(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ギヤポンプ及び樹脂成形装置
(51)【国際特許分類】
F04C 2/18 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
F04C2/18 311C
(21)【出願番号】P 2022207746
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2022-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592253404
【氏名又は名称】協和ファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【氏名又は名称】日野 和将
(72)【発明者】
【氏名】長光 保志
(72)【発明者】
【氏名】平岡 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 航輝
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-315181(JP,A)
【文献】特開2004-162548(JP,A)
【文献】特表2017-527744(JP,A)
【文献】米国特許第05494425(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/18
B29C 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体導入流路及び流体送出流路、並びに、駆動歯車収容室及び従動歯車収容室を有するケーシングと、
駆動歯車収容室に収容された駆動歯車と、
駆動歯車に噛み合う状態で、従動歯車収容室に収容された従動歯車と、
を備え、
流体導入流路を通じてケーシング内に導入された流体を、駆動歯車及び従動歯車における非噛み合い側の歯溝で移送し、流体送出流路を通じてケーシング外へと送出するギヤポンプであって、
流体導入流路及び流体送出流路が、それぞれ、曲がりのない直線状を為すとともに、
流体送出流路が、流体導入流路に対して傾斜して設けられ
、
流体導入流路と流体送出流路との境界部分であって、流体導入流路及び流体送出流路のコーナー部となる箇所に、駆動歯車及び従動歯車が配された
ことを特徴とするギヤポンプ。
【請求項2】
流体導入流路に対する流体送出流路の傾斜角度が、10~120°とされた請求項1記載のギヤポンプ。
【請求項3】
駆動歯車収容室の非噛み合い側の内周長L
1に対する従動歯車収容室の非噛み合い側の内周長L
2の比L
2/L
1が0.7~1.3とされた請求項2記載のギヤポンプ。
【請求項4】
駆動歯車の側面と駆動歯車収容室の内壁面とのサイドクリアランス、及び、従動歯車の側面と従動歯車収容室の内壁面とのサイドクリアランスが、いずれも50μm以下とされた請求項3記載のギヤポンプ。
【請求項5】
駆動歯車の歯先と駆動歯車収容室の内周面とのトップクリアランス、及び、従動歯車の歯先と従動歯車収容室の内周面とのトップクリアランスが、いずれも100μm以下とされた請求項4記載のギヤポンプ。
【請求項6】
請求項1~5いずれか記載のギヤポンプにおける流体導入流路に、溶融樹脂を供給する溶融樹脂供給手段を接続し、
同ギヤポンプにおける流体送出流路に、ギヤポンプから送出されてきた前記溶融樹脂を吐出する吐出ノズルを接続した樹脂成形装置。
【請求項7】
吐出ノズルが、ギヤポンプの流体送出流路に直付けされた請求項6記載の樹脂成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車を利用して流体を移送するギヤポンプと、これを用いた樹脂成形装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムは、一般的に、
図1に示すフィルム製造装置で製造される。このフィルム製造装置は、ホッパー51に投入された原料Mを、押出機52で配管53に押し出し、配管53で移送されてきた原料Mをダイ54でフィルムFに成形しながら吐出した後、そのフィルムFを、冷却装置55にて冷却し、縦延伸装置56及び横延伸装置57で所定の方向に延伸させ、巻取機58で巻き取るものとなっている。特許文献1にも、この種のフィルム製造装置(セパレータフィルム製造装置)が開示されている。原料Mは、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を加熱して溶融させた状態(流体の状態)でホッパー51に供給される。配管53には、ギヤポンプ10が設けられる場合もある(特許文献1の段落0016を参照。)。
【0003】
ギヤポンプ10は、上記の原料M(溶融した状態の熱可塑性樹脂)等、流体を移送するために用いられる。ギヤポンプ10は、
図2に示すように、駆動歯車11と、従動歯車12と、ケーシング13とを備えている。
図2は、一般的なギヤポンプ10を、駆動歯車11及び従動歯車12の回転中心線L
A,L
Bに垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。ケーシング13内には、流体導入流路α
0と、駆動歯車収容室α
1と、従動歯車収容室α
2と、流体送出流路α
3とが設けられている。駆動歯車収容室α
1には駆動歯車11が収容され、従動歯車収容室α
2には従動歯車12が収容されている。流体導入流路α
0には、移送対象の原料M(流体)がケーシング13の外部から導入され(同図における矢印A
1)、流体送出流路α
3からは、移送対象の流体がケーシング13の外部へと送出される(同図における矢印A
2)。
【0004】
駆動歯車11は、電気モータ等(図示省略)によって矢印A
3の向きに回転駆動される。従動歯車12は、駆動歯車11と噛み合った状態となっているため、駆動歯車11が矢印A
3の向きに回転すると、従動歯車12が矢印A
4の向きに従動回転する。これにより、流体導入流路α
0を流れてきた流体が、駆動歯車11の歯溝(隣り合う歯の間。以下同じ。)及び従動歯車12の歯溝に保持されて、駆動歯車収容室α
1の内周面と駆動歯車11の外周面との間を通って流体送出流路α
3に移送される(
図2における矢印A
5)とともに、従動歯車収容室α
2の内周面と従動歯車12の外周面との間を通って流体送出流路α
3に移送される(同図における矢印A
6)。このギヤポンプ10によって、移送対象の流体の圧力変動を抑えながら、その流体を略一定の流速で移送することができる。特許文献2にも、このような構造を有するギヤポンプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-095946号公報
【文献】特開2022-120957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、
図1のフィルム製造装置では、押出機52による原料Mの押出方向が水平方向とされ、ダイ54による原料Mの吐出方向が下向きとされることが多い。このため、押出機52とダイ54とを結ぶ配管53には、通常、コーナー部53aが設けられる。しかし、コーナー部53aを設けると、
図3(a)に示すように、コーナー部53aの外周側を流れる原料M
1の流速が速くなる一方、コーナー部53aの内周側を流れる原料M
2の流速が遅くなる。原料Mは、流速が遅いと粘度が高くなるため、コーナー部53aの内周側を流れる原料M
2(流速が遅い原料M
2)は、
図3(b)に示すように、コーナー部53aで固化しやすくなる(同図における原料固化部M
2’)。この原料固化部M
2’が形成されると、コーナー部53aの有効断面積(原料Mの流れに寄与する部分の断面積)が縮小して、コーナー部53aにおける原料Mの流通抵抗が大きくなるため、原料Mの流速がさらに低下して原料Mの粘度がさらに高くなる。したがって、
図3(c)に示すように、コーナー部53aに原料固化部M
2’が層状に形成され、ダイ54の吐出流量が著しく低下するおそれがある。この不具合が生じないようにするためには、配管53をストレートに形成し、コーナー部53aを形成しないことが好ましい。しかし、フィルム製造装置のレイアウトの都合上、配管53をストレートに形成できないことも多い。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、フィルム製造装置等の樹脂成形装置において、流体(溶融した状態の熱可塑性樹脂)を流す配管にコーナー部を設けなくても、流体が流れる向きを変えることができるようにするものである。また、流体を移送するだけでなく、流体の移送方向を切り替えることができるギヤポンプを提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
流体導入流路及び流体送出流路、並びに、駆動歯車収容室及び従動歯車収容室を有するケーシングと、
駆動歯車収容室に収容された駆動歯車と、
駆動歯車に噛み合う状態で、従動歯車収容室に収容された従動歯車と、
を備え、
流体導入流路を通じてケーシング内に導入された流体を、駆動歯車及び従動歯車における非噛み合い側の歯溝で移送し、流体送出流路を通じてケーシング外へと送出するギヤポンプであって、
流体送出流路が、流体導入流路に対して傾斜して設けられたことを特徴とするギヤポンプ
を提供することによって解決される。
【0009】
従来のギヤポンプでは、
図2に示すように、流体導入流路α
0と流体送出流路α
3とがストレートに配されており、流体導入流路α
0における流体の移送方向A
1と流体送出流路α
3における流体の移送方向A
2とが一致していた。このため、従来のギヤポンプでは、流体の移送方向を切り替えることができなかった。これに対し、本発明のギヤポンプでは、後掲する
図8に示すように、流体導入流路α
0と流体送出流路α
3とが互いに傾斜して配されており、流体導入流路α
0における流体の移送方向A
1と流体送出流路α
3における流体の移送方向A
2とが非平行となっている。このため、本発明のギヤポンプでは、流体の移送方向を切り替えることが可能となっている。流体を移送する配管に本発明のギヤポンプを接続すると、配管にコーナー部を設けなくても流体の移送方向を切り替えることができる。
【0010】
本発明のギヤポンプにおいて、流体導入流路に対する流体送出流路の傾斜角度(後掲する
図8における傾斜角度θ
0)は、0°よりも大きければ、特に限定されない。しかし、傾斜角度θ
0が小さすぎると、本発明の構成を採用する意義が低下する。このため、傾斜角度θ
0は、10°以上とすることが好ましい。傾斜角度θ
0は、30°以上とすることがより好ましく、50°以上とすることがさらに好ましい。ただし、傾斜角度θ
0を大きくしすぎると、ケーシング内に流体導入流路及び流体送出流路をレイアウトするために、流体導入流路や流体送出流路を曲げる必要が生じる。配管にコーナー部を設けなくても流体の移送方向を切り替えることができるのが、本発明のギヤポンプの利点であるのに、ギヤポンプ内の流体導入流路や流体送出流路を曲げるのでは、本末転倒である(流体導入流路や流体送出流路は、曲がりのない直線状であることが好ましい。)。このため、傾斜角度θ
0は、120°以下とすることが好ましい。傾斜角度θ
0は、100°以下とすることがより好ましく、90°以下とすることがさらに好ましい。
【0011】
本発明のギヤポンプのように、流体導入流路と流体送出流路とを傾斜して配置すると、駆動歯車によって移送される流体の移送経路長(後掲する
図9の矢印A
5に沿って移送される流体の移送経路長。以下、「駆動歯車による移送経路長」と呼ぶことがある。)と、従動歯車によって移送される流体の移送経路長(同図の矢印A
6に沿って移送される流体の移送経路長。以下、「従動歯車による移送経路長」と呼ぶことがある。)とが、必ずしも一致しなくなる。しかし、駆動歯車による移送経路長と、従動歯車による移送経路長とに大きな差があると、移送対象の流体が加熱流体(溶融した熱可塑性樹脂等)である場合に、駆動歯車によって移送された流体の熱履歴と、従動歯車によって移送された流体の熱履歴とに大きな差が生じ、流体送出流路を流れる流体が均質になりにくくなる。このため、駆動歯車による移送経路長と、従動歯車による移送経路長は、できるだけ等しくなるようにすることが好ましい。
【0012】
この点、駆動歯車による移送経路長は、駆動歯車収容室の非噛み合い側(駆動歯車から見て、従動歯車と噛み合うのとは逆側)の内周長L
1(後掲する
図9における弧P
11P
12P
13の長さ)と略等しい。また、従動歯車による移送経路長は、従動歯車収容室の非噛み合い側(従動歯車から見て、駆動歯車と噛み合うのとは逆側)の内周長L
2(同図における弧P
21P
22P
23の長さ)に略等しい。このため、内周長L
1に対する内周長L
2の比L
2/L
1が1に近くなるようにすれば、駆動歯車による移送経路長と、従動歯車による移送経路長との差を小さく抑えることができる。比L
2/L
1は、0.7~1.3の範囲内とすることが好ましく、0.8~1.2の範囲内とすることがより好ましく、0.9~1.1の範囲内とすることがさらに好ましい。
【0013】
ところで、ギヤポンプでは、駆動歯車の側面とケーシングの内壁面との間や、従動歯車の側面とケーシングの内壁面との間に、「サイドクリアランス」と呼ばれる隙間が存在する。このサイドクリアランスが広いと、流体導入流路から流体送出流路に移送された流体が、そのサイドクリアランスを通じて流体導入流路に逆流するおそれがある。また、流体導入流路にある流体が、駆動歯車及び従動歯車の歯溝を経由することなく、そのサイドクリアランスを通じて流体送出流路にショートカットするおそれもある。このため、流体送出流路から送出される流体の流量を制御しにくくなるおそれや、流体送出流路を流れる流体の熱履歴が不均一になるおそれがある。
【0014】
この点、駆動歯車の側面と駆動歯車収容室の内壁面とのサイドクリアランス、及び、従動歯車の側面と従動歯車収容室の内壁面とのサイドクリアランスを狭くすると、上記の逆流やショートカットが生じにくくなる。このため、これらのサイドクリアランスは、いずれも50μm以下とすることが好ましい。
【0015】
また、ギヤポンプでは、駆動歯車の歯先と駆動歯車収容室の内周面との間や、従動歯車の歯先と従動歯車収容室の内周面との間に、「トップクリアランス」と呼ばれる隙間が存在する。このトップクリアランスが広いと、流体導入流路から流体送出流路に移送された流体が、そのトップクリアランスを通じて流体導入流路に逆流するおそれがある。また、流体導入流路にある流体が、駆動歯車及び従動歯車の歯溝に保持されることなく、そのトップクリアランスで滞留するおそれや、逆に、そのトップクリアランスを高速で通過するおそれがある。このため、サイドクリアランスが広い場合と同様、流体送出流路から送出される流体の流量を制御しにくくなるおそれや、流体送出流路を流れる流体の熱履歴が不均一になるおそれがある。
【0016】
この点、駆動歯車の歯先と駆動歯車収容室の内周面とのトップクリアランス、及び、従動歯車の歯先と従動歯車収容室の内周面とのトップクリアランスを狭くすると、上記の逆流等が生じにくくなる。ただし、上記のサイドクリアランスが、駆動歯車や従動歯車における広い範囲に形成されるのに対して、これらのトップクリアランスは、駆動歯車や従動歯車の歯先における限られた範囲にのみ形成されるため、トップクリアランスによる影響は限定的である。このため、トップクリアランスは、サイドクリアランスの上記の値(50μm以下)よりも広く形成することができる。したがって、駆動歯車の歯先と駆動歯車収容室の内周面とのトップクリアランス、及び、従動歯車の歯先と従動歯車収容室の内周面とのトップクリアランスは、100μm以下に設定することが好ましい。
【0017】
本発明のギヤポンプは、流体を移送する各種用途で使用することができるが、流体を流す配管にコーナー部を設けると、その流体がコーナー部で固化するおそれのある装置に組み込む(配管のコーナー部に対応する箇所に組み込む)と好適である。このような装置としては、
図1に示すような樹脂成形装置が例示される。
図1の樹脂成形装置は、ホッパー51に投入された原料Mを、押出機52で配管53に押し出し、配管53で移送されてきた原料Mをダイ54によってフィルムFに成形しながら吐出した後、そのフィルムFを、冷却装置55にて冷却し、縦延伸装置56及び横延伸装置57で所定の方向に延伸させ、巻取機58で巻き取ることで、フィルムFを製造するもの(フィルム製造装置)となっている。
【0018】
図1に示す樹脂成形装置(フィルム製造装置)に、本発明のギヤポンプを組み込むと、
図4に示すようになる。
図4に示すように、ギヤポンプ10は、配管53のコーナー部53a(
図1)に対応する箇所(配管53の第一部分53bと第二部分53cとの連結箇所)に組み込まれる。ギヤポンプ10における流体導入流路は、配管53の第一部分53bを介して、溶融樹脂を供給する溶融樹脂供給手段52に接続され、ギヤポンプ10における流体送出流路は、ギヤポンプ10から送出されてきた溶融樹脂を吐出する吐出ノズル54に接続される。これにより、配管53にコーナー部53aを設けなくても、流体(原料M)の移送方向を切り替えることができる。
【0019】
この樹脂成形装置(フィルム製造装置)においては、吐出ノズル54を、ギヤポンプ10の流体送出流路に直付けする(
図4における配管53の第二部分53を設けることなく、ギヤポンプ10を吐出ノズル54に直接的に接続する)こともできる。これにより、配管53の経路長を短くすることができ、熱履歴による影響を小さく抑えることができる。また、配管53のメンテナンスが容易になる。さらに、流体の流速をギヤポンプ10で制御する場合の応答性能を高めることもできる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によって、フィルム製造装置等の樹脂成形装置において、流体(溶融した状態の熱可塑性樹脂)を流す配管にコーナー部を設けなくても、流体が流れる向きを変えることが可能になる。また、流体を移送するだけでなく、流体の移送方向を切り替えることができるギヤポンプを提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一般的なフィルム製造装置を示した図である。
【
図2】一般的なギヤポンプを、駆動歯車及び従動歯車の回転中心線に垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。
【
図3】
図1のフィルム製造装置における配管のコーナー部を拡大して示した断面図である。
【
図4】本発明のギヤポンプを組み込んだフィルム製造装置(樹脂成形装置)を示した図である。
【
図6】本発明のギヤポンプを分解した状態示した斜視図である。
【
図7】本発明のギヤポンプの一部を破断して示した破断斜視図である。
【
図8】本発明のギヤポンプを、駆動歯車及び従動歯車の回転中心線に垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。
【
図9】
図8のギヤポンプにおける駆動歯車及び従動歯車の周辺を拡大して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のギヤポンプの実施形態について、具体的に説明する。ただし、以下で述べる構成は、飽くまで好適な実施形態に過ぎず、本発明のギヤポンプの技術的範囲は、以下で述べる構成に限定されない。本発明の流体供給装置には、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0023】
1.ギヤポンプの用途
既に述べたように、本発明のギヤポンプは、フィルム製造装置等の樹脂成形装置に好適に使用することができる。以下においては、フィルム製造装置(樹脂成形装置)に組み込む場合を例に挙げて、本発明のギヤポンプを説明する。
【0024】
図4は、本発明のギヤポンプ10を組み込んだフィルム製造装置を示した図である。
図4のフィルム製造装置は、原料MからフィルムFを製造するためのものである。このフィルム製造装置は、ホッパー51と、溶融樹脂供給手段52と、配管53と、ギヤポンプ10と、吐出ノズル54と、冷却装置55と、縦延伸装置56と、横延伸装置57と、巻取機58とを備えている。
【0025】
ホッパー51は、フィルムFの原料M(流体)を溶融樹脂供給手段52に投入するためのものである。原料Mは、ポリプロピレンやポリエチレン等の熱可塑性樹脂(ペレット等)を加熱して溶融させた流体の状態でホッパー51に投入される。原料M(流体)には、有機溶剤等が添加される場合もある。
【0026】
溶融樹脂供給手段52は、ホッパー51に投入された原料M(流体)を配管53に供給するためのものである。本実施形態においては、溶融樹脂供給手段52として、2本のスクリューによって原料M(流体)を配管53へと押し出す押出機(二軸押出機)を用いている。以下においては、溶融樹脂供給手段52を「押出機52」と表記する。
【0027】
配管53は、押出機52から押し出された原料M(流体)を吐出ノズル54に導くためのものである。配管53は、略水平方向に延びる第一部分53bと、略鉛直方向に延びる第二部分53cとを備えている。配管53の第一部分53b及び第二部分53cは、原料Mがスムーズに流れるように、それぞれが直線状に形成されている。
【0028】
ギヤポンプ10は、配管53内の原料M(流体)を吐出ノズル54に移送するためのものである。既に述べたように、本実施形態においては、溶融樹脂供給手段52として押出機を用いたため、この押出機52からの圧力だけでも、原料M(流体)が配管53内を流れるところ、このギヤポンプ10を設けることによって、原料M(流体)の圧力変動を抑えながら、原料M(流体)を略一定の流速で吐出ノズル54まで移送することができる。本発明のギヤポンプ10は、配管53における第一部分53bと第二部分53cとの連結部分に組み込むものとして好適である。本実施形態においても、配管53における第一部分53bと第二部分53cとの連結部分に、ギヤポンプ10を組み込んでいる。これは、以下の理由による。
【0029】
すなわち、
図3(a)に示すように、配管53自体にコーナー部53aがあると、コーナー部53aを流れる原料M(流体)に流速差が生じる。このため、流速が遅い原料M
2(コーナー部53aの内周側を流れる流体)が固化し、
図3(b)に示すように、コーナー部53aの内周側に原料固化部M
2’が形成される。この工程が繰り返される結果、
図3(c)に示すように、コーナー部53aに原料固化部M
2’が層状に形成され、配管53におけるコーナー部53aの有効断面積が著しく狭くなり、ダイ54の吐出流量が著しく低下することがある。この点、
図4に示すように、本発明のギヤポンプ10を、配管53の第一部分53bと第二部分53cとの連結部分(コーナー部53aに相当する箇所)に組み込むことで、上記の不具合の発生を抑えることができるからである。ギヤポンプ10の構造については、後で詳しく説明する。
【0030】
吐出ノズル54は、配管53を通じて移送されてきた原料Mを所定形状(フィルム製造装置においてはフィルム状)に成形しながら吐出するものとなっている。本実施形態において、吐出ノズル54は、原料Mをスリットを通じてフィルム状に成形しながら吐出するダイ(Tダイ)となっている。以下においては、吐出ノズル54を「ダイ54」と表記する。
【0031】
冷却装置55は、ダイ54から吐出されたフィルムFを冷却するためのものである。本実施形態においては、冷却装置55を、回転駆動される駆動ローラと、駆動ローラに対して並列に配された複数本のガイドローラとで構成している。ダイ54から吐出されたフィルムFは、冷却装置55の駆動ローラ外周面に落とされ、複数本のガイドローラに掛け回された状態とされる。フィルムFは、これらの駆動ローラやガイドローラで移送される間に自然冷却される。冷却装置55には、冷風機等、フィルムFを積極的に冷却する手段を設けることもできる。
【0032】
縦延伸装置56は、冷却装置55から送られてきたフィルムFに対して、縦方向(フィルムFの移送方向)のテンションを掛けることで、フィルムFを縦方向に延伸させるものである。本実施形態においては、縦延伸装置56を、互いに並列に配された複数本のガイドローラで構成している。
【0033】
横延伸装置57は、縦延伸装置56から送られてきたフィルムFに対して、横方向(フィルムFの移送方向に垂直な方向)のテンションを掛けることで、フィルムFを横方向に延伸させるものとなっている。本実施形態においては、横延伸装置57として、フィルムFの両脇に設置したクリップ(図示省略)でフィルムFを横方向に引っ張るものを用いている。
【0034】
巻取機58は、横延伸装置57から送られてきたフィルムFをロール状に巻き取るものとなっている。本実施形態においては、巻取機58を、回転駆動される駆動ローラによって構成している。この駆動ローラ(巻取機58)は、図示省略の電気モータ等によって回転駆動される。巻取機58に巻き取られたフィルムFは、製品として出荷される。
【0035】
ところで、上述した原料固化部M
2’(
図3(c))は、原料M(流体)の粘度が高ければ高いほど形成されやすくなる。このため、原料M(流体)の粘度が低い場合よりも、高い場合の方が、本発明のギヤポンプ10を採用する意義が高まる。本発明のギヤポンプ10は、原料M(流体)の粘度が、10Pa・sec以上である場合や、20Pa・sec以上である場合や、30Pa・sec以上である場合や、40Pa・sec以上である場合や、50Pa・sec以上である場合のいずれにおいても、好適に用いることができる。原料M(流体)の粘度に特に上限はないが、通常、150~200Pa・sec程度までである。
【0036】
また、
図4では、ギヤポンプ10とダイ54との間に、配管53の第二部分53cが設けられているが、この第二部分53cを取り除き、ダイ54をギヤポンプ10に直付けすることもできる。これにより、配管53の経路長を短くすることができ、熱履歴による影響をさらに小さく抑えることができる。また、配管53のメンテナンスが容易になる。さらに、流体の流速をギヤポンプ10で制御する場合等の応答性能を高めることもできる。
【0037】
2.ギヤポンプの構造
ギヤポンプ10の構造について、図面を用いて詳しく説明する。
図5は、本発明のギヤポンプ10を示した斜視図である。
図6は、本発明のギヤポンプを分解した状態示した斜視図である。
図7は、本発明のギヤポンプ10の一部を破断して示した破断斜視図である。
図8は、本発明のギヤポンプ10を、駆動歯車11及び従動歯車12の回転中心線L
A,L
Bに垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。
図9は、
図8のギヤポンプ10における駆動歯車11及び従動歯車12の周辺を拡大して示した断面図である。
図5~9では、各図の左上に、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を表示している。x軸、y軸及びz軸の向きは、異なる図面間において一致させている。
【0038】
本実施形態のギヤポンプ10は、
図6に示すように、駆動歯車11と、従動歯車12と、ケーシング13と、一対のサイドプレート14と、ベース15と、シャフト16,17と、一対のシャフト支持部材18と、複数本のボルト(符号省略)及び複数本の位置決めピン(符号省略)とで構成されている。これらの部品は、通常、金属によって形成されるところ、原料M(流体)に接触する部品(駆動歯車11や、従動歯車12や、ケーシング13等)は、高速度工具鋼や超硬合金によって形成することが好ましい。原料M(流体)には、摩耗成分が添加される場合もあるところ、原料M(流体)に接触する部品を高速度工具鋼や超硬合金で形成することによって、その部品が摩耗しにくくなる。高速度工具鋼としては、SKH51等のモリブデン系のものや、SKH2等のタングステン系のもの等が例示され、超硬合金としては、炭化タングステンに、コバルトを結合剤として添加し、焼結したもの等が例示される。
【0039】
ケーシング13には、
図8に示すように、流体導入流路α
0と、駆動歯車収容室α
1と、従動歯車収容室α
2と、流体送出流路α
3とが連通した状態で設けられている。流体送出流路α
3は、ケーシング13だけでなく、ベース15にも連続した状態で設けている。ギヤポンプ10を樹脂成形装置(
図4)に組み込む場合、流体導入流路α
0は、配管53の第一部分53bに接続され、流体送出流路α
3は、配管53の第二部分53cに接続される。流体導入流路α
0及び流体送出流路α
3は、駆動歯車収容室α
1と従動歯車収容室α
2との境界部分(連通部分)を挟んで反対側に配されている。
【0040】
駆動歯車収容室α1には、駆動歯車11が収容されており、従動歯車収容室α2には、従動歯車12が収容されている。駆動歯車11及び従動歯車12の外周部には、それぞれ、複数の歯が設けられている。駆動歯車11と従動歯車12は、互いの歯が噛み合うように、外接する状態で配されている。駆動歯車11と従動歯車12は、歯数や外径等の諸元が異なるものを使用することもできるが、本実施形態においては、駆動歯車11の歯数及び外径等を、従動歯車12の歯数及び外径等と一致させている。駆動歯車収容室α1及び従動歯車収容室α2は、いずれも断面円形状を為しているところ、駆動歯車11及び従動歯車12の外径は、それぞれ、駆動歯車収容室α1及び従動歯車収容室α2の直径よりもごく僅かに小さく設定している。
【0041】
駆動歯車11及び従動歯車12としては、平歯車(円柱部材の外周部に複数本の歯を平行に設けた歯車)や、はすば歯車(平歯車を捩じった形状を有する歯車)を用いることができる。本実施形態においては、はすば歯車を用いている。これらの駆動歯車11及び従動歯車12のうち、駆動歯車11は、円柱状を為すシャフト16の外周部に一体的に固定されている。シャフト16は、その両端部を一対のシャフト支持部材18(
図6)に挿通されて軸支されている。このため、駆動歯車11及びシャフト16は、ケーシング13に対して回転可能な状態となっている。シャフト16には、電気モータ等の回転駆動手段(図示省略)が連結される。
【0042】
一方、従動歯車12は、円柱状を為すシャフト17の外周部に取り付けられている。シャフト17は、その両端部を一対のシャフト支持部材18(
図6)に挿通され、ケーシング13に固定されている。このため、シャフト17は、ケーシング13に対して回転しない状態となっている。ただし、従動歯車12は、シャフト17に対して回転可能な状態で軸支されている。したがって、上記の回転駆動手段を駆動し、駆動歯車11を回転中心線L
Aを中心として回転させる(
図8における矢印A
3)と、駆動歯車11に噛み合う従動歯車12が、シャフト17に対し、回転中心線L
Bを中心として従動回転する(
図8における矢印A
4)ようになっている。駆動歯車11の回転方向A
3と、従動歯車12の回転方向A
4は、逆向きになる。
【0043】
駆動歯車11及び従動歯車12がそれぞれ矢印A
3,A
4の向きに回転すると、流体導入流路α
0にある流体(
図4における原料Mのこと。以下同じ。)が、駆動歯車11の歯溝に保持され、駆動歯車収容室α
1の内周面と駆動歯車11の外周面との間を通って流体送出流路α
3に移送される(
図8における矢印A
5)。また、流体導入流路α
0にある流体は、従動歯車12の歯溝にも保持され、従動歯車収容室α
2の内周面と従動歯車12の外周面との間を通って流体送出流路α
6に移送される(
図8における矢印A
6)。駆動歯車11で矢印A
5に沿って移送された流体と、従動歯車12で矢印A
6に沿って移送された流体は、流体送出流路α
3で合流し、流体送出流路α
3を通ってケーシング13の外部へと送出される。駆動歯車11及び従動歯車12の回転速度を変えることで、流体送出流路α
3から送出される流体の圧力や流量を制御することができる。
【0044】
ギヤポンプ10は、上記の仕組みによって、原料M(流体)を移送するところ、本発明のギヤポンプ10では、
図8に示すように、流体導入流路α
0を、流体送出流路α
3に対して傾斜させている。より具体的には、流体導入流路α
0の中心線L
Cに対する、流体送出流路α
3の中心線L
Dの傾斜角度θ
0が、0°よりも大きくなるようにしている。このため、ギヤポンプ10において、流体の移送方向が、矢印A
1の向きから、矢印A
2の向きへと切り替わる。したがって、本発明のギヤポンプ10を用いると、配管53(
図4)にコーナー部53a(
図1)を設ける必要がなくなる。ギヤポンプ10における流体導入流路α
0と流体送出流路α
3との境界部分(本来であれば、コーナー部53aとなる箇所)には、駆動歯車11及び従動歯車12が配されているため、その部分には、
図3に示したような原料固化部M
2’が形成されない。
【0045】
流体導入流路α0に対する流体送出流路α3の傾斜角度θ0は、10°以上とすることが好ましく、30°以上とすることがより好ましく、50°以上とすることがさらに好ましい。ただし、傾斜角度θ0を大きくしすぎると、ケーシング13内に流体導入流路α0及び流体送出流路α3をレイアウトするために、流体導入流路α0や流体送出流路α3を曲げる必要が生じる。このため、傾斜角度θ0は、120°以下とすることが好ましく、100°以下とすることがより好ましく、90°以下とすることがさらに好ましい。本実施形態においては、傾斜角度θ0を、約70°に設定している。
【0046】
流体導入流路α
0及び流体送出流路α
3のそれぞれの向きは、特に限定されない。本実施形態においては、ギヤポンプ10(
図4)からダイ54(
図4)に対して下向きに原料M(流体)を送出できるように、流体送出流路α
3を鉛直方向下向きとしている。このため、流体導入流路α
0は、略水平方向(厳密には、水平方向から約20°傾いた方向)を向いた状態となっている。これに伴い、従動歯車12の真上(z軸方向正側)に駆動歯車11を配するのではなく、従動歯車12の真上から水平方向(y軸方向正側)にずれた位置に駆動歯車11を配している。したがって、駆動歯車11の回転中心線L
Aと従動歯車12の回転中心線L
Bとを通る、回転中心線L
A,L
Bに垂直な直線L
E(
図8)が、鉛直方向(z軸方向)に対して傾斜している。
【0047】
直線L
Eは、流体導入流路α
0の中心線L
Cと、流体送出流路α
0の中心線L
Dとが為す角の二等分線に一致するようにしてもよい。しかし、そうすると、外角側に位置する駆動歯車収容室α
1の非噛み合い側の内周長(
図9における弧P
11P
12P
13の長さ。以下、「内周長L
1」と表記する。)と、内角側に位置する従動歯車収容室α
2の非噛み合い側の内周長(同図における弧P
21P
22P
23の長さ。以下、「内周長L
2」と表記する。)との間に、大きな差が生じるようになる。既に述べたように、内周長L
1は、駆動歯車11による移送経路長に略等しく、内周長L
2は、駆動歯車12による移送経路長に略等しいところ、内周長L
1と内周長L
2とに大きな差があると、駆動歯車11によって移送された原料M(流体)の熱履歴と、従動歯車12によって移送された原料M(流体)の熱履歴とに大きな差が生じ、流体送出流路α
3を流れる原料M(流体)が均質になりにくくなる。
【0048】
このため、直線L
Eを、中心線L
Cと中心線L
Dとが為す角の二等分線からずらし、内周長L
1と内周長L
2とができるだけ等しくなるようにすることが好ましい。換言すると、内周長L
1に対する内周長L
2の比L
2/L
1を、できるだけ1に近づけることが好ましい。比L
2/L
1は、0.7~1.3の範囲内に収めることが好ましく、0.8~1.2の範囲内に収めることがより好ましく、0.9~1.1の範囲内に収めることがさらに好ましい。本実施形態においては、弧P
11P
12P
13の中心角θ
1(
図9)が約228°で、弧P
21P
22P
23の中心角θ
2(
図9)が約211°となっており、比L
2/L
1(比θ
2/θ
1に等しい。)が約0.93となっている。
【0049】
ところで、既に述べたように、ギヤポンプ10には、駆動歯車11の側面(x軸に垂直な側面)とケーシング13の内壁面(x軸に垂直な内壁面)との間や、従動歯車12の側面(x軸に垂直な側面)とケーシング13の内壁面(x軸に垂直な内壁面)との間に、「サイドクリアランス」と呼ばれる隙間が存在する。また、ギヤポンプ10には、駆動歯車11の歯先と駆動歯車収容室α1の内周面との間や、従動歯車12の歯先と従動歯車収容室α2の内周面との間に、「トップクリアランス」と呼ばれる隙間も存在する。
【0050】
これらのサイドクリアランスやトップクリアランスが広いと、流体導入流路α0から流体送出流路α1に移送された原料M(流体)が、流体導入流路α0側に逆流しやすくなるおそれや、流体導入流路α0を流れる原料M(流体)が、駆動歯車11や従動歯車12の歯溝を経由することなく、流体送出流路α3にショートカットしやすくなるおそれがある。このため、流体送出流路α0から送出される原料M(流体)の流量を制御しにくくなるおそれがある。また、流体送出流路α0を流れる原料M(流体)の熱履歴が不均一になるおそれもある。
【0051】
この点、本実施形態においては、上記のサイドクリアランスやトップクリアランスを小さく抑えることで、原料M(流体)の逆流やショートカット等を防止している。サイドクリアランスやトップクリアランスの好ましい値は、原料M(流体)の粘度や、ギヤポンプ10の吐出量や、駆動歯車11及び従動歯車12の寸法等によって変わるところ、概ね、サイドクリアランスについては、50μm以下に抑えることが好ましく、トップクリアランスについては、100μm以下に抑えることが好ましい。サイドクリアランスは、40μm以下とさらに小さくすることも可能であり、トップクリアランスも、90μm以下、80μm以下とさらに小さくすることが可能である。本実施形態においては、トップクリアランスを36μmに設定し、サイドクリアランスを70μmに設定している。サイドクリアランス及びトップクリアランスの下限は、特に限定されないが、駆動歯車11や従動歯車12やケーシング13の製作を考慮すると、0.1~1μm程度までであると思われる。
【0052】
以上で述べた本実施形態のギヤポンプ10に係る構成は、ギヤポンプの能力に関わらず、採用することができる。例えば、吐出流量が1cc/revクラス(0.1cc/revよりも大きく1cc/rev以下)のギヤポンプや、吐出流量が10cc/revクラス(1cc/revよりも大きく10cc/rev以下)のギヤポンプや、吐出流量が100cc/revクラス(10cc/revよりも大きく100cc/rev以下)のギヤポンプのいずれであっても、採用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 ギヤポンプ
11 駆動歯車
12 従動歯車
13 ケーシング
14 サイドプレート
15 ベース
16 シャフト(駆動歯車用)
17 シャフト(従動歯車用)
18 シャフト支持部材
51 ホッパー
52 押出機(溶融樹脂供給手段)
53 配管
53a コーナー部
53b 第一部分
53c 第二部分
54 ダイ(吐出ノズル)
55 冷却装置
56 縦延伸装置
57 横延伸装置
58 巻取機
F フィルム
LA 駆動歯車の回転中心線
LB 従動歯車の回転中心線
LC 流体導入流路の中心線
LD 流体送出流路の中心線
LE 駆動歯車の回転中心線と従動歯車の回転中心線とを通る、当該回転中心線に垂直な直線
M 原料(流体)
M1 コーナー部の外側を流れる原料(流速が早い原料)
M2 コーナー部の内側を流れる原料(流速が遅い原料)
M2’原料固化部
α0 流体導入流路
α1 駆動歯車収容室
α2 従動歯車収容室
α3 流体送出流路
【要約】
【課題】
流体の移送方向を切り替えることができるギヤポンプを提供する。
【解決手段】
流体導入流路α
0及び流体送出流路α
3並びに駆動歯車収容室α
1及び従動歯車収容室α
2を有するケーシング13と、駆動歯車収容室α
1に収容された駆動歯車11と、駆動歯車11に噛み合う状態で従動歯車収容室α
2に収容された従動歯車12とを備え、流体導入流路α
0を通じてケーシング13内に導入された流体Mを、駆動歯車11及び従動歯車12における非噛み合い側の歯溝で移送し、流体送出流路α
3を通じてケーシング13外へと送出するギヤポンプ10において、流体送出流路α
3を、流体導入流路α
0に対して傾斜して設けた。
【選択図】
図8