19のいずれか一項に記載の体内装置。
【請求項21】
多点逐次切替機能を有した尿失禁自動制御システムであって、
前記尿失禁自動制御システムは、体外に配置された体外装置と、請求項1~
20のいずれか一項に記載の体内装置と、を含む、尿失禁自動制御システム。
【請求項22】
前記体外装置は、体外無線送信モジュールと、体外マイクロコントローラと、電力モジュールと、を含み、前記電力モジュールは、前記体外無線送信モジュール及び体外マイクロコントローラに対して電力を供給するように構成されており、前記体外マイクロコントローラは、前記体外無線送信モジュールに対して電気的に接続されており、前記体外無線送信モジュールは、体内無線送信モジュールに対して無線的に結合されており、前記体外無線送信モジュールは、前記体内無線送信モジュールに対して電気エネルギを送信するように構成されており、前記体外無線送信モジュール及び前記体内無線送信モジュールは、互いに対して双方向的な無線通信が可能である、請求項
21に記載の尿失禁自動制御システム。
【請求項23】
前記体外装置は、表示制御モジュールをさらに含み、前記表示制御モジュールは、体外マイクロコントローラに対して電気的に接続されており、前記尿失禁自動制御システムの操作情報を表示するとともに、操作命令及びパラメータを入力する、請求項
21又は
22に記載の尿失禁自動制御システム。
【請求項24】
前記表示制御モジュールは、タッチスクリーンを含む、請求項
23に記載の尿失禁自動制御システム。
【請求項25】
前記体外装置は、アラームモジュールをさらに含み、前記アラームモジュールは、前記体外マイクロコントローラに対して電気的に接続されており、前記システムの異常を示すアラーム信号を使用者に対して発出する、請求項
21~
24のいずれか一項に記載の尿失禁自動制御システム。
【請求項26】
前記体外装置は、ブルートゥース(登録商標)モジュール及び/又はWIFIモジュールをさらに含み、前記ブルートゥース(登録商標)モジュール及び/又は前記WIFIモジュールは、クラウドサーバに対して、又はモバイル端末に対して、通信し得るよう構成されている、請求項
21~
25のいずれか一項に記載の尿失禁自動制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多点逐次切替機能を有した尿失禁自動制御システムに関する。本開示は、また、尿失禁自動制御システムのための体内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁は、高齢者に多く、いくつかの処置方法が利用可能であるけれども、多くの患者は、効果的な処置手段を有しておらず、継続的な尿道カテーテル法や、尿とりパッドや、おむつパンツ、などの一時しのぎの手段に頼るしかなく、そのため、患者の生活の質を著しく低下させるとともに、その家族にも大きな悩みをもたらしている。したがって、臨床的には、尿失禁処置のための新たなデバイスを開発することが要望されている。
【0003】
人工尿道括約筋デバイスが、臨床的に開発されており、これは、括約筋及びその近傍組織の解剖学的構造に影響を与えることなく、正常な尿道を通しての排尿を可能としながら、排尿の制御を回復し得るという利点を有しており、これにより、患者は、生活の質を向上させることができる。しかしながら、既存の人工尿道括約筋デバイスは、また、いくつかの欠点を有している。例えば、既存の人工尿道括約筋デバイスは、信頼性が低く、例えば、特定の状況では、尿道組織を過度に圧迫してしまって、尿道組織に損傷を与える可能性がある。加えて、そのような既存の人工尿道括約筋デバイスは、手動で操作されるポンプを使用しており、この手動操作式ポンプは、身体の陰嚢又は大陰唇などの陰部に皮下移植されるものであって、排尿操作時には手動で押圧する必要があるため、操作及び制御が不便であって、デバイス全体の耐用年数が短くなる。
【発明の概要】
【0004】
既存の人工尿道括約筋デバイスにおける少なくとも1つの欠点に鑑み、本開示の目的の1つは、操作及び制御が便利な尿失禁自動制御システムを提供することである。本開示の他の目的は、信頼性の高い尿失禁自動制御システムを提供することである。
【0005】
この目的のために、本開示の一態様では、体内に完全に埋設されるように構成された、尿失禁を制御するための体内装置が提供され、体内装置は、体内マイクロコントローラと、尿道遮断部材と、を含み、体内マイクロコントローラは、尿道遮断部材を制御することにより、尿道を遮断したり遮断解除したりするように構成されており、体内装置は、尿道上の異なる位置に配置されるように構成された少なくとも2つの尿道遮断部材を含み、体内マイクロコントローラは、少なくとも2つの尿道遮断部材を制御することにより、尿道を逐次的に遮断したり遮断解除したりするように構成されている。
【0006】
一実施形態では、尿道遮断部材は、クリッピング機構を含み、クリッピング機構は、液圧、電磁力、モータによって生成される機械力、温度変化時に形状記憶合金によって生成される力、又は、温度変化時にバイメタル片によって生成される力、によってクリッピングを達成している。
【0007】
一実施形態では、体内装置は、少なくとも1つのポンプと、ソレノイド弁セットと、貯蔵バッグと、をさらに含み、尿道遮断部材のそれぞれは、C字形状バッグを含み、体内マイクロコントローラは、少なくとも1つのポンプに対して、及びソレノイド弁セットに対して、それぞれ電気的に接続されており、貯蔵バッグは、少なくとも1つのポンプ及びソレノイド弁セットを介してC字形状バッグに対して接続チューブを使用して接続されており、体内マイクロコントローラは、少なくとも1つのポンプ及びソレノイド弁セットを制御することにより、尿道遮断部材のC字形状バッグ内へと液体を充填することと、尿道遮断部材のC字形状バッグから液体を導出することと、を逐次的に行う。
【0008】
一実施形態では、体内装置は、制御ボックスをさらに含み、少なくとも1つのポンプと、ソレノイド弁セットと、体内マイクロコントローラとは、制御ボックス内に収容されている。
【0009】
一実施形態では、体内マイクロコントローラは、1つの尿道遮断部材のC字形状バッグ内へとその都度液体を充填するように、そして、充填完了後には、今回液体を充填したC字形状バッグを所定時間にわたって充填状態に維持しつつ、前回液体を充填した尿道遮断部材のC字形状バッグ内の液体を導出するように、少なくとも1つのポンプ及びソレノイド弁セットを制御する。
【0010】
一実施形態では、ソレノイド弁セットは、マスターソレノイド弁と、尿道遮断部材のそれぞれに対応した複数の尿道遮断部材ソレノイド弁と、を含み、尿道遮断部材ソレノイド弁の第1端部のそれぞれは、対応する尿道遮断部材に接続されており、尿道遮断部材ソレノイド弁の第2端部は、いずれもマスターソレノイド弁の第1端部に接続されており、マスターソレノイド弁の第2端部は、貯蔵バッグの液体導出入ポートに接続されており、ポンプの第1端部は、尿道遮断部材ソレノイド弁の第2端部に接続されており、ポンプの第2端部は、貯蔵バッグの液体導出入ポートに接続されている。
【0011】
一実施形態では、尿道遮断部材は、C字形状バッグの外側に配置された支持リングをさらに含み、支持リングは、支持リング内の圧力がしきい値を超えた時には、弾性変形によって開放するように構成されている。
【0012】
一実施形態では、支持リングは、支持リング内の圧力がしきい値以下である時には、その形状を変化させることなく維持するように構成されている、又は弾性変形前の元の形状を回復するように構成されている。
【0013】
一実施形態では、支持リングは、弾性変形時には一定の弾性力を維持するように構成されている。
【0014】
一実施形態では、支持リングは、超弾性効果を有した材料から形成され、又は少なくとも2つのスプリングプレートの組合せから形成され、材料は、好ましくはニッケル-チタン合金である。
【0015】
一実施形態では、支持リングは、連続的に接続された、第1セグメントと、第2セグメントと、第3セグメントと、第4セグメントと、を含み、第2セグメント及び第3セグメントは、支持リングのC字形状をなす主要本体部分を形成しており、第1セグメントは、第2セグメントの一端から、第2セグメントの曲げ方向とは逆向きに折り曲げられており、第4セグメントは、第3セグメントの一端から、第3セグメントの曲げ方向とは逆向きに折り曲げられており、第1セグメント及び第4セグメントは、まず、第2セグメントの端部と第3セグメントの端部とのそれぞれから、互いに接触するところまでは互いに接近し、その後は、互いに遠ざかる。
【0016】
一実施形態では、貯蔵バッグには、弾性穿刺面を有した補充液注入弁が設けられている。
【0017】
一実施形態では、穿刺面の反対側には、ニードルストッパプレートが設けられている。
【0018】
一実施形態では、体内マイクロコントローラは、供給電圧が異常であることが検出された際に、所定時間の経過後もなおも異常である場合には、少なくとも1つのポンプ及びソレノイド弁セットを制御することにより、すべての尿道遮断部材を解放して尿道を遮断解除するように構成されている。
【0019】
一実施形態では、体内マイクロコントローラは、供給電圧の異常が検出された時には、少なくとも1つのポンプ及びソレノイド弁セットを制御することにより、尿道遮断部材への液体充填を即座に停止するように構成されている。
【0020】
一実施形態では、体内マイクロコントローラは、供給電圧の異常が検出された際に、供給電圧が所定時間後には正常に戻った場合には、少なくとも1つのポンプ及びソレノイド弁セットの制御を再開するように構成されている。
【0021】
一実施形態では、体内装置は、体内マイクロコントローラから独立した保護回路をさらに含み、保護回路は、体内装置が体外から受信した信号が、設定した時間よりも長時間にわたって低電位である場合には、少なくとも1つのポンプ及びソレノイド弁セットを制御することにより、すべての尿道遮断部材を解放して尿道を遮断解除するように、トリガされる。
【0022】
一実施形態では、体内装置の電源回路は、エネルギ貯蔵素子を含む。
【0023】
一実施形態では、各ソレノイド弁は、エネルギ貯蔵キャパシタを有している。
【0024】
一実施形態では、C字形状バッグと支持リングとの間に、圧力センサが設けられている。
【0025】
一実施形態では、体内マイクロコントローラは、圧力センサに電気的に接続されていて、圧力センサが検出した圧力検出値をリアルタイムで収集し、圧力検出値が最大圧力設定値を超えた時には、体内マイクロコントローラは、少なくとも1つのポンプ及びソレノイド弁セットを制御することにより、対応する尿道遮断部材を解放して尿道を遮断解除する。
【0026】
一実施形態では、体内マイクロコントローラは、圧力センサに電気的に接続されていて、圧力センサが検出した圧力検出値をリアルタイムで収集し、充填状態にある尿道遮断部材内の圧力検出値が最小圧力設定値未満である時には、体内マイクロコントローラは、少なくとも1つのポンプ及びソレノイド弁セットを制御することにより、尿道遮断部材のC字形状バッグに液体を充填する。
【0027】
一実施形態では、少なくとも1つのポンプ240は、3mL/min~40mL/minの流量を有し、少なくとも1つのポンプは、5kPa~120kPaの圧力強度を有している。
【0028】
一実施形態では、体内装置は、体内無線送信モジュールをさらに含み、体内マイクロコントローラは、体内無線送信モジュールに電気的に接続されており、体外無線送信モジュールは、体外から無線的に電気エネルギを取得し得るよう構成されているとともに、体外に対して双方向的に無線通信し得るよう構成されている。
【0029】
本開示の第2態様では、多点逐次切替機能を有した尿失禁自動制御システムが提供され、尿失禁自動制御システムは、体外に配置された体外装置と、本開示の第1態様による体内装置と、を含む。
【0030】
一実施形態では、体外装置は、体外無線送信モジュールと、体外マイクロコントローラと、電力モジュールと、を含み、電力モジュールは、体外無線送信モジュール及び体外マイクロコントローラに対して電力を供給するように構成されており、体外マイクロコントローラは、体外無線送信モジュールに電気的に接続されており、体外無線送信モジュールは、体内無線送信モジュールに無線的に結合されており、体外無線送信モジュールは、体内無線送信モジュールに電気エネルギを送信するように構成されており、体外無線送信モジュール及び体内無線送信モジュールは、互いに対して双方向的な無線通信が可能である。
【0031】
一実施形態では、体外装置は、表示制御モジュールをさらに含み、表示制御モジュールは、体外マイクロコントローラに電気的に接続されており、尿失禁自動制御システムの操作情報を表示するとともに、操作命令及びパラメータを入力する。
【0032】
一実施形態では、表示制御モジュールは、タッチスクリーンを含む。
【0033】
一実施形態では、体外装置は、アラームモジュールをさらに含み、アラームモジュールは、体外マイクロコントローラに電気的に接続されており、システムの異常を示すアラーム信号を使用者に対して発出する。
【0034】
一実施形態では、体外装置は、ブルートゥース(登録商標)モジュール及び/又はWIFIモジュールをさらに含み、ブルートゥース(登録商標)モジュール及び/又はWIFIモジュールは、クラウドサーバに対して、又はモバイル端末に対して、通信し得るよう構成されている。
【0035】
本開示に関する、これらの及び他の、特徴、態様、及び利点は、同じ参照符号が同じ構成部材を示している添付図面を参照しつつ、以下の詳細な説明を読むことにより、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本開示による尿失禁自動制御システムを示す概略的なブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示による尿失禁自動制御システムにおける、体外装置の体外無線送信モジュールと、体内装置の体内無線送信モジュールと、に関する一実装を示す回路ブロック図である。
【
図3】
図3は、本開示による尿失禁自動制御システムにおける体内装置を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本開示による尿失禁自動制御システムにおける体内装置の制御ボックスを示す内部構造図である。
【
図5】
図5は、本開示による尿失禁自動制御システムにおける体内装置の貯蔵バッグを示す概略図である。
【
図6】
図6は、本開示による尿道遮断部材の第1状態を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本開示による尿道遮断部材の第2状態を示す概略図である。
【
図8】
図8は、本開示による尿道遮断部材の第3状態を示す概略図である。
【
図9】
図9は、本開示による尿失禁自動制御システムにおける体内装置の液体経路接続を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、以下では添付図面を参照して説明され、図面は、本開示の多数の実施形態を例示している。しかしながら、本開示が、多くの異なる態様で提示されてもよいこと、及び、本開示が、以下で説明する実施形態に限定されないことは、理解されるべきであり、実際、以下で説明する実施形態は、当業者に対して、本開示をより完全なものとすることを意図しているとともに、本開示の保護範囲を完全に例示することを意図している。また、本明細書で開示した実施形態を様々な態様で組み合わせることで追加的な実施形態が提供され得ることは、理解されるべきである。
【0038】
本明細書における文言が、特定の実施形態を記述するためにのみ使用されていて、本開示を限定することを意図していないことは、理解されるべきである。特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的用語及び科学的用語を含む)は、当業者によって一般的に理解される意味を有している。簡潔さ及び/又は明瞭さのために、周知の機能又は構造は、詳細に説明されないことがあり得る。
【0039】
本明細書で使用する、「含む」、「備える」、及び「含有する」という単語は、請求された特徴が存在することを示すものの、1つ又は複数の他の特徴が存在することを除外するものではない。本明細書で使用する「及び/又は」という単語は、関連して列挙された1つ又は複数の項目に関しての、任意の及びすべての組合せを含む。
【0040】
本明細書で使用する「~に接続されている」、「~と接続されている」、又は同様の用語は、直接的な接続及び/又は間接的な接続を示すことを意図している。
【0041】
本明細書で説明するシステムは、情報を受信するとともに、受信した情報を変換して出力を生成するために、1つ又は複数のマイクロコントローラを使用してもよい。マイクロコントローラは、メモリ内に格納された一連の命令を実行し得るような、任意のタイプのコンピューティングデバイス、任意のタイプのコンピューティング回路、あるいは、任意のタイプのマイクロコントローラ又は処理回路、を含んでもよい。マイクロコントローラは、複数のマイクロコントローラ、及び/又は、マルチコア中央処理装置(CPU)を含んでもよく、また、任意のタイプのマイクロコントローラを含んでもよい。マイクロコントローラは、また、一連の命令を実行するためのデータ及び/又はアルゴリズムを格納するための、メモリを含んでもよい。
【0042】
図1は、本開示による尿失禁自動制御システムを示す概略的なブロック図である。本開示の尿失禁自動制御システムは、括約筋弛緩に起因する尿失禁を処置するために使用される。尿失禁自動制御システムは、体外装置100と、体内装置200と、を含む。体内装置200は、体内へと完全に埋設されてもよく、人工的尿道括約筋の主な機能を達成するように構成されてもよい。体外装置100は、体外に配置されてもよく、また、体内装置に電力を供給するように、また、体内装置と通信するように構成されてもよく、さらに、体内装置の制御機能と情報表示機能とアラーム機能とを達成するように構成されてもよい。
【0043】
図1に示すように、体外装置100は、体外無線送信モジュール110と、体外マイクロコントローラ120と、電力モジュール130と、を含んでもよい。電力モジュール130は、体外無線送信モジュール110と体外マイクロコントローラ120に電気的に接続されており、体外無線送信モジュール110と体外マイクロコントローラ120に電力を供給する。電力モジュール130は、バッテリによって、又は任意の他の適切な外部電力源によって、電力を供給されてもよい。体外マイクロコントローラ120は、体外無線送信モジュール110に電気的に接続されている。体内装置200は、体内無線送信モジュール210と、体内マイクロコントローラ220と、尿道遮断部材230と、を含んでもよい。体内マイクロコントローラ220は、体内無線送信モジュール210に対して電気的に接続されている。体内マイクロコントローラ220は、尿道遮断部材230を制御することにより、尿道を遮断したり遮断解除したりするように、構成されている。体外無線送信モジュール110は、体内無線送信モジュール210に対して無線的に結合されている。体外無線送信モジュール110は、体内無線送信モジュール210に対して電気エネルギを送信するように構成され、これにより、体内装置200に対して電力を供給する。体外無線送信モジュール110及び体内無線送信モジュール210は、互いに対して双方向的な無線通信を行うことができ、情報を送信することができる。
【0044】
体外無線送信モジュール110は、駆動回路と、体外装置の情報読出/書込回路と、体外コイルWp1と、を含んでもよい。体内無線送信モジュール210は、体内コイルWs1と、体内装置の体外情報読出回路と、体内装置の体内情報書込回路と、電源回路と、を含んでもよい。駆動回路は、体外コイルWp1に対して電気的に接続されており、体外コイルWp1に対して交流電気信号を出力するように構成されている。体外コイルWp1は、交流磁界を生成するように構成されている。体内コイルWs1は、その交流磁界に基づいて誘導起電力を発生させるように構成されている。電源回路は、体内コイルWs1に対して電気的に接続され、体内装置のための安定した電気エネルギを供給する。電源回路は、また、充電式バッテリなどのエネルギ貯蔵素子に対して電気的に接続されてもよい。体外装置の情報読出/書込回路と、体内装置の体外情報読出回路と、体内装置の体内情報書込回路とは、通信すべき情報を、送信のためのエネルギ送信用電磁波へと変調するように、さらに、受信した信号を、読み取り可能な情報へと復調するように、構成されており、これにより、体内装置200と体外装置100との間で情報を双方向的に送信するように構成されている。体外コイルWp1及び体内コイルWs1のそれぞれは、低渦電流磁石などの磁石を含み、これにより、体外コイルWp1と体内コイルWs1とは、磁石の引力を使用して互いに対して位置決め可能とされており、両コイルの良好な結合を確保することができる。
【0045】
よって、体外装置100が体内装置200に対して電力を供給した時には、駆動回路は、特定の波形を有した電流を駆動して体外コイルを通過させることによって、交流磁界を生成し、これにより、体外コイルと結合した体内コイルWs1に誘導起電力を発生させ、体内装置の電源回路の整流やフィルタリングや電圧安定化などの処理を経て、体内装置内の他の構成要素に対して、安定したDC電圧を提供することができる。体外装置100と体内装置200との間における情報送信時には、通信すべき情報は、特定の規則に従ってエネルギ送信用電磁波へと変調され、これにより、エネルギ送信と情報送信とが、同じ電磁波送信コイルセットによって提供される。これにより、単純な構造で、効率的なエネルギ送信と、信頼性高い双方向的な情報送信と、を行うという効果が得られる。
【0046】
図2は、本開示による体外無線送信モジュール110及び体内無線送信モジュール210の一実装に関する回路ブロック図を示している。
【0047】
体外無線送信モジュール110では、Wp1は、体内コイルWs1に対してエネルギ及び情報を出力するように構成された体外コイルを表している。駆動回路は、体外コイルWp1に対して、特定の周波数の交流電力電気信号を出力する。体外装置の情報読出/書込回路(具体的には、体外装置の体内情報読出回路であってもよい)は、電流感知回路と、比較器と、を含み、電流感知回路は、体外コイルWp1の電流を検出するように、そして電流値を電圧信号へと変換するように、構成され、比較器は、電流感知回路からの出力電圧と、体外マイクロコントローラ120から出力されたしきい値電と、からなる2組の信号に従って体内装置200から送信される情報を取得する。体外マイクロコントローラ120は、所定の通信周波数(駆動回路から出力される電力電気信号の周波数よりはるかに低い周波数)で駆動回路を有効化/無効化することにより、体内装置に対して情報を送信する。
【0048】
体内無線送信モジュール210では、Ws1は、体外コイルWp1によって送信されたエネルギを受信するように構成された体内コイルを表している。体内コイルWs1が受信したAC信号は、第1整合ネットワーク及び第1時定数を有した第1整流フィルタ回路を介して、DC電圧へと変換され、体内装置200に対して電気エネルギを提供する。体内装置の体外情報読出回路と、電源回路とは、第1整合ネットワークを共有しているけれども、第2時定数を有した第2整流フィルタ回路を使用することにより、Ws1が受信したエネルギの有無を電圧信号のハイレベル/ローレベルへと変換し、これが、体内マイクロコントローラ220へと送信される。第1時定数は、第2時定数よりも大きい。所定の通信周波数で変化する信号を解析することにより、体外装置からのダウンリンク情報を取得することができ、特定時間を超えたローレベルは、体外装置100からの電力供給の中断を決定するための基準として、使用することができる。ACスイッチは、体内マイクロコントローラ220から出力された情報に従って第2整合ネットワークを体内コイルWs1に対して導通させ、これにより、対応する体外コイルWp1の等価インピーダンスを変化させる。この方法を使用して、体外装置100に対して情報が送信される。一実施形態では、第1整合ネットワーク及び第2整合ネットワークは、インピーダンス整合ネットワークであってもよい。インピーダンス整合ネットワークは、インピーダンス整合のための、直列及び並列のリアクタンス素子を有した回路であってもよい。
【0049】
体外装置100から体内装置200への電力供給については、送信コイル及びスイッチング素子の包括的損失を最小化するために、100kHz~4MHzの動作周波数などの、適切な動作周波数が使用される。体内コイル及び体外コイルの両方は、適切なリアクタンス素子(キャパシタ又はインダクタ)を直列に及び/又は並列に接続することによってインピーダンス整合を実現し、エネルギの送信効率を向上させる。
【0050】
体外装置100と体内装置200との間の無線情報送信については、信頼性高い情報送信と、電磁的互換性と、エネルギ送信効率と、に関する要件を考慮して、エネルギ送信動作周波数よりもはるかに低い情報送信ボーレートが使用される。
【0051】
体外装置100から体内装置200への情報送信について、駆動回路は、体外コイルWp1の駆動を適当なタイミングで開始/停止する。体内装置200は、体内コイルWs1から出力された電圧の有無を検出し、予め設定した符号化規則に従って情報を取得する。体内装置200から体外装置100への情報の送信については、体外コイルWp1の等価インピーダンスを、ACスイッチを使用して、又はACスイッチ及び整合キャパシタとを使用して、体内コイルWs1を適切なタイミングで短絡させることによって変化させ、これにより、体外コイルWp1の電流を変化させる。送信した情報は、電流感知回路と比較器とを使用することにより、予め設定された符号化規則に従って得ることができる。
【0052】
体外装置100は、また、表示制御モジュール140、アラームモジュール150、ブルートゥース(登録商標)モジュール160、及び/又はWIFIモジュール、を含んでもよい。電力モジュール130は、表示制御モジュール140、アラームモジュール150、ブルートゥース(登録商標)モジュール160、及び/又はWIFIモジュール170、に対して電気的に接続され、それらに対して電力を供給する。
【0053】
表示制御モジュール140は、体外マイクロコントローラ120に対して電気的に接続されている。表示制御モジュール140は、尿失禁自動制御システムの操作情報を表示するように、さらに、操作命令及びパラメータを入力するように、構成されている。例えば、表示制御モジュール140は、バッテリの残容量をリアルタイムで表示することができ、容量が下限に到達した時には、交換及び充電のプロンプトを示すことができる。表示制御モジュール140は、タッチスクリーンを含んでもよい。表示制御モジュール140は、また、別個の表示画面と、キーボードなどの入力デバイスと、から構成されてもよい。
【0054】
アラームモジュール150は、体外マイクロコントローラ120に対して電気的に接続されている。アラームモジュール150は、システムの異常を示すアラーム信号を、ユーザに対して発出するように構成されている。アラーム信号は、音響信号及び/又は光信号であってもよい。
【0055】
ブルートゥース(登録商標)モジュール160及び/又はWIFIモジュール170は、体外マイクロコントローラ120に対して電気的に接続されている。ブルートゥース(登録商標)モジュール160及び/又はWIFIモジュール170は、システム動作をアップロードするように、クラウドサーバに対して、又は携帯電話などのモバイル端末に対して、通信可能であるように、モバイル端末を介して患者又は介護者に対して排尿動作を促すように、さらに、モバイル端末上のAPPソフトウェアを介してシステム動作を監視し得るように、構成されている。
【0056】
使用時には、患者が排尿命令を入力した時には、体外無線送信モジュール110及び体内無線送信モジュール210は、排尿命令を体内マイクロコントローラ220に対して送信し、体内マイクロコントローラ220は、尿道遮断部材が解放状態となって排尿が開始されるように、アクチュエータを制御する。患者が閉塞命令を入力した時には、無線通信モジュールは、閉塞命令を体内マイクロコントローラ220に対して送信し、体内マイクロコントローラは、尿道遮断部材が閉塞状態となって排尿が終了するように、アクチュエータを制御する。
【0057】
尿道遮断部材230は、クリッピング機構を含んでもよい。クリッピング機構は、様々な駆動方法によって尿道のクリッピングを実現することができる。例えば、尿道をクリッピングする機能は、尿道上に被せられた貯蔵バッグ内への液体の充填により、又はそのような貯蔵バッグからの液体の導出により、達成されてもよく(液圧による駆動)、尿道をクリッピングする機能は、電磁石の原理に基づき、電磁石によってクリッピング機構の動作が引き起こされることにより、達成されてもよく(電磁力による駆動)、尿道をクリッピングする機能は、モータによってクリッピング機構の動作が引き起こされることにより、達成されてもよく(モータによって生成される機械力による駆動)、尿道をクリッピングする機能は、例えばニッケルチタン合金などの形状記憶合金が、温度変化時に開放/閉塞する二方向メモリ効果を使用することにより、達成されてもよく(温度変化時に形状記憶合金が生成する力による駆動)、尿道をクリッピングする機能は、金属どうしの間の膨張係数差に基づき、温度変化時にバイメタル片が変形することにより、達成されてもよく(温度変化時にバイメタル片が生成する力による駆動)、あるいは、同種のものにより達成されてもよい。
【0058】
一実施形態では、少なくとも2つの尿道遮断部材230が、尿道上の異なる位置に設けられてもよい(
図1及び
図3は、2つの尿道遮断部材が設けられている場合を、例示的に示している)。体内マイクロコントローラ220は、少なくとも2つの尿道遮断部材230を制御することにより、尿道を逐次的に遮断するように構成されている。すなわち、ある時間期間では、ある尿道遮断部材を使用して尿道を遮断しつつ、他の1つ又は複数の尿道遮断部材が解放状態とされてもよく、次の時間期間では、次なる尿道遮断部材を使用して尿道を遮断しつつ、他の1つ又は複数の尿道遮断部材が解放状態とされてもよい。各時間期間は、10分、20分、30分、又は、任意の他の合理的な長さ、に設定されてもよく、体内マイクロコントローラ220は、尿道遮断部材を制御することにより、逐次的な遮断を自動的に実行する。このようにして、尿道の一部を長時間にわたってクリッピングすることに基づく血流不良及び組織壊死を、効果的に回避することができる。
【0059】
以下では、体内装置の構成について、及び体内装置内の尿道遮断部材の構成について、
図3~
図14と併せて、液圧駆動によって尿道をクリッピングする例を使用して、詳細に説明する。
【0060】
図3及び
図4に示すように、上述した構造に加えて、体内装置200は、ポンプ240(例えば、マイクロポンプ)と、ソレノイド弁250(例えば、マイクロソレノイド弁)と、上述した体内マイクロコントローラ220を有した回路基板260と、貯蔵バッグ270と、を含む。ポンプ240は、3mL/min~40mL/minの流量を有してもよい。ポンプ240は、5kPa~120kPaの圧力強度を有してもよい。ポンプ240と、ソレノイド弁250と、回路基板260とは、制御ボックス280内に収容されている。ポンプ240及びソレノイド弁250は、回路基板260上の体内マイクロコントローラ220に対して電気的に接続されており、体内マイクロコントローラ220によって制御される。貯蔵バッグ270と、尿道遮断部材230と、上述した体内コイルWs1とは、制御ボックス280の外部に設けられている。貯蔵バッグ270及び尿道遮断部材230は、対応する接続チューブ290を介して、制御ボックス280内のポンプ240及びソレノイド弁250に対して接続されている。接続チューブは、シリコーンから、又は任意の他の適切な材料から、形成されてもよい。
【0061】
図5は、貯蔵バッグ270の概略的な構造を示している。貯蔵バッグ270は、体内に埋設するための生物学的適合性要件を満たすシリコーンゴム材料から形成されてもよい。貯蔵バッグ270は、偏球形状であってもよく、尿道遮断部材のために必要な液体を貯蔵して提供するように構成されている。貯蔵バッグ270には、補充液の経皮注入のために構成された補充液注入弁2701が設けられてもよい。補充液注入弁2701は、貯蔵バッグ270と一体的に形成されてもよい、あるいは、別個の部材としてチューブを介して貯蔵バッグ270に接続されてもよい。補充液注入弁2701は、ボタン形状であってもよい。補充液注入弁2701の穿刺面は、弾性的であり、例えば、高密度ゴム膜であってもよい。これにより、液体の補充が完了した際にニードルを抜いた後には、その弾性に基づき穿刺面を復元させることができ、これにより、貯蔵バッグ270の密封性を維持することができる。穿刺面とは反対側の面上には、ニードルストッパプレート2702が設けられてもよい。ニードルストッパプレート2702は、液体補充時に貯蔵バッグ270が穿刺されることを防止するよう、穿刺されにくい材料から形成されてもよい。その材料は、例えば、PET樹脂、シート状金属、又は同種のもの、である。貯蔵バッグ270は、液体導出入ポートを有し、液体導出入ポートは、接続チューブ290を介して外部に対して接続されている。
【0062】
図6~
図8は、尿道遮断部材230の他の実施形態を示している。図示のように、尿道遮断部材230は、C字形状バッグ2301を含む。C字形状バッグ2301は、膀胱頸部の直下において尿道10を取り囲んでいる。C字形状バッグ2301は、閉塞していない環状バッグを形成している。閉塞していない環状バッグであることにより、患者が組織浮腫を有する場合に、尿道内へと尿道カテーテル又は同種のものを円滑に挿入することができ、尿道の損傷を回避することができる。C字形状バッグは、シリコーンから、又は任意の他の適切な材料から、形成されてもよい。尿道遮断部材が液体(例えば、生理食塩水)によって充填された時には、C字形状バッグが膨張して圧力を上昇させ、C字形状バッグの内側が膨張して尿道を圧迫し、これにより、尿道を閉塞し(
図6に示すように)、また、尿道遮断部材内の液体が導出された時には、C字形状バッグが弛緩して、尿道が開放され、これにより、排尿動作が行われる(
図7に示すように)。C字形状バッグ2301は、ポンプ240及びソレノイド弁250を介して、接続チューブ290により貯蔵バッグ270に使用して接続されており、貯蔵バッグ270から、充填すべき液体を受領し、また、貯蔵バッグ270内へと液体を導出する。体内マイクロコントローラ220は、ポンプ240及びソレノイド弁250を制御することにより、C字形状バッグ2301に対しての液体充填及び液体導出を制御する。
【0063】
一実施形態では、尿道遮断部材230は、C字形状バッグ2301の外側に配置された支持リング2302をさらに含む。支持リング2302は、支持リング2302内の圧力がしきい値よりも大きい時には(
図8に示すように)、弾性変形によって開放するように構成されてもよく、また、支持リング2302内の圧力がしきい値未満へと戻った時には(
図6及び
図7に示すように)、弾性変形前の元の形状を回復するように構成されてもよい。支持リング2302は、また、支持リング2302内の圧力がしきい値以下である時には、その形状を変化させずに維持するように構成されてもよい。一実施形態では、支持リング2302は、弾性変形時には一定の弾性力を維持するように構成される。しきい値は、20kPaに設定されてもよい、あるいは、女性患者の場合には、しきい値は、15kPaに設定されてもよく、男性患者の場合には、しきい値は、20kPaに設定されてもよい。しきい値は、また、他の合理的な圧力値に設定されてもよい。
【0064】
支持リング2302は、超弾性効果を有した材料から形成されてもよい。その材料は、例えば、ニッケルチタン合金、又は他の同様の材料、である。支持リング2302は、また、少なくとも2つのスプリングプレートの組合せから形成されてもよい。支持リング2302及びC字形状バッグ2301は、金型を使用したダイキャストにより、シリコーンゴムから一体成形されてもよい。
【0065】
上述したように支持リング2302を使用することにより、組織の浮腫又は他の理由に基づいて、支持リング内の内容物(組織、C字形状バッグ、等を含む)の圧力強度が、しきい値よりも大きくなった時には、
図8に示すように、支持リングは、弾性変形して徐々に開放し、尿道及び他の組織のためのクッション空間を形成し、これにより、制御不能な長時間にわたっての尿道閉塞又は過度の膀胱圧に基づく組織虚血壊死及び上部尿路病変を防止することができる。圧力が低下した時には、支持リングは、自動的にその位置へと復帰することができ、その機能を回復することができる。
【0066】
一実施形態では、支持リング2302の形状は、以下に説明するように設計される。
図6に示すように、支持リングは、連続的に接続された、第1セグメント2302Aと、第2セグメント2302Bと、第3セグメント2302Cと、第4セグメント2302Dと、を含んでもよい。第2セグメント2302B及び第3セグメント2302Cは、支持リング2302のC字形状をなす主要本体部分を形成している。第1セグメント2302Aは、第2セグメント2302Bの一端から、第2セグメント2302Bの曲げ方向とは逆向きに折り曲げられており、第4セグメント2302Dは、第3セグメント2302Cの一端から、第3セグメント2302Cの曲げ方向とは逆向きに折り曲げられている。
図6に示すように、第1セグメント2302A及び第4セグメント2302Dは、まず、第2セグメント2302Bの端部と第3セグメント2302Cの端部とのそれぞれから、互いに接触するところまでは互いに接近し、その後は、互いに遠ざかる。上述した支持リング2302の形状により、平常時には尿道遮断部材に対して一定の力での支持を提供し得ること、そして、リング内に過剰な圧力がかかった場合には、支持リングの、第1セグメント2302Aと第4セグメント2302Dとから構成された開口部分から、組織を円滑に逃がすことを、達成することができる。
【0067】
一実施形態では、C字形状バッグ2301と支持リング2302との間に、圧力センサ2303が設けられている。支持リング2302と、C字形状バッグ2301と、圧力センサ2303とは、金型を使用したダイキャストにより、シリコーンゴムから一体に成形されてもよい。圧力センサ2303は、例えば、薄膜圧力センサ、又は任意の適切な圧力センサ、である。圧力センサ2303は、体内マイクロコントローラ220に対して電気的に接続され、感知した圧力信号を、体内マイクロコントローラ220へと送信する。体内マイクロコントローラ220は、圧力センサ2303が検出した圧力検出値を、リアルタイムで(例えば、100msごと)収集してもよい。
【0068】
圧力検出値が、最大圧力設定値を超えた時には、体内マイクロコントローラ220は、ポンプ及びソレノイド弁を制御することにより、対応する尿道遮断部材230を解放して、尿道を遮断解除する。このことは、システムの安全性を向上させ、これにより、患者の安全性が確保される。好ましくは、圧力検出値が最大圧力設定値を超えた時には、体内マイクロコントローラ220は、体外装置100のアラームモジュール150がアラームを発出するよう、体外装置100に対してアラーム信号を送信し、体内マイクロコントローラ220は、設定時間(例えば、10s)の分だけ、対応する尿道遮断部材230の解放を遅延させ、これにより、患者に対して充分な準備時間を与えて、ユーザ経験を向上させる。
【0069】
充填状態の尿道遮断部材230内の圧力検出値が、最低圧力設定値未満である時には、体内マイクロコントローラ220は、尿道遮断部材230のC字形状バッグ2301内の圧力が要件を満たすまで、ポンプ及びソレノイド弁を制御することで、C字形状バッグ2301を液体で充填する。このように、圧力フィードバックと自動圧力調整とにより、システムは、少量の漏洩があったとしても、正常に動作することができる。上述した最大圧力設定値及び最小圧力設定値は、患者の条件に応じて、個別的に設定されてもよい。
【0070】
その上、システムは、システムの故障時に又は電源の故障時にすべての尿道遮断部材が解放されて尿道が自由になることを確保するよう、また、システムの故障が長時間にわたっての尿道閉塞に基づく上部尿路病変を引き起こさないことを確保するよう、複数の安全保護手段を追加的に採用しており、これにより、システムの安全性及び信頼性を向上させている。
【0071】
一実施形態では、体内マイクロコントローラ220は、体内装置の供給電圧を、リアルタイムで(例えば、100msごと)検出するように構成されている。例えば、体内マイクロコントローラ220は、体内装置の体外情報読出回路内の電位信号を検出することによって、体内装置の供給電圧が正常であるかどうかを決定することができる。体内マイクロコントローラ220は、体内装置の供給電圧の異常が検出された時には、ポンプ及びソレノイド弁を制御することにより、尿道遮断部材への液体充填を即座に停止するように、そしてその後、体内装置の供給電圧の検出をリアルタイムで継続するように、構成され、設定された期間(例えば、30秒)後に供給電圧が異常のままである場合には、体内マイクロコントローラ220は、ポンプ及びソレノイド弁を制御することにより、すべての尿道遮断部材を解放して尿道を遮断解除し、設定された期間(例えば、30s)後に供給電圧が正常に戻った場合には、体内マイクロコントローラ220は、ポンプ及びソレノイド弁の通常制御を再開する。
【0072】
システムの安全性をさらに向上させるために、一実施形態では、体内装置は、体内マイクロコントローラから独立した保護回路をさらに含む。保護回路は、体外装置100から体内装置200が受信した信号が、設定した時間期間よりも長時間にわたって(例えば、低レベルで通常の情報送信の持続時間よりも長い)低電位(例えば、
図2”の「ダウンリンク情報読出」信号が、「低」レベルであること)である時には、ポンプ及びソレノイド弁を制御してすべての尿道遮断部材を解放して尿道を遮断解除するように、トリガされる。これにより、マイクロコントローラに頼ることなく、「ダウンリンク情報読出」信号の継続時間のみによって、保護回路をトリガさせることにより、尿道遮断部材を解放することができ、システムの耐故障冗長度を向上させることができる。
【0073】
体内装置の電源電圧の異常時に体内マイクロコントローラの制御操作が正常に行われることを確保するために、体内装置200の電源回路には、電気エネルギを蓄積するためのエネルギ貯蔵素子が設けられている。ソレノイド弁の開放操作に必要なエネルギを確保するために、各ソレノイド弁には、エネルギ貯蔵キャパシタが設けられている。エネルギ貯蔵キャパシタは、ソレノイド弁の通常操作時に、エネルギを貯蔵する。ソレノイド弁の貯蔵キャパシタ内に貯蔵されたエネルギは、各ソレノイド弁の解放操作のためだけに使用される。
【0074】
上述したように、体内装置200には、尿道上の異なる位置に、少なくとも2つの尿道遮断部材230が設けられてもよい。この場合、各尿道遮断部材230は、
図6~
図8に示すようなかつ上述したような構造を有してもよい。
図9~
図14は、例示として、2つの尿道遮断部材230a、230bが設けられている実施形態の場合の、体内装置200の液体経路接続を示している。しかしながら、当業者であれば、3つ以上の尿道遮断部材を設けることを想定してもよく、その場合には、
図9に示す液体経路のポイントOのところに、別の尿道遮断部材を並列に接続するだけでよく、別の尿道遮断部材のために別のソレノイド弁を直列に接続するだけでよい。
【0075】
図9に示すように、体内装置200は、貯蔵バッグ270と、ポンプ240と、マスターソレノイド弁250Aと、第1尿道遮断部材230aと、第2尿道遮断部材230bと、第1尿道遮断部材ソレノイド弁250aと、第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bと、を含む。第1尿道遮断部材ソレノイド弁250aの第1端部は、第1尿道遮断部材230aに接続されており、第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bの第1端部は、第2尿道遮断部材230bに接続されており、第1尿道遮断部材ソレノイド弁250a及び第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bの各第2端部は、マスターソレノイド弁250Aの第1端部に接続されており、マスターソレノイド弁250Aの第2端部は、貯蔵バッグ270の液体導出入ポートに接続されており、ポンプ240の第1端部は、第1尿道遮断部材ソレノイド弁250a及び第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bの各第2端部に接続されており、ポンプ240の第2端部は、貯蔵バッグ270の液体導出入ポートに接続されている。
【0076】
図10及び
図11は、第1尿道遮断部材230aが尿道を閉塞するようにクリッピングしかつ第2尿道遮断部材230bが尿道を解放する原理図を概略的に示している。図に示すように、まず、体内マイクロコントローラ220は、ポンプ240を起動するように制御し、第1尿道遮断部材ソレノイド弁250aを解放するように制御し、マスターソレノイド弁250A及び第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bを閉塞するように制御し、この時、貯蔵バッグ270内の液体を、ポンプ240及び第1尿道遮断部材ソレノイド弁250aを介して第1尿道遮断部材230a内へと注入し、第1尿道遮断部材230aは、尿道が完全に閉塞されるまで、連続的に液体が増加して膨張し、そして、尿道が完全に閉塞された時には、ポンプ240が動作を停止し、第1尿道遮断部材ソレノイド弁250aがオフとされて圧力を維持し、これと同時に、マスターソレノイド弁250A及び第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bが開放され、第2尿道遮断部材230b内の液体は、自身の張力によって貯蔵バッグ270へと戻り、これにより、第2尿道遮断部材230bが解放されて、尿道のクリッピングが解除される。
【0077】
図12及び
図13は、第2尿道遮断部材230bが尿道を閉塞するようにクリッピングしかつ第1尿道遮断部材230aが尿道を解放する原理図を概略的に示している。図に示すように、まず、体内マイクロコントローラ220は、ポンプ240を起動するように制御し、第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bを解放するように制御し、マスターソレノイド弁250A及び第1尿道遮断部材ソレノイド弁250aを閉塞するように制御し、この時、貯蔵バッグ270内の液体を、ポンプ240及び第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bを介して第2尿道遮断部材230b内へと注入し、第2尿道遮断部材230bは、尿道が完全に閉塞されるまで、連続的に液体が増加して膨張し、そして、尿道が完全に閉塞された時には、ポンプ240が動作を停止し、第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bがオフとされて圧力を維持し、これと同時に、マスターソレノイド弁250A及び第1尿道遮断部材ソレノイド弁250aが開放され、第1尿道遮断部材230a内の液体は、自身の張力に基づいて貯蔵バッグ270へと戻り、これにより、第1尿道遮断部材230aが解放されて、尿道のクリッピングが解除される。
【0078】
図14は、両方の尿道遮断部材が解放されたフロー状態を概略的に示している。排尿が必要とされた時には、マスターソレノイド弁250Aと、第1尿道遮断部材ソレノイド弁250aと、第2尿道遮断部材ソレノイド弁250bと、のすべてが開放され、第1尿道遮断部材230a及び第2尿道遮断部材230b内の液体は、それら自身の張力及び膀胱からの尿道の内圧によって、ソレノイド弁を介して貯蔵バッグ270内へと逆流し、尿道遮断部材は、尿道上の圧力を解放し、この時点で、尿は、尿道を通して体外へと排出される。
【0079】
このようにして、2つの尿道遮断部材が特定の間隔(例えば、20分間)で逐次的な尿道圧迫を自動的に行うことを確保することができ、長時間にわたっての尿道クリッピングに起因する組織への血流不良による組織壊死を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示は、尿失禁の自動制御に適用可能であるため、産業上の利用可能性を有している。
【0081】
本開示の特定の実施形態のみについて、本明細書において図示して説明したけれども、当業者であれば、様々な改変及び変形を想定することができる。したがって、添付の特許請求の範囲が、本開示の真の精神の範囲内にあるすべての改変及び変形を網羅することを意図していることは、理解されるべきである。