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特許7340129対象物を把持及び/又は保持するロボット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】対象物を把持及び/又は保持するロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
B25J19/00 F
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020160707
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2021053799
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】19200679
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20195208
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523279866
【氏名又は名称】エスエムヴェー・エレクトロニクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】エックハルト マウラー
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04830569(US,A)
【文献】米国特許第05624364(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0256995(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0057164(US,A1)
【文献】国際公開第2018/056452(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00201685(EP,A1)
【文献】特開平08-025105(JP,A)
【文献】特開平05-293788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(2)を把持及び/又は保持するロボット(1)であって、
-支持フレーム(19)に支持され、少なくとも1つの並進自由度及び/又は回転自由度で空間内を移動可能な少なくとも1つのロボットアーム(3,4,5)と、
-それぞれの前記対象物(2)を位置指向して支持し及び/又は回転可能に保持する、把持装置及び/又は保持装置(6)と、
-前記対象物(2)に作用するトルク及び/又はクランプ力を生成する、前記把持装置及び/又は保持装置(6)内に設置された少なくとも1つの電気モータ(9)と、
-前記把持装置及び/又は保持装置(6)がそれ自身の長手軸(6’)の周りに回転するように前記把持装置及び/又は保持装置(6)に駆動式に結合した、前記ロボットアーム(5)内に設置された駆動軸(24)と、から成るロボットにおいて、
-端部の前記ロボットアーム(5)の自由端(10)と前記把持装置及び/又は保持装置(6)の間にインターフェース(31)が設けられ、当該インターフェース(31)は、前記ロボットアーム(5)に回転不能に固定された結合器(25)とそこに適合したフランジ(11)によって埋められ、当該フランジ(11)は、前記把持装置及び/又は保持装置(6)及び前記駆動軸(24)に回転不能に接続しており、
-誘導操作される第1トランシーバー(12)が前記結合器(25)内に設けられ、当該トランシーバー(12)は、前記ロボットアーム(5)に供給される送電線(14)を介して電源(15)に接続しており、
-誘導操作される第2トランシーバー(13)が前記フランジ(11)内に設けられ、当該トランシーバー(13)は複数の送電線(14)を介して前記把持装置及び/又は保持装置(6)に接続しており、
-前記インターフェース(31)の一部として、前記結合器(25)と前記フランジ(11)の間に空隙(21)がある、ことを特徴とするロボット。
【請求項2】
少なくとも1つの変調器(26,26.1)と少なくとも1つの復調器(27,27.1)がトランシーバー装置(12,13)のそれぞれに設けられ、それにより電気エネルギー及び/又は電気信号が2つのトランシーバー装置(12,13)の間で交互に伝達される、ことを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
一組のコイル(28,29)が変調器(26)又は(26.1)と復調器(27)又は(27.1)のそれぞれの組に割り当てられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項4】
連続の受信信号伝達インターフェースの装置が前記結合器(25)に割り当てられ、前記結合器(25)を介して信号伝達又はエネルギー伝達が前記ロボットアーム(5)と前記把持装置及び/又は保持装置(6)の間で二方向に行われる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項5】
第1及び第2誘導トランシーバー装置(12,13)は電圧及び/又は電気信号を交互に伝達し、それにより前記把持装置及び/又は保持装置(6)内の前記電気モータ(9)が制御、監視される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項6】
トルク支持部(16)が、端部の前記ロボットアーム(5)の前記自由端(10)と前記結合器(25)の間に固定され、当該トルク支持部(16)により前記結合器(25)が前記ロボットアーム(4)に回転しないようにロックされる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項7】
前記トルク支持部(16)はロッド又はストリップとして設計され、前記トルク支持部(16)の2つの自由端は、締結ねじ(16,17)によって前記ロボットアーム(5)又は前記結合器(25)に固定される、ことを特徴とする請求項6に記載のロボット。
【請求項8】
前記把持装置及び/又は保持装置(6)は時計回り及び反時計回りに回転でき、前記把持装置及び/又は保持装置(6)は1つの回転方向に無限に回転できる、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項9】
前記空隙(21)を通り、前記フランジ(11)に駆動式に結合した前記駆動軸(24)は、前記ロボットアーム(5)の端部、前記結合器(25)及び前記フランジ(11)に設置され、案内される、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項10】
1又は複数のスラスト部分(7,8)が前記把持装置及び/又は保持装置(6)の自由端に取り付けられ、それによりそれぞれの前記対象物(2)が前記把持装置及び/又は保持装置(6)にロックされる、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項11】
複数の送電線(14)が、前記フランジ(11)と前記把持装置及び/又は保持装置(6)の間に設けられ、当該送電線(14)は、前記把持装置及び/又は保持装置(6)又は前記フランジ(11)の内側又は外側に延びる、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項12】
前記スラスト部分(7,8)が、半径方向に変位可能であるように又は工具として構成された前記対象物(2)をロックして当該工具が工作物を加工するように、前記把持装置及び/又は保持装置(6)に設置される、ことを特徴とする請求項10に記載のロボット。
【請求項13】
前記把持装置及び/又は保持装置(6)の回転速度が前記駆動軸(24)によって生成される、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項14】
前記把持装置及び/又は保持装置(6)が複数のセンサ(18)に割り当てられ、それらにより前記把持装置及び/又は保持装置(6)からの信号がインターフェース又はバスインターフェースを介して前記結合器(25)に伝達される、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1のプレアンブル部分に従う対象物を把持及び/又は保持するロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなロボット装置は、例えば製造業において数十年の間手作業をサポートするために使用されてきた。ロボットは空間において重い対象物を搬送し又は保持し、それらロボットは機械的又は手動処理に自由にアクセスできる。
【0003】
ロボットは、互いに連結した複数の関節式ロボットアームから成る。ロボットアーム間のジョイント(関節)は、ヒンジや玉継手の形式のカルダン継手、スイベルジョイントとして設計されてもよい。したがって、ロボットアームの自由端は、複数の回転自由度又は並進自由度で移動可能である。
【0004】
個々のロボットアームの移動に必要とされる駆動装置はしばしば電気モータから成り、そのそれぞれは、個々のロボットアームの回転移動を生じさせる必要なエネルギー又は電圧を得るために、電源に接続されねばならない。
【0005】
対象物を拾い上げるために、ロボットアームの自由端は、別な電気モータが取り付けられている把持装置及び/又は保持装置を有する。少なくとも1つのスラスト部分がこの電気モータにより移動可能又は駆動可能である。それゆえ、それぞれの駆動されるスラスト部分は長手軸の方向に又は把持装置及び/又は保持装置と垂直に移動でき、スラスト部分は、把持装置及び/又は保持装置に固定された又は電気モータに駆動可能に結合した少なくとも1つの別なスラスト部分と協働する。結局、2つのスラスト部分は互いに向かって又は離れて移動できる。クランプされる(挟まれる)対象物はそれぞれのスラスト部分の間に配置され、それによりそれは電気モータによって印加される前進力(feed force)によりスラスト部分の間で保持される。
【0006】
把持装置及び/又は保持装置は、その自身の長手軸周りに回転できるように、端部でロボットアームに支持される。それは、それが反時計回り又は時計回りに回転でき、例えばクランプされる対象物の自由なアクセス性を改良することを意味する。
【0007】
把持装置及び/又は保持装置の回転の可能性が制限される不都合が見出されてきた、と言うのも電気モータの電源に必要なケーブルが回転の可能性を制限するからである。これは、360°の回転角度に達すると、電気ケーブルが、内側に敷設されているか外側に敷設されているかにかかわらず、ロボットアームと接続される把持装置及び/又は保持装置の間で互いにねじ曲がるからである。
【0008】
したがって、従来技術のロボットは、360°の最大回転を実行できるだけである。最大回転角度に達するとすぐに、把持装置及び/又は保持装置をリセットすることが絶対必要である。したがって、従来技術のロボットは、それらの長手軸に関して±360°に制限された回転を実施できる。
【0009】
把持装置及び/又は保持装置の回転角度がストッパなどによって制限されたとしても、電気ケーブルはかなりの摩損を受ける、と言うのも把持装置及び/又は保持装置の永続的な回転は電気ケーブルに重力を加え、それが或る操作期間後にケーブルを壊し、ゆえにそれらケーブルは交換されねばならないからである。
【0010】
特許文献1は、例えば、ロボットアーム用の非接触容量エネルギー伝達を開示している。
【0011】
容量エネルギー伝達は不都合には不適切である、と言うのも、ロボットアームの自由前端部で把持装置及び保持装置を操作する電気モータは通常、多大な量のエネルギーを必要とし、従って必要なエネルギーが容量伝達(コンデンサ)によって十分にもたらされない。
【0012】
容量エネルギー伝達はその容量においてかなり制限され、つまり、複数の構成部品、すなわちグリッパフィンガー又はグリッパアームの回転を移動させるための十分な電気エネルギーを供給しない。
【0013】
さらに、容量エネルギー伝達は、導体が互いから極めて短い距離に位置決めされねばならないという不都合を有する。一次側電源と二次側シンク又は負荷の間の容量エネルギー伝達装置のための出力率又は伝達率は、これら2つの側の間の距離のそれぞれ半分の二倍であり、その逆も等しい。数ワットの範囲のエネルギー伝達のために技術的に使用可能な容量は二桁のピコファラッドの範囲にある。しかしながら、これは、1mmより大きい距離が低い伝達率で機能するので、例えば容量エネルギー伝達の送受信装置(トランシーバー)として掌サイズの表面が必要とされることを意味する。しかしながら、特にロボットでは、特にロボットアームの回転を保証するために、カプラとフランジの間の距離は非常に大きくなければならない。
【0014】
加えて、容量エネルギー伝達の大面積送受信装置はかなりの量の空間を必要とする、と言うのも送受信装置のサイズは容量エネルギー伝達の出力率を決定するからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】US4830569A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ゆえに、本発明の課題は、ロボットアームの自由端に配置された把持装置及び/又は保持装置が空間内で自由に移動できるように、すなわちその自身の長手軸周りの回転がロボットの移動に必要な機械的構成部品を制限せずに所望に素早く頻繁に実行され得るように、前述したタイプのロボットをさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、特許請求項1の特徴部分の特徴によって本発明に従い解決される。
【0018】
本発明の更なる有利な実施形態は、従属請求項から明らかになる。
【0019】
端部の前記ロボットアームの自由端と前記把持装置及び/又は保持装置の間にインターフェース(接合部分)が設けられ、当該インターフェースは、前記ロボットアームに回転不能に固定された結合器とそこに適合したフランジによって埋められ、当該フランジは、前記把持装置及び/又は保持装置及び前記駆動軸に回転不能に接続しており、誘導操作される第1トランシーバーが前記結合器内に設けられ、当該トランシーバーは、前記ロボットアームに供給される送電線を介して電源に接続しており、誘導操作される第2トランシーバーが前記フランジ内に設けられ、当該トランシーバーは複数の送電線を介して前記把持装置及び/又は保持装置に接続しており、前記インターフェースの一部として、前記結合器と前記フランジの間に空隙があることにより、空間内での把持装置及び/又は保持装置の自由な回転が保証される。と言うのも、把持装置及び/又は保持装置内にある電気モータへの電力供給が、2つの誘導操作されるトランシーバー装置を介してもたらされるからである。2つの誘導トランシーバー装置を介する電気モータの電力供給は、どんな回転角度でも把持装置及び/又は保持装置の自由で素早い回転を可能にする。従来のロボット用のエネルギー供給をもたらす電気ケーブルへの摩損は完全に排除される。
【0020】
加えて、少なくとも1つの変調器と少なくとも1つの復調器がトランシーバー装置のそれぞれに設けられ、それにより電気エネルギー及び/又は電気信号が2つのトランシーバー装置の間で交互に伝達される場合に、2つのトランシーバー装置は電気信号を伝達し、それによりスラスト部分の移動が調節でき、永続的に監視され得る。
【0021】
有利には、トランシーバー装置はそれぞれ、少なくとも1組の変調器と復調器から成り、それにより信号及び電気エネルギーの誘導伝達が互いに独立して実行できる。前記組の変調器と復調器は、信号又は電気エネルギーを伝達する。信号伝達又はエネルギー伝達は二方向性であってもよく、すなわち電気モータから評価装置へ又は電源から電気モータへ又はその逆の両方の方向に交互に行われてもよい。加えて、信号伝達又はエネルギー伝達は、適切な電気センサや他の電気機械的構成部品によって監視、評価されてもよく、それでロボットの操作状態が永続的に分かる。必要ならば、既存のエラーメッセージや格納されたプログラムシーケンスからのずれのために、ロボットの操作シーケンスにおける適切な介入が、適切な電気装置、例えばマイクロプロセッサによって外部から実行されてもよい。対応する手段は、一方でロボットの作業シーケンスを最適化するよう機能し、他方でデータベースに格納された特定の作業シーケンスをなるべく正確に実行するよう機能し又はロボットの移動によりそれをシミュレートするよう機能する。
【0022】
図面は、本発明に従って構成されたロボットの例示の実施形態を示し、その詳細を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】3本のロボットアーム及び端部でロボットアームに取り付けられたフランジを有し、それにより把持装置及び/又は保持装置は回転可能に駆動され、また把持装置及び/又は保持装置に割り当てられ、それに半径方向に移動可能に支持された対象物を保持する2つのスラスト部分を有するロボットを示す斜視図である。
図2a】外側に延びるケーブルを有する、図1に示す端部におけるロボットアームの自由端の拡大図を示す図である。
図2b】内側に延びるケーブルを有する、図1に示すロボットアームの自由端を示す図である。
図3a】把持装置及び/又は保持装置内の電気モータの移動及び制御に関するエネルギー伝達及び/又は信号伝達のための電気接続部を有する、図2aに示すロボットアームを示す図である。
図3b】把持装置及び/又は保持装置内の電気モータの移動及び制御に関するエネルギー伝達及び/又は信号伝達のための電気接続部を有する、図2bに示すロボットアームを示す図である。
図4a】エネルギー伝達及び信号伝達のための変調器及び復調器の対をなす装置を示す、図2aに示すロボットアームを通る断面を示す図である。
図4b】エネルギー伝達及び信号伝達のための変調器及び復調器の対をなす装置を示す、図2bに示すロボットアームを通る断面を示す図である。
図5a図3aに従うロボットアームを通る断面図である。
図5b図3bに従うロボットアームを通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、対象物2を空間に把持及び保持するロボット1を示す。
対象物2は場合によっては、機械加工すべき工作物であってもよく、それに加工ステップが実行される。対象物2が工具である場合、それはそれ自体の長手軸の周りに回転できるように設置され、駆動される。対象物2はまた、工作物又は工具をロックする他の支持部品であってもよい。
【0025】
ロボット1は3本のロボットアーム3,4及び5を有し、それぞれがジョイント20によって互いに接続している。既存のジョイント20のために、ロボットアーム3,4及び5は互いに対して移動できる。ゆえに、端部のロボットアーム5の自由端は6つの自由度で、つまり3つの並進自由度及び3つの回転自由度で移動できる。
【0026】
加えて、第1ロボットアーム3は支持フレーム19に取り付けられている。支持フレーム19は、工具テーブル、機械フレームなどであってもよい。把持装置及び/又は保持装置6が、その端部10にてロボットアーム5に取り付けられており、その長手軸6’の周りに回転できる。2つのスラスト部分7及び8が把持装置及び/又は保持装置6に割り当てられており、半径方向に移動可能であるように、すなわち図示の例示の実施形態では長手軸6’の方向に又は反対方向に把持装置及び/又は保持装置6上を半径方向に変位可能であるように、そこに設置されている。電気モータ9が、スラスト部分7,8を駆動させるために把持装置及び/又は保持装置6に設置されなければならない。
【0027】
把持装置及び/又は保持装置6をその長手軸6’の周りに回転させるために、連結器25がその自由端10の端部にてロボットアーム5に具備され、把持装置及び/又は保持装置6から空間的に離れている。
【0028】
図3a、3b、4a、4bは特に、フランジ11が連結器25と把持装置及び/又は保持装置6の間に設置されていることを示し、それにより把持装置及び/又は保持装置6はロボットアーム5に取り付けられている。しばしば、ロボットアーム5の自由端10は、顧客固有の把持装置及び/又は保持装置6がロボットアーム5に直接取り付けられないように設計される。端部のロボットアーム5と把持装置及び/又は保持装置6の間のこの移行領域は、定義によりインターフェース31として指定又は表示される。加えて、把持装置及び/又は保持装置6内の電気モータは、把持装置及び/又は保持装置6の操作のための電気エネルギー又は電圧と制御信号の両方を供給されなければならない。ゆえに、電気ケーブルの無いロボットアーム5と把持装置及び/又は保持装置6の間のエネルギー及び信号の伝達を保証するために、空隙21が結合器25とフランジ11の間に最初に設けられる。加えて、把持装置及び/又は保持装置6はそれ自体の長手軸6’の周りに回転する。この目的のために、二部品で設計された駆動軸24が結合器25の内側に設けられ、結合器25に回転可能に設置される。駆動軸24はフランジ11と駆動アクティブ接続をしており、それで駆動軸24の回転移動及び回転速度がフランジ11に直接伝達される。フランジ11は把持装置及び/又は保持装置6と結合しており、それでフランジ11の回転移動は同期して把持装置及び/又は保持装置6に伝達される。それゆえに、6本の送電線14がフランジ11と把持装置及び/又は保持装置の間に延びてもよい。ゆえに、駆動軸24はインターフェース31とそれに割り当てられた空隙21を通る。
【0029】
図4a~5bに示される2つのトランシーバー装置12及び13は、把持装置及び/又は保持装置6内の電気モータ9のための電源供給及び/又は信号伝達のために設置されている。第1トランシーバー12は結合器25に取り付けられ、第2トランシーバー13は把持装置及び/又は保持装置6のフランジ11に取り付けられている。2つのトランシーバー12,13は誘導的に操作され、それで電気エネルギー及び/又は電気信号はこれらトランシーバー12及び13の間で交互に伝達され得る。
【0030】
それぞれのトランシーバー12又は13は、変調器26又は26.1と復調器27又は27.1の組から成る。それぞれの変調器26,26.1及び復調器27,27.1は、誘導的に操作されるコイル28及び29の間に配置され、よって組になって一緒に作動する。変調器26及び復調器27及びコイル28又は29のそれぞれの組は、交互に信号を交換又は伝達する。変調器26.1及び復調器27.1及びコイル29の他の組は、電気モータ9の制御及び操作のためのエネルギーを交互に伝達する。
【0031】
それぞれの変調器26又は26.1又は復調器27又は27.1は、こうしてインターフェース31を形成し、それにより結合器25とフランジ11の間の空隙21が埋められる(橋渡しされる)。よって、信号及びエネルギーは、変調器26又は26.1及び復調器27又は27.1のそれぞれの組によって互いに独立して誘導的に伝達され得る。このタイプの信号伝達及び/又はエネルギー伝達はまた、複数のセンサ及び複数の他の電気構成部品を使用してロボット1の操作状態の永続的監視を行う可能性を提供する。監視は、マイクロプロセッサなどの外部電気装置によって評価でき、必要ならばロボット1の操作シーケンスにおいて外側から介入される。
【0032】
ゆえに、一方で、電気モータ9のエネルギー供給はトランシーバー装置12及び13を介して行われるのに対し、他方で図2a~3bに示す電気信号は、制御装置23から電気接続部22を介して把持装置及び/又は保持装置6に交互に伝えられる。制御装置23は、パラメータ及び送り運動信号を電気モータ9に供給し、スラスト部分7,8は次のように制御される、つまり加えられる保持力が不図示のセンサによって決定され、制御装置23に転送され、そのクランプ力又はトルクが増大され又はときどき減少されるように電気モータ9を制御する。
【0033】
第1トランシーバー12と第2トランシーバー13の間のエネルギー伝達と信号伝達の両方は純粋に誘導的であり、それでフランジ11の回転移動は送電線によって妨げられず行われる。
【0034】
ゆえに、図2a~3bに示されるように、送電線14は電源15に又は電気接続部22に接続している。電気接続部22は、制御装置23のためのインターフェースとして設計されている。
【0035】
図2a~3bは特に、結合器25がトルク支持部16を介してロボットアーム5に回転しないように取り付けられていることを示す。結合器25と把持装置及び/又は保持装置6のフランジ11の間の回転は、それゆえ、結合器25とフランジ11の内側に延びる駆動軸24を介して実行される。トルク支持部16は、2つの締結ねじ17を介してロボットアーム5及び駆動フランジ11に固定されている。
【0036】
図5a及び5bは特に、駆動フランジ11とそれに接続した把持装置及び/又は保持装置6の間に空隙21があることを示す。2つのトランシーバー12,13は誘導エネルギー伝達及び/又は信号伝達をもたらすので、空隙21を埋めるために送電線は必要でない。これにより、把持装置及び/又は保持装置6はそれ自身の長手軸6’の周りに自由に回転できる。ゆえに、電気ケーブルを導入するための開始位置に戻る必要が無い。
【符号の説明】
【0037】
1 ロボット
2 対象物
3,4,5 ロボットアーム
6 把持装置及び/又は保持装置
6’ 長手軸
10 自由端
9 電気モータ
11 フランジ
12 第1トランシーバー
13 第2トランシーバー
14 送電線
15 電源
19 支持フレーム
24 駆動軸
25 結合器
31 インターフェース
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b