(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】屋根用雪止め装置
(51)【国際特許分類】
E04D 13/10 20060101AFI20230831BHJP
E04D 3/36 20060101ALI20230831BHJP
E04H 9/16 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
E04D13/10 F
E04D3/36 W
E04H9/16 A
(21)【出願番号】P 2020002801
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】593162095
【氏名又は名称】株式会社長谷川工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 周藏
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-56574(JP,A)
【文献】特開2017-28888(JP,A)
【文献】特開2019-65588(JP,A)
【文献】特開2006-233492(JP,A)
【文献】特開2009-35890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/10
E04D 3/36
E04H 9/16
E04D 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根上に固定可能な支持具と、この支持具に取付可能な雪止め具とを備え、屋根上に間隔を置いて固定された複数の前記支持具間に、前記雪止め具が横架状態で取付可能に構成されている屋根用雪止め装置であって、前記支持具は、前記雪止め具を取付けるための取付部がこの支持具の左右両側から突出するようにして設けられており、前記雪止め具は、屋根上に間隔を置いて固定された複数の前記支持具間に横架して前記取付部に取付けられることで屋根面に対し立設状態に配設される横長の板材で構成され、この雪止め具を構成する横長の板材は、少なくとも左右両端部が断面逆U字状に折り返し形成されて、この逆U字状の左右両端部が、前記支持具の取付部に上方から被嵌可能な被嵌部として構成されていると共に、この左右の被嵌部には、前記取付部に対して被嵌状態で止着するための止着手段が設けられていることを特徴とする屋根用雪止め装置。
【請求項2】
前記雪止め具の逆U字状の被嵌部は、前後に対設する前板と後板との間に前記取付部の厚み幅寸法より小さい狭小間隔部を有する形状に形成されて、この狭小間隔部が、前記取付部に対し上方から被嵌部に押圧荷重を加えることで取付部に圧着する前記止着手段として構成されていることを特徴とする請求項1記載の屋根用雪止め装置。
【請求項3】
前記雪止め具の逆U字状の被嵌部は、前後に対設する前板と後板の下方側の対向間隔が、前記支持具の取付部の厚み幅寸法より大きい対向間隔を有し、前板と後板の途中部の対向間隔が、前記支持具の取付部の厚み幅寸法より小さい対向間隔を有する形状に形成されていて、前板と後板の下方側間の広大間隔部が前記取付部に被嵌案内する誘導開口部として構成されていると共に、前板と後板の途中部間の狭小間隔部が、前記取付部に対し上方から被嵌部に押圧荷重を加えることによって取付部に圧着する前記止着手段として構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の屋根用雪止め装置。
【請求項4】
前記雪止め具は、長さ方向の全域が断面逆U字状に折り返し形成されていて、この逆U字状の雪止め具の左右両端部が前記被嵌部として構成され、この雪止め具の後板が折曲形成されることにより、前板と後板の下方側の対向間隔が、前記支持具の取付部の厚み幅寸法より大きい対向間隔を有し、前板と後板の途中部の対向間隔が、前記支持具の取付部の厚み幅寸法より小さい対向間隔を有する形状に形成されていて、前記被嵌部では、前板と後板の下方側の広大間隔部が前記取付部に被嵌案内する誘導開口部として構成されていると共に、前板と後板の途中部の狭小間隔部が、前記取付部に対し上方から被嵌部に押圧荷重を加えることによって取付部に圧着する前記止着手段として構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の屋根用雪止め装置。
【請求項5】
前記止着手段は、前記被嵌部に、前記取付部に設けられた係止凸部が係合係止する係合凹部が設けられているか、若しくは被嵌部に、前記取付部に設けられた係合凹部に係合係止する係止凸部が設けられていて、この係止凸部が係合凹部に係止することで、被嵌部が取付部に対し被嵌状態で止着されるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の屋根用雪止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根用雪止め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、この種の雪止め装置として特開2019-65588号(特許文献1)を開発し、特許出願している。
【0003】
この特許文献1を簡単に説明すると、勾配付き屋根上に固定可能な支持具と、この支持具に取付可能な雪止め具とを備え、勾配付き屋根上に間隔を置いて固定された複数の前記支持具間に、前記雪止め具が横架状態で取付可能に構成されている屋根用雪止め装置であって、前記雪止め具が線材から成ると共に、この雪止め具の両端部に、前記支持具に対し上方から押圧荷重を加えることによって支持具に圧着可能な取付部が設けられている構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記特許文献1の改良に係るもので、雪止め具が最近主流の角形基調の住宅にもマッチする横長板形態の良好な体裁を具備すると共に、雪止め具が屋根に固定された支持具に対して簡易に取付け可能で施工性にも優れた屋根用雪止め装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
屋根1上に固定可能な支持具Aと、この支持具Aに取付可能な雪止め具Bとを備え、屋根1上に間隔を置いて固定された複数の前記支持具A間に、前記雪止め具Bが横架状態で取付可能に構成されている屋根用雪止め装置であって、前記支持具Aは、前記雪止め具Bを取付けるための取付部3がこの支持具Aの左右両側から突出するようにして設けられており、前記雪止め具Bは、屋根1上に間隔を置いて固定された複数の前記支持具A間に横架して前記取付部3に取付けられることで屋根面2に対し立設状態に配設される横長の板材で構成され、この雪止め具Bを構成する横長の板材は、少なくとも左右両端部が断面逆U字状に折り返し形成されて、この逆U字状の左右両端部が、前記支持具Aの取付部3に上方から被嵌可能な被嵌部4として構成されていると共に、この左右の被嵌部4には、前記取付部3に対して被嵌状態で止着するための止着手段7が設けられていることを特徴とする屋根用雪止め装置に係るものである。
【0008】
また、前記雪止め具Bの逆U字状の被嵌部4は、前後に対設する前板5と後板6との間に前記取付部3の厚み幅寸法より小さい狭小間隔部8を有する形状に形成されて、この狭小間隔部8が、前記取付部3に対し上方から被嵌部4に押圧荷重を加えることで取付部3に圧着する前記止着手段7として構成されていることを特徴とする請求項1記載の屋根用雪止め装置に係るものである。
【0009】
また、前記雪止め具Bの逆U字状の被嵌部4は、前後に対設する前板5と後板6の下方側の対向間隔が、前記支持具Aの取付部3の厚み幅寸法より大きい対向間隔を有し、前板5と後板6の途中部の対向間隔が、前記支持具Aの取付部3の厚み幅寸法より小さい対向間隔を有する形状に形成されていて、前板5と後板6の下方側間の広大間隔部9が前記取付部3に被嵌案内する誘導開口部9として構成されていると共に、前板5と後板6の途中部間の狭小間隔部8が、前記取付部3に対し上方から被嵌部4に押圧荷重を加えることによって取付部3に圧着する前記止着手段7として構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の屋根用雪止め装置に係るものである。
【0010】
また、前記雪止め具Bは、長さ方向の全域が断面逆U字状に折り返し形成されていて、この逆U字状の雪止め具Bの左右両端部が前記被嵌部4として構成され、この雪止め具Bの後板6が折曲形成されることにより、前板5と後板6の下方側の対向間隔が、前記支持具Aの取付部3の厚み幅寸法より大きい対向間隔を有し、前板5と後板6の途中部の対向間隔が、前記支持具Aの取付部3の厚み幅寸法より小さい対向間隔を有する形状に形成されていて、前記被嵌部4では、前板5と後板6の下方側の広大間隔部9が前記取付部3に被嵌案内する誘導開口部9として構成されていると共に、前板5と後板6の途中部の狭小間隔部8が、前記取付部3に対し上方から被嵌部4に押圧荷重を加えることによって取付部3に圧着する前記止着手段7として構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の屋根用雪止め装置に係るものである。
【0011】
また、前記止着手段7は、前記被嵌部4に、前記取付部3に設けられた係止凸部10が係合係止する係合凹部11が設けられているか、若しくは被嵌部4に、前記取付部3に設けられた係合凹部11に係合係止する係止凸部10が設けられていて、この係止凸部10が係合凹部11に係止することで、被嵌部4が取付部3に対し被嵌状態で止着されるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の屋根用雪止め装置に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、屋根上に間隔を置いて複数の支持具を固定して、この複数の支持具間に雪止め具を横架状態で取付けることにより屋根に雪止め効果を付与でき、しかも雪止め具は、横長の板形態であって屋根上で屋根面に対し立設状態に配設されているので体裁が良く、特に最近主流となっている角形基調の建物の屋根に設置すると外観上違和感なくマッチして良好な体裁を発揮でき、その上、本発明の雪止め具は、支持具の取付部に被嵌する被嵌部が簡易に設計実現可能な構成であると共に、取付部に被嵌して止着手段で止着するだけで支持具に対し容易に取付可能であるなど、極めて実用性に優れた屋根用雪止め装置となる。
【0013】
また、請求項2~4記載の発明においては、支持具への雪止め具の取付けにボルト締めなどの操作が不要で、支持具に対し押圧荷重を加えるだけの所謂ワンタッチ操作で支持具に雪止め具の被嵌部を容易に圧着取付可能となる一層実用性に優れた構成の屋根用雪止め装置となる。
【0014】
また、特に請求項3,4記載の発明のように構成した場合には、誘導開口部により支持具の取付部に対して容易に被嵌できる被嵌部を備えた雪止め具を簡易構成にして容易に設計実現可能となる。
【0015】
また、特に請求項4記載の発明のように構成した場合には、逆U字状に折り返し形成された雪止め具は、その後板で屋根上の雪を受止めることになるが、この後板が折曲形成されているために強度的に有利な構成となり、雪止め具が変形しにくく優れた雪止め機能を発揮する一層実用性に優れた構成の屋根用雪止め装置となる。
【0016】
また、請求項5記載の発明においては、簡易構成の止着手段により、雪止め具の被嵌部が支持具の取付部に対し確固な抜止状態に止着される一層実用性に優れた構成の屋根用雪止め装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1の使用状態を示す概略説明斜視図である。
【
図3】実施例1の支持具が屋根に固定されている状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3に続いて、支持具の取付部に雪止め具を取付けようとする状態を示す説明斜視図である。
【
図5】実施例1の使用状態を示す、取付部と雪止め具とを切欠いた説明側面図である。
【
図6】実施例2の使用状態を示す、取付部と雪止め具とを切欠いた説明側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
屋根1上に、間隔を置いて複数の支持具Aを固定する。
【0020】
次いで、支持具Aの左右両側から突出するようにして設けられている取付部3に、雪止め具Bの左右両端部の被嵌部4を被嵌して、この被嵌部4に設けられている止着手段7により被嵌部4を取付部3に止着すると、複数の支持具A間に雪止め具Bが横架状態で取付けられて、この雪止め具Bが屋根1上で雪止め作用を発揮する。
【0021】
即ち、支持具Aの取付部3に、雪止め具Bの被嵌部4を上方から被嵌して止着手段7で止着するだけの簡易作業で、雪止め具B(の被嵌部4)が支持具A(の取付部3)に取付けられる。
【0022】
また、この際、横長の板材で構成されていて屋根1上で屋根面2に対し立設状態に配設されている本発明の雪止め具Bは、体裁が良く、特に最近主流となっている角形基調の建物の屋根に設置すると外観上違和感なくマッチして良好な体裁を発揮できる。
【0023】
また、雪止め具Bを構成する横長の板材の少なくとも左右両端部が逆U字状に折曲形成されて構成される被嵌部4は、例えば横長の板材に金属板を採用してこれにプレス加工を施して構成するなどの簡易手段によって容易に設計実現可能である。
【実施例1】
【0024】
本発明の具体的な実施例1について
図1~
図5に基づいて説明する。
【0025】
本実施例の屋根用雪止め装置は、
図1に示すように、勾配付き屋根1上に固定可能な支持具Aと、この支持具Aに取付可能な長さ500mm以下の横長帯板状体から成る雪止め具Bとを備えている。
【0026】
また、図面は、勾配付き屋根1として嵌合式の立平葺き屋根1を図示しているが、支持具Aの屋根1への固定構造の変更により本発明は他の屋根構造にも適用可能である。
【0027】
以下、本実施例では、この立平葺き屋根1のハゼ部12の長さ方向、即ち屋根1の勾配方向に沿う方向に対応する方向を、後述する支持具A及び雪止め具Bにおける前後方向と定めて説明する。
【0028】
本実施例の支持具Aは、
図2に示すように、金属製板材で成る左右一対の挟持部13と、この一対の挟持部13間に架設状態に貫通配設される一本の締付ボルト14とから成り、一対の挟持部13間に貫通配設された締付ボルト14の先端に締付ナット15が螺着されている。そして、例えば挟持部13に回り止め状態で貫通配設されている締付ボルト14に対して締付ナット15を締付回動することで、各挟持部13に形成された挟持対向部16同士を接近させて屋根1のハゼ部12を左右から挟持し、これにより屋根1(のハゼ部12)に締付挟持固定可能に構成されている(
図3,
図4参照)。
【0029】
また、この左右の挟持部13の下部には、対向内側に向かって前記挟持対向部16が突設されていると共に、左右の挟持部13の下部前後四箇所には、挟持対向部16で前記ハゼ部12を挟持した際に屋根面2に載置する載置脚部17が、左右の挟持部13の対向外側に向かって突設されている。
【0030】
また、この支持具Aの前部には、この支持具Aの左右両側から突出するようにして、前記雪止め具Bを取付けるための取付部3が設けられている。
【0031】
具体的には、支持具Aの前部左右に、この支持具Aの前後方向と直交する左右方向に沿った板面を有する縦長帯状の板片が設けられていて、この左右の縦長板片が支持具Aの左右両側から僅かに突出する前記取付部3として構成されている。また、この左右の取付部3の下部が直角に折曲されて、この折曲下部が前記載置脚部17として構成されている。
【0032】
即ち、本実施例では、支持具Aの左右部に別々の取付部3が設けられている場合を示しているが、例えば、支持具Aの前部に左右方向に沿った板面を有する横長の板材が設けられていて、この板材の左右部が前記取付部3として構成(左右の取付部3が一体物で構成)されていても良い。
【0033】
本実施例の雪止め具Bは、屋根1上に間隔を置いて固定された複数の前記支持具A間に横架して前記取付部3に取付けられることで屋根面2に対し立設状態に配設される横長長方形状の金属製板材で構成されている。
【0034】
また、この雪止め具Bは、立平葺き屋根1のハゼ部12間の並設間隔寸法(働き幅寸法)と同等の長さ寸法(例えば、333mmや350mm等)を有するように設定構成されていて、隣接するハゼ部12に固定された二個の前記支持具A間に、一個のこの雪止め具Bを架け渡し状態(横架状態)で取付可能に構成されている(
図1参照)。
【0035】
従って、長さが400mm以下のこの雪止め具Bは、軽量で取扱い容易であり、それ故、この雪止め具Bを屋根1上へと持ち運ぶ作業も、屋根1上に据え付ける(支持具Aに取付ける)作業も容易に且つ安全に行われるように構成されている。
【0036】
また、この雪止め具Bを構成する横長の金属製板材は、金属プレス加工等により長さ方向の全域が断面逆U字状に折り返し形成されて構成されていて、左右両端部の逆U字状部分が、前記支持具Aの取付部3に上方から被嵌可能な被嵌部4として構成されている。
【0037】
また、この雪止め具Bは、被嵌部4を取付部3に被嵌した際に、その上縁部が前記支持具Aの高さと同等の高さに配設されると共に、その下縁部が屋根面2より浮上状態に配設されるように(雪止め具Bの下に排水路が形成されるように)、この雪止め具Bの高さ寸法や板厚寸法、並びに支持具Aの取付部3の形状等が設定構成されている。
【0038】
また、この雪止め具Bの左右の被嵌部4には、前記取付部3に対して被嵌状態で止着するための止着手段7が設けられている。
【0039】
具体的には、逆U字状の被嵌部4は、前後に対設する前板5と後板6の途中部の対向間隔が、前記支持具Aの取付部3の厚み幅寸法より小さい対向間隔を有する形状に形成されていて、この前板5と後板6の途中部間の狭小間隔部8が、前記取付部3に対し上方から被嵌部4に押圧荷重を加えることによって取付部3に圧着する前記止着手段7として構成されている(
図4,
図5参照)。
【0040】
即ち、例えば、この雪止め具B(の被嵌部4)を前記支持具Aに対し上方からハンマーなどの打撃具Hで打撃するなどして押圧荷重を加えることにより、支持具Aの取付部3に対し被嵌部4を所謂ワンタッチ操作で圧着可能に構成されている(
図5参照)。
【0041】
また、この被嵌部4は、前後に対設する前板5と後板6の下方側の対向間隔が、前記支持具Aの取付部3の厚み幅寸法の五倍以上(好ましくは八倍程度)の対向間隔を有する形状に形成されていて、この前板5と後板6の下方側間の広大間隔部9が前記取付部3に被嵌案内する誘導開口部9として構成されている。
【0042】
即ち、この広大な誘導開口部9を介して被嵌部4は、取付部3に対し上方から容易に被嵌可能となるように構成されている(
図4,
図5参照)。
【0043】
さらに具体的に説明すると、前記被嵌部4は、後板6が、その上下方向の中ほどが最も前板5に接近する断面転V字状(くの字状)に折曲形成されていることにより、この後板6の途中部と前板5との間に前記取付部3の厚み幅寸法より小さい前記狭小間隔部8(前記止着手段7)が設けられ、この狭小間隔部8より下方側が、後板6が前板5から離反して下側ほど対向間隔が幅広となる前記誘導開口部9に構成されている。
【0044】
また、本実施例の止着手段7は、前記被嵌部4の後板6に係合凹部11としての係合孔11が貫通形成され、一方、前記取付部3の後面には、被嵌部4を取付部3に被嵌した際に前記係合孔11に圧入係止する係止凸部10が一体的に設けられていて、この係合孔11に係止凸部10が係止することによって被嵌部4が取付部3に対し確固な抜止状態に止着されるように構成されている(
図4,
図5参照)。尚、被嵌部4の後板6に係止凸部10が設けられ、この係止凸部10が係止する係合凹部11(例えば係合孔11)が取付部3に設けられていても良い。
【0045】
また、本実施例の係合孔11は、横長孔に形成されていて、屋根板の寸法誤差や屋根板の取付位置に誤差等があっても、これらの誤差を吸収して係止凸部10が係止可能となるように構成されている。
【0046】
即ち、本実施例は、前記狭小間隔部8による取付部3への圧着と、この係止凸部10の係合孔11への係止とによる二重の確固な止着手段7が採用されている。
【実施例2】
【0047】
本発明の具体的な実施例2について
図6に基づいて説明する。
【0048】
本実施例は、前記実施例1とは止着手段7の構成を異ならせた場合である。
【0049】
具体的には、本実施例の止着手段7は、被嵌部4の後板6に、下側が前後方向に撓み変形可能となる切り出し片18が形成されていると共に、この切り出し片18の下端が前板5に向かって直角に折曲されてこの折曲先端が係止凸部10Aとして構成され、一方、前記取付部3には、被嵌部4を取付部3に被嵌した際に前記係止凸部10Aが圧入係止する係合凹部11Aとしての係合孔11Aが貫通形成されている。
【0050】
また、本実施例の止着手段7は、前記狭小間隔部8による圧着構造は備えていない。
【0051】
即ち、本実施例は、係止凸部10Aが係合凹部11A(係合孔11A)に圧入係止する止着手段7によって被嵌部4が取付部3に対し抜止状態となるように構成されている。
【0052】
他の構成は、前記実施例1と同様である。
【0053】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0054】
1 屋根
2 屋根面
3 取付部
4 被嵌部
5 前板
6 後板
7 止着手段
8 狭小間隔部
9 誘導開口部
10 係止凸部
11 係合凹部
A 支持具
B 雪止め具