(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】光コンバイナ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/293 20060101AFI20230831BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G02B6/293
G02B6/32
(21)【出願番号】P 2019088495
(22)【出願日】2019-05-08
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】304056637
【氏名又は名称】株式会社中原光電子研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】有島 功一
(72)【発明者】
【氏名】中原 基博
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06011885(US,A)
【文献】米国特許第05892868(US,A)
【文献】米国特許第06219477(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0150333(US,A1)
【文献】特開2007-241226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
G02B 6/24
G02B 6/255
G02B 6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射端面に入射された光を出射端面から出射する、屈折率分布型レンズを用いた光コンバイナであって、
前記屈折率分布型レンズの入射端面に、前記屈折率分布型レンズの出射端面からの距離が異なる部分領域を備え、
前記部分領域ごとに、前記出射端面の光軸に集光する
色が予め定められ、
前記部分領域から前記屈折率分布型レンズの光軸に平行に入射された各光を、前記屈折率分布型レンズの光軸に集光する、
光コンバイナ。
【請求項2】
前記入射端面の少なくとも一部に、前記屈折率分布型レンズの光軸に対して傾斜している傾斜面が設けられており、
前記傾斜面に前記部分領域が含まれている、
請求項1に記載の光コンバイナ。
【請求項3】
前記入射端面の少なくとも一部に、階段状の段差が設けられており、
前記部分領域が、前記屈折率分布型レンズの光軸に垂直な平坦面である、
請求項1又は2に記載の光コンバイナ。
【請求項4】
前記入射端面の前記部分領域に、前記部分領域ごとに定められた
色の光を平行光に変換する屈折率分布型レンズを用いた平行光生成部が設けられ、
前記平行光生成部は、前記平行光を前記屈折率分布型レンズの光軸に平行に入射する、
請求項1から3のいずれかに記載の光コンバイナ。
【請求項5】
前記平行光生成部は、
前記出射端面から前記平行光生成部の入射位置までの距離を一定にするレンズ長を有し、
前記部分領域ごとに定められた
色の光に対し、前記平行光生成部の前記レンズ長が1/4ピッチ又は1/2ピッチの整数倍を加えた1/4ピッチとなる屈折率分布定数を有する、
請求項4に記載の光コンバイナ。
【請求項6】
前記屈折率分布型レンズの周方向を覆う、前記部分領域に設けられている全ての前記屈折率分布型レンズに共通のキャピラリをさらに備える、
請求項4又は5に記載の光コンバイナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光コンバイナに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の異なる波長光を一つの光ファイバに結合する光コンバイナが提案され、種々の応用例が提案されている。たとえば、共焦点顕微鏡、フローサイトメトリー等の医学・生物学用途や、ヘッドアップディスプレイ、VR(Virtual Reality)グラス、網膜走査メガネ等のディスプレイ用途などが挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。近年、仮想現実(VR)、拡張現実(AR:Augmented Reality)や複合現実(MR:Mixed Reality)等を実現する手段として、超小型ディスプレイ装置が盛んに開発されており、その光源として赤色(R)、緑色(G)、青色(B)といった波長の大きく異なる光を1本の光ファイバに結合させることが必須となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、波長の大きく異なる光を結合させる光コンバイナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の光コンバイナは、
入射端面に入射された光を出射端面から出射する、屈折率分布型レンズを用いた光コンバイナであって、
前記屈折率分布型レンズの入射端面に、前記屈折率分布型レンズの出射端面からの距離が異なる部分領域を備え、
前記部分領域ごとに、前記出射端面の光軸に集光する波長が予め定められている。
【0006】
本開示の光コンバイナは、前記入射端面の前記部分領域に、前記部分領域ごとに定められた波長の光を平行光に変換する屈折率分布型レンズを用いた平行光生成部が設けられていてもよい。
【0007】
本開示の光コンバイナは、前記屈折率分布型レンズの周方向を覆う、前記部分領域に設けられている全ての前記屈折率分布型レンズに共通のキャピラリをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、波長の異なる光を結合させる光コンバイナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】波長の異なる平行光がGRINレンズに入射した場合の光線軌跡の一例を示す。
【
図2】GRINレンズの屈折率波長分散の一例を示す。
【
図3】各波長におけるg値、1/4ピッチ長およびその差分の一例を示す。
【
図4】第一の実施形態に係る光コンバイナの第一例を示す。
【
図5】第一の実施形態に係る光コンバイナの第二例を示す。
【
図6】第一の実施形態に係る光コンバイナの第三例を示す。
【
図7】第一の実施形態に係る光コンバイナの第四例を示す。
【
図8】第一の実施形態に係る光コンバイナの第五例を示す。
【
図9】第一の実施形態に係る光コンバイナの第六例を示す。
【
図10】第二の実施形態に係る光コンバイナの一例を示す。
【
図11】第二の実施形態に係る光コンバイナの入射位置の説明図である。
【
図12】第三の実施形態に係る光コンバイナの一例を示す。
【
図13】第四の実施形態に係る光コンバイナの一例を示す。
【
図14】第五の実施形態に係る光コンバイナの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0011】
小型の光コンバイナとして、屈折率分布型のGRIN(Gradient Index)レンズを用いたシステムが提案されている。GRINレンズはレンズ端面がフラットであるため、他の光部品、特に光ファイバとの接続性がよく、レンズ径1mm以下、レンズ長10mm以下で複数の光ファイバからの入射光を一つの光ファイバに集光することができる。
【0012】
R,G,Bといった波長の異なるレーザ光を結合させる技術としては、プリズム、フィルタ、ファイバカップラ等があるが、いずれも部品が大きくなる。
【0013】
また、平面型光導波回路は屈折率の高いドープ材を用いることで、コンバイナ素子の小型化が可能になる。しかし、屈折率の高いドープ材を用いた平面型光導波回路は、光を導波するコア部が小さいため、通常の光ファイバとの接続に工夫が必要であり、部品全体としての小型化は困難である。
【0014】
GRINレンズを用いた光コンバイナは、これらに対して小型化が可能である上、他の光部品との接続性が高い。しかしながら、波長の大きく異なるRGB等のコンバイナにおいては、波長の違いによりレンズ光軸上で焦点を結ぶ位置が異なり、出力用ファイバへの結合効率が悪くなる。
【0015】
図1に、波長の異なる平行光がGRINレンズに入射した場合の光線軌跡の一例を示す。
図1では、集光した後の光線軌跡は省略している。図に示すように、波長の異なる平行光101,102,103が光軸12と平行にGRINレンズ111に入射した場合、波長の違いにより、入射端面111Aから光軸12上で結ぶ焦点位置F
101,F
102,F
103までの光軸方向における距離z
101,z
102,z
103は異なる。
【0016】
GRINレンズの光線軌跡は、式1で表わされる。
【数1】
【0017】
光軸12に対して平行に入射した場合、入射端面111Aへの入射角は0であるため、式1の右辺第二項は0である。従って、光線がレンズ光軸上となる条件は
(数2)
cos(gz)×r0=0 ・・・[式2]
である。光軸入射(r0=0)以外で、光軸12と交差する位置(z)はcos(gz)=0の場合である。
【0018】
これは、
(数3)
gz=π/2 ・・・[式3]
即ち、GRINレンズの光線軌跡の1/4ピッチの場合である。
【0019】
さらに、式3を変形して
(数4)
z=(π/2)/g ・・・[式4]
より、光軸12と交差する位置(z)を求めることができる。
【0020】
ここで、GRINレンズの屈折率分布定数すなわちg値は式5で表される。
【数5】
【0021】
式5はGRINレンズの屈折率分布定数すなわちg値が屈折率で規定されることを示している。GRINレンズ材料の屈折率の波長分散がある場合は、式3より波長によって光軸12と交差する位置が異なることを示している。
【0022】
図2に、Geドープ量が11.8wt%のGRINレンズの屈折率波長分散の一例を示す。この分散を基に、式4および式5より、レンズ径が0.5mmのGRINレンズのRGB波長におけるg値、1/4ピッチ長(z)および差分を求めた結果を
図3に示す。
【0023】
波長700nmの赤色と波長425nmの青色では、1/4ピッチ長が約200μmも離れていることが判る。これは、出射側に設置した1本のシングルモードファイバに入射させる場合は、結合効率が波長により異なるため、実用上大きな問題となる。
【0024】
そこで、本開示は、GRINレンズを用いた光コンバイナにおいて、焦点位置F101,F102,F103のずれに合わせて、光101,102,103の入射位置を光軸12方向でずらす。これにより、本開示は、波長の大きく異なる光であっても、出射端面111Bに設置した1本のシングルモードの光ファイバ41に入射可能にする。
【0025】
(第一の実施形態)
図4に本実施形態に係る光コンバイナの一例を示す。本実施形態の光コンバイナ11は、光コンバイナ11の入射端面11Aに、階段状の段差が設けられている。
【0026】
本実施形態に係る入射端面11Aは、光軸12に垂直な平坦面11A_101,11A_102,11A_103を備える。平坦面11A_101から出射端面11Bまでの距離z101、平坦面11A_102から出射端面11Bまでの距離z102、平坦面11A_103から出射端面11Bまでの距離z103は異なる。本実施形態では、平坦面11A_101,11A_102,11A_103が部分領域として機能する。
【0027】
距離z101,z102,z103は、それぞれの波長λでのレンズ中心屈折率n0(λ)を式5及び式4に適用することで算出された1/4ピッチである。距離z101,z102,z103は、1/4ピッチに、1/2ピッチの整数倍を加えた値であってもよい。これにより、本実施形態は、波長の異なる平行光101,102,103を出射端面11Bの光軸12に集光させることができる。
【0028】
作製法は、例えば、z101の長さを有するGRINレンズに、平坦面11A_102及び平坦面11A_103を切削で加工し、リングを階段状に形成する。また、平坦面11A_101と同一のレンズ形状及び特性を有する母材を厚みがTh101となるように研磨し、平坦面11A_102と同一のレンズ形状及び特性を有する母材を厚みがTh102となるように研磨し、それぞれをz103の長さを有するGRINレンズに張り付けてもよい。
【0029】
具体的には、
図3に示した3種類の波長を入射する場合、距離z
101を5.0846mmとして位置301に波長700nmの光を入射し、距離z
102を5.0047mmとして位置302に波長535nmの光を入射し、距離z
103を4.8779mmとして位置303に波長425nmの光を入射する。この場合のTh102は0.1268mm、Th101は0.2067mmである。
【0030】
このように作製された光コンバイナでは、波長に依らず、同じ光軸12上の位置201から出射することができ、異なる波長におけるファイバへの結合効率の違いを解消できる。本実施形態は、入射側のRGBに対応した平面のどこであっても出射位置201に集光することができる。このため、波長が確定しており、光コンバイナ11を量産するような場合に、本実施形態を採用することで、実装時間を短縮することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、入射端面11Aの全体に凹凸が形成されている例を示したが、入射端面11Aの少なくとも一部に凹凸が設けられていればよい。また、平坦面11A_101における平行光101の入射位置、平坦面11A_102における平行光102の入射位置、平坦面11A_103における平行光103の入射位置の形状は任意である。そのため、本実施形態の端面11Aの形状は、距離z101,z102,z103が異なるような、任意の形状を採用することができる。
【0032】
例えば、端面11Aの縦断面形状は、
図4に示すような凹形状であってもよいし、
図5に示すような凸形状であってもよいし、凹形状と凸形状の組合せであってもよい。また、各平坦面の境界の形状は、
図4及び
図5に示す平坦面11A_101~11A_103のような光軸12を中心とするリング状であってもよいし、
図6及び
図7に示す平坦面11A_101~11A_105のような直線状であってもよい。
【0033】
また、平坦面11A_101,11A_102,11A_103は、光軸12に垂直に限らず、光軸12に対して傾斜していてもよい。例えば、
図4に示す平坦面11A_101,11A_102,11A_103は、
図8に示すように、光軸12に対して対称に傾斜していることが好ましい。これにより、ドリルでの平坦面11A_101,11A_102,11A_103の加工が容易になる上、光コンバイナ11内部での散乱を防止することができる。ここで、傾斜の方向は、
図9に示すように、同一方向に傾斜していてもよい。傾斜の角度は、反射防止が得られる任意の角度を採用可能であるが、出射位置201からのずれが生じない程度の角度が好ましい。例えば、光軸12に垂直な面に対する傾斜の角度は10度以下にすることができる。
【0034】
また、出射端面11Bは、位置201及びその近傍が平坦であればよく、全体が平坦である必要はない。例えば、出射端面11Bにおける位置201は、
図7に示すように、光軸12に垂直でなく、光軸12に対して傾斜していてもよい。これにより、出射端面11Bでの光101,102,103の反射を防ぐことができる。また、出射端面11Bは、
図6に示すように、入射端面11Aと共通又は対称の形状を有していてもよい。
【0035】
(第二の実施形態)
図10に本実施形態に係る光コンバイナの一例を示す。本実施形態では、光コンバイナ11の入射端面11Aが、光軸12に対して傾斜している。これにより、出射端面11Bからの距離z
101,z
102,z
103が異なる、入射端面11Aの部分領域が形成されている。
【0036】
本実施形態に係る入射端面11Aは、入射端面11Aの直線H101上の位置において出射端面11Bとの距離がz101となり、入射端面11Aの直線H102上の位置において出射端面11Bとの距離がz102となり、入射端面11Aの直線H103上の位置において出射端面11Bとの距離がz103となる。本実施形態では、入射端面11Aにおける直線H101,H102,H103上の領域が部分領域として機能する。
【0037】
本実施形態は、入射位置301,302,303に、波長の異なる平行光101,102,103をレンズ光軸12に対して平行に入射する。入射位置からレンズ光軸と交差するまでの光線軌跡の光軸方向の距離z101,z102,z103は、第一の実施形態と同様に、それぞれの波長から算出された1/4ピッチである。これにより、本実施形態は、各波長の平行光101,102,103を出射端面11Bの光軸12に集光させることができる。
【0038】
例えば、定められた波長の光であれば、直線H102上のどの位置から入射された場合であっても、出射端面11Bの光軸12に集光させることができる。具体的には、
図11に示すように、C-C’断面における入射端面11ACとE-E’断面における入射端面11AEとは光軸12に対する角度が異なる。しかし、出射端面11Bからの距離はいずれも同じz
102である。このため、入射位置302Cから入射した光102Cと入射位置302Eから入射した光102Eとは、波長が同じであれば、同じ出射位置201に集光する。
【0039】
本例では、第一の実施形態の例と異なり、入射面に特別な加工をすることなく、斜めに切断した入射端面11Aを形成し、1/4ピッチとなるような入射位置を選択すればよく、実用的に有利である。本実施形態は、任意の波長への対応が可能であり、さらに反射を防止することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、入射端面11Aの半面に入射位置301~303が配置される例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、入射位置301~303は、入射端面11Aの全体に配置されていてもよい。
【0041】
また、本実施形態の入射端面11Aは、光軸12に対する入射端面11Aの角度は、一定でなくてもよい。例えば、入射端面11Aの傾斜は、
図4及び
図5に示すような、光軸12を中心とするリング状であってもよい。
【0042】
また、
図10では、入射端面11Aの全面が光軸12に対して一定の角度を有する平面である例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、光軸12に対して一定の角度を有する平面は入射端面11Aの一部であってもよい。
【0043】
(第三の実施形態)
図12に本実施形態に係る光コンバイナの一例を示す。実施形態の光コンバイナ11は、入射端面11Aに、平行光生成部21,22,23が接続されている。
【0044】
入射端面11Aに入射する光101~103は、光軸12に平行に近いほど、出射位置201での集光性がよく、出射端面11Bにおける光ファイバ(不図示)への結合効率も高くなる。そこで、本実施形態は、入射端面11Aに入射する光101~103を平行光にする平行光生成部21,22,23を備える。
【0045】
平行光生成部21,22,23は、同じレンズ特性を有するGRINレンズであり、光ファイバ31から出射された光を平行光に変換するレンズ長z21,z22,z23を有する。本開示では、入射端面11Aの部分領域ごとに出射端面11Bの光軸に集光する波長が予め定められている。そのため、平行光生成部21,22,23のレンズ長z21,z22,z23は、入射端面11Aの部分領域ごとに定められた波長に対応して1/4ピッチとなるように設定されている。ただし、レンズ長は1/4ピッチに1/2ピッチの整数倍を加えた値であってもよい。
【0046】
平行光生成部21,22,23の入射端面には光ファイバ31,32,33が接続される。光ファイバ31,32,33からの光が平行光生成部21,22,23に入射されると、平行光生成部21,22,23から平行光が出射される。
【0047】
平行光生成部21,22,23の光軸が光軸12に平行に配置されていると、平行光生成部21,22,23からの平行光が光軸12に対して平行に入射端面11Aに入射される。これにより、本実施形態は、出射位置201での集光性を高め、出射端面11Bに接続された光ファイバ(不図示)への結合効率を高めることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、第2の実施形態の光コンバイナ11への適用例を用いたが、本開示は、第二の実施形態の光コンバイナ11に限らず、第一の実施形態の光コンバイナ11であってもよい。
【0049】
(第四の実施形態)
図13に本実施形態に係る光コンバイナの一例を示す。第三の実施形態では同じレンズ特性を有する平行光生成部21,22,23を用いたが、本実施形態ではレンズ特性の異なる平行光生成部21,22,23を用いる。
【0050】
本実施形態では、出射端面11Bから平行光生成部21の入射端面までの距離、出射端面11Bから平行光生成部22の入射端面までの距離、出射端面11Bから平行光生成部23の入射端面までの距離は、いずれもz200である。
【0051】
すなわち、平行光生成部21のレンズ長z21、平行光生成部22のレンズ長z22、平行光生成部23のレンズ長z23は、レンズ長差が光コンバイナ11における各波長に対応したピッチ長差と相殺するように、設定されている。例えば、レンズ長z23とレンズ長z21との差分は距離z101と距離z103との差分に等しい。
【0052】
さらに、平行光生成部21は、レンズ長z21で、入射位置301に応じた波長に対応して1/4ピッチとなるような屈折率分布定数を有する。平行光生成部22は、レンズ長z22で、入射位置302に応じた波長に対応して1/4ピッチとなるような屈折率分布定数を有する。平行光生成部23は、レンズ長z23で、入射位置303に応じた波長に対応して1/4ピッチとなるような屈折率分布定数を有する。
【0053】
本実施形態は、以上の構成を採用することで、平行光生成部21,22,23の入射位置を同一平面上に配置することができる。このため、本実施形態は、光ファイバ31,32,33に光ファイバアレイを用いることが可能になり、平行光生成部21,22,23と光ファイバアレイとの接続が容易になる。
【0054】
なお、本実施形態では、第二の実施形態の光コンバイナ11への適用例を用いたが、本開示は、第二の実施形態の光コンバイナ11に限らず、第一の実施形態の光コンバイナ11であってもよい。
【0055】
(第五の実施形態)
図14に本実施形態に係る光コンバイナの一例を示す。本実施形態に係る光コンバイナ11は、第四の実施形態の平行光生成部21,22,23が共通のキャピラリ30内に収納されている。
【0056】
第四の実施形態では、平行光生成部21,22,23の出射端面を入射端面11Aに接続した状態で、平行光生成部21,22,23への入射端面が同一面上に配置される。このため、平行光生成部21,22,23を共通のキャピラリ30で固定することができる。
【0057】
キャピラリ30の外形は任意であるが、例えば光コンバイナ11と共通の外径を有する円筒形である。本実施形態では、キャピラリ30を備えるため、入射端面11Aにおける平行光生成部21,22,23の位置が固定されている。このため、本実施形態は、入射端面11Aにキャピラリ30を接続することで、入射端面11Aの位置に適したレンズ長の行光生成部21,22,23を接続することができる。本実施形態では、行光生成部21,22,23の個々のレンズ長の調整、および、光コンバイナ11への接続位置の調整を個々に行うことなく、平行光生成部21,22,23を光コンバイナ11に接続することができるため、実装性が高まり、歩留まりの向上、価格の低減が実現できる。
【0058】
なお、実施形態において参照している説明図中に出力用の光ファイバは描画していないが、本開示に係る光コンバイナは、一本の光ファイバが出力端11Bに接続されていてもよい。出力用の光ファイバは、シングルモードファイバに限らず、マルチモードファイバであってもよい。
【0059】
また、光波長については、例示された以外の波長についても適用可能であることは明白であり、例示された波長に限定されない。また、一つの部分領域に複数本の平行光生成部又は光ファイバが接続されていてもよい。
【0060】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
11:光コンバイナ
11A,111A:入射端面
11A_101,11A_102,11A_103:平坦面
11B,111B:出射端面
12:光軸
21,22,23:平行光生成部
31,32,33,41:光ファイバ