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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】コーティング装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/00 20060101AFI20230831BHJP
   B01J 2/12 20060101ALI20230831BHJP
   A23L 5/00 20160101ALN20230831BHJP
   A61J 3/06 20060101ALN20230831BHJP
【FI】
B01J2/00 B
B01J2/12
A23L5/00 F
A61J3/06 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020040018
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021137774
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591011384
【氏名又は名称】株式会社パウレック
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】長門 琢也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茜
(72)【発明者】
【氏名】内田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】上開地 宏仁
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-042618(JP,A)
【文献】特開2019-005711(JP,A)
【文献】特開2011-136331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00 - 2/30
A23L 5/00 - 5/30
A23L 29/00 - 29/10
A61J 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理すべき粉粒体が内部に収容され、その軸線の回りに回転駆動される回転ドラムと、前記回転ドラムの内部の粉粒体層の粉粒体粒子の物性を測定する測定部と、前記粉粒体層から一部の粉粒体粒子を採取するサンプリング部とを備えたコーティング装置であって、
前記測定部は、前記回転ドラムの壁部に設置された透光部材と、前記粉粒体層の粉粒体粒子の物性を前記透光部材を介して測定する光学センサとを有し、
前記サンプリング部は、前記回転ドラムの前記壁部に設置された粒子採取部を有し、該粒子採取部は、前記回転ドラムの所定方向の回転時に前記透光部材に対して回転方向後方側となる位置に設置され、前記透光部材を介して前記光学センサにより物性を測定された粉粒体粒子を採取可能であり、かつ、前記透光部材を介して前記センサにより物性を測定された粉粒体粒子と、前記粒子採取部が採取する粉粒体粒子とが同一になるように、粉粒体粒子を採取するタイミングが設定されることを特徴とするコーティング装置。
【請求項2】
前記回転ドラムは、前記軸線の方向に沿って、前端壁部と、前記前端壁部に繋がる周壁部と、前記周壁部に繋がる後端壁部とを備え、前記透光部材と前記粒子採取部の双方が、前記前端壁部又は前記後端壁部に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、食品、農薬等の粉粒体のコーティング、混合、乾燥等を行うコーティング装置に関し、特に、その軸線の回りに回転駆動される回転ドラムを備えたコーティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食品、農薬等の錠剤、ソフトカプセル、ペレット、顆粒、その他これらに類するもの(以下、これらを総称して粉粒体という。)にフィルムコーティングや糖衣コーティング等を施すために、その軸線の回りに回転駆動される通気式の回転ドラムを備えたコーティング装置が使用されている。
【0003】
この種のコーティング装置では、コーティング品質を向上させるために、コーティング処理中に、回転ドラム内の粉粒体層の粉粒体粒子の水分等の物性を光学センサで測定し、この測定結果に基づいてコーティング処理の条件を制御することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5813310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回転ドラム内の粉粒体層の粉粒体粒子の物性を光学センサで測定(検知)するためには、予め、粉粒体粒子の物性の実測値と、光学センサの測定結果との相関関係を示す検量線を作成しておく必要がある。この検量線は、コーティング処理中の複数時点でサンプリングした粉粒体粒子の物性の各実測値(粉粒体粒子の物性を測定機器で測定した値)と、各サンプリング時点での光学センサの測定結果(スペクトルデータ等)とを関連付けたものであり、この検量線を用いることにより、コーティング処理中の光学センサの測定結果から、粉粒体粒子の物性値を検知することができる。
【0006】
しかしながら、従来は、上記の検量線を作成するにあたり、粉粒体粒子のサンプリングと光学センサによる粉粒体粒子の測定との関係を考慮しておらず、サンプリングした粉粒体粒子と光学センサにより測定した粉粒体粒子とが異なることにより、上記の検量線の精度が低くなり、その結果、コーティング処理中の光学センサの測定結果から上記の検量線を用いて検知される粉粒体粒子の物性値の精度が低下する。これにより、光学センサによるリアルタイムモニタリングに基づくコーティング処理条件の制御が低下することになる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、上記の検量線を精度良く作成することを可能にするコーティング装置の構成を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために創案された本発明に係るコーティング装置は、処理すべき粉粒体が内部に収容され、その軸線の回りに回転駆動される回転ドラムと、前記回転ドラムの内部の粉粒体層の粉粒体粒子の物性を測定する測定部と、前記粉粒体層から一部の粉粒体粒子を採取するサンプリング部とを備えたコーティング装置であって、前記測定部は、前記回転ドラムの壁部に設置された透光部材と、前記粉粒体層の粉粒体粒子の物性を前記透光部材を介して測定する光学センサとを有し、前記サンプリング部は、前記回転ドラムの前記壁部に設置された粒子採取部を有し、該粒子採取部は、前記回転ドラムの所定方向の回転時に前記透光部材に対して回転方向後方側となる位置に設置され、前記透光部材を介して前記光学センサにより物性を測定された粉粒体粒子を採取可能であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、回転ドラムの所定方向の回転時に、粒子採取部により、透光部材を介して光学センサで物性を測定された粉粒体粒子を採取可能である。従って、光学センサで測定した粉粒体粒子と同一の粉粒体粒子を粒子採取部で採取して、該粉粒体粒子の物性を実測することが可能になる。これにより、粒子採取部で採取した粉粒体粒子の物性の実測値と、光学センサの測定結果とを関連付けて、検量線を精度良く作成することが可能になる。すなわち、本発明に係るコーティング装置によれば、検量線を精度良く作成することを可能にするコーティング装置の構成を提供することが可能である。これにより、コーティング処理中の光学センサの測定結果から検量線を用いて検知される粉粒体粒子の物性値の精度を向上させることが可能になる。更には、光学センサによるリアルタイムモニタリングに基づくコーティング処理条件の制御を向上させることが可能になる。
【0010】
上記の構成において、前記回転ドラムは、前記軸線の方向に沿って、前端壁部と、前記前端壁部に繋がる周壁部と、前記周壁部に繋がる後端壁部とを備え、前記透光部材と前記粒子採取部の双方が、前記前端壁部又は前記後端壁部に設置されていてもよい。
【0011】
この構成であれば、回転ドラムが、回転ドラムの軸線の方向に沿って、前端壁部と、前記前端壁部に繋がる周壁部と、前記周壁部に繋がる後端壁部とを備えるコーティング装置において、上述した効果を享受することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検量線を精度良く作成することを可能にするコーティング装置の構成を提供することができる。これにより、コーティング処理中の光学センサの測定結果から検量線を用いて検知される粉粒体粒子の物性値の精度を向上させることが可能になる。更には、光学センサによるリアルタイムモニタリングに基づくコーティング処理条件の制御を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るコーティング装置の概略縦断面図である。
図2】コーティング装置を正面から見た模式図であり、回転ドラムの後端壁部における測定部とサンプリング部の粒子採取部の位置を示す図である。
図3】コーティング装置を側方から見た模式図である。
図4図2のA部の拡大図である。
図5】サンプリング部の粒子採取部の周辺の概略図であり、(A)が縦断面図、(B)が背面図である。
図6】(A)が回転ドラムの概略背面図であり、(B)が(A)のB-B線矢視断面図である。
図7】回転ドラムの概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示すように、この実施形態に係るコーティング装置は、水平線と平行又は略平行な軸線Xの回りに回転駆動される通気式の回転ドラム1を備えている。回転ドラム1は、ケーシング2の内部に回転自在に収容され、その後端部側に配設される回転駆動機構3によって回転駆動される。また、回転ドラム1の内部には、膜材液等のスプレー液を粉粒体層Sに向けて噴霧する1又は複数のスプレーノズル4aを有するスプレーノズルユニット4が配置される。
【0016】
この実施形態において、回転ドラム1は、軸線X方向に沿って、前端壁部1aと、前端壁部1aに繋がる周壁部1bと、周壁部1bに繋がる後端壁部1cとを備え、前端壁部1aの前端には前端開口部1a1が設けられ、後端壁部1cの後端には後端開口部1c1が設けられている。前端壁部1aは、後方に向かって漸次拡径している。後端壁部1cは、後方に向かって漸次縮径している。同図に示す例では、前端開口部1a1は、前方に向かって漸次拡径した円錐テーパ状のマウスリングで構成されている。回転ドラム1の内部への通気は、前端開口部1a1及び/又は後端開口部1c1を介して行われる。回転ドラム1の内部に通気された気体は、回転ドラム1の内部に形成される粉粒体層(粉粒体の転動床)Sを通過した後、周壁部1bに設けられた通気部を介して回転ドラム1の外部に排気される。
【0017】
そして、図2図4に示すように、この実施形態に係るコーティング装置は、回転ドラム1の内部の粉粒体層Sの粉粒体粒子(例えば医薬品錠剤)の物性(被膜厚み、水分、コーティング性能、不純物等)を測定する測定部5と、粉粒体層Sから一部の粉粒体粒子を採取するサンプリング部6とを備える。なお、図3では、理解しやすいように、サンプリング部6の図示を省略している。
【0018】
測定部5は、回転ドラム1の後端壁部1cに設置された透光部材5aと、粉粒体層Sの粉粒体粒子の物性を透光部材5aを介して測定する光学センサ5bとを有する。また、サンプリング部6は、回転ドラム1の後端壁部1cに設置された粒子採取部6aを有する。
【0019】
回転ドラム1の後端壁部1cにおいて、粒子採取部6aは、回転ドラム1の矢印Cで示す方向の回転時に透光部材5aに対して回転方向後方側となる位置に設置されている。そして、回転ドラム1の矢印Cで示す方向の回転時に、粒子採取部6aは、透光部材5aを介して光学センサ5bにより物性を測定された粉粒体粒子を採取可能である。なお、回転ドラム1の矢印Cで示す方向の回転は、粉粒体のコーティング処理時に行われる。
【0020】
透光部材5aは、例えば、透明なガラス等で形成される。また、本実施形態では、透光部材5aは、平板状であるが、これに限定されず、例えば曲板状であってもよい。光学センサ5bは、例えば、近赤外線(NIR)分光分析装置のNIRセンサである。光学センサ5bの検出情報は、ケーブル5cを介してケーシング2の外部に配置されたNIR分光分析装置の処理部5dに送られる。なお、光学センサ5bがNIRセンサの場合、NIRが透光部材5aに照射された時に、NIRの照射方向が、透光部材5aの板面(回転ドラム1の外部側の面と内部側の面)に対して鋭角をなすように、光学センサ5bが設置されていることが好ましい。このように設置されていることにより、光学センサ5bにおいて、良好なデータが得られる。
【0021】
透光部材5aにおける回転ドラム1の内部側の面は、回転ドラム1の後端壁部1cの内面と略面一である。粒子採取部6aにおける回転ドラム1の内部側の面も、回転ドラム1の後端壁部1cの内面と略面一である。なお、本実施形態では、透光部材5aにおける回転ドラム1の内部側の面(内面)と、粒子採取部6aにおける回転ドラム1の内部側の面(内面)は、それぞれ、後端壁部1cに垂直な方向から見た場合、円形状であるが、特にこの形状に限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。なお、図2,4では、透光部材5aと粒子採取部6aの内面は、厳密には楕円形状に見えるが、模式的に円形状として示している。この図示例では、透光部材5aと粒子採取部6aの円形内面の中心は、軸線Xを中心とする同一の円上に存在する。
【0022】
光学センサ5bのスポット径は、例えば8~10mmである。透光部材5aの円形内面の径は、光学センサ5bのスポット径より大きい。従って、図4に示すように、透光部材5a上で、光学センサ5bで検出される範囲Rは、回転ドラム1の周方向に沿って延びる円弧帯状となる。なお、図4では、光学センサ5bで検出される範囲R内の粉粒体粒子と粒子採取部6a上の粉粒体粒子のみを示している。
【0023】
図4では、粒子採取部6aの円形内面の径も、光学センサ5bのスポット径より大きい。また、図4では、粒子採取部6aの円形内面の径は、透光部材5aの円形内面の径より小さい。また、透光部材5aの円形内面と粒子採取部6aの円形内面との間の最短距離dは、例えば40mm~60mmである。
【0024】
光学センサ5bによって透光部材5aを介して粉粒体粒子の物性を測定するタイミングは、例えば、回転ドラムの回転パルス、光学センサ5bによる反射光検出等により、設定できる。
【0025】
透光部材5aを介して光学センサ5bにより物性を測定された粉粒体粒子と、粒子採取部6aが採取する粉粒体粒子とが同一になるように、例えば、光学センサ5bの測定のタイミング、回転ドラムの回転速度、透光部材5aと粒子採取部6aの距離等を考慮して、粒子採取部6aの粉粒体粒子を採取するタイミングが設定される。
【0026】
しかしながら、実際には、粒子採取部6aで採取した粉粒体粒子の中に、光学センサ5bにより物性を測定していない粉粒体粒子が混じる場合も想定される。そのような場合には、例えば、粒子採取部6aが採取した粉粒体粒子の各粒子の物性の実測値を調べ、分布が多い実測値を検量線作成に採用することが考えられる。つまり、この場合には、分布が多い実測値の粉粒体粒子を、光学センサ5bで測定した粉粒体粒子とみなし、分布が少ない実測値の粉粒体粒子を、光学センサ5bで測定していない粉粒体粒子とみなすのである。
【0027】
検量線を作成する場合には、コーティング処理中の複数時点で、光学センサ5bにより物性を測定された粉粒体粒子を、粒子採取部6aでサンプリング(採取)する。そして、サンプリングした粉粒体粒子の物性を、光学センサ5bとは別の測定機器で測定し、実測値を得る。次に、各サンプリング時点における粉粒体粒子の物性の実測値と光学センサ5bによる測定結果(スペクトルデータ等)とを関連付け、検量線を作成する。
【0028】
通常のコーティング処理中には、透光部材5aの内面と接触する粉粒体層Sの粉粒体粒子の物性に関する情報を、検量線を用いつつ、透光部材5aを介して光学センサ5bによりリアルタイムで測定し、そのデータをNIR分光分析装置の処理部5dで処理してモニターし、その結果に応じて、フィードバック制御又は手動操作でコーティング操作条件(給気風量、給気温度、スプレー条件、回転ドラム1の回転数等)を適宜調整することにより、高い品質のコーティング処理を行うことが可能となる。
【0029】
図5に示すように、サンプリング部6は、回転ドラム1の後端壁部1cの貫通孔1c2に取り付けられる本体部6bと、粉粒体粒子が通過可能な採取口6cと、採取口6cを開閉する蓋部6dと、蓋部6dを回転ドラム1の後端壁部1cに対して、回転ドラム1の内外部方向に進退移動させる進退駆動部6eを備えている。本実施形態では、採取口6cと蓋部6dが、粒子採取部6aを構成する。
【0030】
また、本体部6bには、採取口6cを通過した粉粒体粒子が通過する通路6fと、通路6fを通過した粉粒体粒子が排出される排出口6gとが設けられている。
【0031】
進退駆動部6eは、リニアアクチュエータ、例えば流体圧シリンダ、特に空気圧シリンダで構成される。蓋部6dは、少なくとも周縁部が、シリコンゴム又はシリコン樹脂等の可撓性材料で形成される。
【0032】
図5(A)に二点鎖線で示すように、進退駆動部6eにより、蓋部6dが、回転ドラム1の後端壁部1cに対して、回転ドラム1の内部方向に進出移動すると、採取口6cが開放された状態となる(サンプリング部6の開状態)。これによって、採取口6cから粉粒体粒子が通路6fに流入し、流入した粉粒体粒子が通路6fを通り、排出口6gから排出される状態となる。
【0033】
この状態から、進退駆動部6eにより、蓋部6dが、回転ドラム1の後端壁部1cに対して、回転ドラム1の外部方向に後退移動すると、図5(A)に実線で示すように蓋部6dによって採取口6cが閉塞された状態となる(サンプリング部6の閉状態)。これによって、採取口6cから粉粒体粒子が通路6fに流入することができない状態となる。
【0034】
なお、サンプリング部6が開状態の時の蓋部6dの進出位置は、採取口6cに入る粉粒体粒子が、粉粒体層Sにおける後端壁部1cの内面から第1層目の粉粒体粒子となるように設定されることが好ましい。これは、透光部材5aを介して光学センサ5bにより物性を測定される粉粒体粒子は、主に、粉粒体層Sにおける後端壁部1cの内面から第1層目の粉粒体粒子だからである。
【0035】
図6(A)及び図6(B)に示すように、回転ドラム1の背面側には、サンプリング部6から排出された粉粒体粒子を受ける樋状のシュート部7が設置されている。シュート部7は、ケーシング2に間接的に固定されており、回転ドラム1は、シュート部7に対して回転自在である。回転ドラム1が回転した際に、サンプリング部6の排出口6gの周辺部の少なくとも一部は、シュート部7の上方開口部7aからシュート部7内に入り、シュート部7内を通過するように構成されている。シュート部7は、サンプリング部6の排出口6gから排出された粉粒体粒子を、底部7bで受けた後、案内し、下方に設けられた下方開口部7cから排出する。下方開口部7cから排出された粉粒体粒子は、更に、不図示の通路を介して、ケーシング2の外部に排出される。
【0036】
検量線作成のために、コーティング処理中に粉粒体粒子をサンプリングする時には、サンプリング部6は、次のような動作を行う。すなわち、閉状態のサンプリング部6が、回転ドラム1の回転によって、図6(A)の位置に到達すると、サンプリング部6が開状態に切り換わる(サンプリング開始)。そして、サンプリング部6が開状態のまま、回転ドラム1の回転によって、図7の位置に到達すると、サンプリング部6が閉状態に切り換わる(サンプリング終了)。図示例では、図6(A)のサンプリング部6の位置は、回転ドラム1の軸線Xから鉛直方向下方の位置から60°回転した位置である。図7のサンプリング部6の位置は、回転ドラム1の軸線Xから鉛直方向下方の位置から120°回転した位置である。
【0037】
以上のように構成されたコーティング装置では、以下の効果を享受できる。
【0038】
回転ドラム1の所定方向の回転時に、粒子採取部6aにより、透光部材5aを介して光学センサ5bにより物性を測定された粉粒体粒子を採取可能である。従って、光学センサ5bで測定した粉粒体粒子と同一の粉粒体粒子を粒子採取部6aで採取して、該粉粒体粒子の物性を実測することが可能になる。これにより、粒子採取部6aで採取した粉粒体粒子の物性の実測値と、光学センサ5bの測定結果とを関連付けて、検量線を精度良く作成することが可能になる。すなわち、本実施形態に係るコーティング装置によれば、検量線を精度良く作成することを可能にするコーティング装置の構成を提供することが可能である。これにより、コーティング処理中の光学センサ5bの測定結果から検量線を用いて検知される粉粒体粒子の物性値の精度を向上させることが可能になる。更には、光学センサ5bによるリアルタイムモニタリングに基づくコーティング処理条件の制御を向上させることが可能になる。
【0039】
本発明は、上記実施形態に限定されるものでは無く、その技術的思想の範囲内で、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、透光部材5aと粒子採取部6aの双方が、回転ドラム1の後端壁部1cに設置されていたが、透光部材5aと粒子採取部6aの双方が、回転ドラム1の前端壁部1aに設置されていてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、回転ドラム1の軸線Xが水平線と平行又は略平行であるタイプのコーティング装置であったが、回転ドラムの軸線が水平線に対して傾斜しているタイプのコーティング装置であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 回転ドラム
1a 前端壁部
1c 後端壁部
5 測定部
5a 透光部材
5b 光学センサ
6 サンプリング部
6a 粒子採取部
6c 採取口(粒子採取部)
6d 蓋部(粒子採取部)
C 矢印(回転ドラムの所定の回転方向)
S 粉粒体層
X 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7