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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ヘアカッター
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/06 20060101AFI20230831BHJP
   B26B 21/40 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B26B21/06 Z
B26B21/40 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019198363
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021069704
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000112473
【氏名又は名称】フェザー安全剃刀株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤井 慎次
(72)【発明者】
【氏名】小川 真実
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-188577(JP,U)
【文献】実公昭44-026901(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0194735(US,A1)
【文献】実開昭59-193368(JP,U)
【文献】特開昭58-012678(JP,A)
【文献】実開平05-088479(JP,U)
【文献】特開2006-280490(JP,A)
【文献】特開2002-331182(JP,A)
【文献】特開2008-272027(JP,A)
【文献】特表2009-500113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/06
B26B 21/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺部と、
前記長尺部の延在方向の両側に形成された一対の刃保持部と、
一対の前記刃保持部に保持された一対の刃部材と、を備え、
前記各刃保持部は、保持する前記刃部材の刃先が向く刃先端側に開放された複数のスリットを備える櫛状部を有し、
前記各刃部材は、前記スリットの奥まった位置にその刃先を露出させるよう、前記櫛状部内に配されており、
一対の前記刃保持部のうちの一方が保持する前記刃部材の前記刃先は、前記延在方向に沿うよう形成されており、
一対の前記刃保持部のうちの他方が保持する前記刃部材の前記刃先は、前記延在方向に直交する方向に沿うよう形成されており、
前記長尺部と前記各刃保持部の前記櫛状部とを構成するとともに、1つの樹脂成形体によって構成された本体樹脂部を備え、前記本体樹脂部によって構成される前記各刃保持部の前記櫛状部が突出する側は、互いに同じ側又は互いに反対側であり、
前記本体樹脂部の全長が、前記長尺部の全長である、ヘアカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の剃刀は、一方向に長尺に形成されており、その長手方向の両端部に刃を備えている。これにより、特許文献1に記載の剃刀は、その長手方向の両側のそれぞれにおいて刃を使用することができ、利便性を向上させることができる。特許文献1に記載の剃刀は、その両端の刃のそれぞれを覆うキャップを取り付けることができるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭60-188577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の剃刀において、一方の刃を使用する際、他方の刃はキャップで覆った状態にする必要がある。すなわち、使用者は、剃刀における使用しない側の刃の周辺を把持して剃刀を使用することが考えられるため、剃刀使用時には使用しない側の刃をキャップで覆っておく必要がある。それゆえ、特許文献1に記載の剃刀においては、キャップの脱着作業を強いられ、使い勝手を向上する観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、使い勝手の良いヘアカッターを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、長尺部と、
前記長尺部の延在方向の両側に形成された一対の刃保持部と、
一対の前記刃保持部に保持された一対の刃部材と、を備え、
前記各刃保持部は、保持する前記刃部材の刃先が向く刃先端側に開放された複数のスリットを備える櫛状部を有し、
前記各刃部材は、前記スリットの奥まった位置にその刃先を露出させるよう、前記櫛状部内に配されており、
一対の前記刃保持部のうちの一方が保持する前記刃部材の前記刃先は、前記延在方向に沿うよう形成されており、
一対の前記刃保持部のうちの他方が保持する前記刃部材の前記刃先は、前記延在方向に直交する方向に沿うよう形成されており、
前記長尺部と前記各刃保持部の前記櫛状部とを構成するとともに、1つの樹脂成形体によって構成された本体樹脂部を備え、前記本体樹脂部によって構成される前記各刃保持部の前記櫛状部が突出する側は、互いに同じ側又は互いに反対側であり、
前記本体樹脂部の全長が、前記長尺部の全長である、ヘアカッターにある。
【発明の効果】
【0007】
本態様のヘアカッターは、長尺部の延在方向の両側に形成された一対の刃保持部を備え、各刃保持部は刃部材を保持している。それゆえ、1つのヘアカッターの両側のそれぞれにおいて、刃を使用することができる。一方、かかる前提を備えるヘアカッターにおいては、一方の刃を使用する際に、他方の刃の周辺を把持して使用されることが考えられる。
【0008】
そこで、本態様のヘアカッターにおいて、各刃保持部は、保持する刃部材の刃先が向く刃先端側に開放された複数のスリットを備える櫛状部を有する。そして、各刃部材は、スリットの奥まった位置にその刃先を露出させるよう、櫛状部内に配されている。これにより、ヘアカッターの使用者が刃保持部を把持しても、使用者の手の指等が櫛状の部位に守られるため刃先に触れることがない。これにより、例えば刃部材を覆うキャップを用いなくてもよく、ヘアカッターにおいてキャップの脱着作業を行う必要もない。
【0009】
以上のごとく、本態様によれば、使い勝手の良いヘアカッターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の、ヘアカッターの斜視図。
図2】実施例1の、ヘアカッターの正面図。
図3】実施例1の、ヘアカッターの背面図。
図4図2の、IV-IV線矢視断面図。
図5図2の、V-V線矢視断面図。
図6】実施例1の、ヘアカッターの底面図。
図7】実施例1の、ヘアカッターの平面図。
図8】実施例1の、ヘアカッターの左側面図。
図9】実施例1の、ヘアカッターの右側面図。
図10図8の、A-A線矢視断面図。
図11図8の、XI-XI線矢視断面図。
図12】実施例1の、本体樹脂部、第一刃部材、及び第一カバーの分解図。
図13】実施例1の、本体樹脂部、第二刃部材、及び第二カバーの分解図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記ヘアカッターにおいて、一対の刃保持部のうちの一方が保持する刃部材の刃先は、長尺部の延在方向に沿うよう形成されており、一対の刃保持部のうちの他方が保持する刃部材の刃先は、前記延在方向に直交する方向に沿うよう形成されている。つまり、一方の刃保持部及びこれに保持される刃部材が、いわゆるL型剃刀の役割を有し、他方の刃保持部及びこれに保持される刃部材が、いわゆるT型剃刀の役割を有するよう構成する。この場合には、1つのヘアカッターにL型剃刀とT型剃刀との双方の役割を持たすことができ、使い勝手を向上させることができる。
【0012】
また、前記ヘアカッターは、長尺部と各刃保持部の櫛状部とを構成するとともに1つの樹脂成形体によって構成された本体樹脂部を備え、本体樹脂部によって構成される各刃保持部の櫛状部が突出する側は、互いに同じ側又は互いに反対側である。この場合には、本体樹脂部の生産性を向上させやすい。すなわち、本体樹脂部は、長尺部と各刃保持部の櫛状部とを構成しているため、ヘアカッターの略全体を構成する程度の比較的大きい部材として構成される。それゆえ、本体樹脂部を1つの樹脂成形体で構成する場合、本体樹脂部を製造するための成形型が複雑になりやすい。そこで、本体樹脂部が構成する各刃保持部の櫛状部が突出する側を、互いに同じ側又は互いに反対側とすることにより、本体樹脂部における各刃保持部の櫛状部を構成する成形型のそれぞれの抜き方向を互いに同じ方向にすることができ、成形型を簡素化しやすい。
【実施例
【0013】
(実施例1)
ヘアカッターにかかる実施例につき、図1図13を用いて説明する。
本例のヘアカッター1は、図1図3図6に示すごとく、長尺部2と一対の刃保持部3と一対の刃部材4を備える。一対の刃保持部3は、長尺部2の両側に形成されている。一対の刃部材4のそれぞれは、互いに異なる刃保持部3に保持されている。
【0014】
図1図3図8に示すごとく、各刃保持部3は、保持する刃部材4の刃先40が向く刃先端側に開放された複数のスリットsを備える櫛状部30を有する。各刃部材4は、スリットsの奥まった位置にその刃先40を露出させるよう、櫛状部30内に配されている。
【0015】
以後、本例につき詳説する。本例においては、ヘアカッター1を外部から見たときの構成、ヘアカッター1を構成する各部品の構成、ヘアカッター1の用途の順に説明する。
【0016】
まず、ヘアカッター1を外部から見たときの構成について説明する。
図1に示すごとく、本例のヘアカッター1において、一方の刃保持部3(以後、第一刃保持部31という。)及びこれに保持される刃部材4(以後、第一刃部材41という。)は、いわゆるL型剃刀として構成されている。すなわち、第一刃保持部31は、保持する第一刃部材41の刃先40が長尺部2の延在方向に沿うよう形成されている。そして、他方の刃保持部3(以後、第二刃保持部32という。)及びこれに保持される刃部材4(以後、第二刃部材42という。)は、いわゆるT型剃刀として構成されている。すなわち、第二刃保持部32は、保持する第二刃部材42の刃先40が長尺部2の延在方向に直交する方向に沿うよう形成されている。
【0017】
第一刃保持部31と第二刃保持部32とを連結するように長尺部2が形成されている。以後、第一刃保持部31と第二刃保持部32とが並ぶ方向をX方向といい、X方向に直交する方向であって、第二刃保持部32が保持する刃部材4の刃先40の延在方向をY方向といい、X方向とY方向との双方に直交する方向をZ方向という。
【0018】
長尺部2は、X方向に沿う方向に長尺に形成された略矩形柱状を呈している。長尺部2の延在方向に直交する断面形状は、Z方向に長尺な形状、具体的には長方形状を呈している。図1図3図6図7に示すごとく、長尺部2のZ方向の両面である長尺背面21及び長尺腹面22には、長尺部2の延在方向に断続的に形成された滑り止め凹部23が形成されている。なお、長尺腹面22は、長尺部2における、Z方向の各刃部材4の刃先40が向く側の面であって、長尺背面21はその反対側の面である。滑り止め凹部23は、長尺部2の延在方向における長尺部2の略全領域において、断続的に形成されている。滑り止め凹部23は、使用者が長尺部2を把持した際の滑り止めとしての役割を有する。なお、滑り止め凹部23の形状は、本例において示すものに限られない。
【0019】
図1図3に示すごとく、長尺部2の両側の側面には、長尺部2の延在方向における略全領域にわたって模様溝24が形成されている。模様溝24は、長尺部2の延在方向に延びる緩やかな波状に形成されている。なお、模様溝24は、主として肉抜き、滑り止め、意匠性向上のために設けられたものであり、模様溝24を形成しない構成を採用することも可能である。
【0020】
図3に示すごとく、長尺部2の一方の側面には、模様溝24の一方側に、意匠凹部25が形成されている。意匠凹部25は、外形が矩形状を呈しており、その意匠凹部25の底に、例えば企業名、製品名、製品情報等の文字等を成形型により刻印することが可能である。なお、意匠凹部25を形成しない構成を採用することも可能である。長尺部2の一方側に、第一刃保持部31が形成されている。
【0021】
図1図3に示すごとく、第一刃保持部31は、X方向に長尺に形成されている。第一刃保持部31は、長尺部2の延在方向に対して若干傾斜する方向に延在しているが、これに限られず、例えば長尺部2の延在方向に平行に形成されていてもよい。
【0022】
図1図3に示すごとく、X方向における第一刃保持部31の長尺部2と反対側の端縁部310は、Z方向の中央側がX方向に膨らむ円弧状となるよう形成されている。また、図6図7に示すごとく、第一刃保持部31の端縁部310は、Z方向から見たときの角部310aが、曲面状(R状)となるよう形成されている。これにより、人が第一刃保持部31の端縁部310に触れて不快感(角等による押圧感等)を感じることを防止することができる。また、ヘアカッター1を使用する体の部位の皮膚が薄く、敏感である場合に、当該部位に過度な刺激を与えないようにする効果もある。そして、図1図3に示すごとく、第一刃保持部31のZ方向の一方側には、櫛状部30が形成されている。以後、第一刃保持部31の櫛状部30を第一櫛状部311といい、第一櫛状部311のスリットsを第一スリットs1ということもある。
【0023】
図2図3に示すごとく、第一櫛状部311には、Z方向に第一スリットs1と第一櫛歯312とが交互に形成されている。第一スリットs1は、Z方向の一方側が開放されている。第一櫛歯312は、Z方向の一方側に突出する突起状に形成されており、X方向に隣り合う第一スリットs1の間を区画している。
【0024】
図4図5に示すごとく、第一櫛歯312は、Z方向におけるその根本側へ向かうほど、Y方向の幅が大きくなるよう形成されている。第一櫛歯312の突出側端部312aは、角を有さない曲面状に形成されている。すなわち、第一櫛歯312の突出側端部312aは、図4図5に示すごとくX方向から見た形状が角部を有さない曲線状(R状)に形成されているとともに、図2図3に示すごとくY方向から見た形状も角部を有さない曲線状(R状)に形成されている。図4図5に示すごとく、X方向から見たときの第一櫛歯312の突出側端部312aは、曲率半径が1.0mm以上、好ましくは1.3mm以上である。また、図2図3に示すごとく、Y方向から見たときの第一櫛歯312の突出側端部312aは、曲率半径が0.5mm以上である。このように、第一櫛歯312の突出側端部312aが丸まっていることにより、人が第一櫛歯312の突出側端部312aに触れて不快感(突出側端部312aからの押圧感等)を感じることを防止することができる。また、ヘアカッター1を使用する体の部位の皮膚が薄く、敏感である場合に、当該部位に過度な刺激を与えないようにする効果もある。
【0025】
図2図3に示すごとく、Z方向における第一刃部材41の刃先40が存在する位置において、各第一櫛歯312の幅は、第一スリットs1の幅と同等、或いは第一スリットs1の幅以上の大きさを有する。これにより、例えば使用者が第一櫛歯312の先端を押圧することで、第一櫛歯312に応力が生じても、当該応力に耐え得るよう剛性を確保することができる。
【0026】
図2図3に示すごとく、第一櫛状部311のY方向の両面には、隣り合う第一櫛歯312間に、Y方向から見たときに第一スリットs1に一連につながる第一櫛凹部313が形成されている。図4図5に示すごとく、第一櫛凹部313は、第一スリットs1の開放された側と反対側に隣接する位置に形成されており、第一スリットs1が開放された側に向かうほど深い凹みとなるよう形成されている。第一櫛凹部313を形成することにより、第一櫛歯312へ作用する応力が過大になることを防止する効果を有する。また、第一櫛凹部313は、ヘアカッター1使用時において、剃る毛をスリットs1内に誘導する役割も有し、誘導された毛が、第一刃部材41の刃先40に当たりカットされることとなる。第一刃保持部31における第一櫛状部311に第一刃部材41が保持されている。
【0027】
図2図3に示すごとく、第一刃部材41は、その刃先40の向く側が、第一刃保持部31の第一櫛歯312の突出側と同じ側となる姿勢で配されている。第一刃部材41は、その刃先40をX方向における隣り合う第一櫛歯312間の領域、すなわち第一スリットs1内に露出するよう配されている。すなわち、第一刃部材41は、図2図4に示すごとく、X方向における第一櫛歯312が形成された領域においては外部に露出しておらず、図2図3図5に示すごとく、X方向における第一スリットs1が形成された領域においては第一刃部材41の刃先40を含む部位が第一スリットs1に露出している。
【0028】
前述のごとく、第一刃部材41は、第一スリットs1の奥まった位置にその刃先40を露出させるよう第一櫛状部311内に配されている。刃部材4の刃先40は、人の手指に触れることができない程度スリットsの奥の領域に配されている。本例においては、第一スリットs1のZ方向の中央位置よりも第一スリットs1の奥側の位置に、第一刃部材41の刃先40が存在する。本例において、各第一スリットs1の開口端の幅は1.5~3.0mm程度であり、Z方向における刃先40と第一櫛歯312の突出側端部との間の間隔は、2~3mm程度である。
【0029】
図5に示すごとく、X方向から見たとき、第一刃部材41の露出部は、当該露出部に隣接する第一櫛歯312の外形よりも内側に位置するよう配されている。
【0030】
以上のように、第一刃保持部31、及びこれに保持された第一刃部材41によってL型剃刀が構成されている。図1図6図7に示すごとく、長尺部2の延在方向における第一刃保持部31と反対側には、第二刃保持部32が形成されている。
【0031】
第二刃保持部32は、Z方向から見たとき、長尺部2よりもY方向の両側に突出するよう幅広に形成されている。第二刃保持部32のY方向の寸法は、25mm以下である。後述するが、本例のヘアカッター1は、例えば主にアンダーヘア処理用であり、例えば男性の髭剃り用のT型剃刀よりも幅が狭くなるよう構成されている。
【0032】
図2図3に示すごとく、第二刃保持部32は、Y方向から見たとき、丸みを帯びた「く」字状に湾曲した形状を有する。Y方向から見たときの第二刃保持部32における長尺部2が位置する側と反対側の端部は、長尺部2の端部からZ方向における第一刃保持部31の第一櫛歯312が突出する側と同じ側に向かって突出するよう形成されている。
【0033】
第二刃保持部32における長尺部2の長尺背面21と連なる第二背面324は、Y方向から見たとき、X方向の第一刃保持部31と反対側に膨らむとともに丸みを帯びた「く」の字状を呈しており、角部が形成されていない。ここで、例えば本例のヘアカッター1を後述のごとくアンダーヘア処理用に用いた場合において、直視できないOゾーンからVゾーン側に向かってヘアカッター1のT型剃刀を移動させて毛を処理するとき、ヘアカッター1の第二背面324を皮膚に沿わせるようにしてヘアカッター1を移動させることになる。この移動の際、皮膚に対するヘアカッター1の角度が変わることも想定される。そこで、前述のごとく、第二背面324を丸みを帯びた「く」の字状に形成することにより、前述のようなヘアカッター1の移動の際に、皮膚に接するヘアカッター1の角度が変わった場合であっても、皮膚に刺激を与えることを防止することができる。
【0034】
また、第二刃保持部32における長尺部2の長尺腹面22と連なる第二腹面325は、X方向に略直交する面状に形成されている。第二腹面325と長尺部2の長尺腹面22との間は、これらを滑らかにつなぐような曲面状(断面円弧状)に形成されている。これにより、人が第二背面324又は第二腹面325に触れて不快感(角等による押圧感等)を感じることを防止することができる。また、ヘアカッター1を使用する体の部位の皮膚が薄く、敏感である場合に、当該部位に過度な刺激を与えないようにする効果もある。
【0035】
図6図9に示すごとく、第二刃保持部32の先端には、櫛状部30が形成されている。以後、第二保持部の櫛状部30を第二櫛状部321といい、第二櫛状部321のスリットsを第二スリットs2ということもある。
【0036】
図8図9に示すごとく、第二櫛状部321には、Y方向に第二スリットs2と第二櫛歯322とが交互に形成されている。第二スリットs2は、第一スリットs1の開放側と同じ側に開放されている。第二スリットs2の数は、第一スリットs1の数よりも少なく、かつ、第二櫛歯322の数は、第一櫛歯312の数よりも少ない。第二櫛歯322は、第一櫛歯312の突出側と同じ側に突出する突起状に形成されており、Y方向に隣り合う第二スリットs2の間を区画している。
【0037】
図10図11に示すごとく、第二櫛歯322は、Z方向におけるその根本側へ向かうほど、X方向の幅が大きくなるよう形成されている。第二櫛歯322の突出側端部322aは、角を有さない曲面状に形成されている。すなわち、第二櫛歯322の突出側端部322aは、Y方向から見た形状が曲線状(R状)に形成されているとともに、図8図9に示すごとく、X方向から見た形状も曲線状(R状)に形成されている。図10図11に示すごとく、Y方向から見たときの第二櫛歯322の突出側端部322aは、曲率半径が1.0mm以上、好ましくは1.5mm以上である。また、図8図9に示すごとく、X方向から見たときの第二櫛歯322の突出側端部322aは、曲率半径が0.5mm以上である。このように、第二櫛歯322の突出側端部322aが丸まっていることにより、人が第二櫛歯322の突出側端部322aに触れて不快感(突出側端部322aからの押圧感等)を感じることを防止することができる。また、ヘアカッター1を使用する体の部位の皮膚が薄く、敏感である場合に、当該部位に過度な刺激を与えないようにする効果もある。
【0038】
また、図8に示すごとく、Z方向における第二刃部材42の刃先40が存在する位置において、各第二櫛歯322のY方向の幅は、第二スリットs2のY方向の幅と同等、或いは第二スリットs2のY方向の幅以上の大きさを有する。これにより、例えば使用者が第二櫛歯322の先端を押圧することで、第二櫛歯322に応力が生じても、当該応力に耐え得るよう剛性を確保することができる。
【0039】
図8図9に示すごとく、第二櫛状部321のX方向の両面には、隣り合う第二櫛歯322間に、X方向から見たときに第二スリットs2に一連につながる第二櫛凹部323が形成されている。図10図11に示すごとく、第二櫛凹部323は、第二スリットs2の開放された側と反対側に隣接する位置に形成されており、第二スリットs2が開放された側へ向かうほど深い凹みとなるよう形成されている。第二櫛凹部323を形成することにより、第二櫛歯322へ作用する応力が過大になることを防止する効果を有する。また、第二櫛凹部323は、ヘアカッター1使用時において、剃る毛をスリットs2内に誘導する役割も有し、誘導された毛が、第二刃部材42の刃先40に当たりカットされることとなる。第二刃保持部32における第二櫛状部321に第二刃部材42が保持されている。
【0040】
図8図9に示すごとく、第二刃部材42は、その刃先40が向く側が、第二刃保持部32の第二櫛歯322の突出側と同じ側となる姿勢で配されている。第二刃部材42は、その刃先40をY方向における隣り合う第二櫛歯322間の領域、すなわち第二スリットs2内に露出するよう配されている。すなわち、第二刃部材42は、図8図10に示すごとく、Y方向における第二櫛歯322が形成された領域においては外部に露出しておらず、図8図11に示すごとく、Y方向における第二スリットs2が形成された領域においては第二刃部材42の刃先40を含む部位が第二スリットs2に露出している。
【0041】
前述のごとく、第二刃部材42は、第二スリットs2の奥まった位置にその刃先40を露出させるよう第二櫛状部321内に配されている。本例においては、第二スリットs2のZ方向の中央位置よりも第二スリットs2の奥側の位置に、第二刃部材42の刃先40が存在する。本例において、各第二スリットs2の開口端の幅は1.5~3.0mm程度であり、Z方向における刃先40と第二櫛歯322の突出側端部との間の間隔は、2~3mm程度である。
【0042】
図11に示すごとく、Y方向から見たとき、第二刃部材42の露出部は、当該露出部に隣接する第二櫛歯322の外形よりも内側に位置するよう配されている。以上のように、第二刃保持部32、及びこれに保持された第二刃部材42によってT型剃刀が構成されている。
【0043】
次に、本例のヘアカッター1を構成する各部品の構成について説明する。
【0044】
図12図13に示すごとく、本例のヘアカッター1は、本体樹脂部5、第一刃部材41、第一カバー6、第二刃部材42、及び第二カバー7の5つの部材を組み付けてなる。本体樹脂部5は、長尺部2と各刃保持部3の櫛状部30の一部とを構成するとともに、1つの樹脂成形体によって構成されている。本体樹脂部5によって構成されるそれぞれの刃保持部3の櫛状部30が突出する側(すなわちスリットsが開放する側)は、互いに同じ側である。本体樹脂部5は、ヘアカッター1において最も体積を有する樹脂部材として構成されている。
【0045】
図4図5図12に示すごとく、本体樹脂部5における第一刃保持部31を構成する部位には、第一刃部材41及び第一カバー6を組み付けるための第一組付凹部51が形成されている。第一組付凹部51は、本体樹脂部5のX方向の一端部において、Y方向に凹むよう形成されている。第一組付凹部51は、各第一櫛歯312の先端部を除く部位にも形成されている。図12に示すごとく、第一組付凹部51内には、一部がY方向に隆起した複数の第一係合凸部511が形成されている。第一係合凸部511に、第一刃部材41が位置決めされている。
【0046】
第一刃部材41は、X方向に長尺な略長方形状を呈している。第一刃部材41の刃先40は、Z方向における第一櫛歯312が突出する側の長辺に形成されている。第一刃部材41は、その厚み方向(Y方向)に貫通する複数の第一貫通孔411を備える。第一刃部材41は、第一貫通孔411に第一係合凸部511を挿入するよう、第一組付凹部51内に配置される。本例においては、複数の第一貫通孔411のうちの一部の第一貫通孔411に複数の第一係合凸部511のうちの一部の第一係合凸部511を挿入させるよう、第一刃部材41が第一組付凹部51内に挿入配置されている。そして、第一組付凹部51に第一刃部材41が配置された状態において、第一組付凹部51に第一カバー6が挿入される。
【0047】
Y方向から見たとき、第一カバー6の外形は、第一組付凹部51の外形と同様の形状を有する。これにより、図2に示すごとく、第一カバー6は、その全体が第一組付凹部51に略ぴったり収まるよう配される。そして、第一組付凹部51は、第一組付凹部51内に配される第一カバー6を、Y方向から見たときの第一カバー6の周方向における第一スリットs1が存在する領域以外の全領域から囲うよう形成されている。
【0048】
図12に示すごとく、第一カバー6には、第一組付凹部51の複数の第一係合凸部511に係合する複数の第一係合凹部61が形成されている。また、各第一係合凹部61内には、各第一係合凹部61の長手方向に長尺な、後述の振動溶着のための第一凸条部611が形成されている。
【0049】
本体樹脂部5と第一カバー6との間の固定は、第一組付凹部51に第一刃部材41及び第一カバー6を配置した状態において、振動溶着により行う。すなわち、振動溶着により、第一カバー6の第一凸条部611を溶融させつつ、第一カバー6を第一組付凹部51に溶着する。このような振動溶着により、第一刃部材41を保持した第一刃保持部31が形成される。
【0050】
また、図10図11図13に示すごとく、本体樹脂部5における第二刃保持部32を構成する部位には、第二刃部材42及び第二カバー7を組み付けるための第二組付凹部52が形成されている。第二組付凹部52は、本体樹脂部5における一端部において、長尺部2と反対側の面が長尺部2側に向かって凹むよう形成されている。第二組付凹部52は、各第二櫛歯322の先端部を除く部位にも形成されている。
【0051】
図10図11図13に示すごとく、第二組付凹部52は、第二櫛状部321の一部を構成する先端側凹部521と、先端側凹部521における、第二櫛状部321の突出側と反対側に形成されるとともに、先端側凹部521よりも深い凹みとして形成される基端側凹部522とを備える。
【0052】
図10図13に示すごとく、先端側凹部521は、一部が先端側凹部521の底面の法線方向に隆起してなる複数の第二係合凸部521aを備える。第二係合凸部521aには、第二刃部材42の後述の第二貫通孔421が係合される。
【0053】
図13に示すごとく、基端側凹部522は、一部が、第二係合凸部521aの隆起方向と同じ方向に隆起してなる一対の筒状部522aを備える。一対の筒状部522aには、第二カバー7に形成されたピン状突起712が挿入される。また、図10図13に示すごとく、一対の筒状部522aの間には、第二カバー7に形成された板状突起713の先端が挿入される板状凹部522bが形成されている。そして、Z方向における基端側凹部522の先端側凹部521側と反対側の端部522cは開放されている。そして、先端側凹部521の第二係合凸部521aに、第二刃部材42が位置決めされている。
【0054】
図13に示すごとく、第二刃部材42は、Y方向に長尺な長方形状を呈している。第二刃部材42の刃先40は、Z方向における第二櫛歯322が突出する側の長辺に形成されている。第二刃部材42は、その厚み方向に貫通する複数の第二貫通孔421を備える。第二刃部材42は、第二貫通孔421に第二係合凸部521aを挿入するよう、第二組付凹部52の先端側凹部521内に配置される。そして、先端側凹部521に第二刃部材42が配置された状態において、第二組付凹部52に第二カバー7が挿入される。
【0055】
図10図11に示すごとく、第二カバー7は、Y方向から見た形状が略L字状を呈している。すなわち、第二カバー7は、先端側凹部521の底面に対向する対向壁部71と、対向壁部71から対向壁部71に直交する方向に形成され、基端側凹部522のZ方向の先端側凹部521と反対側の開口を覆う直交壁部72とを備える。第二カバー7の周縁部(つまり、対向壁部71の厚み方向から見たときの対向壁部71の周縁、及び、直交壁部72の厚み方向から見たときの直交壁部72の周縁)の略全体は、第二組付凹部52に対向するよう配されている。
【0056】
図13に示すごとく、対向壁部71には、直交壁部72が延設される側と同じ側に立設したピン状突起712と板状突起713とが形成されている。第二カバー7を第二組付凹部52に組み付ける際には、ピン状突起712が第二組付凹部52の基端側凹部522の筒状部522a内に挿入されるとともに、板状突起713が基端側凹部522の板状凹部522b内に挿入される。
【0057】
また、対向壁部71には、先端側凹部521の複数の第二係合凸部521aに係合する複数の第二係合凹部711が形成されている。また、各第二係合凹部711内には、振動溶着のための第二凸条部711aが形成されている。すなわち、本体樹脂部5と第一カバー6との間の固定方法と同様に、本体樹脂部5と第二カバー7との間も、振動溶着により第二凸条部711aを溶融させて溶着される。なお、本体樹脂部5と第一カバー6との間の固定は、振動溶着に限られず、例えば高周波溶着、超音波溶着、接着材による接着、機械的嵌合方式等を用いてもよい。
【0058】
次に、本例のヘアカッター1の用途について説明する。
【0059】
本例のヘアカッター1は、主にアンダーヘア処理用に用いられる。より具体的には、例えば女性のアンダーヘア処理用に用いたり、介護現場において介護士が被介護者のアンダーヘアを処理するために用いたりすることが考えられる。なお、本例のヘアカッター1は、毛の生え際から剃り落とすのではなく、毛量を調整する(毛量を減らす)ことを主目的としている。前述のごとく、Z方向における第一刃部材41の刃先40と第一櫛歯312の突出側端部との間の間隔、及び、Z方向における第二刃部材42の刃先40と第二櫛歯322の突出側端部との間の間隔のそれぞれは、2~3mm程度である。これにより、各刃先40が、直接肌に当たらず毛の生え際を捉えることができないようになっている。アンダーヘアは、クッションの役割、保湿の役割、フェロモンを放散させる役割、ウイルス浸入予防(性感染症予防)等の役割があり、すべてを剃毛することは好ましくない。また、毛量を減らすことにより、生理時のニオイ、不快感を軽減したり、ムレによるかぶれを軽減したり、排せつ物の付着を抑制したりできるため、衛生的にも良い効果が得られる。また、下着、水着着用時の見栄えが良くなるという効果も得られる。なお、本例のヘアカッター1は、頭髪やすね毛等、他の体毛の処理に使用することも可能である。
【0060】
アンダーヘア処理においては、人体におけるいわゆるVゾーン(Vライン)、Iゾーン(Iライン)、Oゾーン(Oライン)のアンダーヘアの処理が行われる。Vゾーンは、人体の下腹部のビキニラインによって囲まれる逆三角形状の領域である。Oゾーンは、肛門周りの領域である。Iゾーンは、Vゾーンの下端からOゾーンにかけての足の付け根に沿った領域である。Vゾーンは、刃の範囲が広く、一度に広い範囲を剃ることができるL型剃刀が好適に使用される。また、I、Oゾーンは、見えにくく、ヘアカッター1が届きにくい箇所であるため、T型剃刀が好適に用いられる。
【0061】
しかしながら、このようにL型剃刀とT型剃刀とを使い分けるためには、従来は、L型剃刀とT型剃刀との双方を準備しなければならなかった。
【0062】
そこで、本例のヘアカッター1は、第一刃保持部31及び第一刃部材41がL型剃刀として構成されており、第二刃保持部32及び第二刃部材42がT型剃刀として構成されている。そのため、1つのヘアカッター1によって、L型剃刀とT型剃刀との双方の機能を実現することができる。
【0063】
ここで、ヘアカッター1のL型剃刀を使用する際には、例えば片手でヘアカッター1を掴んで使用される。この場合、T型剃刀(第二刃保持部32)を手で包み込み、人差し指及び親指を長尺部2に沿わせてヘアカッター1を保持することが考えられる。このとき、例えば小指、薬指、又は中指が第二刃保持部32の第二櫛歯322の先端に当たり得るが、前述のごとく、第二刃保持部32に保持された第二刃部材42は、第二スリットs2の奥まった位置にその刃先40を露出されるよう第二櫛状部321内に配されているため、手が刃先40に触れることが防止される。また、ヘアカッター1のT型剃刀を使用する際には、例えばL型剃刀(第一刃保持部31)を手で包み込み、人差し指及び親指を長尺部2に沿わせてヘアカッター1を保持することが考えられる。このとき、例えば小指、薬指、又は中指が第一刃保持部31の第一櫛歯312の先端に当たり得るが、前述のごとく、第一刃保持部31に保持された第一刃部材41は、第一スリットs1の奥まった位置にその刃先40を露出されるよう第一櫛状部311内に配されているため、手が刃先40に触れることが防止される。
【0064】
次に、本例の作用効果につき説明する。
本例のヘアカッター1は、長尺部2の両側に形成された一対の刃保持部3を備え、各刃保持部3は刃部材4を保持している。それゆえ、1つのヘアカッター1の両側のそれぞれにおいて、刃を使用することができる。一方、かかる前提を備えるヘアカッター1においては、一方の刃を使用する際に、他方の刃の周辺を把持して使用されることが考えられる。
【0065】
そこで、本態様のヘアカッター1において、各刃保持部3は、保持する刃部材4の刃先40が向く刃先端側に開放された複数のスリットsを備える櫛状部30を有する。そして、各刃部材4は、スリットsの奥まった位置にその刃先40を露出させるよう、櫛状部30内に配されている。これにより、ヘアカッター1の使用者が刃保持部3を把持しても、使用者の手の指等が櫛状の部位に守られるため刃先40に触れることがない。これにより、例えば刃部材4を覆うキャップを用いなくてもよく、ヘアカッター1においてキャップの脱着作業を行う必要もない。また、キャップを用いる必要がないため、部品点数の削減を図ることも可能である。
【0066】
また、一対の刃保持部3のうちの一方(第一刃保持部31)が保持する刃部材4(第一刃部材41)の刃先40は、長尺部2の延在方向に沿うよう形成されており、一対の刃保持部3のうちの他方(第二刃保持部32)が保持する刃部材4(第二刃部材42)の刃先40は、長尺部2の延在方向に直交する方向に形成されている。つまり、第一刃保持部31及びこれに保持される第一刃部材41は、いわゆるL型剃刀の役割を有し、第二刃保持部32及びこれに保持される第二刃部材42は、いわゆるT型剃刀の役割を有する。そのため、1つのヘアカッター1にL型剃刀とT型剃刀との双方の役割を持たすことができ、使い勝手を向上させることができる。
【0067】
また、ヘアカッター1は、長尺部2と各刃保持部3の櫛状部30とを構成するとともに1つの樹脂成形体によって構成された本体樹脂部5を備え、本体樹脂部5によって構成される各刃保持部3の櫛状部30が突出する側は、互いに同じ側又は互いに反対側である。この場合には、本体樹脂部5の生産性を向上させやすい。すなわち、本体樹脂部5は、長尺部2と各刃保持部3の櫛状部30とを構成しているため、ヘアカッター1の略全体を構成する程度の比較的大きい部材として構成される。それゆえ、本体樹脂部5を1つの樹脂成形体で構成する場合、本体樹脂部5を製造するための成形型が複雑になりやすい。そこで、本体樹脂部5が構成する各刃保持部3の櫛状部30が突出する側を、互いに同じ側又は互いに反対側とすることにより、本体樹脂部5における各刃保持部3の櫛状部30を構成する成形型のそれぞれの抜き方向を互いに同じ方向にすることができ、成形型を簡素化しやすい。さらに、本例においては、各刃保持部3の櫛状部30が突出する側は、長尺部2の延在方向に直交する断面形状(略長方形状)の長手方向(すなわち当該断面形状の長方形の長辺方向)である。それゆえ、長尺部2及び各刃保持部3の櫛状部30の成形型の抜き方向を揃えることができ、一層本体樹脂部5の成形を容易にしやすい。
【0068】
以上のごとく、本例によれば、使い勝手の良いヘアカッターを提供することができる。
【0069】
本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施例に適用することが可能である。
【0070】
例えば、前記実施例においては、一方の刃保持部及びこれに保持された刃部材をL型剃刀、他方の刃保持部及びこれに保持された刃部材をT型剃刀として構成したが、これに限られない。例えば、刃部材がスリットの奥まった位置にその刃先を露出させるよう、櫛状部内に配されていれば、長尺部の両端にL型剃刀を形成したり、長尺部の両端にT型剃刀を形成したりことも可能である。
【0071】
また、前記実施例において、各刃保持部が保持する刃部材は1つとしたが、これに限られず、複数刃保持してもよい。この場合は、各刃保持部が保持するすべての刃部材の刃先のそれぞれが、スリットの奥まった位置にその刃先を露出させていればよい。
【0072】
また、前記実施例において、本体樹脂部と第一カバー及び第二カバーとを一体の樹脂で形成し、この成形型内に2つの刃部材を配置したインサート形成により、ヘアカッターを形成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 ヘアカッター
2 長尺部
3 刃保持部
30 櫛状部
4 刃部材
40 刃先
5 本体樹脂部
s スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13