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  • 特許-姿勢矯正ウエア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】姿勢矯正ウエア
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/05 20060101AFI20230831BHJP
   A61F 5/01 20060101ALI20230831BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20230831BHJP
   A61F 13/14 20060101ALI20230831BHJP
   A41B 9/12 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A41D13/05 112
A61F5/01 E
A61F5/02 G
A41D13/05 118
A41D13/05 131
A61F13/14 A
A41B9/12 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023027014
(22)【出願日】2023-02-24
【審査請求日】2023-02-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313014893
【氏名又は名称】株式会社アネスネット
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 欣也
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-188195(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0278963(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0040286(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0090585(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/05
A61F 5/01
A61F 5/02
A61F 13/14
A41B 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも肩甲骨を覆う後身頃と、少なくとも胸部の一部を覆う前身頃とを有する衣類本体と、
前記衣類本体に対して配設され、片側の肩から背面に向かい、反対側の肩甲頚部を通り反対側の橈骨の近位部まで延在された第1ベルトと、
前記衣類本体に対して配設され、片側の肩から背面に向かい、反対側の菱形筋、前鋸筋、又は、広背筋の肩甲骨に対する付着部を覆うように延在される第2ベルト基本部と、この第2ベルト基本部から反対側の背面において分岐し、反対側の肩甲下筋、小円筋、又は、大円筋を補助しながら反対側の肩甲頚部を通り前面に向かい、反対側の尺骨の近位部まで延在された第2ベルト分岐部とを有する第2ベルトとを備え
前記第1ベルトは、片側の上腕骨頭から、片側の肩峰又は前記肩峰よりも外側を通って、背面に向かうように設けられ、
前記第2ベルト基本部は、片側の上腕骨頭から、片側の肩峰又は前記肩峰よりも外側を通って、背面に向かうように設けられ、
前記第2ベルト分岐部は、反対側の肩甲頚部を通り、反対側の肩峰又は前記肩峰よりも外側を通って、前面に向かうように設けられた
ことを特徴とする姿勢矯正ウエア。
【請求項2】
前記第1ベルトは、基端部及び終端部を前記衣類本体に対して固定し、その他の部分は固定せずに、取付具により、前記衣類本体に対して移動可能に配設され、
前記第2ベルト基本部は、基端部及び終端部を前記衣類本体に対して固定し、その他の部分は固定せずに、前記衣類本体に対して移動可能に配設され、
前記第2ベルト分岐部は、終端部を前記衣類本体に対して固定し、その他の部分は固定せずに、取付具により、前記衣類本体に対して移動可能に配設された
ことを特徴とする請求項1記載の姿勢矯正ウエア。
【請求項3】
前記衣類本体に対し背骨に沿って配設され、伸縮部材よりなり、脊柱起立筋を補助する脊柱起立筋補助部を備えたことを特徴とする請求項1記載の姿勢矯正ウエア。
【請求項4】
前記衣類本体は、前側に、着脱のための開閉部材を有することを特徴とする請求項1記載の姿勢矯正ウエア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩の痛みや姿勢のゆがみを矯正することができる姿勢矯正ウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
習慣的な猫背や前屈み姿勢の持続的変化で背筋が曲がると、スタイルが悪くなる美容面だけでなく、肩こりや頭痛の原因となるなど健康面にも多大な影響を与える。特に、肩こりは、訴える症状の女性第1位、男性第2位と、医療でも特に改善が必要な問題である。そこで、従来より、姿勢を矯正する器具が多数提案されている。例えば、特許文献1には、背当て部と、背当て部の上面側に設けられ、上部ベルト挿通窓、中央ベルト挿通窓および下部ベルト挿通窓が形成された補強メッシュ部と、背当て部下部に固定され、装着時に上部ベルト挿通窓から飛び出し、それぞれ肩部に掛けられ脇の下を通り、中央ベルト挿通窓から戻り、下部ベルト挿通窓から飛び出す肩ベルトと、背当て部下部に固定され、装着時に胸部周囲に巻き付けられる胸ベルトとを有する姿勢矯正ベルトが記載されている。しかしながら、従来の矯正器具は、下着の肩紐の様に、締め付けて肩を下に押すタイプが多いために、肩こりの治療になりにくいという問題があった。
【0003】
なお、肩や頸部痛の患者の多くは、肩を支える筋肉や靭帯の劣化に伴い位置がずれることによる痛みが多い。上半身は、頭から始まる体幹と両方の十字状の形状で、前後左右のちょっとしたずれを取るために首と肩甲骨、背骨の協調関係を常に反射的に行っている。ところが、下半身で脚を組むと土台のバランスが崩れるためにそのずれを補正しきれなくなって、むち打ちや肩回りの痛み、更には頭痛や腕の痺れが起きやすくなってしまう。更に、仕事や生活での運動形態が、体を前に縮める屈筋が主体であるためにちょっとした栄養不足になるとあまり使わない体を伸ばして支える伸筋が分解されて栄養になり、腕や頭を支える筋力が低下する人が多く、年齢と共に増える傾向にある。これらのことから、その対策の一つとして、一時的に弱った伸筋を補強する形状のウエアを構築することで作業環境での肩の負担軽減を図ることができれば好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-62245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、筋肉や靭帯の動きをサポートし、かつ、着用しやすい姿勢矯正ウエアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の姿勢矯正ウエアは、少なくとも肩甲骨を覆う後身頃と、少なくとも胸部の一部を覆う前身頃とを有する衣類本体と、衣類本体に対して配設され、片側の肩から背面に向かい、反対側の肩甲頚部を通り反対側の橈骨の近位部まで延在された第1ベルトと、衣類本体に対して配設され、片側の肩から背面に向かい、反対側の菱形筋、前鋸筋、又は、広背筋の肩甲骨に対する付着部を覆うように延在される第2ベルト基本部と、この第2ベルト基本部から反対側の背面において分岐し、反対側の肩甲下筋、小円筋、又は、大円筋を補助しながら反対側の肩甲頚部を通り前面に向かい、反対側の尺骨の近位部まで延在された第2ベルト分岐部とを有する第2ベルトとを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1ベルトにより反対側の腕の前腕部付け根を支えるようにしたので、反対側の腕の重さを軽減し、反対側の肩を支えることができる。また、第2ベルト基本部により反対側の肩甲骨下側を覆うようにしたので、反対側の脇の下で肩甲骨の側方の落ち込みを制限し、肩甲骨を正しい位置に戻すように支えることができる。更に、第2ベルト分岐部により上腕二頭筋の腱を模倣しながら、反対側の前腕部内側を支えるようにしたので、反対側の腕を親指が外側に向く回外位とし、前腕部の重さを上腕二頭筋で支えやすくして、腕の重さを軽減することができる。よって、第1ベルト及び第2ベルトにより筋肉や靭帯の動きをサポートして、肩の痛みや姿勢のゆがみを矯正することができる。
【0008】
加えて、衣類本体に第1ベルト及び第2ベルトを配設するようにしたので、衣類本体を身に着けることにより、簡単に第1ベルト及び第2ベルトを適切に装着することができる。
【0009】
更にまた、第1ベルト又は第2ベルト基本部を片側の上腕骨頭から片側の肩峰又は肩峰よりも外側を通って背面に向かうように設ければ、上腕骨頭を後ろに引っ張ることにより、猫背や前屈み姿勢を改善することができる。また、僧帽筋を上から押さえることがなく、肩甲上神経を上から圧迫しないために痛みを軽減し、効果的に肩こりを改善することができる。
【0010】
加えてまた、第2ベルト分岐部を反対側の肩甲頚部を通り反対側の肩峰又は肩峰よりも外側を通って前面に向かうように設ければ、反対側の肩甲上神経の圧迫もしないため僧帽筋を上から押さえることがなく、効果的に肩こりを改善することができる。
【0011】
更にまた、背骨に沿って脊柱起立筋を補助する脊柱起立筋補助部を備えれば、脊柱起立筋を補助して体重の3割の重さを支える背筋力の一部となることができ、柳の枝のように背面からの突っ張り強度が働き、猫背になりがちな前屈み姿勢を補助することで背筋の痛みを軽減しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る姿勢矯正ウエアを前側から見た構成を表す図である。
図2図1に示した姿勢矯正ウエアを後側から見た構成を表す図である。
図3図1に示した姿勢矯正ウエアを後側から見た構成を骨格と共に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る姿勢矯正ウエア10を前側から見た構成を表すものである。図2は、図1に示した姿勢矯正ウエア10を後側から見た構成を表すものであり、図3は、後側から見た構成を骨格と共に表すものである。この姿勢矯正ウエア10は、上半身の少なくとも一部を覆う衣類本体11と、この衣類本体11に配設された第1ベルト12及び第2ベルト13とを備えている。なお、図1では、前側から見える第1ベルト12及び第2ベルト13の部分に梨地を付して示し、図2及び図3では、後ろ側から見える第1ベルト12及び第2ベルト13の部分に梨地を付して示している。
【0015】
衣類本体11は、例えば、第1ベルト12及び第2ベルト13を所定位置に取り付けることにより、第1ベルト12及び第2ベルト13等を容易にかつ効果的に装着できるようにするものである。衣類本体11は、例えば、伸縮性のある材料により構成されることが好ましく、ポリウレタンを含む材料により構成されることが好ましい。着脱しやすく、また、第1ベルト12及び第2ベルト13を適切な位置に容易に配置することができるからである。
【0016】
衣類本体11は、少なくとも肩甲骨を覆う後身頃と、少なくとも胸部の一部を覆う前身頃とを備えている。すなわち、衣類本体11は、例えば、肩から少なくとも肩甲骨を覆うことができる長さまで設けられていればよく、それよりも身丈を長く、例えば、腰まで設けられていてもよい。また、衣類本体11は、袖を有していることが好ましく、例えば、片側の袖は肘よりも短い半袖でもよいが、反対側の袖は少なくとも肘を覆うことができる五分袖以上の長さとすることが好ましい。後述するように、第1ベルト12及び第2ベルト13を取り付けることができるようにするためである。
【0017】
衣類本体11は、例えば、前側に、着脱のための開閉部材14を有していることが好ましい。片手で容易に着脱できるようにするためである。開閉部材14はどのようなものでもよく、例えば、線ファスナー、面ファスナー、スナップボタン、又は、ボタンが挙げられる。衣類本体11は、例えば、開閉部材14を前身頃の上から下まで設けた前開きとされていることが好ましい。被らなくても着脱できるからである。また、衣類本体11の身頃の下端部には、衣類本体11よりも伸縮性の高い材料よりなる密着部15が設けられていることが好ましい。衣類本体11のずれを抑制するためである。
【0018】
第1ベルト12は、片側の肩から背面に向かい、反対側の肩甲頚部を通り反対側の橈骨の近位部まで延在して設けられている。片側というのは右手側でも左手側でもよく、反対側というのは片側が右手側の場合は左手側、片側が左手側の場合は右手側である。なお、片側は痛み等の症状がない又は弱い側、すなわち健側であり、反対側が痛み等の症状の強い側、すなわち患側とすることが好ましい。例えば、痛み等の症状は、座って脚を組んでいる側の肩が前に傾くために傷むことが多いためにどちらか片側だけの症状になることが多い。
【0019】
第1ベルト12は、例えば、片側の健側である肩から発して背面を通り、反対側の患側である腕の前腕部の付け根を支えることにより、患側の腕の重さを軽減し、患側の肩を支えるためのものである。第1ベルト12は、例えば、片側の上腕骨頭から片側の肩峰又は肩峰よりも外側を通って背面に向かうように設けることが好ましい。上腕骨頭を後ろに引っ張ることにより、猫背や前屈み姿勢を改善するためである。また、肩峰よりも内側、すなわち肩峰よりも首側を通すと、僧帽筋を上から押さえてしまい、肩甲上神経を圧排し、肩こりを改善しにくいからである。第1ベルト12を背面において反対側の肩甲頚部を通し、反対側の橈骨の近位部まで延在させるのは、反対側の腕を効果的に支えるためである。
【0020】
第2ベルト13は、片側の肩から背面に向かい、反対側の菱形筋、前鋸筋、又は、広背筋の肩甲骨に対する付着部を覆うように延在される第2ベルト基本部13aと、この第2ベルト基本部13aから反対側の背面において分岐し、肩甲下筋、小円筋、又は、大円筋を補助しながら反対側の肩甲頚部を通り前面に向かい、反対側の尺骨の近位部まで延在された第2ベルト分岐部13bとを有している。すなわち、第2ベルト13は、第2ベルト基本部13aから第2ベルト分岐部13bが分岐したY字状に設けられている。片側及び反対側は上述した通りであり、例えば、片側は健側、反対側は患側である。
【0021】
第2ベルト基本部13aは、例えば、片側の健側である肩から発して背面の下側を通り、反対側の患側である菱形筋、前鋸筋、又は、広背筋の肩甲骨に対する付着部を覆うことにより、患側の脇の下で肩甲骨の側方の落ち込みを制限し、肩甲骨を正しい位置に戻すように支えるためのものである。第2ベルト基本部13aは、片側の上腕骨頭から片側の肩峰又は肩峰よりも外側を通って背面に向かうように設けることが好ましい。第1ベルト12と同様に、上腕骨頭を後ろに引っ張ることにより、猫背や前屈み姿勢を改善するためである。また、第1ベルト12と同様に、肩峰よりも内側を通すと、僧帽筋を上から押さえてしまい、肩甲上神経を圧排し肩こりを改善しにくいからである。
【0022】
第2ベルト基本部13aの反対側背面は、例えば、反対側の肩甲骨の下側を覆うように構成することが好ましく、菱形筋、前鋸筋、又は、広背筋の肩甲骨に対する付着部全体を覆うように幅広に構成することが好ましい。第2ベルト基本部13aの反対側端部は、例えば、少なくとも反対側の中腋窩線まで設けることが好ましく、更に、反対側の背面から前面に向かい少なくとも前腋窩線まで設けるようにすればより好ましい。反対側の肩甲骨をより強固に支えることができるからである。
【0023】
第2ベルト分岐部13bは、例えば、反対側の背面において第2ベルト基本部13aから分岐し、反対側の肩の外側から回り込み、上腕二頭筋の腱を模倣しながら、更に、前腕部内側を支えることにより、反対側の腕を親指が外側に向く回外位とするものである。これにより、上腕二頭筋が働けるようにし、前腕部の重さを上腕二頭筋で支えやすくして、腕の重さを軽減するようになっている。第2ベルト分岐部13bを反対側の肩甲頚部を通すのは、反対側の腕を効果的に支えるためである。また、第2ベルト分岐部13bは、反対側の肩甲頚部を通り反対側の肩峰又は肩峰よりも外側を通って前面に向かうように設けることが好ましい。第1ベルト12と同様に、肩峰よりも内側を通すと、僧帽筋を上から押さえてしまい、肩甲上神経を圧排するため肩こりを改善しにくいからである。第2ベルト分岐部13bを反対側の腕の前面において尺骨の近位部まで設けるのは、反対側の腕を親指が外側に向く回外位とするためである。
【0024】
第1ベルト12及び第2ベルト13は、伸縮性のない材料、又は、伸縮性を有していても衣類本体11よりは伸縮率が小さく緊締できる材料により構成することが好ましい。第1ベルト12及び第2ベルト13により、反対側の腕を支え、反対側の肩甲骨周りの位置を改善するためである。第1ベルト12及び第2ベルト13の幅は、適宜設定することができるが、例えば、3cmから15cm程度とすることが好ましい。第1ベルト12及び第2ベルト13は、例えば、衣類本体11とは別体で構成され、衣類本体11に対して縫い付けたり貼り付けたりして固定されていてもよく、また、衣類本体11に面ファスナー等により着脱可能に固定され、使用者に応じて位置を調整できるように構成されていてもよい。更に、第1ベルト12及び第2ベルト13は、衣類本体11に織り込まれることにより一体として形成されていてもよい。
【0025】
なお、第1ベルト12は、例えば、基端部及び終端部を衣類本体11に対して縫い付けたり貼り付けたりして固定し、その他の部分は固定せずに、衣類本体11に取り付けたループ等の取付具(図示せず)により、反対側の肩甲頚部を通るように衣類本体11に対して移動可能に配設することが好ましい。第1ベルト12の基端部は、例えば、片側の上腕骨頭であり、終端部は、例えば、反対側の橈骨の近位部である。第2ベルト基本部13aは、例えば、基端部及び終端部を衣類本体11に対して縫い付けたり貼り付けたりして固定し、その他の部分は固定せずに、衣類本体11に対して移動可能に配設することが好ましい。第2ベルト基本部13aの基端部は、例えば、片側の上腕骨頭であり、終端部は、例えば、反対側の肩甲骨の下側を覆う反対側端部である。第2ベルト分岐部13bは、例えば、終端部を衣類本体11に対して縫い付けたり貼り付けたりして固定し、その他の部分は固定せずに、衣類本体11に取り付けたループ等の取付具(図示せず)により、反対側の肩甲頚部を通り反対側の肩峰又は肩峰よりも外側を通って前面に向かうように衣類本体11に対して移動可能に配設することが好ましい。第2ベルト分岐部13bの終端部は、例えば、反対側の尺骨の近位部である。また、第1ベルト12と第2ベルト13とは、連結してもよいが、連結せずに、個別に、衣類本体11に対して配設することが好ましい。より効果的に第1ベルト12及び第2ベルト13を機能させることができるからである。
【0026】
姿勢矯正ウエア10は、例えば、更に、衣類本体11に対し背骨に沿って配設された脊柱起立筋補助部16を備えていることが好ましい。脊柱起立筋補助部16は、例えば、脊柱起立筋を補助するためのものである。脊柱起立筋を補強することにより、柳の枝のように背面からの突っ張り強度が働き、猫背になりがちな前屈み姿勢を補助することで背筋の痛みを軽減しやすくすることができるからである。脊柱起立筋補助部16は、例えば、伸縮部材により構成することが好ましい。伸縮部材としては、例えば、少なくとも一部を合成ゴム又は天然ゴムで構成することにより伸縮性を持たせたものが挙げられる。脊柱起立筋補助部16の幅は、例えば、3cmから6cm程度とすることが好ましい。
【0027】
脊柱起立筋補助部16は、例えば、衣類本体11とは別体で構成され、衣類本体11に対して縫い付けたり貼り付けたりして固定されていてもよい。また、脊柱起立筋補助部16は、衣類本体11に織り込まれることにより一体として形成されていてもよい。なお、脊柱起立筋補助部16と、第1ベルト12及び第2ベルト13とは、互いに交差する位置において連結してもよいが、連結せずに、移動可能とされていることが好ましい。
【0028】
この姿勢矯正ウエア10は、例えば、衣類本体11を身に着けるだけで、簡単に第1ベルト12及び第2ベルト13を適切に装着することができる。また、開閉部材14を開けることにより、簡単に片手で衣類本体11を身に着けることができる。更に、患側を反対側として装着することにより、患側の腕及び肩が支えられると共に、肩甲骨が正しい位置に支えられ、それにより肩の痛みや姿勢のゆがみが矯正される。
【0029】
このように、本実施の形態によれば、第1ベルト12により反対側の腕の前腕部付け根を支えるようにしたので、反対側の腕の重さを軽減し、反対側の肩を支えることができる。また、第2ベルト基本部13aにより反対側の肩甲骨下側を覆うようにしたので、反対側の脇の下で肩甲骨の側方の落ち込みを制限し、肩甲骨を正しい位置に戻すように支えることができる。更に、第2ベルト分岐部13bにより上腕二頭筋の腱を模倣しながら、反対側の前腕部内側を支えるようにしたので、反対側の腕を親指が外側に向く回外位とし、前腕部の重さを上腕二頭筋で支えやすくして、腕の重さを軽減することができる。よって、第1ベルト12及び第2ベルト13により筋肉や靭帯の動きをサポートして、肩の痛みや姿勢のゆがみを矯正することができる。
【0030】
加えて、衣類本体11に第1ベルト12及び第2ベルト13を配設するようにしたので、衣類本体11を身に着けることにより、簡単に第1ベルト12及び第2ベルト13を適切に装着することができる。
【0031】
更にまた、第1ベルト12又は第2ベルト基本部13aを片側の上腕骨頭から片側の肩峰又は肩峰よりも外側を通って背面に向かうように設ければ、上腕骨頭を後ろに引っ張ることにより、猫背や前屈み姿勢を改善することができる。また、僧帽筋を上から押さえることがなく、肩甲上神経を圧排しないようにするため効果的に肩こりを改善することができる。
【0032】
加えてまた、第2ベルト分岐部13bを反対側の肩甲頚部を通り反対側の肩峰又は肩峰よりも外側を通って前面に向かうように設ければ、反対側の肩甲上神経の圧迫もしないため僧帽筋を上から押さえることがなく、効果的に肩こりを改善することができる。
【0033】
更にまた、背骨に沿って脊柱起立筋を補助する脊柱起立筋補助部を備えれば、脊柱起立筋を補助して体重の3割の重さを支える背筋力の一部となることができ、柳の枝のように背面からの突っ張り強度が働き、猫背になりがちな前屈み姿勢を補助することで背筋の痛みを軽減しやすくすることができる。
【0034】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、全ての構成要素を備えている必要はなく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
骨盤安定性を向上させることができる骨盤ベルト付き衣類に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10…姿勢矯正ウエア、11…衣類本体、12…第1ベルト、13…第2ベルト、13a…第2ベルト基本部、13b…第2ベルト分岐部、14…開閉部材、15…密着部、16…脊柱起立筋補助部
【要約】
【課題】筋肉や靭帯の動きをサポートし、かつ、着用しやすい姿勢矯正ウエアを提供する。
【解決手段】姿勢矯正ウエア10は、衣類本体11に配設された第1ベルト12及び第2ベルト13とを備えている。第1ベルト12は、片側の肩から背面に向かい、反対側の肩甲頚部を通り反対側の橈骨の近位部まで延在して設けられている。片側の肩から背面に向かい、反対側の菱形筋、前鋸筋、又は、広背筋の肩甲骨に対する付着部を覆うように延在される第2ベルト基本部13aと、この第2ベルト基本部13aから反対側の背面において分岐し、反対側の肩甲下筋、小円筋、又は、大円筋を補助しながら反対側の肩甲頚部を通り前面に向かい、反対側の尺骨の近位部まで延在された第2ベルト分岐部13bとを有している。
【選択図】図1
図1
図2
図3