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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0833 20230101AFI20230831BHJP
【FI】
G06Q10/0833
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018220503
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020086938
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年5月28日 谷口勝男及び久保健が、株式会社日本能率協会コンサルティングにて行われた、モノコトデザイン株式会社が提供するソフトウェアに関する説明会にて、サプライチェーンを構成する複数のノードから提供された複数の読取情報同士を紐付けて記録し且つこれを送信するソフトウェアを公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】518356763
【氏名又は名称】モノコトデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 勝男
(72)【発明者】
【氏名】久保 健
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-153218(JP,A)
【文献】特開2009-048401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部を備えたコンピュータに、
サプライチェーンを構成する第1ノードにおいて商品に付与された第1識別情報、前記第1識別情報が読み取られた第1時間を示す第1時間情報、前記第1識別情報が読み取られた第1場所を示す第1場所情報、前記第1識別情報が読み取られた第1セクションを示す第1セクション情報、及び前記第1識別情報が読み取られた際に設定されている第1作業種別を示す第1作業種別情報、を含む第1読取情報を前記第1ノードから取得するステップと、
前記サプライチェーンを構成する前記第1ノードとは異なる第2ノードにおいて前記商品に付与された第2識別情報、前記第2識別情報が読み取られた第2時間を示す第2時間情報、前記第2識別情報が読み取られた第2場所を示す第2場所情報、前記第2識別情報が読み取られた第2セクションを示す第2セクション情報、及び前記第2識別情報が読み取られた際に設定されている第2作業種別を示す第2作業種別情報、を含む第2読取情報を前記第2ノードから取得するステップと、
前記商品に関するトレーサビリティ情報の要求を受信するステップと、
前記第1読取情報及び前記第2読取情報が所定の紐付条件を満たしている場合、受信した前記要求に応じて、前記第1読取情報及び前記第2読取情報を紐付けてトレーサビリティ情報として送信するステップ、を実行させるためのプログラムであって、
前記所定の紐付条件は、前記第1時間と前記第2時間との差が所定の閾値未満であること、前記第1場所と前記第2場所とが同一であること、前記第1セクションと前記第2セクションとが同一であること、及び前記第1作業種別と前記第2作業種別とが所定の関係であることを少なくとも含む、プログラム
【請求項2】
記憶部と、
サプライチェーンを構成する第1ノードにおいて商品に付与された第1識別情報、前記第1識別情報が読み取られた第1時間を示す第1時間情報、前記第1識別情報が読み取られた第1場所を示す第1場所情報、前記第1識別情報が読み取られた第1セクションを示す第1セクション情報、及び前記第1識別情報が読み取られた際に設定されている第1作業種別を示す第1作業種別情報、を含む第1読取情報を前記第1ノードから取得し、且つ、前記サプライチェーンを構成する前記第1ノードとは異なる第2ノードにおいて前記商品に付与された第2識別情報、前記第2識別情報が読み取られた第2時間を示す第2時間情報、前記第2識別情報が読み取られた第2場所を示す第2場所情報、前記第2識別情報が読み取られた第2セクションを示す第2セクション情報、及び前記第2識別情報が読み取られた際に設定されている第2作業種別を示す第2作業種別情報、を含む第2読取情報を前記第2ノードから取得する取得部と、
前記商品に関するトレーサビリティ情報の要求を受信し、前記第1読取情報及び前記第2読取情報が所定の紐付条件を満たしている場合、受信した前記要求に応じて、前記第1読取情報及び前記第2読取情報を紐付けてトレーサビリティ情報として送信するトレーサビリティ情報部と、
を備える情報処理装置であって、
前記所定の紐付条件は、前記第1時間と前記第2時間との差が所定の閾値未満であること、前記第1場所と前記第2場所とが同一であること、前記第1セクションと前記第2セクションとが同一であること、及び前記第1作業種別と前記第2作業種別とが所定の関係であることを少なくとも含む、情報処理装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の意識の高まりを受けて、消費者が購入する個々の商品について、そのサプライチェーン上の流通履歴を管理し、トレーサビリティを保証することが行われている。例えば、特許文献1には、物品に付された無線タグを用いて、流通段階における各段階で経てきた物品の環境の履歴を把握するための情報管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-284341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、商品によっては、サプライチェーンを経由する中で商品の形状や個装が変化する場合がある。また、サプライチェーンは通常、異なる複数の事業者から構成される。このような場合に、商品に同一のタグを付したままこれを管理し、一元的にトレーサビリティを把握することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、商品のトレーサビリティを容易に把握することを可能とする情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、記憶部と、サプライチェーンを構成する第1ノードにおいて商品に付与された第1識別情報、第1識別情報が読み取られた第1時間を示す第1時間情報、及び第1識別情報が読み取られた第1場所を示す第1場所情報、を含む第1読取情報を取得し、且つ、サプライチェーンを構成する第2ノードにおいて商品に付与された第2識別情報、第2識別情報が読み取られた第2時間を示す第2時間情報、及び第2識別情報が読み取られた第2場所を示す第2場所情報、を含む第2読取情報を取得する取得部と、商品に関するトレーサビリティ情報の要求を受信し、第1読取情報及び第2読取情報が所定の紐付条件を満たしている場合、受信した要求に応じて、第1読取情報及び第2読取情報を紐付けてトレーサビリティ情報として送信するトレーサビリティ情報部とを備える。
【0007】
この態様によれば、サプライチェーンを構成する各ノードから受信した読取情報のうち、所定の紐付条件が満たされる複数の読取情報が紐付けられてトレーサビリティ情報として送信される。これにより、サプライチェーンの各ノードにおいて商品の形状や個装が変化したり、各ノードが独自に発行した商品IDを商品に付しても、複数の読取情報の関連性が把握可能となるため、商品のトレーサビリティを容易に把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商品のトレーサビリティを容易に把握することを可能とする情報処理装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る情報管理システム1の構成例を示す図である。
図2】読取情報テーブルの一例を示す図である。
図3】トレーサビリティ情報を表示した画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。(なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。)
【0011】
(1)システムの概要
図1は、本発明の実施形態に係る情報管理システム1の構成例を示す図である。
【0012】
情報管理システム1は、サプライチェーンを管理するためのシステムである。以下では、サプライチェーンを構成する各事業者を「ノード」と称する場合がある。情報管理システム1に係るサプライチェーンを構成するノードの数は、いくつであってもよい。また、情報管理システム1に係るサプライチェーンは、分岐していてもよい。すなわち、一のノードに対する上流及び/又は下流のノードが複数存在していてもよい。また、サーバ装置10は、複数のサプライチェーンを管理するために、複数のサプライチェーンを構成するユーザ端末20に通信ネットワークNを介して接続されていてもよい。
【0013】
図1に示す情報管理システム1に係るサプライチェーンSは、一例として、ジャガイモ及びコロッケのサプライチェーンであるものとする。具体的には、当該サプライチェーンSにおいて、A農家はコロッケの原料となるジャガイモを収穫してこれをB農協に出荷する。B農協は、A農家から集荷したジャガイモを貯蔵した後、C工場に出荷する。C工場は、B農協から集荷したジャガイモを他の材料と共に加工してコロッケを製造し、当該コロッケをD店舗に納入する。D店舗は、C工場から仕入れたコロッケを、店舗において消費者に向けて販売する。なお、情報管理システム1が管理するサプライチェーンが対象とする商品は、農産物や食品の他、工業製品その他の任意の商品であってよい。
【0014】
このようなサプライチェーンSを管理するために、情報管理システム1は、例えば、通信ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されたサーバ装置10と、各ノードが利用するユーザ端末20と、各ノードが利用する読取装置30とを含む。更に情報管理システム1は、消費者やサプライチェーンの管理者等が利用するユーザ端末40と通信ネットワークNを介して接続されている。ユーザ端末20は、例えば、A農家が利用するユーザ端末20aと、B農協が利用するユーザ端末20bと、C工場が利用するユーザ端末20cと、D店舗が利用するユーザ端末20dとを含む。読取装置30は、例えば、A農家が利用する読取装置30aと、B農協が利用する読取装置30bと、C工場が利用する読取装置30cと、D店舗が利用する読取装置30dとを含む。
【0015】
各ノード(A農家、B農協、C工場、及びD店舗)はそれぞれ、商品(ジャガイモ又はコロッケ)に付するための独自の商品識別情報(商品ID)を発行できるものとする。商品IDを商品に付する態様は、特に限定されないが、例えば、QRコード(登録商標)、バーコード、RFID等であってよい。
【0016】
各ノードは、商品の仕入れ時、出荷時、加工時(加工前及び/又は加工後の時点)等、商品管理の都合から所望する任意の時点において、商品に付された商品IDを、読取装置30を用いて読み取る。なお、各ノードは必ずしも独自の商品IDを発行しなくてもよく、そのため、各ノードは、当該ノード自身が発行した独自の商品IDを読み取る場合もあれば、上流側のノードによって付された商品IDを読み取る場合もある。また、各ノードは、当該ノードが商品を仕入れてから出荷(販売)するまでの間に、商品IDを複数回読み取ってもよい。
【0017】
読取装置30は、商品に付された商品IDを読み取ると、読み取った情報をユーザ端末20に供給する。ユーザ端末20は、読取装置30から供給される情報に基づいて所定の読取情報を生成し、当該読取情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、各ノードから受信した読取情報を、後述する読取情報テーブルに記録する。サーバ装置10は、複数の読取情報が所定の紐付条件を満たす場合、同一のサプライチェーンにおけるものであるとして当該複数の読取情報を紐付けて記憶部に記憶する。所定の紐付条件については後述する。
【0018】
商品がサプライチェーンを経て最終的に消費者やサプライチェーンの管理者等の手に渡り、当該消費者や管理者等が商品に付された商品IDをユーザ端末40によって読み取ると、ユーザ端末40は、当該商品に係るトレーサビリティ情報を要求する要求信号をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、当該要求信号に応じて、上述した所定の紐付条件を満たす複数の読取情報を紐付けてトレーサビリティ情報としてユーザ端末40に送信する。ユーザ端末40は、受信したトレーサビリティ情報を表示する。トレーサビリティ情報については後述する。
【0019】
(2)構成
(2-1)サーバ装置10
サーバ装置10は、サプライチェーンの管理者等が利用するコンピュータである。サーバ装置10は、CPU等のプロセッサ、表示部、操作部、通信ネットワークNに接続するための通信インタフェース、ディスクドライブ又は半導体メモリ(ROM、RAM等)などの記憶装置等を備えている。なお、サーバ装置10は、1台又は複数台のコンピュータによって実現されてもよい。
【0020】
サーバ装置10は、上述した記憶装置により構成される記憶部11を備える。記憶部11は、例えば、読取情報テーブルを記憶している。読取情報テーブルについては後述する。
【0021】
サーバ装置10は、サーバ装置10が備えるプロセッサが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてる機能モジュールとして、例えば、読取情報取得部12と、テーブル更新部13と、読取情報紐付部14と、トレーサビリティ情報部15とを備える。読取情報取得部12は、ユーザ端末20から送信される読取情報を取得する。テーブル更新部13は、取得した読取情報を、記憶部11の読取情報テーブルへ記録することにより読取情報テーブルを更新する。読取情報紐付部14には、所定の読取情報同士を紐付けるための条件(紐付条件)が記述されている。トレーサビリティ情報部15は、ユーザ端末40からのトレーサビリティ情報の要求を受信して、読取情報紐付部14に記述されている紐付条件を満たす複数の読取情報を紐付けてトレーサビリティ情報を生成し、これをユーザ端末40に送信する。
【0022】
(2-2)ユーザ端末20
ユーザ端末20は、サプライチェーンを構成する各ノードの管理者や作業者等が利用するコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末又は携帯端末等である。ユーザ端末20は、CPU等のプロセッサ、表示部、操作部、通信ネットワークNに接続するための通信インタフェース、ディスクドライブ又は半導体メモリ(ROM、RAM等)などの記憶装置等を備えている。
【0023】
ユーザ端末20は、ユーザ端末20が備えるプロセッサが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能モジュールとして、例えば、読取装置処理部21と、読取情報生成部22とを備える。読取装置処理部21は、例えば、ユーザによる入力デバイスを介した入力操作に応じて読取装置30に所定の制御信号を供給することにより、読取装置30を所望に動作させる。読取情報生成部22は、読取装置30から読み取られた商品ID等に係る情報を取得した上で、読み取りの時間や場所に関する情報を含めた読取情報を生成する。読取情報に含める情報は、ユーザ端末20の入力デバイス等を用いてユーザが任意に設定することができる。
【0024】
(2-3)ユーザ端末40
ユーザ端末40は、消費者やサプライチェーンの管理者等が利用するコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末又は携帯端末等である。ユーザ端末40は、CPU等のプロセッサ、表示部、操作部、通信ネットワークNに接続するための通信インタフェース、ディスクドライブ又は半導体メモリ(ROM、RAM等)などの記憶装置等を備えている。更にユーザ端末40は、商品に付された商品IDを読み取るための読取装置を備えている。消費者やサプライチェーンの管理者等がユーザ端末40の読取装置によって、商品IDを読み取ると、ユーザ端末40はサーバ装置10にトレーサビリティ情報を要求する要求信号を送信する。そして、ユーザ端末40がサーバ装置10からトレーサビリティ情報を受信すると、ユーザ端末40は表示部に当該トレーサビリティ情報を表示する。消費者は、ユーザ端末40を利用してトレーサビリティ情報を閲覧することにより、購入した商品の材料や製造等に関する情報を入手することが可能となる。また、サプライチェーンの管理者は、ユーザ端末40を利用してトレーサビリティ情報を閲覧することにより、サプライチェーンの様々な情報を把握してサプライチェーンの管理に役立てることが可能となる。例えば、サプライチェーンの管理者は、何らかのクレームが発生した場合に当該商品に使用されている同一ロットの原材料を追跡したり、サプライチェーンの途中の段階で生成された商品IDを用いて当該商品がどのように流通しているかについて調査したりすることが可能となる。
【0025】
(3)読取情報テーブル
図2は、読取情報テーブルの一例を示す図である。読取情報テーブルは、少なくとも一のサプライチェーンの各ユーザ端末20から取得した読取情報を統合して管理するためのテーブルである。なお、図2に示した読取情報テーブルには、サプライチェーンSで生成された読取情報R1~R6の他、他のサプライチェーンで生成された読取情報も含まれていてもよい。
【0026】
読取情報テーブルにおいて、各行は一の読取情報を示しており、各列は読取情報の項目を示す。読取情報の項目は、例えば図3に示すとおり、「時間」、「場所」、「セクション」、「作業種別」、「商品」、「アイテム」、及び「商品ID」を含む。
【0027】
「時間」は、各ノードが読取装置30を用いて商品IDを読み取った時間を示す。「場所」は、読取を行った各ノードを示し、例えば、A農家、B農協、C工場、及びD店舗等を含む。「セクション」は、各ノード内において読取が行われたセクションを示し、例えば、A農家における「畑a1」、B農協における「貯蔵庫b1」、C工場における「加工ラインc1」、D店舗における「商品棚d1」等を含む。「作業種別」は、各ノードが商品に対して行う作業の種類を示す情報であって、例えば、「出荷」、「入荷」、「加工前」、「加工後」、「陳列」等を含む。「商品」は、サプライチェーン上を流通する商品の状態を示す情報であって、例えば、「ジャガイモ」や「コロッケ」等を含む。「アイテム」は、商品IDが付された商品の態様である。例えば、「段ボールaa1」は、A農家においてジャガイモが入れられた通し番号aa1の段ボールを示し、「ケースbb1」は、B農協においてジャガイモが入れられた通し番号bb1のケースを示す。同様に、「ケースcc1」は、C工場において加工前のジャガイモが入れられた通し番号cc1のケースを示し、「包装cc2」は、C工場において加工後のコロッケが入れられた通し番号cc2の包装を示す。「商品ID」は、各ノードが独自に発行した商品を管理するためのIDである。
【0028】
なお、読取情報の項目は上述したものに限られず、他の項目を含んでいてもよい。読取情報の項目は、例えばユーザ端末20の入力デバイスの操作によって、ユーザが任意に設定することができる。
【0029】
(4)動作フロー
図2を用いて、情報管理システム1による動作フローを説明する。
【0030】
(読取情報R1の記録)
まず、A農家の作業者が読取装置30aを用いて、7月3日の6時50分に、作業種別を「収穫」に設定した上で、畑a1において収穫したジャガイモが入った段ボールaa1に付された商品ID「A-P-1234」を読み取る。ここで、当該商品ID「A-P-1234」は、例えば、A農家が独自に発行し、段ボールaa1に付した商品IDである。読取装置30aは、ユーザ端末20aに読み取った情報を供給する。
【0031】
ユーザ端末20aの読取情報生成部22aは、読取装置30aから供給された情報に基づいて読取情報R1を生成し、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部12が読取情報R1を取得すると、サーバ装置10のテーブル更新部13は、読取情報R1を読取情報テーブルに記録することにより読取情報テーブルを更新する。その後、A農家の作業者は、ジャガイモが入った段ボールaa1をB農協に出荷する。
【0032】
(読取情報R2の記録)
次に、B農協の作業者は、A農家からジャガイモが入った段ボールaa1を入荷すると、7月3日の7時15分に貯蔵庫b1において、読取装置30bを用いて、作業種別を「入荷」に設定した上で、段ボールaa1に付された商品ID「A-P-1234」を読み取る。読取装置30bは、ユーザ端末20bに読み取った情報を供給する。
【0033】
ユーザ端末20bの読取情報生成部22bは、読取装置30bから供給された情報に基づいて読取情報R2を生成し、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部12が読取情報R2を取得すると、サーバ装置10のテーブル更新部13は、読取情報R2を読取情報テーブルに記録することにより読取情報テーブルを更新する。
【0034】
(読取情報R3の記録)
次に、B農協の作業者は、段ボールaa1に入っているジャガイモを他のジャガイモと共にケースbb1に入れる。そして、このとき、B農協の作業者は、読取装置30bを用いて、7月3日の7時20分に、作業種別を「貯蔵」に設定した上で、ケースbb1に付された商品ID「B-P-98765」を読み取る。ここで、商品ID「B-P-98765」は、例えば、B農協が独自に発行し、ケースbb1に付した商品IDである。読取装置30bは、ユーザ端末20bに読み取った情報を供給する。
【0035】
ユーザ端末20bの読取情報生成部22bは、読取装置30bから供給された情報に基づいて読取情報R3を生成し、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部12が読取情報R3を取得すると、サーバ装置10のテーブル更新部13は、読取情報R3を読取情報テーブルに記録することにより読取情報テーブルを更新する。その後、B農協の作業者は、ジャガイモが入ったケースbb1を貯蔵庫b1に貯蔵する。
【0036】
(読取情報R4の記録)
次に、B農協の作業者は、予定された出荷の時間である翌日7月4日の10時30分に、貯蔵庫b1からジャガイモが入ったケースbb1を取り出すと、読取装置30bを用いて、作業種別を「出荷」に設定した上で、ケースbb1に付された商品ID「B-P-98765」を読み取る。読取装置30bは、ユーザ端末20bに読み取った情報を供給する。
【0037】
ユーザ端末20bの読取情報生成部22bは、読取装置30bから供給された情報に基づいて読取情報R4を生成し、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部12が読取情報R4を取得すると、サーバ装置10のテーブル更新部13は、読取情報R4を読取情報テーブルに記録することにより読取情報テーブルを更新する。その後、B農協の作業者は、ジャガイモが入ったケースbb1をC工場に出荷する。
【0038】
(読取情報R5の記録)
次に、C工場の作業者は、B農協からジャガイモが入ったケースbb1を入荷すると、7月4日の11時20分に、コロッケを製造するための加工ラインc1において、読取装置30cを用いて、作業種別を「入荷」に設定した上で、ケースbb1に付された商品ID「B-P-98765」を読み取る。読取装置30cは、ユーザ端末20cに読み取った情報を供給する。
【0039】
ユーザ端末20cの読取情報生成部22cは、読取装置30cから供給された情報に基づいて読取情報R5を生成し、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部12が読取情報R5を取得すると、サーバ装置10のテーブル更新部13は、読取情報R5を読取情報テーブルに記録することにより読取情報テーブルを更新する。
【0040】
(読取情報R6の記録)
次に、C工場の作業者は、7月4日の11時25分に、加工ラインc1において、ケースbb1に入っているジャガイモを他のジャガイモと共にケースcc1に入れる。そして、作業者は、読取装置30cを用いて、作業種別を「加工前」に設定した上で、ケースcc1に付された商品ID「C-P-54321」を読み取る。ここで、商品ID「C-P-54321」は、例えば、C工場が独自に発行し、ケースcc1に付した商品IDである。読取装置30cは、ユーザ端末20cに読み取った情報を供給する。
【0041】
ユーザ端末20cの読取情報生成部22cは、読取装置30cから供給された情報に基づいて読取情報R6を生成し、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部12が読取情報R6を取得すると、サーバ装置10のテーブル更新部13は、読取情報R6を読取情報テーブルに記録することにより読取情報テーブルを更新する。その後、作業者は、ケースcc1からジャガイモを取り出し、当該ジャガイモを加工ラインc1に供給し、加工ラインc1によってコロッケを製造する。
【0042】
(読取情報R7の記録)
次に、C工場の作業者は、加工ラインc1で出来上がったコロッケを包装cc2を用いて包装する。そして、作業者は、7月4日の12時10分に、読取装置30cを用いて、作業種別を「加工後」に設定した上で、包装cc2に付された商品ID「C-C-5432」を読み取る。ここで、商品ID「C-C-5432」は、例えば、C工場が独自に発行し、包装cc2に付した商品IDである。読取装置30cは、ユーザ端末20cに読み取った情報を供給する。
【0043】
ユーザ端末20cの読取情報生成部22cは、読取装置30cから供給された情報に基づいて読取情報R7を生成し、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部12が読取情報R7を取得すると、サーバ装置10のテーブル更新部13は、読取情報R7を読取情報テーブルに記録することにより読取情報テーブルを更新する。その後、作業者は、包装cc2に入ったコロッケを、他のコロッケと共にD店舗に向けて出荷する。
【0044】
(読取情報R8)
次に、D店舗の作業者は、C工場から上述したコロッケを入荷した後、7月4日の13時35分に、包装cc2に入ったコロッケを商品棚d1に陳列すると共に、読取装置30dを用いて、作業種別を「陳列」に設定した上で、包装cc2に付された商品ID「C-C-5432」を読み取る。読取装置30dは、ユーザ端末20dに読み取った情報を供給する。
【0045】
ユーザ端末20dの読取情報生成部22dは、読取装置30dから供給された情報に基づいて読取情報R8を生成し、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部12が読取情報R8を取得すると、サーバ装置10のテーブル更新部13は、読取情報R8を読取情報テーブルに記録することにより読取情報テーブルを更新する。
【0046】
(読取情報R9の記録)
次に、D店舗の作業者は、7月4日の13時40分に、店舗Dが独自に発行した商品ID「D-C-9999」を、商品棚d1に陳列されている包装cc2に新たに付す。そして、読取装置30dを用いて、作業種別を「在庫管理」に設定した上で、包装cc2に新たに付された商品ID「D-C-9999」を読み取る。読取装置30dは、ユーザ端末20dに読み取った情報を供給する。
【0047】
ユーザ端末20dの読取情報生成部22dは、読取装置30dから供給された情報に基づいて読取情報R9を生成し、サーバ装置10に送信する。サーバ装置10の読取情報取得部12が読取情報R9を取得すると、サーバ装置10のテーブル更新部13は、読取情報R9を読取情報テーブルに記録することにより読取情報テーブルを更新する。
【0048】
(読取情報の記述)
サーバ装置10の読取情報紐付部14には、所定の読取情報同士を紐付けるための条件(紐付条件)が記述されている。
【0049】
所定の紐付条件は、例えば、読取情報テーブルに含まれる項目(例えば、図3に示した「時間」、「場所」、「セクション」、「作業種別」、「商品」、「アイテム」、及び「商品ID」等)によって以下のように規定される条件を少なくとも一つ含んでいてもよい。このとき、ある紐付条件に含まれる条件Aと条件Bとは、論理積(条件A且つ条件B)の関係であってもよいし、論理和(条件A又は条件B)の関係であってもよい。
・複数の識別情報それぞれの「時間」の差が所定の閾値未満であること。(当該閾値は、読取情報テーブルの他の項目に応じて規定される値でもよい。)
・複数の読取情報それぞれの「場所」が同一又は所定の関係(異なる場合を含む)にあること。
・複数の読取情報それぞれの「セクション」が同一又は所定の関係(異なる場合を含む)にあること。
・複数の読取情報それぞれの「作業種別」が同一又は所定の関係(異なる場合を含む)にあること。
・複数の読取情報それぞれの「アイテム」が同一又は所定の関係(異なる場合を含む)にあること。
・複数の読取情報それぞれの「商品ID」が同一又は所定の関係(異なる場合を含む)にあること。
【0050】
(トレーサビリティ情報の表示)
次に、消費者は、D店舗において包装cc2に入ったコロッケを購入した上で、ユーザ端末40を用いて包装cc2に付された商品ID「D-C-9999」を読み取る。すると、ユーザ端末40は、商品ID「D-C-9999」が付された商品に関するトレーサビリティ情報を要求する要求信号を生成し、サーバ装置10に送信する。当該要求信号は、例えば、商品ID「D-C-9999」を含む。サーバ装置10のトレーサビリティ情報部15は、要求信号を受信すると、読取情報紐付部14に記述されている紐付条件を満たす複数の読取情報を紐付けてトレーサビリティ情報を生成し、これをユーザ端末40に送信する。
【0051】
ここで、図2を用いて、サプライチェーンSに適用される所定の紐付条件の具体例について説明する。所定の紐付条件は、例えば、「条件B+条件C+条件D+条件A」とする(ただし、「+」は論理和を、「×」は論理積をそれぞれ示す)。ここで、条件B、C、D、及びAはそれぞれ以下のとおりであるものとする。
・条件B…(「場所」がB農協である)×(「時間」の差が20分未満である)
・条件C…(「場所」がC工場である)×(「時間」の差が90分未満である)
・条件D…(「場所」がD店舗である)×(「時間」の差が30分未満である)
・条件A…(「商品ID」が同一である)
【0052】
このとき、まず、トレーサビリティ情報部15は、要求信号に含まれる商品ID「D-C-9999」に基づいて、当該商品IDに対応する読取情報R9を特定する。更に、トレーサビリティ情報部15は、読取情報紐付部14に記述されている所定の紐付条件を参照して、読取情報R9について紐付条件が満たされる読取情報を特定する。具体的には、条件Dにより読取情報R9と読取情報R8とが紐付き、条件Aにより読取情報R8と読取情報R7とが紐付き、条件Cにより読取情報R7と読取情報R6と読取情報R5とが紐付く。更に、条件Aにより読取情報R5と読取情報R4と読取情報R3とが紐付き、条件Bにより読取情報R3と読取情報R2とが紐付き、条件Aにより読取情報R2と読取情報R1とが紐付く。以上より、読取情報R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9が互いに紐付く。
【0053】
なお、C工場の加工ラインc1におけるコロッケの製造は、ジャガイモの他に、肉やパン粉等の他の商品も原材料として使用されるが、これら肉やパン粉等の他の商品についても、ジャガイモと同様に、他のサプライチェーンのノードを経由しながら読取情報が生成されている。図2では記載が省略されているが、これら他の商品に係る読取情報も図2に示す読取情報テーブルに含まれていてもよい。その場合、これら他の商品に係る読取情報も、条件Cを満たす限りにおいて、ジャガイモやコロッケに係る読取情報R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9等に紐付けられ、トレーサビリティ情報に含まれることとなる。
【0054】
トレーサビリティ情報部15は、読取情報R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9をトレーサビリティ情報としてユーザ端末40に送信する。ユーザ端末40は、トレーサビリティ情報を受信すると、当該トレーサビリティ情報を表示部に表示させる。
【0055】
図3は、トレーサビリティ情報を表示した画面の一例を示す図である。図3には、読取情報R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9をトレーサビリティ情報とした場合にユーザ端末40に表示される画面200が示されている。当該画面200において、ブロック201aは読取情報R1に対応するA農家によるジャガイモの収穫に関する情報を、ブロック201bは読取情報R3に対応するB農協によるジャガイモの貯蔵に関する情報を、ブロック201cは読取情報R6に対応するC工場によるコロッケの製造に関する情報を、ブロック201dは読取情報R8に対応するD店舗によるコロッケの販売に関する情報を、それぞれ示している。各ブロックが示す情報は、例えば、「時間」、「場所」、「セクション」、「作業種別」、「商品」、「アイテム」、及び「商品ID」等の、読取情報に含まれる任意の情報であってよい。図3に示すとおり、各ブロック201a~201dは、矢印によって順次、連結した態様で示されている。当該画面200を閲覧することにより、ユーザ端末40の利用者である消費者は、購入したコロッケについて、A農家で収穫されB農協で貯蔵されたジャガイモを原料としていることや、当該ジャガイモを用いてC工場で製造されD店舗で販売されたことを把握することができる。また、サプライチェーンを構成するこれら各ノードにおける作業の種類や時間等の情報も把握することができる。なお、画面200は、トレーサビリティ情報に含まれる読取情報全てを表示してもよい。その際、サプライチェーンを構成する場所毎に読取情報を纏めた態様で表示してもよい。或いは、上述したとおり、サプライチェーンを構成する場所毎に所定数だけ抽出された読取情報のみを表示してもよい。
【0056】
以上説明したとおり、サーバ装置10は、サプライチェーンを構成する各ノードから受信した読取情報のうち、所定の紐付条件が満たされる複数の読取情報を紐付けて記憶する。そして、ユーザ端末40の要求に応じて、トレーサビリティ情報として、それら紐付けた複数の読取情報をユーザ端末40に送信する。これにより、サプライチェーンの各ノードにおいて商品の形状や個装が変化したり、各ノードが独自に発行した商品IDを商品に付しても、消費者やサプライチェーンの管理者等は商品についてのトレーサビリティを把握することが可能となる。
【0057】
なお、上述した実施形態においては、情報管理システム1は、所謂サーバ・クライアントモデルによるネットワークを構成する情報管理システム1において、サーバ装置10が一極集中的に、各ノードが生成した複数の読取情報を管理・統合するものとした。しかしながら、情報管理システム1のネットワークの態様や、読取情報の管理・統合の態様はこれに限るものではない。例えば、情報管理システム1は、ユーザ端末20等によって構成されるブロックチェーン・ネットワークによって構成されてもよい。この場合例えば、各ユーザ端末20は、読取装置30を用いて商品IDを読み取ると、読取情報を含むトランザクションを生成し、ブロックチェーン・ネットワークを構成するユーザ端末20等の各ノードに当該トランザクションを送信してもよい。そして、ユーザ端末20や他の端末は、当該トランザクションを含む複数のトランザクションに基づいてブロックを生成し、ブロックチェーン・ネットワークを構成するユーザ端末20等の各ノードに当該ブロックを送信してもよい。ユーザ端末20等の各ノードは、当該ブロックを過去のブロックに順次連結してもよい。このようにして、読取情報に基づくブロックチェーンがブロックチェーン・ネットワークの各ノードに記憶される。そして、当該ブロックチェーン・ネットワーク内の各ノードは、上述した実施形態におけるサーバ装置10と同様に、ユーザ端末40等の他の端末からの要求に応じて、所定の紐付条件を満たす複数の読取情報を紐付けたてトレーサビリティ情報としてユーザ端末40に送信してもよい。このようにブロックチェーンによるネットワーク構成を採用することにより、読取情報等の保存した情報の改ざんがより困難となり、また、誰でもその事実を確認できるようになるという効果を奏する。
【0058】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1…情報管理システム、10…サーバ装置、11…記憶部、12…読取情報取得部、13…テーブル更新部、14…読取情報紐付部、15…トレーサビリティ情報部、20、20a~20d…ユーザ端末、21、21a~21d…読取装置処理部、22、22a~22d…読取情報生成部、30、30a~30d…読取装置、40…ユーザ端末
図1
図2
図3