(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】カードエッジコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/518 20060101AFI20230831BHJP
H01R 12/75 20110101ALI20230831BHJP
【FI】
H01R13/518
H01R12/75
(21)【出願番号】P 2019041940
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000231822
【氏名又は名称】日本端子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川原 勇三
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-055798(JP,A)
【文献】特開平11-074021(JP,A)
【文献】特開2018-120798(JP,A)
【文献】実開平01-103183(JP,U)
【文献】特開平01-183005(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101910(WO,A1)
【文献】特開平08-037066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/40-13/533
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部表面に基板端子を有する回路基板に接続するカードエッジコネクタであって、
前記回路基板に係合可能なメインハウジングと、
リード線が接続可能なプラグ端子をそれぞれ複数含み、且つ、前記プラグ端子を前記基板端子に接続分離させるべく、前記メインハウジングに係脱する複数のサブハウジングとを備え、
前記メインハウジングは、前記回路基板に設けられた凹部又は、前記回路基板を貫通する係止孔に係合する基板係止部を有し、
前記回路基板の前記凹部又は前記回路基板の前記係止孔に前記基板係止部が突入することにより前記メインハウジングが前記回路基板に直接結合し、前記メインハウジングが前記回路基板に係合した状態で、前記サブハウジングが前記メインハウジングに個別に係脱可能であ
り、
前記メインハウジングは、前記回路基板が一方側から挿入可能な基板挿入孔と、前記サブハウジングが他方側から挿入可能な複数のコネクタ装着孔とを備え、
前記メインハウジングには前記コネクタ装着孔が前記基板挿入孔に挿入された前記回路基板に沿って並設され、
隣接する前記コネクタ装着孔の間には隣接する前記コネクタ装着孔を区切る中壁体が設けられ、
前記回路基板に沿う方向における両端に位置する前記中壁体には前記回路基板の挿入方向に凹む切欠部が形成され、前記切欠部に前記基板係止部が設けられていることを特徴とするカードエッジコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタ装着孔は前記回路基板の表面側及び裏面側に位置する一対の横孔部を含み、
前記サブハウジングは前記横孔部にそれぞれ挿入される一対の挿入部を含み、
前記挿入部にはそれぞれ前記プラグ端子が装着される端子装着孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項3】
端部表面に基板端子を有する回路基板に接続するカードエッジコネクタであって、
前記回路基板に係合可能なメインハウジングと、
リード線が接続可能なプラグ端子をそれぞれ複数含み、且つ、前記プラグ端子を前記基板端子に接続分離させるべく、前記メインハウジングに係脱する複数のサブハウジングとを備え、
前記メインハウジングは、前記回路基板に設けられた凹部又は、前記回路基板を貫通する係止孔に係合する基板係止部を有し、
前記回路基板の前記凹部又は前記回路基板の前記係止孔に前記基板係止部が突入することにより前記メインハウジングが前記回路基板に直接結合し、前記メインハウジングが前記回路基板に係合した状態で、前記サブハウジングが前記メインハウジングに個別に係脱可能であり、
前記メインハウジングは、前記回路基板が一方側から挿入可能な基板挿入孔と、前記サブハウジングが他方側から挿入可能な複数のコネクタ装着孔とを備え、
前記コネクタ装着孔は前記回路基板の表面側及び裏面側に位置する一対の横孔部を含み、
前記サブハウジングは前記横孔部にそれぞれ挿入される一対の挿入部を含み、
前記挿入部にはそれぞれ前記プラグ端子が装着される端子装着孔が設けられ、
前記サブハウジングは、上下一対の前記挿入部を接続する接続部と、対をなす前記挿入部にそれぞれに設けられた前記端子装着孔の両方を通過するリテーナ貫通孔と、前記リテーナ貫通孔に挿入されて前記端子装着孔に挿入された前記プラグ端子を前記サブハウジングに係止するリテーナと、を更に備え、
一対の前記挿入部及び前記接続部によって、前記横孔部への挿入方向前端から挿入方向後方に凹む基板収容凹部が設けられ、
前記リテーナ貫通孔は前記基板収容凹部の挿入方向後端よりも挿入方向後方に位置していることを特徴とするカードエッジコネクタ。
【請求項4】
前記メインハウジングには前記コネクタ装着孔が前記基板挿入孔に挿入された前記回路基板に沿って並設され、
隣接する前記コネクタ装着孔の間には隣接する前記コネクタ装着孔を区切る中壁体が設けられ、
前記回路基板に沿う方向における両端に位置する前記中壁体には前記回路基板の挿入方向に凹む切欠部が形成され、前記切欠部に前記基板係止部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項5】
前記基板挿入孔及び前記コネクタ装着孔は互いに連通部を介して連通し、
前記サブハウジングが前記コネクタ装着孔に挿入されているときには、前記プラグ端子の少なくとも一部は前記コネクタ装着孔から前記連通部を通過して、前記基板挿入孔に位置する前記回路基板に当接することを特徴とする
請求項2~請求項4のいずれか1つの項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項6】
前記連通部は前記回路基板の表側及び裏側それぞれに設けられ、
前記横孔部はそれぞれ前記連通部を介して対応する前記回路基板の表面及び裏面にそれぞれ連通し、
前記端子装着孔は前記連通部に整合する位置において前記プラグ端子がそれぞれ通過可能に開口していることを特徴とする
請求項5に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項7】
前記横孔部には前記挿入部に向かって突出するガイド突起が設けられ、
前記挿入部には前記ガイド突起を受容し、前記挿入部の前記横孔部における位置決めをするガイド凹部が設けられ、
前記ガイド凹部が前記端子装着孔に連通することによって、前記端子装着孔に通じる視認孔が形成されていることを特徴とする
請求項2~請求項6のいずれか1つの項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項8】
前記コネクタ装着孔には係止部が設けられ、
前記サブハウジングの外面には前記係止部に係脱可能な被係止部と、前記被係止部を前記係止部に対して離脱させるための操作を受け付ける操作部とが設けられ、
前記操作部への前記操作によって、前記基板係止部と前記係止孔とが係合した状態で、前記係止部が前記被係止部から離脱可能であることを特徴とする
請求項1~請求項7のいずれか1つの項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項9】
前記メインハウジングはそれぞれ前記回路基板に直交する方向に立設され、互いに厚さの異なる2つの縦壁体を含み、
前記回路基板において前記縦壁体それぞれに整合する位置に、対応する前記縦壁体の厚さに対応する幅のスリットが設けられ、
前記縦壁体が対応する前記スリットに挿入されて、前記メインハウジングが前記回路基板に係合されることを特徴とする
請求項1~請求項8のいずれか1つの項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項10】
前記メインハウジングは前記回路基板の前記基板挿入孔への挿入方向に対して直交する方向に並ぶ複数の前記基板係止部を備えることを特徴とする
請求項1~請求項9のいずれか1つの項に記載のカードエッジコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカードエッジコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板(プリント基板)に嵌合し、回路基板の端部に設けられた基板端子をリード線に接続させるためのカードエッジコネクタが公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1のカードエッジコネクタは、内部に複数のばね部が列設された挿入口を有する本体を有し、本体からはリード線が延出している。各リード線は一端側においてばね部に接続されている。回路基板の端部を挿入口に挿入すると、ばね部が基板端子に当接して、基板端子とリード線とが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のカードエッジコネクタでは、本体から延出するリード線の他端側を複数の電子機器に接続すると、電子機器を個々にカードエッジコネクタから分離できず、電子機器を個々にメンテナンスすることが難しい。
【0005】
電子機器を個々にカードエッジコネクタから分離可能とするためには、電子機器とカードエッジコネクタとを接続するリード線上に中継コネクタを設けることが考えられる。しかし、中継コネクタを設けると、リード線上に中継コネクタを設けるための工程が別途必要となるとともに、部品点数が増えるという問題がある。
【0006】
ばね部を構成するプラグ端子を本体から取外可能とすれば、電子機器が個々に回路基板から接続分離可能となる。しかし、1つの電子機器が複数のリード線を介して回路基板に接続されている場合には、1つの電子機器を分離するときに複数のプラグ端子を同時に取り外す必要があるため、電子機器の分離が容易ではない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、カードエッジコネクタにおいて複数のプラグ端子を容易に係脱可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの実施形態によるカードエッジコネクタ(1)は、端部表面に基板端子(11)を有する回路基板(3)に接続するカードエッジコネクタであって、前記回路基板に係合可能なメインハウジング(13)と、リード線(5)が接続可能なプラグ端子(19)をそれぞれ複数含み、且つ、前記プラグ端子を前記基板端子に接続分離させるべく、前記メインハウジングに係脱する複数のサブハウジング(17)とを備える。
【0009】
このカードエッジコネクタによれば、サブハウジングをメインハウジングに係脱することによって、複数のプラグ端子を回路基板に対して同時に係脱させることができるため、複数のプラグ端子の係脱が容易になる。
【0010】
更に、電子機器をそれぞれサブハウジングに対応付けし、電子機器を対応づけられたサブハウジングのプラグ端子にリード線により接続すると、サブハウジングを回路基板に係合されたメインハウジングに係脱することにより、電子機器を個々に回路基板に接続分離することができる。
【0011】
上記のカードエッジコネクタにおいて、好ましくは、前記メインハウジングは、前記回路基板が一方側から挿入可能な基板挿入孔(45)と、前記サブハウジングが他方側から挿入可能な複数のコネクタ装着孔(49)とを備え、前記基板挿入孔及び前記コネクタ装着孔は互いに連通部(54)を介して連通し、前記サブハウジングが前記コネクタ装着孔に挿入されているときには、前記プラグ端子の少なくとも一部は前記コネクタ装着孔から前記連通部を通過して、前記基板挿入孔に位置する前記回路基板に当接する。
【0012】
このカードエッジコネクタによれば、回路基板を基板挿入孔に挿入すると、プラグ端子が回路基板に当接する。回路基板のプラグ端子が当接する部分に基板端子を設けることによって、回路基板と電子機器とをリード線を介して電気的に接続することができる。
【0013】
上記のカードエッジコネクタにおいて、好ましくは、前記コネクタ装着孔には係止部(57)が設けられ、前記サブハウジングの外面には前記係止部に係脱可能な被係止部(37)と、前記被係止部を前記係止部に対して離脱させる操作部(39)とが設けられている。
【0014】
このカードエッジコネクタによれば、被係止部と係止部との係合によって、サブハウジングはコネクタ装着孔に係止される。更に、操作部への操作によって被係止部と係止部との係合が解除されて、サブハウジングをコネクタ装着孔から離脱させることができる。
【0015】
上記のカードエッジコネクタにおいて、好ましくは、前記メインハウジングは前記回路基板に設けられた凹部又は、前記回路基板を貫通する係止孔(9)に係合する基板係止部(61)を備える。
【0016】
このカードエッジコネクタによれば、メインハウジングに係合させるための回路基板の構成が簡素となる。
【0017】
上記のカードエッジコネクタにおいて、好ましくは、前記メインハウジングには前記コネクタ装着孔が前記基板挿入孔に挿入された前記回路基板に沿って並設され、隣接する前記コネクタ装着孔の間には隣接する前記コネクタ装着孔を区切る中壁体(59)が設けられ、前記回路基板に沿う方向における両端に位置する前記中壁体には前記回路基板の挿入方向に凹む切欠部(66)が形成され、前記切欠部に前記基板係止部が設けられている。
【0018】
このカードエッジコネクタによれば、回路基板に沿う方向において最も離間した中壁体に基板係止部を設けることで、メインハウジングが回路基板により強固に結合する。更に、切欠部に基板係止部が設けられることで、基板係止部が露出し難くなり、意図せず基板係止部が移動し、基板係止部が回路基板の凹部又は係止孔から離脱することが防止できる。
【0019】
上記のカードエッジコネクタにおいて、好ましくは、前記メインハウジングはそれぞれ前記回路基板に直交する方向に立設され、互いに厚さの異なる2つの縦壁体(47)を含み、前記回路基板において前記縦壁体それぞれに整合する位置に、対応する前記縦壁体の厚さに対応する幅のスリットが設けられ、前記縦壁体が対応する前記スリットに挿入されて、前記メインハウジングが前記回路基板に係合される。
【0020】
このカードエッジコネクタによれば、回路基板が表裏反転された状態でカードエッジコネクタに係合されることが防止される。
【0021】
上記のカードエッジコネクタにおいて、前記コネクタ装着孔は前記回路基板が前記基板挿入孔に挿入されたときに、前記回路基板の表面側及び裏面側それぞれに画定される一対の横孔部(51)を含み、前記サブハウジングは前記横孔部にそれぞれ挿入される一対の挿入部(21)を含み、前記横孔部はそれぞれ前記連通部を介して前記基板挿入孔にそれぞれ連通し、前記挿入部にはそれぞれ前記プラグ端子が装着される端子装着孔(27)が設けられ、前記端子装着孔は前記連通部に整合する位置において前記プラグ端子がそれぞれ通過可能に開口している。
【0022】
このカードエッジコネクタによれば、横孔部にそれぞれ挿入部が挿入されると、プラグ端子は挿入部に設けられた開口、及び連通部を通過して、回路基板の表面及び裏面に当接する。よって、回路基板の表面及び裏面の基板端子を設けて、それぞれの基板端子にリード線を導通接続させることができる。
【0023】
上記のカードエッジコネクタにおいて、好ましくは、前記横孔部には前記挿入部に向かって突出するガイド突起(55)が設けられ、前記挿入部には前記ガイド突起を受容し、前記挿入部の前記横孔部における位置決めをするガイド凹部が設けられ、前記ガイド凹部が前記端子装着孔に連通することによって、前記端子装着孔に通じる視認孔(36)が形成されている。
【0024】
このカードエッジコネクタによれば、挿入部の横孔部における位置決めをするとともに、視認孔を通じて端子装着孔に他方側から挿入されたプラグ端子を目視することができる。これにより、プラグ端子が端子装着孔に適正に挿入されていることを確認することができる。
【発明の効果】
【0025】
本実施形態によるカードエッジコネクタによれば、カードエッジコネクタにおいて複数のプラグ端子を容易に係脱可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一つの実施形態によるカードエッジコネクタの回路基板に接続された状態における斜視図
【
図2】本実施形態によるカードエッジコネクタの分解斜視図
【
図8】本実施形態によるカードエッジコネクタの回路基板への組付を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明によるカードエッジコネクタの一つの実施形態を、
図1~
図7を参照して説明する。以下の説明では、上下、左右、及び前後を
図1の矢印に示すように定義して説明を行う。但し、この方向の定義は説明の便宜上のことであり、これに限定されることはない。
【0028】
カードエッジコネクタ1は、
図1に示すように回路基板3の後縁部に結合し、回路基板3に設けられた配線(図示せず)とリード線5とを接続するためのコネクタである。回路基板3は電子部品が両面に実装され、電子部品間を接続する配線が両面に設けられたいわゆる四角板状のプリント基板である。
図2に示すように、回路基板3には後縁から前方に延びる2本のスリット7と、2つのスリット7の間において厚さ方向に貫通する2つの基板係止孔9とが設けられている。更に、回路基板3の後端部表面(上面)及び後端部裏面(下面)にはそれぞれ、回路基板3に設けられた配線に接続された複数の端子(以下、基板端子11)が2つのスリット7の間において後縁に沿って並設されている。
【0029】
カードエッジコネクタ1は
図1及び
図2に示すように、回路基板3に係合可能なメインハウジング13と、メインハウジング13に係脱可能な複数のサブコネクタ15とを備えている。サブコネクタ15はそれぞれ2本以上のリード線5に接続されている。本実施形態では、1つのメインハウジング13に、それぞれ2本のリード線5に接続された3つのサブコネクタ15(以下、2極サブコネクタ15A)と、4本のリード線5に接続された1つのサブコネクタ15(以下、4極サブコネクタ15B)とが係脱される。4極サブコネクタ15Bは概ね、2極サブコネクタ15Aが左右に配置されて連結された形状をなしているため、以下では、2極サブコネクタ15Aの構造について詳細に説明する。
【0030】
2極サブコネクタ15Aはそれぞれ、
図2に示すように、樹脂成型品によるサブハウジング17と、サブハウジング17に設けられるプラグ端子19とを備えている。
【0031】
サブハウジング17は側面視で略コの字状をなしている。すなわち、サブハウジング17は前後に延びる上下一対の挿入部21と、上側の挿入部21(以下、上挿入部21A)の後部下縁、及び下側の挿入部21(以下、下挿入部21B)の後部上縁とを接続する接続部23(
図5参照)とをそなえている。サブハウジング17には上挿入部21A、下挿入部21B、及び接続部23によって後方に凹む基板収容凹部25が画定されている。基板収容凹部25の上下方向の幅は回路基板3の厚さよりも若干大きい。
【0032】
図5に示すように、挿入部21にはそれぞれ前後に延在する端子装着孔27が設けられている。端子装着孔27はそれぞれ後面において開口し、方形断面を有して前方に凹んでいる。上挿入部21Aに設けられた端子装着孔27(以下、上側端子装着孔27A)はそれぞれ上挿入部21Aの前部下面に開口28Aを有し、下挿入部21Bに設けられた端子装着孔27(以下、下側端子装着孔27B)はそれぞれ下挿入部21Bの前部上面に開口28Bを有している。これにより、上側端子装着孔27A及び下側端子装着孔27Bはそれぞれ互いに対向する方向に開口し、それぞれ基板収容凹部25の内部に連通している。
【0033】
端子装着孔27の上部及び下部をそれぞれ画定し、且つ、基板収容凹部25から離反する側の壁面にはそれぞれ端子装着孔27に近接する側に向かって突出する端子係止突起29が設けられている。より具体的には、端子係止突起29は上側端子装着孔27Aを画定する上壁と、下側端子装着孔27Bを画定する下壁とにそれぞれ設けられている。端子係止突起29はそれぞれ、その後縁に後方に向かって基板収容凹部25から離反する方向に傾斜する傾斜面29Aと、その前縁に前方に向く端子係止面29Bとをそれぞれ備えているとよい。
【0034】
下挿入部21Bには、下挿入部21Bの前面において開口して後方に凹むガイド凹部31Bが設けられている。ガイド凹部31Bは下挿入部21Bの端子装着孔27の下側、すなわち、基板収容凹部25から上下方向に離反する側に形成されている。
【0035】
上挿入部21Aには、上挿入部21Aの前面において開口して後方に凹むガイド凹部31Aと、ガイド凹部31Aの後縁上部から後方に延び、サブハウジング17の後部上面において開口する第1肉抜孔35Aと、ガイド凹部31Aの後縁下部から後方に延びる第2肉抜孔35Bが形成されている。ガイド凹部31Aは上挿入部21Aの端子装着孔27の上側、すなわち、基板収容凹部25から上下方向に離反する側に形成されている。以下では、必要に応じて、上挿入部21Aのガイド凹部31Aと、下挿入部21Bのガイド凹部31Bとを総称して、ガイド凹部31と記載する。
【0036】
端子装着孔27はそれぞれ前端においてそれぞれ基板収容凹部25から離反する側に開口してガイド凹部31に連通している。これにより、挿入部21にはそれぞれ前側から端子装着孔27に通じる端子視認孔36が形成されている。
【0037】
ガイド凹部31A、第1肉抜孔35A、及び第2肉抜孔35Bが形成されることで、上挿入部21Aの上面を画定する壁体(以下、上壁体21C)は上側端子装着孔27Aを画定する上壁27Cに対して上方に離間し、その前部において上挿入部21Aの左右側壁(
図2参照)に左右両縁部に支持される。すなわち、上壁体21Cは上挿入部21Aの左右側壁に両持ち梁構造によって支持される。
【0038】
上挿入部21Aの上面、より詳細には上壁体21Cの上面には上方に突出するハウジング係止突起37(被係止部)が一体成型されている。ハウジング係止突起37はその後縁において、後方に向くハウジング係止面37Aを備えているとよい。ハウジング係止突起37は上壁体21Cの下向き凸の弾性変形によって上下方向に変位する。
【0039】
上壁体21Cの後側の上部には操作部39が突出形成されている。操作部39は前端において上壁体21C及び上挿入部21Aの左右側壁の接続部分後縁に接続され、後上方に突出し、更に後方に延びている。操作部39が指先操作によって下方に向けて押圧されると、上壁体21Cは下向き凸に弾性変形する。
【0040】
サブハウジング17は、
図2に示すように、リテーナ貫通孔41を有している。リテーナ貫通孔41はサブハウジング17を左右方向に貫通する貫通孔であり、上下双方の端子装着孔27の一部を左右方向に横切って延在し、左側面及び右側面に開口している。より詳細には、
図5に示すように、リテーナ貫通孔41は、上下の端子装着孔27の間に対応する上下方向の位置にあって、接続部23、上挿入部21Aの上側端子装着孔27Aの下側部分、及び下挿入部21Bの下側端子装着孔27Bの上側部分を左右方向に横切って延在している。
【0041】
サブコネクタ15は、
図2に示されているように、サブハウジング17とは別部品のリテーナ43を含む。リテーナ43は、樹脂成型品であり、リテーナ貫通孔41に抜き差し可能なロッド状の差込部43A、差込部43Aの左端に接続されてサブハウジング17の左側面に重なり合う着脱操作把持部43B、及び着脱操作把持部43Bの後端から右側に延び、サブハウジング17の後側面に重なり合う後端部43Cを有して上面視でコの字状をなしている。
【0042】
プラグ端子19はそれぞれ金属平板を折曲加工することによって形成された部材であり、
図5に示すように、各端子装着孔27に挿入される。プラグ端子19はそれぞれリード線5に接続可能なリード線接続部19Aと、リード線接続部19Aの前側にあって端子装着孔27内でのプラグ端子19のスライドをガイドする筐体19Bと、筐体19Bに支持された弾性片であるばね片19Cとを有している。リード線接続部19Aに接続されるリード線5は例えばビニール被覆導線等であってよく、リード線接続部19Aはリード線5の導体に接続されることによって、リード線5とプラグ端子19とが互いに導通する。
【0043】
筐体19Bは前後に延びる略四角筒状をなしている。筐体19Bの外周壁には厚さ方向に貫通するコンタクト用開口19Dが設けられている。ばね片19Cはコンタクト用開口19Dを通って筐体19Bの外周面から外方に突出している。筐体19Bのコンタクト用開口19Dの後方には厚さ方向に貫通し、端子係止突起29を受容可能な端子係止孔19Eが設けられている。端子係止突起29がサブハウジング17に形成された端子係止孔19Eに嵌合することにより、プラグ端子19はサブハウジング17に対して抜け止め係止される。
【0044】
メインハウジング13は樹脂成型品であり、
図2に示すように、左右方向に延びる略直方体状をなしている。
図3に示すように、メインハウジング13には挿入方向一端側の端面(前端面)の上下方向略中央部から後方に延びる凹部である基板挿入孔45と、
図4に示すように、挿入方向他端側の端面(後端面)から前方に延びる凹部である複数のサブコネクタ装着孔49とを備えている。
図2に示すように、本実施形態のメインハウジング13には4つのサブコネクタ装着孔49が左右方向に並設されている。
【0045】
図3に示すように、基板挿入孔45は左右に延びる略長方形状の横断面を有している。基板挿入孔45の上下方向の幅は回路基板3の厚さよりも若干大きい。基板挿入孔45の左右方向の幅は回路基板3の2つのスリット7の左右方向の距離に概ね等しく、且つメインハウジング13の左右方向の幅よりも小さい。換言すれば、回路基板3の厚さは基板挿入孔45の上下方向の幅よりも若干小さく設定され、回路基板3の2つのスリット7の左右方向の距離は基板挿入孔45の左右方向の幅に概ね等しくなるように設定されている。
図6に示すように、本実施形態では基板挿入孔45はメインハウジング13の後端面に通じている。
【0046】
図3に示すように、基板挿入孔45の左右外縁はそれぞれ左右方向に向く主面を有し、左右方向に直交する方向に立設された2つの縦壁体47によってそれぞれ画定されている。左側の縦壁体47と右側の縦壁体47はそれぞれ左右方向の厚みが異なる。回路基板3に設けられたスリット7はそれぞれ、対応するに縦壁体47の左右方向の厚さに対応する左右方向の幅を有し、縦壁体47はそれぞれ回路基板3に直交する方向に立設された状態で対応するスリット7に挿入可能となっている。
【0047】
図4に示すように、右側の3つのサブコネクタ装着孔49(以下、2極サブコネクタ装着孔49A)はそれぞれ対応する2極サブコネクタ15Aのサブハウジング17が挿脱されることによって、2極サブコネクタ15Aが挿脱可能となっている。最も左側に位置するサブコネクタ装着孔49(以下、4極サブコネクタ装着孔49B)には4極サブコネクタ15Bのサブハウジング17が挿脱されることによって、4極サブコネクタ15Bが挿脱可能である。以下では、必要に応じて、最も右側に位置する2極サブコネクタ装着孔49Aを右2極サブコネクタ装着孔49AR、3つの2極サブコネクタ装着孔49Aのうち中央に位置する2極サブコネクタ装着孔49Aを中2極サブコネクタ装着孔49AM、最も左側に位置する2極サブコネクタ装着孔49Aを左2極サブコネクタ装着孔49ALと記載する。4極サブコネクタ装着孔49Bは2極サブコネクタ装着孔49Aが左右に概ね連結された形状をなしているため、以下では2極サブコネクタ装着孔49Aについて詳細に説明を行う。
【0048】
図6に示すように、サブコネクタ装着孔49は上下一対の横孔部51を有している。横孔部51は基板挿入孔45の上下にそれぞれ配置された前後に延びる孔であり、それぞれメインハウジング13の後面において開口している。横孔部51の前端はそれぞれ基板挿入孔45の後端よりも前方に位置し、サブコネクタ装着孔49は上下の横孔部51それぞれにおいて基板挿入孔45に上面視で重なり合っている。
【0049】
上下の横孔部51及び基板挿入孔45はそれぞれ連通部54を介して基板挿入孔45に連通している。より詳細には、上下の横孔部51はそれぞれ前部において基板挿入孔45に上面視で重なり合い、連通部54は上下の横孔部51と基板挿入孔45とを上下にそれぞれ接続している。本実施形態では、上側の横孔部51(以下、上横孔部51A)の下縁と基板挿入孔45の上縁とが上側の連通部54(以下、上連通部54A)によって互いに連通し、下側の横孔部51(以下、下横孔部51B)の上縁と基板挿入孔45の下縁とが下側の連通部54(以下、下連通部54B)によって互いに連通している。
【0050】
本実施形態ではメインハウジング13の上側及び下側の横孔部51の前縁を画定する面にはそれぞれ、後方に突出するガイド突起55が設けられている。
【0051】
図4に示すように、2極サブコネクタ装着孔49Aの左右方向の幅は互いに概ね等しく、4極サブコネクタ装着孔49Bの左右方向の幅は2極サブコネクタ装着孔49Aよりも大きい。2極サブコネクタ装着孔49Aにおいては、ガイド突起55は横孔部51の前縁を画定する面にそれぞれ1つずつ設けられ、4極サブコネクタ装着孔49Bにおいては、ガイド突起55は横孔部51の前縁を画定する面に2つずつ左右方向に並設されている。
【0052】
図6に示すように、サブコネクタ装着孔49にはそれぞれサブコネクタ15をメインハウジング13に係止するためのサブコネクタ係止部57が設けられている。本実施形態では、サブコネクタ係止部57は2極サブコネクタ装着孔49Aの上面を画定する壁面、すなわち2極サブコネクタ装着孔49Aの上横孔部51Aの上縁を画定する壁面に設けられた段部として形成されている。メインハウジング13には更に、サブコネクタ係止部57に通じるメインハウジング視認孔58が設けられている。サブコネクタ係止部57は、4極サブコネクタ装着孔49Bの上横孔部51Aの上縁を画定する壁面に左右方向に並設されている。
【0053】
図4に示すように、隣接するサブコネクタ装着孔49の間には左右方向に向く主面を有し、左右方向に直交する方向に延びる壁体(以下、中壁体59)が立設され、隣接するサブコネクタ装着孔49はそれぞれ中壁体59によって区切られている。
図3に示すように、右2極サブコネクタ装着孔49AR、及び、中2極サブコネクタ装着孔49AMの間に位置する中壁体59(以下、右側中壁体59R)と、4極サブコネクタ装着孔49B、及び中2極サブコネクタ装着孔49AMの間の中壁体59(以下、左側中壁体59L)とにはそれぞれ基板係止部61が設けられている。すなわち、基板係止部61は左右両端の中壁体59にそれぞれ設けられている。
図7に示すように、基板係止部61は上端において中壁体59の下縁に支持され、前方に延出する延出部61Aと、その延出部61Aの前端において下方に突出する爪部61Bとを備えている。
【0054】
より詳細には、右側中壁体59R及び左側中壁体59Lとはそれぞれ上側の横孔部51の左右方向の縁部を画定する中壁体上部59Aと、下側の横孔部51の左右方向の縁部を画定する中壁体下部59Bとを有している。中壁体上部59Aと、中壁体下部59Bとは基板挿入孔45を介して上下に対峙している。
【0055】
図3に示すように、中壁体上部59Aは左側に位置する横孔部51の右縁を画定する左壁部59ALと、右側に位置する横孔部51の左縁を画定する右壁部59ARと、右壁部59AR及び左壁部59ALの上端にそれぞれ接続された中央部59AMを備えている。中央部59AMは上端において右壁部59AR及び左壁部59ALに支持されている。
【0056】
図7に示すように、中央部59AMはその上部を構成し、前後に延びる略直方体状の上側主部63と、上側主部63の下縁後部から上側主部63よりも前後方向に小さい幅を有して下方に延出する狭窄部65とを備えている。上側主部63の前縁は右壁部59AR及び左壁部59ALの前縁よりも後方に位置している。これにより、メインハウジング13には右側中壁体59Rの上側主部63に対応する位置、及び左側中壁体59Lの上側主部63に対応する位置においてそれぞれ後方に切欠かれて後方に凹む切欠部66(
図2参照)が形成されている。
【0057】
基板係止部61は狭窄部65の下縁に接続されている。延出部61A、及び爪部61Bの前縁は右壁部59AR及び左壁部59ALの前縁よりも後方に位置し、基板係止部61は切欠部66の内部に収容されている。基板係止部61の爪部61Bは中央部59AMの上部及び狭窄部65の弾性変形によって上下に移動可能である。
【0058】
中壁体下部59Bは前後に延びる略直方体状の下側主部67と、下側主部67の上縁から上方に突出する下側突出部69とを備えている。
図3に示すように、下側突出部69は正面視で略方形をなし、下縁において下側主部67に接続され、左縁、右縁、及び上縁においてそれぞれ前方に突出している。
【0059】
図3に示すように、中2極サブコネクタ装着孔49AMと、右2極サブコネクタ装着孔49ARとの間に位置する中壁体59(以下、中央中壁体59M)は正面視で基板挿入孔45に重なり合っている。中央中壁体59Mは基板挿入孔45に重なり合っている部分において後方に凹み、前端が基板挿入孔45に前面視で重なる部分において下側突出部69の前端と前後方向に整合しているとよい。
【0060】
次に、このように構成したカードエッジコネクタ1の使用方法について説明する。作業者はまず、回路基板3に接続すべき電子機器それぞれをサブコネクタ15に対応付けし、電子機器に接続されたリード線5をそれぞれ対応するサブコネクタ15に設けられたプラグ端子19のリード線接続部19Aに接続する。
【0061】
その後、
図2に示すように、ばね片19Cが下向きとなるようにプラグ端子19を配置した後、端子係止孔19Eが端子係止突起29に係合するまで、筐体19Bの遊端側から上側端子装着孔27Aにプラグ端子19を挿入する。同様に、ばね片19Cが上向きとなるようにプラグ端子19を配置した後、端子係止孔19Eが端子係止突起29に係合するまで、筐体19Bの遊端側から下側端子装着孔27Bにプラグ端子19を挿入する。端子係止孔19Eに端子係止突起29に係合することにより、プラグ端子19はサブハウジング17に結合する。
【0062】
このとき、作業者は端子視認孔36を通じて、サブコネクタ15の前側からプラグ端子19を目視することにより、プラグ端子19がそれぞれ端子装着孔27にそれぞれ適正に挿入されていることを確認することができる。
【0063】
端子装着孔27に対するプラグ端子19の挿入が完了した後、後端部43Cをサブハウジング17の後側面に沿わせて、リテーナ43の差込部43Aをリテーナ貫通孔41に差し込むことにより、サブコネクタ15の組立が完了する。本実施形態では、
図4に示すように、プラグ端子19の筐体19Bの後端がリテーナ43の差込部43Aに当接し、プラグ端子19のサブハウジング17からの離脱がより確実に防止される。
【0064】
図8に示すように、サブコネクタ15の組立が完了した後、サブコネクタ15を対応するサブコネクタ装着孔49に後方から挿入する。より詳細には、サブハウジング17の挿入部21を対応する横孔部51に沿って前方にスライド移動させる。このとき、ガイド凹部31にガイド突起55が受容されて、サブハウジング17が適正な位置となるようにガイドされて、その位置決めが行われる。更に、サブコネクタ15を挿入すると、ハウジング係止突起37がサブコネクタ係止部57に受容される。これにより、サブコネクタ15のメインハウジング13に対する後方への離脱が防止される。更に、サブコネクタ装着孔49の前端を画定する前壁面、上下端を画定する上下壁面、及び左右端を画定する左右壁面によってサブコネクタ15のメインハウジング13に対する前方、上下方向、及び左右方向への移動が規制されて、サブコネクタ15がメインハウジング13に結合する。これにより、カードエッジコネクタ1の組立が完了する。
【0065】
このとき、作業者はメインハウジング視認孔58を通じてメインハウジング13の前面から目視することにより、ハウジング係止突起37がサブコネクタ係止部57に適正に係合していることを確認することができる。
【0066】
このとき、
図6に示すように、上側端子装着孔27Aに挿入されたプラグ端子19のばね片19Cはそれぞれ、上側端子装着孔27Aから連通部54を通過して基板挿入孔45に達している。同様に、下側端子装着孔27Bに挿入されたプラグ端子19のばね片19Cはそれぞれ連通部54を通過して基板挿入孔45に達している。
【0067】
次に、
図8に示すように、回路基板3のスリット7にメインハウジング13の縦壁体47をそれぞれ後方から挿入し、組立完了後のカードエッジコネクタ1を前方に移動させる。これにより、メインハウジング13の中壁体上部59Aが弾性変形して、基板係止部61の爪部61Bがそれぞれ回路基板3の基板係止孔9に突入して嵌り込み、基板係止部61が基板係止孔9に嵌合する(
図7参照)。これにより、回路基板3のメインハウジング13に対する前後方向の移動が規制される。基板係止部61及び下側主部67(
図7参照)と、基板挿入孔45を画定する上面及び下面(
図6参照)とによって回路基板3のメインハウジング13に対する上下方向の移動が規制される。更に、左右の縦壁体47(
図3参照)によって回路基板3のメインハウジング13に対する左右方向の移動が規制されて、回路基板3は後端部43Cが基板挿入孔45に挿入された状態でメインハウジング13に係止される。
【0068】
本実施形態では更に、メインハウジング13の回路基板3に対する前方への移動は中央中壁体59Mの前端面、及び下側突出部69の前端面によって規制されている。
【0069】
これにより、
図6に示すように、回路基板3及び複数のサブコネクタ15はメインハウジング13を介して機械的に結合される。このとき、基板挿入孔45には回路基板3が挿入されている。基板挿入孔45は、メインハウジング13において、
図6に示すように回路基板3が挿入されている部分として定義されている。回路基板3が基板挿入孔45に挿入されているときには、メインハウジング13には上横孔部51Aが回路基板3の表面側(上側)に画定されている。同様に、回路基板3が基板挿入孔45に挿入されているときには、メインハウジング13には下横孔部51Bが回路基板3の裏面側(下側)に画定されている。
図6及び
図8に示すように、上横孔部51Aには上挿入部21Aが挿入され、下横孔部51Bには下挿入部21Bが挿入されている。上挿入部21Aの上側端子装着孔27Aと、下挿入部21Bの下側端子装着孔27Bとには、それぞれプラグ端子19が装着されている。
【0070】
上側端子装着孔27Aに装着されたプラグ端子19のばね片19Cは
図6の二点鎖線で示す状態から実線で示す状態に弾性変形し、それぞれ回路基板3の表面の基板端子11に弾発的に当接する。同様に、下側端子装着孔27Bに装着されたプラグ端子19のばね片19Cもまた、
図6の二点鎖線で示す状態から実線で示す状態に弾性変形し、それぞれ回路基板3の裏面の基板端子11に弾発的に当接する。これにより、回路基板3の表面及び裏面の基板端子11にリード線5を導通接続することができる。また、各ばね片19Cが基板端子11に弾性的に当接することで、プラグ端子19と基板端子11との間に電気的に良好なコンタクトが得られる。
【0071】
図1及び
図3に示すように、本実施形態では2つのスリット7の幅が異なるように構成されているため、メインハウジング13が上下反転された状態ではメインハウジング13の縦壁体47を同時にスリット7に挿入することができない。これにより、メインハウジング13が上下反転された状態でカードエッジコネクタ1が回路基板3に嵌合されること、すなわち誤嵌合が防止される。
【0072】
図1に示すように、メインハウジング13のサブコネクタ装着孔49にサブコネクタ15が装着されているときには、操作部39はサブコネクタ装着孔49の外部にあり、作業者が押圧可能な位置にある。サブコネクタ15をメインハウジング13から分離させるときには、作業者は操作部39に下方に向く荷重を加えて、サブコネクタ15をメインハウジング13から引き抜けばよい。操作部39に下方に向く荷重を加えると、上挿入部21Aの上面が弾性変形し、ハウジング係止突起37が下方に移動する。これにより、ハウジング係止突起37及びサブコネクタ係止部57の嵌合が解除されると、サブハウジング17をメインハウジング13に対して後方に引き抜いて離脱させ、サブコネクタ15とメインハウジング13とを分離させることができる。サブコネクタ15とメインハウジング13とが分離すると、各ばね片19Cが基板端子11から離れて、回路基板3の表面及び裏面の基板端子11にリード線5とが電気的に分離される。
【0073】
サブコネクタ15とメインハウジング13とを分離させた後、サブコネクタ15をサブコネクタ装着孔49に後方から挿入し、ハウジング係止突起37とサブコネクタ係止部57とを嵌合させることによって、サブコネクタ15をメインハウジング13に再び結合させて、回路基板3の表面及び裏面の基板端子11にリード線5を導通接続することができる。
【0074】
次に、このように構成したカードエッジコネクタ1の効果について説明する。各サブコネクタ15をメインハウジング13に結合させることによって、電子機器を個々に回路基板3に接続することができる。また、各サブコネクタ15をメインハウジング13から分離することによって、電子機器を個々に回路基板3に分離することができる。これにより、リード線5を切断することなく、メンテナンスを要する電子機器を回路基板3から分離し、メンテナンスを行うことが可能となる。
【0075】
このように、本実施形態に係るカードエッジコネクタ1はサブコネクタ15を分離させることで、電子機器を回路基板3から分離することができる。同様に、従来のカードエッジコネクタを用い、電子機器とカードエッジコネクタ1との間に個別に分離可能とするため中継コネクタを設けた場合に比べて、中継コネクタを設けるために必要となる工程を削減でき、且つ、部品点数を減らすことができる。更に、中継コネクタを設けた場合に比べて、電子機器と回路基板3との間に設けられる接点の数を減らすことができ、電子機器、及び回路基板3が接続不良となる虞をより低減することができる。
【0076】
サブハウジング17をメインハウジング13に係脱する、すなわちサブコネクタ15をメインハウジング13に挿脱することによって、1つのサブコネクタ15に設けられた複数(本実施形態では2又は4個)のプラグ端子19が回路基板3に対して同時に係脱する。これにより、プラグ端子19を1つずつ回路基板3に係脱させる場合に比べて、複数のプラグ端子19を容易に係脱することができる。
【0077】
各電子機器を対応する1つのサブコネクタ15に接続すると、電子機器の回路基板3への接続分離が、対応する1つのサブコネクタ15のサブコネクタ装着孔49への挿脱によって行うことができ、電子機器の回路基板3への接続分離が容易である。
【0078】
基板係止部61の前端に設けられた爪部61Bが回路基板3の基板係止孔9に突入することで、カードエッジコネクタ1は回路基板3に容易に嵌合する。また、カードエッジコネクタ1に嵌合させるためには、回路基板3に貫通孔である基板係止孔9を設ければよく、その構成が簡素である。
【0079】
基板係止部61は左右両端の中壁体59にそれぞれ設けられている。これにより、基板係止部61は回路基板3に沿う方向において最も離間した中壁体59に基板係止部61を設けることができる。これによって、メインハウジング13が回路基板3に左右方向により離れた位置で係止されるため、メインハウジング13の移動が確実に規制されて、メインハウジング13が回路基板3により強固に結合する。更に、基板係止部61を切欠部66に収容することで、基板係止部61が露出し難くなり、意図せず基板係止部61が移動し、基板係止部61が回路基板3の基板係止孔9から離脱することが防止できる。
【0080】
メインハウジング13は樹脂成型品であり自在な成型が可能であるのに対して、回路基板3はその外面に配線が設けられるため、より簡素な構成であることが望ましい。本実施形態ではメインハウジング13が複数のサブコネクタ15に直接結合し、サブコネクタ15を一括して回路基板3に接続させる役割を果たすことで、サブコネクタ15をそれぞれ回路基板3に係止させた場合に比べて、回路基板3に設けるべき貫通孔(基板係止孔9)の数を低減することができる。これにより、回路基板3の構成が簡素になるとともに、基板係止孔9の数を増やすことによる回路基板3の後端部43Cの剛性の低下を抑えることができる。
【0081】
回路基板3が基板挿入孔45に挿入され、メインハウジング13にサブコネクタ15が挿入されると、
図6に示すように、上側端子装着孔27Aに装着されたプラグ端子19は、開口28A及び上連通部54Aを通過して、回路基板3表面の基板端子11に当接する。また、下側端子装着孔27Bに装着されたプラグ端子19は、開口28B及び下連通部54Bを通過して回路基板3の表面に設けられた基板端子11に当接する。このように、カードエッジコネクタ1を用いることで、回路基板3の表面及び裏面の基板端子11にそれぞれプラグ端子19を当接させることができ、回路基板3の表面及び裏面の配線にそれぞれリード線5を接続することができる。
【0082】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0083】
上記実施形態では、基板係止孔9は回路基板3を貫通する貫通孔として形成されていたが、この態様には限定されない。基板係止孔9は基板係止部61に設けられた爪部61Bに係合して回路基板3がメインハウジング13に係止される態様でいかなる態様であってもよく、基板係止孔9は例えば、下方に凹む凹部や、回路基板3の外面に形成された溝等であってもよい。
【0084】
上記実施形態では、サブコネクタ15には上下に対をなすプラグ端子19が1対、又は2対設けられていたが、この態様には限定されない。サブコネクタ15には上下に対をなすプラグ端子19が3対以上設けられていてもよい。また、サブコネクタ15には上側端子装着孔27A又は下側端子装着孔27Bのみが設けられていてもよい。
【0085】
上記実施形態では、サブコネクタ15にはリテーナ43が設けられていたが、リテーナ43が設けられていない態様であってもよい。
【0086】
上記実施形態では、回路基板3において縦壁体47に整合する位置にスリット7が設けられていたがこの態様には限定されず、例えば、回路基板3において中壁体59に整合する位置にスリット7が設けられ、中壁体59がスリット7に挿入されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 :カードエッジコネクタ
3 :回路基板
5 :リード線
7 :スリット
9 :基板係止孔(係止孔)
11 :基板端子
13 :メインハウジング
15 :サブコネクタ
15A :2極サブコネクタ
15B :4極サブコネクタ
17 :サブハウジング
19 :プラグ端子
19A :リード線接続部
19B :筐体
19C :ばね片
19D :コンタクト用開口
19E :端子係止孔
21 :挿入部
21A :上挿入部
21B :下挿入部
21C :上壁体
23 :接続部
25 :基板収容凹部
27 :端子装着孔
27A :上側端子装着孔
27B :下側端子装着孔
27C :上壁
29 :端子係止突起
29A :傾斜面
29B :端子係止面
31 :ガイド凹部
31A :ガイド凹部
31B :ガイド凹部
35A :第1肉抜孔
35B :第2肉抜孔
36 :端子視認孔
37 :ハウジング係止突起(被係止部)
37A :ハウジング係止面
39 :操作部
41 :リテーナ貫通孔
43 :リテーナ
43A :差込部
43B :着脱操作把持部
43C :後端部
45 :基板挿入孔
47 :縦壁体
49 :サブコネクタ装着孔
49A :2極サブコネクタ装着孔
49AL :左2極サブコネクタ装着孔
49AM :中2極サブコネクタ装着孔
49AR :右2極サブコネクタ装着孔
49B :4極サブコネクタ装着孔
51 :横孔部
51A :上横孔部
51B :下横孔部
54 :連通部
54A :上連通部
54B :下連通部
55 :ガイド突起
57 :サブコネクタ係止部(係止部)
58 :メインハウジング視認孔
59 :中壁体
59A :中壁体上部
59AL :左壁部
59AM :中央部
59AR :右壁部
59B :中壁体下部
59L :左側中壁体
59M :中央中壁体
59R :右側中壁体
61 :基板係止部
61A :延出部
61B :爪部
63 :上側主部
65 :狭窄部
66 :切欠部
67 :下側主部
69 :下側突出部