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特許7340313固形分を多く含む細胞培養物の自動清澄化のための制御システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】固形分を多く含む細胞培養物の自動清澄化のための制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/16 20060101AFI20230831BHJP
   B01D 61/22 20060101ALI20230831BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20230831BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230831BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B01D61/16
B01D61/22
C12N1/00 K
C12M1/34 D
C12M1/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022508475
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 US2020046151
(87)【国際公開番号】W WO2021030573
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】62/886,144
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503393010
【氏名又は名称】レプリゲン・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Repligen Corporation
【住所又は居所原語表記】41Seyon Street,Building#1,Suite100,Waltham,Massachusetts02453,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャロル、デレク
(72)【発明者】
【氏名】ブランスビー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ユエン、フィリップ
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/022661(WO,A1)
【文献】特表2016-531558(JP,A)
【文献】特表2013-517771(JP,A)
【文献】特許第2812760(JP,B2)
【文献】特表2017-522169(JP,A)
【文献】国際公開第2015/175679(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C12N 1/00
C12M 1/34
C12M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過プロセスを実施する方法であって、
以下の値、すなわちプロセス容積(V)、パック細胞容積(PCV)、固体カットオフ(%固体)、およびオプションでフィルター保持値(R)のうちの1つまたは複数を、採集システムへのユーザ入力として受信するステップと、
以下の値、すなわち初期濃縮係数(CF)、透過物スループット容積(PTV)、および計算収量(%収量)のうちの1つまたは複数を、前記採集システムへの管理入力として受信するステップと、
前記採集システムを、
a)濃縮モード、
b)ダイアフィルトレーションモード、および
c)濃縮モード
で運転するステップとを含み、
制御アルゴリズムが、前記ユーザ入力およ前記管理入力に基づき、ダイアフィルトレーション中に前記%収量を達成するのに必要なダイアボリューム数を、式(V)に従って計算
【数5】
前記制御アルゴリズムは、式(III)および式(IV)に従って、残りのバイオリアクター容積と前記PTVに基づいて、前記ろ過プロセスを濃縮モードからダイアフィルトレーションモードにいつ切り替えるかを計算し、
【数3】
【数4】
前記制御アルゴリズムは、式(VI)および式(VII)に従って、ダイアフィルトレーション中に前記採集システムに加えられる緩衝液の総容積を計算する、
【数6】
【数7】
方法。
【請求項2】
前記制御アルゴリズムが、固体である細胞培養物のパーセンテージおよび液体である前記細胞培養物のパーセンテージを使用して、予想される生成物収量を計算する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
ダイアフィルトレーションモードは、前記採集システムが所定の前記固体カットオフ(%固体)に到達したときに行われる、請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
ダイアフィルトレーションモードは、必要な前記ダイアボリューム数に基づき、前記%収量に到達すると停止する請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたときに、
以下の値、すなわちプロセス容積(V)、パック細胞容積(PCV)、固体カットオフ(%固体)、およびオプションでフィルター保持値(R)のうちの1つまたは複数を、採集システムへのユーザ入力として受信すること、
以下の値、すなわち初期濃縮係数(CF)、透過物スループット容積(PTV)、および計算収量(%収量)のうちの1つまたは複数を、前記採集システムへの管理入力として受信すること、ならびに
前記採集システムを、
濃縮モード
ダイアフィルトレーションモード、および
濃縮モード
で運転すること
を前記プロセッサに行わせる命令を含むメモリと
を備えており、
制御アルゴリズムが、前記ユーザ入力およ前記管理入力に基づき、ダイアフィルトレーション中に前記%収量を達成するのに必要なダイアボリューム数を、式(V)に従って計算する、
【数5】
装置。
【請求項6】
プロセッサ回路によって実行されたことに応答して、
以下の値、すなわちプロセス容積(V)、パック細胞容積(PCV)、固体カットオフ(%固体)、およびオプションでフィルター保持値(R)のうちの1つまたは複数を、採集システムへのユーザ入力として受信すること、
以下の値、すなわち初期濃縮係数(CF)、透過物スループット容積(PTV)、および計算収量(%収量)のうちの1つまたは複数を、前記採集システムへの管理入力として受信すること、ならびに
前記採集システムを、
a)濃縮モード、
b)ダイアフィルトレーションモード、および
c)濃縮モード
で運転すること
を前記プロセッサ回路に行わせる命令のセットを含んでおり、
制御アルゴリズムが、前記ユーザ入力およ前記管理入力に基づき、ダイアフィルトレーション中に前記%収量を達成するのに必要なダイアボリューム数を、式(V)に従って計算する、
【数5】
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連開示の相互参照]
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下で、2019年8月13日出願のDerek Carroll他による米国仮特許出願第62/886,144号の優先権の利益を主張し、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、従来の接線流ろ過および接線流深層ろ過を使用した細胞培養流体のろ過に関する。
【背景技術】
【0003】
ろ過は典型的に、流体の溶液、混合物、または懸濁液を分離、清澄化、改質、および/または濃縮するために実施される。バイオテクノロジおよび医薬の業界において、ろ過は、新規薬剤、診断法、および他の生物学的生成物の製造、加工、および試験を成功に導くために不可欠である。たとえば、動物または微生物の細胞培養物を使用して生物学的薬剤を製造するプロセスにおいて、培養培地からの特定の成分の清澄化、選択的除去、および濃縮のため、またはさらなる処理の前に培地を改質するために、ろ過が実施される。また、ろ過を使用して、培養物を高細胞濃度で灌流する状態に維持することにより、生産性を向上させることができる。
【0004】
液相中の懸濁した粒子を分離する際に、(クロスフローろ過またはTFFとも称される)接線流ろ過システムが広く使用され、重要なバイオプロセシング用途を有している。単回の流体供給がフィルタを通過するデッドエンドろ過システムとは対照的に、接線流システムは、フィルタの表面を横切って流れる複数回の流体供給を特徴とし、結果的に供給物を2つの構成要素、すなわちフィルタを通過してきた透過物構成要素と、通過してこなかった残余構成要素とに分離する。デッドエンドシステムと比較して、TFFシステムではファウリングが生じにくい。Repligen社(マサチューセッツ州ウォルサム)によって商業化されたXCell(商標)交互接線流(ATF)技術で行われているように、ろ過要素を横切る流体供給の方向を交互にすること、フィルタを通して透過物で逆洗すること、および/または周期的に洗浄することにより、TFFシステムのファウリングをさらに低減させることができる。
【0005】
近年のTFFシステムは、中空糸膜または管状膜など、1つまたは複数の管状ろ過要素を含むフィルタを利用することが多い。管状ろ過要素が使用される場合、これらは典型的に、大型の流体容器内に一緒にパックされ、一方の端部で供給部と流体連通し、他方の端部で残余物用の容器または流路と流体連通するように配置されており、透過物は、糸の壁の孔を通って流れ、糸と、大型の流体容器内との間の空間に入る。管状ろ過要素は、収容可能な供給容積よりも大きく均一な表面積を提供し、これらの要素を利用するTFFシステムは、開発規模から商業規模へ容易にスケールアップすることができる。それらの利点があるにもかかわらず、TFFシステムのフィルタは、フィルタの流束限度を超過するとファウリングすることがあり、TFFシステムのプロセス容量には限界がある。TFFシステムのプロセス容量を増大させるための取り組みは、フィルタ流束とファウリングとの関係によって複雑化している。
【0006】
近年、TFFおよびATFのプロセスは、従来の中空糸膜の代わりに、(接線流深層ろ過またはTFDFとも称される)接線流深層フィルタを利用して設計されてきている。接線流深層フィルタは、接線流ろ過システムに関連する低いファウリング挙動と、深層ろ過システムの高い粒子容量とを組み合わせたものであり、高密度培養および/または連続ろ過の用途に関してかなりの将来性を有している。しかし、この将来性は、中空糸膜フィルタを既存のTFFおよびATFのプロセスの接線流深層フィルタに単に交換することによって実現され得るものではなく、これらのフィルタの利益を十分に活用するバイオプロセシングシステムおよび方法が、引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、中空糸またはTFDF細胞保持要素を含むシステムにおいて清澄化プロセスを制御するための新たなシステムおよび方法を提供する。これらのシステムおよび方法は、概して、他の項目の中でもとりわけ、培養物内の固体の割合、および使用されるプロセス容器(たとえば、バイオリアクタ)の容積をユーザ入力として取り、濃縮係数、%収量、および透過物容積などの他の入力は、必要に応じて、または望ましいように、ユーザによって修正することができるデフォルト値に設定されてよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本開示は、ろ過方法および/またはろ過制御方法であって、以下の値、すなわちプロセス容積およびパック細胞容積(PCV)のうちの1つまたは複数を、採集システムへのユーザ入力として受信するステップと、以下の値、すなわち初期濃縮係数(CF)、透過物スループット容積(PTV)、および計算収量のうちの1つまたは複数を、採集システムへの管理入力として受信するステップと、採集システムを(a)濃縮モード、(b)ダイアフィルトレーションモード、および(c)濃縮モードで運転するステップとを含む方法に関する。本態様による実施形態において、制御アルゴリズムは、ユーザ入力および/または管理入力に基づき、ダイアフィルトレーション中に処理されるダイアボリューム数を計算する。代替的にまたは付加的に、CF、PTV、収量、プロセス容積、および/またはパック細胞容積などのうちの1つまたは複数は、制御アルゴリズムおよび付加的な管理入力またはユーザ入力(たとえば、ダイアボリューム数など)に基づき計算されてよい。
【0009】
別の態様において、本開示は、細胞培養物からの生成物の採集を自動化する方法であって、濃縮係数および透過物スループット容積を入力するステップと、濃縮モードで運転を開始するステップと、入力された濃縮係数に到達すると、ダイアフィルトレーションポンプを使用して緩衝液を追加するステップと、計算されたまたは入力されたダイアボリューム数が処理されると、ダイアフィルトレーションポンプを停止するステップと、総透過物容積が、ユーザ入力または計算された透過物スループット容積に到達すると、運転を終了するステップとを含む方法に関する。
【0010】
さらに別の態様では、本開示は、ろ過プロセスを実施する方法であって、ユーザ入力として、プロセス容積、ペレット細胞容積、固体カットオフ、およびオプションとしてフィルタ保持値を受信するステップと、ユーザ入力または管理入力として、パーセント収量および透過物スループット容積を受信するステップと、ユーザ入力および管理入力に基づき、制御アルゴリズムを使用して運転パラメータを計算するステップと、濃縮モードで運転を開始するステップと、計算された運転パラメータに基づき、ダイアフィルトレーションポンプを使用して緩衝液を追加するステップと、計算された変数または入力パラメータにより確立された条件が達成されると(たとえば、特定のダイアボリューム数が処理されると)、ダイアフィルトレーションを停止するステップと、計算された変数または入力パラメータにより確立された条件が達成されると(たとえば、総透過物容積が、入力または計算された透過物スループット容積に到達すると)、運転を終了するステップとを含む方法に関する。
【0011】
本開示の先の態様のうちのいずれかによる様々な実施形態において、制御アルゴリズムは、固体である細胞培養物のパーセンテージおよび液体である細胞培養物のパーセンテージを使用して、予想される生成物収量を計算する。代替的にまたは付加的に、ダイアフィルトレーションを実施するステップは、システムが所定の固体パーセンテージに到達したときに行われ、かつ/またはダイアフィルトレーションを停止するステップは、必要なダイアボリューム数に基づき、計算されたパーセント収量に到達すると停止するステップをさらに含む。
【0012】
上記に列挙したものは、限定的ではなく例示的であることを意図しており、追加的な態様および実施形態が以下の開示に提示されることを、当業者であれば認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本開示の特定の実施形態によるTFDFシステムの概略図である。
【0014】
図1B】本開示の特定の実施形態によるTFDFシステムの概略図である。
【0015】
図2】本開示の特定の実施形態による清澄化/ダイアフィルトレーション/清澄化のプロセスを示す概略図である。
【0016】
図3】本開示の特定の実施形態による、濃縮/ダイアフィルトレーションの採集運転と濃縮/ダイアフィルトレーション/濃縮の採集運転とを比較した図である。
【0017】
図4A】本開示による、中空糸接線流深層フィルタの概略断面図である。
【0018】
図4B図4Aに示したもののような接線流フィルタ内の3本の中空糸を示す概略部分断面図である。
【0019】
図5図4Aに示したもののような接線流深層フィルタ内の中空糸の壁を示す概略断面図である。
【0020】
図6】本開示によるバイオリアクタシステムの概略図である。
【0021】
図7A】本開示による接線流ろ過システムの使い捨て可能部分を示す概略図である。
【0022】
図7B】本開示による再使用可能な制御システムを示す概略図である。
【0023】
図8】本開示による記憶媒体を示す概略図である。
【0024】
図9】本開示によるコンピューティングアーキテクチャを示す概略図である。
【0025】
図10】本開示による通信アーキテクチャの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[概要]
本開示の実施形態は、概してTFDFに関し、場合により、バイオプロセシングにおいて、特に灌流培養および採集において使用するためのTFDFシステムおよび方法に関する。本開示の実施形態と適合性のある1つの例示的なバイオプロセッシング装置は、所望の生物学的生成物を生成する細胞を培養するための容器(たとえばバイオリアクタ)などのプロセス容器を含む。このプロセス容器は、TFDFフィルタハウジングに流体連結されており、このTFDFフィルタハウジング内にTFDFフィルタ要素が配置されて、ハウジングを少なくとも第1の供給物/残余物流路と、第2の透過物またはろ液流路とに分割している。プロセス容器からTFDFフィルタハウジングに入る流体の流れは、典型的に、ポンプ、たとえば磁気浮揚ポンプ、蠕動ポンプ、または隔膜/ピストンポンプによって駆動され、これらのポンプは、流体を一方向に押しやるか、流れの方向を周期的に交互にすることができる。
【0027】
細胞培養期間の終わりに生物学的生成物を採集するように設計されたバイオプロセシングシステムは、概して、所望の生物学的生成物を含む流体(たとえば培養培地)から培養細胞を取り出すために、深層フィルタまたは遠心分離機などの大規模な分離デバイスを利用する。これらの大規模なデバイスは、凝集細胞、細胞残屑などを含む大量の粒子材料を捕捉するように選択される。しかし、近年の傾向では、作業と作業の合間の機器の滅菌に付随する混入または損傷のリスクを低減するために、バイオプロセシングセットにおいて使い捨て可能または単回使用の機器が利用されてきており、毎回使用後に大規模な分離デバイスを交換するコストは非常に高い。
【0028】
さらに、業界の傾向として、バイオプロセシング作業は長期間にわたって行われるか、または連続して行われることさえあることが示されている。そのような作業は、数日、数週、または数ヶ月の作業に延びることがある。フィルタなどの多くの典型的な構成要素は、ファウリングすることなく、または他のやり方でメンテナンスもしくは交換を必要とすることなく、そのような長時間にわたって十分に機能することは不可能である。
【0029】
本明細書に記載の特定のシステムおよび方法は、1つまたは複数の厚壁ポリマー中空糸フィルタを含む管状深度フィルタを利用する。各中空糸は、内径、外径、および壁厚さを特徴とし、十分に大きい壁厚さと、それに対応した大きい外径により、標準的な中空糸膜から区別される。厚壁ポリマー中空糸の外径がより大きいことは、本開示で使用される管状深度フィルタが、わずか1つの厚壁ポリマー中空糸フィルタしか含んでいないことがあり、(必ずではないが)概して、対応する中空糸膜フィルタよりも少ない中空糸を含むことを意味する。
【0030】
図1Aおよび1Bは、本開示の様々な実施形態において使用される細胞培養の自動清澄化のための例示的なシステムを示している。図1Aに示してある自動清澄化システム100は、交互接線流深層ろ過およびダイアフィルトレーションを提供するように構成されている。システム100は、バイオリアクタなどのプロセス容器110とフィルタ部120とを含んでおり、フィルタ部120は、フィルタ部を2つの流体区画、すなわち供給物/残余物流路130と透過物流路140(ろ液流路とも称される)とに分離するTFDFフィルタ(図示せず)を含んでいる。フィルタ部120は、たとえば、参照により本明細書に組み込まれるShevitzへのPCT公開番号第WO2012026978号の図3c~図3fに記載のピストンまたは隔膜ポンプなどの容量式ポンプに連結されている。供給物/残余物流路130は、プロセス容器110とフィルタ部120との間に通っており、透過物流路140は、透過物容器170まで通っている。システム100は、ダイアフィルトレーション流体容器150も含んでいる。ダイアフィルトレーション流体容器150からの流出は、(ここではポンプとして示してあるが、弁または他の適切なデバイスであってもよい)流れ制御部155を通過して、ダイアフィルトレーション流体容器150とプロセス容器110に接続するダイアフィルトレーション流体路160に入る。
【0031】
システムまた、コントローラ180も含んでおり、このコントローラ180は、ここでは汎用コンピュータとして示してあるが、入力を受信し、出力を送信し、事前プログラムされた命令に基づき自動的に動作を実行することができる任意の適切なデバイスであってよい(たとえば図8図10を参照)。コントローラ180は、キーボード、タッチスクリーンなどの周辺デバイスを介してユーザ入力を受信してよく、プロセス容器110および供給物/残余物流路130の一方または両方の中の培養物の1つまたは複数の変数を測定する1つまたは複数のセンサ181~183からプロセスデータ入力を受信する(ただし、図では、センサ181~183は、供給物/残余物流路130のみに接続されているものとして示してある)。コントローラは、オプションとして、透過物流路140およびダイアフィルトレーション流体路160のそれぞれの1つまたは複数のセンサ184、185からの入力も受信する。これらのセンサによって測定される変数は、限定することなく、圧力、流れ、pH、温度、濁度、光学濃度、インピーダンス、または清澄化プロセスの制御に関連する他の変数を含んでよい。
【0032】
これらの入力に基づき、かつ以下でより詳細に説明する制御方法を実装する事前プログラムされた制御アルゴリズムまたは発見的手法を実行することにより、コントローラ180は1つまたは複数の出力を生成し、容量式ポンプ125と、ダイアフィルトレーション流体制御部155と、透過物流路140を通る流れを調整する透過物弁192とを含め、流体流れを調整するシステム100の構成要素に、データを送信する。
【0033】
次に図1Bを見ると、代替なシステム設計は、接線流ろ過および定容ダイアフィルトレーションを利用する。システム200は、プロセス容器210およびろ過ユニット220を含んでいるが、分離した流出230の流路と戻り(残余)235の流路とを含んでおり、それにより、ろ過ユニット220を通る流れの方向が、図1Aに示すシステムのように交互になるのではなく、システムの動作中に一定に維持される。流出流路230は、ダイアフィルトレーション流体容器250からのダイアフィルトレーション流路255と合流して、ろ過ユニット220の単一の供給流路260になる。透過物流路240、透過物容器270、コントローラ280、およびセンサ281~285は、実質的に図1Aに示したシステムについて上で説明した通りである。しかし、重要なことに、定容ダイアフィルトレーションプロセスは、複数の流体流路の制御を必要とし、したがって、コントローラ280は、透過物流路240、プロセス容器出力230、およびダイアフィルトレーション流体出力255を通る流れをそれぞれ調整する複数の弁291、292、293に出力を送信することになる。またコントローラ280は、オプションとして、ダイアフィルトレーションポンプ225からの入力を送信および/または受信することになる。
【0034】
上に説明した自動化システムの特徴のうちの特定の特徴は、システムの他の態様を修正することなく修正可能であることに留意すべきである。たとえば、図1Bは、定容ダイアフィルトレーション向けに構成されたTFFシステムを示しているが、当業者であれば、定容ダイアフィルトレーションを提供しないTFFシステムが使用されてよいことを理解するであろう。
[制御アルゴリズム]
【0035】
清澄化は、細胞培養の生成物を回収および精製するための下流プロセスにおける最初のステップであることが多い。TFFに基づく清澄化プロセスにおける主要な課題のうちの1つは、(たとえば、透過物に入る生成物の通過を最大化することにより)生成物収量を最大化するとともに、細胞および残屑の通過を最小限に抑えることにある。このことは、残余物における固体の割合が経時的に増大することにより、さらに複雑になる。濃縮プロセスは、以下の式(I)によって示されるように残余物を濃縮できるとき、最も効率的になる。
【数1】
ここで、Cは、濃縮係数である。
【0036】
しかし、細胞および細胞残屑の濃度が高いと(すなわち、残余物中の固体のパーセンテージが高いと)、フィルタはファウリングをより生じやすくなることがある。固体のパーセンテージがこのように高くなることは、ダイアフィルトレーションモードでフィルタを運転することにより軽減することができ、このダイアフィルトレーションモードでは、通過して透過物になった流体容積を元に戻すように新たな緩衝液または培地を導入することにより、固体のパーセンテージが実質的に維持される。しかし、長期間にわたってダイアフィルトレーションモードで運転することにより、必要な収集容積も大幅に増大することにもなる。ダイアフィルトレーションプロセスの予想される収量(フィルタによる生成物の保持はないと仮定)は、以下の式(II)によって与えられる。
【数2】
ここでNは、ダイアボリューム数である。
【0037】
これまで、固体の濃度を下げることにより実現されるファウリングの低減と、長期間のダイアフィルトレーションプロセスに必要な収集容積の増大とは、(a)供給物/残余物をフィルタがファウリングなしに収容可能なレベルまで濃縮する第1の濃縮段階と、それに続く(b)生成物の回収を最大化するダイアフィルトレーション段階として濃縮プロセスを構造化することにより、バランスが保たれてきた。しかし、(a)第1の濃縮段階および(b)ダイアフィルトレーション段階、それに続く(c)第2の濃縮段階として構造化されたプロセスが、フィルタのファウリングが生じる可能性を制限する閾値まで供給物/残余物中の固体の濃度を有利に制限するとともに、ダイアボリュームの必要な数も低減することを、発明者らは発見した。
【0038】
この開示の特定の実施形態は、濃縮プロセスのための制御アルゴリズムに関し、この制御アルゴリズムは、開始固体割合(たとえば、投入材料の容積のパーセンテージとしてのペレット細胞の容積として表される)(%PCV)、ならびに以下のもの、すなわち投入材料容積(たとえば、バイオリアクタ容積)(V)、固体パーセンテージカットオフ値(%固体)、および所望の最少生成物回収パーセンテージ(%収量)のうちの1つまたは複数を利用する。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、フィルタにより保持される生成物はないと仮定するが、他の実施形態では、保持係数または伝達関数を使用して、フィルタおよび/または他のシステム構成要素による生成物の保持が考慮される。
【0039】
本開示によるアルゴリズムは、上に列挙した変数入力を利用して、プロセスで使用されるダイアボリューム数、予想される収量、収集容積、運転の開始および停止の時間、ダイアフィルトレーションの開始および停止の時間などの清澄化プロセス変数を計算する。しかし、現在使用されているいくつかの方法とは対照的に、本開示によるアルゴリズムは、これらのプロセス変数の計算から、固体の容積を除外することができる。この手法は、(a)濃縮係数または必要なダイアボリューム数が必要以上に多くならないようにすること、および(b)細胞含有物のばらつきに起因するバッチ間のばらつきを低減することを含むがこれらに限定されないいくつかの潜在的な利点を有する。
【0040】
上に示してあるように、本開示のいくつかの実施形態によるアルゴリズムは、固体の割合が、運転中に所定の閾値固体濃度または%固体より低く保たれるように濃縮係数および他のプロセス変数を計算する。これは、たとえば%固体閾値かまたはそれを上回る固体濃度が検出されたときにダイアフィルトレーションポンプを開始することによって、実現することができる。%収量を達成するのに必要なダイアボリューム数が供給されるまで、ダイアフィルトレーションポンプは運転し、ダイアフィルトレーションステップは継続される。次いで、ダイアフィルトレーションポンプは停止し、濃縮係数に到達するまでシステムは濃縮モードで運転を継続する。
【0041】
いくつかの実施形態において、本開示は、細胞培養物から生成物を採集する方法に関する。採集プロセスは、以下のものなどの5つの(またはオプションとして6つの)入力を取る制御アルゴリズムによって規定される。
・V=プロセス/バイオリアクタの容積
・PCV=ペレット細胞容積の%
・%固体=濃縮モードを終了する前に固体相材料である細胞培養物の最大パーセント
・収量=回収されるバイオリアクタ内の生成物の%(フィルタおよびシステムのその他の部分を通る理想的な通過を仮定)
・R=フィルタまたはシステムのその他の部分によって保持される任意の生成物の計算を補正するためのオプションの保持係数。理想的なろ過を仮定するためにゼロに設定可能。
・透過物スループット容積=透過物プールの容積
【0042】
これらの実施形態によるプロセスは、残余物がバイオリアクタ内で濃縮されるように、ダイアフィルトレーションポンプがオフの状態で濃縮モードで始まる。%PCVが%固体と比較され、残りのバイオリアクタ容積と、以下の式(III)および(IV)により計算された透過物スループット値とに基づき、プロセスが濃縮モードからダイアフィルトレーションモードに切り替えられる。
【数3】
【数4】
【0043】
上で議論したように、プロセスが最初の濃縮モードからダイアフィルトレーションモードに切り替えられた後、以下の式(V)により計算される、所望の%収量を達成するのに必要なダイアボリューム数が通過するまで、プロセスはダイアフィルトレーションモードで継続される。
【数5】
【0044】
この実施形態群による方法は、システムに加えられたダイアボリューム数および/またはフィルタを通過した透過物の容積を監視するためのセンサまたは他の手段を含むシステムにおいて実装するのに特によく適したものであり得ることが、当業者には明らかであろう。ダイアフィルトレーションモード中にシステムに加えられる緩衝液の総容積は、以下の式により計算される。
【数6】
【数7】
【0045】
本開示の実施形態は、ダイアフィルトレーションポンプおよびダイアフィルトレーション流体源とともに構成された、薄壁中空糸を利用したTFFシステムおよび厚壁中空糸を使用したTFFシステムを含むがこれらに限定されない様々な接線流ろ過システムとともに使用されてよく、これらのシステムについては以下でより詳細に説明する。
【0046】
本開示の実施形態において使用されるダイアフィルトレーション流体は、当技術分野に使用される任意の適切な流体を含む。たとえば、多くの場合、(たとえば、細胞に対するストレスまたは損傷を最小限に抑えるために)新たな細胞培養培地が使用される一方で、生理食塩水(たとえば、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水など)が使用される場合もある。水を含むがこれらに限定されない他の水性培地も使用されてよく、その場合には、浸透圧のバランスを調整していない溶液に晒されることに起因する細胞に対するショックを低減するか最小限に抑えるために、ダイアフィルトレーション流体をシステムに加える速度(ひいてはプロセス時間)がオプションとして調整される。
【0047】
いくつかの例では、培養物の固形分またはペレット細胞容積が、制御アルゴリズム出力を生成する際に使用される。しかし、培養物または溶液の固形分は、必ずしも決定されておらず、本開示の特定の実施形態において、たとえば綿状凝集によって操作されることがあり、これにより総固形分および/または平均粒子サイズが増大することがあり、ひいてはプロセス中に膜のファウリングが生じる可能性が低減する。従って、いくつかの実施形態において、たとえば綿状凝集によってろ過運転前またはろ過運転中に修正された固形分が、入力変数として使用される。
[TFDF]
【0048】
本開示による厚壁中空糸接線流フィルタ30の概略断面図が、図4Aに示してある。中空糸接線流フィルタ30は、入口チャンバ30aと出口チャンバ30bとの間に延在している平行な中空糸60を含んでいる。流体入口ポート32aは、入口チャンバ30aに流れ12を提供し、残余流体出口ポート32dは、残余流れ16を出口チャンバ30bから受け取る。中空糸60は、入口チャンバ30aを通して流れ12を受け取る。流れ12は、それぞれの中空糸60の中空糸内部60aに導入され、透過物流れ24は、中空糸60の壁70を通過して、フィルタハウジング31内の透過物チャンバ61に入る。透過物流れ24は、透過物流体出口ポート32bおよび32cに移動する。図4Aでは、透過物流れ24を取り出すために2つの透過物流体出口ポート32bおよび32cが使用されているが、他の実施形態では、単一の透過物流体出口ポートのみが使用されてもよい。ろ過された残余流れ16は、中空糸60から出口チャンバ30bに移動し、残余流体出口ポート32dを通って中空糸接線流フィルタ30から放出される。
【0049】
図4Bは、図4Aに示したものと類似した中空糸接線流フィルタ内の3本の中空糸60の概略部分断面図であり、大粒子74および小粒子72aを含む(供給物とも称される)入口流れ12を、小粒子の一部分を含む透過物流れ24と、中空糸60の壁70を通過しない大粒子74および小粒子72aの一部分を含む残余流れ16とに分離することを示している。
【0050】
本開示による接線流フィルタは、大粒子(たとえば、細胞、マイクロキャリア、または他の大粒子)を除去し、中間サイズの粒子(たとえば、細胞残屑または他の中間サイズの粒子)を捕捉し、小粒子(たとえば、発現たんぱく質、ウイルス、ウイルス状粒子(VLP)、エキソソーム、脂質、DNA、または他の小粒子を含む、細胞によって生成された可溶性および不溶性の細胞代謝産物および他の生成物)を通過可能にするのに適した孔サイズおよび深さを有する接線流フィルタを含んでいる。本明細書で使用する「マイクロキャリア」は、バイオリアクタ内で接着細胞の成長を可能にする粒子担体である。
【0051】
本開示の様々な実施形態による接線流深層フィルタは、厳密に規定された孔構造を有していない。フィルタの「孔サイズ」よりも大きい粒子は、フィルタの表面で止められることになる。他方で、かなりの量の中間サイズの粒子は、フィルタの壁に入り、壁の反対側の表面から出てくる前に壁の中に捕捉される。より小さい粒子および可溶性材料は、透過物流れにおいてフィルタ材料を通過することができる。当技術分野における多くの他のフィルタよりも分厚い構成で多孔率が高いことから、フィルタは、向上した流速と、ろ過技術分野で「粒子保持容量」として知られていることとを呈することができ、「粒子保持容量」は、許容可能な最大背圧に到達する前にフィルタが捕捉および保持可能な粒子状物質の量である。
【0052】
これに関して、図5は、図4Aのような中空糸接線流フィルタ30とともに使用される中空糸60の壁70の概略断面図である。図5では、大粒子74、小粒子72a、および中間サイズの粒子72bを含む流れ12が、中空糸接線流フィルタ30の流体入口ポート32aに導入される。大粒子74は、中空糸の中空糸内部60a(本明細書において糸内腔とも称される)を形成する壁70の内側表面に沿って進み、最終的には残余流れにおいて放出される。壁70は蛇行路71を含んでおり、この蛇行路71は、流れ12の一部分が中空糸接線流フィルタ30の壁70を通過するときに、流れ12の特定の要素(すなわち、中間サイズの粒子72b)を捕捉しながら、その一方で他の粒子(すなわち、小粒子72a)には、透過物流れ24の一部として壁70の通過を可能にする。図5の概略断面図では、蛇行路71に入る中間サイズの粒子72bを捕捉しながら、その一方でより小さい粒子72aには壁70の通過を可能にし、こうして中間サイズの粒子72bを捕捉し、透過物流れ24のより小さい粒子72aから中間サイズの粒子72bを分離させるものとして、沈降ゾーン73および狭小流路75が示されている。こうして、中間サイズの粒子72bが、壁70の内側表面で蓄積して、蛇行路71への入口を詰まらせることがある標準的な薄壁中空糸接線流フィルタ膜の表面により得られるろ過と、この方法は異なっている。
【0053】
これに関して、灌流でろ過されるものなどの細胞培養流体のろ過および細胞培養流体の採集を含め、様々なろ過プロセスについて最も問題になる領域の1つは、フィルタファウリングに起因した標的分子または粒子の物質移動の低下である。本開示は、これらの障害の多くを、接線流ろ過の利点と深層ろ過の利点とを組み合わせることにより克服する。接線流ろ過を使用する標準的な薄壁中空糸フィルタと同様に、細胞は中空糸の内腔を通って送り込まれ、中空糸の内側表面の表面に沿って内腔を流れて、さらなる生産のために細胞を再循環できるようになる。しかし、たんぱく質および細胞残屑が中空糸の内側表面においてファウリングゲル層を形成するのではなく、壁は、壁構造の内側に細胞残屑を捕捉する本明細書において「深層ろ過」機能と称されるものを付加して、容積スループットを増大させながら、本開示の様々な実施形態において、典型的な標的たんぱく質の100%に近い通過を維持できるようにする。そのようなフィルタは、本明細書において接線流深層フィルタと称されてよい。
【0054】
図5に概略的に示してあるように、本開示の様々な実施形態による接線流深層フィルタは、厳密に規定された孔構造を有していない。フィルタの孔サイズよりも大きい粒子は、フィルタの表面で止められることになる。他方で、かなりの量の中間サイズの粒子は、フィルタの壁に入り、壁の反対側の表面から出てくる前に壁の中に捕捉される。より小さい粒子および可溶性材料は、透過物流れにおいてフィルタ材料を通過することができる。当技術分野における多くの他のフィルタよりも分厚い構成で多孔率が高いことから、フィルタは、向上した流速と、ろ過技術分野で「粒子保持容量」として知られていることとを呈することができ、「粒子保持容量」は、許容可能な最大背圧に到達する前にフィルタが捕捉および保持可能な粒子状物質の量である。
【0055】
厳密に規定された孔構造がないにも関わらず、所与のフィルタの孔サイズは、広く使用されている「バブルポイント試験」として知られた孔サイズ検出方法により、客観的に決定されることが可能である。バブルポイント試験は、所与の流体および孔サイズに関して、常に濡れた状態で、気泡を孔に押し通すのに必要な圧力は、孔の直径に対して反比例するということに基づいている。実際、このことは、フィルタ材料を流体で濡らして、気体圧力下で、濡れたフィルタの下流で泡の連続した流れが最初に確認されたときの圧力を測定することにより、フィルタの最大孔サイズを確立できることを意味している。泡の最初の流れがフィルタ材料から出るポイントが、フィルタ材料における最大孔を反映しており、圧力と孔サイズとの関係は、ポアズイユの法則に基づいており、P=K/dに簡略化することができ、ここでPは、泡の流れの出現時における気体圧力であり、Kは、フィルタ材料に依存した実験定数であり、dは孔の直径である。これに関して、本明細書において実験的に決定される孔サイズは、圧力スキャン法(圧力の上昇およびその結果生じる気体流が試験中に連続的に測定される)に基づきPOROLUXTM1000Porometer(ベルギー、Porometer NV)を使用して測定され、これにより最初のバブルポイントサイズ(FBP)、平均流れ孔サイズ(MFP)(本明細書において「平均孔サイズ」とも称される)、および最小孔サイズ(SP)についての情報を得るために使用可能なデータが提供される。これらのパラメータは、毛細管流ポロメトリの技術分野においてよく知られている。
【0056】
様々な実施形態では、本開示で使用するための中空糸は、たとえば0.1ミクロン(μm)またはそれ以下~30ミクロンまたはそれ以上の範囲の、典型的には、他の可能な値の中でもとりわけ0.2~5ミクロンの範囲の平均孔サイズを有していてよい。
【0057】
様々な実施形態では、本開示で使用するための中空糸は、たとえば1mm~10mmの範囲の、典型的には2mm~7mmの範囲の、より典型的には、他の値の中でもとりわけ約5.0mmの壁厚さを有していてよい。
【0058】
様々な実施形態では、本開示で使用するための中空糸は、たとえば0.75mm~13mmの範囲、1mm~5mm、0.75mm~5mmの範囲、他の値の中でもとりわけ4.6mmの内径(すなわち、内腔直径)を有してよい。概して、内径が縮小すると、剪断速度が増大することになる。理論に束縛されることを望むわけではないが、剪断速度の増大により、中空糸の壁からの細胞および細胞残屑の洗い流しが向上すると考えられる。
【0059】
本開示で使用するための中空糸は、様々な長さを有していてよい。いくつかの実施形態において、中空糸は、たとえば他の値の中でもとりわけ長さ200mm~2000mmの範囲の長さを有していてよい。
【0060】
本開示で使用するための中空糸は、様々なプロセスを使用して様々な材料から形成されてよい。
【0061】
たとえば、中空糸は、多数の粒子、フィラメント、または粒子とフィラメントとの組み合わせを管形状にアセンブリすることによって形成されてよい。粒子および/またはフィラメントから形成された中空糸の孔サイズおよび孔分布は、中空糸を形成するようにアセンブリされた粒子および/またはフィラメントのサイズおよび分布に依存する。フィラメントから形成された中空糸の孔サイズおよび孔分布は、中空糸を形成するようにアセンブリされたフィラメントの密度にも依存する。たとえば、0.5ミクロン~50ミクロンの範囲の平均孔サイズは、フィラメントの密度を変えることによって作成することができる。
【0062】
本開示で使用するための適切な粒子および/またはフィラメントは、無機と有機の両方の粒子および/またはフィラメントを含む。いくつかの実施形態において、粒子および/またはフィラメントは、単一成分の粒子および/または単一成分のフィラメントであってよい。いくつかの実施形態において、粒子および/またはフィラメントは、複数成分(たとえば、二成分、三成分など)の粒子および/またはフィラメントであってよい。たとえば、他の多くの可能性の中でもとりわけ、第1の成分から形成されたコアと第2の成分から形成されたコーティングまたはシースとを有する二成分の粒子および/またはフィラメントが使用されてよい。
【0063】
様々な実施形態において、粒子および/またはフィラメントは、ポリマーから作られてよい。たとえば、粒子および/もしくはフィラメントは、単一のポリマーから形成された単一成分のポリマー粒子および/もしくはフィラメントであってもよいし、または2つ、3つ、またはそれ以上のポリマーから形成された複数成分の(すなわち、二成分、三成分などの)粒子および/またはフィラメントであってもよい。とりわけ、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6またはナイロン66などのポリアミド、フッ化ポリビニリデン(PVDF)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフルオロポリマーを含む様々なポリマーを使用して、単一成分および複数成分の粒子および/またはフィラメントが形成されてよい。
【0064】
様々な実施形態において、フィルタの多孔壁は、ポリマーの同等な固体容積に比較してフィラメントが吸収する容積のパーセンテージである密度を有していてよい。たとえば、フィルタの多孔壁の質量を、多孔壁が吸収する容積で割り、割合の形のその結果を、フィラメント材料の非多孔壁の質量を同じ容積で割ったものと比較することにより、パーセント密度を計算することができる。ファウリングすることなくフィルタが動作可能な可変細胞密度(VCD)の量に直接的な関係を有する特定の密度パーセンテージを有するフィルタは、製造中に生産されてもよい。フィルタの多孔壁の密度は、付加的または代替的に容積当たりの質量(たとえば、グラム/cm)によって表されてもよい。
【0065】
以下の表1は、約51%の密度パーセンテージを有する6つのフィルタの例示的なデータを示す。図6の第2のフィルタP3および以下の表1のフィルタは、約4μmの孔サイズおよび約51%の密度パーセンテージを有しているが、異なる孔サイズおよび密度パーセンテージを有する他のフィルタ、たとえば、約53%の密度パーセンテージおよび約2μmの孔サイズを有する公称保持率90%のフィルタが企図される。
表1:約4μmの孔サイズを有するフィルタのパラメータ
【表1】
【0066】
粒子は、たとえば管状の型を使用することにより管形状に形成されてよい。管形状に形成されると、任意の適切なプロセスを使用して粒子は互いに接着されてよい。たとえば、粒子が部分的に溶融して様々な接点で互いに接着される点まで粒子を加熱し(焼結として知られているプロセス)、またその間にオプションとして粒子を圧縮することにより、粒子は互いに接着されてよい。別の例として、適切な接着剤を使用して粒子を様々な接点において互いに接着し、またその間にオプションとして粒子を圧縮することにより、粒子が互いに接着されてもよい。たとえば、図5に概略的に示す壁70に類似した壁を有する中空糸は、複数の不規則な粒子を管形状にアセンブリして、粒子を圧縮しながら加熱することにより、粒子を互いに接着させることによって形成されてよい。
【0067】
管形状を形成するために使用可能な、フィラメントを用いた作製技術は、とりわけ、たとえば複数の押出ダイからの同時押出(たとえば、溶融押出、溶剤ベースの押出など)、またはロッド形状の基板(その後取り外される)へのエレクトロスピニングもしくはエレクトロスプレーを含む。
【0068】
フィラメントは、任意の適切なプロセスを使用して互いに接着されてよい。たとえば、フィラメントが部分的に溶融して様々な接点で互いに接着される点までフィラメントを加熱し、またその間にオプションとしてフィラメントを圧縮することにより、フィラメントは互いに接着されてよい。別の例として、適切な接着剤を使用してフィラメントを様々な接点において互いに接着し、またその間にオプションとしてフィラメントを圧縮することにより、フィラメントが互いに接着されてもよい。
【0069】
特定の実施形態において、他の可能性の中でもとりわけ、たとえば押し出された複数のフィラメントから管形状を形成し、複数のフィラメントを加熱して互いに接着することにより、押し出された多数の細いフィラメントを様々な点において互いに接着して中空糸が形成されてよい。
【0070】
いくつかの例では、押し出されたフィラメントは、溶融ブローフィラメントであってよい。本明細書で使用される「溶融ブロー」という用語は、フィラメントが溶融状態にある間に、フィラメント押出ダイの出口で気体流を使用してフィラメントを細くまたは薄くすることを指す。溶融ブローフィラメントは、たとえばBergerへの米国特許第5,607,766号に記載されている。様々な実施形態において、単一成分または二成分のフィラメントは、押出ダイを出るときに、知られている溶融ブロー技術を使用して細くされて、フィラメントの集まりが生成される。次いでフィラメントの集まりは、中空糸の形で互いに接着されてよい。
【0071】
特定の有益な実施形態において、中空糸は、コア材料の溶融点よりも低い温度で接着可能な第1の材料のシースを有する二成分フィラメントを組み合わせることにより、形成されてよい。たとえば、二成分押出技術と、溶融ブローで細くすることとを組み合わせて絡まった二成分フィラメントのウェブを生成し、次いで(たとえば、オーブンでまたは蒸気もしくは加熱空気などの加熱流体を使用して)このウェブを形状設定および加熱してフィラメントをそれらの接点で接着することにより、中空糸が形成されてよい。シース-コアの溶融ブローダイの例は、米国特許第5,607,766号に概略的に示してあり、この例では、溶けたシース形成ポリマーと溶けたコア形成ポリマーとがダイに供給されダイから押し出される。溶けた二成分シース-コアフィラメントは、フィラメントを細くする高速の空気流内に押し出されて、細い二成分フィラメントの製造が可能になる。Bergerへの米国特許第3,095,343号は、マルチフィラメントウェブを集め熱処理して、主に長手方向にランダムに配向されたフィラメントの連続した管状本体(たとえば、中空糸)を形成するための装置を示しており、ここでフィラメントの本体は、全体的に長手方向に位置合わせされており、全体として平行に配向されているが、多少非平行に発散および収束する方向にランダムに通っている短い部分を有する。このように、シース-コアの二成分フィラメントのウェブは、(たとえば、中央通路形成部材を有する先細りノズルを使用して)狭い領域に引き込まれてよく、ここで集められて管状のロッド形状にされ、加熱され(または他のやり方で硬化されて)フィラメントを接着する。
【0072】
特定の実施形態では、形成されたままの中空糸は、糸の内側または外側のいずれかを適切なコーティング材料(たとえば、PVDF)でさらにコーティングされてよく、このコーティングプロセスは、必要に応じて中空糸の孔サイズを縮小するように作用してもよい。
【0073】
上に記載したものなどの中空糸は、バイオプロセシングおよび医薬の用途の接線流フィルタを構築するために使用されてよい。そのような接線流フィルタを使用できるバイオプロセシング用途の例は、たんぱく質、ウイルス、ウイルス状粒子(VLP)、エキソソーム、脂質、DNA、および他の代謝産物などのより小さい粒子から細胞を分離するために細胞培養流体が処理される用途を含む。
【0074】
そのような用途は灌流用途を含んでおり、この灌流用途では、より小さい粒子が、透過物流体として細胞培養培地から連続的に取り出され、その間に細胞は、バイオリアクタに戻される残余流体に保持される(ここで、等しい容積の媒体が、典型的には同時にバイオリアクタに加えられて、全体的なリアクタ容積が維持される)。そのような用途はさらに、清澄化用途または採集用途を含んでおり、これらの用途では、より小さい粒子(典型的には生物学的生成物)がより素早くに透過物流体として細胞培養培地から取り出される。
【0075】
上に記載したものなどの中空糸は、粒子の分別、濃縮、および洗浄のための接線流深層フィルタを構築するために使用されてよい。そのような接線流フィルタを使用できる用途の例は、そのような接線流深層フィルタを使用した、より大きい粒子からの小粒子の除去、そのような接線流深層フィルタを使用したマイクロ粒子の濃縮、およびそのような接線流フィルタを使用したマイクロ粒子の洗浄を含む。
【0076】
本開示とともに使用するためのバイオリアクタシステム10の特定の例を、ここで説明する。
図3図4Aおよび図4B図6図7Aおよび図7Bを参照すると、バイオリアクタシステム10は、バイオリアクタ流体13を含むバイオリアクタ容器11と、接線流ろ過システム14と、制御システム20とを含んでいる。接線流ろ過システム14は、バイオリアクタ出口11aとバイオリアクタ入口11bとの間に接続されて、たとえば細胞、細胞残屑、不要な代謝産物を含む細胞代謝産物、発現たんぱく質などを含むバイオリアクタ流体12(バイオリアクタ供給物とも称される)を、バイオリアクタ管15を通してバイオリアクタ11から受け、ろ過流れ16(残余流れまたはバイオリアクタ戻りとも称される)を、戻り管17を通してバイオリアクタ11に戻す。バイオリアクタシステム10は、接線流ろ過システム14を通してバイオリアクタ流体を循環させ、この接線流ろ過システム14が、様々な物質(たとえば、細胞残屑、可溶性および不溶性の細胞代謝産物、ならびに発現たんぱく質、ウイルス、ウイルス状粒子(VLP)、エキソソーム、脂質、DNA、または他の小粒子を含む細胞によって生成された他の生成物)をバイオリアクタ流体から除去し、バイオリアクタ容器11内での反応を継続できるように細胞を戻す。不要な代謝産物を除去することにより、バイオリアクタ内で細胞の増殖を継続することが可能になり、それにより細胞は、対象とする組み換えたんぱく質、抗体、または他の生物学的材料を発現させ続けることができる。
【0077】
バイオリアクタ管15は、たとえばバイオリアクタ11の最下点または浸漬管に接続されてよく、戻り管17は、たとえばバイオリアクタ容積の上部分において、バイオリアクタ11に接続され、バイオリアクタ流体13に沈められてよい。
【0078】
バイオリアクタシステム10は、中空糸接線流フィルタ30(より詳細に上に記載)と、ポンプ26と、関連する取付け部および接続部とを含むアセンブリを含んでいる。たとえば、とりわけ蠕動ポンプ、容量式ポンプ、およびポンプヘッドの内側に浮揚ロータを有するポンプを含む任意の適切なポンプが、本開示とともに使用されてよい。特定の例として、ポンプ26は、剪断力の低い、ガンマ線照射安定性を有する、使い捨て可能な浮揚ポンプヘッド26a、たとえば米国マサチューセッツ州ウォルサムのLevitronix社により製造されたモデル番号PURALEV(登録商標)200SU低剪断力再循環ポンプを含んでよい。PURALEV(登録商標)200SUは、使い捨て可能なポンプヘッド内に磁気浮揚ロータを含み、ポンプ本体内にステータ巻線を含んでおり、ポンプヘッド26aの簡単な取り外しおよび交換が可能である。
【0079】
バイオリアクタ流体12の流れは、バイオリアクタ容器11から接線流ろ過システム14へ進み、バイオリアクタ流体16の戻り流れは、接線流ろ過システム14から進んでバイオリアクタ容器11に戻る。透過物流れ24(たとえば、発現たんぱく質、ウイルス、ウイルス状粒子(VLP)、エキソソーム、脂質、DNA、または他の小粒子を含む細胞によって生成された可溶性および不溶性の細胞代謝産物、ならびに他の生成物を含む)は、接線流ろ過システム14によってバイオリアクタ材料12の流れから取り除かれ、管19によって接線流ろ過システム14から搬出される。透過物流れ24は、透過物ポンプ22によって中空糸接線流システム14から引き抜かれて、保管容器23に入れられる。
【0080】
示してある実施形態では、接線流ろ過システム14(図7Aを参照)は、初期設定およびメンテナンスを簡単にする使い捨て可能なポンプヘッド26aを含んでいる。ポンプヘッド26aは、中空糸接線流フィルタ30を通ってバイオリアクタ容器11に戻るようにバイオリアクタ流体12を循環させる。中空糸接線流フィルタ30内での圧力を制御するために、非侵略的な経膜圧力制御弁34が、中空糸接線流フィルタ30からバイオリアクタ容器11に向かう流れ16に沿って設けられてよい。たとえば、弁34は、戻り流れ16を搬送する管の外側に存在する非侵略的な弁であってよく、この弁が管を絞って流れを制限および制御し、それにより膜に加えられる圧力を弁が調整できるようになる。代替的に、またはさらに、中空糸接線流フィルタ30に脈動流を提供するために、ポンプヘッド26aの入口に流れコントローラ36が設けられてよく、これについては以下でより詳細に説明する。透過物流れ24は、中空糸接線流フィルタ30を流れるバイオリアクタ流体13から継続的に取り出されてよい。ポンプヘッド26aおよび透過物ポンプ22は、中空糸接線流フィルタ30を通る所望の流れ特性を維持するために制御システム20によって制御される。
【0081】
接線流ろ過システム14のポンプヘッド26aと中空糸接線流フィルタ30とは、要素の容易な交換を可能にする可撓性の管によって接続されてよい。中空糸接線流フィルタ30に材料が詰まった場合に、そのような管は、中空糸接線流フィルタ30の無菌置換を可能にし、したがって新しい中空糸アセンブリへの容易な交換を実現する。
【0082】
接線流ろ過システム14は、たとえばガンマ線照射、eビーム照射、またはETOガス処理を使用して滅菌されてよい。
【0083】
再び図4Aを参照すると、いくつかの実施形態において、動作中に透過物流れ24を取り出すために、2つの透過物流体出口ポート32bおよび32cが使用されてよい。他の実施形態では、単一の透過物流体出口ポートのみが使用されてもよい。たとえば、透過物流れ24は、(たとえば、透過物ポート32bを閉じることにより)上側透過物ポート32cのみから収集されてもよいし、または(たとえば、透過物ポート32cが閉じられているか開いたまま保たれている間に、下側透過物ポート32bから透過物流れ24を排出することにより)下側透過物ポート32bのみから収集されてもよい。特定の有益な実施形態では、中空糸60の下流(上側)端部(低圧端部)を逆洗する透過物を中空糸60の上流(下側)端部(高圧端部)が生成するという現象であるスターリング流れを低減または排除するために、透過物流れ24は、下側透過物ポート32bから排出されてよい。下側透過物ポート32bから透過物流れ24を排出することにより、中空糸60の上側端部に空気が接触した状態で保たれて、スターリング流れが最小限に抑えられるか排除される。
【0084】
特定の実施形態において、バイオリアクタ流体12は、一定の流速で中空糸接線流フィルタ30に導入されてよい。
【0085】
特定の実施形態において、バイオリアクタ流体は、脈動式に(すなわち脈動流条件下で)中空糸接線流フィルタ30に導入されてよく、これにより透過物速度および容積スループット容量が増大することが示されている。本明細書において使用される「脈動流」とは、送り込まれる流体(たとえば、中空糸接線流フィルタに入る流体)の流速が、周期的に脈動する(すなわち、流れに周期的な山と谷がある)流れ様式のことである。いくつかの実施形態において、流速は、1分に1サイクルまたはそれ以下~1分に2000サイクルまたはそれ以上の範囲(たとえば、1分に1~2、~5、~10、~20、~50、~100、~200、~500、~1000、~2000サイクルの範囲)(すなわち、先の値のうち任意の2つの値の間の範囲)の頻度で脈動してよい。いくつかの実施形態において、谷に関連する流速は、ゼロ流れおよび脈動間の逆流の期間を含めて、山に関連する流速の90%未満、山に関連する流速の75%未満、山に関連する流速の50%未満、山に関連する流速の25%未満、山に関連する流速の10%未満、山に関連する流速の5%未満、または山に関連する流速の1%未満でさえある。
【0086】
脈動流は、任意の適切な方法によって生成されてよい。いくつかの実施形態において、脈動流は、元々脈動流を作り出すものである蠕動ポンプなどのポンプを使用して生成することができる。たとえば、一定の流れ条件下で、上に記載したもののような磁気浮揚ロータを有するポンプから、(1分に約200サイクルの脈動数を提供する)蠕動ポンプに切り替えることにより、ファウリングの前に接線流深層フィルタが動作できる時間量が増大する(したがって、収集できる透過物の量が増大する)ことを示す試験が、出願人によって実施されている。
【0087】
いくつかの実施形態において、他のやり方で一定のまたは本質的に一定の出力を提供するポンプ(たとえば、容量式ポンプ、磁気浮揚ポンプを含む遠心ポンプなど)を使用して、流速を制御するための適切な流れコントローラを使用することにより、脈動流が生成されてもよい。そのような流れコントローラの例は、ポンプに入るまたはポンプから出る流体を周期的に制限するように電気的に制御されたアクチュエータ(たとえば、サーボ弁またはソレノイド弁)、空圧的に制御されたアクチュエータ、または液圧的に制御されたアクチュエータを有するものを含む。たとえば、特定の実施形態において、流れコントローラ36は、本明細書で上に記載したもののようなポンプ26の上流(たとえば入口に)または下流(たとえば出口に)(たとえば、図7Aのポンプヘッド26aの上流に)配置されてよく、所望の流れ特性を有する脈動流を提供するようにコントローラ20によって制御されてよい。
【0088】
図8は、記憶媒体800の実施形態を示す。記憶媒体800は、光学的、磁気的、または半導体の記憶媒体など、任意の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体または機械可読記憶媒体を含んでいてよい。様々な実施形態において、記憶媒体800は、製造物品を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、記憶媒体800は、本明細書に開示する論理フロー、プロセス、技術、動作(たとえば、図2の清澄化/ダイアフィルトレーション/清澄化のプロセス)のうちの1つまたは複数を実装するためのコンピュータ実行可能命令などのコンピュータ実行可能命令802を記憶してよい。コンピュータ可読記憶媒体または機械可読記憶媒体の例は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリ、取り外し可能または取り外し不可能なメモリ、消去可能または消去不可能なメモリ、書き込み可能または書き換え可能なメモリなどを含め、電子データを記憶することが可能な任意の有形の媒体を含んでよい。
コンピュータ実行可能命令の例は、ソースコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、実行可能なコード、スタティックコード、ダイナミックコード、オブジェクト指向コード、視覚的コードなどの、任意の適切な種類のコードを含んでよい。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0089】
図9は、先に記載した通りに様々な実施形態を実装するのに適したものであってよい例示的なコンピューティングアーキテクチャ900の実施形態を示す図である。様々な実施形態において、コンピューティングアーキテクチャ900は、電子デバイスの一部分を含んでもよいし、または電子デバイスの一部分として実装されてもよい。いくつかの実施形態において、コンピューティングアーキテクチャ900は、たとえば本明細書に記載の1つまたは複数の構成要素を代表するものであってよい。いくつかの実施形態において、コンピューティングアーキテクチャ900は、たとえば、コントローラ180、センサ181~185、流れ制御部155、弁192、コントローラ280、センサ281~285、弁291、292、293、および制御アルゴリズムのうちの1つまたは複数など、本明細書に開示する構成要素および/または技術のうちの1つまたは複数の部分を実装もしくは利用するコンピューティングデバイスを代表するものであってよい。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0090】
本明細書で使用される用語「システム」および「構成要素」および「モジュール」とは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかコンピュータ関連エンティティのことを指してよく、これらの例が、例示的なコンピューティングアーキテクチャ900によって提供される。たとえば構成要素は、プロセッサ上で実行されているプロセス、プロセッサ、ハードディスクドライブ、(光学的および/または磁気的な記憶媒体の)複数の記憶ドライブ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド、プログラム、および/またはコンピュータとすることができるが、これらに限定されない。例として、サーバ上で実行されているアプリケーションとサーバの両方が、構成要素であってよい。1つまたは複数の構成要素は、プロセスおよび/または実行のスレッド内に存在してよく、構成要素は、1つのコンピュータ上でローカライズされてよく、かつ/または2つ以上のコンピュータの間で分散されてもよい。さらに、構成要素は、様々な種類の通信媒体によって互いに通信可能に結合されて、動作を調整してよい。調整は、情報の単一方向または双方向の交換を必要とすることがある。たとえば構成要素は、通信媒体を介して通信される信号の形態で情報を通信してよい。情報は、様々な信号ラインに割り当てられた信号として実装されてよい。そのような割り当てにおいて、各メッセージは信号である。しかし、さらなる実施形態は、代替的にデータメッセージを使用してよい。そのようなデータメッセージは、様々な接続を経て送信されてよい。例示的な接続は、パラレルインターフェース、シリアルインターフェース、およびバスインターフェースを含む。
【0091】
コンピューティングアーキテクチャ900は、1つまたは複数のプロセッサ、マルチコアプロセッサ、コプロセッサ、メモリユニット、チップセット、コントローラ、周辺機器、インターフェース、発振器、タイミングデバイス、ビデオカード、オーディオカード、マルチメディア入力/出力(I/O)構成要素、電源などの、様々な一般的なコンピューティング要素を含む。しかし、実施形態は、コンピューティングアーキテクチャ900による実装に限定されない。
【0092】
図9に示してあるように、コンピューティングアーキテクチャ900は、プロセッシングユニット904と、システムメモリ906と、システムバス908とを含んでいる。プロセッシングユニット904は、AMD(登録商標)、Athlon(登録商標)、Duron(登録商標)、およびOpteron(登録商標)のプロセッサ;ARM(登録商標)アプリケーション、内蔵型およびセキュアなプロセッサ; IBM(登録商標)、およびMotorola(登録商標)、DragonBall(登録商標)、およびPowerPC(登録商標)のプロセッサ; IBMおよびSony(登録商標)のCellプロセッサ; Intel(登録商標)、Celeron(登録商標)、Core(2)Duo(登録商標)、Itanium(登録商標)、Pentium(登録商標)、Xeon(登録商標)、およびXScale(登録商標)のプロセッサ、および同様のプロセッサを含むがこれらに限定されない様々な市販のプロセッサのいずれかとすることができる。デュアルマイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、および他のマルチプロセッサアーキテクチャも、プロセッシングユニット904として使用されてよい。
【0093】
システムバス908は、システムメモリ906を含むがこれに限定されないシステム構成要素用のインターフェースを、プロセッシングユニット904に提供する。システムバス908は、いくつかの種類のバス構造のうちのいずれかとすることができ、このバス構造は、市販の様々なバスアーキテクチャを使用して、(メモリコントローラの有無を問わず)メモリバス、周辺バス、およびローカルバスにさらに相互接続されてよい。インターフェースアダプタは、スロットアーキテクチャを介してシステムバス908に接続されてよい。例示的なスロットアーキテクチャは、限定することなく、アクセラレーテッドグラフィックスポート(AGP)、カードバス、(拡張)業界標準アーキテクチャ((E)ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)、NuBus、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(拡張)(PCI(X))、PCIエクスプレス、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(PCMCIA)などを含んでよい。
【0094】
システムメモリ906は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ(たとえば、1つもしくは複数のフラッシュアレイ)などの1つまたは複数の高速メモリユニット、強誘電体ポリマーメモリ、オボニックメモリ、相変化もしくは強誘電体メモリ、シリコン-酸化物-窒化物-酸化物-シリコン(SONOS)メモリ、磁気カードもしくは光カードなどのポリマーメモリ、独立ディスクの冗長アレイ(RAID)ドライブ、ソリッドステートメモリデバイス(たとえば、USBメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD))などのデバイスのアレイ、および情報を記憶するのに適した任意の他の種類の記憶媒体の形態の、様々な種類のコンピュータ可読記憶媒体を含んでよい。
図9に示してある例示的な実施形態において、システムメモリ906は、不揮発性メモリ910および/または揮発性メモリ912を含んでよい。いくつかの実施形態において、システムメモリ906は、メインメモリを含んでよい。基本的な入力/出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリ910に記憶されてよい。
【0095】
コンピュータ902は、内部(または外部)ハードディスクドライブ(HDD)914、取り外し可能磁気ディスク918からの読取りもしくはそれへの書き込みのための磁気フロッピディスクドライブ(FDD)916、および取り外し可能な光ディスク922(たとえば、CD-ROMまたはDVD)からの読み取りまたはそれへの書き込みのための光ディスクドライブ920を含む1つまたは複数の低速メモリユニットの形態の、様々な種類のコンピュータ可読記憶媒体を含んでよい。HDD914、FDD916、および光ディスクドライブ920は、それぞれHDDインターフェース924、FDDインターフェース926、および光ドライブインターフェース928によって、システムバス908に接続されてよい。外部ドライブ実装のためのHDDインターフェース924は、ユニバーサルシリアルバス(USB)および電気電子技術者協会(IEEE)994インターフェース技術のうちの少なくとも一方または両方を含んでよい。様々な実施形態において、これらの種類のメモリが、メインメモリまたはシステムメモリに含まれていなくてもよい。
【0096】
ドライブおよび関連するコンピュータ可読媒体は、データ、データ構造、コンピュータ実行可能命令などの、揮発性および/または不揮発性の記憶を実現する。たとえば、オペレーティングシステム930、1つまたは複数のアプリケーションプログラム932、他のプログラムモジュール934、およびプログラムデータ936を含む複数のプログラムモジュールは、ドライブおよびメモリユニット910、912に記憶されてよい。一実施形態において、1つまたは複数のアプリケーションプログラム932、他のプログラムモジュール934、およびプログラムデータ936は、たとえば本明細書に記載の様々な技術、アプリケーション、および/または構成要素を含むまたは実装することができる。
【0097】
ユーザは、1つまたは複数の有線/無線の入力デバイス、たとえばキーボード938、およびマウス940などのポインティングデバイスを介して、コマンドおよび情報をコンピュータ902に入力することができる。他の入力デバイスは、マイクロフォン、赤外線((IR)遠隔制御部、無線周波((RF)遠隔制御部、ゲームパッド、スタイラスペン、カードリーダ、ドングル、指紋リーダ、グローブ、グラフィックスタブレット、ジョイスティック、キーボード、網膜リーダ、タッチスクリーン(たとえば、容量式、抵抗式など)、トラックボール、トラックパッド、センサ、スタイラスなどを含んでよい。上記その他の入力デバイスは、システムバス908に結合された入力デバイスインターフェース942を介してプロセッシングユニット904に接続されることが多いが、パラレルポート、IEEE1394シリアルポート、ゲームポート、USBポート、IRインターフェースなどの他のインターフェースによって接続されてもよい。
【0098】
モニタ944または他の種類のディスプレイデバイスも、ビデオアダプタ946などのインターフェースを介してシステムバス908に接続される。モニタ944は、コンピュータ902の内部にあっても外部にあってもよい。モニタ944に加えて、コンピュータは、典型的に、スピーカ、プリンタなどの他の周辺出力デバイスを含む。
【0099】
コンピュータ902は、有線通信および/または無線通信を介して、遠隔コンピュータ948などの1つまたは複数の遠隔コンピュータへの論理接続を使用するネットワーク環境内で、動作してよい。様々な実施形態において、本明細書に記載の1つまたは複数の相互作用は、ネットワーク環境を介して行われてよい。遠隔コンピュータ948は、ワークステーション、サーバコンピュータ、ルータ、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、マイクロプロセッサベースの娯楽機器、ピアデバイス、または他の一般的なネットワークノードであってよく、典型的に、コンピュータ902に関して記載する要素のうちの多くまたはすべてを含んでいるが、簡潔にするために、メモリ/記憶デバイス950のみが示してある。示してある論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)952、および/またはより大きなネットワーク、たとえばワイドエリアネットワーク(WAN)954への有線/無線の接続を含んでいる。そのようなLANおよびWANネットワーキング環境は、事務所および企業においてよく見られ、イントラネットなどの企業規模のコンピュータネットワークを容易にし、これらのすべてが、グローバル通信ネットワーク、たとえばインターネットに接続されてよい。
【0100】
コンピュータ902は、LANネットワーキング環境において使用されるとき、有線および/または無線の通信ネットワークインターフェースもしくはアダプタ956を介してLAN952に接続される。アダプタ956は、LAN952に対する有線および/または無線の通信を容易にすることができ、LAN952も、アダプタ956の無線機能と通信するために配設された無線アクセスポイントを含んでいてよい。
【0101】
コンピュータ902は、WANネットワーキング環境において使用されるとき、モデム958を含むことができるか、またはWAN954の通信サーバに接続されるか、またはインターネットなどによりWAN954を介して通信を確立するための他の手段を有している。有線および/または無線のデバイスの内部にあっても外部にあってもよいモデム958は、入力デバイスインターフェース942を介してシステムバス908に接続される。ネットワーク環境において、コンピュータ902またはその一部分に関して示されたプログラムモジュールは、遠隔メモリ/記憶デバイス950に記憶されてよい。示してあるネットワーク接続は例示的なものであり、コンピュータ間で通信リンクを確立する他の手段が使用されてよいことが理解されよう。
【0102】
コンピュータ902は、無線通信に動作可能に配設された無線デバイスなどのIEEE802規格群(たとえばIEEE802.16無線変調技術)を使用して、有線および無線のデバイスまたはエンティティと通信するように動作可能である。これは、とりわけ、少なくともWi-Fi(登録商標)(またはワイヤレスフィディリティ)、WiMAX、およびBluetooth(登録商標)無線技術を含んでいる。したがって、通信は、従来のネットワークと同じく事前定義された構造であってもよいし、または単に、少なくとも2つのデバイス間のその場限りの通信であってもよい。Wi-Fi(登録商標)ネットワークは、セキュアな信頼性の高い高速無線接続を提供するために、IEEE802.11x(a、b、g、nなど)と呼ばれる無線技術を使用する。Wi-Fi(登録商標)ネットワークを使用して、コンピュータを互いに、インターネットに、および(IEEE802.3関連媒体および機能を使用する)有線ネットワークに接続することができる。
【0103】
図10は、先に記載したとおりに様々な実施形態を実装するのに適したものであってよい例示的な通信アーキテクチャ1000のブロック図を示す。通信アーキテクチャ1000は、送信器、受信機、送受信機、無線、ネットワークインターフェース、ベースバンドプロセッサ、アンテナ、増幅器、フィルタ、電源などの様々な一般的通信要素を含んでいる。
しかし実施形態は、通信アーキテクチャ1000による実装形態に限定されない。
【0104】
図10に示してあるように、通信アーキテクチャ1000は、1つまたは複数のクライアント1002およびサーバ1004を含んでいる。いくつかの実施形態において、通信アーキテクチャは、本明細書に記載の構成要素、アプリケーション、および/または技術のうちの1つまたは複数の部分を含んでもよいし、実装してもよい。クライアント1002およびサーバ1004は、それぞれの1つまたは複数のクライアントデータストア1008およびサーバデータストア1010に動作可能に接続され、これらのデータストアは、クッキーおよび/または関連するコンテキスト情報など、それぞれのクライアント1002およびサーバ1004のローカルな情報を記憶するために使用されてよい。様々な実施形態において、いずれか1つのサーバ1004は、いずれか1つのクライアント1002から受信したデータをいずれかのサーバデータストア1010に記憶することとともに、本明細書に記載の論理フローまたは動作、および図8の記憶媒体800のうちの1つまたは複数を実装してよい。1つまたは複数の実施形態では、クライアントデータストア1008およびサーバデータストア1010のうちの1つまたは複数は、本明細書に記載の構成要素、アプリケーション、および/または技術のうちの1つまたは複数の部分にアクセス可能なメモリを含んでよい。
【0105】
クライアント1002およびサーバ1004は、通信フレームワーク1006を使用して、互いの間で情報を通信してよい。通信フレームワーク1006は、任意のよく知られた通信技術およびプロトコルを実装してよい。通信フレームワーク1006は、パケット切り替えネットワーク(たとえば、インターネットなどのパブリックネットワーク、企業のイントラネットなどのプライベートネットワークなど)、回路切り替えネットワーク(たとえば、公衆交換電話網)、または(適切なゲートウェイおよびトランスレータを有する)パケット切り替えネットワークと回路切り替えネットワークの組み合わせとして実装されてよい。
【0106】
通信フレームワーク1806は、通信ネットワークを受け入れ、それと通信し、それに接続されるように構成された様々なネットワークインターフェースを実装してよい。ネットワークインターフェースは、特殊な形態の入力出力インターフェースとみなされてもよい。ネットワークインターフェースは、直接接続、Ethernet(登録商標)(たとえば、シック、シン、ツイストペア、10/100/1900Base-Tなど)、トークンリング、無線ネットワークインターフェース、セルラーネットワークインターフェース、IEEE802.11a-xネットワークインターフェース、IEEE802.16ネットワークインターフェース、IEEE802.20ネットワークインターフェースなどを含むがこれらに限定されない接続プロトコルを使用してよい。さらに、様々な種類の通信ネットワークに参加するために複数のネットワークインターフェースが使用されてよい。たとえば、複数のネットワークインターフェースを使用して、ブロードキャスト、マルチキャスト、およびユニキャストのネットワークを介した通信を可能にすることができる。
プロセッシング要求がより速いスピードおよびより多くの容量を規定する場合には、分散ネットワックコントローラアーキテクチャを同様に使用して、クライアント1002およびサーバ1004によって必要な通信帯域幅をプールし、ロードバランスをとり、他のやり方でそれを増大させてよい。通信ネットワークは、直接相互接続、セキュアなカスタム接続、プライベートネットワーク(たとえば企業のイントラネット)、パブリックネットワーク(たとえばインターネット)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、インターネット上のノードとしての運用ミッション(OMNI)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ネットワーク、セルラーネットワーク、および他の通信ネットワークを含むがこれらに限定されない有線および/または無線のネットワークのうちのいずれか1つおよびそれらの組み合わせであってよい。
【0107】
様々な実施形態は、ハードウェア要素、ソフトウェア要素、またはこれら両方の組み合わせを使用して実装されてよい。ハードウェア要素の例は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、回路素子、(たとえば、トランジスタ、抵抗器、キャパシタ、インダクタなど)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、チップセットなどを含んでよい。ソフトウェアの例は、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、機能、方法、手順、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、ワード、値、記号、またはこれらの任意の組み合わせを含んでよい。ハードウェア要素および/またはソフトウェア要素を使用して実施形態が実装されるかどうかの決定は、所望の計算速度、出力レベル、耐熱性、プロセッシングサイクルバジェット、入力データ速度、出力データ速度、メモリリソース、データバススピード、および他の設計または性能の制約など、任意の数の係数に応じて異なってよい。
【0108】
少なくとも1つの実施形態の1つまたは複数の態様は、機械可読媒体に記憶された代表的な命令によって実装されてよく、この機械可読媒体は、機械によって読み取られたときに、本明細書に記載の技術を実行するための論理を機械に作製させる様々な論理をプロセッサ内で表すものである。「IPコア」として知られているそのような表現は、有形の機械可読媒体に記憶されてよく、論理またはプロセッサを実際に作製する作製機械にロードするために様々な顧客または製造設備に供給されてよい。いくつかの実施形態は、たとえば、機械によって実行された場合に、実施形態による方法および/または動作を機械に実行させる命令または命令のセットを記憶している機械可読媒体または物品を使用して、実装されてよい。そのような機械は、たとえば、任意の適切なプロセッシングプラットフォーム、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングデバイス、プロセッシングデバイス、コンピューティングシステム、プロセッシングシステム、コンピュータ、プロセッサなどを含んでよく、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの任意の適切な組み合わせを使用して実装されてよい。機械可読媒体または物品は、たとえば、任意の適切な種類のメモリユニット、メモリデバイス、メモリ物品、メモリ媒体、記憶デバイス、記憶物品、記憶媒体、および/または記憶ユニット、たとえば、メモリ、取り外し可能もしくは取り外し不可能な媒体、消去可能もしくは消去不可能な媒体、書き込み可能もしくは書き換え可能な媒体、デジタルもしくはアナログの媒体、ハードディスク、フロッピディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、記録可能コンパクトディスク(CD-R)、再書き込み可能コンパクトディスク(CD-RW)、光ディスク、磁気媒体、光磁気媒体、取り外し可能なメモリカードもしくはディスク、様々な種類のデジタル多用途ディスク(DVD)、テープ、カセットなどを含んでよい。
命令は、任意の適切な高レベルの、低レベルの、オブジェクト指向の、視覚的な、コンパイル済みの、および/または解釈済みのプログラミング言語を使用して実装されるソースコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、実行可能なコード、スタティックコード、ダイナミックコード、暗号化コードなどの、任意の適切な種類のコードを含んでよい。
【0109】
様々な実施形態において、本明細書に記載の態様、技術、および/または構成要素のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスにより現実的なアプリケーションに実装されてよく、それにより、1つまたは複数のコンピューティングデバイスに追加の有用な機能を提供して、その結果より能力の高い、より機能的な、改善さえたコンピューティングデバイスが得られてよい。さらに、本明細書に記載の態様、技術、および/または構成要素のうちの1つまたは複数は、バイオプロセッシング、ろ過、接線流ろ過、接線流深層ろ過などの技術分野を改善するために利用されてよい。
【0110】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の構成要素は、中空糸またはTFDF細胞保持要素を含むシステムにおいて、ろ過プロセスの具体的な特定の態様を提供してよい。多くの実施形態において、本明細書に記載の構成要素のうちの1つまたは複数は、向上した技術的結果を可能にするコンピュータにより以前には実行可能でなかった機能を実現できるようにすることにより、コンピュータ関連技術を向上させる規則のセットとして実装されてよい。たとえば、可能になる機能は、固形分、ペレット細胞容積、所望の収量、保持係数、および透過物スループット容積を含むがこれらに限定されない1つまたは複数のユーザ入力および/または管理入力に基づき、ろ過プロセス用の運転パラメータを生成することを含んでよい。
【0111】
全般的に本明細書で使用する表記および用語に関して、詳細な説明の1つまたは複数の部分は、コンピュータまたはコンピュータのネットワーク上で実行されるプログラム手順の観点から提示されてよい。これらの手順の説明および表現は、当業者により、その当業者の研究の主旨を最も効果的に他の当業者に伝達するために使用される。手順は、ここでかつ全般的に、所望の結果につながる自己矛盾のない一連の動作と考えられる。これらの動作は、物理量の物理的操作を必要とするものである。これらの量は、記憶、転送、組み合わせ、比較、および他のやり方で操作が可能な電気的、磁気的、光学的な信号の形態を取ってよい。主に一般的に用いられているという理由から、これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数などと呼ぶことが、時に好都合であることが証明される。しかし、上記および類似した用語のすべては、適切な物理量に関連付けられることになり、これらの物理量に付与される単に便宜的なラベルであることに留意すべきである。
【0112】
さらに、これらの操作は、人間のオペレータによって実行される知的活動に一般的に関連付けられる追加または比較などの用語で呼ばれることが多い。しかし、1つまたは複数の実施形態の一部分を形成する本明細書に記載の動作のいずれかにおいて、ほとんどの場合、人間のオペレータのそのような能力は必要でも望ましくもない。むしろ、これらの動作は機械動作である。様々な実施形態の動作を実行するための有用な機械は、本明細書の教示により書き込まれた、中に記憶されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブ化または構成される汎用デジタルコンピュータを含み、かつ/または必要な目的のために特別に構築された装置を含む。様々な実施形態は、これらの動作を実行するための装置またはシステムにも関する。これらの装置は、必要な目的のために特別に構築されてもよいし、汎用コンピュータを含んでもよい。これらの様々な機械にとって必要な構造は、所与の説明から明らかであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10