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特許7340299寝具情報提示システム、及び寝具情報提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】寝具情報提示システム、及び寝具情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20230831BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022201403
(22)【出願日】2022-12-16
【審査請求日】2022-12-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506281336
【氏名又は名称】株式会社エムール
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸司
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111609(JP,A)
【文献】特開2019-101493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具に関する検討を行っている検討ユーザに、寝具の情報を提示する寝具情報提示システムにおいて、
前記検討ユーザの属性である検討ユーザ属性を認識する検討ユーザ属性認識部と、
前記検討ユーザが選択した寝具である選択寝具について、前記検討ユーザによる睡眠に影響を与え得る寝具の物性に基づいて定められた項目である所定の評価項目に関する寝具の使い心地についての評価値である第1評価値を、該第1評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータから推定して認識する第1評価値認識部と、
前記選択寝具について、前記検討ユーザによる前記所定の評価項目に関する寝具の物性についての評価値である第2評価値を、該第2評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータから推定して認識する第2評価値認識部と、
前記選択寝具についての前記第1評価値及び前記第2評価値を、前記選択寝具に関する情報として提示する寝具情報提示部とを備えていることを特徴とする寝具情報提示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の寝具情報提示システムにおいて、
前記検討ユーザの属性である検討ユーザ属性を認識する検討ユーザ属性認識部を備え、
第1評価値認識部は、前記選択寝具について、前記検討ユーザ属性、及び前記属性と前記第1評価値との相関を示すデータである第1相関データに基づいて、前記検討ユーザによる前記第1評価値を推定して認識し、
第2評価値認識部は、前記選択寝具について、前記検討ユーザ属性、及び前記属性と前記第2評価値との相関を示すデータである第2相関データに基づいて、前記検討ユーザによる前記第2評価値を推定して認識し、
前記寝具情報提示部は、前記選択寝具について推定された前記第1評価値及び前記第2評価値を、前記選択寝具に関する情報として提示することを特徴とする寝具情報提示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の寝具情報提示システムにおいて、
前記第1相関データは、複数の寝具の各々に関する評価を予め行った複数のテストユーザの各々について、該テストユーザの前記属性であるテストユーザ属性と前記第1評価値との相関を示す複数のデータであり、
前記第2相関データは、前記複数のテストユーザの各々について、該テストユーザの前記テストユーザ属性と前記第2評価値との相関を示す複数のデータであり、
前記第1評価値認識部は、前記選択寝具について、前記検討ユーザ属性に対応する前記テストユーザ属性に関する前記第1相関データに基づいて、前記検討ユーザによる前記第1評価値を推定して認識し、
前記第2評価値認識部は、前記選択寝具について、前記検討ユーザ属性に対応する前記テストユーザ属性に関する前記第2相関データに基づいて、前記検討ユーザによる前記第2評価値を推定して認識することを特徴とする寝具情報提示システム。
【請求項4】
請求項2に記載の寝具情報提示システムにおいて、
前記属性は、身体情報を含んでいることを特徴とする寝具情報提示システム。
【請求項5】
請求項1に記載の寝具情報提示システムにおいて、
前記検討ユーザの属性である検討ユーザ属性を認識する検討ユーザ属性認識部を備え、
前記第1評価値認識部は、前記選択寝具及び前記検討ユーザ属性を入力して前記第1評価値を出力する第1予測モデルを用いて、前記第1評価値を推定して認識し、
前記第2評価値認識部は、前記選択寝具及び前記検討ユーザ属性を入力して前記第2評価値を出力する第2予測モデルを用いて、前記第2評価値を推定して認識し、
前記第1予測モデルは、前記選択寝具となり得る複数の寝具の各々、該複数の寝具の各々に関する評価を予め行ったテストユーザの前記属性であるテストユーザ属性、及び該複数の寝具の各々についての前記第1評価値を学習データとして、前記属性と前記第1評価値との相関を機械学習させ、前記検討ユーザ属性及び前記選択寝具から前記第1評価値を出力する予測モデルであり、
前記第2予測モデルは、前記選択寝具となり得る複数の寝具の各々、前記テストユーザ属性、及び該複数の寝具の各々についての前記第2評価値を学習データとして、前記属性と前記第2評価値との相関を機械学習させ、前記選択寝具及び前記検討ユーザ属性から前記第2評価値を出力する予測モデルであることを特徴とする寝具情報提示システム。
【請求項6】
請求項1に記載の寝具情報提示システムにおいて、
前記選択寝具の物性を、寝具物性格納部から取得して認識する寝具物性認識部を備え、
前記寝具情報提示部は、前記選択寝具についての前記第1評価値及び前記第2評価値、並びに前記物性の値を、前記選択寝具に関する情報として提示することを特徴とする寝具情報提示システム。
【請求項7】
請求項1に記載の寝具情報提示システムにおいて、
前記検討ユーザが使用した前記選択寝具について、該検討ユーザによる前記第1評価値を取得する第1評価値取得部と、
前記検討ユーザが使用した前記選択寝具について、該検討ユーザによる前記第2評価値を取得する第2評価値取得部と、
前記第1評価値取得部が取得した前記第1評価値に基づいて、前記第1評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータを生成する第1更新データ生成部と、
前記第2評価値取得部が取得した前記第2評価値に基づいて、前記第2評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータを生成する第2更新データ生成部とを備え、
前記第1評価値認識部は、前記第1評価値を認識する際に、前記検討ユーザによる該第1評価値を、前記第1更新データ生成部が前回以前の前記第1評価値の推定の後に生成した前記データから推定して認識し、
前記第2評価値認識部は、前記第2評価値を認識する際に、前記検討ユーザによる該第2評価値を、前記第2更新データ生成部が前回以前の前記第2評価値の推定の後に生成した前記データから推定して認識することを特徴とする寝具情報提示システム。
【請求項8】
検討ユーザ属性認識部と、第1評価値認識部と、第2評価値認識部と、寝具情報提示部とを備えている寝具情報提示システムを用いて、寝具に関する検討を行っている検討ユーザに、寝具の情報を提示する寝具情報提示方法において、
前記検討ユーザ属性認識部が、前記検討ユーザの属性である検討ユーザ属性を認識するステップと、
前記第1評価値認識部が、前記検討ユーザが選択した寝具である選択寝具について、前記検討ユーザによる睡眠に影響を与え得る寝具の物性に基づいて定められた項目である所定の評価項目に関する寝具の使い心地についての評価値である第1評価値を、該第1評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータから推定して認識するステップと、
前記第2評価値認識部が、前記選択寝具について、前記検討ユーザによる前記所定の評価項目に関する寝具の物性についての評価値である第2評価値を、該第2評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータから推定して認識するステップと、
前記寝具情報提示部が、前記選択寝具についての前記第1評価値及び前記第2評価値を、前記選択寝具に関する情報として提示するステップとを備えていることを特徴とする寝具情報提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝具に関する検討を行っているユーザに、寝具に関する情報を提示する寝具情報提示システム、及び寝具情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寝具の購入の際に、寝具の選択を支援するシステムとして、ユーザの身体情報及び寝具に対する嗜好に加え、寝具の硬度を含む物性を参照して、ユーザに購入すべき寝具の提案を行うシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-125293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ユーザの嗜好は種々様々である。そのため、同様の特徴(例えば、性別、年齢、身長、体重など)を持つ二人のユーザが同じ寝具を使用し、その二人のユーザのいずれもが使い心地が良いと感じた場合であっても、そう感じた理由が異なることがある。例えば、同じ寝具に対して、固さがちょうど良いので使い心地が良いと感じる場合もあれば、肌触りが好みであるので使い心地が良いという場合もある。
【0005】
すなわち、主観的な情報である感想のみを参照した場合、ユーザが使い心地が良いと感じた理由又は悪いと感じた理由を的確に把握することが難しい。
【0006】
また、寝具の物性(例えば、硬さや反発弾性など)が同じ場合であっても、ユーザの嗜好によっては、その寝具を使い心地が良いと感じる場合もあれば、使い心地が悪いと感じる場合もある。
【0007】
すなわち、客観的な情報である寝具の物性のみを参照した場合、嗜好などの異なる複数のユーザの各々が使い心地が良いと感じるか又は悪いと感じるかを的確に推測することは難しい。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、ユーザにとって使い心地が良い可能性の高い寝具に関する情報を提示する寝具情報提示システム、及び寝具情報提示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の寝具情報提示システムは、
寝具に関する検討を行っている検討ユーザに、寝具の情報を提示する寝具情報提示システムにおいて、
前記検討ユーザの属性である検討ユーザ属性を認識する検討ユーザ属性認識部と、
前記検討ユーザが選択した寝具である選択寝具について、前記検討ユーザによる睡眠に影響を与え得る寝具の物性に基づいて定められた項目である所定の評価項目に関する寝具の使い心地についての評価値である第1評価値を、該第1評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータから推定して認識する第1評価値認識部と、
前記選択寝具について、前記検討ユーザによる前記所定の評価項目に関する寝具の物性についての評価値である第2評価値を、該第2評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータから推定して認識する第2評価値認識部と、
前記選択寝具についての前記第1評価値及び前記第2評価値を、前記選択寝具に関する情報として提示する寝具情報提示部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
このように、本発明の寝具情報提示システムは、寝具に対する評価値を、所定の評価項目に関する寝具の使い心地についての評価値である第1評価値(例えば、使い心地が良い、使い心地が悪いなど)と、同じ評価項目に関する寝具の物性についての評価値である第2評価値(例えば、固く感じる、柔らかく感じるなど)とに分けている。
【0011】
ここで、「評価項目」とは、睡眠に影響を与え得る物性に基づいて定められた項目である。具体的には、例えば、触った時の感触、寝たときの沈み込み、寝たときの弾力性、寝たときのふわふわ感、寝たときのあたたかさ、寝たときの床付き感、寝たときの寝返りのしやすさ、寝たときの蒸れ感などが評価項目となる。また、その評価項目を定めるための物性としては、例えば、硬度、反発弾性、厚さ、保温性、保湿性などが挙げられる。
【0012】
そして、このシステムでは、検討ユーザに対し、選択寝具について、その検討ユーザによるそれらの2種類の評価値を推定して提示する。すなわち、検討ユーザに対し、ある評価項目について、物性に基づく第2評価値(例えば、固く感じる、柔らく感じるなど)という理由を付加された状態で、使い心地についての第1評価値(例えば、使い心地が良い、使い心地が悪いなど)を提示する。
【0013】
これにより、検討ユーザは、選択寝具の使い心地がどのような物性に依存したものかを把握することができる。ひいては、自己に適した使い心地のよい寝具の情報を知ることができる。
【0014】
また、寝具情報提示システムにおいては、
第1評価値認識部は、前記選択寝具について、前記検討ユーザ属性、及び前記属性と前記第1評価値との相関を示すデータである第1相関データに基づいて、前記検討ユーザによる前記第1評価値を推定して認識し、
第2評価値認識部は、前記選択寝具について、前記検討ユーザ属性、及び前記属性と前記第2評価値との相関を示すデータである第2相関データに基づいて、前記検討ユーザによる前記第2評価値を推定して認識し、
前記寝具情報提示部は、前記選択寝具について推定された前記第1評価値及び前記第2評価値を、前記選択寝具に関する情報として提示することが好ましい。
【0015】
ここで、ユーザの「属性」とは、直接的に又は間接的に、そのユーザの睡眠に影響を及ぼす情報を指す。例えば、直接的なものとしては、身体情報、普段の生活習慣、使用している寝具、寝具に対する嗜好、などが挙げられる。また、間接的なものとしては、職業、家庭環境、居住地域における睡眠に対する文化、住居環境などが挙げられる。
【0016】
このようにユーザの属性と評価値との相関データを用いて推定を行うと、その推定過程においてユーザ固有の情報である属性が加味されることになるので、評価値を精度よく推定することができる。
【0017】
また、寝具情報提示システムにおいては、検討ユーザ属性及び相関データに基づいて評価値を推定する構成である場合、
前記第1相関データは、複数の寝具の各々に関する評価を予め行った複数のテストユーザの各々について、該テストユーザの前記属性であるテストユーザ属性と前記第1評価値との相関を示す複数のデータであり、
前記第2相関データは、前記複数のテストユーザの各々について、該テストユーザの前記テストユーザ属性と前記第2評価値との相関を示す複数のデータであり、
前記第1評価値認識部は、前記選択寝具について、前記検討ユーザ属性に対応する前記テストユーザ属性に関する前記第1相関データに基づいて、前記検討ユーザによる前記第1評価値を推定して認識し、
前記第2評価値認識部は、前記選択寝具について、前記検討ユーザ属性に対応する前記テストユーザ属性に関する前記第2相関データに基づいて、前記検討ユーザによる前記第2評価値を推定して認識するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明の寝具情報提示システムにおいては、検討ユーザ属性及び相関データに基づいて評価値を推定する構成である場合、
前記属性は、身体情報を含んでいることが好ましい。
【0019】
身体情報(例えば、年齢、身長、体重、BMIなど)と寝具の物性との関係は、ユーザの睡眠の質(ひいては、寝具の使い心地の良さ)に大きく影響する。そこで、このように、評価値の推定に用いる属性に身体情報を含ませると、評価値を精度よく推定することができる。
【0020】
また、本発明の寝具情報提示システムにおいては、
前記選択寝具の物性を、寝具物性格納部から取得して認識する寝具物性認識部を備え、
前記寝具情報提示部は、前記選択寝具についての前記第1評価値及び前記第2評価値、並びに前記物性の値を、前記選択寝具に関する情報として提示することが好ましい。
【0021】
第1評価値は、感想という主観的な情報であり、また、第2評価値も、物性に基づく感想という点で客観的な要素が加えられてはいるものの、感想という主観的な情報である。
【0022】
そこで、このように、選択寝具についての第1評価値及び第2評価値とともに、その選択寝具の物性の値(すなわち、評価値に対応する物性の値)を提示するようにすると、検討ユーザは、その寝具について推測される自らの使い心地とともに、その寝具の物性の値を知ることができる。
【0023】
すなわち、検討ユーザは、自らに適した寝具の物性の具体的な度合いを知ることができる。その結果、検討ユーザは、その情報を提示された後においては、このシステムを使用していない場合にも、自らにとって使い心地がよい可能性が高い寝具を探しやすくなる。
【0024】
また、本発明の寝具情報提示システムにおいては、
前記第1評価値認識部は、前記選択寝具及び前記検討ユーザ属性を入力して前記第1評価値を出力する第1予測モデルを用いて、前記第1評価値を推定して認識し、
前記第2評価値認識部は、前記選択寝具及び前記検討ユーザ属性を入力して前記第2評価値を出力する第2予測モデルを用いて、前記第2評価値を推定して認識し、
前記第1予測モデルは、前記選択寝具となり得る複数の寝具の各々、該複数の寝具の各々に関する評価を予め行ったテストユーザの前記属性であるテストユーザ属性、及び該複数の寝具の各々についての前記第1評価値を学習データとして、前記属性と前記第1評価値との相関を機械学習させ、前記検討ユーザ属性及び前記選択寝具から前記第1評価値を出力する予測モデルであり、
前記第2予測モデルは、前記選択寝具となり得る複数の寝具の各々、前記テストユーザ属性、及び該複数の寝具の各々についての前記第2評価値を学習データとして、前記属性と前記第2評価値との相関を機械学習させ、前記選択寝具及び前記検討ユーザ属性から前記第2評価値を出力する予測モデルであるように構成してもよい。
【0025】
ここで、「学習データ」とは、機械学習アルゴリズムを訓練するために用いられるデータであり、例えば、その訓練に用いられる特徴量、正解データ、又はそれらの組などが挙げられる。さらに具体的には、「学習データ」とは、機械学習アルゴリズムが有しているパラメータを決定するために用いられるデータであり、例えば、そのパラメータを決定するために用いられる特徴量、正解データ、又はそれらの組などが挙げられる。
【0026】
また、本発明の寝具情報提示システムにおいては、
前記検討ユーザが使用した前記選択寝具について、該検討ユーザによる前記第1評価値を取得する第1評価値取得部と、
前記検討ユーザが使用した前記選択寝具について、該検討ユーザによる前記第2評価値を取得する第2評価値取得部と、
前記第1評価値取得部が取得した前記第1評価値に基づいて、前記第1評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータを生成する第1更新データ生成部と、
前記第2評価値取得部が取得した前記第2評価値に基づいて、前記第2評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータを生成する第2更新データ生成部とを備え、
前記第1評価値認識部は、前記第1評価値を認識する際に、前記検討ユーザによる該第1評価値を、前記第1更新データ生成部が前回以前の前記第1評価値の推定の後に生成した前記データから推定して認識し、
前記第2評価値認識部は、前記第2評価値を認識する際に、前記検討ユーザによる該第2評価値を、前記第2更新データ生成部が前回以前の前記第2評価値の推定の後に生成した前記データから推定して認識することが好ましい。
【0027】
このように、相関を示すデータを、選択寝具を実際に使用したユーザによる実際の評価値を参照して更新すると、その更新されたデータは、更新前のデータに比べて、さらに精度の高いものになる。そして、その更新されたデータを評価値の推定に用いると、評価値を、さらに精度よく推定することができる。
【0028】
また、本発明の寝具情報提示方法は、
検討ユーザ属性認識部と、第1評価値認識部と、第2評価値認識部と、寝具情報提示部とを備えている寝具情報提示システムを用いて、寝具に関する検討を行っている検討ユーザに、寝具の情報を提示する寝具情報提示方法において、
前記検討ユーザ属性認識部が、前記検討ユーザの属性である検討ユーザ属性を認識するステップと、
前記第1評価値認識部が、前記検討ユーザが選択した寝具である選択寝具について、前記検討ユーザによる睡眠に影響を与え得る寝具の物性に基づいて定められた項目である所定の評価項目に関する寝具の使い心地についての評価値である第1評価値を、該第1評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータから推定して認識するステップと、
前記第2評価値認識部が、前記選択寝具について、前記検討ユーザによる前記所定の評価項目に関する寝具の物性についての評価値である第2評価値を、該第2評価値と前記検討ユーザの属性との相関を示すデータから推定して認識するステップと、
前記寝具情報提示部が、前記選択寝具についての前記第1評価値及び前記第2評価値を、前記選択寝具に関する情報として提示するステップとを備えていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係る提示システムの概略構成を示す説明図。
図2図1の提示システムの処理部の構成を示すブロック図。
図3図1の提示システムによって情報端末に表示される画面の一例を示す模式図であり、寝具を選択する前に表示される図。
図4図1の提示システムによって情報端末に表示される画面の一例を示す模式図であり、寝具を選択する時に表示される図。
図5図1の提示システムによって情報端末に表示される画面の一例を示す模式図であり、寝具を選択した後に表示される図。
図6図1の提示システムで寝具情報を提示する際に実行される処理を示すフローチャート。
図7図1の提示システムで相関データを更新する際に実行される処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、実施形態に係る提示システムS(寝具情報提示システム)、及びそれを用いた寝具情報提示方法について説明する。この提示システムSは、寝具の購入などのために寝具に関する検討を行っている検討ユーザであるユーザUに対し、その寝具の情報を提示するためのものである。
【0031】
[システムの概略構成]
以下、図1及び図2を参照して、提示システムSの概略構成について説明する。
【0032】
図1に示すように、提示システムSは、ユーザUに寝具の情報を提供するためのコンピュータシステムであり、提示システムSによるサービスの提供者が保有するサーバ1によって構成されている。
【0033】
サーバ1は、インターネット網、公衆回線などを通じて、ユーザUの保有するスマートフォン、タブレットなどのユーザ端末2と、相互に情報通信可能に構成されている。
【0034】
なお、本発明の寝具情報提示システムは、1つのサーバによって構成されているものに限定されるものではなく、寝具情報提示システムを構成しているいずれかの端末が後述する処理部を備えているように構成されていればよい。
【0035】
そのため、例えば、複数のサーバによって寝具情報提示システムを構成してもよい。また、ユーザ端末に処理部の少なくとも1つ又はその処理部の機能の少なくとも一部を実装して、ユーザ端末とサーバとで協働して、又はユーザ端末のみで寝具情報提示システムを構成してもよい。さらに、本実施形態ではユーザ端末2に設けられている入力部2a及び出力部2bに相当する機能を、処理部を有している端末に設け、独立した寝具情報提示装置として構成してもよい。
【0036】
図2に示すように、提示システムSであるサーバ1と通信可能なユーザ端末2は、実装されたハードウェア構成及びプログラムの少なくとも一方により実現される機能(処理部)として、入力部2aと、出力部2bとを備えている。
【0037】
本実施形態においては、ユーザ端末2の入力部2a及び出力部2bがタッチパネル20(図3等参照)であるとして説明を行う。ただし、ユーザ端末は、そのような構成に限定されるものではなく、ユーザからの情報の入力を受け付けることができ、且つ、ユーザへの情報の提示のための出力を行うことができるものであればよい。そのため、例えば、ユーザ端末は、タッチパネルの他、キーボード、マイク、カメラ、スピーカーなどを用いて、入力及び出力を可能に構成されていてもよい。
【0038】
[各処理部の構成]
図2に示すように、サーバ1は、実装されたハードウェア構成及びプログラムの少なくとも一方により実現される機能(処理部)として、入力情報提示部1aと、検討ユーザ属性認識部1bと、テストユーザ属性格納部1cと、テストユーザ属性認識部1dと、第1相関データ格納部1eと、第2相関データ格納部1fと、選択寝具提示部1gと、選択寝具認識部1hと、第1評価値認識部1iと、第2評価値認識部1jと、寝具物性格納部1kと、寝具物性認識部1lと、寝具情報提示部1mと、第1評価値取得部1nと、第2評価値取得部1oと、第1更新データ生成部1pと、第2更新データ生成部1qとを備えている。
【0039】
入力情報提示部1aは、ユーザ端末2のタッチパネル20を介して、寝具の検討を行っているユーザUに関する情報、検討している寝具を特定するための情報、及び寝具を使用した際におけるユーザUによる評価値についての質問を、回答可能な形式で提示する(図3参照)。
【0040】
検討ユーザ属性認識部1bは、入力情報提示部1aが提示した質問に対してユーザUが入力した回答に基づいて、そのユーザU(検討ユーザ)の属性である検討ユーザ属性を認識する。
【0041】
ここで、ユーザの「属性」とは、直接的に又は間接的に、そのユーザの睡眠に影響を及ぼす情報を指す。例えば、直接的なものとしては、身体情報、普段の生活習慣、使用している寝具、寝具に対する嗜好、などが挙げられる。また、間接的なものとしては、職業、家庭環境、居住地域における睡眠に対する文化、住居環境などが挙げられる。
【0042】
本実施形態では、検討ユーザ属性として、性別、年齢、並びに身長及び体重(ひいては、BMI)を採用している。
【0043】
なお、検討ユーザ属性認識部1bは、ユーザUについて予め得られていた情報を参照して、検討ユーザ属性を認識するようにしてもよい。予め得られていた情報とは、例えば、提示システムSによるサービスの提供者が提供している他のシステムによるサービスにおいて、ユーザUが入力した情報などである。
【0044】
テストユーザ属性格納部1cは、テストユーザ属性を格納している。ここで、「テストユーザ」とは、後述する選択寝具となり得る複数の寝具の各々に関する評価を予め行ったユーザであり、「テストユーザ属性」とは、そのテストユーザの属性である。テストユーザ属性の種類は、検討ユーザ属性の種類に対応している。
【0045】
本実施形態では、テストユーザ属性として、検討ユーザ属性でも採用されている性別、年齢、並びに身長及び体重(ひいては、BMI)を採用している。
【0046】
テストユーザ属性認識部1dは、検討ユーザ属性認識部1bで認識された検討ユーザ属性に対応するテストユーザ属性を、テストユーザ属性格納部1cから取得して認識する。
【0047】
ここで、「検討ユーザ属性に対応するテストユーザ属性」とは、例えば、検討ユーザに含まれる属性の少なくとも1つについて、一致する又は類似する情報を含むテストユーザ属性を指す。
【0048】
本実施形態では、テストユーザ属性認識部1dは、テストユーザ属性格納部1cに格納されているテストユーザ属性から、検討ユーザ属性認識部1bで認識された検討ユーザ属性における性別、年齢及びBMIと同じ又は類似するパラメータを有するテストユーザに関するテストユーザ属性を、検索して取得する。
【0049】
第1相関データ格納部1eは、第1相関データを格納している。
【0050】
ここで、「第1相関データ」とは、ユーザの属性と第1評価値との相関を示すデータである。本実施形態では、複数のテストユーザの各々についてのテストユーザ属性と第1評価値との相関を示すデータを、第1相関データとして採用している。
【0051】
また、「第1評価値」とは、あるユーザによる寝具の所定の評価項目に関する寝具の使い心地についての評価値であり、評価項目そのもの対する感想を示す度合いである。
【0052】
例えば、「第1評価値」とは、ある評価項目に対し、「気持ちいい」又は「気持ちよくない」といった評価の度合いである。
【0053】
また、「評価項目」とは、睡眠に影響を与え得る物性に基づいて定められた項目である。具体的には、例えば、触った時の感触、寝たときの沈み込み、寝たときの弾力性、寝たときのふわふわ感、寝たときのあたたかさ、寝たときの床付き感、寝たときの寝返りのしやすさ、寝たときの蒸れ感などが評価項目となる。また、その評価項目を定めるための物性としては、例えば、硬度、反発弾性、厚さ、保温性、保湿性などが挙げられる。
【0054】
第2相関データ格納部1fは、第2相関データを格納している。
【0055】
ここで、「第2相関データ」とは、ユーザの属性と第2評価値との相関を示すデータである。本実施形態では、複数のテストユーザの各々についてのテストユーザ属性と第2評価値との相関を示すデータを、第2相関データとして採用している。
【0056】
また、「第2評価値」とは、あるユーザによる所定の評価項目に関する寝具の物性についての評価値であり、その物性そのもの対する感想を示す度合いである。
【0057】
例えば、「第2評価値」とは、「触った時の感触」という評価項目に対し、「柔らかい」又は「固い」、「寝たときの沈み込み」という評価項目に対し、「安定感がある」又は「沈み込む」、「寝たときの固さ」という評価項目に対し、「柔らかい」又は「固い」、「寝たときの弾力性」という評価項目に対し、「弾力がない」又は「弾力がある」、「寝たときのふわふわ感」という評価項目に対し、「ふわふわでない」又は「ふわふわ」、「寝たときのあたたかさ」という評価項目に対し、「冷たい」又は「暖かい」、「寝たときの床付き感」という評価項目に対し、「床付き感がある」又は「床付き感がない」、「寝たときの寝返りのしやすさ」とい評価項目に対し、「寝返りがしにくい」又は「寝返りがしやすい」、「寝たときの蒸れ感」という評価項目に対し、「蒸れる感じがする」又は「通気性がよい」といった評価の度合いである。
【0058】
また、「物性」とは、硬度、反発弾性、高さの他、保温性、吸放湿性、素材(肌触り)等、寝具について定量的に測定できるパラメータであり、前述の評価項目に関する使い心地(例えば、触った時の感触など)に影響を与える物性である。
【0059】
選択寝具提示部1gは、入力情報提示部1aが提示した質問に対してユーザUが入力した回答に基づいて、ユーザ端末2のタッチパネル20を介して、選択寝具となり得る複数の寝具を、選択可能な形式で提示する(図4参照)。
【0060】
選択寝具認識部1hは、選択寝具提示部1gが提示した複数の寝具からユーザUによって選択された寝具を、選択寝具として認識する。
【0061】
なお、選択寝具は、必ずしも選択寝具提示部1gが提示した複数の寝具から選択されたものである必要はない。そのため、選択寝具認識部1hは、例えば、ユーザUによって直接指定された寝具を、選択寝具として認識するようにしてもよい。具体的には、選択寝具認識部1hは、寝具を特定する情報(例えば、寝具の型番など)がユーザ端末2に入力された場合には、その型番に対応する寝具を選択寝具として認識するようにしてもよい。
【0062】
第1評価値認識部1iは、選択寝具認識部1hで認識された選択寝具について、テストユーザ属性認識部1dで認識されたテストユーザ属性と、そのテストユーザ属性に基づいて第1相関データ格納部1eから取得した第1相関データに基づいて、ユーザUによる第1評価値を推定して認識する。
【0063】
すなわち、第1評価値認識部1iは、選択寝具について、その選択寝具を選択したユーザUと一致又は類似する属性を有するテストユーザに対応する第1相関データに基づいて、推定されるユーザUによる所定の評価項目に関する使い心地についての評価値を認識(例えば、算出又は取得等)する。
【0064】
なお、本実施形態では、第1評価値認識部1iは、第1相関データ格納部1eから第1相関データを取得して認識しているが、寝具情報提示システムとは異なるシステムの格納部から、第1相関データを取得して認識してもよい。
【0065】
また、第1評価値認識部1iは、第1相関データ格納部1eから相関データを取得する際に、今回の処理よりも前に今回のユーザUが入力した評価値を参照して更新された第1相関データがあった場合には、その第1相関データを優先して取得するようにしてもよい。
【0066】
第2評価値認識部1jは、選択寝具認識部1hで認識された選択寝具について、テストユーザ属性認識部1dで認識されたテストユーザ属性と、そのテストユーザ属性に基づいて第2相関データ格納部1fから取得した第2相関データに基づいて、ユーザUによる第2評価値を認識する。
【0067】
すなわち、第2評価値認識部1jは、選択寝具について、その選択寝具を選択したユーザUと一致又は類似する属性を有するテストユーザに対応する第2相関データに基づいて、推定されるユーザUによる所定の評価項目に関する物性についての評価値を認識(例えば、算出又は取得等)する。
【0068】
なお、本実施形態では、第2評価値認識部1jは、第2相関データ格納部1fから第2相関データを取得して認識しているが、寝具情報提示システムとは異なるシステムの格納部から、第2相関データを取得して認識してもよい。
【0069】
また、第2評価値認識部1jは、第2相関データ格納部1fから相関データを取得する際に、今回の処理よりも前に今回のユーザUが入力した評価値を参照して更新された第2相関データがあった場合には、その第2相関データを優先して取得するようにしてもよい。
【0070】
なお、第1評価値認識部1i及び第2評価値認識部1jで認識される第1評価値及び第2評価値は、良い又は悪いといった択一的な評価であってもよいし、多段階又は無段階で指定できる評価であってもよい。
【0071】
寝具物性格納部1kは、選択寝具となり得る複数の寝具の各々についての物性を格納している。
【0072】
寝具物性認識部1lは、選択寝具認識部1hで認識された選択寝具の物性を、寝具物性格納部1kから取得して認識する。
【0073】
なお、本発明の寝具物性認識部は、選択寝具の物性を認識できるものであればよいので、必ずしも本実施形態の寝具物性格納部1kのような格納部から、選択寝具の物性を取得して認識するものである必要はない。そのため、例えば、寝具物性認識部は、選択寝具のメーカーのHPなどから、選択寝具の物性の情報を取得してもよい。
【0074】
寝具情報提示部1mは、選択寝具について、第1評価値認識部1iで認識されたユーザUによる第1評価値、第2評価値認識部1jで認識されたユーザUによる第2評価値、寝具物性認識部1lで認識されたその選択寝具の物性の値を、その選択寝具に関する情報として提示する(図5参照)。
【0075】
第1評価値取得部1nは、例えば選択寝具を購入するなどして入手した後などに、ユーザUが入力情報提示部1aを介して提示した質問に対する回答に基づいて、その選択寝具を使用した後における、その選択寝具についてのユーザUによる第1評価値を取得する。
【0076】
第2評価値取得部1oは、例えば選択寝具を購入するなどして入手した後などに、ユーザUが入力情報提示部1aを介して提示した質問に対する回答に基づいて、その選択寝具を使用した後における、その選択寝具についてのユーザUによる第1評価値を取得する。
【0077】
第1更新データ生成部1pは、第1評価値取得部1nが選択寝具を使用したユーザUによる第1評価値を取得した際に、そのユーザUと一致又は類似する属性を有するテストユーザに対応する第1相関データを、第1相関データ格納部1eから取得する。次に、第1更新データ生成部1pは、取得された第1相関データ及び取得された第1評価値に基づいて更新された、新たな第1相関データを生成する。その後、第1更新データ生成部1pは、その新たな第1相関データを、第1相関データ格納部1eに格納する。
【0078】
第2更新データ生成部1qは、第2評価値取得部1oが選択寝具を使用したユーザUによる第2評価値を取得した際に、そのユーザUと一致又は類似する属性を有するテストユーザに対応する第2相関データを、第2相関データ格納部1fから取得する。次に、第2更新データ生成部1qは、取得された第2相関データ及び取得された第2評価値に基づいて更新された、新たな第2相関データを生成する。その後、第2更新データ生成部1qは、その新たな第2相関データを、第2相関データ格納部1fに格納する。
【0079】
[各処理部で実行される処理]
次に、図2図7を参照して、提示システムSが実行する処理である寝具情報提示方法について説明する。
【0080】
[寝具情報を提示する際における処理]
図2図6を参照して、提示システムSが寝具情報を提示する際における処理について説明する。
【0081】
この処理においては、まず、入力情報提示部1aは、ユーザ端末2のタッチパネル20を介して、提示システムSを利用するために入力すべき情報を、ユーザUに対して提示する(図6/STEP101)。
【0082】
具体的には、図3に示すように、入力情報提示部1aは、寝具の検討を行っているユーザUに関する情報(例えば、身体情報)、及び検討している寝具を特定するための情報(例えば、寝具の種類)についての質問を、回答可能な形式で提示する。
【0083】
なお、図3に示す入力情報に係る項目は一例であり、入力情報提示部1aが提示する項目は、提示システムSの設計者が適宜設定してよい。例えば、評価値を推定するために用いられる相関データにユーザUの睡眠に関する文化が含まれている場合には、ユーザUの出身地を入力すべき項目に含めてもよい。
【0084】
次に、検討ユーザ属性認識部1bは、入力情報提示部1aが提示した質問に対してユーザUが入力した回答に基づいて、そのユーザU(検討ユーザ)の検討ユーザ情報を認識する(図6/STEP102)。
【0085】
次に、テストユーザ属性認識部1dは、検討ユーザ属性認識部1bで認識された検討ユーザ属性に対応するテストユーザ属性を、テストユーザ属性格納部1cから取得して認識する(図6/STEP103)。
【0086】
次に、第1評価値認識部1iは、テストユーザ属性認識部1dで認識されたテストユーザ属性に対応する第1相関データを、第1相関データ格納部1eから取得して認識する(図6/STEP104)。
【0087】
次に、第2評価値認識部1jは、テストユーザ属性認識部1dで認識されたテストユーザ属性に対応する第2相関データを、第2相関データ格納部1fから取得して認識する(図6/STEP105)。
【0088】
次に、選択寝具提示部1gは、入力情報提示部1aが提示した質問に対してユーザUが入力した回答に基づいて、ユーザ端末2のタッチパネル20を介して、選択寝具となり得る複数の寝具を、選択可能な形式で提示する(図6/STEP106)。
【0089】
具体的には、まず、選択寝具提示部1gは、ユーザUが入力した購入条件(寝具の種類、値段、サイズ。図3参照。)に基づいて、販売可能な複数の寝具を認識する。
【0090】
その後、図4に示すように、選択寝具提示部1gは、その複数の寝具のうちの1つについての画像及び情報を、ユーザ端末2のタッチパネル20に表示する。その画像の左右には、表示される寝具を変更するための矢印状のスライド用ボタン20aが設けられている。ユーザUによってこのボタンが選択された際又は画像を左右にスライドするような操作がなされた際には、選択寝具提示部1gは、複数の寝具のうちから、他の寝具を選択しなおして、表示する画像及び情報を変更する。
【0091】
次に、選択寝具認識部1hは、選択寝具提示部1gが提示した複数の寝具からユーザUによって選択された寝具を、選択寝具として認識する(図6/STEP107)。
【0092】
具体的には、図4に示すように、選択寝具認識部1hは、ユーザ端末2のタッチパネル20に表示されている選択アシストボタン20bが選択された際に、表示されていた寝具を、選択寝具として認識する。
【0093】
次に、第1評価値認識部1iは、選択寝具認識部1hで認識された選択寝具について、STEP104で認識された第1相関データに基づいて、ユーザUによる第1評価値を推定して認識する(図6/STEP108)。
【0094】
次に、第2評価値認識部1jは、選択寝具認識部1hで認識された選択寝具について、STEP104で認識された第2相関データに基づいて、ユーザUによる第2評価値を推定して認識する(図6/STEP109)。
【0095】
次に、寝具物性認識部1lは、選択寝具認識部1hで認識された選択寝具の物性の値を、寝具物性格納部1kから取得して認識する(図6/STEP110)。
【0096】
次に、寝具情報提示部1mは、選択寝具について、第1評価値認識部1iで認識されたユーザUによる第1評価値、第2評価値認識部1jで認識されたユーザUによる第2評価値、寝具物性認識部1lで認識されたその選択寝具の物性の値を、その選択寝具に関する情報として提示して(図6/STEP111)、今回の処理を終了する。
【0097】
具体的には、図5に示すように、寝具物性認識部1lは、ユーザ端末2のタッチパネル20に、評価項目ごとに、認識された第1評価値を「主評価」として表示するとともに、認識された第2評価値を「補足評価」として表示する。また、寝具物性認識部1lは、選択寝具の画像の下部に、その選択寝具の物性が表示される。
【0098】
なお、これらの情報の提示方法は、このような構成に限定されるものではなく、第1評価値と第2評価値とが、その対応関係がわかる形で表示されるものであればよい。
【0099】
そのため、例えば、第1評価値と第2評価値を、1つの文章で提示してもよい。具体的には、「固いから心地よい」というような表示を行ってもよい。また、例えば、まず、いずれかの評価項目を選択したときに、第1評価値を表示し、次に、表示された第1評価値が選択されたときに、その第1評価値に対応する第2評価値を表示してもよい。
【0100】
以上説明したように、提示システムS及びその提示システムSを用いて実行される寝具情報提示方法では、寝具に対する評価値を、寝具の所定の評価項目に関する使い心地についての評価値である第1評価値(例えば、使い心地が良い、使い心地が悪いなど)と、同じ評価項目に関する物性についての評価値である第2評価値(例えば、固く感じる、柔らかく感じるなど)とに分けている。
【0101】
そして、システムS及びその提示方法では、ユーザUに対し、選択寝具について、そのユーザUによるそれらの2種類の評価値を推定して提示する。すなわち、ユーザUに対し、ある評価項目について、物性に基づく第2評価値(例えば、固く感じる、柔らく感じるなど)という理由を付加された状態で、使い心地についての第1評価値(例えば、使い心地が良い、使い心地が悪いなど)を提示する。
【0102】
これにより、検討ユーザは、選択寝具の使い心地がどのような物性に依存したものかを把握することができる。ひいては、自己に適した使い心地のよい物性の寝具を知ることができる。
【0103】
ところで、第1評価値は、感想という主観的な情報であり、また、第2評価値も、物性に基づく感想という点で客観的な要素が加えられてはいるものの、感想という主観的な情報である。
【0104】
そこで、提示システムSでは、選択寝具に関して、第1評価値及び第2評価値とともに、寝具の物性の値を提示するように構成している(図5参照)。
【0105】
これにより、ユーザUは、その寝具について推測される自らの使い心地とともに、その寝具の物性の値(すなわち、評価値に対応する物性の値)を知ることができる。すなわち、検討ユーザは、自らに適した寝具の物性の具体的な度合いを知ることができる。その結果、ユーザUは、その情報を提示された後においては、この提示システムSを使用していない場合にも、自らにとって使い心地がよい可能性が高い寝具を探しやすくなる。
【0106】
しかし、本発明の寝具情報提示部は、そのような構成に限定されるものではなく、推定された第1評価値及び第2評価値を、選択寝具に関する情報として提示するものであればよい。そのため、寝具の物性の値は、必ずしも提示しなくてもよい。
【0107】
[寝具情報を提示する際における処理]
図2及び図7を参照して、提示システムSが相関データを更新する際における処理について説明する。この処理は、ユーザUが前述の寝具情報を提示する処理を実行した際に選択した選択寝具を購入して入手した後などに(すなわち、ユーザUがその選択寝具を使用した後などに)、実行される処理である。
【0108】
この処理においては、まず、入力情報提示部1aは、ユーザ端末2のタッチパネル20を介して、提示システムSを利用するために入力すべき情報を、ユーザUに対して提示する(図7/STEP201)。
【0109】
具体的には、STEP101と同様に、入力情報提示部1aは、寝具の検討を行っているユーザUに関する情報(例えば、身体情報)についての質問を、回答可能な形式で提示するとともに、購入した寝具、及びその寝具に対する第1評価値及び第2評価値についての質問を、回答可能な形式で提示する。第1評価値及び第2評価値についての質問は、例えば、図5の右側に示したスライドバーなどを操作して入力するような形式のものなどが挙げられる。
【0110】
次に、検討ユーザ属性認識部1bは、入力情報提示部1aが提示した質問に対してユーザUが入力した回答に基づいて、そのユーザU(検討ユーザ)の検討ユーザ情報を認識する(図7/STEP202)。
【0111】
次に、テストユーザ属性認識部1dは、検討ユーザ属性認識部1bで認識された検討ユーザ属性に対応するテストユーザ属性を、テストユーザ属性格納部1cから取得して認識する(図7/STEP203)。
【0112】
次に、第1更新データ生成部1pは、テストユーザ属性認識部1dで認識されたテストユーザ属性に対応する第1相関データを、第1相関データ格納部1eから取得して認識する(図7/STEP204)。
【0113】
次に、第2更新データ生成部1qは、テストユーザ属性認識部1dで認識されたテストユーザ属性に対応する第2相関データを、第2相関データ格納部1fから取得して認識する(図7/STEP205)。
【0114】
次に、第1評価値取得部1nは、ユーザUが、入力情報提示部1aを介して提示した質問に対する回答に基づいて、その選択寝具を使用した後における、その選択寝具についてのユーザUによる第1評価値を取得する(図7/STEP206)。
【0115】
次に、第2評価値取得部1oは、ユーザUが、入力情報提示部1aを介して提示した質問に対する回答に基づいて、その選択寝具を使用した後における、その選択寝具についてのユーザUによる第2評価値を取得する(図7/STEP207)。
【0116】
次に、第1更新データ生成部1pは、STEP204で認識された第1相関データ、STEP206で取得した第1評価値に基づいて、新たな第1相関データを生成する(図7/STEP208)。
【0117】
次に、第2更新データ生成部1qは、STEP205で認識された第2相関データ、STEP207で取得した第2評価値に基づいて、新たな第2相関データを生成する(図7/STEP209)。
【0118】
次に、第1更新データ生成部1pは、新たな第1相関データを第1相関データ格納部1eに格納し、第2更新データ生成部1qは、新たな第2相関データを第2相関データ格納部1fに格納して(図7/STEP210)、今回の処理を終了する。
【0119】
このように、提示システムSでは、相関データが、選択寝具を実際に使用したユーザUによる実際の評価値を参照して更新される。そのようにして更新された相関データは、更新前のデータに比べて、さらに精度の高いものになる。そして、次回以降の評価値の推定は、その更新されたデータを用いて行われる。これにより、提示システムSでは、評価値を、さらに精度よく推定することができる。
【0120】
なお、本発明の寝具情報提示システム及び寝具情報提示方法は、このような構成に限定されるものではなく、相関を示すデータの更新は必ずしも行わなくてもよい。そのため、その更新を行わない場合には、本実施形態における第1評価値取得部1n、第2評価値取得部1o、第1更新データ生成部1p、及び第2更新データ生成部1qは、省略してもよい。
【0121】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0122】
例えば、上記実施形態の提示システムSでは、システムを使用するたびに、入力情報提示部1aが提示した入力情報についてユーザUに回答させて、その回答に基づいて、検討ユーザ属性認識部1bが、検討ユーザ属性を認識している。これは、情報提示の際に、最新の検討ユーザ属性を利用して、より適切な評価値を推定できるようにするためである。
【0123】
しかし、本発明の検討ユーザ属性認識部は、このような構成に限定されるものではなく、検討ユーザ属性を認識できるものであればよい。例えば、予め取得した検討ユーザ属性を格納する検討ユーザ属性格納部を設けておき、検討ユーザ属性認識部は、その検討ユーザ属性格納部から検討ユーザ属性を取得するように構成してもよい。このように構成すると、次回以降のシステム使用時における検討ユーザの手間を軽減することができる。
【0124】
なお、検討ユーザ属性格納部を設けるのであれば、検討ユーザ属性の他、検討ユーザごとに、選択寝具、並びに選択寝具に対して推定された第1評価値及び第2評価値等を格納するようにしてもよい。
【0125】
そして、そのように検討ユーザ属性格納部に検討ユーザ属性以外の情報を格納する場合には、次回以降のシステム使用時において、第1評価値推定部及び第2評価値推定部が、新たな選択寝具について評価値を推定する際に、過去の選択寝具についての評価値を参照するようにするとよい。具体的には、例えば、以前の選択寝具の物性と新たな選択寝具の物性との差に応じて、評価値を補正するとよい。これにより、さらに適切な評価値を認識することができるようになる。
【0126】
また、上記実施形態では、検討ユーザ属性及びテストユーザ属性に身体情報が含まれている。これは、身体情報と寝具の物性との関係は、ユーザの睡眠の質(ひいては、寝具の使い心地の良さ)に大きく影響するものであるので、ユーザ属性として身体情報を採用すること(ひいては、評価値の推定に身体情報を加味すること)によって、検討ユーザにとってさらに使い心地がよい寝具を推定しやすくなるためである。
【0127】
しかし、本発明の検討ユーザ属性及びテストユーザ属性は、身体情報を含むものに限定されるものではなく、身体情報を含まない情報であってもよい。
【0128】
また、例えば、上記実施形態の提示システムSでは、第1相関データとして、複数のテストユーザの各々についてのテストユーザ属性と第1評価値との相関を示すデータを採用しており、第2相関データとして、複数のテストユーザの各々についてのテストユーザ属性と第2評価値との相関を示すデータを採用している。
【0129】
これは、このようにユーザの属性と評価値との相関データを用いて推定を行うと、その推定過程においてユーザ固有の情報である属性が加味されることになるので、評価値を精度よく推定することができるためである。
【0130】
しかし、本発明の第1相関データは、ユーザの属性と第1評価値との相関を示すデータであればよく、第2相関データは、ユーザの属性と第2評価値との相関を示すデータであればよい。
【0131】
そのため、例えば、テストユーザのような複数の属性から特定される所定のユーザをモデルとせずに、所定の属性の値そのものと評価値との関係を示す所定の計算式(例えば、物性を変数とする計算式)を、相関データとして採用してもよい。
【0132】
そのような計算式を相関データとして採用した場合には、評価値推定部は、選択寝具に関する所定の値(例えば、選択寝具のいずれかの物性の値)を参照して、その相関データから評価値を算出するようにすればよい。
【0133】
また、上記実施形態の提示システムSでは、第1評価値認識部1iが、第1相関データに基づいて、第1評価値を認識し、第2評価値認識部1jが、第2相関データに基づいて、第2評価値を認識している。
【0134】
しかし、本発明の第1評価値認識部は、第1評価値を推定して認識できるものであればよく、第2評価値認識部は、第2評価値を推定して認識できるものであればよい。
【0135】
そのため、第1評価値認識部及び第2評価値認識部は、例えば、別のシステムにおいて推定された第1評価値及び第2評価値を取得して認識するように構成されていてもよい。
【0136】
また、第1評価値認識部及び第2評価値認識部は、例えば、過去に選択寝具について検討ユーザによる評価値が得られているのであれば、ユーザの属性及び相関データを用いずに、その過去の評価値を取得することによって、今回の評価値を認識してもよい。
【0137】
また、第1評価値認識部は、選択寝具及び検討ユーザ属性を入力して第1評価値を出力する第1予測モデルを用いて、第1評価値を推定して認識するものであってもよいし、第2評価値認識部は、選択寝具及び検討ユーザ属性を入力して第2評価値を出力する第2予測モデルを用いて、第2評価値を推定して認識するものであってもよい。
【0138】
そのように構成する場合、第1予測モデルは、選択寝具となり得る複数の寝具の各々、それらの複数の寝具の各々に関する評価を予め行ったテストユーザの属性であるテストユーザ属性、及びそれらの複数の寝具の各々についての第1評価値を学習データとして、属性と第1評価値との相関を機械学習させ、検討ユーザ属性及び選択寝具から前記第1評価値を出力する予測モデルを採用すればよい。
【0139】
また、第2予測モデルは、選択寝具となり得る複数の寝具の各々、テストユーザ属性、及びそれらの複数の寝具の各々についての第2評価値を学習データとして、属性と第2評価値との相関を機械学習させ、選択寝具及び検討ユーザ属性から第2評価値を出力する予測モデルを採用すればよい。
【0140】
ここで、「学習データ」とは、機械学習アルゴリズムを訓練するために用いられるデータであり、例えば、その訓練に用いられる特徴量、正解データ、又はそれらの組などが挙げられる。さらに具体的には、「学習データ」とは、機械学習アルゴリズムが有しているパラメータを決定するために用いられるデータであり、例えば、そのパラメータを決定するために用いられる特徴量、正解データ、又はそれらの組などが挙げられる。
【0141】
さらには、第1評価値認識部及び第2評価値認識部の一方は、相関データ、過去の評価値、予測モデルのいずれかを用いて評価値を推定して認識し、他方は、一方が用いていないものを用いて評価値を推定して認識してもよい。
【符号の説明】
【0142】
1…サーバ、1a…入力情報提示部、1b…検討ユーザ属性認識部、1c…テストユーザ属性格納部、1d…テストユーザ属性認識部、1e…第1相関データ格納部、1f…第2相関データ格納部、1g…選択寝具提示部、1h…選択寝具認識部、1i…第1評価値認識部、1j…第2評価値認識部、1k…寝具物性格納部、1l…寝具物性認識部、1m…寝具情報提示部、1n…第1評価値取得部、1o…第2評価値取得部、1p…第1更新データ生成部、1q…第2更新データ生成部、2…ユーザ端末、2a…入力部、2b…出力部、20…タッチパネル、20a…スライド用ボタン、20b…選択アシストボタン、S…提示システム(寝具情報提示システム)、U…ユーザ(検討ユーザ)。
【要約】
【課題】ユーザにとって使い心地がよい可能性の高い寝具に関する情報を提示する寝具情報提示システムを提供する。
【解決手段】提示システムSは、選択寝具について、所定の評価項目に関する寝具の使い心地についての評価値である第1評価値と、所定の評価項目に関する寝具の物性についての評価値である第2評価値とを、それらの評価値とユーザの属性との相関を示すデータから推定して認識し、選択寝具に関する情報として提示する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7