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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-29
(45)【発行日】2023-09-06
(54)【発明の名称】圧力調整バルブ
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20230830BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
F02M25/08 H
F02M25/08 L
F02M37/00 R
F02M37/00 301H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022551940
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2021034216
(87)【国際公開番号】W WO2022065208
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】P 2020161354
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 隆弘
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-259661(JP,A)
【文献】特開2001-99015(JP,A)
【文献】特開2002-4958(JP,A)
【文献】特開2016-98661(JP,A)
【文献】特開2018-158608(JP,A)
【文献】国際公開第2020/050221(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0030933(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0119650(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクと該燃料タンク外に配置されるキャニスターとを連通する配管の途中に配置されて、前記燃料タンク内の圧力を調整するための、圧力調整バルブであって、
内部空間を有するハウジングと、
一端が前記燃料タンクに連通する配管の接続部をなし、他端が前記ハウジングに連結されて前記内部空間に連通するタンク連通管と、
一端が前記キャニスターに連通する配管の接続部をなし、他端が前記ハウジングに連結されて前記内部空間に連通するキャニスター連通管と、
前記内部空間内に形成され、前記タンク連通管及び前記キャニスター連通管を連通させる第1開口及び第2開口と、
前記第1開口を開閉する第1弁体と、
前記第2開口を開閉する第2弁体と、
前記第1開口を閉じる方向に、前記第1弁体を付勢する第1付勢バネと、
前記第1付勢バネよりも小さい付勢力とされ、前記第2開口を閉じる方向に、前記第2弁体を付勢する第2付勢バネと、
前記第2弁体で前記第2開口を強制的に閉じる第1動作、及び、前記第1動作を解除して、前記第2弁体に前記第2付勢バネの付勢力のみを作用させる第2動作をなす、アクチュエータとを有することを特徴とする圧力調整バルブ。
【請求項4】
前記延出部の延出方向の先端部に、前記第1開口及び前記第2開口が対向して形成されており、
前記第1弁体及び前記第2弁体は、前記第1開口及び前記第2開口に対して開閉可能に接離するダイヤラムである請求項3記載の圧力調整バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクとキャニスターとを連通する配管の途中に配置され、燃料タンク内の圧力を調整するための、圧力調整バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両の燃料タンクには、タンク内の圧力を調整するための、バルブが取付けられている。
【0003】
このようなバルブとして、下記特許文献1には、燃料タンク内の圧力が上昇したときに燃料蒸気を外気側に排出し、燃料タンク内の圧力が低下したときに外気側から外気を流入させるものであって、第1接続管部及び第2接続管部を有するハウジングと、該ハウジング内でスライド可能に配置され、スプリングによって、ハウジングのタンク側開口部を閉じる方向に付勢されたスライド弁体とを備え、スライド弁体内に通気路が形成されており、この通気路に弁座が形成されており、この弁座にゴムからなる傘型弁が取付けられており、燃料タンク内の圧力が低下したときに傘型弁が開いて外気を燃料タンク内に流入させる、燃料タンク用チェックバルブが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-44586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、燃料タンク外への、燃料の排出量がますます規制されている。
【0006】
上記特許文献1のようなチェックバルブの場合、スライド弁体を付勢するスプリングのバネ力を高めることで、スライド弁体の開弁圧(スライド弁体が、ハウジングのタンク側開口部から離れる際の圧力)を上昇させて、スライド弁体が開きにくくして、タンク外への燃料の排出量を抑制可能となる。
【0007】
上記のように、単にスプリングのバネ力を高めて、スライド弁体を開きにくくすると、燃料タンク内の空気等の気体を、燃料タンク外へと排出しにくくなり、燃料タンク内の圧力が高くなる傾向にある。この場合、燃料タンク内へ燃料を給油する際に、給油口から気体が抜けるが、その際の音(吹き返し音)等が問題となりやすい。
【0008】
そのため、低い開弁圧で開く弁体と、高い開弁圧で開く弁体とを有する、バルブが求められていた。
【0009】
したがって、本発明の目的は、低い開弁圧及び高い開弁圧の2段階の開弁圧で、開口を開き可能として、タンク内の圧力調整を図ることができる、圧力調整バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る圧力調整バルブは、燃料タンクと該燃料タンク外に配置されるキャニスターとを連通する配管の途中に配置されて、前記燃料タンク内の圧力を調整するためのものであって、内部空間を有するハウジングと、一端が前記燃料タンクに連通する配管の接続部をなし、他端が前記ハウジングに連結されて前記内部空間に連通するタンク連通管と、一端が前記キャニスターに連通する配管の接続部をなし、他端が前記ハウジングに連結されて前記内部空間に連通するキャニスター連通管と、前記内部空間内に形成され、前記タンク連通管及び前記キャニスター連通管を連通させる第1開口及び第2開口と、前記第1開口を開閉する第1弁体と、前記第2開口を開閉する第2弁体と、前記第1開口を閉じる方向に、前記第1弁体を付勢する第1付勢バネと、前記第1付勢バネよりも小さい付勢力とされ、前記第2開口を閉じる方向に、前記第2弁体を付勢する第2付勢バネと、前記第2弁体で前記第2開口を強制的に閉じる第1動作、及び、前記第2弁体で前記第2開口を強制的に閉じた状態を解除する第2動作をなす、アクチュエータとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アクチュエータが第1動作をなすと、第2弁体で第2開口を強制的に閉じて、第1弁体のみが、所定の開弁圧(第1開弁圧)で、第1開口から開き可能となり、一方、アクチュエータが第2動作をなすと、第2弁体で第2開口を強制的に閉じた状態が解除されて、第2弁体が、第1開弁圧よりも低い開弁圧(第2開弁圧)で、第2開口に対して開き可能となるので、2段階の開弁圧でもって、タンク内の圧力を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る圧力調整バルブの、一実施形態を示す分解斜視図である。
図2】同圧力調整バルブの斜視図である。
図3】同圧力調整バルブにおいて、アクチュエータが第1動作をなした状態での、断面図である。
図4】同圧力調整バルブを燃料タンクに取付けた状態の概略構成図である。
図5】同圧力調整バルブのハウジングを構成する本体の、拡大斜視図である。
図6図3に示す状態から、タンク内圧が上昇して、第1開口が開いた状態の断面図である。
図7】同圧力調整バルブにおいて、アクチュエータが第2動作をなした状態の断面図である。
図8図8に示す状態から、タンク内圧が上昇して、第2開口が開いた状態の断面図である。
図9】同圧力調整バルブの動作を説明した、フロー図である。
図10】本発明に係る圧力調整バルブの、他の実施形態を示しており、その断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(圧力調整バルブの、一実施形態)
以下、図1~9を参照して、本発明に係る圧力調整バルブの、一実施形態について説明する。
【0014】
図4に示すように、この実施形態の圧力調整バルブ10(以下、単に「調整バルブ10」ともいう)は、燃料タンク1と、燃料タンク1の外部に配置されるキャニスター2とを連通する、配管3の途中に配置されて、燃料タンク1内の圧力を調整するためのものである。
【0015】
この調整バルブ10は、図4に示すように、燃料タンク1の外側の所定箇所に取付けられている。また、燃料タンク1には、燃料タンク内への過給油を防止する満タン規制バルブV1や、車両横転時等に燃料タンク外への燃料流出を防止するカットバルブV2等が取付けられている。
【0016】
なお、前記配管3は、タンク側配管3aと、キャニスター側配管3bとからなり、タンク側配管3aが、満タン規制バルブV1に連結され、同満タン規制バルブV1を介して燃料タンク1内に連通している。一方、キャニスター側配管3bは、キャニスター2に連結されている。
【0017】
更に、燃料タンク1の側壁からは燃料給油パイプ6(以下、単に「給油パイプ6」ともいう)が延出されており、その燃料給油口6a(以下、単に「給油口6a」ともいう)には、図示しない給油キャップが着脱可能に取付けられている。また、給油口6aの外方には、給油カバー6bが開閉可能に設けられている(図4参照)。
【0018】
なお、この調整バルブ10は、本出願人が出願したPCT/JP2019/034448(WO2020/050221A1)に係る発明のように、ガソリンエンジンと電気モーターとを有する、いわゆるハイブリッドカー(シリーズ方式、パラレル方式、スプリット方式等の、どの種類のハイブリッドカーでもでもよい)に適用してもよい。
【0019】
図3に示すように、この実施形態の調整バルブ10は、一対の弁体60,61を介して、その内部に内部空間R1及び背面側空間R2,R3が画成されると共に、第1開口37及び第2開口38を有するハウジング11を有している。また、この調整バルブ10は、前記ハウジング11に連結されたタンク連通管25及びキャニスター連通管30と、第1開口37を開閉する第1弁体60と、第2開口38を開閉する第2弁体61と、第1開口37を閉じる方向に、第1弁体60を付勢する第1付勢バネ67と、第2開口38を閉じる方向に、第2弁体61を付勢する第2付勢バネ68と、所定の第1動作及び第2動作をなすアクチュエータ70とを有している。
【0020】
なお、第1開口37及び第2開口38は、内部空間R1内に形成され、タンク連通管25及びキャニスター連通管30を連通させるものとなっている。また、図1に示すように、この実施形態における第1弁体60及び第2弁体61は、ダイヤフラムとなっている。これらの弁体60,61については、後で詳述する。
【0021】
前記第1付勢バネ67及び前記第2付勢バネ68は、所定線径の線材を巻回してなるコイルスプリングとなっている。また、図3に示すように、第2付勢バネ68を形成する線材の線径は、第1付勢バネ67を形成する線材の線径よりも細径となっている。その結果、第2付勢バネ68の、第2開口38を閉じる方向に第2弁体61を付勢する付勢力の方が、第1付勢バネ67の、第1開口37を閉じる方向に第1弁体60を付勢する付勢力の方よりも小さくなっている。なお、第1付勢バネ及び第2付勢バネとしては、上記のようなコイルスプリングではなく、例えば、板バネ等としてもよく、第1弁体及び第2弁体を、第1開口及び第2開口を閉じる方向に付勢可能であればよい。
【0022】
なお、図3に示すように、この実施形態では、第1弁体60や第2弁体61は、第1付勢バネ67や第2付勢バネ68によって直接付勢されるものではなく、バネ支持部材65を介して間接的に付勢されるようになっている。
【0023】
このバネ支持部材65は、略円板状をなした底壁65aと、該底壁65aの一方の面から同心状に立設した複数の環状壁65bとからなる。更に、底壁65aの径方向中央には、凹部65c(図3参照)が形成されている。
【0024】
なお、上記のバネ支持部材65を用いずに、第1付勢バネ67及び第2付勢バネ68によって、第1弁体60及び第2弁体61を直接付勢するようにしてもよい。
【0025】
次に、ハウジング11について説明する。
【0026】
図1に示すように、この実施形態のハウジング11は、下方及び上方が開口した本体13と、この本体13の下方開口部側に装着されるキャップ15と、本体13の上方開口部側に装着されるカバー17とから構成されている。なお、本体13とキャップ15との間に、ダイヤフラムである第1弁体60が挟持され、本体13とカバー17との間に、ダイヤフラムである第2弁体61が挟持されることで、内部空間R1と、第1背面側空間R2及び第2背面側空間R3とが画成されるようになっている(図3参照)。
【0027】
前記本体13は、下方及び上方が開口した略円筒状をなした、周壁20を有している。この周壁20の、下方開口部が第1開口部21をなしており、上方開口部が第2開口部22をなしている。また、周壁20の下端部外方及び上端部外方からは、周壁20の外径よりも拡径した第1拡径部23及び第2拡径部24が設けられている。更に、両拡径部23,24の内部には、環状の凹部23a,24aがそれぞれ形成されている(図3参照)。なお、図3に示すように、周壁20の第1開口部21側に第1弁体60が配置され、第2開口部22側に第2弁体61が配置されることで、両開口部21,22が閉塞されて、本体13内に内部空間R1が画成されるようになっている。
【0028】
また、図2に示すように、周壁20の周方向に対向する2箇所から、タンク連通管25及びキャニスター連通管30が、ハウジング11の軸心C(ハウジング11の径方向の中心)を通る直線L上に沿って、外方に向けて所定長さでそれぞれ延設されている。
【0029】
前記タンク連通管25は、その一端26が燃料タンク1に連通するタンク側配管3aの接続部をなしており、他端27が本体13の周壁20に連結されて、その内部空間R1に連通している(図3参照)。
【0030】
具体的には図1に示すように、周壁20の周方向の所定箇所に、内部空間R1に連通する、丸孔状のタンク連通孔27aが形成されている。また、タンク連通管25は、所定長さで延びる円筒状をなしている。そして、タンク連通管25の他端27が、周壁20の外周の、タンク連通孔27aに整合する位置に連結されることで、タンク連通管25は、タンク連通孔27aを介して内部空間R1に連通するようになっている。
【0031】
なお、この実施形態のタンク連通管25は、本体13の周壁20に対して一体形成されている。ただし、タンク連通管を、本体とは別体で形成しておき、該タンク連通管を、接着剤等で本体に連結するようにしてもよい。また、タンク連通管を、本体の内部空間側に位置するように延出させてもよい(これらについては他の実施形態で説明する)。
【0032】
一方、キャニスター連通管30は、その一端31がキャニスター2に連通するキャニスター側配管3bの接続部をなすと共に、他端32が本体13の周壁20に連結されて、その内部空間R1に連通している(図3参照)。
【0033】
具体的には、周壁20の周方向の、前記タンク連通孔27aに対向する位置に、内部空間R1に連通する、略四角孔状をなしたキャニスター連通孔34(図1参照)が形成されている。また、周壁20の、キャニスター連通孔34の外側(内部空間R1とは反対側)の周縁から、略四角枠状をなした枠状部35が突設されている。
【0034】
図1に示すように、キャニスター連通管30は、他端32側に配置された基部32aと、この基部32aから延出した細径筒部31aとを有している。そして、図3に示すように、キャニスター連通管30の他端32を、前記枠状部35に、接着剤等を介して嵌合させることで、キャニスター連通管30の他端32が本体13の周壁20に連結されるようになっている。
【0035】
また、キャニスター連通管30は、図3及び図5に示すように、その他端32から、本体13の内部空間R1内に位置するように延びた延出部36を有している。
【0036】
具体的には、この延出部36は、周壁20の、キャニスター連通孔34の内側(内部空間R1側)の周縁から、ハウジング11の軸心Cに向けて延出した、略四角筒状をなした基部36aと、この基部36aの延出方向先端に連設され、ハウジング11の軸心Cに一致する位置に配置された、先端部36bとから構成されている。
【0037】
上記先端部36bは、ハウジング11の軸心Cに沿って延び、下方及び上方が開口した略円筒状をなしており、その開口方向と基部36aの延出方向とは直交している。なお、図3に示すように、先端部36bの内部空間は、基部36aの延出方向先端側の開口部36cと連通している。
【0038】
そして、先端部36bの、下方側の開口(キャップ15側に向く開口)が、第1開口37をなしている。一方、先端部36bの、上方側の開口(カバー17側に向く開口)が、第2開口38をなしている。すなわち、この実施形態では、延出部36の先端部36bに、上下方向に対向するように第1開口37及び第2開口38が形成されている。なお、先端部36bにおける、第1開口37の周縁部を、第1弁座37aとし、第2開口38側の周縁部を、第2弁座38aとする。
【0039】
また、前記基部36aの天井壁36d(第2開口38側の壁部)には、傘バルブ装着孔39が形成されている。この傘バルブ装着孔39に、傘バルブ40の軸部40aが挿入されて、同傘バルブ40が装着される。なお、傘バルブ40は、ゴム等からなり、軸部40aと、この軸部上端から軸部下端に向けて傘状に広がる頭部40bとからなる。また、前記天井壁36dの、傘バルブ装着孔39の周囲には、基部36aの内部空間と連通する、通孔39aが複数形成されている。この通孔39aの表側周縁に、傘バルブ40の頭部40bの周縁部が離反可能に当接するようになっている。なお、頭部40bは、常時は通孔39aの表側周縁に当接しており(図3参照)、複数の通孔39aは閉塞された状態となっている。
【0040】
なお、この実施形態のキャニスター連通管30は、本体13とは別体で形成されているが、上述したタンク連通管25のように、周壁20に対して一体形成していてもよい。また、このキャニスター連通管30は、本体13の内部空間R1に位置する延出部36を有しているが、このような延出部を有しない構成としてもよい(これについては他の実施形態で説明する)。
【0041】
本体13の下方開口側部に装着されるキャップ15は、略円形板状をなした底壁42と、この底壁42の周縁から立設し、上方が開口した略円筒状をなした周壁43とからなる、略有底円筒状となっている。前記周壁43の上端部側が、本体13の第1拡径部23の内側に挿入される。また、底壁42の内面側であって、径方向中央部には、円環状をなしたバネ支持突部42aが突設しており、第1付勢バネ67の下端部外周を保持する。
【0042】
更に、底壁42の、前記バネ支持突部42aの外側には、複数の通孔44が形成されている(図1参照)。この通孔44は、第1背面側空間R2と連通している。そのため、通孔44を通じて、第1背面側空間R2内の気体が調整バルブ10の外方へ排出されたり、調整バルブ外側の気体が第1背面側空間R2内に流入されたりする。
【0043】
一方、本体13の上方開口部側に装着されるカバー17は、略環状をなした基部45と、該基部45の内周縁部から隆起した隆起部46と、該隆起部46の天井面46aから立設した、アクチュエータ取付用の取付部47とを有している。この取付部47は、上方が開口した略四角枠状をなしており、その基端部両側には、四角孔状の開口47aがそれぞれ形成されている。そのため、取付部47の内部空間は、開口47aを介してハウジング11の外部と連通している。
【0044】
更に図3に示すように、基部45の外周縁部であって、その内面側(第2弁体61側に向く面)からは、第2弁体61の外周縁部64(後述)を挟持する、挟持部45aを有している。この挟持部45aは、本体13の第2拡径部24の内側に挿入されるようになっている。
【0045】
更に、隆起部46の天井面46aの径方向中央には、丸孔状をなした通孔46bが形成されている。この通孔46bは、第2背面側空間R3と、取付部47の内部空間とを連通させる。そのため、通孔46b及び取付部47の開口47aを通じて、第2背面側空間R3内の気体が調整バルブ10の外方へ排出されたり、調整バルブ外側の気体が第2背面側空間R3内に流入されたりする。
【0046】
以上説明したハウジング11は、この実施形態の場合、本体13とキャップ15とカバー17との3部品構成となっているが、例えば、有底筒状の本体と、その上方に装着されるカバーとの、2部品構成としてもよい。また、ハウジングや、タンク連通管、キャニスター連通管、その部分の形状や構造としては、上記態様に限定されるものではなく、少なくとも第1開口及び第2開口を有する形状や構造であればよい。
【0047】
次に、上記構成をなしたハウジング11の、第1開口37及び第2開口38を開閉する、第1弁体60及び第2弁体61について詳述する。
【0048】
図1に示すように、この実施形態における第1弁体60及び第2弁体61は、ゴムや弾性エラストマー等の弾性材料から、全部分が一体形成された、ダイヤフラムとなっている。なお、第1弁体60及び第2弁体61は同一形状となっており、ハウジング11に対して配置する際の向きが異なるだけである。
【0049】
より具体的には、これらの弁体60,61は、開口37,38に接離して、同開口37,38を開閉する、円板状をなした基部62と、該基部62の周縁から環状に広がった形状をなすと共に、前記基部62よりも肉薄とされ、内部空間R1の圧力変動により撓み変形可能とされた、弾性変形部63とを有している。また、基部62の一方の面からは、突部62aが突設されている。
【0050】
更に図3に示すように、弾性変形部63は、上向き又は下向きの凸形状、すなわち、開口37,38から離れる方向に向けて緩やかな曲面状をなすように突出する形状となっており、その外周縁部64の外径は、本体13に設けた第1拡径部23及び第2拡径部24の内径に適合するようになっている。また、図3に示すように、弾性変形部63の外周縁部64であって、その内面側(内部空間R1側に向く面)からは、環状をなした凸部64aが突設されている。
【0051】
上記の第1弁体60は、本体13の第1開口部21側に、キャップ15を介して装着されるようになっている。
【0052】
まず、第1付勢バネ67の下端部を、キャップ15の底壁42の内面に支持させると共に、バネ支持突部42aにより保持する。その後、凹部65cの開口を上向きとした状態の、バネ支持部材65を、第1付勢バネ67の上端部に支持させて、同第1付勢バネ67の上端部を、バネ支持部材65の、内側の環状壁65bにより保持する。
【0053】
次いで、ダイヤフラムである第1弁体60を、その突部62aを下向きにして、バネ支持部材65の凹部65c内に挿入して位置決めすると共に、キャップ15の周壁43の上端部に、第1弁体60の外周縁部64を、凸部64aを上向きにして載置する。
【0054】
この状態で、キャップ15を、第1弁体60側から、本体13の第1開口部21に向けて押し込んで、本体13の第1拡径部23の内周と、キャップ15の周壁43の上端部の外周との間を、接着剤やその他の溶着手段により固着する。すると、第1弁体60の凸部64aが、本体13の第1開口部21側の凹部23a内に嵌入すると共に、キャップ15の周壁43の上端部と、本体13の第1開口部21側の周縁部との間で、第1弁体60の外周縁部64が挟持されると共に、第1弁体60とキャップ15との間で、第1付勢バネ67が圧縮状態で配置されて、本体13の第1開口部21側にキャップ15が取付けられるようになっている。
【0055】
その結果、キャップ15と第1弁体60との間に、第1背面側空間R2が画成されるようになっている。この状態では、圧縮状態で保持された第1付勢バネ67によって、バネ支持部材65を介して、第1弁体60の基部62が第1開口37に向けて付勢されて、基部62が第1弁座37aに当接することで、第1開口37は閉じた状態となっている(図3参照)。なお、第1弁体60は、所定値以上の圧力が作用すると、第1弁座37aから離反して第1開口37を開くようになっているが(図6参照)、この際の、第1弁体60が第1開口37から開く際の開弁圧を、「第1開弁圧」とする。
【0056】
一方、第2弁体61は、本体13の第2開口部22側に、カバー17を介して装着されるようになっている。
【0057】
まず、ダイヤフラムである第2弁体61を、突部62aを上向きにすると共に、外周縁部64の凸部64aを、本体13の第2開口部22側の凹部24a内に嵌入する。その後、バネ支持部材65の凹部65c内に、第2弁体61の突部62aを挿入するように、第2弁体61の上面側にバネ支持部材65を位置決めした状態で載置する。次いで、第2付勢バネ68の下端部を、バネ支持部材65の底壁65aに支持させると共に、バネ支持部材65の、内側の環状壁65bにより保持する。
【0058】
その後、カバー17を、挟持部45aを下向きにして、本体13の第2開口部22側に向けて被せていき、本体13の第2拡径部24の内周と、カバー17の挟持部45aの外周との間を、接着剤やその他の溶着手段により固着する。すると、第2弁体61の凸部64aが、本体13の第2開口部22側の凹部23a内に嵌入すると共に、カバー17の挟持部45aと、本体13の第2開口部22側の周縁部との間で、第2弁体61の外周縁部64が挟持されると共に、第2弁体61とカバー17との間で、第2付勢バネ68が圧縮状態で配置されて、本体13の第2開口部22側にカバー17が取付けられるようになっている。
【0059】
その結果、カバー17と第2弁体61との間に、第2背面側空間R3が形成される。この状態では、圧縮状態で保持された第2付勢バネ68によって、バネ支持部材65を介して、第2弁体61の基部62が第2開口38に向けて付勢されて、基部62が第2弁座38aに当接することで、第2開口38は閉じた状態となっている(図7参照)。なお、第2弁体61は、所定値以上の圧力が作用すると、第2弁座38aから離反して第2開口38を開くようになっているが(図8参照)、この際の、第2弁体61が第2開口38から開く際の開弁圧を、「第2開弁圧」とする。
【0060】
また、上記の状態では、本体13の第1開口部21側が第1弁体60によって閉塞されると共に、本体13の第2開口部22側が第2弁体61によって閉塞されるので、本体13の、第1弁体60及び第2弁体61の間に、内部空間R1が画成されるようになっている。
【0061】
なお、この実施形態における第1弁体60及び第2弁体61は、弾性材料から形成されたダイヤフラムとなっているが、第1弁体及び第2弁体としては、合成樹脂材料や金属材料から形成された弁体であってもよく、その形状や構造は、ハウジングの形状や構造に応じて適宜変更することができ、特に限定はされない。
【0062】
次に、アクチュエータ70について説明する。
【0063】
この実施形態におけるアクチュエータ70は、いわゆる電動アクチュエータであって、略筒状をなした本体71と、該本体71に対してスライドするように進退動作する、作動部材73とを有している。すなわち、この作動部材73は、第2弁体61に対して近接する方向に突出するか(図3参照)、又は、第2弁体61に対して離反する方向に後退する(図7参照)ようになっている。また、作動部材73の突出方向先端には、円板状の当接部73aが設けられている。
【0064】
また、上記アクチュエータ70は、カバー17に設けた取付部47内に挿入されて、取付けられるようになっている。この取付状態では、作動部材73が、カバー17の通孔46bを通って、第2弁体61の背面側(第2弁体61の、第2開口38の表側周縁部に対する当接面とは反対側)の中央に配置される(図3参照)。その結果、作動部材73は、その進退動作に伴って、第2弁体61の背面側に接離するようになっている。ここでは、作動部材73は、バネ支持部材65を介して、第2弁体61の背面側に間接的に接離する)。
【0065】
この実施形態におけるアクチュエータ70は、電磁石で得られる電力を利用するソレノイド(電磁弁)アクチュエータとなっている。ただし、アクチュエータとしては、リニアモータを利用したリニアアクチュエータや、形状記憶合金を用い、電流を入力することが発生するジュール熱を利用したアクチュエータ、ゴムチューブを利用したラバーアクチュエータを用いたり、更には、ボールネジ等を利用した進退構造としたり、空圧や油圧を利用した圧力シリンダーを適用してもよく、作動部材を進退動作可能な構造であればよい。
【0066】
そして、上記アクチュエータ70は、第2弁体61を第2開口38に対して強制的に閉じる第1動作、及び、第2弁体61を第2開口38に対して強制的に閉じた状態を解除する第2動作をなすように構成されている。
【0067】
すなわち、図3に示すように、アクチュエータ70の作動部材73が前進して、その当接部73aが、バネ支持部材65を押圧することで、該バネ支持部材65を介して、第2弁体61が背面側から間接的に押圧されて、第2弁体61の基部62が第2弁座38aに当接して、第2弁体61で第2開口38を強制的に閉じるようになっている。この動作が上記「第1動作」をなす。
【0068】
なお、図3に示す状態では、第2弁体61には、第2付勢バネ68による付勢力も作用しているので、第2弁体61は、第2付勢バネ68からの付勢力と、アクチュエータ70の第1動作に伴う押圧力とによって、第2開口38を閉じるようになっている。
【0069】
そして、図3に示すように、アクチュエータ70の第1動作によって、第2弁体61を第2開口38に対して強制的に閉じた状態では、第2弁体61に第2開弁圧よりも高い圧力が作用しても、第2弁体61が第2開口38から開くことが規制される。
【0070】
なお、図3に示す状態で、第1弁体60に、第1開弁圧よりも高い圧力が作用すると、図6に示すように、第1付勢バネ67の付勢力に抗して、第1弁体60が第1開口37から開くようになっている。
【0071】
一方、図7に示すように、アクチュエータ70の作動部材73が後退して、当接部73aが、バネ支持部材65から離反するので、第2弁体61で第2開口38を強制的に閉じた状態が解除される。この動作が上記「第2動作」をなす。
【0072】
なお、図7に示す状態で、第2弁体61に、第2開弁圧よりも高い圧力が作用すると、図8に示すように、第2付勢バネ68の付勢力に抗して、第2弁体61が、第2開口38から開くようになっている。
【0073】
また、この実施形態では、アクチュエータ70は、燃料タンク1への給油操作時に、前記第2動作をなすように構成されている。更に、アクチュエータ70は、燃料タンク1への給油操作時以外に、上記第1動作をなすように構成されている。
【0074】
次に、図9のフロー図を併せて参照して、調整バルブ10の動作について、より詳細に説明する。
【0075】
また、アクチュエータ70の作動部材73の突出・後退動作は、図4に示す制御構造によって制御される。すなわち、図4に示すように、この制御構造は、給油カバー6bの開閉を検出する検出部7と、検出部7からの信号に基づいて、アクチュエータ70の作動部材73に前進信号(突出信号)又は後退信号(退避信号)を送信する、制御部8とを有している。
【0076】
なお、制御部8による、アクチュエータ70の作動部材73への、前進信号又は後退信号を送信するタイミングとしては、給油カバー6bの開き時と同時に、信号を送信してもよいが、ある程度のタイムラグがあってもよい(例えば、上記状態となったときから、所定時間遅れたタイミングで前進信号や後退信号を送信してもよい)。
【0077】
そして、検出部7によって給油カバー6bの開閉の有無が判断される(ステップS1)。給油カバー6bの開きが検出されない状態では、アクチュエータ70の作動部材73に前進信号が送信されて、アクチュエータ70の第1動作がなされ(ステップS2)、第2弁体61が第2弁座38aに当接して、第2開口38を強制的に閉じる(図3参照)。この図3に示す状態で、第1弁体60に、第1開弁圧よりも高い圧力が作用すると(ステップS3)、第1弁体60が、第1付勢バネ67の付勢力に抗して第1弁座37aから離反して、第1開口37が開く(ステップS4、図6参照)。
【0078】
一方、図3に示す状態で、第1弁体60に、第1開弁圧よりも高い圧力が作用しない場合には、第1弁体60は、第1付勢バネ67の付勢力によって第1弁座37aに当接して、第1開口37を閉じた状態に維持される(ステップS5)。
【0079】
また、図9におけるステップS1の、検出部7による給油カバー6bの開閉有無の判断時において、給油カバー6bの開きが検出されると、アクチュエータ70の作動部材73に後退信号が送信されて、アクチュエータ70の第2動作がなされ(ステップS6)、第2弁体61で第2開口38を強制的に閉じた状態が解除される(図7参照)。この図7に示す状態で、第2弁体61に、第2開弁圧よりも高い圧力が作用すると(ステップS7)、第2弁体61が、第2付勢バネ68の付勢力に抗して第2弁座38aから離反して、第2開口38が開く(ステップS8、図8参照)。
【0080】
一方、図7に示す状態で、第2弁体61に、第2開弁圧よりも高い圧力が作用しない場合には、第2弁体61は、第2付勢バネ68の付勢力によって第2弁座38aに当接して、第2開口38を閉じた状態に維持される(ステップS9)。
【0081】
また、以上説明したアクチュエータ70の作動部材73の突出・後退動作は、あくまで一例であり、上記態様に限定されるものではない。
【0082】
(作用効果)
次に、上記構成からなる本発明に係る調整バルブ10の作用効果について説明する。なお、この実施形態の場合、第2開弁圧は、燃料タンク1への給油時における、燃料タンク1内の圧力よりも、所定値以上高くなるように設定されている。
【0083】
図3に示すように、この調整バルブ10は、給油をしておらず(図9のステップS1参照)、燃料タンク内の圧力も上昇してない通常状態では、第1付勢バネ67によって、第1弁体60が付勢されて第1開口37を閉じると共に、第2付勢バネ68によって、第2弁体61が付勢されて第2開口38を閉じ、かつ、アクチュエータ70が第1動作をなし(図9のステップS2参照)、第2弁体61を第2開口38に対して強制的に閉じた状態となっている。
【0084】
そして、給油がされない状態で、車両の走行等によって、燃料タンク1内の圧力が上昇すると、燃料蒸気が、カットバルブV2や満タン規制バルブV1、タンク側配管3a、タンク連通管25を通過して、ハウジング11の内部空間R1内に流入していき、内部空間R1の圧力が上昇していく。
【0085】
そして、燃料タンク1内の圧力が所定値以上となり、ハウジング11の内部空間R1の圧力が第1開弁圧よりも高くなると(図9のステップS3参照)、図6に示すように、ダイヤフラムである第1弁体60の弾性変形部63に、内部空間R1側から第1背面側空間R2側に向けて押圧力が作用して撓み変形し、それによって、第1背面側空間R2からの押圧力及び第1付勢バネ67の付勢力に抗して、第1弁体60が押し下げられて、その基部51が第1弁座37aから離反して、第1開口37が開く(図9のステップS4参照)。
【0086】
その結果、タンク連通管25とキャニスター連通管30とが第1開口37を介して互いに連通するので、内部空間R1内の燃料蒸気は、延出部36や、キャニスター連通管30、キャニスター側配管3bを通過して、キャニスター2へと排出されて(図6参照)、燃料タンク1内の圧力を低下させることができる。
【0087】
なお、図3に示す状態で、燃料タンク1内の圧力が低下すると、傘バルブ40の頭部40bが裏面側から押圧されて捲り上がるように変形し、その周縁部が延出部36の複数の通孔39aの表側周縁から離反して、複数の通孔39aが開く。そのため、燃料タンク1外の空気が、キャニスター側配管3b、キャニスター連通管30、延出部36、複数の通孔39aを通じて、ハウジング11の内部空間R1内に流入し、更に空気は、タンク側配管3a、タンク連通管25を通じて、燃料タンク1内に導入されて、燃料タンク1内の圧力を上昇させることができる。
【0088】
また、図3に示す状態から給油をすべく給油カバー6bが開かれると(図9のステップS1参照)、アクチュエータ70が第2動作をなし(図9のステップS6参照)、第2弁体61で第2開口38を強制的に閉じた状態が解除される(図7参照)。
【0089】
上記のように、アクチュエータ70が第2動作をなした時点で、燃料タンク1内の圧力が、ハウジング11の内部空間R1の圧力が第2開弁圧よりも高い場合には(図9のステップS7参照)、図8に示すように、ダイヤフラムである第2弁体61の弾性変形部63が、内部空間R1側から第2背面側空間R3側に向けて押圧されて撓み変形し、それによって、第1背面側空間R2からの押圧力及び第1付勢バネ67の付勢力に抗して、第2弁体61が押し上げられて、その基部51が第2弁座38aから離反して、第2開口38が開く(図9のステップS8参照)。
【0090】
その結果、タンク連通管25とキャニスター連通管30とが第1開口37を介して互いに連通するので、内部空間R1内の燃料蒸気は、延出部36や、キャニスター連通管30、キャニスター側配管3bを通過して、キャニスター2へと排出されて(図8参照)、燃料タンク1内の圧力を、第2開弁圧以下に低下させることができ、燃料タンク1への給油前に、燃料タンク1内の圧力を所定値以下に下げることができる。その後、燃料タンク1の給油口6aに給油ガンが差し込まれて、給油パイプ6を通じて燃料タンク1内に燃料が給油される。
【0091】
以上のように、この調整バルブ10においては、アクチュエータ70が第1動作をなすと、第2弁体61で第2開口38を強制的に閉じて、第1弁体60のみが、第1開弁圧で、第1開口37から開き可能となり(図6参照)、一方、アクチュエータ70が第2動作をなすと、第2弁体61で第2開口38を強制的に閉じた状態が解除されて、第2弁体61が、第1開弁圧よりも低い第2開弁圧で、第2開口38に対して開き可能となるので(図8参照)、2段階の開弁圧でもって、燃料タンク1内の圧力を調整することができる。
【0092】
また、この実施形態においては、アクチュエータ70は、燃料タンク1への給油操作時に第2動作をなすように構成されている。そのため、前述したように、第2弁体61を、第1開弁圧よりも低い第2開弁圧で、第2開口38から開き可能となり、タンク連通管25を通じてハウジング11の内部空間R1に流入した燃料蒸気を、キャニスター連通管30を介して燃料タンク1の外部へと排出可能となる。その結果、燃料タンク1への給油前に、燃料タンク1内の圧力を所定値以下に下げることができるので、給油口6aから給油キャップを開いたときに、給油口6aからの燃料噴出や噴出音の発生を防止することができる。
【0093】
一方、通常時は、アクチュエータ70を第1動作させて、第2弁体61で第2開口38を強制的に閉じることにより、第1弁体60を、第2開弁圧よりも高い第1開弁圧で、第1開口37から開き可能とし、燃料蒸気の燃料タンク1の外部への漏れを、抑制することができる。
【0094】
また、この実施形態においては、キャニスター連通管30は、他端32から内部空間R1内に位置するように延びた延出部36を有しており、この延出部36に、第1開口37及び第2開口38が形成されている(図3参照)。
【0095】
これによれば、ハウジング11の内部空間R1内に位置する延出部36を利用して、第1開口37及び第2開口38を形成することができので、調整バルブ10の構造の簡素化を図ることができると共に、コンパクト化を図ることができる。
【0096】
更に、この実施形態においては、図3図5に示すように、延出部36の延出方向の先端部36bに、第1開口37及び第2開口38が対向して形成されており、第1弁体60及び第2弁体61は、第1開口37及び第2開口38に対して開閉可能に接離するダイヤラムとなっている。
【0097】
そのため、第1弁体60及び第2弁体61の、第1開口37及び第2開口38に対する開弁時の流量を確保しつつ、第1弁体60及び第2弁体61を軸方向から見たときの、調整バルブ10の大きさをコンパクトにすることができる。
【0098】
(圧力調整バルブの、他の実施形態)
図10を参照して、本発明に係る圧力調整バルブの、他の実施形態について説明する。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0099】
この実施形態の圧力調整バルブ10A(以下、単に「調整バルブ10」ともいう)は、主として、ハウジング11Aの構造や、第1開口37及び第2開口38の形成位置が、前記実施形態と異なっている。
【0100】
ハウジング11Aは、有底筒状をなした本体13Aと、該本体13Aの上方の開口部21に装着されるカバー17Aとの、2部品構造となっている。
【0101】
また、本体13Aは、底壁28と、その周縁から立設した周壁20とを有している。タンク連通管25Aは、本体13Aとは別体で形成されており、キャニスター連通管30Aは、本体13Aと一体形成されてている。
【0102】
更に、タンク連通管25Aの他端27が周壁20に連結されていると共に、内部空間R1内に位置するように、延出部36Aが延びている。この延出部36Aの天井壁36dに、第1開口37及び第2開口38が所定間隔を空けて並列して形成されている。ここでは天井壁36dの先端側に、第1開口37が形成されており、同天井壁36dの、第1開口37と延出部36Aの基端部との間に、第2開口38が形成されている。なお、延出部36Aの延出方向先端側に立設した壁部41には、傘バルブ装着孔39が形成されており、傘バルブ40が装着されている。
【0103】
また、第1弁体60A及び第2弁体61Aは、円板状をなすと共に、表面側の径方向中央部から突部62aが突設されている。更に、第1弁体60A及び第2弁体61Aは、それぞれバネ支持部材65を介して、第1付勢バネ67及び第2付勢バネ68によって、第1開口37及び第2開口38を閉じる方向に付勢されている。
【0104】
また、カバー17Aの取付部47を介して取付けられたアクチュエータ70は、第2弁体61Aを第2開口38に対して強制的に閉じる第1動作、及び、第2弁体61Aを第2開口38に対して強制的に閉じた状態を解除する第2動作をなすように構成されている。
【0105】
上記実施形態の調整バルブ10Aにおいても、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この実施形態の調整バルブ10Aは、ハウジング11Aの部品点数を削減して、ハウジング11Aの高さ方向のコンパクト化を図ることができる。
【0106】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1 燃料タンク
2 キャニスター
3 配管
10,10A 圧力調整バルブ(調整バルブ)
11,11A ハウジング
13,13A 本体
15 キャップ
17,17A カバー
25,25A タンク連通管
30,30A キャニスター連通管
37 第1開口
38 第2開口
40 傘バルブ
60,60A 第1弁体
61,61A 第2弁体
65 バネ支持部材
67 第1付勢バネ
68 第2付勢バネ
70 アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10