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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】垂直コンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/16 20060101AFI20230831BHJP
   B65G 23/14 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B65G15/16
B65G23/14
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019109463
(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2020200165
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】594140395
【氏名又は名称】ヒロサワ機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】田中 良昭
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-023724(JP,U)
【文献】特開2011-093645(JP,A)
【文献】特開2017-218281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/16
B65G 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部位置で水平に搬送する下部水平部と、上部位置で水平に搬送する上部水平部と、これら下部水平部と上部水平部との間で垂直に搬送する垂直部と、を連続した経路として形成した内コンベヤベルトと、この内コンベヤベルトの垂直部を中心とした下部水平部と上部水平部のそれぞれの端部を往復経路として形成すると共に該内コンベヤベルトの搬送面と前記垂直部で接触する外コンベヤベルトと、前記外コンベヤベルトと前記内コンベヤベルトとを密着させる密着部とを備え、前記外コンベヤベルトを駆動する駆動部により全体の搬送駆動を行ように構成し、さらに、前記密着部は、前記内コンベヤベルトにおける前記垂直部と前記上部水平部との転換位置に設けられると共に該内コンベヤベルトと該外コンベヤベルトにテンションを付与する構成た垂直コンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(インバータ)トリップが発生して全体が停止することのない垂直コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
土木工事、トンネル工事(シールド工法、山岳工事法等)特にシールド工事は、シールド機械を使用して効率よく地盤を掘削してトンネルを築造でき、地上に与える影響の少ない優れた工法として多く採用されている。
【0003】
シールド機械が掘削した土砂は鋼車やベルトコンベヤを用いてトンネルの中を通って坑内から立坑の下まで搬送される。さらに、立坑の下から地上までは鋼車やバケットとクレーンの組み合わせにより地上まで運搬する方法、スキップにより運搬する方法、バケット式のエレベータにより運搬する方法など多くの手法が使用されてきた。
【0004】
しかし、上記の手法では、土砂の運搬能力には一定の限界があり、立坑の大深度化やシールドトンネルの大断面化が進むにつれて、必要となる土砂運搬に求められる運搬能力の大容量化には対応できなくなってきた。
【0005】
そこで、例えば特開2012-144340号公報(特許文献1)、特開2017-219281号公報(特許文献2)に示されるように、2種類のベルトを用い、このベルトの間に土砂を挟み込みながら連続的に運搬することができる垂直コンベヤが開発され、各種土木工事に採用されるようになった。
【0006】
この種の垂直コンベヤの2種類のベルトのうちの1種類は、下部位置で水平に搬送する下部水平部と、上部位置で水平に搬送する上部水平部と、これら下部水平部と上部水平部との間で垂直に搬送する垂直部とを連続した経路として形成した内コンベヤベルトであり、もう1種類は、前記内コンベヤベルトの垂直部を中心とした下部水平部と上部水平部の一部の端部位置を往復経路として該内コンベヤベルトの搬送面に沿って架設した外コンベヤベルト、である。
【0007】
外コンベヤベルトの表面には該外コンベヤベルトの搬送面と直交する面で形成される区画が設けられており、内コンベヤベルトは外コンベヤベルトに密着して前記区画において該外コンベヤベルト側と反対の開放面を覆って蓋をするように垂直部を移動する。
【0008】
すなわち、下部水平部において内コンベヤベルト上に集められた土砂は、垂直部に至る際に、外コンベヤベルトと接触して区画に収納されると共に内コンベヤベルトで蓋をされた状態で搬送され、上部水平部において内コンベヤベルトと外コンベヤベルトが分離して外コンベヤベルトの区画から内コンベヤベルト上に再び戻されて所定の排出箇所まで搬送される。
【0009】
従来、上記特許文献1,2を含むこの種の垂直コンベヤは、内コンベヤベルトが該内コンベヤベルト用のモータで搬送駆動され、外コンベヤベルトも同様に該外コンベヤベルト用のモータで搬送駆動される構成である。
【0010】
しかしながら、従来の垂直コンベヤは、内コンベヤベルト用のモータと外コンベヤベルト用のモータとをほぼ同速度となるように制御はするものの、外コンベヤベルトは垂直部で区画内に収納した土砂の量によって、区画毎で(垂直)搬送方向に伸び縮みが生じ、この伸び縮みが該外コンベヤベルトと密着した内コンベヤベルトに作用して非同期要因となり、結果、内コンベヤベルトを駆動するモータにおいて(インバータ)トリップを発生させ、垂直コンベヤ全体が停止するという事態が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2012-144340号公報
【文献】特開2017-219281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする問題は、従来は、内コンベヤベルト用のモータと外コンベヤベルト用の独立した別個のモータ2機を備えた構成であったため、これら両モータが非同期となることで、(インバータ)トリップが発生し、垂直コンベヤが停止する点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、下部位置で水平に搬送する下部水平部と、上部位置で水平に搬送する上部水平部と、これら下部水平部と上部水平部との間で垂直に搬送する垂直部と、を連続した経路として形成した内コンベヤベルトと、この内コンベヤベルトの垂直部を中心とした下部水平部と上部水平部のそれぞれの端部を往復経路として形成すると共に該内コンベヤベルトの搬送面と前記垂直部で接触する外コンベヤベルトと、前記外コンベヤベルトと前記内コンベヤベルトとを密着させる密着部とを備え、前記外コンベヤベルトを駆動する駆動部により全体の搬送駆動を行うように構成し、さらに、前記密着部は、前記内コンベヤベルトにおける前記垂直部と前記上部水平部との転換位置に設けられると共に該内コンベヤベルトと該外コンベヤベルトにテンションを付与する成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、外コンベヤベルトと内コンベヤベルトを密着させて、該外コンベヤベルトを駆動する駆動部により、外コンベヤベルトの搬送駆動に伴ってこれに密着した内コンベヤベルトも搬送駆動されることとなる。したがって、本発明は非同期になりがちな内コンベヤベルトの駆動部が存在せず、つまり内コンベヤベルトと外コンベヤベルトの駆動部の「非同期」という事態が生じないので、(インバータ)トリップに起因した垂直コンベヤの停止が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の垂直コンベヤの概略構成を示す図である。
図2】本発明の垂直コンベヤにおける密着部の概略構成図である。
図3】本発明の垂直コンベヤにおける回収コンベヤベルトの搬送経路を説明するための図である。
図4】本発明の垂直コンベヤにおける回収コンベヤベルトによる土砂回収の構成を説明するための図である。
図5】本発明の垂直コンベヤにおける回収コンベヤベルトによる土砂回収の他の構成を説明するための図である。
図6】本発明の垂直コンベヤにおける清掃機構に関する構成を説明するための図である。
図7】本発明の垂直コンベヤにおける清掃機構に関する構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、内コンベヤベルト用のモータと外コンベヤベルト用の両モータが非同期となることで、(インバータ)トリップが発生し、垂直コンベヤが停止するという問題を、外コンベヤベルトと内コンベヤベルトとを密着させる密着部を備え、外コンベヤベルトを駆動する駆動部により全体の搬送駆動を行うように構成し、さらに、密着部は、内コンベヤベルトにおける垂直部と上部水平部との転換位置に設けられると共に該内コンベヤベルトと該外コンベヤベルトにテンションを付与する成とすることで解消した。
【0017】
本発明は、内コンベヤベルト用と外コンベヤベルト用の各々存在していた駆動部を単純に1機に減らしたというだけではなく、物理的に駆動源を失った内コンベヤベルトを搬送駆動させるために密着部を設けている。こうすることで、内コンベヤベルトは、垂直部で伸縮する外コンベヤベルトの非同期要因の悪影響を受けることなく搬送駆動させることが可能となり、垂直コンベヤ全体の(インバータ)トリップに起因した停止を回避することができる。
【0018】
また、本発明は、駆動部が外コンベヤベルトと内コンベヤベルトとを搬送駆動する関係で、該駆動部として出力の大きなものを選択することとなるが、外コンベヤベルト用と内コンベヤベルト用の駆動部を別個に設ける構成と較べて消費電力を低減させることができ、そのうえ設備構築コストも低廉化ができる。
【0019】
また、本発明は、前記密着部が、前記内コンベヤベルトにおける前記垂直部と前記上部水平部との転換位置に設けられると共に該内コンベヤベルトと該外コンベヤベルトにテンションを付与する構成としている。垂直部と上部水平部との転換位置は、そもそも経路屈曲に伴って密着度が高い部位であるが、ここに密着部を設けることで内コンベヤベルトと外コンベヤベルトの密着度が向上し、外コンベヤベルトの搬送駆動に伴って内コンベヤを確実に駆動させることができるようになる。
【0020】
さらに、本発明は、上記構成において、前記密着部に応力検出手段を有し、この応力検出手段に基づいて密着程度を制御する構成としてもよい。こうすることにより、内コンベヤベルトと外コンベヤベルトの密着度合が把握でき、例えば密着度合が低く、内コンベヤベルトと外コンベヤベルトの相互のスリップが生じるような場合は、互いを密着させるよう密着部を制御することができる。
【0021】
また、本発明は、上記構成において、前記内コンベヤベルトの下部水平部の復路と往路の反転位置直前の該復路に、下方へ略垂直状に屈曲した垂直搬送部を形成し、前記垂直部の下方位置から前記垂直搬送部手前まで搬送する回収水平部と、前記垂直搬送部に沿って前記水平部の往路まで搬送する回収垂直部とを連続した経路とした回収コンベヤベルトを設け、前記回収コンベヤの前記回収垂直部と復路と往路の反転位置の前記内コンベヤベルトとを当接させ、前記外コンベヤベルトを駆動する駆動部によって駆動される前記内コンベヤベルトにより前記回収コンベヤベルトを駆動する構成としてもよい。
【0022】
また、本発明は、上記構成において、前記内コンベヤベルトの下部水平部の復路と往路の反転位置直前の該復路に、下方へ略垂直状に屈曲した垂直搬送部を形成し、前記垂直部の下方位置から前記垂直搬送部手前まで搬送する回収水平部と、前記垂直搬送部に沿って前記下部水平部の往路まで搬送する回収垂直部とを連続した経路とした回収コンベヤベルトを設け、前記回収コンベヤベルトの前記回収垂直部と復路と往路の反転位置の前記内コンベヤベルトとを当接させ、前記外コンベヤベルトを駆動する駆動部によって駆動される前記内コンベヤベルトにより前記回収コンベヤベルトを駆動する構成としてもよい。
【0023】
また、本発明は、上記回収コンベヤベルトを備えた構成において、前記回収コンベヤベルトの回収水平部において、前記内コンベヤベルトの幅両端から上端の各々がはみ出すように該上端同士が離間し、かつ下端の各々が前記内コンベヤベルトの幅寸法内に収まるように該下端同士が幅中央方向に接近するよう傾斜状に配置された対をなす回収板を設けた構成としてもよい。
【0024】
また、本発明は、上記回収コンベヤベルトを備えた構成において、回収板を設けることに代えて、該回収コンベヤベルトを、前記内コンベヤベルトの幅より幅を広くし、かつ前記回収水平部では幅両端から各々幅中央に向かって下方に傾斜させた構成としてもよい。
【0025】
こうすることで、垂直部や下部水平部において内コンベヤベルトや外コンベヤベルトから漏れ落ちる土砂を、再度内コンベヤベルトに戻して、上部水平部まで搬送して排出することができる。
【0026】
また、本発明は、上記構成において、搬送経路の一部に、搬送面及び接触面を清掃するための清掃機構を設けた構成としてもよい。こうすることで、外コンベヤベルトと接触する少なくとも内コンベヤベルトとの密着が良好となり、主駆動する外コンベヤベルトに対する駆動ロスが生じることを抑制できる。
【実施例
【0027】
上記形態のより具体的な実施例について図1図7を用いて説明する。図において、1は、地下で工事中のトンネル抗内から排出された土砂を地上へ排出する垂直コンベヤである。この垂直コンベヤ1は、地下のトンネル坑内で土砂を立坑まで搬送する下部水平部1Aと、地上に搬送された土砂を所定位置まで搬送する上部水平部1B、地下と地上とを繋ぐ経路である立坑を搬送する垂直部1C、本実施例では、垂直部1Bや下部水平部1Aにおいてこぼれる土砂を回収して再度下部水平部1Aへ戻す回収部1D、の搬送経路を有している。
【0028】
2は、下部位置、例えばシールド掘削工法における立坑の地下側に水平に設けた下部水平枠である。3は、上部位置、例えば地上側に水平に設けた上部水平枠である。4は、これら下部水平枠2と上部水平枠3との間に設ける垂直枠である。
【0029】
これら、下部水平枠2、上部水平枠3、垂直枠4は、各々が連結されて垂直コンベヤ1の全体構造におけるフレームとなる。なお、下部水平枠2、上部水平枠3、垂直枠4は、実際には、工事規模によって適宜調整するため、図示においては、後述する内コンベヤベルト5と外コンベヤベルト6の架設状況が把握できる程度に簡略化して示している。
【0030】
5は、下部水平枠2、垂直枠4、上部水平枠3に亘って架設され、この順を往路とし、上部水平枠3、垂直枠4、下部水平枠2を復路とする内コンベヤベルトである。内コンベヤベルト5は、上部水平部1Bにおける往路から復路へ反転させる位置にはヘッドプーリ51が設けられ、一方、下部水平部1Aにおける復路から往路へ反転させる位置にはテールプーリ52が設けられている。
【0031】
さらに、内コンベヤベルト5は、下部水平部1A、垂直部1C、上部水平部1Bの各部間の移行位置にはベンドプーリ(参照番号無)が設けられている。なお、スナッププーリ、テンションプーリ、リターンローラ、など、ベルトコンベヤの構成部材は図示を省略すると共に参照番号を付さず、説明も割愛する。
【0032】
また、内コンベヤベルト5は、復路における下部水平部1Aで、復路から往路への反転位置の手前、すなわちエンドプーリ52の復路進行方向の手前には、該復路を下方へ曲折しており、ここを回収部1Dにおいて土砂を該内コンベヤベルト5の下部水平部1Aに戻すための垂直搬送部5aとしている。
【0033】
6は、垂直枠4を中心とした下部水平枠2と上部水平枠3の一部の端部位置で内コンベヤベルト5に沿って架設された外コンベヤベルトである。外コンベヤベルト6は、上部水平部1Bには往路から復路へ反転させるドライブプーリであるヘッドプーリ61が駆動部Mと共に設けられ、一方、下部水平部1Aには復路から往路へ反転させるアイドラプーリであるテールプーリ62が設けられている。
【0034】
ここで、本発明の垂直コンベヤ1は、全体の搬送駆動源を外コンベヤベルト6の駆動部Mのみとした構成である点が特徴の1つである。すなわち、前記駆動部Mにより外コンベヤベルト6を駆動し、この外コンベヤベルト6と垂直部1Cで密着する内コンベヤベルト5を駆動し、この内コンベヤベルト5と回収部1Dの後述する回収垂直部8Bで密着する回収コンベヤベルト8を駆動する。
【0035】
外コンベヤベルト6は、下部水平部1A、垂直部1C、上部水平部1Bの各部間の移行位置にはベンドプーリ(参照番号無)が設けられている。なお、外コンベヤベルト6の表面には該外コンベヤベルトの搬送面と直交する面で形成される区画が設けられているが図示及び説明は割愛する。また、外コンベヤベルト6も、スナッププーリ、テンションプーリ、リターンローラ、などが設けられているが、図示を省略すると共に参照番号を付さず、説明も割愛する。
【0036】
内コンベヤベルト5と外コンベヤベルト6は、垂直部1Cにおいて密着するように設けられており、詳細には下部水平部1Aにおける垂直部1Cの直前で外コンベヤベルト6と内コンベヤベルト5が接触し、垂直部1Cを経て、垂直部1Cの直後の上部水平部1Bにおいて内コンベヤベルト5から外コンベヤベルト6が離間する。
【0037】
本実施例において、垂直コンベヤ1は、例えば垂直部1Cから上部水平部1Bに転換する屈曲部位における内コンベヤベルト5の往路搬送面裏面に、密着部7を設けており、この密着部7を有した点も本発明の特徴の1つである。この密着部7は、例えば図2に示すように構成されている。
【0038】
本例の場合、垂直枠4と上部水平枠3との間に斜面台4aを設け、この斜面台4a上に、該斜面台4aに対して接近・離間方向に伸長短縮可能な押圧機構7Aを設け、この押圧機構7A上に応力検出手段としての例えばロードセル7Bを配置している。
【0039】
また、密着部7は、垂直部1Cから上部水平部1Bに転換する屈曲部位に沿って内コンベヤベルト5の往路搬送裏面全域を支持するために設けた複数のガイドローラ7aと、前記同屈曲部位に沿って外コンベヤベルト6の往路搬送裏面の両端を支持するために設けた複数のガイドローラ7bとからなるガイドローラユニット7Cを有している。つまり、内コンベヤベルト5と外コンベヤベルト6とが接触する部位は、実質的に幅方向両端部ということになる。
【0040】
密着部7は、ロードセル7Bがガイドローラユニット7Cにおけるガイドローラ7aの、垂直部1Cにおける外コンベヤベルト6の部分的な伸長・短縮に起因した荷重の高低を検知し、不図示の制御部へ検知結果を出力し、制御部が例えば荷重が高くなれば押圧機構7Aを短縮作動させ、例えば荷重が低くなれば押圧機構7Aを伸長作動させ、内コンベヤベルト5と外コンベヤベルト6の密着度合を安定させるよう制御する。
【0041】
本実施例では、上記構成の密着部7を設けることで、外コンベヤベルト6の駆動部Mのみであっても、密着度が低くなって内コンベヤベルト5がスリップすることが抑制され、また、密着度が高くなって該駆動部Mの異常負荷を生じることが抑制され、垂直コンベヤ1全体を安定して駆動することができる。
【0042】
8は、下部水平部1Aにおける内コンベヤベルト5の下方において、垂直部1Cから該内コンベヤベルト5の往路と復路の転換部(つまり垂直搬送部5a付近)まで搬送する回収水平部8Aと、該垂直搬送部5aに沿って下部水平部1Aにおける内コンベヤベルト5の往路まで搬送する回収垂直部8Bとを連続した経路とする回収コンベヤベルトである。この回収コンベヤベルト8の周辺の経路や構成については図3に示す。
【0043】
9は、内コンベヤベルト5及び外コンベヤベルト6の垂直部を架設する垂直枠4の下方位置かつ下部水平部を架設する下部水平枠2の下方位置に設けられた対をなす回収板であり、本例では垂直枠4の下方位置から内コンベヤベルトの垂直搬送部5aの直前まで設けられている。この回収板9を設けた構成については図4に示す。
【0044】
対をなす回収板9は、本例では例えば下部水平枠2の長手方向と直交した幅方向の両端から各々の上端がはみ出すように離間すると共に下端が内コンベヤベルト5の幅寸法内に収まるように該幅中央方向に接近した傾斜状に配置されている。
【0045】
なお、垂直コンベヤ1は、回収板9を設けることに代えて、図5に示すように、例えば回収コンベヤベルト8を、内コンベヤベルト5の幅より幅を広くし、かつ回収水平部8Aでは幅両端から各々幅中央に向かって下方に傾斜させることで、下部水平部1A、垂直部1Cから漏れる土砂を該回収水平部8Aにおいて受ける構成としてもよい。
【0046】
回収垂直部8Aにおける回収コンベヤベルト8は、垂直搬送部5aにおける内コンベヤベルト5が架けられたヘッドプーリ81及びテールプール82により、垂直搬送部8Aにおいて該内コンベヤベルト5と密着するようにして構成されている。つまり、回収コンベヤベルト8は、外コンベヤベルト6を駆動する駆動部Mによって搬送駆動されていることとなる。
【0047】
10は、搬送経路の一部に設けられ、内コンベヤベルト5、搬送面及び接触面を清掃する清掃機構である。この清掃機構10は、本実施例では、外コンベヤベルト6の復路における垂直部1Cを経て往路に反転する直前の下部水平部1Aに設けた水噴射部10Aと、内コンベヤベルト5の往路における外コンベヤベルト6と接触する直前の下部水平部1Aに設けたスクレーパ10Bを有している。この清掃機構10に関しては図6,7に示す。
【0048】
外コンベヤベルト6の復路における垂直部1Cを経て往路に反転する直前の下部水平部1Aに設けた水噴射部10Aは、外コンベヤベルト6の幅の両端部に高圧水を噴射して土砂汚れを清掃する。なお、外コンベヤベルト6の搬送面における幅方向両端部を清掃する理由は土砂を載置した状態で内コンベヤベルト5と接触する部位が当該位置となるためである。
【0049】
内コンベヤベルト5の往路における外コンベヤベルト6と接触する直前の下部水平部1Aに設けたスクレーパ10B,10Bは、搬送面の幅方向中央に互いに接近した端部同士が搬送方向、搬送面の幅方向端部に互いに離間した端部同士が搬送方向と反対側、となるように互いを略ハ字状となるように配置している。スクレーパ10B,10Bは、外コンベヤベルト6の移動に相対して、水や搬送面に残留する土砂を、外コンベヤベルト6の幅方向中央へ集めて、幅方向両端部を清掃する。
【0050】
こうすることで、水噴射機構10Aにより外コンベヤベルト6が、スクレーパ10Bにより内コンベヤベルト5が、互いに清掃された状態で下部水平部1Aにおいて垂直部1Cに向かう往路で接触するから、土砂等によるスリップが生じることなく良好な密着状態を維持することができる。
【0051】
上記構成の垂直コンベヤ1における、内コンベヤベルト5、外コンベヤベルト6、及び回収コンベヤベルト8の動作について説明する。トンネル内から運搬された土砂は内コンベヤベルト5の下部水平部1Aに排出される。垂直コンベヤ1は、内コンベヤベルト5の下部水平部1Aの搬送方向途中から、垂直部1Cを経て、垂直部1Cの直後の上部水平部1Bの搬送方向途中で分離するに至るまで外コンベヤベルト6が内コンベヤベルト5に密着した状態で、駆動される。
【0052】
内コンベヤベルト5及び外コンベヤベルト6の垂直部で挟まれた土砂は、所定の割合でこぼれるが、こぼれた土砂は、回収部1Dにおいて回収コンベヤベルト8に設けた本例では回収板9で受けられて、回収コンベヤベルト8の回収水平部8Aに集められる。回収コンベヤベルト8の回収水平部8Aで搬送された土砂は、垂直搬送部5aにおける(内コンベヤベルト5と回収垂直部8Bにおける回収コンベヤベルト8に挟まれて内コンベヤベルト5の下部水平部1Aの搬送面に戻される。
【0053】
以上のとおり、本発明の垂直コンベヤ1は、1機の外コンベヤベルト6を搬送駆動に用いる駆動部Mだけで、内コンベヤベルト5を、また、本実施例においては回収コンベヤベルト8をも搬送駆動するように構成しているので、各コンベヤベルトに用いる駆動部との非同期が生じることがなく、したがって、(インバータ)トリップに起因した垂直コンベヤの停止が発生することがない。
【符号の説明】
【0054】
1 垂直コンベヤ
1A 下部水平枠
1B 上部水平枠
1C 垂直部
1D 回収部
5 内コンベヤベルト
6 外コンベヤベルト
7 密着部
8 回収コンベヤベルト
9 回収板
10 清掃機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7