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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】接続スリーブ
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/08 20060101AFI20230831BHJP
   H01R 4/20 20060101ALI20230831BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H02G15/08
H01R4/20
H02G1/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019163713
(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公開番号】P2021044884
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】村上 廉士
(72)【発明者】
【氏名】加川 徹
(72)【発明者】
【氏名】安田 勝孝
(72)【発明者】
【氏名】藤井 賢二
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-250425(JP,A)
【文献】特開2006-236783(JP,A)
【文献】特開2006-185902(JP,A)
【文献】特開2006-149102(JP,A)
【文献】特開2014-135201(JP,A)
【文献】特開2014-146420(JP,A)
【文献】特開2016-207274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/08
H01R 4/20
H02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線端部の絶縁被覆を剥ぎ取って導線が露出した導線領域を、スリーブ状の導体からなり前記導線領域を挿入する挿入路を、中央部に設けられた隔壁を介して挿入方向の一方側と他方側とに有する本体を備え、該本体を径方向で圧縮変形させることで一方側の前記挿入路に挿入した前記電線と他方側に挿入した前記電線とを接続する接続スリーブであって、
少なくとも一方側の前記挿入路の挿入開口を形成する一方側端部に挿入方向外方へ突出する突出部を有し、
該突出部は、前記本体が圧縮変形されたときに挿入方向外方へ伸びる長さに相当する長さに設定されており、
前記隔壁から前記突出部の挿入方向外側端縁までの長さが前記導線領域の長さに対応していることを特徴とする接続スリーブ。
【請求項2】
電線の絶縁被覆を剥ぎ取って導線が露出した電線の導線領域を挿通する挿通路を少なくとも一つ有するスリーブ状の導体からなる本体を備え、
該本体の前記挿通路の少なくとも挿通方向一方側端部に、前記挿通方向外方へ突出する突出部であって、前記本体が圧縮変形されたときに、挿通方向一方側に伸びる長さに相当する長さに設定されている突出部を有し、該突出部の挿通方向外側端縁から前記本体の挿通方向他方側端部または挿通方向他方側端部に設けられた前記突出部の前記挿通方向外側端縁までの長さが、前記導線領域の長さに対応していることを特徴とする接続スリーブ。
【請求項3】
前記本体の挿通方向他方側端部に前記突出部を備え、
他方側の前記突出部は、前記本体が圧縮変形されたときに、挿通方向他方側へ伸びる長さに相当する長さに設定されている請求項2に記載の接続スリーブ。
【請求項4】
前記本体と前記突出部との境界に、前記絶縁被覆の端部の挿入を阻止する段付き部が設けられた請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接続スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線設備において、電線どうしを接続するための接続スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
電線設備において、例えば電柱間に設けられた電線を接続する(繋げる)ために、接続スリーブが使用される。図10に示すように、接続スリーブ4は、スリーブ状の本体40を備え、本体40はアルミニウム製からなる。本体40の内部の中間位置には隔壁Wが形成され、隔壁Wと本体40の両側の開口部41,41によって、隔壁Wを介した両側に電線5,5を挿入するための挿入路42,42が、本体40の内部に形成されている。また、本体40の外周面40aには、電線5,5が挿入された後に、本体40を変形させる(かしめる)ための圧縮目印43(例えばマーキング等)が、本体40の軸心方向に離間して複数個形成されている。
【0003】
上記のように構成された接続スリーブ4を用いて二本の電線5,5を接続する場合、作業者は、二本の電線端部5a,5aの絶縁被覆50,50をそれぞれ所定の長さに剥ぎ取って導線51,51を露出させ、一方の導線51を開口部41から挿入路42に挿入する。そして、圧縮目印43の間に設定された圧縮位置Pを、本体40の中央(隔壁W側)から一方の開口部41側に向けて順次変形して、本体40と導線51とを接続させる。本体40と他方の導線51の接続についても、上記と同様の作業が行われ、隔壁Wを介して導線51,51どうしが本体40によって接続される。
【0004】
しかしながら、作業現場では、作業者が電線端部5a,5aの絶縁被覆50,50の長さ、すなわち導線51,51の長さを目測で判断して剥ぎ取っている。このため、剥ぎ取るべき絶縁被覆50,50の長さが、長くなったり短くなったりし易い。そうなると、本体40を変形させても、本体40と導線51,51とが接続不良となる。
【0005】
このため、特許文献1に、電線端部の絶縁被覆の剥ぎ取り長さ、すなわち導線領域を測定できるよう構成した接続スリーブ(絶縁被覆層付電線用スリーブ)が提案されている。図11に示すように、この接続スリーブ4Aは、金属製の筒体の外側を絶縁被覆層で被覆された本体40Aを備えており、この本体40Aの内部の中間位置には、隔壁Wが形成され、本体40Aの外周(絶縁被覆層)において、本体40Aを変形させるための圧縮目印43Aが、本体40Aの軸心方向に離間して複数個形成され、隔壁Wの両側には、図10に示す導線51,51の導線領域を測定するためのマーキング(帯状の目印)45Aが配置されている。この接続スリーブ4Aでは、作業者は、導線51,51の導線領域をマーキング45Aに沿わすようにすることで、両方の絶縁被覆50,50を剥ぎ取って導線領域とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-185902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示された接続スリーブ4Aでは、マーキング45Aに沿うようにして両側の導線51,51の導線領域を測ることができる。しかしながら、この接続スリーブ4Aでは、マーキング45Aは、金属製の筒体の外側に被覆された絶縁被覆層に設けられているため、前記筒体に対する剥ぎ取り長さが確認できない。そのため、マーキング45Aを用いての剥ぎ取り長さを誤ってしまうおそれがあり、この点において改善の余地がある。
【0008】
そこで本発明は、電線の絶縁被覆を確実に剥ぎ取って接続を確保できる接続スリーブの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の接続スリーブは、電線端部の絶縁被覆を剥ぎ取って導線が露出した導線領域を、スリーブ状の導体からなり前記導線領域を挿入する挿入路を、中央部に設けられた隔壁を介して挿入方向の一方側と他方側とに有する本体を備え、該本体を径方向で圧縮変形させることで一方側の前記挿入路に挿入した前記電線と他方側に挿入した前記電線とを接続する接続スリーブであって、少なくとも一方側の前記挿入路の挿入開口を形成する一方側端部に挿入方向外方へ突出する突出部を有し、該突出部は、前記本体が圧縮変形されたときに挿入方向外方へ伸びる長さに相当する長さに設定されており、前記隔壁から前記突出部の挿入方向外側端縁までの長さが前記導線領域の長さに対応していることを特徴とする。
【0010】
上記構成の接続スリーブによれば、突出部が本体を圧縮変形させるときの本体の伸び代に相当する長さを有し、隔壁から突出部の外側端縁までの長さが導線領域の長さに対応しているため、例えば絶縁被覆を剥ぎ取った電線端部(剥取領域)を隔壁に合わせ、突出部の外側端縁までの長さ分だけ剥ぎ取ることができ、剥ぎ取る長さを誤ることなく確実に適切な長さ分だけ剥ぎ取ることができる。
【0011】
本発明の接続スリーブによれば、隔壁から突出部の外側端縁の長さだけ、剥取領域の絶縁被覆を剥ぎ取ることで、必要な長さ分だけ、確実に剥ぎ取って接続を確保できる。
【0012】
本発明の接続スリーブは、電線の絶縁被覆を剥ぎ取って導線が露出した電線の導線領域を挿通する挿通路を少なくとも一つ有するスリーブ状の導体からなる本体を備え、該本体の前記挿通路の少なくとも挿通方向一方側端部に、前記挿通方向外方へ突出する突出部を有し、該突出部の挿通方向外側端縁から前記本体の挿通方向他方側端部または挿通方向他方側端部に設けられた前記突出部の前記挿通方向外側端縁までの長さが、前記本体が圧縮変形されたときに、前記挿通方向外方へ伸びる長さを含んだ導線領域の長さに対応していることを特徴とする。
【0013】
該構成の接続スリーブにあっては、突出部の外側端縁から本体の他方側端部または他方の突出部の外側端縁までの長さが、圧縮変形されたときの本体の伸び代を含む導線領域の長さに設定されているため、この長さに合わせて電線の絶縁被覆を剥ぎ取ることで、剥ぎ取る長さを誤ることなく確実に適切な長さ分だけ剥ぎ取ることができる。
【0014】
本発明の接続スリーブによれば、一方の突出部の外側端縁から本体の他方側端部または他方の突出部の外側端縁までの長さに合わせて電線の絶縁被覆を剥ぎ取ることで、必要な長さ分だけ確実に剥ぎ取って接続を確保できる。
【0015】
前記本体の挿通方向一方側端部および挿通方向他方側端部に突出部を備え、一方側の前記突出部は、前記本体が圧縮変形されたときに、挿通方向一方側に伸びる長さに相当する長さが設定され、他方側の前記突出部は、前記本体が圧縮変形されたときに、挿通方向他方側へ伸びる長さに相当する長さに設定されている構成を採用することができる。
【0016】
上記構成の接続スリーブによれば、一方の突出部の外側端縁から他方の突出部の外側端縁までの長さ分だけ、電線の絶縁被覆を剥ぎ取り、その導線領域を一方の突出部の外側端縁と他方の突出部の外側端縁との間に位置合わせして挿通路に挿通させれば、適切な長さを確実に剥ぎ取ったうえで該導線領域を適切に配置できる。
【0017】
本発明の接続スリーブは、前記本体と前記突出部との境界に、前記絶縁被覆の端部の挿入を阻止する段付き部が設けられた構成を採用することができる。
【0018】
上記構成の接続スリーブにおいて、誤って絶縁被覆の剥ぎ取りが短かった場合に、絶縁被覆の端部の挿入を段付き部により阻止して、本体内に絶縁被覆の端部の挿入が防止される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の接続スリーブによれば、本体の中央部に設けられた隔壁から、本体の少なくとも一方側端部に挿入方向外方へ突出する突出部の外側端縁までの長さ分だけ、電線の絶縁被覆を剥ぎ取って確実に本体と導線との接続を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る直管状の接続スリーブを示す平面図。
図2図2は、図1の側面図。
図3図3は、接続スリーブに電線端部の導線が挿入された状態と、挿入された導線の圧縮により本体が伸びた状態とを示す平面図。
図4図4は、第二実施形態のH型の接続スリーブを示す斜視図。
図5図5は、図4の側面図。
図6図6は、H型の接続スリーブにおいて、本線の導線と分岐電線の導線とが並列配置されて圧縮された状態を示す側面図。
図7図7は、第三実施形態のC型の接続スリーブを示す側面図。
図8図8は、図7の正面図。
図9図9は、C型の接続スリーブにおいて、本線の導線と分岐電線の導線とが並列配置されて圧縮された状態を示す側面図。
図10図10は、従来の接続スリーブを示す図。
図11図11は、従来の絶縁被覆層付電線用スリーブを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る接続スリーブについて図面を参照して説明する。
【0022】
(第一実施形態)
はじめに、二本の電線端部の導線同士を、接続スリーブの本体に対し、本体の軸方向(電線の挿入方向)に離間させた状態で接続する第一実施形態に係る接続スリーブについて説明する。図1および図2に示すように、本実施形態に係る接続スリーブ1は、スリーブ状の本体10と、該本体10の一方側端部10aに挿入方向外方へ突出する一方側突出部11と、本体10の他方側端部10bに挿入方向外方へ突出する他方側突出部12とを備える。
【0023】
本体10は導体金属、すなわちアルミニウム製である。本体10の軸方向の長さは、例えば、50mmで、本体10の内部には、電線5,5の導線51,51の挿入路100,100が両側から形成されている。この挿入路100,100の径は、導線51,51の外径R01よりも僅かに大きく、電線5,5の絶縁被覆50,50の外径(電線5の外径)R0よりも小さい。また、本体10の軸心方向の中央位置には前記挿入路100,100を分離する隔壁Wが形成されている。本体10は、隔壁Wを介して挿入方向の一方側と他方側とに前記挿入路100,100を有する。本体10の外周面10cには、隔壁Wに対応する部分を除いて、外周面10cに沿う環状の圧縮目印102が、等間隔に表示されている。各圧縮目印102の間は、所定の圧縮工具を用いて本体10を圧縮する圧縮領域Pとされる。なお、挿入路100,100の端部は開口端(挿入開口)101,101である。
【0024】
一方側突出部11は、本体10の一方側端部10aに、本体10と同一素材(アルミニウム製)で連続して円環状に形成されている(図2参照)。一方側突出部11の外径R1は、本体10の外径Rよりも大径である。一方側突出部11の軸方向の長さは、本体10の圧縮領域Pが全て圧縮変形されたときに軸方向一方側に伸びる分に相当する長さ(伸び代)の突出長さL1(例えば10mm)になっている。一方側突出部11の内径(連通路110の径)R3は、電線5の外径R0よりも僅かに大きく形成されている。一方側突出部11は、本体10の挿入路100に連通する連通路110を形成している。挿入路100の径R4は、導線51の外径R01よりも僅かに大きく、一方側突出部11の連通路110の径R3は、電線5の外径R0よりも僅かに大きく設定されている。このため、挿入路100と一方側突出部11は、挿入路100と一方側突出部11の境界に設けられた径方向に沿う段付き部111によって連通している。
【0025】
他方側突出部12は、本体10の他方側端部10bに、本体10と同一素材(アルミニウム製)で連続して円環状に形成されている。他方側突出部12の外径R2は、本体10の外径Rよりも大径である(図2参照)。他方側突出部12の軸方向の長さは、本体10の圧縮領域Pが全て圧縮変形されたときに軸方向他方側に伸びる分に相当する長さ(伸び代)の突出長さL2(例えば10mm)になっている。他方側突出部12の内径(連通路120の内径)R3は、電線5の外径R0よりも僅かに大きく形成されている。他方側突出部12は、本体10の挿入路100に連通する連通路120を形成している。挿入路100の径R4は、導線51の外径R01よりも僅かに大きく、他方側突出部12の連通路120の径R3は、電線5の外径R0よりも僅かに大きく設定されている。このため、挿入路100と他方側突出部12は、挿入路100と他方側突出部12の境界に設けられた径方向に沿う段付き部121によって連通している。
【0026】
本実施形態の接続スリーブ1では、二本の電線5,5の端部5a,5aの絶縁被覆50,50を剥ぎ取って導線51,51が露出した導線領域(剥取領域)L01,L02同士を、接続スリーブ1の本体10に対し、本体10の軸方向に離間させた状態で接続する。このため、電線5,5における絶縁被覆50,50の剥ぎ取り長さを測定して、導線51,51を露出させるためのスケール13が具備されている。すなわち、スケール13は、電線5,5の端部5aにおける導線51,51を露出させる導線領域L01,L02を決定するためのものである。接続スリーブ1におけるスケール13としては、本体10、一方側突出部11、および他方側突出部12が使用される。具体的に、電線5においては、一方の電線5の先端50aが、隔壁Wの一方側側面の位置に対応して表示された一方側測定目印130に合わせられ、前記先端50aから一方側突出部11の開口端(挿入方向外側端縁)11aまでの絶縁被覆50が剥ぎ取られて一方の導線領域L01とされる。また、電線5においては、他方の電線5の先端50aが、隔壁Wの隣の他方側側面の位置に対応して表示された他方側測定目印131に合わせられ、前記先端50aから他方側突出部12の開口端(挿入方向外側端縁)12aまでの絶縁被覆50が剥ぎ取られて他方の導線領域L02とされる。
【0027】
つぎに、本発明の接続スリーブ1の使用方法について説明する。はじめに、作業者は、一方の電線5の端部5aの導線領域L01を計測する。具体的に、作業者は、一方の電線5の端部5aを本体10の軸方向に沿わせ、本体10の外周面10cに設けられた一方側測定目印130に一方の電線5の端部5aの先端(絶縁被覆50の先端50a)を位置させ、また、電線端部5aの所定部位(絶縁被覆50の所定部位)を一方側突出部11の開口端11aに位置させる。
【0028】
電線5の端部5aの所定部位(絶縁被覆50の所定部位)を一方側突出部11の開口端11aに位置させることで、絶縁被覆50の所定部位が端部50bとなり、この両区間(絶縁被覆50の先端50a~端部50bまでの区間)を剥ぎ取ることで、電線端部5aの導線51が露出して、導線領域L01とすることができる。この際、作業者は、所定の剥取工具を用いて絶縁被覆50を剥ぎ取る。
【0029】
上記のようにした後、作業者は、導線領域L01を一方側突出部11の開口端11aに位置させ、挿入路100に対して導線領域L01を隔壁Wまで挿入させる。すなわち、絶縁被覆50の端部50bは一方側突出部11の開口端11aに位置し、導線51の先端51aは隔壁Wの一方側面Waに当接する位置に挿入される。
【0030】
つぎに作業者は、図3に示すように、所定の圧縮工具を用いて、本体10の中央部(隔壁W側)から一端側に向かって圧縮目印102で特定された圧縮領域Pを順次圧縮する。
【0031】
本体10はアルミニウム製であるから、前記圧縮により本体10の一端側は軸方向一方側に伸びる。しかしながら、導線領域L01は、一方の絶縁被覆50の先端50aを、隔壁Wの一方の側面Waにあてがい、一方の絶縁被覆50の端部50bを一方側突出部11の開口端11aに位置するように配置されている。このため、圧縮に伴う本体10の軸方向の伸び量に対して、導線領域L01は適応される。具体的には、圧縮変形によって本体10が軸方向一方側へ伸びると、一方側突出部11は、導線領域L01の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50の外周側に被る。本体10の圧縮変形が完了すると、一方側突出部11は、絶縁被覆50の端部50bから軸方向外側の絶縁被覆50を覆う位置まで移動する。したがって、圧縮に伴って軸方向に伸びがあったとしても、圧縮領域Pのすべてで本体10が変形させられる。このため、導線領域L01と本体10との接続が確実になされる。また、前記圧縮に伴い本体10に軸方向の伸び量が発生すると、一方側突出部11の内径R3は、電線5の外径R0とは僅かに大きく設定されているから、絶縁被覆50が一方側突出部11の内径R3に入ることができる(図3参照)。
【0032】
つぎに、作業者は、他方の電線端部5aの導線領域L02を計測する。具体的に、作業者は、他方の電線5の端部5aを本体10の軸方向に沿わせ、本体10の外周面10cに設けられた他方側測定目印131に他方の電線5の端部5aの先端(絶縁被覆50の先端50a)を位置させ、また、電線5の端部5aの所定部位(絶縁被覆50の所定部位)を他方側突出部12の開口端12aに位置させ、先端50a~端部50bまでの区間の絶縁被覆50を所定の剥取工具で剥ぎ取り、電線5の端部5aの導線51を露出させ、導線領域L02を形成する。その後、導線領域L02を他方側突出部12の開口端12aに位置させ、挿入路100に対して導線領域L02を隔壁Wまで挿入させる。すなわち、絶縁被覆50の端部50bは他方側突出部12の開口端12aに位置し、導線51の先端51aは隔壁Wの他方側面Wbに当接する位置に挿入される。
【0033】
つぎに作業者は、所定の圧縮工具を用いて、本体10の中央部(隔壁W側)から他端側に向かって圧縮目印102で特定された圧縮領域Pを順次圧縮する。この圧縮により本体10の他端側は軸方向他方側に伸びる。しかしながら、導線領域L02は、一方の絶縁被覆50の先端50aを、隔壁Wの一方の側面Wbにあてがい、他方の絶縁被覆50の端部50bを他方側突出部12の開口端12aに位置するように配置されている。このため、圧縮に伴う本体10の軸方向の伸び量に対して、導線領域L02は適応される。具体的には、圧縮変形によって本体10が軸方向他方側へ伸びると、他方側突出部12は、導線領域L02の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50の外周側に被る。本体10の圧縮変形が完了すると、他方側突出部12は、絶縁被覆50の端部50bから軸方向外側の絶縁被覆50を覆う位置まで移動する。
【0034】
本実施形態では、隔壁Wから一方側突出部(または他方側突出部12)11までの長さが、電線5の絶縁被覆50の剥ぎ取り長さとなっている。なお、ここでいう剥ぎ取り長さには、本体10を圧縮変形した際に、該本体10が軸方向一方側(または軸方向他方側)に伸びる長さが含まれている。具体的には、一方側突出部11,12の軸方向長さは、本体10が圧縮変形される際に、一方側(または他方側)に伸びる長さに設定されている。よって、電線5に接続スリーブ1をあてがい、隔壁(一方側測定目印130)Wから一方側突出部11の軸方向外側端縁(開口端11a)までの長さに相当する絶縁被覆50を剥ぎ取ることで、接続スリーブ1の本体10の長さと、圧縮変形によって一方側へ伸びる長さとを合わせた長さ分を確実に剥ぎ取ることができる。なお、他方側突出部12においても同様である。
【0035】
このように、本実施形態の接続スリーブ1によれば、突出部11,12が本体10を圧縮変形させるときの本体10の伸び代に相当する長さを有し、隔壁Wから突出部11,12の外側端縁11a,12aまでの長さが導線領域L01,L02の長さに対応しているため、例えば電線5をその端部5aを隔壁Wに合わせ、突出部11,12の外側端縁11a,12aまでの長さ分だけ剥ぎ取ることができ、剥ぎ取る長さを誤ることなく確実に適切な長さ分だけ剥ぎ取ることができる。また、隔壁Wから突出部11,12の外側端縁11a,12aの長さだけ、電線端部5aの絶縁被覆50を剥ぎ取ることで、必要な長さ分だけ、確実に剥ぎ取って接続を確保できる。また、絶縁被覆50の端部50bは、段付き部111,121によって挿入路100,100に入らないから、誤って絶縁被覆50の剥ぎ取りが短かった場合に、絶縁被覆50の端部50bの挿入を段付き部111,121により阻止して、本体10内に絶縁被覆50の端部50bの挿入が防止され、本体10の変形に伴う絶縁被覆50の変形は防止されて、導線領域L01,L02と本体10との接続が確保される。
【0036】
(第二実施形態)
つぎに本線と分岐電線とを接続する第二実施形態のH型の接続スリーブについて説明する。第二実施形態では、本線および分岐電線は、同一径である。図4および図5に示すように、H型の接続スリーブ2は、横長の略直方体状の本体20と、該本体20に対する本線5bおよび分岐電線5cの挿通方向一方側の上側端部20aおよび挿通方向他方側の上側端部20bに挿通方向外側に突出する上側突出部21,21と、本体20の一方の下側端部20cおよび他方の下側端部20dに挿通方向外側に突出する下側突出部22,22とを備える。なお、本体20の一方の上側端部20aと他方の上側端部20bとは同一構成であり、一方の下側端部20cと他方の下側端部20dとは、同一構成であるので、一方の上側突出部21の説明を他方の上側突出部21の説明に兼用し、一方の下側突出部22の説明を他方の下側突出部22の説明に兼用する。また、本体20の一方の上側端部20aおよび他方の上側端部20bに挿通方向外側に突出する各上側突出部21,21と、一方の下側端部20cおよび他方の下側端部20dに挿通方向外側に突出する各下側突出部22,22とは、上向き下向きが異なるだけで、その他は同一構成であるので、上側突出部21の説明を下側突出部22の説明に兼用する。
【0037】
本体20は、アルミニウム製である。本体20の軸方向の長さは、例えば、30mmで、本体20には、本線5bにおける分岐箇所の導線51bを長手方向に沿って挿通する第一挿通路200aと、分岐電線5cの電線端部50cの導線51cを長手方向に沿って挿通する第二挿通路200bとが並列配置(平行に配置)されている。
【0038】
第一挿通路200aは、本体20の上側面に長手方向に沿って形成された断面U字形状の溝である(図5参照)。第一挿通路200aは、露出された本線5bの導線51bの長さ(後述する導線領域L03の長さ)よりも僅かに小さく、第一挿通路200aの径R4は、導線51bの径R01よりも僅かに大きい。第一挿通路200aは、短手方向の上側面に開口する開口部201aと、長手方向の両端部の開口端201b,201bとを備える。開口部201aの二つの開口端縁部202a,202aのうち、本体20の外面に連続する一方の開口端縁部202aには、該開口端縁部202aから外方に向かって折曲片203aが突出されている。
【0039】
折曲片203aは、開口部201aを閉塞できる大きさを有し、一方の開口端縁部202aを折り目とし他方の開口端縁部202a側に向かって折り曲げられるよう構成されており、折曲片203aが折り曲げられて第一挿通路200aを閉塞することでスリーブ状となる。折曲片203aの外面204aには、前記折り目(一方の開口端縁部202a)から折曲片203aの端部近傍に向かって複数の直線状の圧縮目印205aが伸びる。この各圧縮目印205aが本体20の長手方向に沿って等間隔に表示されている。各圧縮目印205a間は、工具を用いて本体20を圧縮する圧縮領域Pとされる。
【0040】
第二挿通路200bは、本体20の下側面に長手方向に沿って形成された断面U字形状の溝である(図5参照)。第二挿通路200bは、露出された分岐電線5cの導線51cの長さ(後述する導線領域L04の長さ)よりも僅かに小さく、第二挿通路200bの径R4は、導線51cの径R0よりも僅かに大きい。第二挿通路200bは、短手方向の下側面に開口する開口部201cと、長手方向の両端部の開口端201d,201dとを備える。開口部201cの二つの開口端縁部202b,202bのうち、本体20の外面に連続する一方の開口端縁部202bには、該開口端縁部202bから外方に向かって折曲片203bが突出されている。
【0041】
折曲片203bは、開口部201cを閉塞できる大きさを有し、一方の開口端縁部202bを折り目とし他方の開口端縁部202b側に向かって折り曲げられるよう構成されている。折曲片203bの外面204bには、前記と同様に、直線状の圧縮目印205bが、本体20の長手方向に沿って等間隔に表示され、各圧縮目印205b間は圧縮領域Pとされる。折曲片203aが折り曲げられて第一挿通路200aを閉塞し、折曲片203bが折り曲げられて第二挿通路200bを閉塞することで、本体20は、スリーブ状となる。
【0042】
一方の上側突出部21は、本体20の一方の上側端部20aに、本体10と同一素材(アルミニウム製)で連続して断面U字形状に形成されている(図5参照)。図4図5に示すように、一方の上側突出部21の内径(第一連通路210の径)R3は、本線5bの外径R0より僅かに大きく形成されている。上側突出部21は、本体20の第一挿通路200aに連通する第一連通路210を有する。該第一挿通路200aの径R4は、導線51bの径R01よりも僅かに大きく、一方の上側突出部21の第一連通路210の径R3は、本線5bの径R0よりも僅かに大きく設定されている。このため、第一挿通路200aと一方の上側突出部21は、径方向に沿う段付き部211によって連通している。本体20の他方の上側端部20bにも、前記と同じ構成の上側突出部21が形成されている。一方の上側突出部21の軸方向の長さは、本体20が圧縮変形されたときに軸方向一方側に伸びる分に相当する長さ(伸び代)の突出長さL3(例えば5mm)となっている。
【0043】
一方の下側突出部22は、本体20の一方の下側端部20cに、本体20と同一素材(アルミニウム製)で連続して断面U字形状に形成されている(図5参照)。図4図5に示すように、一方の下側突出部22の内径(第二挿通路200bの径)R3は、分岐電線5cの外径R0より僅かに大きく形成されている。一方の下側突出部22は、本体20の第二挿通路200bに連通する第二連通路220を有する。第二挿通路200bの径R4は、導線51cの外径R01よりも僅かに大きく、他方の下側突出部22の軸方向の第二連通路220の径R3は、導線51cの外径R01よりも僅かに大きく設定されている。このため、第二挿通路200bと他方の下側突出部22は、径方向に沿う段付き部221によって連通している。本体20の他方の下側端部20dにも、前記と同じ構成の下側突出部22が形成されている。一方の下側突出部22の軸方向の長さは、本体20が圧縮変形されたときに軸方向一方側に伸びる分に相当する長さ(伸び代)の突出長さL4(例えば5mm)となっている。
【0044】
前記接続スリーブ2では、本線5bの導線51b(後述する導線領域L03)と分岐電線5cの導線51c(後述する導線領域L04)同士を、接続スリーブ2の本体20に対し、平行に配置させた状態で接続する。このため、本線5bの絶縁被覆50bの剥ぎ取り長さを測定して、導線51bを露出させるための第一スケール23と、分岐電線5cの絶縁被覆50cの剥ぎ取り長さを測定して、導線51cを露出させるための第二スケール24とが具備されている。
【0045】
すなわち、第一スケール23は、本線5bの途中部分の導線51bを露出させる導線領域L03を決定し、第二スケール24は、分岐電線5cの電線端部50caにおける導線51cを露出させる導線領域L04を決定するためのものである。接続スリーブ2における第一スケール23としては、一方の上側突出部21および他方の上側突出部21が使用される。具体的には、本線5bの途中部分を、一方の上側突出部21の開口端(挿通方向外側端縁)21aと、他方の上側突出部21の開口端(挿通方向外側端縁)21aとの間に位置させ、一方および他方の開口端21aとの間の絶縁被覆50bを剥ぎ取って一方の導線領域L03とする。
【0046】
接続スリーブ2における第二スケール24としては、一方の下側突出部22および他方の下側突出部22が使用される。具体的には、分岐電線5cの先端50c1を、一方の下側突出部22の開口端(挿通方向外側端縁)22aに位置させ、他方の下側突出部22の開口端22aまでの絶縁被覆50cを剥ぎ取って他方の導線領域L04とする。
【0047】
上記構成の接続スリーブ2の使用方法について説明する。接続作業の全体の流れとして、作業者は、本線5bの分岐箇所の導線領域L03を計測した後、分岐電線5cの導線領域L04を計測し、本線5bの分岐箇所の導線領域L03と、分岐電線5cの導線領域L04とを、所定の圧縮工具で圧縮する。はじめに導線領域L03を計測する場合について説明する。作業者は、本線5bの分岐箇所を本体20の軸方向に沿わせ、本線5bの分岐箇所の一方端部50b1を一方の上側突出部21の開口端21aに位置させ、他方端部50b2を他方の上側突出部21の開口端21aに位置させ、この両区間(本線5bの絶縁被覆50bの一方端部50b1~他方端部50b2までの区間)を剥ぎ取ることで、本線5bの導線51bが露出して、導線領域L03とすることができる。この際、作業者は、所定の剥取工具を用いて絶縁被覆50bを剥ぎ取る。
【0048】
上記のようにした後、作業者は、絶縁被覆50bを剥ぎ取った導線領域L03を、一方側および他方の開口端21aの間に配置する。具体的には、絶縁被覆50bの一方端部50b1を一方の上側突出部21の開口端21aに位置させ、絶縁被覆50bの他方端部50b2を他方の上側突出部21の開口端21aに位置させ、導線領域L03を第一挿通路200aに嵌め込んで挿通させる。
【0049】
つぎに分岐電線5cの導線領域L04を計測する場合、作業者は、分岐電線5cの電線端部50caを本体20の軸方向に沿わせ、一方の下側突出部22の開口端22aに分岐電線5cの絶縁被覆50cの先端50c1を位置させ、端部50c2を他方の下側突出部22の開口端22aに位置させる。
【0050】
先端50c1~端部50c2までの区間の絶縁被覆50cを所定の剥取工具で剥ぎ取り、導線51cを露出させ、導線領域L04を形成する。その後、導線領域L04の両端を、一方の下側突出部22の開口端22aと他方の下側突出部22の開口端22aとの間に位置させ、導線領域L04を嵌め込んで挿通させる。
【0051】
つぎに圧縮作業について説明する。作業者は、所定の圧縮工具を用いて、本体20の中央部から一端側に向かって圧縮目印205aで特定された圧縮領域Pを順次圧縮した後、本体20の中央部から他端側に向かって各圧縮領域Pを順次圧縮する。この際、図6に示すように、折曲片203aが第一挿通路200aを閉塞する。
【0052】
本体20はアルミニウム製であるから、前記圧縮により本体20の一端側は軸方向に伸びる。しかしながら、導線領域L03は、絶縁被覆50の一方端部50b1を、一方の上側突出部21の開口端21aに位置し、他方端部50b2を他方の上側突出部21の開口端21aに位置するよう配置されている。このため、圧縮に伴う本体20の軸方向の伸び量に対して、導線領域L03は適応される。具体的には、圧縮変形によって本体20が軸方向一方側へ伸びると、一方の上側突出部21は、導線領域L03の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50bの外周側に伸びる。また、本体20が軸方向他方側へ伸びると他方の上側突出部21が導線領域L03の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50bの外周側に伸びる。本体20の圧縮変形が完了すると、一方の上側突出部21は、絶縁被覆50bの一方端部50b1から軸方向の外側の絶縁被覆50bを覆う位置となり、他方の上側突出部21は、絶縁被覆50bの他方端部50b2から軸方向の外側の絶縁被覆50bを覆う位置となるまで移動する。したがって、圧縮に伴って軸方向に伸びがあったとしても、圧縮領域Pのすべてで本体20が変形させられる。このため、導線領域L03と本体20との接続が確実になされる。また、前記圧縮に伴い本体20に軸方向の伸び量が発生すると、一方の上側突出部21および他方の上側突出部21の内径R3は、本線5bの外径R0とは僅かに大きく設定されているから、絶縁被覆50bの一方端部50b1が一方の上側突出部21の内径R3に入り、絶縁被覆50bの他方端部50b2が他方の上側突出部21の内径R3に入る。
【0053】
前記所定の圧縮工具により、圧縮目印205aで特定された圧縮領域Pが圧縮されると同時に、本体20の中央部から一端側に向かって圧縮目印205bで特定された圧縮領域Pが順次圧縮され、その後、本体20の中央部から他端側に向かって各圧縮領域Pが順次圧縮される。このようにすることで、図6に示すように、折曲片203bが第二挿通路200bを閉塞する。この際、前記と同様に、圧縮に伴う本体20の軸方向の伸び量に対して、導線領域L04は適応される。具体的には、圧縮変形によって本体20が軸方向他方側へ伸びると、他方の下側突出部22は、導線領域L04の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50cの外周側に伸びる。また、本体20が軸方向他方側へ伸びると他方の下側突出部22が導線領域L04の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50cの外周側に伸びる。本体20の圧縮変形が完了すると、他方の下側突出部22は、絶縁被覆50cの他方の端部50c2から軸方向の外側の絶縁被覆50cを覆う位置となり、他方の下側突出部22は、絶縁被覆50の他方の端部50c2から軸方向の外側の絶縁被覆50cを覆う位置となるまで移動する。したがって、圧縮に伴って軸方向に伸びがあったとしても、圧縮領域Pのすべてで本体20が変形させられる。このため、導線領域L04と本体20との接続が確実になされる。また、前記圧縮に伴い本体20に軸方向一方側に伸び量が発生すると、導線51cが一方の下側突出部22の第一連通路210の内径に入り、導線51cの先端51caが本体20の一方側の開口端201dに位置する。
【0054】
第二実施形態では、一方の上側突出部21の開口端(挿通方向の外側端縁)21aから他方の上側突出部21の開口端(挿通方向の外側端縁)21aまでの間の長さが、本線5bの絶縁被覆50bを剥ぎ取る長さとなっている。なお、ここでいう、剥ぎ取り長さには、圧縮変形によって本体20が軸方向に伸びる長さを含んでいる。具体的には、一方の上側突出部21(他方の上側突出部21)の長さは、本体20が圧縮変形によって一方側(他方側)に伸びる長さ(伸び代)に設定されている。よって、本線5bに接続スリーブ2をあてがい一方の上側突出部21の長さは、本体20が圧縮変形によって一方側(他方側)に伸びる長さに設定されている。よって、本線5bに接続スリーブ2をあてがい、一方の上側突出部21の開口端21aから他方の上側突出部21の開口端21aまでの長さに相当する絶縁被覆50bを剥ぎ取ることで、接続スリーブ2の本体20の長さと、圧縮変形によって本体20が軸方向両側に伸びる長さとを合わせた長さ分を確実に剥ぎ取ることができる。なお、下側突出部22においても同様である。
【0055】
本実施形態の接続スリーブ2によれば、導線領域L03は、一方の上側突出部21の外側端縁21aから他方の上側突出部21の外側端縁21aまでの長さが、圧縮変形されたときの本体20の伸び代を含む導線領域L03の長さに設定されているため、この長さに合わせて本線5bの絶縁被覆50bを剥ぎ取ることで、剥ぎ取る長さを誤ることなく確実に適切な長さ分だけ剥ぎ取ることができる。また、一方の上側突出部21の外側端縁21aから他方の上側突出部21の外側端縁21aまでの長さに合わせて分岐電線5cの絶縁被覆50cを剥ぎ取ることで、必要な長さ分だけ確実に剥ぎ取って接続を確保できる。また、絶縁被覆50bの一方端部50b1および他方端部50b2は、段付き部211,211によって第一挿通路200aに入らないから、誤って絶縁被覆50bの剥ぎ取りが短かった場合に、絶縁被覆50bにおける導線領域L03の端部の挿通を段付き部211,211により阻止して、本体20内に絶縁被覆50cの端部の挿入が防止され、本体20の変形に伴う絶縁被覆50bの変形は防止されて、導線領域L03と本体20との接続が確保される。
【0056】
また、導線領域L04は、一方の下側突出部22の外側端縁22aから他方の下側突出部22の外側端縁22aまでの長さが、圧縮変形されたときの本体20の伸び代を含む導線領域L04の長さに設定されているため、この長さに合わせて本線5bの絶縁被覆50bを剥ぎ取ることで、剥ぎ取る長さを誤ることなく確実に適切な長さ分だけ剥ぎ取ることができる。また、一方の下側突出部22の外側端縁22aから他方の下側突出部22の外側端縁22aまでの長さに合わせて分岐電線5cの絶縁被覆50cを剥ぎ取ることで、必要な長さ分だけ確実に剥ぎ取って接続を確保できる。また、絶縁被覆50cの端部50c2は、段付き部221によって第二挿通路200bに入らないから、誤って絶縁被覆50cの剥ぎ取りが短かった場合に、絶縁被覆50cにおける導線領域L04の端部の挿入を段付き部221により阻止して、本体30内に絶縁被覆50cの端部の挿入が防止され、本体30の変形に伴う絶縁被覆50cの変形は防止されて、導線領域L04と本体30との接続が確保される。また、導線51cの先端51caは、本体20の伸びにより、本体20の一方側の開口部201dに位置する。
【0057】
(第三実施形態)
つぎに本線と分岐電線とを接続する第三実施形態のC型の接続スリーブについて説明する。図7および図8に示すように、C型スリーブ3は、側面視略C字形状の本体30と、該本体30の挿通方向の一方側の上側端部30aおよび挿通方向の他方側の上側端部30bに突出する上側突出部31,31と、本体30の挿通方向の一方側の下側端部30cおよび挿通方向の他方側の下側端部30dに突出する下側突出部32,32とを備える。なお、本体30の一方の上側端部30aおよび他方の上側端部30bにそれぞれ連設された各突出部31,31と、一方の下側端部30cおよび他方の下側端部30dとにそれぞれ連設された各突出部32,32とは、同一構成であるので、一方の上下の突出部31,32の説明を他方の上下の突出部31,32の説明に兼用する。
【0058】
本体30は、アルミニウム製である。本体30の軸方向の長さは、例えば、35mmで、本体30は、互いに内向きに半円状に折り曲げられた折曲片33,34を備える。上側の折曲片33は、本線5bの導線51bの外径R01よりも少し大きい径R4を有し、上側の折曲片33により、導線51bを挿通可能な第一挿通路300aが形成されている。下側の折曲片34は、分岐電線5cの導線51cの外径R01よりも少し大きい径R4を有し、下側の折曲片34により、分岐電線5cの導線51cを挿入可能な第二挿通路300bが形成されている。
【0059】
第一挿通路300aは、露出された本線5bの導線51bの長さ(後述する導線領域L03の長さ)よりも僅かに小さく、第一挿通路300aの径R4は、導線51bの径R01よりも僅かに大きい。第一挿通路300aは、長手方向に沿って形成された開口部301aと、長手方向両側の開口端301b,301bとを備える。
【0060】
第二挿通路300bは、露出された分岐電線5cの導線51cの長さ(後述する導線領域L04の長さ)よりも僅かに小さく、第二挿通路300bの径R4は、導線51cの径R01よりも僅かに大きい。第二挿通路300bは、長手方向に沿って形成された開口部301cと、長手方向両側の開口端301d,301dとを備える。両挿通路300a,300bは同じ向きに延設されており、上下の中央領域で連通している。
【0061】
各折曲片33,34の外面には、各挿通路300a,300bの最深部を長手方向に沿って通る中心線から内向き端部302a,302bの近傍に向かって複数の圧縮目印303が伸びる。この各圧縮目印303は、本体30の長手方向に沿って等間隔に表示されている。各圧縮目印303間は、工具を用いて本体30を圧縮する圧縮領域Pとされる。内向き端部302a,302b間には、各挿通路300a,300bに連通する開口部Sが形成されている。
【0062】
一方の上側突出部31は、本体30の一方の上側端部30aに、本体30と同一素材(アルミニウム製)で連続して形成され、断面U字形状に形成されている。一方の上側突出部31の内径R3は、本線5bの外径R0より僅かに大きく形成されている。上側突出部31は、本体30の第一挿通路300aに連通する第一連通路310を有する。該第一挿通路300aの径R4は、導線51bの外径R01よりも僅かに大きく、一方の上側突出部31の第一連通路310の径R3は、本線5bの外径R0よりも僅かに大きく設定されている。このため、第一挿通路300aと一方の上側突出部31は、第一挿通路300aと一方の上側突出部31の境界に設けられた径方向に沿う段付き部311によって連通している。本体30の他方の上側端部30bにも、前記と同じ構成の上側突出部31が形成されている。一方の上側突出部31の軸方向の長さは、本体30が圧縮変形されたときに軸方向一方側に伸びる分に相当する長さ(伸び代)の突出長さL5(例えば3mm)となっている。
【0063】
一方の下側突出部32は、本体30の一方の下側端部30cに、本体30と同一素材(アルミニウム製)で連続して形成され、断面U字形状に形成されている。一方の下側突出部32の内径R3は、分岐電線5cの外径R0より僅かに大きく形成されている。下側突出部32は、本体30の第二挿通路300bに連通する第二連通路320を有する。第二挿通路300bの径R4は、導線51cの径R01よりも僅かに大きく、他方の下側突出部32の第二連通路320の径R3は、分岐電線5cの径R0よりも僅かに大きく設定されている。このため、第二挿通路300bと他方の下側突出部32は、第二挿通路300bと他方の下側突出部32の境界に設けられた径方向に沿う段付き部321によって連通している。本体30の他方の下側端部30dにも、前記と同じ構成の下側突出部32が形成されている。一方の下側突出部32の軸方向の長さは、本体30が圧縮変形されたときに軸方向一方側に伸びる分に相当する長さ(伸び代)の突出長さL6(例えば3mm)となっている。
【0064】
前記接続スリーブ3では、本線5bの導線51b(導線領域L03)と分岐電線5cの導線51c(後述する導線領域L04)同士を、接続スリーブ3の本体30に対し、平行に配置させた状態で接続する。このため、本線5bの絶縁被覆50bの剥ぎ取り長さを測定して、導線51bを露出させるための第一スケール35と、分岐電線5cの絶縁被覆50cの剥ぎ取り長さを測定して、導線51cを露出させるための第二スケール36とが具備されている。
【0065】
第一スケール35は、本線5bの途中部分の導線51bを露出させる導線領域L03を決定し、第二スケール36は、分岐電線5cの電線端部50cにおける導線51cを露出させる導線領域L04を決定するためのものである。接続スリーブ3における第一スケール35としては、一方の上側突出部31および他方の上側突出部31が使用される。具体的には、本線5bの途中部分を、一方の上側突出部31の開口端(挿通方向外側端縁)31aと他方の上側突出部31の開口端(挿通方向外側端縁)31aとの間に位置させ、一方および他方の開口端31a,31aの間の絶縁被覆50bを剥ぎ取って一方の導線領域L03とする。
【0066】
接続スリーブ3における第二スケール36としては、一方の下側突出部32および他方の下側突出部32が使用される。具体的には、分岐電線5cの先端50c1を、一方の下側突出部32の開口端(挿通方向外側端縁)32aに位置させ、他方の下側突出部32の開口端32aまでの絶縁被覆50cを剥ぎ取って他方の導線領域L04とする。
【0067】
上記構成の接続スリーブ3の使用方法について説明する。接続作業の全体の流れとして、作業者は、本線5bの分岐箇所の導線領域L03を計測した後、分岐電線5cの導線領域L04を計測し、本線5bの分岐箇所の導線領域L03と、分岐電線5cの導線領域L04とを、所定の圧縮工具で圧縮する。はじめに導線領域L03を計測する場合、作業者は、本線5bの分岐箇所を本体30の軸方向に沿わせ、本線5bの前記一方端部50b1を一方の上側突出部31の開口端31aに位置させ、他方端部50b2を他方の上側突出部31の開口端31aに位置させ、この両区間(本線5bの絶縁被覆50bの一方端部50b1~他方端部50b2までの区間)を剥ぎ取ることで、本線5bの導線51bが露出して、導線領域L03とすることができる。この際、作業者は、所定の剥取工具を用いて絶縁被覆50bを剥ぎ取る。
【0068】
上記のようにした後、作業者は、絶縁被覆を剥ぎ取った導線領域L03を、一方および他方の開口端31a,31a間に配置される。具体的には、絶縁被覆50bの一方端部50b1を一方の上側突出部31の開口端31aに位置させ、絶縁被覆50bの他方端部50b2を他方の上側突出部31の開口端31aに位置させ、第一挿通路300aに対して導線領域L03を第一挿通路300aに嵌め込んで挿通させる。
【0069】
つぎに導線領域L04を計測する場合、作業者は、分岐電線5cの電線端部50caを本体30の軸方向に沿わせ、一方の下側突出部22の開口端22aに、分岐電線5cの絶縁被覆50cの先端50c1を位置させ、他方の下側突出部22の開口端22aに絶縁被覆50の端部50c2を位置させる。
【0070】
絶縁被覆50cの先端50c1~端部50c2までの区間の絶縁被覆50cを所定の剥取工具で剥ぎ取り、導線51cを露出させ、導線領域L04を形成する。その後、導線領域L04の両端を、一方の下側突出部32の開口端32aと他方の下側突出部32の開口端32aとの間に位置させ、第二挿通路200bに対して導線領域L04を嵌め込んで挿通させる。
【0071】
つぎに圧縮作業について説明する。作業者は、所定の圧縮工具を用いて、本体30の中央部から一端側に向かって圧縮目印303で特定された圧縮領域Pを順次圧縮した後、本体30の中央部から他端側に向かって各圧縮領域Pを順次圧縮する。この際、図9に示すように、上側の折曲片33が内側に折り曲げられ、導線51bが折曲片33により挟持される。
【0072】
本体30はアルミニウム製であるから、前記圧縮により本体30の一端側は軸方向に伸びる。しかしながら、導線領域L03は、絶縁被覆50の一方端部50b1を、一方の上側突出部31の開口端31aに位置し、他方端部50b2を他方の上側突出部31の開口端31aに位置するよう配置されている。このため、圧縮に伴う本体30の軸方向の伸び量に対して、導線領域L03は適応される。具体的には、圧縮変形によって本体30が軸方向一方側へ伸びると、一方の上側突出部31は、導線領域L03の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50bの外周側に伸びる。また、本体30が軸方向他方側へ伸びると他方の上側突出部31が導線領域L03の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50bの外周側に伸びる。本体30の圧縮変形が完了すると、一方の上側突出部31は、絶縁被覆50bの一方端部50b1から軸方向の外側の絶縁被覆50bを覆う位置となり、他方の上側突出部31は、絶縁被覆50bの他方端部50b2から軸方向の外側の絶縁被覆50bを覆う位置となるまで移動する。したがって、圧縮に伴って軸方向に伸びがあったとしても、圧縮領域Pのすべてで本体30が変形させられる。このため、導線領域L03と本体30との接続が確実になされる。また、前記圧縮に伴い本体30に軸方向の伸び量が発生すると、一方の上側突出部31および他方の上側突出部31の内径R3は、本線5bの外径R0よりも僅かに大きく設定されているから、絶縁被覆50bの一方端部50b1が一方の上側突出部31の内径に入り、絶縁被覆50bの他方端部50b2が他方の上側突出部31の内径に入る。
【0073】
一方、前記所定の圧縮工具により、上側の折曲片33と同時に、下側の折曲片34も内側に折り曲げられ、導線51cが折曲片34により挟持される。この圧縮に伴う本体30の軸方向の伸び量に対して、導線領域L04は適応される。具体的には、圧縮変形によって本体30が軸方向他方側へ伸びると、他方の下側突出部32は、導線領域L04の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50cの外周側に伸びる。また、本体30が軸方向他方側へ伸びると他方の下側突出部32が導線領域L04の軸方向外側へ移動し、絶縁被覆50cの外周側に伸びる。本体30の圧縮変形が完了すると、一方の下側突出部32は、導線51cの先端51caを覆う位置となり、他方の下側突出部32は、絶縁被覆50cの端部50c2を覆う位置となるまで移動する。したがって、圧縮に伴って軸方向に伸びがあったとしても、圧縮領域Pのすべてで本体30が変形させられる。このため、導線領域L04と本体30との接続が確実になされる。また、前記圧縮に伴い本体30に軸方向の伸び量が発生すると、絶縁被覆50cの端部c2が他方の下側突出部32の第二連通路320の内径に入り、導線51cの先端51caが第二挿通路300bの開口端301dに位置する。
【0074】
第三実施形態では、一方の上側突出部31の開口端(挿通方向の外側端縁)31aから他方の上側突出部31の開口端(挿通方向の外側端縁)31aまでの間の長さが、本線5bの絶縁被覆50bを剥ぎ取る長さとなっている。なお、ここでいう、剥ぎ取り長さには、圧縮変形によって本体30が軸方向に伸びる長さを含んでいる。具体的には、一方の上側突出部31(他方の上側突出部31)の長さは、本体30が圧縮変形によって一方側(他方側)に伸びる長さ(伸び代)に設定されている。よって、本線5bに接続スリーブ3をあてがい一方の上側突出部31の長さは、本体30が圧縮変形によって一方側(他方側)に伸びる長さに設定されている。よって、本線5bに接続スリーブ3をあてがい、一方の上側突出部31の開口端31aから他方の上側突出部31の開口端31aまでの長さに相当する絶縁被覆50bを剥ぎ取ることで、接続スリーブ3の本体30の長さと、圧縮変形によって本体30が軸方向両側に伸びる長さとを合わせた長さ分を確実に剥ぎ取ることができる。なお、下側突出部32においても同様である。
【0075】
このように、第三実施形態の接続スリーブ3によれば、導線領域L03は、一方の上側突出部31の外側端縁31aから他方の上側突出部31の外側端縁31aまでの長さが、圧縮変形されたときの本体30の伸び代を含む導線領域L03の長さに設定されているため、この長さに合わせて本線5bの絶縁被覆50bを剥ぎ取ることで、剥ぎ取る長さを誤ることなく確実に適切な長さ分だけ剥ぎ取ることができる。また、一方の上側突出部31の外側端縁31aから他方の上側突出部31の外側端縁31aまでの長さに合わせて分岐電線5cの絶縁被覆50cを剥ぎ取ることで、必要な長さ分だけ確実に剥ぎ取って接続を確保できる。また、絶縁被覆50bの一方端部50b1および他方端部50b2は、段付き部311,311によって第一挿通路300aに入らないから、誤って絶縁被覆50bの剥ぎ取りが短かった場合に、絶縁被覆50bにおける導線領域L03の端部の挿通を段付き部311,311により阻止して、本体30内に絶縁被覆50bの端部の挿入が防止され、本体30の変形に伴う絶縁被覆50bの変形は防止されて、導線領域L03と本体30との接続が確保される。
【0076】
また、導線領域L04は、一方の下側突出部32の外側端縁32aから他方の下側突出部32の外側端縁32aまでの長さが、圧縮変形されたときの本体30の伸び代を含む導線領域L04の長さに設定されているため、この長さに合わせて分岐電線5cの絶縁被覆50cを剥ぎ取ることで、剥ぎ取る長さを誤ることなく確実に適切な長さ分だけ剥ぎ取ることができる。また、一方の下側突出部32の外側端縁32aから他方の下側突出部32の外側端縁32aまでの長さに合わせて分岐電線5cの絶縁被覆50cを剥ぎ取ることで、必要な長さ分だけ確実に剥ぎ取って接続を確保できる。また、絶縁被覆50cの端部50c2は、段付き部321によって第二挿通路300bに入らないから、誤って絶縁被覆50cの剥ぎ取りが短かった場合に、絶縁被覆50cにおける導線領域L04の端部の挿入を段付き部321により阻止して、本体30内に絶縁被覆50cの端部の挿入が防止され、本体30の変形に伴う絶縁被覆50cの変形は防止されて、導線領域L04と本体30との接続が確保される。また、導線51cの先端51caは、本体30の伸びにより、本体20の一方側の開口端301dに位置する。
【0077】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、種々変更することができる。例えば、前記第一実施形態では、筒状の本体10の外周面10cに対し、複数の圧縮領域Pと、電線5の絶縁被覆50の長さL01の測定位置を示す環状の測定目印131,133とを形成したが、前記外周面10cの一方の半周面に周方向に沿って圧縮目印102を表示し、他方の半周面に周方向に沿って測定目印131,133を表示してもよい。
【0078】
前記第一実施形態では、スケール13は、本体10のみに測定目印130,131を表示したが、一方側突出部11の開口端11aおよび他方側突出部12の開口端12aに測定目印を表示してもよく、本体10の測定目印130,131から、一方側突出部11の開口端11aおよび他方側突出部12の開口端12aの範囲をマーキングしてもよい。要は、電線5の絶縁被覆50を、本体10の測定目印130,131と、一方側突出部11の開口端11aおよび他方側突出部12の開口端12aとの間で長さL01,L02を測定できればよい。
【0079】
前記第一実施形態では、本体10の両側にそれぞれ突出部11,12を設けたが、いずれか一方のみに設けるようにしてもよい。この場合、突出部のない側の導線の挿入基準位置は、本体の中央部とする。また、前記第一実施形態では、突出部11,12の長さを、圧縮数により軸方向に伸びる本体10の長さに等しくしたが、この長さよりも長くしてもよい。この場合、突出部に測定目印を表示することができる。
【0080】
前記第一実施形態では、本体10は、同一径の電線5,5同士を接続するようにしたが、異径の電線を接続するようにしてもよい。
【0081】
前記第一実施形態では、スケール13として、本体10に測定目印130,131を表示したが、絶縁被覆により被覆された本体の場合、絶縁被覆にスケール13の測定目印130,131を表示することが考えられる。
【0082】
前記第一実施形態では、一方側突出部11および他方側突出部12を本体10と同一素材(アルミ製)としたが、本体10が伸縮性を有する絶縁被覆により被覆された場合、一方側突出部11および他方側突出部12を、本体10の絶縁被覆と同一素材で、該絶縁被覆に連続して形成してもよい。この場合、一方側突出部11および他方側突出部12と、電線5の絶縁被覆50との位置関係を目視できるように、一方側突出部11および他方側突出部12の絶縁被覆を透明にしてもよい。要は、一方側突出部11および他方側突出部12として、電線5の外径と略同一径の挿通路110,120を有し、且つ圧縮により本体10とともに伸びる構成であればよい。
【0083】
前記第二、第三実施形態では、本体が一方側、他方側の両方に突出部を設ける場合について説明したが、どちらか一方だけでもよい。この場合、突出部の外側端縁と本体の外側端縁との間の長さが、剥ぎ取り長さに相当する。
【0084】
前記第二実施形態では、上下に突出部を設ける場合について説明したが、どちらか一方だけ設ける場合であってもよい。なお、第三実施形態についても、上下のどちらか一方だけ突出部を設けることができる。
【0085】
前記第一~第三実施形態では、電線を挿入または挿通する部分が複数ある場合について説明したが、これに限らず、一本の電線のみに挿通する部分を一つ備える場合であってもよい。この場合、他の電線は、別の手段で本体に接続されればよい。
【符号の説明】
【0086】
1,2,3…接続スリーブ、10,20,30…本体、10a…本体の一方側端部、10b…本体の他方側端部、10c…本体の外周面、100…本体の挿入路、200a,200b,300a,300b…本体の挿通路、101,201a,201c,301a,301c…本体の開口端(挿入開口)、102,205a,205b,303…圧縮目印、11,21,33…一方側突出部、111,121,211,221,311,321…段付き部、12,22,34…他方側突出部、110,120,210,220,330,340…突出部の連通路、13,23,24,33,34…スケール、131…スケールの一方側測定目印、133…スケールの他方側測定目印、5,5b,5c…電線、5a,5ba,5ca…電線端部、50,50b,50c…絶縁被覆、51,51b,51c…導線、52…絶縁被覆の剥ぎ取り目印、L1~L6…本体10,20,30が圧縮変形されたときに軸方向一方側に伸びる分に相当する長さ(伸び代)の突出長さ、L01~L04…絶縁被覆の長さ、P…圧縮領域
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